JP2005250091A - 反射防止膜及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】屈折率が1.4〜1.9の範囲にある反射防止層を複数層積層させた多層構造を有する反射防止膜であって、反射率極小を、460〜490nmの範囲及び560〜600nmの範囲に有することを反射防止膜。
【選択図】 なし
Description
本発明は、このような事情に鑑み、EL素子やLEDなどの特定の波長域に強度が集中した発光強度分布を持つ光源からの光に対しても、優れた反射防止能を有する反射防止膜及び表示装置を提供することを課題とする。
このように、460〜490nmの範囲及び560〜600nmの範囲に反射率極小を有する反射防止膜は、無機EL素子やLEDのように特定の波長域に発光強度が集中している光源からの光に対しても、優れた反射防止能が得られる。反射率極小は、さらに460〜475nmの範囲及び560〜595nmの範囲にあることが好ましい。
図1は、本発明に係る反射防止膜の一実施形態の層構成を模式的に示した図である。本実施形態の反射防止膜1は、透明支持体2上に、ハードコート層3及び3層の反射防止層からなる多層構造7をこの順に有する層構成である。反射防止層の多層構造7は、中屈折率層4、高屈折率層5、低屈折率層(最外層)6がこの順に積層されてなる。
ここで、低屈折率、中屈折率及び高屈折率とは、層相互の屈折率の大小関係を表し、本実施形態の反射防止膜1では、透明支持体2、中屈折率層4、高屈折率層5及び低屈折率層6では、層相互で屈折率が次の関係を満足する。
高屈折率層5の屈折率>中屈折率層4の屈折率>透明支持体1の屈折率>低屈折率層6の屈折率。
(hλ/4)×0.7<n4d4<(hλ/4)×1.3
(iλ/4)×0.7<n5d5<(iλ/4)×1.3
(jλ/4)×0.7<n6d6<(jλ/4)×1.3
(λ/4)×0.80<n4d4<(λ/4)×1.00
数式(V)
(λ/2)×0.75<n5d5<(λ/2)×0.95
数式(VI)
(λ/4)×0.95<n6d6<(λ/4)×1.05
本発明の反射防止膜の透明支持体としては、プラスチックフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルムとしてはセルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンが挙げられる。トリアセチルセルロースやポリオレフィンは、レターデーションが小さく光学的均一性も高いので、偏光板と合わせて用いる場合に好ましい。特に、液晶表示装置に用いる場合には、トリアセチルセルロースが好ましい。
本発明の反射防止膜は、透明支持体を用いず、表示装置の表示面など反射防止能を付与したい面に直接反射防止層を設けることで形成することもできる。
本発明の高屈折率層の屈折率は、1.65〜1.90であることが好ましく、1.70〜1.90であることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましい。
無機微粒子としては、金属(例、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、アンチモン)の酸化物が好ましく、屈折率の観点からニ酸化チタンの微粒子が最も好ましい。高屈折率層及び中屈折率層中での無機微粒子の平均粒径は、1〜200nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましく、10〜80nmが特に好ましい。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の一次粒子の質量平均径は、1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
アニオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基(及びスルホ基)、リン酸基(及びホスホノ基)、スルホンアミド基等の酸性プロトンを有する基、またはその塩が有効であり、特にカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びその塩が好ましく、カルボキシル基及びリン酸基が特に好ましい。1分子当たりの分散剤に含有されるアニオン性基の数は、1個以上含有されていればよい。
無機微粒子の分散性をさらに改良する目的でアニオン性基は複数個が含有されていてもよい。平均で2個以上であることが好ましく、より好ましくは5個以上、特に好ましくは10個以上である。また、分散剤に含有されるアニオン性基は、1分子中に複数種類が含有されていてもよい。
本発明の高屈折率層及び中屈折率層に用いる二酸化チタンを主成分とする無機微粒子の分散に用いる好ましい分散剤は、アニオン性基、及び架橋または重合性官能基を有し、かつ該架橋または重合性官能基を側鎖に有する分散剤である。
アニオン性基、及び架橋または重合性官能基を有し、かつ該架橋または重合性官能基を側鎖に有する分散剤の受領平均分子量(Mw)は、特に限定されないが1000以上であることが好ましい。分散剤のより好ましい重量平均分子量(Mw)は2000〜1000000であり、さらに好ましくは5000〜200000、特に好ましくは10000〜100000である。
無機微粒子は、前記の分散剤の存在下で、分散媒体中に分散する。分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機微粒子は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、重量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。
無機微粒子を200nm以下に微細化することは、透明性を損なわない高屈折率層及び中屈折率層を形成する上で好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
