JP2005244129A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極として透明な導電性酸化物膜を用い、十分な透明性を維持しながら半導体層との密着性に優れた電極とすることで、発光効率及び信頼性に優れた半導体発光素子を提供する。
【解決手段】半導体発光素子は、第1の元素Aを含む半導体層が表面に位置する半導体積層構造を備える。この半導体発光素子は、半導体層の表面に、少なくとも亜鉛、インジウム、スズ及びマグネシウムよりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物よりなる導電性酸化物膜と、第2の元素Bを含む酸化物膜とを有する。導電性酸化物膜は、第2の元素Bを含む酸化物膜との界面近傍における膜中酸素濃度が、導電性酸化物膜の他の部分の膜中酸素濃度よりも低くしている。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光ダイオードや半導体レーザなどの半導体発光素子に関し、例えば窒化物系半導体を積層した半導体層を用いて形成した窒化物半導体素子に関する。
従来から、半導体発光素子として、基板上にp型半導体層及びn型半導体層が積層され、p型及びn型の半導体層のそれぞれと電気的に接続する電極が形成された構造が知られている。また、p型の半導体層と電気的に接続する電極として、p型半導体層上全面に透光性材料による電極を形成し、その上に金属電極を形成する構造が知られている。
このような構成の半導体発光素子では、光の取り出し効率を向上させるため、p型半導体層上の全面電極として、金属薄膜や、ITO、ZnO、In、SnO等の透明な導電性酸化物膜が用いられている(例えば特許文献1参照)。
特開2001−196633号公報
しかしながら、例えば導電性酸化物自体はn型の半導体特性を示すことから、必ずしも半導体層とオーミック性が良好ではなく、半導体層の種類、導電型、成膜方法等の種々の要因から、ショットキー障壁が形成され、コンタクト抵抗を増大させることがあった。また、導電性酸化物は結晶構造をもつ半導体であるため、同様に結晶構造をもつ半導体層との密着性についても十分に考慮する必要がある。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その主な目的は、電極として透明な導電性酸化物膜を用い、十分な透明性を維持しながら半導体層との密着性に優れた電極とすることで、発光効率及び信頼性に優れた半導体発光素子を提供することにある。
以上の目的を達成するために本発明の半導体発光素子は、第1の元素Aを含む半導体層が表面に位置する半導体積層構造を備える。この半導体発光素子は、半導体層の表面に、少なくとも亜鉛、インジウム、スズ及びマグネシウムよりなる群から選択された少なくとも一種の元素Cを含む酸化物よりなる導電性酸化物膜と、第2の元素Bを含む酸化物膜とを有する。導電性酸化物膜は、第2の元素Bを含む酸化物膜との界面近傍における膜中酸素濃度が、導電性酸化物膜の他の部分の膜中酸素濃度よりも低くしている。
また、第2の元素Bを含む酸化物膜は、絶縁性酸化物膜であることが好ましい。さらに第2の元素Bは、電気陰性度を示すPauling値が元素Cよりも小さいことが好ましい。さらにまた、第2の元素Bは、電気陰性度を示すPauling値が第1の元素Aよりも小さいことが好ましい。一方第1の元素Aは、ガリウムであることが好ましい。また半導体層は、ガリウムを含む窒化物半導体層であることが好ましい。さらに導電性酸化物膜は、ITOであることが好ましい。さらにまた第2の元素Bは、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムまたはニオブから選択されることが好ましい。さらにまた導電性酸化物膜の膜中酸素濃度は、第2の元素Bを含む酸化物膜との界面から半導体層との界面に向かって徐々に上昇することが好ましい。
本発明の半導体発光素子によれば、導電性酸化物膜の第2の元素Bを含む酸化物膜との界面近傍における膜中酸素濃度が、導電性酸化物膜の他の部分の膜中酸素濃度よりも低いので、あらかじめ半導体層とのオーミックコンタクトの得られた導電性酸化物膜が、導電性酸化物膜全体にみて、シート抵抗の低い膜として得られる。さらに、導電性酸化物膜の他の部分の膜中酸素濃度が、第2の元素Bを含む酸化物膜との界面近傍よりも高く、導電性酸化物膜の半導体層との界面における結晶性が優れ、半導体層との密着性に優れた導電性酸化物膜とすることができ、発光効率及び信頼性に優れた半導体発光素子を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための半導体発光素子を例示するものであって、本発明は半導体発光素子を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
図1に、本発明の一実施の形態に係る半導体発光素子の構成を示す。半導体発光素子は、典型的には発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)等であり、半導体層上に形成された導電性酸化物膜と酸化物膜とによって構成される。半導体層としては特に限定されるものではなく、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、III−V族、II−VI族、VI−VI族等の化合物半導体等が挙げられる。特に、InAlGa1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化ガリウム系化合物半導体が好適に用いられる。半導体層は、単層構造でもよいが、MIS接合、PIN接合又はPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造又はダブルへテロ構造であってもよく、超格子構造や、量子効果が生ずる薄膜を積層した単一量子井戸構造又は多重量子井戸構造であってもよい。また、n型、p型のいずれかの不純物がドーピングされていてもよい。この半導体層は、例えば有機金属気相成長法(MOCVD)、ハイドライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシャル成長法(MBE)等の公知の技術により形成することができる。半導体層の膜厚は特に限定されるものではなく、用途や目的に応じて種々の膜厚のものを適用することができる。
