JP2005251238A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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一幸 臼杵
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Abstract

【課題】
高密度記録が可能なリムーバブル型磁気記録媒体として使用することができ、優れた磁気特性、記録特性、耐久性を有する、磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】
可撓性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくともCo、Pt、Cr、及び2〜20原子%のOを含有する強磁性金属合金からなる磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒体。

Description

本発明は、磁気テープ、フレキシブルディスク等の可撓性高分子支持体を用いた磁気記録媒体に関し、特に高密度磁気記録が可能な高容量磁気テープ、高容量フレキシブルディスクに関する。
近年、インターネット等の普及による大容量の画像情報の取り扱いに対応して、パーソナルコンピュータには大容量のハードディスクが装着されている。ハードディスクに蓄積した大量の情報をバックアップしたり、あるいは他のコンピュータで利用するためには、各種のリムーバブル型の記録媒体が用いられている。磁気テープ、フレキシブルディスク等の可撓性の磁気記録媒体は、ハードディスクと同様に情報の記録、読み出しに要する時間が短く、また情報の記録、読み出しに必要な装置も小型である等の多くの特徴を有している。このため、磁気テープ、フレキシブルディスクは代表的なリムーバブル型の記録媒体として、コンピュータのバックアップ、大量のデータの保存に用いられている。そして、少ない個数の磁気テープ、フレキシブルディスクで大量のデータを保存可能な磁気記録媒体が求められており、記録密度の更なる向上が求められている。
磁気テープ、フレキシブルディスク等の可撓性高分子支持体を用いた磁気記録媒体には、基体上に、鉄、クロム、コバルト等の金属を含有する磁性微粒子を高分子バインダーに分散させて塗布した塗布型磁気記録媒体とコバルト系合金を真空中で蒸着によって成膜した蒸着型磁気記録媒体が用いられている。塗布型磁気記録媒体に比べて、蒸着型磁気記録媒体はより高密度の記録が可能であるという特徴を有しているものの、蒸着法によって金属薄膜を形成した可撓性の磁気記録媒体の磁性層はハードディスクで使用されているコバルト系合金のスパッタリングで成膜した強磁性金属薄膜と比較するとノイズが大きく、磁気抵抗素子を用いた高密度記録用のヘッドにおいては、十分な電磁変換特性が得られず、高記録密度特性には適していない。なお、ハードディスク装置に用いられる磁気記録媒体に関しては、例えば、特許文献1〜3が、シリコン基板、ガラス基板などの非磁性体上にスパッタリングにより形成されたCo合金層を有する磁気記録媒体を記載している。
そこでハードディスクと同様にスパッタリングによる強磁性金属薄膜テープを作製しようとする試みはいくつか報告されているものの、実用化には至っていない。これはハードディスクの製造ではスパッタリング時に基板を200℃程度まで加熱しているが、これと同様の製造方法を磁気テープやフレキシブルディスクに適用しようとすると、磁気テープ、フレキシブルディスク用の支持体として一般的なポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートでは耐熱性が不足し変形してしまうためである。また耐熱性に優れている芳香族ポリアミドフィルムを使用しても、製造工程中でフィルムの熱膨張、熱収縮、湿度膨張などの寸法変化が生じるため、変形の少ない磁気テープを作製することが困難であった。フレキシブルディスクにおいても、磁気テープと同様の帯状の支持体を用いて磁性層を形成した後に、所定の形状に打ち抜いてディスク状としているために同様の問題があった。
特許文献4は、可撓性高分子支持体上にスパッタリングにて形成された磁性層を有する磁気記録媒体を開示している。
特許文献5〜8は、可撓性高分子支持体上にスパッタリングにて形成されたコバルト含有強磁性金属合金と非磁性物質からなる磁性層を有する磁気記録媒体を開示している。
磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気記録媒体は、上述のような高密度記録を可能とするとともに、磁気特性及び記録特性に優れることに加えて、ハードディスクには要
求されていない、磁気ヘッドとの接触下での耐久性を有することが望まれている。
特開平8−255342号公報 特開平9−138936号公報 特開2003−77122号公報 特開平10−11734号公報 特開2003−99917号公報 特開2003−99918号公報 特開2003−162805号公報 特開2003−208710号公報
本発明は、高密度記録が可能であり、磁気特性、記録特性及び耐久性に優れた、磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気記録媒体を提供することを課題とするものである。
本発明の課題は、下記構成の磁気記録媒体によって解決された。
(1)可撓性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくともCo、Pt、Cr、及び2〜20原子%のOを含有する強磁性金属合金からなる磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒体。
Co、Pt、Cr、及び特定量のOを含有する強磁性金属薄膜からなる磁性層を有する本発明の磁気記録媒体は、磁気特性、記録性、耐久性に優れた磁気記録媒体を可能とするのみならず、当該磁性層は、室温等の低温度において可撓性高分子支持体上にスパッタリングにより形成できる層であり、磁性層が塗布や蒸着により形成される塗布型磁気記録媒体や蒸着型磁気記録媒体に比べ、高密度記録が可能なリムーバブル型磁気記録媒体を提供することができる。
