JP2005247835A - 共沸蒸留方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物を加圧下で共沸蒸留するにあたり、設備を簡略化でき、かつ、エネルギー消費を低減できる新たな酢酸メチルの回収方法を提供することを目的とする。
【解決手段】水、酢酸及び酢酸メチルを、下記の各工程を経て各成分を蒸留分離する。
(1)水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物を、共沸剤を用いて、塔頂部が大気圧を上回る圧力下で蒸留させ、酢酸を含有する塔底回収物と、水、酢酸メチル及び共沸剤を含有する塔上部留出蒸気とに分離する工程。 (2)上記(1)の工程で得られた塔上部留出蒸気を凝縮させる工程。 (3)上記(2)の工程で得られた凝縮液を放圧することにより酢酸メチルを蒸発させ、酢酸メチルを回収する工程。 (4)上記(3)の工程の残液を水相と油相とに液々分離する工程。 (5)上記(4)の工程で得られた油相を、共沸剤として上記(1)の工程に供給する工程。
【選択図】図1

Description

この発明は、水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物を、水と共沸性を有する共沸剤を用いて共沸蒸留する方法に関する。
酢酸溶媒中でパラキシレンを酸化するテレフタル酸の製造プロセスにおいて生じる反応蒸気やその凝縮液、反応生成スラリー等を固液分離して得られる母液やその蒸気等には、水、酢酸、酢酸の不均一化反応によって生じる酢酸メチル等が含まれる。これらの混合物から酢酸溶媒を回収するために、脱水蒸留する方法が一般的に行われている。この蒸留に際して、水と酢酸の比揮発度が1に近く分離性が悪いことから、水と共沸性を有する共沸剤を用いる共沸蒸留方法が用いられる。この共沸蒸留において、上記混合物に含有する酢酸メチルが、循環使用される共沸剤中に蓄積してしまうと、分離性能が悪化する問題があるため、これを解決する方法が特許文献1に開示されている。
また、蒸留により発生する留出蒸気の凝縮熱を用いて低圧水蒸気を発生させて、エネルギーを回収する方法が特許文献2、3等に開示されている。特に、共沸蒸留方法では、共沸剤を用いない一般の蒸留方法より、留出蒸気温度が低くなると、低圧水蒸気の発生には不利となるので、共沸蒸留の塔頂部を加圧にして、留出蒸気温度を高める方法が、文献3に開示されている。
上記文献1〜3においては、循環使用される共沸剤中に蓄積される酢酸メチルを除去するために、循環使用される共沸剤の少なくとも一部を蒸留処理していた。
特開2002−326001号公報 特開平5−213816号公報 米国公開特許2003−0150706号公報
しかしながら、共沸蒸留において、循環使用される共沸剤を蒸留処理して酢酸メチルを除去するにはエネルギーを要し、効率的ではなかった。また、設備的にも処理に必要な蒸留塔やその付帯設備が必要であった。
そこで、本発明は、水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物を加圧下で共沸蒸留するにあたり、設備を簡略化でき、かつ、エネルギー消費を低減できる新たな酢酸メチルの回収方法を提供することを目的とする。
本発明は、水、酢酸及び酢酸メチルを、下記(1)乃至(5)の工程を経て、各成分を共沸蒸留する共沸蒸留方法を採用することにより、上記課題を解決したのである。
(1)水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物を、共沸剤を用いて、塔頂部が大気圧を上回る圧力下で蒸留させ、酢酸を含有する塔底回収物と、水、酢酸メチル及び共沸剤を含有する塔上部留出蒸気とに分離する工程。
(2)上記(1)の工程で得られた塔上部留出蒸気を凝縮させる工程。
(3)上記(2)の工程で得られた凝縮液を放圧することにより酢酸メチルを蒸発させ、酢酸メチルを回収する工程。