導電性酸化物膜としては、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)及びマグネシウム(Mg)よりなる群から選択された少なくとも一種の元素Cを含む酸化物からなる膜であり、具体的には、ITO、ZnO、In、SnO、MgO等が挙げられる。なかでも、ITO(酸化インジウムスズ)膜が好ましい。これらITO膜等は、当該分野で通常用いられている透光性を有する膜であり、上述した半導体層に対して良好なオーミック接続を形成し、導電性酸化物膜に投入された電流を膜全体に拡散させ、さらに半導体層に均一に拡散させることができる膜である。また、後述する酸化物膜との密着性を良好にする。このため、導電性酸化物膜は、半導体層上に形成され、さらに後述する酸化物膜との間に形成されており、酸化物膜との界面近傍における膜中酸素濃度が、導電性酸化物膜の他の部分、例えば、導電性酸化物膜の厚み方向の中央部分や半導体層との界面近傍の膜中酸素濃度よりも高い。換言すると、酸化物膜との界面側において、これに隣接する領域、つまり導電性酸化物膜の内部であって、半導体層側から酸化物膜側にかけて膜中酸素濃度から低下する傾向の膜中酸素濃度を有している。
導電性酸化物膜は、膜中酸素濃度が半導体層側に高い膜と酸化物膜側に低い膜との2層としても良く、また膜中酸素濃度が半導体層側から酸化物膜側にかけて段階的に低くなる多層膜としてもよいが、単一の膜で膜中酸素濃度が低い領域と高い領域とを有するような導電性酸化物膜とすることで、発光層からの光を好適に外部に取り出すことができ好ましい。これをSIMSにより測定すると図2のような傾向になる。図2(a)は連続的に酸素濃度に濃度勾配がある場合、(b)、(c)は段階的に酸素濃度に濃度勾配がある場合、(d)はこれらを総括した酸素濃度の傾向を示す図である。なお、導電性酸化物膜の膜厚は、特に限定されるものではなく、数オングストローム〜数μm程度が挙げられる。具体的には、4000〜7000Å程度とすることが適当である。
膜中酸素濃度は、例えば、AES(Auger Electron Spectroscopy):オージェ電子分光測定装置により測定することができる。AESは、電子線を照射し、放出されるオージェ電子を検出して試料の元素分析を行う方法で、試料の化学組成や同位体組成、特に深さ方向の組成変化を知ることができる。また、SIMS(Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometer(又はSpectrometry):二次イオン質量分析計(又は分析法))により測定することもできる。SIMSは、試料に一次イオンを照射して、質量分離された二次イオンの数を数えることによって、同じく試料の化学組成や同位体組成、特に深さ方向の組成変化を知ることができる。
膜中酸素濃度が異なる導電性酸化物膜は、従来から公知の方法で形成することができる。例えば、スパッタ法、反応性スパッタ法、真空蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、ディップ法又はこれらの方法と熱処理の組み合わせ等、種々の方法を利用することができる。
具体的には、スパッタ法により導電性酸化物膜、例えば、ITO膜を成膜する際に、スパッタガスとして酸素分圧の大きいガスから、小さいガス又はゼロのガスに切り替えるか、徐々に酸素分圧を低下させて用いる方法、導電性酸化物膜成膜用のターゲットの他に、例えば、In量が多いターゲット、または酸素量が少ないターゲットを用いる方法、スパッタ装置の投入電力を徐々に増加させて成膜する方法等が挙げられる。また、真空蒸着により導電性酸化物膜を成膜する際に、半導体層の温度を急激又は徐々に低下させる方法、成膜レートを急激に低下させる方法、イオン銃を用いて酸素イオンを成膜初期にのみ照射する方法等が挙げられる。
さらに、イオンプレーティング法により導電性酸化物膜を成膜する際に、成膜初期に、酸素ガスをプラズマ化させてこの酸素プラズマを導電性酸化物膜中に取り込ませ、その後、酸素プラズマを減少させて導電性酸化物膜を成膜する方法、導電性酸化物の微粒子を溶媒に溶解又は分散、懸濁させてスプレー法、スピンコート法、ディップ法により成膜する際に、導電性酸化物を含有する溶液等の金属元素含有量又は酸素含有量を変化させた複数種類の溶液等を用いるか、乾燥又は焼成時の雰囲気、温度等を制御する方法、CVD法により導電性酸化物膜を形成する際に、酸素ガス又は原料酸素含有ガスの流量を制御する方法が挙げられる。
加えて、導電性酸化物膜を形成した後、例えば、還元性ガス(具体的には、一酸化炭素、水素、アルゴン等又はこれら2種以上の混合ガス)雰囲気下、200〜650℃程度、導電性酸化物膜の膜厚に応じて所定時間アニール処理する方法が挙げられる。アニール処理の方法としては、例えばランプアニール処理、加熱炉によるアニール処理などがある。また導電性酸化物膜を成膜した後に処理する方法として、電子線照射やレーザアブレーションを利用してもよい。さらに、これらの方法を任意に組み合わせて利用してもよい。