多官能モノマーは、2種類以上を併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチオキサントン類等が挙げられる。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX-S,BP-100,BDMK,CTX,BMS,2-EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,500,907,369,1173,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;(株)技術情報協会,1991年発行)に記載されている。市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、日本チバガイギー(株)製のイルガキュア(651,184,907)等が挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
本発明の低屈折率層の屈折率は、1.40〜1.49であることが好ましく、1.40〜1.48であることがより好ましく、1.40〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。
低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。
具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、反射防止膜の防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
好ましい例としては、*−(CH2)2−O−**、*−(CH2)2−NH−**、*−(CH2)4−O−**、*−(CH2)6−O−**、*−(CH2)2−O−(CH2)2−O−**、−CONH−(CH2)3−O−**、*−CH2CH(OH)CH2−O−**、*−CH2CH2OCONH(CH2)3−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0または1を表わす。
一般式(2)
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式(1)におけるAの例として説明したものが当てはまる。
z1およびz2はそれぞれの繰返し単位のモル%を表わし、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表わす。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式(2)で表される共重合体としては、40≦x≦60、30≦y≦60、z2=0を満たすものが特に好ましい。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2−アゾービスーイソブチロニトリル、2−アゾービスープロピオニトリル、2−アゾ−ビスーシクロヘキサンジニトリル等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等を挙げることができる。
このような光ラジカル重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。これらの光ラジカル重合開始剤と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
滑り剤としては、ジメチルシリコーン、及びポリシロキサンセグメントが導入された含フッ素化合物が好ましい。
特に、低屈折率層が電離放射線硬化性の化合物の架橋反応または重合反応により形成される場合、架橋反応または重合反応は酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度、耐薬品性に優れた最外層を得ることができる。
好ましくは酸素濃度が6体積%以下であり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
ハードコート層は、反射防止膜の物理強度を向上させるために、透明支持体上に設けることができる。特に、透明支持体と高屈折率層(または中屈折率層)の間に設けることが好ましい。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光重合性、電子線重合性及び放射線重合性の官能基が好ましく、なかでも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層は、脆性の付与のために重量平均分子量が500以上のオリゴマーおよび/またはポリマーを添加してもよい。
オリゴマー、ポリマーとしては、(メタ)アクリレート系、セルロース系、スチレン系の重合体や、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。好ましくは、側鎖に官能基を有するポリ(グリシジル(メタ)アクリレート)やポリ(アリル(メタ)アクリレート)等が挙げられる。
また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層の形成において、電離放射線硬化性の化合物の架橋反応または重合反応により形成される場合、架橋反応または重合反応は酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で実施することが好ましい。酸素濃度が10体積%以下の雰囲気で形成することにより、物理強度や耐薬品性に優れたハードコート層を形成することができる。好ましくは酸素濃度が6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することであり、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。
塗布溶媒としては、前述の高屈折率層の説明で例示したケトン系溶剤であることが好ましい。ケトン系溶剤を用いることで、透明支持体(特に、トリアセチルセルロース支持体)の表面とハードコート層との接着性がさらに改良する。特に好ましい塗布溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。塗布溶媒は、前述の高屈折率層の説明で例示したケトン系溶媒以外の溶媒を含んでいてもよい。