(4)上記(3)の工程の残液を水相と油相とに液々分離する工程。
(5)上記(4)の工程で得られた油相を、共沸剤として上記(1)の工程に供給する工程。
本発明は、上記の各工程を含む方法を採用するので、水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物を加圧下で共沸蒸留するにあたり、設備の簡略化が可能となる。
さらに、上記の各工程を含む方法を採用することにより、エネルギー消費を低減することができる。
この発明にかかる共沸蒸留方法は、水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物を、水と共沸性を有する共沸剤を用いて共沸蒸留する方法である。
上記の水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物としては、例えば、酢酸溶媒中、パラキシレンをテレフタル酸に酸化するテレフタル酸の製造プロセスにおいて生じる反応蒸気やその凝縮液、反応生成スラリーを固液分離して得られる母液やその蒸気等をあげることができる。この場合、これらの混合物には、酸化反応により生成する水や、溶媒である酢酸、酢酸の不均一化反応によって生じる酢酸メチルが含有される。
上記の蒸留対象混合物は、下記(1)の工程を経て、各成分が共沸蒸留される。
(1)水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物を、共沸剤を用いて、塔頂部が大気圧を上回る圧力下で蒸留させ、酢酸を含有する塔底回収物と、水、酢酸メチル及び共沸剤を主成分とする塔上部留出蒸気とに分離する工程。
上記共沸剤とは、水と共沸混合物を形成することのできる化合物であり、これを用いることにより、水と酢酸との共沸蒸留をより容易に行うことができる。使用される共沸剤としては、不均一系共沸剤が挙げられ、具体的には、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル等の炭素数が5又は6の酢酸エステルがあげられる。これらの中でも、特に酢酸n−ブチルが好ましい。上記共沸剤は、少なくとも一種を用いればよいが、一種のみを用いるのがより好ましい。
大気圧(すなわち、1atm)下での水との最小共沸点は、酢酸n−プロピルが85℃、酢酸i−プロピルが77℃、酢酸n−ブチルが91℃、酢酸i−ブチルが88℃である。
共沸剤として酢酸n−ブチルを使用することが好ましいのは、加圧化により最小共沸点を上げる場合に、酢酸n−ブチルは他の共沸剤と比べて低い圧力レベルで所定の温度に到達できるからである。また、圧力レベルが高いほど蒸留塔内の蒸気容量負荷が小さくなり、塔のコンパクト化には有利であるが、圧力が高すぎると、塔底部の酢酸回収部では共沸剤の種類に関係なく圧力レベルが高いほど高温となり、腐食上、高級材質化等の対策が必要となり、好ましくないからである。
上記(1)工程における「大気圧を上回る圧力下」とは、上記(1)工程で使用される蒸留塔の塔頂部の圧力が大気圧を超え、具体的には、塔上部留出蒸気温度が95℃以上130℃以下となる圧力、好ましくは、塔上部頂留出蒸気温度が95℃以上110℃以下となる圧力をいう。このようにすることにより、蒸留操作圧力を高めると、塔内蒸気負荷が低減されるので、蒸留塔の小型化が可能になる。特に、化学プラントの生産能力が高まる中、その効果が大きい。また、共沸組成物の沸点が実質的に大気圧下での沸点よりも高くなり、留出蒸気の凝縮熱を発生する低圧水蒸気の圧力レベルを高めることもできる。例えば、0.07MPa(絶対圧)の水蒸気(90℃)を回収して効率よくスチームタービンにてエネルギー回収することができる。
上記圧力が低すぎると上記効果(低圧水蒸気の圧力レベルを高めること)を十分に発揮できない傾向がある。一方、上記圧力が高すぎると、蒸留塔塔底部において、酢酸による腐食環境の面から厳しい温度域となり、さらに、高圧機器となるため、機器コストが高くなる傾向となる。