第2の元素Bを含む酸化物膜としては、種々の酸化物膜を用いることができるが、第2の元素Bは、インジウムに対して、電気陰性度を示すPauling値(ポーリング値)が小さい元素を選択することが好ましい。また、導電性酸化物膜がITOに限らず、亜鉛、インジウム、スズ及びマグネシウムよりなる群から選択された少なくとも一種の元素Cを含む酸化物よりなる導電性酸化物膜において、これらの元素Cに対して、Pauling値(ポーリング値)が同様の関係となる第2の元素Bを含むことが好ましい。このような元素を含む酸化物膜とすることで、第2の元素Bを含む酸化物膜との界面近傍における膜中酸素濃度が、導電性酸化物膜の他の部分の膜中酸素濃度よりも低い導電性酸化物膜が容易に得られやすい。これは、導電性酸化物膜中の酸素が電気陰性度の小さい酸化物膜の方に移動することによると考えられる。酸化物膜形成時もしくは酸化物膜形成後に、界面近傍の膜中酸素濃度が他の部分より低くなるように形成もしくは処理すればよい。
さらに第2の元素Bは、第1の元素Aに対して、電気陰性度を示すPauling値(ポーリング値)が小さい元素を選択することがさらに好ましい。このような元素を含む酸化物膜とすることで、導電性酸化物膜において、膜中酸素濃度が、第2の元素Bを含む酸化物膜に積極的に移動し、第1の元素Aを含む半導体層の方には移動しにくくなると考えられ、酸化物膜との界面近傍における膜中酸素濃度が、導電性酸化物膜の他の部分の膜中酸素濃度よりも低い導電性酸化物膜が容易に得られやすくなる。
また第2の元素Bを含む酸化物膜が絶縁性酸化物膜とすることで、半導体発光素子の保護膜としても機能し、信頼性にも優れた半導体発光素子を得ることができる。好ましい第2の元素Bの具体的構成としては、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)またはニオブ(Nb)が挙げられる。特にチタンまたはジルコニウムを用いることで、スパッタにおいては金属ターゲット、その他の成膜方法においても、金属から成膜することが容易で、良質な膜が容易に得られる点で好ましい。
第1の元素Aは、ガリウム(Ga)であることが好ましい。例えばGaAs系半導体層(ただし、AlやIn等を含んでもよい)や、GaN系半導体層(ただし、AlやIn等を含んでもよい)などが挙げられ、これらの半導体積層構造からなる半導体発光素子の好適な電極として導電性酸化物膜が機能することができる。
さらにまた第1の元素Aを含む半導体層は、ガリウム(Ga)を含む窒化物半導体層であることが好ましい。つまり、AlInGa1−x−yN(0≦x、0≦y、x+y<1)からなる半導体層であることで、半導体層表面にほぼ均一に電流が注入できる全面電極として好適に機能すると共に、発光層からの光を効率よく外部に取り出すことができるので最も好ましい。第1の元素Aを含む半導体層は、少なくともガリウムを含む窒化物半導体であればよく、SiやMgなどの導電型を決定する不純物がドープされていたり、その他の元素を含んでいてもよい。
さらに導電性酸化物膜は元素Cに加えて、微量元素Dを含むことが、導電性酸化物膜がさらにキャリアが多くなり、導電性のよい膜となるので好ましい。その微量元素Dとしては、スズ、亜鉛、ガリウム、アルミニウムから選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。これら、微量元素Dを含む構成としては、例えばInにドープされたスズ、Inにドープされた亜鉛など、またZnOにドープされたガリウム、ZnOにドープされたアルミニウムなどが導電性がよく、半導体層とのオーミック特性にも優れており好ましい。本発明において、微量元素Dを含む導電性酸化物とは、具体的には元素Cに対して、およそ20パーセント以下の元素Dを含むことを意味する。
本発明の実施の形態に係る半導体発光素子としては、その他の構成として、好ましくは絶縁性酸化物膜の一部に開口部を有し、導電性酸化物膜に電気的に接続されたパッド電極を有することが好ましい。このパッド電極は、種類及び形態は特に限定されるものではなく、通常、電極として用いられるものであればどのようなものでも使用することができる。例えば、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ランタン(La)、銅(Cu)、銀(Ag)、イットリウム(Y)等の金属、合金の単層膜又は積層膜等が挙げられる。なかでも、抵抗が低いものが好ましく、具体的には、W、Rh、Ag、Pt、Pd、Al等の単層膜又は積層膜が挙げられる。さらに、導電性酸化物膜、特にITO膜との密着性が良好なもの、具体的には、W、Rh、Ptの単層膜又は積層膜が好ましい。このような構成とすることで、半田により接着され又はワイヤボンディングされたパッド電極等として好適に機能し得る。
本発明の実施の形態において、上述した構造を備える半導体発光素子は、当該分野で公知のものの全てを包含する。例えば、LED、レーザダイオード等が挙げられる。これらは、当該分野で公知の方法により作製されたものであり、公知の構成を有していればよい。例えば、第1導電型半導体層、発光層、第2導電型半導体層がこの順に積層され、第1導電型及び第2導電型半導体層にそれぞれ電極が接続されて構成される半導体発光素子が挙げられる。なお、第1導電型とはn型又はp型、第2導電型とはp型又はn型を意味する。