本発明の磁気記録媒体は、可撓性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくともCo、Pt、Cr、及び2〜20原子%のOを含有する強磁性金属合金からなる磁性層を有する。
〔可撓性高分子支持体〕
本発明の磁気記録媒体が有する可撓性高分子支持体としては、例えば、合成樹脂フィルムが用いられる。具体的には、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテートセルロース、フッ素樹脂等からなる合成樹脂フィルムが挙げられる。本発明では基板を加熱することなく良好な記録特性を達成することができるため、表面性や機械的強度が良好で、また入手も容易なポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
可撓性高分子支持体の表面は、磁気ヘッドによる記録を行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。支持体表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著しく低下させる。具体的には、後述する下塗り層を使用する場合では、光干渉式の表面粗さ計で測定した表面粗さが中心面平均粗さ(SRa)で5nm以内、好ましくは2nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは0.1μm以内である。また、下塗り層を用
いない場合では、光干渉式の表面粗さ計で測定した表面粗さが中心面平均粗さ(SRa)で3nm以内、好ましくは1nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが0.1μm以内、好ましくは0.06μm以内である。
〔磁性層〕
本発明の磁気記録媒体が有する磁性層は、少なくともCo、Pt、Cr、及びOを含有する強磁性金属合金からなる。
当該強磁性金属合金は、Co、Pt、Cr、及びO以外の元素を含んでいてもよいが、当該強磁性金属合金中のCo、Pt、Cr、及びOの総量は、90〜100原子%であることが好ましく、95〜100原子%であることがより好ましい。
当該強磁性金属合金の好ましい合金組成としては、Co、Pt、Crの組成として、Coが65〜80原子%、Ptが5〜20原子%、Crが10〜20原子%の範囲から選択される合金組成に対して、Oが2〜20原子%の範囲で添加された合金組成があげられる。
さらに、これにBやTaや等の非磁性元素を添加する場合には、当該強磁性金属合金中10原子%以下の範囲でPtまたはCrを置換するように添加すれば良い。Coの含有率が多いほど、磁化が大きくなり、信号の再生出力が高まるが、ノイズも同時に増加する。一方、CrやPt等の非磁性元素の含有率が多いほど磁化が小さくなるが、保磁力が増加するため、信号の再生出力が減少するものの、ノイズが減少する。したがって、使用する磁気ヘッドや使用機器に応じてこれらの元素の配合比率を調整することが好ましい。またPt含有率を高め、Crの含有率を低くすると、磁気異方性定数Kuが高まり、熱揺らぎに対して安定となるが、ノイズが増加する傾向にある。逆にPt含有率を低くし、Crの含有率を高めると、磁気粒子の分離が促進され、ノイズが減少するが、磁気異方性定数Kuが低下し、熱揺らぎに対して不安定となる。少なくともCo、Pt、Cr、及びOを含有する強磁性金属合金には、さらにこれらの元素にB、Ta、C等の元素が添加されていても良い。
Oの含有率が少ない場合には磁性体の分離が促進されず、磁性体の結晶は大きくなり。また磁気的な交換結合も強くなるため、ノイズが著しく増大するため、SNR(シグナル/ノイズ比)が低下する傾向がある。一方、Oの含有率が高い場合には、磁化量が減少し、信号出力が低下してしまうため、SNRが低下する傾向がある。
その他、添加できる元素として、Nを添加することも可能である。また希ガス類が含有されていても良い。
当該強磁性金属合金からなる磁性層の厚みとしては、低ノイズ及び高出力の点から、好ましくは10nm〜60nm、さらに好ましくは15nm〜30nmの範囲である。
磁化の異方性(磁化容易軸の方向)は磁性膜成膜時のアルゴン圧などの条件によっても調整することができるが、後述の下地層やシード層によって決定することが好ましい。下地層を使用しない場合やアモルファス材料を使用した場合には、磁性層は垂直に配向しやすく、下地層としてRuやCr合金を使用した場合には、その成膜条件やシード層の材料によって面内配向、垂直配向のどちらでも配向させることが可能である。
本発明の磁気記録媒体における磁性層は、磁性層面に対して垂直方向に磁化容易軸を有するいわゆる垂直磁気記録膜でも、水平方向に磁化容易軸を有する面内磁気記録膜でも良い。この磁化容易軸の方向は後述の下地層あるいはシード層の材料や結晶構造および磁性膜の組成と成膜条件によって制御することができる。
本発明の磁性層は、少なくともCo、Pt、Cr、及びOを含有する強磁性金属合金から形成されており、酸化クロムなどの非磁性酸化物が磁性粒子の粒界を形成するため、磁性体の粒径が微細化し、かつ磁気的に孤立化する。いわゆるグラニュラ構造の磁性膜を形成する。このため高い保磁力を達成できるとともに、ノイズの小さな磁気記録媒体を得ることができる。またこのような磁性膜構造は基板温度を高めることなく、成膜できるため、本発明の可撓性高分子支持体を熱変形させることなく、成膜する事が可能である特徴を有する。
〔磁気記録媒体の作製方法〕
本発明の磁気記録媒体は、上記可撓性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくともCo、Pt、Cr、及びOを含有する強磁性金属合金からなる磁性層を形成する。
少なくともCo、Pt、Cr、及びOを含有する強磁性金属合金からなる磁性層を形成する方法としてはスパッタリング法が使用でき、スパッタリング法は良質な薄膜が容易に成膜可能であることから、本発明に好適である。スパッタリング法としてはDCスパッタリング法、RFスパッタリング法のいずれも使用可能である。
例えば、特開平8−255342号公報、特開平9−138936号公報、特開2003−77122号公報等に記載されている方法を用いることができる。
