JP2005250091A - 反射防止膜及び表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機EL素子やLEDなどの特定の波長域に強度が集中した発光強度分布を持つ光源からの光に対しても、優れた反射防止能を有する反射防止膜を提供すること。
【解決手段】屈折率が1.4〜1.9の範囲にある反射防止層を複数層積層させた多層構造を有する反射防止膜であって、反射率極小を、460〜490nmの範囲及び560〜600nmの範囲に有することを反射防止膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、反射防止膜に関する。特に、電界発光素子(EL素子)や発光ダイオード(LED)を光源とした照明光に対して優れた反射防止能を有する反射防止膜に関する。また本発明は、該反射防止膜を備えた表示装置に関する。
現在、表示装置としては、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)など様々なものが利用されている。これらの表示装置において、表示面での外光の反射や映り込みは、フレアなどを引き起こし、コントラストを低下させて視認性を著しく劣化させる。そのため、通常、表示面に反射防止膜が用いられている。
反射防止膜には、一般に、光干渉の原理が利用される。すなわち、表示面に光の波長の4分の1となる厚さの薄膜を形成すれば、薄膜表面で反射した光と、薄膜を透過して薄膜の裏側で反射してきた光とが干渉して打ち消しあうので、該表示面からの反射光は消えることになる。ただし、このような薄膜が1層のみでは、単一波長の光の反射しか抑えられないので、広い波長域に亘って光の反射を抑えるためには、何層かを組み合わせる必要がある。実際に、照明の主流を占める白熱灯や蛍光灯からの発光強度分布は可視域全域をほぼ平均的にカバーする分布となっているので、このような照明光の下で使用される反射防止膜も、可視域全域に亘って平均的に反射率が低くなるように設計された多層の反射防止膜が主流である。例えば、特許文献1には、5度入射における鏡面反射率の、450nmから650nmまでの波長領域での平均値が0.4%である反射防止フィルムが開示されている。
特開2003−121606号公報
近年、新たな光源として、無機EL素子やLEDが実用化されてきている。白色発光する無機EL素子やLEDは、現在照明の主流を占める白熱灯や蛍光灯などとは異なり、例えば図5に示すように、主に2つの波長域に強度が集中した発光強度分布を有する(以下、2波長型という。)。従来の反射防止膜は、このような無機EL素子やLEDを光源とした照明光に対して、充分な反射防止能を有していないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑み、EL素子やLEDなどの特定の波長域に強度が集中した発光強度分布を持つ光源からの光に対しても、優れた反射防止能を有する反射防止膜及び表示装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、屈折率が1.4〜1.9の範囲にある反射防止層を複数層積層させた多層構造を有する反射防止膜であって、反射率極小を、460〜490nmの範囲及び560〜600nmの範囲に有する反射防止膜を提供する。
このように、460〜490nmの範囲及び560〜600nmの範囲に反射率極小を有する反射防止膜は、無機EL素子やLEDのように特定の波長域に発光強度が集中している光源からの光に対しても、優れた反射防止能が得られる。反射率極小は、さらに460〜475nmの範囲及び560〜595nmの範囲にあることが好ましい。
反射防止層を複数層積層させた多層構造は、3〜5層の反射防止層からなることが好ましい。積層させる反射防止層の層数を3〜5層とすることで、可視域全域に亘ってより優れた反射防止能を有し、なおかつ製造が容易であり、製造コストも低い反射防止膜を得ることができる。特に、塗布型の反射防止膜、すなわち、特定の屈折率を有する膜形成組成物を溶剤中に溶解または分散して調整される塗布組成物を塗布、乾燥して得られる反射防止膜の場合には、製造の容易さ、コスト面から、反射防止層の層数が5層以下であることは好ましい。このような反射防止能と製造面から、反射防止層を複数層積層させた多層構造は、3層の反射防止層からなることが特に好ましい。
本発明の反射防止膜は、電界発光素子(EL素子)及び発光ダイオード(LED)の少なくとも一方の光源からの発光を含む照明光の下で用いられるのに適している。特に、前述の図5に示すような、2波長型の無機EL素子やLEDを光源からの光に対して、反射防止効果は大きい。また、2波長型素子であっても無機EL素子とLEDとでは発光強度分布は異なる(図5に示すように、無機EL素子は490nm付近と590nm付近とに比較的にブロードなピークを有する。一方、LEDは460nm付近に鋭いピークを、560nm付近にブロードなピークを有する)。本発明の反射防止膜はいずれの素子を光源とした場合でも優れた反射防止効果を発揮することができ、光源(発光強度分布)による反射防止性能の差は少ない。
本発明は、また、本発明の反射防止膜を表示面上に有する表示装置を提供する。本発明の反射防止膜を表示面上に備えることにより、EL素子やLEDのように特定の波長域に発光強度が集中した光源からの照明光下でも、光の反射や映り込み、フレアが防止されるので、視認性が著しく向上する。
本発明によれば、ある種の無機EL素子やLEDのように、2つの波長域に発光強度が集中している光源を照明として用いた場合でも、優れた反射防止能を有する反射防止膜及び表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る反射防止膜の一実施形態の層構成を模式的に示した図である。本実施形態の反射防止膜1は、透明支持体2上に、ハードコート層3及び3層の反射防止層からなる多層構造7をこの順に有する層構成である。反射防止層の多層構造7は、中屈折率層4、高屈折率層5、低屈折率層(最外層)6がこの順に積層されてなる。
ここで、低屈折率、中屈折率及び高屈折率とは、層相互の屈折率の大小関係を表し、本実施形態の反射防止膜1では、透明支持体2、中屈折率層4、高屈折率層5及び低屈折率層6では、層相互で屈折率が次の関係を満足する。
高屈折率層5の屈折率>中屈折率層4の屈折率>透明支持体1の屈折率>低屈折率層6の屈折率。
反射防止膜1を構成する各層の屈折率及び膜厚により反射率を調整し、反射率極小を460〜490nmの範囲及び560〜600nmの範囲とすることができる。ただし、中屈折率層4、高屈折率層5及び低屈折率層6の各反射防止層の屈折率は1.4〜1.9の範囲とする。反射防止層の屈折率がこの範囲であれば、反射防止層の材料選択において、耐久性や透明性などの諸特性に優れ、製造適性も良好な材料を適宜選択することができる。特に、塗布型の反射防止膜の場合には、屈折率をこの範囲外とすることは耐久性や透明性などの諸特性や製造適性も満足する材料を選択する上では難しい。