この種の半導体発光素子は、基板上に複数の半導体層を成長させて形成されるが、基板としてサファイア等の絶縁性基板を用いることが好ましい。なお、絶縁性基板を最終的に取り除かない場合、通常、p電極及びn電極はいずれも半導体層上の同一面側に形成されることになり、フェイスアップ実装、すなわち半導体層側を主光取出し面とすることができる。また、フリップチップ実装、すなわち絶縁性基板側を主光取出し面としてもよい。この場合、p電極及びn電極の上には、外部電極等と接続させるためのメタライズ層(バンプ:Ag、Au、Sn、In、Bi、Cu、Zn等)がそれぞれ形成され、このメタライズ層がサブマウント上に設けられた正負一対の外部電極と、それぞれ形成され、さらにサブマウントに対してワイヤなどが配線される。また、最終的に基板を除去して、フェイスアップ実装又はフリップチップ実装のいずれに用いてもよい。なお、基板としては、サファイアに限定されず、例えば、スピネル、SiC、GaN、GaAs等、公知の基板を用いることができる。また、基板としてSiC、GaN、GaAs等の導電性基板を用いることによりp電極及びn電極を対向して配置してもよい。
本発明の実施の形態に係る半導体発光素子においては、上述した電極を、第1導電型半導体層上か、第2導電型半導体層上かのいずれか一方に備えていればよい。例えば、p型半導体層上に備えることが好ましい。また、第1導電型及び第2導電型半導体層の双方の上に備えていてもよい。双方とも同じ電極構造であれば、製造工程が簡略化され、結果的に安価で信頼性の高い半導体発光素子が得られる。ただし、第1導電型及び第2導電型半導体層上に形成される金属膜は、その種類、積層構造、膜厚等が異なっていてもよい。
このような半導体発光素子におけるパッド電極は、例えば、半導体層側から、Rh、Pt、Auのそれぞれをスパッタリングにより順に積層させたRh/Pt/Au電極(その膜厚として、例えばそれぞれ100nm/200nm/500nm);Pt、Auのそれぞれをスパッタリングにより順に積層させたPt/Au電極(その膜厚として、例えばそれぞれ20nm/700nm)等が挙げられる。パッド電極の最上層をAuとすることによって、Auを主成分とする導電性ワイヤ等と良好な接続を確保することができる。また、RhとAuの間にPtを積層させることによって、Au又はRhの拡散を防止することができ、電極として信頼性の高い電気的な接続を得ることができる。また、Rhは、光反射性及びバリア性に優れ、光取り出し効率が向上するため好適に用いることができる。なかでも、Pt/Au(フェイスアップの場合)、Rh/Au(フェイスダウンの場合)の積層膜が好ましい。
基板上に形成される半導体層は、基板側から順に、第1導電型半導体層、活性層、第2導電型半導体層であることが好ましい。なお、基板と第1導電型半導体層との間、これら半導体層の間にアンドープ、ドープの半導体層が積層されていてもよい。また、これら半導体層は窒化物半導体層であることが好ましい。具体的には、次の(1)〜(5)に示すような半導体層の積層構造が挙げられる。
(1)膜厚が200ÅのGaNよりなるバッファ層、膜厚が4μmのSiドープn型GaNよりなるn型コンタクト層、膜厚が30ÅのアンドープIn0.2Ga0.8Nよりなる単一量子井戸構造の活性層、膜厚が0.2μmのMgドープp型Al0.1Ga0.9Nよりなるp型クラッド層、膜厚が0.5μmのMgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層。
(2)膜厚が約100オングストロームのAlGaNからなるバッファ層、膜厚1μmのアンドープGaN層、膜厚5μmのSiを4.5×1018/cm含むGaNからなるn側コンタクト層、3000ÅのアンドープGaNからなる下層と、300ÅのSiを4.5×1018/cm含むGaNからなる中間層と、50ÅのアンドープGaNからなる上層との3層からなるn側第1多層膜層(総膜厚3350Å)、アンドープGaNからなる窒化物半導体層を40ÅとアンドープIn0.1Ga0.9Nからなる窒化物半導体層を20Åとが繰り返し交互に10層ずつ積層されてさらにアンドープGaNからなる窒化物半導体層を40Åの膜厚で形成された超格子構造のn側第2多層膜層(総膜厚)640Å)、膜厚が250ÅのアンドープGaNからなる障壁層と膜厚が30ÅのIn0.3Ga0.7Nからなる井戸層とが繰り返し交互に6層ずつ積層されてさらに膜厚が250ÅのアンドープGaNからなる障壁が形成された多重量子井戸構造の活性層(総膜厚1930Å)、Mgを5×1019/cm含むAl0.15Ga0.85Nからなる窒化物半導体層を40ÅとMgを5×1019/cm含むIn0.03Ga0.97Nからなる窒化物半導体層を25Åとが繰り返し5層ずつ交互に積層されてさらにMgを5×1019/cm含むAl0.15Ga0.85Nからなる窒化物半導体層を40Åの膜厚で形成された超格子構造のp側多層膜層(総膜厚365Å)、膜厚が1200ÅのMgを1×1020/cm含むGaNからなるp側コンタクト層。
(3)膜厚が約100オングストロームのAlGaNからなるバッファ層、膜厚1μmのアンドープGaN層、膜厚5μmのSiを4.5×1018/cm含むGaNからなるn側コンタクト層、3000ÅのアンドープGaNからなる下層と、300ÅのSiを4.5×1018/cm含むGaNからなる中間層と、50ÅのアンドープGaNからなる上層との3層からなるn側第1多層膜層(総膜厚3350Å)、アンドープGaNからなる窒化物半導体層を40ÅとアンドープIn0.1Ga0.9Nからなる窒化物半導体層を20Åとが繰り返し交互に10層ずつ積層されてさらにアンドープGaNからなる窒化物半導体層を40Åの膜厚で形成された超格子構造のn側第2多層膜層(総膜厚)640Å)、最初に膜厚が250ÅのアンドープGaNからなる障壁層と続いて膜厚が30ÅのIn0.3Ga0.7Nからなる井戸層と膜厚が100ÅのIn0.02Ga0.98Nからなる第1の障壁層と膜厚が150ÅのアンドープGaNからなる第2の障壁層が繰り返し交互に6層ずつ積層されて形成された多重量子井戸構造の活性層(総膜厚1930Å)(繰り返し交互に積層する層は3層〜6層の範囲が好ましい)、Mgを5×1019/cm含むAl0.15Ga0.85Nからなる窒化物半導体層を40ÅとMgを5×1019/cm含むIn0.03Ga0.97Nからなる窒化物半導体層を25Åとが繰り返し5層ずつ交互に積層されてさらにMgを5×1019/cm含むAl0.15Ga0.85Nからなる窒化物半導体層を40Åの膜厚で形成された超格子構造のp側多層膜層(総膜厚365Å)、膜厚が1200ÅのMgを1×1020/cm含むGaNからなるp側コンタクト層。