スパッタリングを行う際に基板にバイアスを印加することで膜質を制御してもかまわない。本発明においては支持体として可撓性高分子支持体を使用するため、チャージアップによるアークや支持体温度の上昇を抑制する効果のあるDCパルススパッタ法が最も好ましい。またスパッタリング装置は連続フィルム上に連続して成膜するウェブスパッタ装置を用いることが好ましい。スパッタリング時の雰囲気に使用する気体はアルゴンが使用できるが、その他の希ガスを使用しても良い。また本発明では、少なくともCo、Pt、Cr、及びOを含有する強磁性金属合金の酸素含有率を調整するために微量の酸素を導入する必要がある。スパッタガス中の酸素含有率は0.01〜5モル%が好ましく、0.1 〜1モル%がより好ましい。スパッタ時の基板は加熱する必要が無く、逆に基板を物理的に浮かせた状態でスパッタすると支持体にスパッタ時の熱が加わるため、磁気特性の劣化や支持体の変形を招くことがある。
本発明においては支持体として可撓性高分子支持体を使用するため、可撓性高分子支持体の温度を好ましくは100℃以下、より好ましくは0〜50℃に保って、磁気特性の劣化や支持体の変形を防止することが望ましい。このため、スパッタを行う際には後述の様に冷却キャンに可撓性高分子支持体を密着させ、積極的に支持体の冷却を行うことが好ましい。また、スパッタリング時の可撓性高分子支持体の温度は、後述するように成膜キャンの温度を調整することにより調整することができる。
特に、本発明のようにスパッタリング法で少なくともCo、Pt、Cr、及びOを含有する強磁性金属合金からなる磁性層を形成するためには、雰囲気に微量の酸素存在下で、例えばCo−CrとPtといった複数の異なったターゲットを用い、これらの共スパッタリング法を使用することも可能であるが、形成すべき強磁性金属合金と組成比に合致した強磁性金属合金の合金ターゲットを用いると、組成が均一な磁性層を形成することができる。強磁性合金中のOの含有率は、スパッタガス中のOの含有率で制御できるが、合金ターゲット中のCrをCrOxに置き換えたO含有ターゲット材を使用してもよい。
〔磁気記録媒体の形態〕
本発明の磁気記録媒体のより具体的な形態としては、例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクを挙げることができる。以下、磁気テープ及びフレキシブルディスクの場合について説明する。
〔A.磁気テープ〕
図1(A)は、磁気記録媒体が磁気テープである実施例を説明する図であり、一部を示す断面図である。磁気テープ11は、帯状の可撓性高分子支持体12上に、磁性層15が形成されたものであり、磁性層15は少なくともCo、Pt、Cr、及びOを含有する強磁性金属合金から構成されている。磁性層15上には、磁性層の酸化等による劣化を防止し、ヘッドや摺動部材との接触による摩耗かから保護する保護層16が形成されている。また、保護層16上には、走行耐久性および耐食性等を改善する目的で潤滑層17が設けられている。
また、図1(B)に示すように、図1(A)に示す構成に加えて、可撓性高分子支持体12上の表面に、可撓性高分子支持体12の表面性を調整するとともに、可撓性高分子支持体12から生じた気体が磁性層15に達することを防止するために下塗り層13を設けたものである。そして、さらに磁性層15に形成される強磁性金属の結晶配向性を制御して記録特性を高めるための下地層14を設けている。図1(B)に記載の 磁気テープは、下地層によって強磁性金属の結晶配向性が良好となり、図1(A)に示したものに比べて特性がより優れたものが得られる。磁気テープは、開放リール、あるいはカートリッジ内に収納されたもののいずれの形態で用いることができる。
(可撓性支持体高分子支持体)
磁気記録媒体が磁気テープである場合に、用いる可撓性支持体は、先に磁気記録媒体におけるものとして述べたとおりである。
なお、可撓性高分子支持体の厚みは、好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは4μm〜12μmである。可撓性高分子支持体の厚みは、十分な強度、切断やエッジ折れ防止の点で、3μm以上が好ましく、磁気テープ一巻当たりに巻き取れる磁気テープ長、体積記録密度、適度な剛性での磁気ヘッドへの当たり、すなわち追従性の点で20μm以下が好ましい。
(下塗り層)
可撓性高分子支持体表面には、平面性の改善と気体遮断性を目的として下塗り層を設けることが好ましい。磁性層をスパッタリング等で形成するため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂等を使用することができる。熱硬化型シリコーン樹脂や電子硬化樹脂は、平滑化効果が高く特に好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。
熱硬化性シリコーン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコーン樹脂が好適に用いられる。このシリコーン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコーンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可撓性フィルムからなる高分子支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーを可撓性高分子支持体上に直接塗布して硬化させることができる。しかも、一般的な有機溶剤にモノマーを溶解させて塗布することができるので、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。
更に、縮重合反応は、酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。また熱硬化性シリコーン樹脂は気体遮断性に優れている。このため磁性層または下地層形成時に可撓性高分子支持体から発生して磁性層または下地層の結晶性、配向性を阻害する気体を遮蔽する気体遮蔽性が高く、特に好適である。
