JP2005244310A - サービス品質保証方法、サービス品質保証装置、サービス品質保証プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

サービス品質保証方法、サービス品質保証装置、サービス品質保証プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 無線LANにおけるAPに接続を要求する端末が多数存在し、それぞれの端末とAPとの間の伝送速度の全てが同一ではない場合であっても、APに設置する待ち行列の数を抑制することにより、HCCAが備えるサービスの品質を保証する機能を用いて、無線LANを用いたサービスの品質を保証するサービス品質保証方法、サービス品質保証装置、サービス品質保証プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 サービス品質保証装置1は、パケットを分類するパケット分類手段11と、パケットを保管する待ち行列12と、パケットを待ち行列へ格納するパケット格納手段13と、パケットを送出するスケジュールを管理するスケジュール管理手段14と、パケットを待ち行列から送出するパケット送出手段15とから構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無線LAN(Local Area Network)を用いたサービスの品質を保証するサービス品質保証方法、サービス品質保証装置、サービス品質保証プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体に関する。さらに詳しくは、無線LANのアクセスポイントに設置される待ち行列(que)を所定の数以下に抑制し、伝送時の端末当たりの無線回線の占有時間の減少を防ぐことにより、無線LANを用いたサービスの品質を保証するサービス品質保証方法、サービス品質保証装置、サービス品質保証プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
無線LANは、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers )によりIEEE802.11として仕様の標準化が進められている。その一つであるIEEE802.11eも、標準化に向けて検討が行われており、標準化案がドラフト(草稿)として発表されている(非特許文献1参照)。
IEEE802.11eは、無線LANを用いて、端末に対して、音楽や動画をリアルタイムかつ高品質に伝送することを目的として検討されている仕様であり、IEEE802.11a(5.2GHz帯での54Mbps伝送を規定している)やIEEE802.11b(2.4GHz帯での11Mbps伝送を規定している)を補完するための付加機能を規定したものである。IEEE802.11eによる付加機能とは、無線LANにおけるQoS(Quality of Service)を保証するための機能であり、伝送帯域制御技術を規定している。
IEEE802.11eを説明する前に、まず、無線LANの構成を簡単に説明する。無線LANは、図4に示すように、ネットワーク41の一部を構成するアクセスポイント(以後、「AP」と略称する)42と、AP42との間で無線回線を介して通信を行う端末43により構成される。端末43は、移動することより、接続するAP42を変えることができる。なお、図4においては、APは2箇所、端末は3台を記載しているが、数はこれに限定されるものではない。
IEEE802.11eでは、QoSを保証するための伝送帯域制御技術として、優先制御型(Enhanced Distributed Channel Access、以後、「EDCA」と略称する)の方式と帯域保証型(HCF Controlled Channel Access、以後、「HCCA」と略称する)の方式を規定している。
EDCAは、端末43とAP42間を伝送するパケットを優先度別にクラス分けして待ち行列に格納し、優先度の高いパケットを格納した待ち行列(優先度の高い待ち行列)から優先的にパケットを送出し、端末43へ送信する方式である。
具体的には、図5のEDCAの構成図に示すように、AP42の内部に備えられるEDCAのパケットクラス分け手段51は、ネットワーク41を介して受信したパケットのヘッダ部のQoS Controlに記載されている優先度に従ってパケットをクラス分けし、クラス毎に設置された待ち行列52に格納する。図5では、優先度が低い順に「バックグランド、ベストエフォート、音声、動画」の4つのクラスの待ち行列52が記載されている。格納されたパケットは、各待ち行列52から送信手段53によって送出され、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式によって端末43へ送信される。複数の送信手段53からパケットを送信するタイミングが重なった場合には、スケジュール管理手段54が、優先度の高い待ち行列52から送出したパケットを優先して送信する。