(4)バッファ層、アンドープGaN層、Siを6.0×1018/cm含むGaNからなるn側コンタクト層、アンドープGaN層(以上が総膜厚6nmのn型窒化物半導体層)、Siを2.0×1018/cm含むGaN障壁層とInGaN井戸層とを繰り返し5層ずつ交互に積層された多重量子井戸の活性層、膜厚が1300ÅのMgを5.0×1018/cm含むGaNからなるp型窒化物半導体層、さらに透光性導電層とp型窒化物半導体層との間にInGaN層を50Åの膜厚で有してもよい。
(5)バッファ層、アンドープGaN層、Siを1.3×1019/cm含むGaNからなるn側コンタクト層、アンドープGaN層(以上が総膜厚6nmのn型窒化物半導体層)、Siを3.0×1018/cm含むGaN障壁層とInGaN井戸層とを繰り返し7層ずつ交互に積層された多重量子井戸の活性層(総膜厚800Å)、膜厚が1300ÅのMgを2.5×1020/cm含むGaNからなるp型窒化物半導体層、さらに透光性導電層とp型窒化物半導体層との間にInGaN層を50Åの膜厚で有してもよい。
また、本発明の実施の形態に係る半導体発光素子においては、発光素子から光の一部を、それとは異なる波長の光に変換する光変換部材を有していてもよい。これにより、発光素子の光を変換した発光装置とすることができ、発光素子の発光と変換光との混色光などにより、白色系、電球色などの発光装置を得ることができる。光変換部材としては、Alを含み、かつY、Lu、Sc、La、Gd、Tb、Eu及びSmから選択された少なくとも一つの元素と、Ga及びInから選択された一つの元素とを含むアルミニウム・ガーネット系蛍光体、さらに希土類元素から選択された少なくとも一つの元素を含有するアルミニウム・ガーネット系蛍光体等が挙げられる。これにより、発光素子を高出力で高発熱での使用においても、温度特性に優れ、耐久性にも優れた発光装置を得ることができる。
また、光変換部材が、(Re1−x(Al1−yGa12(0<x<1、0≦y≦1、但し、Reは、Y、Gd、La、Lu、Tb、Smからなる群より選択される少なくとも一種の元素であり、RはCe又はCeとPrである)で表される蛍光体であってもよい。これにより、上記と同様に、高出力の発光素子において、温度特性、耐久性に優れた素子とすることができる。特に、活性層がInGaNである場合に、温度特性において、黒体放射に沿った変化となり、白色系発光において有利となる。
さらに、光変換部材が、Nを含み、かつBe、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnから選択された少なくとも一つの元素と、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr及びHfから選択された少なくとも一つの元素とを含み、希土類元素から選択された少なくとも一つの元素で付活された窒化物系蛍光体であってもよい。窒化物系蛍光体の具体例としては、一般式LXSiYN(2/3X+4/3Y):Eu又はLSiN(2/3X+4/3Y−2/3Z):Eu(Lは、Sr若しくはCa、又は、Sr及びCa、のいずれか。)が挙げられる。これにより、上記蛍光体と同様に、高出力の発光素子において、優れた温度特性、耐久性に優れた発光素子とすることができる。特に、窒化物系蛍光体が酸化窒化珪素化合物であると、優れた蛍光体とできる。また、上記アルミニウム・ガーネット系蛍光体と組み合わせることで、両者の温度特性が相互に作用して、混合色の温度変化が小さい発光装置とすることができる。
また、本発明の実施の形態に係る半導体発光素子においては、金属膜はパッド電極として用いるだけでなく、さらに延長導電部を設けることが好ましい。これにより、活性層全体を効率よく発光させることができ、特に本発明の実施の形態に係る半導体発光素子をフェイスアップ実装で設けるときに効果的である。延長導電部が設けられたパッド電極としては、例えば、図3〜図6に示したような構成が挙げられる。
n電極53は、図3及び図4に示すように半導体発光素子の少なくとも1つの辺に近接するように形成される。例えば、1つの辺の中央部において、p型半導体層及び活性層の一部をエッチングにより除去してn型コンタクト層51が露出した切り欠き部51aを設け、その切り欠き部51aにn電極53を形成する。52はp型コンタクト層である。
p側パッド電極55は、透光性電極54上におけるn電極が近接する辺に対向する辺に隣接する位置に形成される。また、p側パッド電極55には2つの線上の延長導電部56(57)が接続され、その延長導電部56はp側パッド電極55の両側のp側パッド電極55が隣接する辺に沿って伸びている。これにより、p側パッド電極55とn電極53間に位置する活性層を効率よく発光させることができ、さらにp側パッド電極55に接続された延長導電部56を透光性電極54上に電気的に導通するように形成することにより、効果的にp層全体に電流を拡散させ、発光層全体を効率よく発光させることができる。さらに、p側パッド電極55及び延長導電部56の周辺部において輝度の高い発光が得られる。したがって、本発明の実施の形態では、延長導電部56の周辺部における輝度の高い発光を効果的に利用することがさらに好ましい。