下塗り層の表面には、磁気ヘッドやガイドポール等の摺動部材と磁気テープとの真実接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、微小突起(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起を設けることにより、可撓性高分子支持体の取り扱い性も良好になる。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を形成するのが好ましい。
微小突起の高さは5nm〜60nmが好ましく、l0nm〜30nmがより好ましい。摺動特性の改善効果の点で5nm以上が好ましく、記録再生ヘッドと磁気記録媒体のスペーシング損失による信号の記録再生特性劣化防止の点で60nm以下が好ましい。微小突起の密度は0.1〜100個/μm2 が好ましく、1〜10個/μm2 がより好ましい。摺動特性の改善効果の点で0.1個/μm2 以上が好ましく、凝集粒子の増加による高い突起の増加を防止し、記録再生特性の劣化を防止できる点で100個/μm2 以下が好ましい。また、バインダーを用いて微小突起を支持体表面に固定することもできる。バインダーには、十分な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱性を備えた樹脂としては、溶剤可溶型ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
(下地層)
磁性層の下層には、下地層を設けることが好ましい。下地層としてはCrまたはCrとTi、Si、W、Ta、Zr、Mo、Nb等から選ばれる金属との合金、Ru、Ti、Cなどを挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。この様な下地層を用いることによって、磁性層の配向性を改善できるため、記録特性が向上する。下地層の厚みは10nm〜200nmが好ましく、20nm〜100nmが特に好ましい。下地層によって磁性層が柱状に形成されたものが特に好ましい。柱状に形成されることによって、強磁性金属間の分離構造が安定し、高い保磁力を得ると共に、高出力が可能となり、また強磁性金属の分散が一様なものとなり低ノイズの磁気記録媒体が得られる。
下地層には酸素が含有されていることがより好ましい。酸素が含有されることにより、下地層内の粒子が分離され、ノイズが低減する効果がある。好ましい酸素含有量は10%以下である。
(シード層)
更に、下地層と可撓性高分子支持体との間には、下地層の結晶性を改善するために、シード層あるいはガスバリア層を設けることができる。シード層には、Ta、Ta−Si、Ni−P、Ni−Al、Cなどを使用することができる。磁性層を面内方向に配向させるためには、シード層を用い無いか、あるいはアモルファスシード層を用い、この上にRuやCr合金を積層すればよい。一方、磁性層を垂直配向させるためにはRu下地層やCr下地層とNi−Al等のNi合金やAuなどの貴金属やその合金等のシード層を組み合わせて使用すればよい。
(軟磁性層)
磁化の異方性を垂直とする場合には、磁性層と可撓性高分子支持体の間に軟磁性層を設けても良い。軟磁性層を設けることによって、単磁極ヘッド等の垂直記録ヘッドを用いる場合の記録特性を高めることができる。軟磁性材料としてはパーマロイやセンダスト等の一般的な軟磁性材料が使用できる。その膜厚としては30〜500nmであることが好ましい。
(保護層)
磁性層上には保護層が設けられる。保護層は磁性層に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、磁気ヘッドと磁気テープとの擬似接触または接触摺動による摩耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設けられる。保護層には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料を使用することができる。
保護層としては、磁気ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するものが、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ましい。このような保護膜としては、CVD法で作製されるダイヤモンド状炭素(DLC)と呼ばれる硬質炭素膜が挙げられる。保護層は、性質の異なる2種類以上の薄膜を積層した構成とすることができる。例えば、表面側に摺動特性を改善するための硬質炭素保護膜を設け、磁気記録層側に耐食性を改善するための窒化ケイ素などの窒化物保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い次元で両立することが可能となる。
(潤滑層)
保護層上には、走行耐久性および耐食性を改善するために、潤滑層が設けられる。潤滑層には、炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等の潤滑剤が使用される。炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)n
、またはこれらの共重合体等である。具体的には、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、商品名 FOMBLIN Z−DOL )等が挙げられる。
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
上記の潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ディップコート法等で保護層表面に塗布するか、真空蒸着法により保護層表面に付着させればよい。潤滑剤の塗布量としては、1〜30mg/m2が好ましく、2〜20mg/m2が特に好ましい。
(防錆剤)
また、耐食性をさらに高めるために、防錆剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素およ
び硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。これら防錆剤は、潤滑剤に混合して保護層上に塗布してもよく、潤滑剤を塗布する前に保護層上に塗布し、その上に潤滑剤を塗布してもよい。防錆剤の塗布量としては、0.1〜10mg/m2が好ましく、
