JP2005247725A - 新規抗生物質a−84830a - Google Patents

新規抗生物質a−84830a Download PDF

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JP2005247725A JP2004058309A JP2004058309A JP2005247725A JP 2005247725 A JP2005247725 A JP 2005247725A JP 2004058309 A JP2004058309 A JP 2004058309A JP 2004058309 A JP2004058309 A JP 2004058309A JP 2005247725 A JP2005247725 A JP 2005247725A
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Azusa Aoyanagi
あずさ 青柳
Akira Murakami
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Abstract

【課題】
従来のタイプの薬剤とは交差耐性がなく、かつ、優れた抗菌活性を有する化合物を提供すること。
【解決手段】
下記一般式(I)で表される化合物等。
【化1】
Figure 2005247725

【選択図】なし。

Description

本発明は、優れた抗菌活性を有する新規化合物、該化合物を有効成分として含有する医薬(特に、抗菌剤)、及び、該化合物の製造方法に関する。
従来、細菌感染症の予防および治療には各種ベータラクタム抗生物質、アミノ配糖体、マクロライド、グリコペプチド、キノロンなどが使われてきたが、最近これらの抗生物質に耐性を示す感染菌が増加しており、従来のタイプとは異なる抗生物質が渇望されている。
細菌細胞壁構成成分である、ペプチドグリカン生合成に関与するトランスロケースIは、細菌の生育には必須の酵素である。近年、トランスロケースI阻害活性に基づき、マイコバクテリウム属の細菌に対して抗菌活性を示す化合物として、リポシドマイシン(liposidomycin)類およびカプラザマシン(caprazamycin)類等が報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3参照)。
国際公開第01/12643号パンフレット ジャーナルオブアンチビオチクス,2003年,第56巻,p.580−583(J.Antibiotics,2003,56,p.580−583) ジャーナルオブアンチビオチクス,1985年,第38巻,p.1617−1621(J.Antibiotics,1985,38,p.1617−1621) アグリカルチュラルアンドバイオロジカルケミストリー,1989年,第53巻,p.1811−1815(Agric.Biol.Chem,1989,53,p.1811−1815)
本発明者らは、上記のような特性を有する抗生物質を見出すべく鋭意探索研究を行った結果、放線菌の培養液中に新規化合物を見出し、該化合物がトランスロケースI阻害活性に基づく抗菌活性を有し、従来のタイプの薬剤とは交差耐性がなく、かつ、従来知られていた化合物と比べて優れた抗菌活性を有することを見出すと共に、該化合物の製造方法を確立し、本発明を完成した。
本発明は;
(1) 下記式(I)
Figure 2005247725
で表わされる化合物またはその塩。
(2) 下記の物理化学的性状を有する化合物又はその塩、
1)物質の性状:無色粉末状物質
2)溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシド(以下「DMSO」という。)に可溶、クロロホルムに不溶
3)分子式:C518325
4)分子量:1197(LC-TOFマススペクトル法により測定)
5)高分解能LC-TOFマススペクトル法により測定した精密質量、[M+H]は次に示す通りである。
実測値:1198.5217
計算値:1198.5176
6)紫外部吸収スペクトル:
メタノール中で測定した紫外部吸収スペクトルは、次に示す極大吸収を示す:
258nm(ε8900)
7)旋光度:
メタノール中で測定した旋光度は、以下に示す値を示す:
[α] 29:-3.5°(c0.33)
8)赤外吸収スペクトル:
臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外吸収スペクトルは以下に示す極大吸収を示す。
3415,2927,2855,1738,1697,1637,1467,1385,1267,1236,1203, 1125,1102,1035,1007, 964, 896, 816cm−1
9)H−核磁気共鳴スペクトル:
重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(2.50ppm)を用いて測定した、H−核磁気共鳴スペクトルは、以下に示すとおりである。
0.84(6H,d, J=6.6Hz),0.92(3H,d,J=6.2Hz),1.12(2H,m),1.15(3H, d, J=6.2Hz), 1.2−1.3(12H,m),1.49(1H,m),1.57(2H,m),2.1−2.4(2H, m), 2.2−2.5(2H, m), 2.27(1H, m), 2.29(3H, s), 2.63(2H, m),2.97(3H,s),3.03(1H,m),3.04(3H,m),3.30(1H,m),3.35(3H,s),3.37(3H,s),3.39(3H,s),3.41(3H,s),3.52(1H,m),3.63(1H,m),3.67(1H,br. m),3.93(1H,br. m),3.99(1H,br. m),4.01(1H,br. m),4.10(1H,m),4.13(2H,m), 4.35(1H,br. m),4.59(1H,br. m),5.09(1H,br. m),5.13(1H,br. m),5.30(1H,br. m),5.68(1H,d,J=8.0Hz),5.76(1H,d, J=5.6Hz),5.96(1H,s),7.67(1H,d, J=7.9Hz)ppm