上記(1)工程の蒸留により、水と共沸剤とからなる共沸組成物、及び酢酸メチルが留出され、上記酢酸は、塔底から回収される。このため、蒸留塔へ供給される混合物より水分量の少ない、例えば供給混合物中の水分濃度が20〜30重量%であるのに対して、水分濃度が10重量%以下の酢酸を主成分とする混合物が缶出物として回収される。そして、上記蒸留対象混合物が、酢酸溶媒中、パラキシレンをテレフタル酸に酸化するテレフタル酸の製造プロセスにおいて生じる反応蒸気やその凝縮液、反応生成スラリー等を固液分離して得られる母液やその蒸気である場合、回収された酢酸は、このテレフタル酸の製造プロセスに戻し、再び溶媒や洗浄液として使用することができる。
また、上記蒸留塔の留出される塔上部留出蒸気は、水、酢酸メチル及び共沸剤を主成分(通常水、酢酸メチル及び共沸剤を50%以上、好ましくは70%以上含有)とし、これに1重量%以下の少量の酢酸を含有する。なお、酢酸メチルは、酢酸の不均一反応により、生じる生成物である。
なお、本発明において「塔上部」とは、蒸留塔の塔頂部及び塔頂から塔全体の1/3までの部分を指し、通常、留出蒸気は塔頂部から抜き出されるが、塔頂から塔全体の1/3以内の部分、好ましくは塔頂から塔全体の1/10までの部分から抜き出してもよい。
上記塔上部留出蒸気の処理方法としては、下記の(2)工程〜(5)工程を用いることができる。
(2)上記(1)の工程で得られた塔上部留出蒸気を凝縮させる工程。
(3)上記(2)の工程で得られた凝縮液を放圧することにより酢酸メチルを蒸発させ、酢酸メチルを回収する工程。
(4)上記(3)の工程の残液を水相と油相とに液々分離する工程。
(5)上記(4)の工程で得られた油相を、共沸剤として上記(1)の工程に供給する工程。
上記(2)の工程は、95〜130℃にある上記塔上部留出蒸気を凝縮する工程である。(3)工程において、凝縮液を放圧することにより酢酸メチルを蒸発させることから、(2)の工程においては大気圧を上回る圧力(実質的に蒸留塔の操作圧力と同一の圧力)状態を維持することが好ましい。
上記(2)の工程は、上記塔上部留出蒸気を凝縮する工程であるが、この凝縮は、通常、凝縮器で行われる。この凝縮器には、例えば、ケトル型熱交換器や薄膜蒸発器等を用いて、上記塔上部留出蒸気を凝縮する際に発生する凝縮熱を利用して、低圧水蒸気、例えば0.07atm(絶対圧)水蒸気(90℃)を発生させることができる。このようにすると、凝縮熱を有効利用することができ、エネルギー効率的にも好ましい。なお、上記低圧水蒸気とは、上記凝縮器で冷媒として働く水が、この凝縮器において熱交換により加熱されて得られる低圧の水蒸気をいう。
上記蒸留塔の塔頂部の温度は、前述の通り、通常95〜130℃となる。このため、多少の熱損失はあるものの、凝縮熱を利用して、80〜120℃の温度範囲内、圧力レベルとして0.05〜0.20MPaの低圧水蒸気を発生することができる。上記凝縮器で発生される蒸気の温度を上記範囲内とすると、例えば、スチームタービンに供給して有効にエネルギー回収することができる等、利用範囲が増大して好ましい。水蒸気の圧力レベルが高い程、単位質量当たりの回収エネルギーは大きいので好ましい。