この場合、優先度の高いパケットを格納した待ち行列は、CSMA/CAで用いている優先度係数と乱数の振り幅が共に小さく設定され、確率的に送信待ち時間が短くなるために、優先的に通信を行うことができる。
しかしながらEDCAでは、一つの端末が無線回線を占有して利用できる時間(無線回線占有時間)は、一定時間に送信したパケット数とそのデータサイズとから算出される。このため、端末の数が増加すると、一つの端末が1回の通信で利用できる無線回線占有時間が減少するため、優先度の高いパケットであっても、つまり優先度の高いサービスであっても、一定の無線回線占有時間を確保できないことから確実には送信できず、結果的にサービスの品質を保証することが困難になるという問題点を持っている。
HCCAは、送信する端末毎にパケットを分類して待ち行列に格納し、待ち行列から端末へパケットを送信する際の無線回線占有時間を管理することで、サービスの品質を保証する方式である。
具体的には、図6のHCCAの構成図に示すように、AP42の内部に備えるパケットクラス分け手段61は、ネットワーク41を介して受信したパケットのヘッダ部に記載された送り先端末43のIPアドレスに従ってパケットを分類し、端末43毎に設置された待ち行列62へ格納する。格納されたパケットは、各待ち行列62から送信手段63によって送出され、端末43へ送信される。端末43への送信は、スケジュール管理手段64によるパケットの送信時間を考慮した無線回線のスケジュール管理に従って行われる。
EDCAとHCCAを比較すると、EDCAには前記したような問題があることから、サービスの品質を保証するという観点からは、HCCAが有効である。
"Draft Supplement to STANDARD FOR Telecommunications and Information Exchange Between Systems-LAN/MAN Specific Requirements-Part11: Wireless Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) specifications: Medium Access Control(MAC) Enhancements for Quality of Service(QoS)"、Draft5.0、IEEE 802 Committee of the IEEE Computer Society、2003年7月
しかしながら、HCCAは、APに設置可能な待ち行列の数の最大値を8に規定している。これはHCCAが、例えば、家庭などの限定した範囲内で、端末数を1〜2台として、高品位テレビ(High Definition Television:HDTV)の動画を伝送するサービスに無線LANを利用する場合を想定していることによるものである。前記したようにHCCAでは、待ち行列は端末毎に設置されることから、端末の数の最大値も8となる。このため、9台以上の端末が同時期に無線LANのAPに対して接続を要求した場合には、HCCAは対応することができない。これでは、無線LANの重要なアプリケーションの一つであるホットポイントにおいて、不特定多数の端末が、様々なアプリケーションを用いて、同時期に、APに接続を要求する場合には、HCCAを利用することはできないことになる。このように、接続を要求する端末の数が多くなる公衆向けの無線LANにおいては、HCCAを用いてサービスの品質を保証することは困難である。
この問題は、同じAPに接続を要求する複数の端末の使用可能な無線回線の伝送速度が全て同一であれば、同じアプリケーションを使用する複数の端末から送信されるパケットを同一の待ち行列に格納し、一定の間隔で待ち行列から送出して端末へ送信することにより、解決することができる。
しかし、IEEE802.11eが機能を補完する対象であるIEEE802.11aとIEEE802.11bにより規定される無線LANでは、APと端末との距離が大きくなるにつれて無線回線の品質が劣化する。このため、これら方式による無線LANでは、APと端末との距離が大きくなるに従って、無線回線の伝送速度を低下させている(以後、このことを「フォールバック」と言う)。
具体的には、IEEE802.11bの場合、無線回線の伝送速度は、フォールバックにより、APと端末との距離に応じて4段階に変化する。また、IEEE802.11aでは8段階に変化する。この結果、同じAPに接続を要求する複数の端末が使用可能な伝送速度は、全て同一にはならない。
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、無線LANにおけるAPに接続を要求する端末が多数存在し、それぞれの端末が使用可能な伝送速度が全て同一ではない場合であっても、APに設置する待ち行列の数を抑制し、無線LANを用いたサービスの品質を保証するサービス品質保証方法、サービス品質保証装置、サービス品質保証プログラム及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するため、本発明では、以下のような方法、装置、プログラム及びプログラムを記録した記録媒体を用いることとした。