10)13C−核磁気共鳴スペクトル:
重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(39.51ppm)を用いて測定した、13C−核磁気共鳴スペクトルは、以下に示すとおりである。
17.7(q),19.0(q),22.5(q),22.5(q),24.5(t),26.7(t),27.1(d),27.4(d),28.6(t),28.8(t),28.9(t),29.2(t),33.2(t),36.3(q),37.5(q),38.4(t),38.8(t),40.0(t),40.0(t),41.2(t),56.7(t),56.7(q),58.3(q),60.1(q),62.7(d),64.5(d),69.5(d),69.6(d),69.9(d),70.8(d),71.4(d),73.8(d),75.1(d),75.1(d),77.3(d),78.5(d),80.1(d),80.9(d),83.6(d),86.0(d),90.5(d),101.9(d),109.4(d),141.0(d),150.4(s),163.3(s),169.1(s),169.5(s),170.2(s),170.5(s),171.1(s)ppm。
(3) 下記の物理化学的性状を有する化合物又はその塩、
1)物質の性状:無色粉末状物質
2)溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシド(以下「DMSO」という。)に可溶、クロロホルムに不溶
3)分子式:C518325
4)分子量:1197(LC-TOFマススペクトル法により測定)
5)高分解能LC-TOFマススペクトル法により測定した精密質量、[M+H]は次に示す通りである。
実測値:1198.5217
計算値:1198.5176
6)紫外部吸収スペクトル:
メタノール中で測定した紫外部吸収スペクトルは、次に示す極大吸収を示す:
258nm(ε8900)
7)旋光度:
メタノール中で測定した旋光度は、以下に示す値を示す:
[α] 29:-3.5°(c0.33)
8)赤外吸収スペクトル:
臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外吸収スペクトルは以下に示す極大吸収を示す。
3415,2927,2855,1738,1697,1637,1467,1385,1267,1236,1203, 1125,1102,1035,1007, 964, 896, 816cm−1
9)H−核磁気共鳴スペクトル:
重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(2.50ppm)を用いて測定した、H−核磁気共鳴スペクトルは、以下に示すとおりである。
0.84(6H,d, J=6.6Hz),0.92(3H,d,J=6.2Hz),1.12(2H,m),1.15(3H, d, J=6.2Hz), 1.2−1.3(12H,m),1.49(1H,m),1.57(2H,m),2.1−2.4(2H, m), 2.2−2.5(2H, m), 2.27(1H, m), 2.29(3H, s), 2.63(2H, m),2.97(3H,s),3.03(1H,m),3.04(3H,m),3.30(1H,m),3.35(3H,s),3.37(3H,s),3.39(3H,s),3.41(3H,s),3.52(1H,m),3.63(1H,m),3.67(1H,br. m),3.93(1H,br. m),3.99(1H,br. m),4.01(1H,br. m),4.10(1H,m),4.13(2H,m), 4.35(1H,br. m),4.59(1H,br. m),5.09(1H,br. m),5.13(1H,br. m),5.30(1H,br. m),5.68(1H,d,J=8.0Hz),5.76(1H,d, J=5.6Hz),5.96(1H,s),7.67(1H,d, J=7.9Hz)ppm
10)13C−核磁気共鳴スペクトル:
重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(39.51ppm)を用いて測定した、13C−核磁気共鳴スペクトルは、以下に示すとおりである。
17.7(q),19.0(q),22.5(q),22.5(q),24.5(t),26.7(t),27.1(d),27.4(d),28.6(t),28.8(t),28.9(t),29.2(t),33.2(t),36.3(q),37.5(q),38.4(t),38.8(t),40.0(t),40.0(t),41.2(t),56.7(t),56.7(q),58.3(q),60.1(q),62.7(d),64.5(d),69.5(d),69.6(d),69.9(d),70.8(d),71.4(d),73.8(d),75.1(d),75.1(d),77.3(d),78.5(d),80.1(d),80.9(d),83.6(d),86.0(d),90.5(d),101.9(d),109.4(d),141.0(d),150.4(s),163.3(s),169.1(s),169.5(s),170.2(s),170.5(s),171.1(s)ppm
11)高速液体クロマトグラフィー:
カラム:カプセルパック(CAPCELLPAK)C18UG120,4.6φ×150mm((株)資生堂社製)
溶媒:10mM重炭酸アンモニウムを含有する45%アセトニトリル水
流速:1.0ml/分
検出:紫外部吸収260nm
保持時間:10.8分。
(4)ストレプトマイセス属に属する、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の化合物の生産菌を培養し、その培養物より(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の化合物を採取することを特徴とする、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の化合物の製造方法。
(5)ストレプトマイセス属に属する、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の化合物の生産菌がストレプトマイセス・アレナエ(Streptomyces arenae)である、(4)に記載の製造法。
(6)ストレプトマイセス・アレナエ(Streptomyces arenae)がストレプトマイセス・アレナエ(Streptomyces arenae)NRRL 2377である、(5)に記載の製造法。
(7)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
(8)トランスロケースI阻害剤である、(7)に記載の医薬組成物。
(9)抗菌剤である、(7)に記載の医薬組成物、
に関する。
本発明において、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の化合物をA−84830Aと呼ぶ。
本発明の化合物は、現在問題となりつつある耐性菌を含む細菌感染症の予防および治療に供することが可能であり、又、該化合物は、より優れた抗菌活性を有する誘導体を合成する際の出発原料とすることも可能である。
本発明の化合物は、いくつかの不斉炭素原子を有するため、種々の光学異性体が存在する。上記式(I)において、これらの異性体はすべて単一の式で示されているが、本発明はラセミ化合物を含むこれらの異性体、およびこれらの異性体の混合物をもすべて含む。これらの異性体は、立体特異的合成法により、若しくは光学活性化合物を原料化合物とした合成により、製造することができ、または、異性体の混合物として製造した後、所望の異性体をクロマトグラフィー等を用いて常法により単離することにより製造することもできる。
本発明の化合物は、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するため、酸または塩基を用いて当業者に周知の方法により塩にすることができる。本発明はこれらの塩も包含する。本発明の化合物の塩を医薬として使用する場合、医学的に使用され、薬理学的に許容されるものであれば特に限定はなく、また、医薬以外の用途に用いる場合、例えば中間体として用いる場合には、該用途に用いることのできるものであれば特に限定されない。
そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩;t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニア塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機アミン塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、アスパラギン塩のようなアミノ酸塩;酢酸塩、臭化物塩、塩化物塩、塩酸塩、臭酸塩、ヨウ化物塩、硫酸塩、リン酸塩、ニリン酸塩のような無機塩;およびクエン酸塩、マレイン酸塩、パモ酸塩、酒石酸塩のような有機酸塩等を挙げることができる。好適には、薬理学的に許容される塩であり、より好適には、ナトリウム塩、カリウム塩、塩酸塩、アンモニウム塩、パモ酸塩である。
また、本発明の化合物およびその塩は、大気中に放置したり、水又は有機溶媒と混和することによって水又は溶媒と結合し、水和物又は溶媒和物を形成する場合があるが、これらの水和物及び溶媒和物も「薬理上許容される塩」として本発明に含まれる。
本発明のA−84830Aは、ストレプトマイセス属に属する菌株を適切な条件下で培養し、その培養液中から得ることができる。
本発明のA−84830Aの製造法において用いられるストレプトマイセス属(Streptomyces sp.)に属する菌種としては、例えばストレプトマイセス・アレナエ(Streptomyces arenae)を挙げることができ、A−84830Aの製造法に用いられる当該菌種に属する菌株としてはストレプトマイセス・アレナエ(Streptomyces arenae)NRRL2377株を挙げることができる。当該菌株は、The ARS Culture Collection(Microbial Genomics and Bioprocessing Research Unit, National center for Agricultural UtilizationResearch,USA)に保管されており、受託番号NRRL2377が付されている。また、同菌株はATCC(American Type Culture Collection,USA)にも保管されており、受託番号ATCC25428が付されているので、これらの機関より入手することができる。