具体的には、延長導電部56と、延長導電部56が沿って形成される発光層及びp層の縁との間に上述の輝度の高い発光が得られる周辺部が確保されるように、その縁と延長導電部56との間に間隔を空けることが好ましい。尚、n型コンタクト層51のシート抵抗RnΩ/□と、透光性電極54のシート抵抗RpΩ/□とが、Rp≧Rnの関係を満たしている場合、延長導電部56と発光層の縁との間隔は、20μm以上50μm以下であることが好ましい。その間隔が20μmより小さいと輝度の高い発光が得られる周辺部領域が十分確保できない(輝度の高い発光が得られるべき領域が外側にはみ出す)からであり、その間隔が50μmを超えると、隣接辺に沿って発光輝度の低い部分が形成され、全体としての輝度の低下をもたらすからである。
また、延長導電部56はそれぞれ、図3に示すように、n電極53から等距離になるように円弧状に形成されていることが好ましく、これにより図4のように直線状に設けた場合に比較して、より均一な発光分布が得られる。
さらに、図5及び図6に示すように、n電極63が半導体発光素子の1つの隅部に2つの辺に近接するように設けられ、パッド電極はn電極63が近接する隅部と対角をなす他の隅部に設けられることがさらに好ましい。
また、n電極63とp側パッド電極65とを対角配置した場合においても、図5及び図6に示すように、透光性電極64上に設けられた延長導電部66はそれぞれ、n電極63から等距離になるように円弧状に形成されていることが好ましく、これによってより高輝度でかつより均一な発光が得られる。なお、この場合においても、延長導電部66と発光層の縁との間隔は、上述したように輝度の高い発光が得られる領域を十分確保するために、20μm以上50μm以下であることが好ましい。
以下に、本発明の実施例に係る半導体発光素子及びその電極を図面に基づいて詳細に説明する。
実施例1として作成した半導体発光素子を図1に基づき詳細に説明する。半導体発光素子10は、サファイア基板1の上に、Al0.1Ga0.9Nよりなるバッファ層(図示せず)、ノンドープGaN層(図示せず)が積層され、その上に、n型半導体層2として、SiドープGaNよりなるn型コンタクト層、GaN層(40Å)とInGaN層(20Å)とを交互に10回積層させた超格子のn型クラッド層が積層され、さらにその上に、最初に膜厚が250ÅのアンドープGaNからなる障壁層と続いて膜厚が30ÅのIn0.3Ga0.7Nからなる井戸層と膜厚が100ÅのIn0.02Ga0.98Nからなる第1の障壁層と膜厚が150ÅのアンドープGaNからなる第2の障壁層が繰り返し交互に6層ずつ積層されて形成された多重量子井戸構造の活性層3(総膜厚1930Å)、p型半導体層4として、MgドープAl0.1Ga0.9N層(40Å)とMgドープInGaN層(20Å)とが交互に10回積層された超格子のp型クラッド層、MgドープGaNよりなるp型コンタクト層がこの順に積層されて構成される。
n型半導体層2の一部の領域においては、その上に積層された活性層3及びp型半導体層4が除去され、さらにn型半導体層2自体の厚さ方向の一部が除去されて露出しており、その露出したn型半導体層2上にn電極7が形成されている。
p型半導体層3上には、ほぼ全面に、ITOからなる透光性電極5が形成されており、この透光性電極5の上に一部パッド電極6が形成される開口部を有して、導電性の酸化物膜8が形成されている。なお、透光性電極5は、パッド電極6側において膜中酸素濃度が低い領域5aが、p型半導体層3側において膜中酸素濃度が高い領域5bが形成されている。このような半導体発光素子は、以下の製造方法により形成することができる。
<半導体層の形成>
2インチφのサファイア基板1の上に、MOVPE反応装置を用い、Al0.1Ga0.9Nよりなるバッファ層を100Å、ノンドープGaN層を1.5μm、n型半導体層2として、SiドープGaNよりなるn型コンタクト層を2.165μm、GaN層(40Å)とInGaN層(20Å)とを交互に10回積層させた超格子のn型クラッド層5を640Å、最初に膜厚が250ÅのアンドープGaNからなる障壁層と続いて膜厚が30ÅのIn0.3Ga0.7Nからなる井戸層と膜厚が100ÅのIn0.02Ga0.98Nからなる第1の障壁層と膜厚が150ÅのアンドープGaNからなる第2の障壁層が繰り返し交互に6層ずつ積層されて形成された多重量子井戸構造の活性層3(総膜厚1930Å)、p型半導体層4として、MgドープAl0.1Ga0.9N層(40Å)とMgドープInGaN層(20Å)とを交互に10回積層させた超格子のp型クラッド層を0.2μm、MgドープGaNよりなるp型コンタクト層を0.5μmの膜厚でこの順に成長させ、ウェハを作製した。
<エッチング>
得られたウェハを反応容器内で、窒素雰囲気中、600℃にてアニールし、p型クラッド層及びp型コンタクト層をさらに低抵抗化した。アニール後、ウェハを反応容器から取り出し、最上層のp型コンタクト層の表面に所定の形状のマスクを形成し、エッチング装置でマスクの上からエッチングし、n型コンタクト層の一部を露出させた。
<ITO膜の形成>
マスクを除去した後、スパッタ装置にウェハを設置し、InとSnOとを90:10の重量比で混合した焼結体からなる第1の酸化物ターゲットと、このIn2O3とSnOとの焼結体に95:5の重量比となるようにさらにInを添加した第2のターゲットとをITOターゲットとして設置した。スパッタ装置によって、酸素ガス雰囲気中、スパッタガスとしてアルゴンガスで、まず、第1の酸化物ターゲットを用いて、例えば、RFパワー10W/cmで20分間スパッタリングし、引き続き、第2のターゲットに変更して5分間スパッタリングすることにより、ウェハのp型コンタクト層8のほぼ全面に、ITOよりなる透光性電極5を4000Åの膜厚で形成した。得られた透光性電極5は良好な透光性を有し、サファイア基板1まで透けて観測できた。