請求項1に記載の発明では、サービス品質保証方法のパケットを分類するパケット分類手段が、パケットに記載された識別情報にもとづきパケットを分類し、パケットを格納するパケット格納手段が、パケット分類手段によって分類されたパケットを、識別情報と同じ種類の待ち行列へ格納し、パケットを送出するスケジュールを管理するスケジュール管理手段が、パケットを送出する待ち行列とその待ち行列からパケットを送出するタイミングとを決定して、パケットを送出するパケット送出手段へ通知し、パケット送出手段が、スケジュール管理手段によって決定された待ち行列から、決定されたタイミングで、パケットを送出することとした。
サービス品質保証方法は、APまたはAPと接続された専用の装置内で実行される。サービス品質保証方法のパケット分類手段がパケットを分類する際に参照する識別情報は、パケットのヘッダに記載されている。待ち行列は、無線LANを用いたサービスの利用者とサービスの提供者が、予め契約により定めたサービスの実現に必要となるアプリケーションの種類や必要となる無線回線の伝送速度から、必要な種類と数が決定され、設置される。設置した待ち行列に分類したパケットを格納することから、待ち行列の種類と数は、パケット分類手段での分類と一致している必要がある。パケット格納手段は、分類したパケットを分類する際に参照した識別情報と一致する種類の待ち行列へ格納する。スケジュール管理手段は、待ち行列にパケットが格納されていることを検出すると、検出した待ち行列を順次登録し、パケットの送信に必要となる伝送時間を算出する。スケジュール管理手段は、登録情報と伝送時間にもとづき、パケットを送出する待ち行列と、パケットを送出するタイミングを決定し、それらをパケット送出手段へ通知する。パケット送出手段は、スケジュール管理手段からの通知にしたがい、指定された待ち行列から指定されたタイミングでパケットを送出し、APに従来より備えられている送信手段へ送り、送信手段は端末へ送信する。
請求項2に記載の発明では、パケットに記載された識別情報は、端末が実行するアプリケーションの種類と、端末が使用可能な無線回線の伝送速度とを備えることとした。
識別情報をアプリケーションの種類と無線回線の伝送速度としたのは、アプリケーションの種類により、優先的に実行すべきサービスのパケットであるか否かが分かることから、これにより、パケットを伝送する際の優先度を規定でき、これと伝送に必要となる無線回線の伝送速度とから、パケットを分類するものである。
請求項3に記載の発明では、待ち行列の種類は、端末が実行するアプリケーションの種類と、端末が使用可能な無線回線の伝送速度とにより規定されることとした。
待ち行列の種類を、アプリケーションの種類と、端末が使用可能な無線回線の伝送速度としたのは、アプリケーションの種類により、優先的に実行すべきサービスであるか否かが分かることから、これと無線回線の伝送速度とにより、待ち行列の種類を決定し、設置することとしたものである。
請求項4に記載の発明では、待ち行列として、端末が使用可能な無線回線の伝送速度の変動が、サービスの品質に影響を及ぼさないアプリケーションを用いた通信のパケットを格納する待ち行列と、端末が使用可能な無線回線の伝送速度の変動がサービスの品質に影響を及ぼすアプリケーションを用いた通信のパケットを、無線回線の伝送速度毎に格納する待ち行列とを備えることとした。
無線回線の伝送速度の変動が、サービスの品質に影響を及ぼさないアプリケーションは、パケットを優先的に伝送する必要がないアプリケーションであり、この待ち行列には優先度の低いパケットが格納される。また、無線回線の伝送速度の変動がサービスの品質に影響を及ぼすアプリケーションは、パケットを優先的に伝送する必要があるアプリケーションであり、この待ち行列には優先度の高いパケットが格納される。
請求項5に記載の発明では、パケット格納手段が、パケットに記載されたアプリケーションの種類にもとづき待ち行列を選択した後、さらにパケットに記載された端末が使用可能な無線回線の伝送速度にもとづき待ち行列を選択することとした。
パケットの格納する待ち行列の選択は、まず、アプリケーションの種類を参照することによるパケットの優先度にもとづいて行われ、その後、優先度の高いパケットについては、端末が使用可能な伝送速度にもとづいて行われるものである。
請求項6に記載の発明では、パケットを送信するスケジュールの管理は、端末が通信を行うことによる無線回線を占有する時間の算出と、算出した無線回線を占有する時間にもとづく、待ち行列からパケットを送出するタイミングの生成と、パケットを送出するタイミングでの、待ち行列からのパケットの送出とにより行われることとした。
優先度の高いパケットについては、伝送時の帯域を保証するために、パケットを伝送する際に必要となる無線回線の占有時間を算出し、送信するパケットの順序と送信するタイミングを生成しておき、これにもとづいて送信スケジュール手段が、生成したタイミングでパケットを待ち行列から送出するものである。