塗布溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗布組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
本発明の反射防止膜には、以上に述べた以外の層を設けてもよい。例えば、接着層、シールド層、滑り層や帯電防止層を設けてもよい。シールド層は電磁波や赤外線を遮蔽するために設けられる。
この場合、粒子の平均粒径は、好ましくは0.2〜5.0μm、更に好ましくは0.3〜4.0μm、特に好ましくは0.5〜3.5μmである。粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の屈折率は1.35〜1.80であることが好ましく、より好ましくは1.40〜1.75、さらに好ましくは1.45〜1.75である。粒子の屈折率とアンダーコート層の屈折率との屈折率の差が0.02以上であることが好ましい。より好ましくは、屈折率の差が0.03〜0.5、さらに好ましくは屈折率の差が0.05〜0.4、特に好ましくは屈折率の差が0.07〜0.3である。アンダーコート層に添加する粒子としては、無機粒子でも有機粒子でもよい。
アンダーコート層は、ハードコート層と透明支持体の間に構築することが好ましい。また、ハードコート層を兼ねることもできる。
アンダーコート層に平均粒径が0.1〜10μmの粒子を添加する場合、アンダーコート層のヘイズは、3〜60%であることが好ましい。より好ましくは、5〜50%であり、さらに好ましくは7〜45%、特に好ましくは10〜40%である。
反射防止膜の各層は、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビア法やダイコート法等の塗布方式により形成することができる。ウエット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくす観点でマイクログラビア法およびグラビア法が好ましく、幅方向の膜厚均一性及び塗布経時での長手方向の膜厚均一性の観点で、塗布部において版胴と圧胴で支持体をニップする順転グラビア法が特に好ましい。
本発明の反射防止膜を構成する層のうちの少なくとも2層は、支持体フィルムの送り出し、各層の形成、フィルム巻取り、からなる1回の工程にて形成するのが、生産コストの観点で好ましい。反射防止層が3層構成の場合には、3層を1回の工程にて形成するのがより好ましい。このような製造方法は、塗布機の支持体フィルムの送り出しから巻取りまでの間に、塗布ステーションと乾燥、硬化ゾーンのセットを複数個、好ましくは反射防止膜の構成層の数と同じ数以上、縦列して設けることによって達成される。
例えば、偏光板と組み合わせる場合に、本発明の反射防止膜の透明支持体を反射防止層を有する側とは反対側の面で偏光膜と貼り合わせることで、透明支持体を偏光膜の保護膜とすることで、反射防止膜と一体化した薄型・軽量の偏光板とすることができる。
本発明の反射防止膜は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)など各種表示装置の表示面に貼付して使用することができ、これら表示装置の視認性を向上させることができる。
例えば、液晶表示装置の場合には、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。また、透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、偏光膜やλ/4板と組み合わせることで、反射型液晶用の偏光板や、有機ELディスプレイ用表面保護板として表面及び内部からの反射光を低減するのに用いることができる。
(ハードコート層用塗布液の調製)
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、日本化薬(株)製)750.0質量部に、重量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)50.0質量部を添加して、ミキシングタンク内で攪拌した。その後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液を調製した。
二酸化チタン微粒子としては、コバルトを含有し、かつ水酸化アルミニウムと水酸化ジルコニウムを用いて表面処理を施した二酸化チタン微粒子(MPT−129C、石原産業(株)製、TiO2:Co3O4:Al2O3:ZrO2=90.5:3.0:4.0:0.5質量比)を使用した。
この粒子257.1質量部に、下記分散剤41.1質量部及びシクロヘキサノン701.8質量部を添加してダイノミルにより分散し、質量平均径70nmの二酸化チタン分散液を調製した。
上記の二酸化チタン分散液99.1質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)68.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.6質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.2質量部、メチルエチルケトン279.6質量部及びシクロヘキサノン1049.0質量部を添加して攪拌した。十分に攪拌ののち、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して中屈折率層用塗布液を調製した。
上記の二酸化チタン分散液469.8質量部に、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)40.0質量部、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)3.3質量部、光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1.1質量部、メチルエチルケトン526.2質量部及びシクロヘキサノン459.6質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して高屈折率層用の塗布液を調製した。