各反射防止層の屈折率と膜厚とはさらに下記の条件を満足することが、より優れた反射防止性能を有する反射防止膜1を得る上で好ましい。すなわち、図1に示す反射防止膜1では、特開昭59−50401号公報に記載されているように、中屈折率層4が下記数式(I)を、高屈折率層5が下記数式(II)を、低屈折率層6が下記数式(III)を、それぞれ満足することが好ましい。
数式(I)
(hλ/4)×0.7<n44<(hλ/4)×1.3
数式(I)中、hは正の整数(一般に1、2または3)であり、n4は中屈折率層の屈折率であり、そして、d4は中屈折率層の膜厚(nm)である。λは可視光の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(II)
(iλ/4)×0.7<n55<(iλ/4)×1.3
数式(II)中、iは正の整数(一般に1、2または3)であり、n5は高屈折率層の屈折率であり、そして、d5は高屈折率層の膜厚(nm)である。λは可視光の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
数式(III)
(jλ/4)×0.7<n66<(jλ/4)×1.3
数式(III)中、jは正の奇数(一般に1)であり、n6は低屈折率層の屈折率であり、そして、d6は低屈折率層の膜厚(nm)である。λは可視光の波長(nm)であり、380〜680nmの範囲の値である。
さらに、中屈折率層4が下記数式(IV)を、高屈折率層5が下記数式(V)を、低屈折率層6が下記数式(VI)を、それぞれ満足することが特に好ましい。下記数式(IV)〜(VI)で、λは500nmである。
数式(IV)
(λ/4)×0.80<n44<(λ/4)×1.00
数式(V)
(λ/2)×0.75<n55<(λ/2)×0.95
数式(VI)
(λ/4)×0.95<n66<(λ/4)×1.05
以下、本発明の反射防止膜について、図1に示す態様の反射防止膜1に基づいて、各層の構成などを更に説明する。なお、本発明の反射防止膜は、図1に示す実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良などが可能である。また、以下では、主に塗布型の反射防止膜について説明するが、蒸着法により金属酸化物の透明薄膜を積層させた反射防止膜にも本発明は適用可能である。
(透明支持体)
本発明の反射防止膜の透明支持体としては、プラスチックフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムとしてはセルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンが挙げられる。トリアセチルセルロースやポリオレフィンは、レターデーションが小さく光学的均一性も高いので、偏光板と合わせて用いる場合に好ましい。特に、液晶表示装置に用いる場合には、トリアセチルセルロースが好ましい。
本発明の反射防止膜は、透明支持体を用いず、表示装置の表示面など反射防止能を付与したい面に直接反射防止層を設けることで形成することもできる。
(高屈折率層、中屈折率層)
本発明の高屈折率層の屈折率は、1.65〜1.90であることが好ましく、1.70〜1.90であることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。
本発明の高屈折率層及び中屈折率層の屈折率は、屈折率の高い無機微粒子を層に分散させることにより調整することができる。
無機微粒子としては、金属(例、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン)の酸化物が好ましく、屈折率の観点からニ酸化チタンの微粒子が最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層中での無機微粒子の平均粒径は、1〜200nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましく、10〜80nmが特に好ましい。
二酸化チタンの微粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有する二酸化チタンを主成分とする無機微粒子が特に好ましい。ここで、主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、二酸化チタンが有する光触媒活性を抑え、高屈折率層及び中屈折率層の耐候性を改良することができる。特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の一次粒子の質量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
無機微粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。無機微粒子の比表面積は、10〜400m2/gであることが好ましく、20〜200m2/gであることがさらに好ましく、30〜150m2/gであることが最も好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明の高屈折率層及び中屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散には、分散剤を用いることができる。分散剤としては、アニオン性基を有するものが特に好ましい。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(及びスルホ基)、リン酸基(及びホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びその塩が好ましく、カルボキシル基及びリン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。
無機微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
分散剤は、さらに架橋または重合性官能基を含有することが好ましい。架橋または重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明の高屈折率層及び中屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散に用いる好ましい分散剤は、アニオン性基、及び架橋または重合性官能基を有し、かつ該架橋または重合性官能基を側鎖に有する分散剤である。