請求項7に記載の発明では、サービス品質保証装置に、パケットに記載された識別情報にもとづきパケットを分類するパケット分類手段と、パケット分類手段によって分類されたパケットを、識別情報と同じ種類の待ち行列へ格納するパケット格納手段と、パケットを送出する待ち行列とその待ち行列からパケットを送出するタイミングとを決定し、パケットを送出するパケット送出手段へ通知するスケジュール管理手段と、スケジュール管理手段によって決定された待ち行列から、決定されたタイミングで、パケットを送出するパケット送出手段とを備えることとした。
サービス品質保証装置は、APの一部として、またはAPに接続する装置として構成される。その内容に関しては、サービス品質保証方法と同じである。
請求項8に記載の発明では、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のサービス品質保証方法をコンピュータに実行させるプログラムとした。
請求項1から請求項6に記載したサービス品質保証方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
請求項9に記載の発明では、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のサービス品質保証方法をコンピュータに実行させるプログラムをコンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録することとした。
請求項1から請求項6に記載したサービス品質保証方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録媒体に記録したものである。記録媒体には、例えば、ハードディスク、CD−ROM、DVD、フレキシブルディスク、メモリがある。
請求項1、請求項7に記載の発明によれば、パケットを伝送する優先度にしたがって分類し、また、待ち行列を優先度別に設置することにより、パケットを優先度にしたがって待ち行列へ格納する。これにより、端末が増加した場合であっても、待ち行列の増加を抑制することができる。その結果、パケットを伝送するスケジュールを管理することにより、回線占有時間の減少を防ぐことができ、無線LANを用いた品質の保証されたサービスを利用することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、パケットを伝送する際の優先度を、端末が実行するアプリケーションの種類と、端末が使用可能な無線回線の伝送速度にもとづいて規定することができる。
請求項3に記載の発明によれば、待ち行列の設置を、端末が実行するアプリケーションの種類と、端末が使用可能な無線回線の伝送速度とにもとづいて行うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、パケットを優先度に応じて、無線回線の伝送速度の変動が、サービスの品質に影響を及ぼさないアプリケーションを用いた通信のパケットを格納する待ち行列と、無線回線の伝送速度の変動がサービスの品質に影響を及ぼすアプリケーションを用いた通信のパケットを、無線回線の伝送速度毎に格納する待ち行列とに分けて格納することができる。
請求項5に記載の発明によれば、アプリケーションの種類と無線回線の伝送速度により規定される優先度に応じて、待ち行列を選択し、パケットを格納することができる。
請求項6に記載の発明によれば、算出した無線回線の占有時間より生成されたタイミングで待ち行列からパケットを送出して端末へ送信することにより、無線回線を確保してパケットを伝送することができ、無線LANを用いたサービスの品質を保証することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のサービス品質保証方法をコンピュータに実行させることができる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のサービス品質保証方法をコンピュータに実行させるプログラムを、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録することができる。また、それをコンピュータに読み込ませることにより、プログラムをコンピュータで実行することができる。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。また、必要に応じて図4を参照することとする。
図1は、本発明に係る無線LANを用いたサービスの品質を保証するサービス品質保証装置1の構成図である。サービス品質保証装置1は、無線LANのAP42の内部に構成され、またはAP42と無線回線により接続して構成される。図1では、サービス品質保証装置1がAP42の内部に構成された場合について記載している。