周知のとおり、放線菌は自然界において、または人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線照射、化学薬品処理等)により変異を起こし易く、また、遺伝学的方法、例えば組み換え、形質導入、形質転換等によって変異を起こすこともできる。これらの変異株であっても、A−84830Aを生産する限り、A−84830Aの生産菌として用いることができる。
本発明のA−84830Aの生産菌を培養するに際し使用される培地としては、炭素源、窒素源、無機イオンおよび有機栄養源等より選択されたものを適宜含有する培地であれば、合成または天然培地のいずれも使用することができる。
該栄養源としては、従来真菌類や放線菌類の菌株の培養に利用されている公知の、微生物が資化できる炭素源、窒素源および無機塩が使用できる。
具体的には、炭素源としてグルコース、フルクトース、マルトース、シュークロース、マンニトール、グリセロール、デキストリン、オート麦、ライ麦、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大豆粉、綿実油、水飴、糖蜜、大豆油、クエン酸、酒石酸などを単一に、あるいは併用して使用できる。一般的には、上記炭素源を培地量の1乃至10重量%で使用することができるが、この範囲に限定されない。
また、窒素源としては、蛋白質またはその水解物を含有する物質、あるいは含窒素無機塩類を用いることができる。好適な窒素源としては、例えば大豆粉、フスマ、落花生粉、綿実粉、スキムミルク、カゼイン加水分解物、ファーマミン、魚粉、コーンスチープリカー、ペプトン、肉エキス、生イースト、乾燥イースト、イーストエキス、マルトエキス、ジャガイモ、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム等を使用することができる。該窒素源は、単一でまたは併用して、好ましくは培地量の0.2乃至6重量%の範囲で使用する。
さらに栄養無機塩としては、ナトリウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェート、サルフェート、クロライド、カーボネート等のイオンを含む、通常の塩類を使用することができる。また、カリウム、カルシウム、コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム等の微量の金属も使用することができる。
なお、液体培養に際しては、消泡剤としてシリコン油、植物油、界面活性剤等を使用することができる。
A−84830Aの生産菌を培養する際の培地のpHは、本発明の化合物を生産する条件であれば特に限定されないが、好適には5.0乃至8.0である。
A−84830Aの生産菌を培養する際の培養温度は、本発明の化合物を生産する条件であれば特に限定されないが、好適には10乃至40℃であり、より好適には18乃至36℃であり、さらにより好適には20乃至32℃である。
本発明の化合物は、本発明の化合物の生産菌を好気的に培養することにより得られるが、そのような培養法としては、通常用いられる好気的培養法、例えば固体培養法、振とう培養法、通気攪拌培養法等を用いることができる。
小規模の培養においては、20乃至32℃で数日間振とう培養を行うのが好適である。培養は、バッフル(水流調節壁)のついた、あるいはついていない三角フラスコ中で、1または2段階の種の発育工程により開始する。
種発育段階の培地には、炭素源および窒素源を併用することができる。種培養は、20乃至32℃の定温インキュベーター中で、8日間振とうするか、または充分に成長するまで振とうすることにより行う。成長した種は、第二の種培地、または、生産培地に接種する。
中間の発育工程を用いる場合には、種培養と同様の方法で行うことができる。中間の発育工程により得られた種は、その一部を生産培地に接種する。
生産のための培養は、種を接種した生産培養用フラスコを一定の温度で数日間振とう培養することにより行うことができる。
生産のための培養を大量培養で行う場合には、攪拌機、通気装置が付いたジャーファーメンターあるいはタンクで培養するのが好ましい。そのためには、まず栄養培地を121乃至130℃まで加熱して滅菌し、その後冷却させておく。次いで、該滅菌済培地に前述の方法によって予め成長させておいた種を接種する。その後の培養は20乃至32℃で通気攪拌して行う。この方法は、多量の化合物を得るのに適している。
培養終了後、フラスコ内の培養物を遠心分離またはろ過するか、または培養物全体を用いて抽出、精製することにより、目的の化合物を得ることができる。
培養の経過に伴って生産されるA−84830Aの量は、培養液の一部を採取して該化合物を抽出し、トランスロケースI阻害活性を測定することにより該化合物の活性量を確認するか、または、高速液体クロマトグラフィーを実施し、該化合物を測定することによりモニターすることができる。A−84830Aの生産量は、通常培養開始後3乃至15日で最高値に達する。
培養終了後、培養液中の液体部分および菌体内、またはその双方に存在するA−84830Aは、培養終了液の全て、あるいは菌体、その他の固形部分を、珪藻土をろ過助剤とするろ過操作または遠心分離によって分別し、得られたろ液または上清および菌体中から、トランスロケースI阻害活性または高速液体クロマトグラフィーを指標にして、その物理化学的性状を利用し抽出精製することができる。