アニオン性基、及び架橋または重合性官能基を有し、かつ該架橋または重合性官能基を側鎖に有する分散剤の受領平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい重量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
分散剤の無機微粒子に対する使用量は、1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜30質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%であることが最も好ましい。また、分散剤は2種類以上を併用してもよい。
高屈折率層及び中屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子は、分散物の状態で高屈折率層及び中屈折率層の形成に使用する。
無機微粒子は、前記の分散剤の存在下で、分散媒体中に分散する。分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機微粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例として、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例として、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。
無機微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、重量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
無機微粒子を200nm以下に微細化することは、透明性を損なわない高屈折率層及び中屈折率層を形成する上で好ましい。
本発明に用いる高屈折率層及び中屈折率層は、上記のようにして分散媒体中に無機微粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層及び中屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)を架橋反応または重合反応により硬化させて形成することが好ましい。硬化させることは、耐傷性や密着性に優れる中屈折率層及び高屈折率層が形成する上で好ましい。
さらに、高屈折率層及び中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応または重合反応させることが好ましい。このようにして作製した高屈折率層及び中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋または重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層及び中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機微粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋または重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機微粒子を含有する高屈折率層及び中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性が改良される。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光重合性、電子線重合性、放射線重合性の官能基が好ましく、なかでも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
なかでも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
多官能モノマーは、2種類以上を併用してもよい。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,500,907,369,1173,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)に記載されている。市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトンおよびチオキサントンを挙げることができる。市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
光重合反応は、高屈折率層及び中屈折率層とも、塗布組成物の塗布及び乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層には、前記の成分(無機微粒子、重合開始剤、光増感剤など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、導電性の金属微粒子、などを添加することもできる。
高屈折率層及び中屈折率層の形成において、電離放射線硬化性化合物の架橋反応または重合反応は、酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、高屈折率層及び中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性、更には隣接する層との接着性を改良することができる。好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応または重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
(低屈折率層)
本発明の低屈折率層の屈折率は、1.40〜1.49であることが好ましく、1.40〜1.48であることがより好ましく、1.40〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。
低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止膜の防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
低屈折率層は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分とする共重合体の硬化皮膜によって形成されるのが好ましい。該共重合体由来の成分は皮膜固形分の60質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましく、80質量%以上を占めることが特に好ましい。低屈折率化と皮膜硬度の両立の観点から多官能(メタ)アクリレート等の硬化剤も相溶性を損なわない範囲の添加量で好ましく用いられる。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。これらの含フッ素ビニルモノマーの組成比を上げれば屈折率を下げることができるが、皮膜強度は低下するので、共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。