サービス品質保証装置1は、パケットを分類するパケット分類手段11と、パケットを保管する待ち行列12と、パケットを待ち行列12へ格納するパケット格納手段13と、パケットを送出するスケジュールを管理するスケジュール管理手段14と、パケットを待ち行列12から送出するパケット送出手段15とから構成される。なお、ネットワーク41を介したパケットの受信と端末43へのパケットの送信は、AP42が従来から備えている受信手段421と送信手段422を利用する。
パケット分類手段11は、パケットのヘッダに記載された識別情報、具体的にはアプリケーションの種類と、端末43が使用可能な無線回線の伝送速度にもとづいて、パケットを分類する。待ち行列12は、サービス利用者とサービス提供者との間の契約で定められた、サービスで利用するアプリケーションの種類と、端末43が使用可能な無線回線の伝送速度とから、種類が決定される。決定された種類の待ち行列12が、予め、サービス品質保証装置1内に設置される。待ち行列12は、パケット分類手段11により分類されたパケットを端末43へ送信する前に一時的に保管するものである。パケット格納手段13は、パケット分類手段11により分類されたパケットを、パケットの分類時に参照した識別情報(アプリケーションの種類と端末43が使用可能な無線回線の伝送速度)と同じ種類(端末43が実行するアプリケーションの種類と、端末43が使用可能な無線回線の伝送速度)の待ち行列12へ格納する。スケジュール管理手段14は、パケットを送出する待ち行列12を選択し、その待ち行列12からパケットを送出するタイミングを決定して、それをパケット送出手段15へ通知する。パケット送出手段15は、スケジュール管理手段14からの通知にもとづき、選択された待ち行列12から、決定されたタイミングでパケットを送出する。
<パケット分類手段>
パケット分類手段11によるパケットの分類は、以下の基準に従って行われる。まず、
パケット分類手段11は、パケットのヘッダに記載されているアプリケーションの種類にもとづき、パケットを、無線回線の伝送速度の変動(単位時間当たりに送信または受信することができるデータの量が変化すること)が、無線LANを用いたサービスの品質への影響が少ないアプリケーション(以後、「伝送速度非依存型アプリケーション」と言う)のパケットか、または、無線回線の伝送速度の変動が、無線LANを用いたサービスの品質への影響が大きいアプリケーション(以後、「伝送速度依存型アプリケーション」と言う)のパケットかに分類する。
伝送速度非依存型アプリケーションには、例えば、VoIP(Voice over Internet Protocol)やベストエフォート型サービスで利用されるアプリケーションがある。また、伝送速度依存型アプリケーションには、例えば、ストリーミング等のギャランティ型サービスで利用されるアプリケーションがある。
伝送速度非依存型アプリケーションのパケットは、伝送速度に依存しないことから、これで分類は確定する。伝送速度依存型アプリケーションのパケットは、伝送速度に依存することから、伝送速度にもとづき、さらに分類する。
パケット分類手段11は、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを、ヘッダに記載されているアプリケーションの実行に必要な伝送速度もとづいて、さらに分類する。しかし、実際には、アプリケーションの実行に必要な伝送速度が多様であることから、複数の伝送速度を一つにまとめた基準を設定し、そこへ該当するパケットを分類することがある。
例えば、ストリーミングの場合、伝送速度300kbpsと600kbpsの基準を設定し、伝送速度300kbpsには、ヘッダに200kbps、300kbps、400kbpsの伝送速度が記載されたパケットを分類し、また、伝送速度600kbpsには、ヘッダに500kbps、600kbps、700kbpsの伝送速度が記載されたパケットを分類する。
<待ち行列>
待ち行列12は、端末43への送信の順番待ちを目的として、パケットを一時的に保管するものであり、サ−ビス利用者とサービス提供者との間の契約にもとづき、予め、設置される。契約は、サービス利用者が利用するサービスを定めている。
具体的には、予め、契約により定められたサービスの実行に必要となるアプリケーションの種類毎に待ち行列12が設置され、さらに、アプリケーションの種類によっては、無線LANで使用するAP42の種類から定まる伝送速度毎に待ち行列12が設置される。前記したパケットを分類する際の識別情報は、この待ち行列12の種類のいずれかと一致している必要がある。
例えば、予め契約により定めたサービスの種類が、前記したVoIPとストリーミングの2種類である場合、伝送速度の変動があまり影響しないVoIPのパケットを保管する待ち行列12が設置され、さらに、伝送速度の変動が影響するストリーミングには、伝送速度毎(300kbps用と600kbps用)のパケットを保管する待ち行列12が設置される。
<パケット格納手段>