上記(3)工程においては、大気圧を上回る圧力状態にある上記凝縮液を、圧力を低下させてフラッシュ蒸発させることにより、気液分離させることができる。具体的には、上記(2)工程で得られた凝縮液を、所定の圧力に設定された放圧槽に供給して気液分離する。所定圧力は大気圧が好ましいが、エジェクター等により大気圧未満の圧力に設定してもよい。この場合、軽沸成分である酢酸メチルが気化され回収することができる。ここで、放圧蒸発により酢酸メチルを気化させるためには、上記(2)の凝縮工程での凝縮温度が重要となる。放圧時の設定圧力が大気圧であれば、凝縮温度は最低限、「大気圧における酢酸メチルの沸点である56℃を上回る温度(例えば、60℃)」とする必要がある。この条件下でフラッシュ蒸発することにより、上記(3)工程で残留する液体分中の酢酸メチル濃度が低減され、上記(4)工程の油水分離工程において、油相中の酢酸メチル含有量も減少し、蒸留系内での酢酸メチルの蓄積を抑えることができる。そして、油相(共沸剤)中への酢酸メチルの蓄積を抑制することにより、酢酸脱水効率が向上し、さらに、蒸留塔の負荷も軽減することができる。上記の観点から、油相中の酢酸メチル濃度は20重量%以下、好ましくは15重量%以下に維持又は抑制することが好ましい。
この場合、上記(3)工程で得られた蒸発物には、酢酸メチルだけでなく、水と共沸剤からなる共沸組成物も一部同伴しているので、この蒸発物を蒸留して、上記酢酸メチルを留出、回収することが好ましい。例えば、大気圧下で酢酸メチル(b.p.=56℃)と水、酢酸ブチル共沸体(b.p.=91℃)を蒸留分離するためには、棚段塔や充填塔等を用いた一般の蒸留方法を用いればよい。
上記(3)工程の放圧により圧力の低下した凝縮液は、主に共沸剤と水からなるので、上記(4)工程で油水分離される。油水分離に先立って(3)工程で得られた凝縮液を必要に応じて冷却してもよい。これは油水分離性を高めるためだけでなく、低温にするほど油水分離において凝縮液中の酢酸メチルが水相側へ分離され、循環される共沸剤中の酢酸メチルの蓄積を更に抑制することができるからである。油相側は、上記共沸剤を主成分として含有し、分離された油相は、共沸剤として上記(1)工程の共沸蒸留塔に循環する(上記(5)工程)。また、水相側は、水が大半であるが、少量の酢酸メチル及び共沸剤を含むので、蒸留処理により、酢酸メチル及び共沸剤を留出・回収することが好ましい。
このとき、上記(3)工程で気化した蒸発物を、上記(4)工程で得られる水相の一部又は全部を蒸留する蒸留工程に導入することがさらに好ましい。これにより、上記(3)工程で得られる蒸発物中の酢酸メチル及び共沸剤の分離回収が、上記(4)工程で油水分離された水相中の酢酸メチル及び共沸剤の分離回収と同時に行うことができる。
上記蒸留対象混合物として、酢酸溶媒中、パラキシレンを酸化してテレフタル酸を生成するテレフタル酸の製造プロセスにおいて生じる反応蒸気やその凝縮液、反応生成スラリー等を固液分離して得られる母液やその蒸気等を用いる場合、回収した酢酸メチルは、加水分解等により他の化合物、例えば、メタノールに変換して有効利用してもよいが、直接、上記酸化反応工程に戻すことが好ましい。上記酸化反応工程に戻すと、この酸化反応工程において、使用する溶媒である酢酸の不均一化反応による酢酸メチルの生成を抑制することができるので、酢酸の損失を低減することができる。
次に、この発明にかかる共沸蒸留方法の1例について、酢酸溶媒中、パラキシレンを酸化してテレフタル酸を生成するテレフタル酸の製造プロセスにおいて、プロセス内で発生する上記蒸留対象混合物Aについて、図1に示すフローを用いて具体的に説明する。なお、上記酸化により水が生成され、また、酢酸の不均一化反応で酢酸メチルが生じる。共沸剤は酢酸n−ブチルである。そして、上記蒸留対象混合物Aは、水、酢酸及び酢酸メチルを主成分とする。
上記蒸留対象混合物A及び共沸剤(酢酸n−ブチル)を蒸留塔1に導入し、共沸蒸留により水と酢酸の分離を行う。そして、塔底回収物Bとして、酢酸を蒸留塔1の底部より回収する。一方、蒸留留出される塔頂留出蒸気Cを蒸留塔1の塔頂部より留出させる。上記塔頂留出蒸気Cとしては、水、酢酸n−ブチル、酢酸メチルを主成分とし、これに低濃度の酢酸と窒素等の不活性ガスを含有する。このとき、例えば窒素等の不活性ガスを主成分とする未凝縮ガスが、塔頂部から排出されるガスラインIのバルブによって塔頂部の温度が95〜130℃の範囲内となるように、圧力コントロールをする。