前記共重合体には側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を必須の構成成分として有するのが好ましい。これらの(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが屈折率も高くなる。含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位の種類によっても異なるが、一般に(メタ)アクリロイル基含有繰返し単位は5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
前記共重合体は、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合することもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、合計で共重合体中の0〜65mol%の範囲で導入されていることが好ましく、0〜40mol%の範囲であることがより好ましく、0〜30mol%の範囲であることが特に好ましい。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N‐ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
前記共重合体の好ましい形態として下記一般式(1)のものが挙げられる。
Figure 2005250091
一般式(1)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは2〜4の連結基であり、直鎖、分岐、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**、*−(CH2)2−NH−**、*−(CH2)4−O−**、*−(CH2)6−O−**、*−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**、−CONH−(CH2)3−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式(1)中、Xは水素原子またはメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式(1)中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10である。
さらに上記共重合体の特に好ましい形態として一般式(2)で表されるものが挙げられる。
一般式(2)
Figure 2005250091
一般式(2)中、X、x、yはそれぞれ一般式(1)と同義であり、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式(1)におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のモル%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表わす。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式(2)で表される共重合体としては、40≦x≦60、30≦y≦60、z2=0を満たすものが特に好ましい。
一般式(1)または一般式(2)で表わされる共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
以下に、本発明に用いられる含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位および側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005250091
Figure 2005250091
Figure 2005250091
Figure 2005250091
Figure 2005250091
本発明の低屈折率層形成用の塗布組成物は、通常、液の形態をとり前記共重合体を必須の構成成分とし、必要に応じて各種添加剤及びラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際、固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
高屈折率層など下層との界面密着性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤、あるいはシリカ等の無機微粒子を少量添加することもできる。 これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して0〜30質量%の範囲であることが好ましく、0〜20質量%の範囲であることがより好ましく、0〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは0〜10質量%の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは0〜5質量%の場合である。
ラジカル重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
熱の作用によりラジカル重合を開始する化合物としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾービスーイソブチロニトリル、2−アゾービスープロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
光の作用によりラジカル重合を開始する化合物を使用する場合は、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が行われる。
このような光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。これらの光ラジカル重合開始剤と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
熱または光の作用によってラジカル重合を開始する化合物の添加量としては、炭素−炭素二重結合の重合を開始できる量であればよいが、一般的には低屈折率層形成用の塗布組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%の場合である。