パケット格納手段13は、パケット分類手段11により、伝送速度非依存型アプリケーションのパケット、または、伝送速度依存型アプリケーションのパケット、伝送速度にもとづいて分類されたパケットを、アプリケーションの種類と無線回線の伝送速度が同じ種類の待ち行列12へ格納する。
<スケジュール管理手段>
スケジュール管理手段14は、パケットを送出する待ち行列12を選択し、選択した待ち行列12からパケットを送出するタイミングを決定するスケジュール管理を行う。
具体的には、スケジュール管理手段14は、サービス利用者とサービス提供者との間の契約により定められたサービスの品質に関する情報(例えば、ギャランティ型/ベストエフォート型、保証回線占有時間、保証遅延時間など)を、サービスを利用する端末43毎に管理する。その上で、スケジュール管理手段14は、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを格納する待ち行列12を優先的に選択し、そこから送出したパケットを端末43へ伝送するのに必要な無線回線占有時間を、サービスの品質に関する情報を参照して、算出する。スケジュール管理手段14は、算出した無線回線占有時間を、パケットを端末43へ送信する順番で管理する。スケジュール管理手段14は、パケット送出手段15から、端末43へのパケットの送信が完了したとの通知を受けると、無線回線占有時間を用いて次にパケットを送出するタイミングを決定し、次に送出する待ち行列12とともに、パケット送出手段15へ通知する。
また、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを送信していない空き時間に、伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを格納する待ち行列12を選択し、その待ち行列12とそこからパケットを送出するタイミングとをパケット送出手段15へ通知する。
次に、サービス品質保証装置1の動作を、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合と、伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合とに分けて説明する。
<伝送速度依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合>
伝送速度依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合について説明する。
[パケットの格納]
図2(a)に示すシーケンスチャートを用いて、パケットの格納の動作を説明する。サービス品質保証装置1のパケット分類手段11は、AP42のパケット受信手段421からパケットを受け取り(ステップS100)、ヘッダに記載されたアプリケーションの種類と、端末43が使用可能な無線回線の伝送速度にもとづいてパケットを分類し(ステップS101)、パケット格納手段13へ送る(ステップS102)。パケット格納手段13は、パケット分類手段11より受け取ったパケットを、パケットの分類時に用いたアプリケーションの種類と無線回線の伝送速度と同じ種類の待ち行列12(図1の待ち行列B/C/D)へ格納する(ステップS103)。パケットを格納された待ち行列12は、そのことをスケジュール管理手段14へ通知する(ステップS104)。通知を受けたスケジュール管理手段14は、まず、通知してきた待ち行列12が、伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを保管する待ち行列12か、または、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを保管する待ち行列12かを判断する(ステップS105)。
判断の結果、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを保管する待ち行列12である場合、スケジュール管理手段14は、契約により定められたサービスの品質に関する情報を用いて、通知してきた待ち行列12から送出したパケットを伝送するのに必要な無線回線占有時間を算出する(ステップS106)。スケジュール管理手段14は、算出した無線回線占有時間を待ち行列12からの通知順に管理する。
[パケットの送出]
図2(b)に示すシーケンスチャートを用いて、パケットの送出の動作を説明する。スケジュール管理手段14は、パケット送出手段15から、端末43へのパケットの送信が完了した通知を受けると、次にパケットを送出する待ち行列12を選択し、管理している無線回線占有時間にもとづき、パケットを送出するタイミングを決定して、これらをパケット送出し手段15に通知する(ステップS200)。
パケット送出手段15は、選択した待ち行列12に対して、決定したタイミングでパケットを送出することを要求し(ステップS201)、待ち行列12は、パケットを格納した順番どおりに送出して、パケット送出手段15へ送る(ステップS202)。パケット送出手段15は、待ち行列12(待ち行列B/C/D)よりパケットを受け取り、AP42が備える送信手段422へ送る(ステップS203)。最後に、パケット送出手段15は、スケジュール管理手段14に対して、パケットの送信が完了したことを通知する(ステップS204)。
<伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合>
伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合について説明する。前記したように、この伝送速度非依存型アプリケーションのパケットの伝送は、伝送速度依存型アプリケーションのパケットの伝送が実行されていない間に行われる。
[パケットの格納]
図3(a)に示すシーケンスチャートを用いて、パケットの格納の動作について説明する。サービス品質保証装置1のパケット分類手段11は、AP42のパケット受信手段421からパケットを受け取り(ステップS300)、ヘッダに記載されたアプリケーションの種類と、端末43が使用可能な無線回線の伝送速度にもとづいて分類し(ステップS301)、パケット格納手段13へ送る(ステップS302)。パケット格納手段13は、パケット分類手段11より受け取ったパケットを、パケットの分類時に用いたアプリケーションの種類と無線回線の伝送速度と同じ種類の待ち行列12(図1の待ち行列A)へ格納する(ステップS303)。パケットを格納された待ち行列12は、そのことをスケジュール管理手段14へ通知する(ステップS304)。通知を受けたスケジュール管理手段14は、まず、通知してきた待ち行列12が、伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを保管する待ち行列12か、または、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを保管する待ち行列12かを判断する(ステップS305)。
判断の結果、伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを保管する待ち行列12である場合、スケジュール管理手段14は、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを送信していない空き時間が生じるまで伝送速度非依存型アプリケーションのパケットの送信を待つ(ステップS306)。
[パケットの送出]
図3(b)に示すシーケンスチャートを用いて、パケットの送出の動作について説明する。伝送速度依存型アプリケーションのパケットを送信していない空き時間が生じると、スケジュール管理手段14は、パケットを送出する待ち行列12と送出するタイミングを、パケット送出手段15に通知する(ステップS400)。
パケット送出手段15は、通知された待ち行列12に対して、通知されたタイミングでパケットを送出することを要求し(ステップS401)、待ち行列12(待ち行列A)は、パケットを格納した順番どおりに送出してパケット送出手段15へ送る(ステップS402)。パケット送出手段15は、待ち行列12よりパケットを受け取り、AP42が備える送信手段422へ送る(ステップS403)。最後に、パケット送出手段15は、スケジュール管理手段14に対して、パケットの送信が完了したことを通知する(ステップS404)。
以上、サービス品質保証装置の動作を、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合と、伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合とに分けて説明した。
これにより、サービス品質保証装置は、伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを保管する待ち行列と、伝送速度依存型アプリケーションのパケットを保管する待ち行列とを用いてパケットを保管することにより、サービス品質保証装置内に設置される待ち行列の数を抑制することができ、HCCAを用いて無線LANを用いたサービスの品質を保証することが可能となる。
本発明の実施形態に係る無線LANを用いたサービスの品質を保証するサービス品質保証装置の構成図である。 (a)は伝送速度依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合のパケットの格納について示したシーケンスチャートであり、(b)は伝送速度依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合のパケットの送出について示したシーケンスチャートである。 (a)は伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合のパケットの格納について示したシーケンスチャートであり、(b)は伝送速度非依存型アプリケーションのパケットを伝送する場合のパケットの送出について示したシーケンスチャートである。 無線LANの構成を示す図である。 優先制御型(EDCA)方式の構成を示す図である。 帯域保証型(HCCA)方式の構成を示す図である。