0.5〜5mg/m2が特に好ましい。
(バックコート層)
可撓性高分子支持体の磁性層を形成した面とは反対側の面にはバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は磁気記録媒体と摺動部材が摺動する際に磁気記録媒体の背面の磨耗を防止する潤滑効果を有している。また、バックコート層に潤滑層に用いる潤滑剤や防錆剤を添加することによって、バックコート層側から磁性層側へ潤滑剤や防錆剤が供給されるので、磁性層の耐食性を長期間保持することが可能となる。また、バックコート層自体のpHを調整することで磁性層の耐食性をさらに高めることもできる。バックコート層はカーボンブラック、炭酸カルシウム、アルミナ等の非磁性紛体とポリ塩化ビニルやポリウレタンなどの樹脂結合剤、さらに潤滑剤や硬化剤を有機溶剤に分散した溶液をグラビア法やワイヤーバー法などで塗布し、乾燥することで作製できる。バックコート層に防錆剤や潤滑剤を付与する方法としては、前記の溶液中に溶解しても良いし、作製したバックコート層に塗布しても良い。
〔B.フレキシブルディスク〕
図2(A)は、磁気記録媒体がフレキシブルディスクである場合を説明する図である。フレキシブルディスク21は、可撓性高分子支持体22上の両面に磁性層25が形成されたものであり、磁性層25は少なくともCo、Pt、Cr、及びOを含有する強磁性金属合金から構成されている。磁性層25上には、磁性層の酸化等による劣化を防止し、ヘッドや摺動部材との接触による摩耗かから保護する保護層26が形成されている。また、保護層26上には、走行耐久性および耐食性等を改善する目的で潤滑層27が設けられている。また、中心部には、フレキシブルディスクドライブに装着するための係合手段30が装着されている。
また、図2(B)に示す磁気記録媒体は、可撓性高分子支持体22上の表面に、可撓性高分子支持体22の表面性を調整するとともに、可撓性高分子支持体22から生じた気体が磁性層25に達するのを防止するために下塗り層23を設けたものである。そして、さらに磁性層25に形成される強磁性金属の結晶配向性を制御して記録特性を高めるための下地層24が設けられている。また、図2(A)におけるのと同様に、保護層26、潤滑層27、係合手段30を有する。
図2(B)に示したものは図2(A)に示したものに比べて、下地層によって強磁性金属の結晶配向性が優れ、磁気特性が優れたものが得られる。
(可撓性高分子支持体)
次に、磁気記録媒体がフレキシブルディスクである場合について説明をする。フレキシブルディスクの支持体は、磁気ヘッドとフレキシブルディスクとが接触した時の衝撃を回避するために、可撓性を備えた合成樹脂フィルム、すなわち可撓性高分子支持体で構成されている。
磁気記録媒体がフレキシブルディスクである場合に、用いる可撓性支持体は、先に磁気記録媒体におけるものとして述べたとおりである。
また、可撓性高分子支持体として合成樹脂フィルムを複数枚積層したものを用いても良い。複数枚を積層した積層フィルムを用いることにより、可撓性高分子支持体自身に起因する反りやうねりを軽減することができる。その結果、磁気記録媒体の表面が磁気ヘッドと衝突による磁気記録層の耐傷性を著しく改善することがきる。可撓性フィルムを積層する方法としては、熱ロールによるロール積層、平板熱プレスによる平板積層、接着面に接
着剤を塗布してラミネートするドライ積層、予めシート状に成形された接着シートを用いる積層方法等が挙げられる。積層に接着剤を用いる場合には、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、UV硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気性接着剤などを使用することがきる。
可撓性高分子支持体の厚みは、10μm〜200μm、好ましくは20μm〜150μm、さらに好ましくは30μm〜100μmである。高速回転時の安定性が良く、面ぶれを防止できる点で10μm以上が好ましく、回転時に適度な剛性を示し、接触時の衝撃を回避することが可能になり磁気ヘッドの跳躍を防止できる点で200μm以下が好ましい。
また、下記式で表される可撓性高分子支持体の腰の強さは、b=10mmでの値が4.9MPa〜19.6MPa(0.5kgf/mm2 〜2.0kgf/mm2 )の範囲にあることが好ましく、6.9MPa〜14.7MPa(0.7kgf/mm2 〜1.5kgf/mm2 )がより好ましい。
可撓性高分子支持体の腰の強さ=Ebd3/12
なお、この式において、Eはヤング率、bはフィルム幅、dはフィルム厚さを各々表す。
(下塗り層)
可撓性高分子支持体表面には、平面性の改善と気体遮断性を目的として下塗り層を設けることが好ましい。磁性層をスパッタリング等で形成するため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂等を使用することができる。熱硬化型シリコーン樹脂や電子硬化樹脂は、平滑化効果が高く特に好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。
熱硬化性シリコーン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコーン樹脂が好適に用いられる。このシリコーン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコーンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可撓性フィルムからなる高分子支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーを可撓性高分子支持体上に直接塗布して硬化させることができる。しかも、一般的な有機溶剤にモノマーを溶解させて塗布することができるので、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。