培養液中に存在するA−84830Aは、50乃至90%の含水アセトンまたは含水メタノールにより抽出できる。抽出終了後、珪藻土をろ過助剤とするろ過操作を行ない、得られた抽出液を濃縮操作により有機溶剤を除去した後、中性pH条件下で、水と混和しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、クロロホルム、塩化エチレン、塩化メチレン、ブタノール等の単独または、それらの組み合わせにより抽出精製することができる。または、吸着剤として、例えば、活性炭または吸着用樹脂であるアンバーライトXAD−2、XAD−4(登録商標、ローム・アンド・ハース社製)等や、ダイアイオンHP−10、HP−20、CHP−20P、HP−50、セパビーズSP−207(登録商標、三菱化学(株)社製)等を使用して抽出精製することもできる。吸着剤を使用して抽出精製する場合、目的化合物を含む液を吸着剤の層を通過させ、不純物を吸着剤に吸着させることにより取り除くか、または、目的化合物を吸着させて不純物を洗い流した後、メタノール水、アセトン水、ブタノ−ル水等を用いて目的化合物を溶出させることにより、目的化合物を抽出精製することができる。
上記の方法により抽出精製されたA−84830Aを含む溶液は、シリカゲル、セファデックスLH−20(アマシャムバイオサイエンス社製)、フロリジル、コスモシル(ナカライテスク社製)のような担体を用いた分配カラムクロマトグラフィー;ダイヤイオンCHP−20P(三菱化学(株)製)のような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー;セファデックスG−10(アマシャムバイオサイエンス(株)社製)、トヨパールHW40F(トーソー社製)などを用いたゲルろ過クロマトグラフィー;ダウエックス50(ダウケミカル社製)ダウエックス1(ダウケミカル社製)、ダイヤイオンPK216(三菱化学(株)製)、ダイヤイオンPA316(三菱化学(株)製)、CMセファデックスC−25(アマシャムバイオサイエンス(株)社製)、DEAEセファデックスA−25(アマシャムバイオサイエンス社製)などを用いたイオン交換クロマトグラフィー;および順相、逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー等により更に精製することができる。
以上の分離、精製の手段を単独または適宜組み合わせ、場合によっては反復して用いることにより、本発明のA−84830Aを精製することができる。
以上のごとくして得られる本発明の化合物の抗菌活性は、当業者に周知の方法に従って測定することができる。例えば、一般グラム陽性細菌に対する被験化合物の最少生育阻止濃度(MIC)を測定することにより抗グラム陽性菌活性を測定することができる。MICは、普通寒天培地(栄研化学社製)や、ミュラー−ヒントン寒天(Mueller−Hinton agar)培地(BBL社製)等を用いた、当業者周知の寒天平板希釈法によって測定することができる。本方法に用いるグラム陽性細菌としては、一般に知られている菌株であればどのようななものでも良いが、例えば、スタフィロコッカス属(Staphylococcus sp.)、ストレプトコッカス属(Streptococcus sp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus sp.)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium sp.)等を上げることができる。また、上記方法に於いてグラム陰性細菌を用いることにより抗グラム陰性菌活性を測定することもできる。
また、本発明の化合物のトランスロケースIに対する酵素阻害活性は、当業者に周知の各種方法により測定することができるが、例えば酵素とUDP−N−アセチル−L−アラニル−γ−D−グルタミル−m−ジアミノピメリル−(Nε−ダンシル)−D−アラニル−D−アラニン(UDP−N−acetylmuramyl−L−Ala−γ−D−Glu−m−DAP−(Nε−dansyl)−D−Ala−D−Ala)およびウンデカプレニルリン酸(undecaprenylphosphate)の反応を用いて測定することができる。

本発明の化合物はトランスロケースI酵素阻害活性を示す。トランスロケースIは、細菌細胞壁の構成成分であるペプチドグリカンの生合成に関与する酵素であり、該酵素を阻害すると細菌が細胞壁を維持することが出来なくなると考えられている。すなわち、トランスロケースI阻害作用を有する本発明の化合物は抗菌活性を有する。また、このようなトランスロケースI阻害活性に基づく抗菌活性は、従来の抗菌剤とは異なるメカニズムであり、従来品に対する耐性菌に対しても有効な抗菌活性を発揮する。

本発明は、ムラミノミシン物質またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する。前記医薬組成物は、好適にはトランスロケースI阻害剤であり、より好適には抗菌剤である。このような医薬組成物は、細菌感染症、特に耐性菌を含む細菌感染症の予防剤又は治療剤として有用である。

本発明の化合物は、トランスロケースI阻害活性を有することから、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩は、医薬(特に抗菌剤)の有効成分として有用である。
本発明のA−84830Aまたはその薬理学的に許容される塩は、種々の形態で投与することができる。その投与形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、乳剤、丸剤、散剤、シロップ剤(液剤)等による経口投与、または注射剤(静脈内、筋肉内、皮下または腹腔内投与)、点滴剤、坐剤(直腸投与)等による非経口投与を挙げることができる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤等の医薬の製剤技術分野において通常使用し得る補助剤を用いて製剤化することができる。