低屈折率層用の塗布組成物に含まれる溶剤としては、前記含フッ素共重合体を含む組成物が沈殿を生じることなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく2種類以上の溶剤を併用することもできる。好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
低屈折率層は、含フッ素化合物以外に充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤(ジメチルシリコーンなどのシリコーン化合物等)、界面活性剤等を含有することができる。特に、無機微粒子、シランカップリング剤、滑り剤を含有することが好ましい。
無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム,フッ化カルシウム,フッ化バリウム)などが好ましい。特に好ましいには二酸化珪素(シリカ)である。無機微粒子の一次粒子の質量平均径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。低屈折率層は最外層なので、無機微粒子は、より微細に分散されていることが好ましい。無機微粒子の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状、あるいは不定形状であることが好ましい。
シランカップリング剤としては、好ましいのは、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基を含有するシランカップリング剤であり、特に好ましいのはエポキシ基、重合性のアシルオキシ基((メタ)アクリロイル)、重合性のアシルアミノ基(アクリルアミノ、メタクリルアミノ)を含有するシランカップリング剤である。特に好ましいのは、架橋又は重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
滑り剤としては、ジメチルシリコーン、及びポリシロキサンセグメントが導入された含フッ素化合物が好ましい。
低屈折率層は、含フッ素化合物、その他所望により含有される任意成分を溶解あるいは分散させた塗布組成物を塗布と同時、または塗布後に光照射、電子線ビーム照射や加熱することによる架橋反応または重合反応により形成することが好ましい。
特に、低屈折率層が電離放射線硬化性の化合物の架橋反応または重合反応により形成される場合、架橋反応または重合反応は酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度、耐薬品性に優れた最外層を得ることができる。
好ましくは酸素濃度が6体積%以下であり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止膜の物理強度を向上させるために、透明支持体上に設けることができる。特に、透明支持体と高屈折率層(または中屈折率層)の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応または重合反応により形成することができる。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応または重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光重合性、電子線重合性及び放射線重合性の官能基が好ましく、なかでも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、前述の高屈折率層の説明で例示したものが挙げられ、光重合開始剤、光増感剤を用いて重合することが好ましい。光重合反応は、ハードコート層の塗布および乾燥後、紫外線照射により行うことが好ましい。
ハードコート層は、脆性の付与のために重量平均分子量が500以上のオリゴマーおよび/またはポリマーを添加してもよい。
オリゴマー、ポリマーとしては、(メタ)アクリレート系、セルロース系、スチレン系の重合体や、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。好ましくは、側鎖に官能基を有するポリ(グリシジル(メタ)アクリレート)やポリ(アリル(メタ)アクリレート)等が挙げられる。
ハードコート層におけるオリゴマーおよび/またはポリマーの含有量は、ハードコート層の全質量に対し5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは25〜70質量%、特に好ましくは35〜65質量%である。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層の形成において、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応または重合反応により形成される場合、架橋反応または重合反応は酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐薬品性に優れたハードコート層を形成することができる。好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
ハードコート層は、透明支持体の表面に、ハードコート層形成用の塗布組成物を塗布することで構築することが好ましい。
塗布溶媒としては、前述の高屈折率層の説明で例示したケトン系溶剤であることが好ましい。ケトン系溶剤を用いることで、透明支持体(特に、トリアセチルセルロース支持体)の表面とハードコート層との接着性がさらに改良する。特に好ましい塗布溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。塗布溶媒は、前述の高屈折率層の説明で例示したケトン系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。
塗布溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
(その他の層)
本発明の反射防止膜には、以上に述べた以外の層を設けてもよい。例えば、接着層、シールド層、滑り層や帯電防止層を設けてもよい。シールド層は電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
また、本発明の反射防止膜を液晶表示装置に適用する場合、視野角特性を改良する目的で、平均粒径が0.1〜10μmの粒子を添加したアンダーコート層を新たに構築する、またはハードコート層中に上記粒子を添加して光散乱性ハードコート層とすることができる。