<パッド電極の形成>
透光性電極5上に、レジストにより所定のパターンを有するマスクを形成し、その上にPt層及びAu層をこの順に積層し、リフトオフ法により、ボンディング用のパッド電極6を総膜厚1μmで形成した。その後、n型コンタクト層の上に、Rh/Pt/Auからなるn電極7を7000Åの膜厚で形成し、アニール装置にて400℃以上で熱処理を施し、電極を合金化した。さらに、ZrOよりなる絶縁性酸化物膜8をパッド電極6とn電極7の表面の一部が露出するようにして半導体積層構造及び導電性酸化物膜の表面及び側面に2000Åの膜厚で形成した。得られたウェハを所定の箇所で分割することにより、半導体発光素子10を得た。
以上のようにして形成した半導体発光素子を、酸化物膜8表面側から、ITO膜5及び半導体層4にかけてSIMSにより分析し、パッド電極、透光性電極、p型半導体層のデプスプロファイルを測定した。その結果は図2に示す傾向になり、図2から、ITO膜は、パッド電極側の界面近傍において、p型半導体層4側の酸素濃度よりも酸素濃度の低い領域5aを有していることが確認された。
このような構成により、ITO膜の表面において、酸素濃度の低い、つまりキャリアが多い領域が形成されるために、半導体層4とのオーミックコンタクトを維持しつつシート抵抗の低いITO膜が得られる。またITO膜は半導体層との界面における結晶性が優れ、透光性を向上させるのみならず、半導体層との密着性に優れた導電性酸化物膜となる。シート抵抗の低いITO膜が得られることで、電流をp型クラッド層及びp型コンタクト層全体に均一に広げることができ、活性層を効率的に発光させることが可能となる。
実施例2の半導体発光素子は、実施例1における製造工程において、ITO膜を成膜する際に、第1の酸化物ターゲットを用い、成膜初期は、スパッタガスとして、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを用い、その後、スパッタガスをアルゴンガスに変更する以外は、実質的に実施例1と同様の方法により、同様の構成の半導体発光素子を得た。
なお、成膜時のスパッタガスの圧力を0.01〜0.5Pa程度とした場合に、初期の酸素ガスの分圧は、1×10−4〜1×10−2Pa程度とした。また、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを用いた成膜時間は20分間程度、その後、アルゴンガスで5分間程度成膜した。
得られた半導体発光素子においても、実施例1と同様に、半導体層4とのオーミックコンタクトを維持しつつシート抵抗の低いITO膜が得られる。またITO膜は半導体層との界面における結晶性が優れ、透光性を向上させるのみならず、半導体層との密着性に優れた導電性酸化物膜となる。またシート抵抗の低いITO膜が得られることで、電流をp型クラッド層及びp型コンタクト層全体に均一に広げることができ、活性層を効率的に発光させることが可能となる。
実施例3の半導体発光素子は、実施例1における製造工程において、ITO膜を成膜する際に、第1の酸化物ターゲットを用い、成膜初期は、スパッタ装置のRFパワーを10W/cmとし、その後、2W/cmに徐々に減少させる以外は、実質的に実施例1と同様の方法により、同様の構成の半導体発光素子を得た。
実施例4の半導体発光素子は、実施例1における製造工程においてITO膜を成膜した後、あるいは、実施例1における製造工程において第1の酸化物ターゲットを用いて4000ÅのITO膜を形成した後、還元ガス雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)にて、例えば、300℃でランプアニールによって処理することにより、実施例1と実質的に同様の構成の半導体発光素子を得た。還元ガス雰囲気下でのアニール処理により、表面側のITO膜内の酸素が還元ガスと反応することによって、ITO膜表面の酸素濃度を低下させることができる。
実施例5の半導体発光素子は、実施例1における製造工程においてITO膜を成膜した後、あるいは、実施例1における製造工程において第1の酸化物ターゲットを用いて4000ÅのITO膜を形成した後、酸化物膜として、Zn、Al、Ti、Ta、Zr、Hf、V、Nb等の酸化されやすい金属の単層膜又は積層膜を、例えば、2μm程度の膜厚で形成し、300℃でアニールすることによって、実施例1と実質的に同様の構成の半導体発光素子を得た。このように、酸化物膜8を形成して熱処理することにより、ITO膜表面の酸素がその上の酸化物膜に移行し、ITO膜表面の酸素濃度を低下させることができる。
実施例6の半導体発光素子は、実施例1における製造工程において、ITO膜を成膜する際に、スパッタ法に代えて、真空蒸着法を利用する以外は、実質的に実施例1と同様の方法により、同様の構成の半導体発光素子を得た。n型コンタクト層の一部を露出させたウェハを、真空蒸着装置に入れ、ウェハ温度を300℃に維持しながら、SnOが10%のITOを電子銃で加熱、蒸発させて、ITO膜を成膜した。成膜中、ウェハ温度を100℃まで、10秒間で水冷手段を用いて急激に低下させて、膜厚が4000ÅのITO膜を形成した。このように、成膜中にウェハ温度を急激に低下させ、ITOの結晶化温度より低い温度で成膜することにより、酸素との反応性が低下し、結果的に、表面側において、酸素濃度の低いITO膜を形成することができる。
実施例7の半導体発光素子は、実施例6における製造工程において、真空蒸着法によりITO膜を形成する際に、ウェハ温度を300℃に維持しながら、イオン銃を利用して、成膜初期にのみ、ウェハ表面(p型半導体層)に酸素イオンを1012個/cm程度で照射する以外は、実質的に実施例4と同様の方法により、同様の構成の半導体発光素子を得た。