更に、縮重合反応は、酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。また熱硬化性シリコーン樹脂は気体遮断性に優れている。このため磁性層または下地層形成時に可撓性高分子支持体から発生して磁性層または下地層の結晶性、配向性を阻害する気体を遮蔽する気体遮蔽性が高く、特に好適である。
熱硬化性シリコーン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコーン樹脂が好適に用いられる。このシリコーン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコーンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可撓性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーを可撓性高分子支持体上に直接塗布して硬化させることができるため、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。また熱硬化性シリコ
ーン樹脂は気体遮断性に優れており、磁性層形成時に可撓性高分子支持体から発生し、磁性層または下地層の結晶性、配向性を阻害する気体を遮蔽する気体遮蔽性が高く、特に好適である。
下塗り層の表面には、磁気ヘッドとフレキシブルディスクとの真実接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、微小突起(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起を設けることにより、可撓性高分子支持体の取り扱い性も良好になる。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を形成するのが好ましい。
微小突起の高さは5nm〜60nmが好ましく、l0nm〜30nmがより好ましい。摺動特性の改善効果の点で5nm以上が好ましく、記録再生ヘッドと磁気記録媒体のスペーシング損失による信号の記録再生特性劣化防止の点で60nm以下が好ましい。微小突起の密度は0.1〜100個/μm2 が好ましく、1〜10個/μm2 がより好ましい。摺動特性の改善効果の点で0.1個/μm2 以上が好ましく、凝集粒子の増加による高い突起の増加を防止し、記録再生特性の劣化を防止できる点で100個/μm2 以下が好ましい。また、バインダーを用いて微小突起を支持体表面に固定することもできる。バインダーには、十分な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱性を備えた樹脂としては、溶剤可溶型ポリイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
また、フレキシブルディスクが有していてもよい、下地層、シード層、軟磁性層、保護層、潤滑層、防錆層などは、前述の磁気テープにおけるものと同様である。
〔可撓性高分子支持体を用いた磁気記録媒体の作製〕
図3は、可撓性高分子支持体上への磁性層の形成方法を説明する図である。以下の説明では、可撓性高分子支持体の両面に磁性層を形成する方法について説明をするが、同様の方法で一方の面のみに形成することも可能である。成膜装置1は、真空室2を有し、巻だしロール3から巻きだされた可撓性高分子支持体4は、張力調整ロール5A、5Bによって張力を調整されて、成膜室6へ送られる。成膜室6においては、真空ポンプによって所定の減圧度に減圧された状態で所定の含有率の酸素を含むアルゴンがスパッタリング気体供給管7Aないし7Dから所定の流量で供給されている。可撓性高分子支持体4は、成膜室6に設けた成膜キャン8Aに巻つきながら搬送された状態で、下地層スパッタリング装置9AのターゲットTAから下地層形成用の原子が飛び出して可撓性高分子支持体上に成膜される。なお、スパッタリング時の可撓性高分子支持体の温度は、成膜キャンの温度を調整することにより調整することができる。成膜キャンは、冷媒あるいは水によって所定温度に維持される。キャンの温度は通常100℃以下、好ましくは0〜50℃である。
次いで、成膜された下地層上に成膜キャン8Aにおいて、磁性層スパッタリング装置9Bに装着した強磁性金属合金ターゲットTBから、磁性層形成用原子が放出されて下地層上に磁性層が形成される。次に、磁性層が形成された面を成膜キャン8Bに巻きつけながら移動した状態で、下地層スパッタリング装置9CのターゲットTCから下地層形成用の原子が飛び出して可撓性高分子支持体の先に磁性層が形成された面とは反対側が成膜される。更に、成膜キャン8B上において、磁性層スパッタリング装置9Dに装着した強磁性金属合金ターゲットTDから、磁性層形成用原子が放出されて下地層上に磁性層が形成される。
以上の工程によって、可撓性高分子支持体の両面に磁性層が形成されて、巻き取りロール10によって巻き取られる。磁性層を形成した後に、磁性層上にダイヤモンド状炭素を
はじめとした保護層がCVD法によって形成される。
図4は、本発明に適用可能な高周波プラズマを利用したCVD装置の一例を説明する図である。磁性層31を形成した可撓性高分子支持体32は、ロール33から巻き出され、パスローラ34によってバイアス電源35からバイアス電圧が磁性層31に給電され成膜キャン36に巻きつけられた状態で走行する。一方、高周波電源38から印加された電圧によって発生したプラズマによって、炭化水素、窒素、希ガス等を含有する原料気体37から、成膜キャン36上の金属薄膜上に窒素、希ガスを含有した炭素保護膜39が形成され、巻き取りロール40に巻き取られる。また、炭素保護膜の作製の前に磁性膜表面を希ガスや水素ガスによるグロー処理などによって清浄化することでより大きな密着性を確保することができる。また、磁性層表面にシリコン中間層等を形成することによって密着性をさらに高めることができる。
以下に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