次いで、上記塔頂留出蒸気Cは、凝縮器2に送られ、凝縮される。このとき、水D1が上記塔頂留出蒸気Cからの凝縮熱を受け取り、水蒸気D2が発生する。
上記凝縮器2で凝縮された凝縮液D及び未凝縮ガスは、一旦、タンク3に保管され、気液分離後に、放圧槽4に送られる。この放圧槽4は、凝縮液Dの圧力より圧力設定を低くした槽であり、圧力が低下すると共に、凝縮液Dの一部が気化する。このときの放圧槽4での圧力は、凝縮液Dの温度における酢酸メチルの蒸気圧より低ければ特に問題はないが、大気圧又は大気圧未満の圧力が好ましい。
上記の気化する蒸発物Eは、酢酸メチルが主であるが、水と酢酸n−ブチルの共沸組成物も含まれる。これらの蒸発物Eは、第2蒸留塔5に送られ、共沸蒸留にかけられる。
また、上記放圧槽4に残留する液体成分Fは、必要に応じて、冷却器6でさらに冷却された後、油水分離器7に送られ、油相Gと水相Hに分けられる。油相Gは、酢酸n−ブチルが主成分であり、水相Hは水が主成分である。そして、液体成分F中に残存する酢酸メチルは、油相Gに含まれるが、その一部は、水相Hにも含まれる。
上記油相Gは、共沸剤として蒸留塔1に循環され、上記水相Hは、上記第2蒸留塔5に送られ、共沸蒸留にかけられる。
第2蒸留塔5においては、上記の蒸発物E及び水相Hが蒸留され、塔頂から酢酸メチルが、塔中から酢酸n−ブチルが、塔底から水が、それぞれ分離回収される。
回収された酢酸n−ブチルは、共沸剤として再び使用することができる。また、回収された酢酸メチルは、上記酸化反応工程に戻すことが好ましい。これにより、この酸化反応における酢酸の不均一化反応による酢酸メチルへの進行を抑制し、酢酸溶媒の損失を低減することができる。
次に、実施例によりこの発明をさらに詳しく説明する。但し、この発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
p−キシレン、触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガンの酢酸溶液および臭化水素)を含む酢酸溶液、後段の固液分離工程からリサイクルされる分離母液及び、空気を撹拌槽に連続的に供給し、操作温度190℃、操作圧力1.23MPa(絶対圧)で、滞留時間1時間になるように液面を調整しながら酸化反応を行った。また、留出蒸気は多段の凝縮器により最終的に40℃まで冷却させ、排ガス中の酸素濃度が2.5vol%に調整して運転を実施した。また各凝縮器から得られる凝縮液は統合して酸化反応器に還流し、その一部は反応抜き出しスラリーの母液中水分濃度が10重量%となるように抜き出した。酸化反応器から抜き出されるスラリーのスラリー濃度は35重量%、反応母液中のコバルト/マンガン/臭素濃度が300/300/1000重量ppmであった。
酸化反応器から抜き出されたスラリーは、空気と共に撹拌槽に連続的に供給し、操作温度181℃、操作圧力1.15MPa(絶対圧)で、滞留時間15分になるように液面調整しながら低温追酸化反応を行った。また、留出蒸気は多段の凝縮器により最終的に40℃まで冷却させ、排ガス中の酸素濃度が6vol%に調整して運転を実施した。また各凝縮器から得られる凝縮液は統合して低温追酸化反応器に還流した。
低温追酸化反応器から抜き出されたスラリーは、90℃まで晶析した後に、この晶析で得られたスラリーをロータリーバキュームフィルターに供給して固液分離と洗浄を行った。ここで操作圧力は大気圧であった。分離された粗テレフタル酸ケーキはスチームロータリードライヤーで乾燥させて粗テレフタル酸結晶を得た。
蒸留対象混合物として、酢酸を含有する水混合物を、共沸剤として酢酸n−ブチルを使用して、図1に示すプロセスに従い、連続蒸留法により実施した。共沸蒸留を行う共沸蒸留塔1として、棚段を70段有する蒸留塔を使用した。