符号の説明
1 サービス品質保証装置
12 パケット分類手段
12 待ち行列
13 パケット格納手段
14 スケジュール管理手段
15 パケット送出手段
42 アクセスポイント(AP)
421 受信手段
422 送信手段

Claims (9)

  1. 端末と無線回線を介して接続し、一つまたは異なる種類で構成される複数の待ち行列を備えた、無線LANを用いたサービスの品質を保証するサービス品質保証方法であって、
    パケットを分類するパケット分類手段が、前記パケットに記載された識別情報にもとづき前記パケットを分類する手順と、
    前記パケットを格納するパケット格納手段が、前記パケット分類手段によって分類されたパケットを、前記識別情報と同じ種類の待ち行列へ格納する手順と、
    前記パケットを送出するスケジュールを管理するスケジュール管理手段が、前記パケットを送出する待ち行列とその待ち行列からパケットを送出するタイミングとを決定し、前記パケットを送出するパケット送出手段へ通知する手順と、
    前記パケット送出手段が、前記スケジュール管理手段によって決定された待ち行列から、決定されたタイミングで、前記パケットを送出する手順と
    を実行することを特徴とするサービス品質保証方法。
  2. 前記パケットに記載された識別情報は、
    前記端末が実行するアプリケーションの種類と、
    前記端末が使用可能な前記無線回線の伝送速度と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のサービス品質保証方法。
  3. 前記待ち行列の種類は、
    前記端末が実行するアプリケーションの種類と、
    前記端末が使用可能な前記無線回線の伝送速度と
    により規定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサービス品質保証方法。
  4. 前記待ち行列として、
    前記端末が使用可能な前記無線回線の伝送速度の変動が、サービスの品質に影響を及ぼさないアプリケーションを用いた通信のパケットを格納する待ち行列と、
    前記端末が使用可能な前記無線回線の伝送速度の変動が、サービスの品質に影響を及ぼすアプリケーションを用いた通信のパケットを、前記無線回線の伝送速度毎に格納する待ち行列と
    を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のサービス品質保証方法。
  5. 前記パケット格納手段が、
    前記パケットに記載されたアプリケーションの種類にもとづき前記待ち行列を選択した後、さらに前記パケットに記載された前記端末が使用可能な前記無線回線の伝送速度にもとづき前記待ち行列を選択すること
    を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のサービス品質保証方法。
  6. 前記パケットを送信するスケジュールの管理は、
    前記端末が通信を行うことによる前記無線回線を占有する時間の算出と、
    算出した前記無線回線を占有する時間にもとづく、待ち行列から前記パケットを送出するタイミングの生成と、
    前記パケットを送出するタイミングでの、前記待ち行列からの前記パケットの送出と
    により行われることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のサービス品質保証方法。
  7. 端末と無線回線を介して接続し、一つまたは異なる種類で構成される複数の待ち行列を備えた、無線LANを用いたサービスの品質を保証するサービス品質保証装置であって、
    パケットに記載された識別情報にもとづきパケットを分類するパケット分類手段と、
    前記パケット分類手段によって分類されたパケットを、前記識別情報と同じ種類の待ち行列へ格納するパケット格納手段と、
    前記パケットを送出する待ち行列とその待ち行列から前記パケットを送出するタイミングとを決定し、前記パケットを送出するパケット送出手段へ通知するスケジュール管理手段と、
    前記スケジュール管理手段によって決定された待ち行列から、決定されたタイミングで、前記パケットを送出するパケット送出手段と
    を備えることを特徴とするサービス品質保証装置。
  8. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のサービス品質保証方法をコンピュータに実行させることを特徴とするサービス品質保証プログラム。
  9. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のサービス品質保証方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
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