厚み6.3μm、表面粗さSRa=1.2nmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチルアセトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビアコート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、厚み0.5μmのシリコーン樹脂からなる下塗り層を、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面のみに作製した。得られた下塗り層上に粒子径18nmのシリカゾルと溶剤可溶型ポリイミド樹脂(丸善石油化学社PI−100)をシクロヘキサノンに分散した塗布液をグラビアコート法で塗布して、下塗り層上に高さ15nmの突起を10個/μm2 の密度で形成して、磁気テープ用原反とした。
次に図3に示したウェブスパッタリング装置に得られた原反を装着し、水冷した成膜キャン上にフィルムを密着させながら搬送し、下塗り層上にDCパルススパッタ法でCrTi=80:20(原子比)からなる下地層を30nmの厚みで形成し、引き続き、CoPtCr合金(Co:Pt:Cr=70:20:10原子比)からなる組成のターゲットを用い、スパッタガスとして0.5モル%の酸素を添加したアルゴンガスを用いてDCパルススパッタ法で磁性層を20nmの厚みで形成した。なお、下地層及び磁性層形成において、成膜キャンの温度を調整し、原反の温度は、15℃とした。成膜された磁性層の組成は、Co63Pt18Cr910であった。
次に磁性層を形成した原反を図4に示すようなウェブ式のCVD装置に装着して、エチレンガス、窒素ガス、アルゴンガスを反応ガスとして用いたRFプラズマCVD法でC:H:N=62:29:7(mol比)からなる窒素添加ダイヤモンド状炭素(DLC)の保護膜を5nmの厚みで形成した。なおこのとき成膜キャンにはバイアス−400Vのバイアス電圧を印加した。
次に可撓性高分子支持体の磁性層を形成した面とは反対側の面にカーボンブラック、炭酸カルシウム、ステアリン酸、ニトロセルロース、ポリウレタン、イソシアネート硬化剤をメチルエチルケトンに溶解、分散したバックコート液をワイヤーバー法で塗布し、100℃で乾燥して、厚み0.5μmのバックコート層を作製した。
更に、保護層表面に分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(アウジモント社製FOMBLIN Z−DOL)をフッ素系溶剤(住友スリーエム社製HFE−7200)に溶解した溶液をグラビアコート法で塗布し、厚み1nmの潤滑層を形成
した。
このようにして得られた磁気記録媒体を幅6.35mmに裁断し、表面をテープバーニッシュ加工した後に6.35mmビデオカセット用のカートリッジに組み込んで磁気テープを作製した。この磁気テープについて、下記の評価方法によって特性の評価を行った。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において磁性層の組成を形成する際のスパッタガスに酸素を添加しなかった以外の点は実施例1と同様に磁気テープを作製し、実施例1と同様に評価を行った。その結果を表1に示す。尚、成膜された磁性層の組成は、Co69Pt20Cr101であった。
〔比較例2〕
比較例1において下地層と磁性層を成膜する際の成膜キャン、原反の温度を150℃とした以外は比較例1と同様に磁気テープを作製し、実施例1と同様に評価を行った。その結果を表1に示す。成膜された磁性層の組成は、Co69Pt20Cr101であった。
なお、比較例1及び2の磁性層における酸素原子の存在は、真空中における微量の水分に由来するものと考えられる。
(磁気テープの評価方法)
<磁気特性>
保磁力Hcを試料振動型磁力計(VSM)で測定して磁気特性とした。
<カッピング量>
磁気テープを長さ100mmに切断し、これを平滑なガラス板に静置し、そのテープ幅を測定することで、テープ幅方向の変形をカッピング量として評価した。
<SNR>
再生トラック幅2.2μm、再生ギャップ0.26μmのMRヘッドを用いて、線記録密度130kFCIの記録再生を行い、再生信号出力/ノイズ(SNR)を測定した。なおこのとき、テープ/ヘッドの相対速度は10m/sec、ヘッド加重は29.4mN(3gf)とした。ノイズの積算は5〜260kFCIとした。
<耐久性>
デジタルビデオテープレコーダでスチル再生を行い、出力が初期値の−3dBとなった時点までのスチル再生時間を耐久時間として表した。なお測定環境は23℃、10%RHとし、試験は最大24時間とした。
上記結果から本発明の磁気テープは記録特性と耐久性にともに優れていることがわかる。一方、磁性層に酸素を添加していない比較例1の磁気テープは保磁力(Hc)が低下し、記録特性が低下している。さらに下地層と磁性層の成膜温度を高めた比較例2では、保磁力は改善されたものの、可撓性高分子支持体のフィルムが熱で変形してしまい耐久性が著しく悪化した。また、テープ表面を顕微鏡観察したところ、磁性層に微細なクラックが発生していた。
〔実施例2〕
厚み63μm、表面粗さSRa=1.4nmのポリエチレンナフタレートフィルムの両面に下塗り層を形成した。具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、塩酸、アルミニウムアセチルアセトネート、エタノールからなる下塗り液をグラビアコート法で塗布した後、100℃で乾燥と硬化を行い、厚み1
.0μmのシリコン樹脂からなる下塗り層を作製した。この下塗り層上に粒子径18nmのシリカゾルと溶剤可溶型ポリイミド樹脂(丸善石油化学社PI−100)をシクロヘキサノンに分散した塗布液をグラビアコート法で塗布して、下塗り層上に高さ15nmの突起を5個/μm2 の密度で形成して、フレキシブルディスク用原反とした。
次に、図3に示した装置を用いて原反の両面にシード層、下地層、磁性層を成膜した。具体的には、図3に示したウェブスパッタリング装置に得られた原反を装着し、水冷した成膜キャン上にフィルムを密着させながら搬送し、下塗り層上に、DCパルススパッタ法で、Cからなるシード層を20nm成膜し、さらにその上にRuからなる下地層を30nmの厚みで形成し、引き続き、CoPtCr合金(Co:Pt:Cr=70:20:10原子比)からなる組成のターゲットを用い、スパッタガスとして0.5モル%の酸素を添加したアルゴンガスを用いてDCパルススパッタ法で磁性層を20nmの厚みで形成した。なお、成膜キャンの温度を調整することにより、シード層、下地層及び磁性層形成の際の原反の温度を15℃とした。成膜された磁性層の組成は、Co63Pt18Cr910であった。