錠剤として使用する場合、担体として、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、澱粉等の保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコール等の潤沢剤等を使用することができる。また、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
丸剤として使用する場合、担体として、例えば、グルコース、乳糖、カカオバター、澱粉、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤;ラミナラン寒天等の崩壊剤等を使用することができる。
坐剤として使用する場合、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセリド等を挙げることができる。
注射剤として使用する場合、液剤、乳剤または懸濁剤として使用することができる。これらの液剤、乳剤または懸濁剤は、殺菌され、血液と等張であることが好ましい。これら液剤、乳剤または懸濁剤の製造に用いる溶液は、医療用の希釈剤として使用できるものであれば特に限定はなく、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。なお、この場合、等張性の溶液を調製するのに充分な量の食塩、グルコースまたはグリセリンを製剤中に含んでいてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を含んでいてもよい。
また、上記の製剤には、必要に応じて、着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等を含めることもでき、更に、他の医薬品を含めることもできる。
上記製剤に含まれる有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、通常、全組成物中170重量%、好ましくは1乃至30重量%含む。
使用量としては、症状、年齢、体重、投与方法および剤形等によって異なるが、通常は成人に対して1日あたり、上限として2000mg(好ましくは100mg)であり、下限として0.1mg(好ましくは1mg、さらに好ましくは10mg)を症状に応じて、一日1回または数回に分けて投与することができる。
本発明のA−84830Aは、トランスロケースI酵素阻害活性を示すことから、グラム陽性菌を含む各種細菌感染症の予防薬または治療薬、および各種細菌感染症の予防薬または治療薬を目指した、有機化学的および微生物変換を用いた誘導体合成原料として有用である。
以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)ストレプトマイセス・アレナエ(Streptomyces arenae)NRRL 2377株の培養
1)前培養
斜面培地上に生育させたNRRL 2377株より一白金耳をかきとり、滅菌済みの表1に記載する組成の培地80mLを入れた500mLの三角フラスコ(種フラスコ)へ無菌的に接種した。同様の操作を行い、種フラスコを3本用意した。次いで該フラスコをロータリー振盪機中で温度28℃、回転数210rpmにて、4日間振盪培養して、前培養を行った。
2)本培養
滅菌済みの表1記載の組成の培地、80mLを入れた500mL三角フラスコ67本に前培養液を3%(V/V)植菌し、ロータリー振盪機中で、温度28℃、回転数210rpmにて、5日間振盪培養した。
培地
[表1]
―――――――――――――――――――――――
グルコース 30 g
生イースト 10 g
大豆粉 30 g
CaCO 4 g
MgSO・7HO 2 g
消泡剤(CB442) 50 mg
―――――――――――――――――――――――
水道水 1000 ml
滅菌前のpH7.2
滅菌:121℃にて30分間滅菌した。
(実施例2)A−84830A単離・精製
実施例1で得られた培養終了液(5.4L)にアセトンを5.4L添加した後、遠心した(3000rpm, 10分)。得られた上清を、水で予め平衡化したダイヤイオンHP20カラム(1L)に供与した。カラムを水(3L)、および10%アセトン水(3L)で洗浄の後、30%アセトン水(3L)、50%アセトン水(3L)、70%アセトン水(3L)および90%アセトン水(3L)で順次溶出した。50%アセトン画分を減圧濃縮の後、凍結乾燥して粗粉末(543mg)を得た。
この粗粉末を、30%アセトニトリル水(3L)で予め平衡化したコスモシール140 C18−OPN(ナカライテスク(株)製)カラム(100ml)に供与し、該カラムを同じ溶媒300mlで洗浄した後、50%アセトニトリル水(300ml)で活性物質を溶出した。この溶出液を減圧濃縮の後、凍結乾燥し、粗粉末(183mg)を得た。
この粗粉末をメタノール(2ml)に溶解し、この内200μlを10mM重炭酸アンモニウムを含有する40%アセトニトリル水で平衡化したHPLCカラム(カプセルパック(CAPCELL PAK)C18UG120、20φ×250mm)に供与した。溶出溶媒が20分で10mM重炭酸アンモニウムを含有する80%アセトニトリル水になるようにグラジェントをかけ、カラムを流速9.0ml/分で展開し、目的物質の260nmでの紫外部吸収を検出して、保持時間9.0分から14.3分に溶出される画分を分取した。この分取操作を10回繰り返し、同一保持時間に溶出された画分を合わせ、減圧濃縮後、凍結乾燥し、粗精製物50.5mgを得た。
この粗精製物をメタノール(1ml)に溶解し、この内200μlを10mM重炭酸アンモニウムを含有する50%アセトニトリル水で平衡化したHPLCカラム(カプセルパック(CAPCELL PAK)C18UG120、20φ×250mm)に供与した。カラムを流速9.0ml/分で展開し、目的物質の260nmでの紫外部吸収を検出して、保持時間15.9分に溶出される画分を分取した。この分取操作を5回繰り返し、得られた同一保持時間の画分を合わせ、減圧濃縮の後、凍結乾燥し、A−84830Aの無色粉末を7.8mg得た。