下記の含フッ素共重合体をメチルイソブチルケトンに7質量%の濃度になるように溶解し、末端メタクリレート基含有シリコーン樹脂X−22−164C(信越化学(株)製)を固形分に対して3%、光ラジカル発生剤イルガキュア907(商品名、日本チバガイギー(株)製)を固形分に対して5質量%添加し、低屈折率層用塗布液を調製した。
膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80UF、富士写真フイルム(株)製)上に、ハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。続いて、ハードコート層の上に、中屈折率層用塗布液、高屈折率層用塗布液、低屈折率層用塗布液を3つの塗布ステーションを有するグラビアコーターを用いて連続して塗布した。
硬化後の中屈折率層は屈折率1.74、膜厚72nmであった。
硬化後の高屈折率層は屈折率1.90、膜厚72nmであった。
硬化後の低屈折率層は屈折率1.40、膜厚91nmであった。
このようにして、反射防止膜1−1を作製した。
反射防止膜1−1と同様にして、反射防止層が表1に示す構成(層の順序は、ハードコート層側から、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順)の反射防止膜1−2及び1−3を作製した。中屈折率層及び高屈折率層の屈折率は、各層の塗布液組成において二酸化チタン分散液とDPHAの比率を変えることで調整した。また、低屈折率層の屈折率は、含フッ素共重合体のフッ素含率を変えるなどして調整した。
(反射防止膜2−1、2−2の作製)
実施例1の反射防止膜1−1と同様にして、反射防止層が表2に示す構成(層の順序は、ハードコート層側から、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順)の反射防止膜2−1及び2−2を作製した。中屈折率層及び高屈折率層の屈折率は、各層の塗布液組成において二酸化チタン分散液とDPHAの比率を変えることで調整した。また、低屈折率層の屈折率は、含フッ素共重合体のフッ素含率を変えるなどして調整した。
反射防止膜1−1〜1−3、2−1及び2−2を各種表示装置(CRT、透過型液晶表示装置、反射型表示装置)の表示面に貼付し、図5の光源d(販売元「(株)ジェイ・アイ・シー」、発光極大波長460nm及び560nm、LED)を照明とした照明下で、表示画像を観察した。いずれの反射防止膜においても、各表示装置で、良好な視認性が得られた。
2 透明支持体
3 ハードコート層
4 中屈折率層
5 高屈折率層
6 低屈折率層
7 反射防止膜の多層構造
Claims (6)
- 屈折率が1.4〜1.9の範囲にある反射防止層を複数層積層させた多層構造を有する反射防止膜であって、
反射率極小を、460〜490nmの範囲及び560〜600nmの範囲に有することを特徴とする反射防止膜。 - 反射率極小を、460〜475nmの範囲及び560〜595nmの範囲に有することを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
- 前記多層構造が3〜5層の前記反射防止層からなることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止膜。
- 前記多層構造が3層の前記反射防止層からなることを特徴とする請求項3に記載の反射防止膜。
- 電界発光素子及び発光ダイオードの少なくとも一方の光源からの発光を含む照明光の下で用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止膜を表示面上に有することを特徴とする表示装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004060187A JP2005250091A (ja) | 2004-03-04 | 2004-03-04 | 反射防止膜及び表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004060187A JP2005250091A (ja) | 2004-03-04 | 2004-03-04 | 反射防止膜及び表示装置 |
Publications (1)
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JP2005250091A true JP2005250091A (ja) | 2005-09-15 |
Family
ID=35030628
Family Applications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3876000A4 (en) * | 2018-11-02 | 2022-01-26 | LG Chem, Ltd. | CIRCULAR POLARIZING PLATE |
WO2022039014A1 (ja) * | 2020-08-19 | 2022-02-24 | 大日本印刷株式会社 | バリアフィルム、並びに、これを用いた波長変換シート、バックライト及び液晶表示装置、並びに、バリアフィルムの選定方法 |
US12019332B2 (en) | 2020-08-19 | 2024-06-25 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Barrier film, and wavelength conversion sheet, backlight, and liquid crystal display device in which same is used, as well as method for selecting barrier film |
-
2004
- 2004-03-04 JP JP2004060187A patent/JP2005250091A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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