次に磁性層を形成した原反を図4に示したウェブ式のCVD装置に設置し、エチレン、窒素ガス、アルゴンを反応ガスとして用いたRFプラズマCVD法でC:H:N=62:29:7(mol比)からなる窒素添加ダイヤモンド状炭素からなる保護膜を10nmの厚みで形成した。なおこのとき成膜キャンには−400Vのバイアス電圧を印加した。保護層もフィルムの両面に成膜した。
次に、両面の保護層表面に分子末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(モンテフルオス社製FOMBLIN Z−DOL)をフッ素系溶剤(住友スリーエム社製HFE−7200)に溶解した溶液をグラビアコート法で塗布し、厚み1nmの潤滑層を形成した。
このようにして得られた磁気記録媒体から直径94mmの円盤を打ち抜き、これをテープバーニッシュ加工した後、フレキシブルディスク用合成樹脂製カートリッジ(富士写真フイルム社製Zip100用)に組み込んで、フレキシブルディスクを作製した。このフレキシブルディスクについて、下記の評価方法によって特性の評価を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例3〜4〕
実施例2において磁性層を成膜する際に、表2記載の混合率の酸素を添加したアルゴンガスを用いてスパッタを行ったこと以外は実施例2と同様に試料を作製し、実施例2と同様に評価を行った。その結果を表2に示す。1.0モル%の酸素を添加したアルゴンガスでスパッタを行った実施例3において成膜された磁性層の組成は、Co59Pt17Cr816であり、0.3モル%の酸素を添加したアルゴンガスでスパッタを行った実施例4において成膜された磁性層の組成は、Co65Pt17Cr99であった。
〔実施例5〕
実施例2において下地層を成膜する際に、酸素を0.2モル%添加したアルゴンガスを用いてスパッタを行ったこと以外は実施例2と同様に試料を作製し、実施例2と同様に評価を行った。その結果を表2に示す。成膜された磁性層の組成は、Co63Pt18Cr910であり、下地層の組成はRu955であった。
〔比較例3〕
実施例2において磁性層を形成する際にスパッタガスに酸素を混合せずに試料を作成した以外は実施例2と同様に試料を作製し、実施例2と同様に評価を行った。その結果を表
2に示す。成膜された磁性層の組成は、Co69Pt20Cr101であった。
〔比較例4〕
比較例3においてシード層、下地層及び磁性層を成膜する際の成膜キャン、原反の温度を150℃とした以外は比較例3と同様にフレキシブルディスクを作製し、実施例2と同様に評価を行った。その結果を表2に示す。成膜された磁性層の組成は、Co69Pt20Cr101であった。
なお、比較例3及び4の磁性層における酸素原子の存在は、真空中における微量の水分に由来するものと考えられる。
(フレキシブルディスクの評価方法)
<磁気特性>
保磁力Hcを試料振動型磁力計(VSM)で測定して磁気特性とした。
<面ぶれ>
フレキシブルディスクを3000rpmで回転させ、中心から半径35mmの位置における面ぶれをレーザー変位計で測定した。
<SNR>
記録トラック幅0.40μm、記録ギャップ0.15μm、再生トラック幅0.25μm、再生ギャップ0.08μmのGMRヘッドを用いて、線記録密度200kFCIの記録再生を行い、再生信号出力/ノイズ(SNR)を測定した。なおこのとき回転数は3000rpm、ヘッドの半径は35mmに設定して測定した。ヘッド加重は29.4mN(3gf)とした。ノイズは5〜400kFCIの帯域についての変調ノイズの積分とした。
<モジュレーション>
前記C/N測定の際の再生出力をディスク一周について計測し、この出力の最小値の最大値に対する比を100分率で表した。
<耐久性>
フレキシブルディスクをフレキシブルディスク用ドライブ(富士写真フイルム社製Zip100用ドライブ)で記録再生を繰り返し行いながら走行させ、出力が初期値−3dBとなった時点で走行を中止し、耐久時間とした。なお環境は23℃50%RHとし、試験は最大300時間とした。
上記結果からわかるように本発明のフレキシブルディスクは記録特性と耐久性にともに優れていることがわかる。一方、磁性層にOを使用しなかった比較例3では保磁力が低下し、記録特性が低下している。さらに磁性層の成膜温度を高めた比較例4では、保磁力は改善されたものの、可撓性高分子支持体フィルムが熱で変形してしまい面ぶれや耐久性が悪化した。
図1は、本発明の一つの実施例を示す図であり、断面図である。 図2は、本発明の他の実施例を示す図であり、断面図である。 図3は、可撓性高分子支持体上への磁性層の形成方法の一例を示す図である。 図4は、本発明に適用可能な高周波プラズマを利用したCVD装置の一例を示す図である。
符号の説明
1…成膜装置、2…真空室、3…巻だしロール、4…可撓性高分子支持体、5A,5B…張力調整ロール、6…成膜室、7A,7B,7C,7D…スパッタリング気体供給管、8A,8B…成膜キャン、9A,9B,9C,9D…下地層スパッタリング装置、TA,TB,TC,TD…ターゲット、10…巻き取りロール、11…磁気テープ、12…可撓性高分子支持体、13…下塗り層、14…下地層、15…磁性層、16…保護層、17潤滑層、21…フレキシブルディスク、22…可撓性高分子支持体、23…下塗り層、24…下地層、25…強磁性金属合金からなる磁性層、26…保護層、27…潤滑層、30…係合手段、31…磁性層、32…可撓性高分子支持体、33…ロール、34…パスローラ、35…バイアス電源、36…成膜キャン、37…原料気体、38…高周波電源、39…炭素保護膜、40…巻き取りロール

Claims (1)

  1. 可撓性高分子支持体の少なくとも一方の面に、少なくともCo、Pt、Cr、及び2〜20原子%のOを含有する強磁性金属合金からなる磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒体。
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