(試験例1)抗菌活性の測定(抗グラム陽性菌活性)
本発明のA−84830AのStaphylococcus aureus 209P JC−1株(以降S.aureus209P株と略記)、Streptococcus pneumoniae 10675株(以降S.pneumoniae 10675株と略記)、Enterococcus faecalis 10785株(E.faecalis 10785株と略記)およびMycobacterium smegmatis SANK 75075(M.smegmatis SANK 75075株と略記)に対する最小発育阻止濃度(MIC)の測定は、以下の方法で行った。検体DMSO溶液を5000μg/mlの濃度より、DMSOにて2倍希釈し、13段階(5000μg/ml、2500μg/ml、1250μg/ml、625μg/ml、313μg/ml、156μg/ml、78μg/ml、39μg/ml、20μg/ml、10μg/ml、5μg/ml、2.5μg/ml、1.2μg/ml)の希釈液を調製した。各希釈液を丸型シャーレ(90φ×20mm、テルモ社製)に0.1mlずつ分注後、S.pneumoniae 10675株は5%馬血液添加ハートインフュージョン寒天培地(栄研化学社製)より作成したチョコレート寒天培地、S.aureus209P株、E.faecalis 10785株はミュラーヒントン寒天(Mueller−Hinton agar)培地(BBL社製)、M.smegmatis SANK 75075株は4%グリセロール添加トリプトソイブイヨン(TSB)寒天培地(栄研化学社製)を各々10ml加えて混合し、平板とした。M.smegmatis以外の被検菌は、先の各々の液体培地にて37℃、一夜前培養した後、得られた菌液を、ミュラーヒントン寒天培地を用いて約10CFU/mlに調整し、その1白金耳を寒天平板上に画線塗沫した。M.smegmatis SANK 75075株については、TSB培地で37℃、一夜振盪培養した後、原液をミュラーヒントン寒天平板上に画線塗沫した。各々の平板培地を37℃、18時間培養した後、MICを判定した。結果を表2に示す。
[表2] A−84830Aの抗菌活性(抗グラム陽性菌活性)
------------------------------------------------------------------
被検菌 最小発育阻止濃度
(MIC, μg/ml)
------------------------------------------------------------------
Staphylococcus aureus 209P JC-1 25
Streptococcus pneumoniae 10675 25
Enterococcus faecalis 10785 50
Mycobacterium smegmatis SANK 75075 0.78
------------------------------------------------------------------
表2に示したように4種のグラム陽性菌に対して抗菌活性を有することが示された。
(試験例2)トランスロケースI酵素阻害活性の測定
本発明の各化合物のトランスロケースIに対する酵素阻害活性は、酵素とUDP−N−アセチル−L−アラニル−γ−D−グルタミル−m−ジアミノピメリル−(Nε−ダンシル)−D−アラニル−D−アラニン(UDP−N−acetylmuramyl−L−Ala−γ−D−Glu−m−DAP−(Nε−dansyl)−D−Ala−D−Ala)およびウンデカプレニルリン酸(undecaprenylphosphate)の反応を用いて測定した。
すなわち、トランスロケースIをコードしたDNA配列(X55034)を組み込んだプラスミドで形質転換した大腸菌、E.coli/pTA5株を培養して得られる菌体を、トリス塩酸緩衝液(pH8.0)中にて超音波破砕した後、粗抽出液を超遠心し、得られた沈殿を界面活性化剤で可溶化した溶液を酵素源として使用した。UDP−N−アセチル−L−アラニル−γ−D−グルタミル−m−ジアミノピメリル−(Nε−ダンシル)−D−アラニル−D−アラニンとウンデカプレニルリン酸を酵素液とともにインキュベートした後、酵素反応により増加した蛍光度を、励起波長355nm、検出波長538nmの条件で定量して酵素活性とし、50%酵素阻害濃度(IC50)は、同時に添加した阻害剤の濃度と阻害率から計算して求めた。結果を表3に示す。
[表3] トランスロケースI阻害活性
―――――――――――――――――――――――――――――――
試験化合物 IC50値(μg/ml)
A−84830A 0.018
―――――――――――――――――――――――――――――――
表3の結果より、A−84830AがトランスロケースIに対し阻害活性を有することが示された。
(製剤例)カプセル剤
A−84830A 100mg
乳糖 100mg
トウモロコシ澱粉 148.8mg
ステアリン酸マグネシウム 1.2mg
全量 350mg
上記処方の粉末を混合し、60メッシュのふるいに通した後、この粉末をゼラチンカプセルに入れ、カプセル剤とする。

Claims (9)

  1. 下記式(I)
    Figure 2005247725

    で表わされる化合物またはその塩。
  2. 下記の物理化学的性状を有する化合物又はその塩、
    1)物質の性状:無色粉末状物質
    2)溶解性:メタノール、ジメチルスルホキシド(以下「DMSO」という。)に可溶、クロロホルムに不溶