この場合、粒子の平均粒径は、好ましくは0.2〜5.0μm、更に好ましくは0.3〜4.0μm、特に好ましくは0.5〜3.5μmである。粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の屈折率は1.35〜1.80であることが好ましく、より好ましくは1.40〜1.75、さらに好ましくは1.45〜1.75である。粒子の屈折率とアンダーコート層の屈折率との屈折率の差が0.02以上であることが好ましい。より好ましくは、屈折率の差が0.03〜0.5、さらに好ましくは屈折率の差が0.05〜0.4、特に好ましくは屈折率の差が0.07〜0.3である。アンダーコート層に添加する粒子としては、無機粒子でも有機粒子でもよい。
アンダーコート層は、ハードコート層と透明支持体の間に構築することが好ましい。また、ハードコート層を兼ねることもできる。
アンダーコート層に平均粒径が0.1〜10μmの粒子を添加する場合、アンダーコート層のヘイズは、3〜60%であることが好ましい。より好ましくは、5〜50%であり、さらに好ましくは7〜45%、特に好ましくは10〜40%である。
(反射防止膜の形成法等)
反射防止膜の各層は、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビア法やダイコート法等の塗布方式により形成することができる。ウエット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくす観点でマイクログラビア法およびグラビア法が好ましく、幅方向の膜厚均一性及び塗布経時での長手方向の膜厚均一性の観点で、塗布部において版胴と圧胴で支持体をニップする順転グラビア法が特に好ましい。
本発明の反射防止膜を構成する層のうちの少なくとも2層は、支持体フィルムの送り出し、各層の形成、フィルム巻取り、からなる1回の工程にて形成するのが、生産コストの観点で好ましい。反射防止層が3層構成の場合には、3層を1回の工程にて形成するのがより好ましい。このような製造方法は、塗布機の支持体フィルムの送り出しから巻取りまでの間に、塗布ステーションと乾燥、硬化ゾーンのセットを複数個、好ましくは反射防止膜の構成層の数と同じ数以上、縦列して設けることによって達成される。
本発明の反射防止膜の反射率は低いほど好ましく、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.5%以下、更に好ましくは2.0%以下、特に好ましくは1.5%以下である。
本発明の反射防止膜は、偏光板や位相差板など他の光学フィルムと組み合わせて使用することができる。
例えば、偏光板と組み合わせる場合に、本発明の反射防止膜の透明支持体を反射防止層を有する側とは反対側の面で偏光膜と貼り合わせることで、透明支持体を偏光膜の保護膜とすることで、反射防止膜と一体化した薄型・軽量の偏光板とすることができる。
(表示装置)
本発明の反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)など各種表示装置の表示面に貼付して使用することができ、これら表示装置の視認性を向上させることができる。
例えば、液晶表示装置の場合には、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。また、透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、偏光膜やλ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面及び内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(ハードコート層用塗布液の調製)
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、日本化薬(株)製)750.0質量部に、重量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)50.0質量部を添加して、ミキシングタンク内で攪拌した。その後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
(二酸化チタン微粒子分散液の調製)
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製、TiO2:Co34:Al23:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5質量比)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤41.1質量部及びシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
Figure 2005250091
(中屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液99.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)68.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.6質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.2質量部、メチルエチルケトン279.6質量部及びシクロヘキサノン1049.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
(高屈折率層用塗布液の調製)
上記の二酸化チタン分散液469.8質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)40.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.3質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン526.2質量部及びシクロヘキサノン459.6質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
(低屈折率層用塗布液の調製)
下記の含フッ素共重合体をメチルイソブチルケトンに7質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)を固形分に対して3%、光ラジカル発生剤イルガキュア907(商品名、日本チバガイギー(株)製)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液を調製した。
Figure 2005250091
(反射防止膜1−1の作製)
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。続いて、ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
中屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら180W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の中屈折率層は屈折率1.74、膜厚72nmであった。
高屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量400mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の高屈折率層は屈折率1.90、膜厚72nmであった。
低屈折率層の乾燥条件は90℃、30秒とし、紫外線硬化条件は酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の照射量とした。
硬化後の低屈折率層は屈折率1.40、膜厚91nmであった。
このようにして、反射防止膜1−1を作製した。
(反射防止膜1−2、1−3の作製)
反射防止膜1−1と同様にして、反射防止層が表1に示す構成(層の順序は、ハードコート層側から、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順)の反射防止膜1−2及び1−3を作製した。中屈折率層及び高屈折率層の屈折率は、各層の塗布液組成において二酸化チタン分散液とDPHAの比率を変えることで調整した。また、低屈折率層の屈折率は、含フッ素共重合体のフッ素含率を変えるなどして調整した。
Figure 2005250091
作製した反射防止膜1−1〜1−3に対して、分光光度計V−550(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°の入射光に対する出射角−5°の鏡面反射率を測定した。測定結果である反射スペクトルを図2に示す。各反射防止膜の反射率極小は、反射防止膜1−1が475nm及び560nmに、反射防止膜1−2が465nm及び570nmに、反射防止膜1−3が470nm及び575nmにあった。
反射防止膜1−1〜1−3のそれぞれを、各種表示装置(CRT、透過型液晶表示装置、反射型表示装置)の表示面に貼付し、図5の光源a(商品名「シャネルシート」、販売元「富士ネームプレート社」、発光極大波長485nm及び585nm、無機EL素子)を照明とした照明下で、表示画像を観察した。反射防止膜1−1〜1−3のいずれにおいても、各表示装置で、映り込みやフレアの発生は観察されず、良好な視認性が得られた。
[実施例2]
(反射防止膜2−1、2−2の作製)
実施例1の反射防止膜1−1と同様にして、反射防止層が表2に示す構成(層の順序は、ハードコート層側から、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順)の反射防止膜2−1及び2−2を作製した。中屈折率層及び高屈折率層の屈折率は、各層の塗布液組成において二酸化チタン分散液とDPHAの比率を変えることで調整した。また、低屈折率層の屈折率は、含フッ素共重合体のフッ素含率を変えるなどして調整した。
Figure 2005250091
作製した反射防止膜2−1、2−2に対して、実施例1と同様に鏡面反射率を測定した。測定結果である反射スペクトルを図3(反射防止膜2−1)、図4(反射防止膜2−2)に示す。各反射防止膜の反射率極小は、反射防止膜2−1が470nm及び580nmに、反射防止膜2−2が475nm及び560nmにあった。
反射防止膜2−1を、各種表示装置(CRT、透過型液晶表示装置、反射型表示装置)の表示面に貼付し、図5の光源b(商品名「ELパネル」、販売元「(株)東芝」、発光極大波長475nm及び590nm、無機EL素子)を照明とした照明下で、表示画像を観察した。また、反射防止膜2−2を、各種表示装置(CRT、透過型液晶表示装置、反射型表示装置)の表示面に貼付し、図5の光源c(商品名「ELシート」、販売元「日本イルミネーションシステム(株)」、発光極大波長490nm及び600nm、無機EL素子)を照明とした照明下で、表示画像を観察した。反射防止膜2−1、2−2のいずれにおいても、各表示装置で、映り込みやフレアの発生は観察されず、良好な視認性が得られた。
[実施例3]
反射防止膜1−1〜1−3、2−1及び2−2を各種表示装置(CRT、透過型液晶表示装置、反射型表示装置)の表示面に貼付し、図5の光源d(販売元「(株)ジェイ・アイ・シー」、発光極大波長460nm及び560nm、LED)を照明とした照明下で、表示画像を観察した。いずれの反射防止膜においても、各表示装置で、良好な視認性が得られた。
本発明に係る反射防止膜の一実施形態の層構成を模式的に示した図である。 本発明の反射防止膜の反射スペクトルを示した図である。a:反射防止膜1−1(反射防止層3層)、b:反射防止膜1−2(反射防止層4層)、c:反射防止膜1−3(反射防止層5層)。 本発明の反射防止膜の反射スペクトルを示した図である。a:反射防止膜2−1(反射防止層3層)。 本発明の反射防止膜の反射スペクトルを示した図である。a:反射防止膜2−2(反射防止層3層)。 代表的な白色の無機EL素子及びLEDの発光強度分布を示した図である。a:無機EL素子(発光極大波長485nm、585nm)、b:無機EL素子(発光極大波長475nm、590nm)、c:無機EL素子(発光極大波長490nm、600nm)、d:LED(発光極大波長460nm、560nm)。
符号の説明
1 反射防止膜
2 透明支持体
3 ハードコート層
4 中屈折率層
5 高屈折率層
6 低屈折率層
7 反射防止膜の多層構造

Claims (6)

  1. 屈折率が1.4〜1.9の範囲にある反射防止層を複数層積層させた多層構造を有する反射防止膜であって、
    反射率極小を、460〜490nmの範囲及び560〜600nmの範囲に有することを特徴とする反射防止膜。
  2. 反射率極小を、460〜475nmの範囲及び560〜595nmの範囲に有することを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
  3. 前記多層構造が3〜5層の前記反射防止層からなることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜。
  4. 前記多層構造が3層の前記反射防止層からなることを特徴とする請求項3に記載の反射防止膜。
  5. 電界発光素子及び発光ダイオードの少なくとも一方の光源からの発光を含む照明光の下で用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止膜を表示面上に有することを特徴とする表示装置。
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