供給した蒸留対象混合物は、酢酸88重量%、水12重量%からなる単位時間当たり38.2重量部の混合物1、酢酸19重量%、酢酸メチル3重量%、水78重量%からなる単位時間当たり70.9重量部の混合物2、酢酸64.8重量%、酢酸メチル0.1重量%、水35.1重量%からなる単位時間当たり5.7重量部の混合物3であり、混合物1は上部より70段目(最下部段)、混合物2は上部より60段目、混合物3は、上部より40段目に供給した。
共沸蒸留塔1の塔頂部操作圧が0.16MPaとなるように、塔頂留出蒸気の凝縮処理物を気液分離した未凝縮ガスに設置したバルブでコントロールした。このときの塔頂留出蒸気温度は98℃であった。共沸蒸留塔1では、塔底より缶出液として水分8重量%を含有する回収酢酸Bを単位時間当たり、101.0重量部抜き出した。この回収酢酸は、酢酸タンクへ送り、酸化反応溶液、洗浄液、吸収液などの各種テレフタル酸製造プロセスで使用する酢酸として再利用した。
共沸蒸留塔1の塔頂部からは共沸組成の水と酢酸n−ブチルと、酢酸メチル及び微量の酢酸を含む留出蒸気が得られ、これを共沸蒸留塔1の塔頂部操作圧を維持した状態で、凝縮器2で凝縮処理した。ここで、冷媒には水が用いられ、凝縮熱を用いて水蒸気を得て、エネルギー回収を行った。この水蒸気は、温度90℃、圧力0.07MPaの飽和水蒸気であり、発蒸量は、単位時間当たり30.0重量部であった。
ここで凝縮処理された混合物は、タンク3に送られ、気液分離処理した。未凝縮物は、さらに冷却処理(図示せず)することにより、イナートガスを主成分とするガスを得た。このイナートガスを系外に放出するガスラインIにコントロールバルブを設置し、蒸留塔塔頂部の圧力が0.16MPa(絶対圧)になるようにコントロールした。このため上記凝縮処理は実質的に塔頂部と同圧で実施した。
タンク3で得られた凝縮液を放圧槽4で大気圧までフラッシュ蒸発処理した。このときの放圧槽の操作温度は85℃であった。フラッシュ蒸発により酢酸メチル37重量%を含む蒸発物が、単位時間当たり4.0重量部得られた。この蒸発物を第2蒸留塔5に供給して蒸留処理をした。一方、放圧槽4で得られた液体は、油水分離器7で油相と水相に液々分離するに先立って、冷却器6で50℃まで冷却された。これは油水分離性を高めるためだけでなく、低温にするほど油水分離において凝縮液中の酢酸メチルが水相側へ分離され、循環される共沸剤中の酢酸メチルの蓄積を更に抑制することができるからである。
油水分離器7で油水分離を行い、酢酸n−ブチルを主成分とする油相は、共沸蒸留塔1の塔頂部に循環使用された(単位時間当たり65重量部)。また、水相は、第2蒸留塔5に供給され、放圧槽4から得られた蒸発物と共に蒸留処理され、塔頂部より酢酸メチル90重量%を含む留出液(単位時間当たり2.1重量部)、中間部より酢酸n−ブチル24重量%を含むサイドカット液(単位時間当たり4.2重量部)、塔底部より缶出液として微量の酢酸を含む水(単位時間当たり20.4重量部)を得た。
得られた留出液(酢酸メチル)はテレフタル酸結晶を製造するプロセスにおける酸化反応工程の「触媒を含む酢酸溶液」に送り、サイドカット液を油水分離器7に送った。また、缶出液の41重量%相当量を環流水として共沸蒸留塔1の塔頂部に還流した(水還流比0.7)。そして、缶出液の59重量%に相当する蒸留処理水を得た。
このように、塔頂部を加圧する共沸蒸留方法において、圧力を有する凝縮液をフラッシュ蒸発させることによって、凝縮液に含有する酢酸メチルの一部を油水分離器を通さずに第2蒸留塔5に導くことができるので、冷却器6や第2蒸留塔5リボイラーのエネルギー消費量の低減が可能となるだけでなく、油水分離器において、油相側に同伴される酢酸メチルの量を低減できるので、油相液から酢酸メチルを除去するために蒸留塔やその付帯設備、蒸留に必要なエネルギーの消費も必要なく、共沸蒸留の分離性能を悪化させない範囲の循環共沸剤中の酢酸メチル濃度(13重量%)を維持した状態で7ヶ月以上安定して運転できた。
(比較例1)