    3)分子式:C518325
    4)分子量:1197(LC-TOFマススペクトル法により測定)
    5)高分解能LC-TOFマススペクトル法により測定した精密質量、[M+H]は次に示す通りである。
    実測値:1198.5217
    計算値:1198.5176
    6)紫外部吸収スペクトル:
    メタノール中で測定した紫外部吸収スペクトルは、次に示す極大吸収を示す:
    258nm(ε8900)
    7)旋光度:
    メタノール中で測定した旋光度は、以下に示す値を示す:
    [α] 29:-3.5°(c0.33)
    8)赤外吸収スペクトル:
    臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外吸収スペクトルは以下に示す極大吸収を示す。
    3415,2927,2855,1738,1697,1637,1467,1385,1267,1236,1203, 1125,1102,1035,1007, 964, 896, 816cm−1
    9)H−核磁気共鳴スペクトル:
    重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(2.50ppm)を用いて測定した、H−核磁気共鳴スペクトルは、以下に示すとおりである。
    0.84(6H,d, J=6.6Hz),0.92(3H,d,J=6.2Hz),1.12(2H,m),1.15(3H, d, J=6.2Hz), 1.2−1.3(12H,m),1.49(1H,m),1.57(2H,m),2.1−2.4(2H, m), 2.2−2.5(2H, m), 2.27(1H, m), 2.29(3H, s), 2.63(2H, m),2.97(3H,s),3.03(1H,m),3.04(3H,m),3.30(1H,m),3.35(3H,s),3.37(3H,s),3.39(3H,s),3.41(3H,s),3.52(1H,m),3.63(1H,m),3.67(1H,br. m),3.93(1H,br. m),3.99(1H,br. m),4.01(1H,br. m),4.10(1H,m),4.13(2H,m), 4.35(1H,br. m),4.59(1H,br. m),5.09(1H,br. m),5.13(1H,br. m),5.30(1H,br. m),5.68(1H,d,J=8.0Hz),5.76(1H,d, J=5.6Hz),5.96(1H,s),7.67(1H,d, J=7.9Hz)ppm
    10)13C−核磁気共鳴スペクトル:
    重ジメチルスルホキシド中、内部標準に重ジメチルスルホキシド(39.51ppm)を用いて測定した、13C−核磁気共鳴スペクトルは、以下に示すとおりである。
    17.7(q),19.0(q),22.5(q),22.5(q),24.5(t),26.7(t),27.1(d),27.4(d),28.6(t),28.8(t),28.9(t),29.2(t),33.2(t),36.3(q),37.5(q),38.4(t),38.8(t),40.0(t),40.0(t),41.2(t),56.7(t),56.7(q),58.3(q),60.1(q),62.7(d),64.5(d),69.5(d),69.6(d),69.9(d),70.8(d),71.4(d),73.8(d),75.1(d),75.1(d),77.3(d),78.5(d),80.1(d),80.9(d),83.6(d),86.0(d),90.5(d),101.9(d),109.4(d),141.0(d),150.4(s),163.3(s),169.1(s),169.5(s),170.2(s),170.5(s),171.1(s)ppm。
  3. 下記の条件の高速液体クロマトグラフィーにより検出されることを特徴とする、請求項2に記載の化合物又はその塩、
    カラム:カプセルパック(CAPCELLPAK)C18UG120,4.6φ×150mm((株)資生堂社製)
    溶媒:10mM重炭酸アンモニウムを含有する45%アセトニトリル水
    流速:1.0ml/分
    検出:紫外部吸収260nm
    保持時間:10.8分。
  4. ストレプトマイセス属に属する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の化合物の生産菌を培養し、その培養物より請求項1乃至3のいずれか一つに記載の化合物を採取することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の化合物の製造方法。
  5. ストレプトマイセス属に属する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の化合物の生産菌がストレプトマイセス・アレナエ(Streptomyces arenae)である、請求項4に記載の製造法。
  6. ストレプトマイセス・アレナエ(Streptomyces arenae)がストレプトマイセス・アレナエ(Streptomyces arenae)NRRL 2377である、請求項5に記載の製造法。
  7. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
  8. トランスロケースI阻害剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 抗菌剤である、請求項7に記載の医薬組成物。
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