実施例8の半導体発光素子は、実施例6における製造工程において、真空蒸着法によりITO膜を形成する際に、ウェハ温度を300℃に維持しながら、成膜初期の成膜レートを50Å/秒とし、その後、5Å/秒に減少させる以外は、実質的に実施例4と同様の方法により、同様の構成の半導体発光素子を得た。このように、成膜レートを減少させることにより、ITO膜を構成する蒸着粒子の温度が低下し、酸素との反応性が低下し、表面側のITO膜の酸素濃度を低下させることができる。
実施例9の半導体発光素子は、実施例1における製造工程において、ITO膜を成膜する際に、スパッタ法に代えて、イオンプレーティング法を利用する以外は、実質的に実施例1と同様の方法により、同様の構成の半導体発光素子を得た。つまり、n型コンタクト層の一部を露出させたウェハを、プラズマガンを備えたイオンプレーティング装置に導入し、反応室に反応ガスであるO2ガスを導入する。さらに、反応室よりもプラズマガン内部の圧力が高くなるようにArガスをプラズマガン内に導入する。プラズマガンに内蔵したカソードから放出される電子を磁場によりガイドして、ルツボに仕込まれたITOペレットに集中して照射する。この際、電子ビーム加熱することにより、ITOペレットから蒸発した蒸発物と、酸素ガスとがプラズマ内で活性化され、ウェハ上に堆積し、ITO膜を形成することができる。なお、成膜初期においては、プラズマガンの投入電力を3kW、その後、1kWとすることにより、表面側のITO膜の酸素濃度を低減させることができる。
本発明の半導体発光素子は、例えばフルカラーLEDディスプレイ、LED信号機、道路情報表示板等のLEDデバイス、あるいは太陽電池、光センサー等の受光素子としてイメージスキャナ等に適用したり、あるいはまた電子デバイス(FET等のトランジスタやパワーデバイス)や、これらを用いた光ディスク用光源等大容量の情報を記憶するDVD等のメディアや通信用の光源、印刷機器、照明用光源等に好適に利用できる。照明用途としては、バックライト光源、車両用ランプ等に利用可能である。
本発明の一実施の形態に係る半導体発光素子の構成を示す断面図である。 図1における半導体層、ITO膜及び金属膜のデプスプロファイルを示すグラフである。 本発明の一実施例に係る半導体発光素子の電極形状を説明するための平面図である。 本発明の他の実施例に係る半導体発光素子の電極形状を説明するための平面図である。 本発明のさらに別の実施例に係る半導体発光素子の電極形状を説明するための平面図である。 本発明のさらに別の実施例に係る半導体発光素子の電極形状を説明するための平面図である。
符号の説明
1 基板
2 n型半導体層
3 活性層
4 p型半導体層
5 透光性電極
5a 領域
5b 領域
6 パッド電極
7 n電極
8 絶縁性酸化物膜
10 半導体発光素子

Claims (9)

  1. 第1の元素Aを含む半導体層が表面に位置する半導体積層構造を備える半導体発光素子であって、
    前記半導体層の表面に、少なくとも亜鉛、インジウム、スズ及びマグネシウムよりなる群から選択された少なくとも一種の元素Cを含む酸化物よりなる導電性酸化物膜と、第2の元素Bを含む酸化物膜とを有し、
    前記導電性酸化物膜は、第2の元素Bを含む酸化物膜との界面近傍における膜中酸素濃度が、前記導電性酸化物膜の他の部分の膜中酸素濃度よりも低くしてなることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 請求項1に記載の半導体発光素子であって、前記第2の元素Bを含む酸化物膜は、絶縁性酸化物膜であることを特徴とする半導体発光素子。
  3. 請求項1または2に記載の半導体発光素子であって、前記第2の元素Bは、電気陰性度を示すPauling値が前記元素Cよりも小さいことを特徴とする半導体発光素子。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の半導体発光素子であって、前記第2の元素Bは、電気陰性度を示すPauling値が前記第1の元素Aよりも小さいことを特徴とする半導体発光素子。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の半導体発光素子であって、前記第1の元素Aは、ガリウムであることを特徴とする半導体発光素子。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の半導体発光素子であって、前記半導体層は、ガリウムを含む窒化物半導体層であることを特徴とする半導体発光素子。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の半導体発光素子であって、前記導電性酸化物膜はITOであることを特徴とする半導体発光素子。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の半導体発光素子であって、前記第2の元素Bは、亜鉛、アルミニウム、チタン、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムまたはニオブから選択されることを特徴とする半導体発光素子。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の半導体発光素子であって、前記導電性酸化物膜の膜中酸素濃度が、第2の元素Bを含む酸化物膜との界面から前記半導体層との界面に向かって徐々に上昇することを特徴とする半導体発光素子。
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