図2に示すように、タンク3で得られた凝縮液Dを放圧槽4に送らず直接、冷却器6に送り、油水分離器7で油水分離を行い、酢酸n−ブチルを主成分とする油相Gの30%相当量を第3蒸留塔8へ供給し、共沸蒸留塔1へ供給する循環共沸剤中の酢酸メチルが13重量%となるように油相Jから酢酸メチルを留出して回収し、缶出液Kは油相Gと混合して共沸蒸留塔1に循環した。それ以外は実施例1と同様な方法で行った。
Figure 2005247835
この結果、実施例1と比較例1では、酢酸メチルを回収するためにリボイラーに要したエネルギー消費量の相対値は表1の通りであった。このように本発明技術の採用により第3蒸留塔及びその付帯設備の必要がなくなり、さらに酢酸メチルを蒸留系内から回収するために必要なエネルギー消費量も大きく低減できる。
(結果)
上記実施例の結果より、循環使用される共沸剤から酢酸メチルを除去するための蒸留設備及び該蒸留に必要なエネルギー(熱量)を消費することなく安定して酢酸と水の共沸蒸留を運転できた。
この発明にかかる共沸蒸留方法で用いるフローの例を示す模式図 従来の共沸蒸留方法(比較例)で用いるフローの例を示す模式図
符号の説明
1 共沸蒸留塔
2 凝縮器
3 凝縮液タンク
4 放圧槽
5 第2蒸留塔
6 冷却器
7 油水分離器
8 第3蒸留塔
A 蒸留対象混合物
B 塔底回収物
C 塔頂留出蒸気
D 凝縮液
1
2 水蒸気
E 蒸発物
F 液体成分
G 油相
H 水相
I ガスライン
J 油相
K 缶出液

Claims (8)

  1. 水、酢酸及び酢酸メチルを、下記(1)乃至(5)の工程を経て、各成分を蒸留分離する共沸蒸留方法。
    (1)水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物を、共沸剤を用いて、塔頂部が大気圧を上回る圧力下で蒸留させ、酢酸を含有する塔底回収物と、水、酢酸メチル及び共沸剤を含有する塔上部留出蒸気とに分離する工程。
    (2)上記(1)の工程で得られた塔上部留出蒸気を凝縮させる工程。
    (3)上記(2)の工程で得られた凝縮液を放圧することにより酢酸メチルを蒸発させ、酢酸メチルを回収する工程。
    (4)上記(3)の工程の残液を水相と油相とに液々分離する工程。
    (5)上記(4)の工程で得られた油相を、共沸剤として上記(1)の工程に供給する工程。
  2. 上記塔上部留出蒸気の温度が、95〜130℃である請求項1に記載の共沸蒸留方法。
  3. 上記(3)の工程で得られた蒸発物を蒸留して、上記蒸発物に含有される酢酸メチルを回収する、請求項1又は2に記載の共沸蒸留方法。
  4. 上記(3)の工程で得られた蒸発物を、上記(4)の工程で得られた水相と共に蒸留して、上記蒸発物及び上記水相に含有する上記酢酸メチルを回収する、請求項1又は2に記載の共沸蒸留方法。
  5. 上記水、酢酸及び酢酸メチルを含有する蒸留対象混合物が、酢酸溶媒中、パラキシレンを酸化してテレフタル酸を生成するテレフタル酸製造プロセスにおいて生じる水、酢酸及び酢酸メチルを含む混合物であり、上記の回収した酢酸メチルを上記酸化反応工程に戻す請求項1〜4のいずれかに記載の共沸蒸留方法。
  6. 上記共沸蒸留の共沸剤が、炭素数5又は6の酢酸エステルである請求項1〜5のいずれかに記載の共沸蒸留方法。
  7. 上記共沸蒸留の共沸剤が、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル及び酢酸i−ブチルから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の共沸蒸留方法。
  8. 上記(2)の工程で発生した凝縮熱を用いて熱交換することにより、水蒸気を発生させる請求項1〜7のいずれかに記載の共沸蒸留方法。
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