JP2005243887A - リソグラフィ装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 装置性能(露光精度等)に対応した形で床等の構造物の振動特性又は剛性を評価できる技術を提供する。
【解決手段】 床ユニット17上に能動型防振台35を介して支持されてレチクルRを保持するレチクルステージRSTと、床ユニット17上に能動型防振台41を介して支持されてウエハWを保持するウエハステージWSTとを備え、レチクルRのパターンをウエハW上に露光する露光装置を製造する方法である。床ユニット17に或る入力を与えて床ユニット17の加速度を計測する第1工程と、その加速度を移動平均値等の形で時間軸上で評価する第2工程とを有し、その評価結果に応じて床ユニット17を補強する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体デバイスや液晶ディスプレイ等の各種デバイスを製造する際に使用される露光装置等のリソグラフィ装置の製造技術に関し、更に詳しくはそのリソグラフィ装置が設置される床等の構造体の振動特性等を評価する技術を含む製造技術に関する。
例えば半導体デバイスの製造工程の一つであるフォトリソグラフィ工程においては、マスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)に形成されているパターンを基板としてのフォトレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)上に転写露光するために、リソグラフィ装置としての露光装置が使用されている。露光装置としては、ステッパー等の一括露光型(静止露光型)の投影露光装置やスキャニングステッパー等の走査露光型の投影露光装置などが使用されている。
これらの露光装置を製造する際には、従来は一例として、機構系及び制御系の設計を行った後、これらを統合した露光装置の全体モデルをコンピュータのデータ上で構築していた。次に、その全体モデルに対してステージの加速度情報及び床振動等の情報を入力することによって、露光精度(走査露光型の場合には同期精度等)を予測し、このように予測される露光精度が許容範囲を超える場合には、機構系又は制御系の設計を変更していた(例えば、特許文献1参照)。次に、変更後の設計データに基づいて部品製造が行われ、製造された部品を用いて露光装置の組立調整が行われていた。そして、露光装置の組立調整時に各種検査及び特性評価が行われ、必要に応じて、その検査結果及び評価結果に基づいて設計が変更されていた。
これに関して、露光精度に大きい影響を与える要素として、露光装置が設置される床の構造の振動特性、即ち或る力が作用したときの振動状態(振動量等)の特性がある。露光装置は、一般に床上に防振台を介して設置されており、床上の空調装置等からの振動(外乱)がその防振台を介して露光装置に伝わるとともに、露光装置のステージが移動するときの反力による振動が防振台を介して又は直接に床に伝わり、その振動が更に床から防振台を介して露光装置に戻される。そのため、その床が振動し易い場合には、その露光装置の露光精度が低下する。また、その床の構造の振動特性は、その構造の剛性に依存している。従って、それらの外乱及びステージの振動の影響を軽減するためには、その床の剛性を高めることが望ましい。しかしながら、その床の剛性を単に高めると、床の構造が必要以上に大型化し重量も大きくなり、露光装置が設置される工場の建設コストが増大する。そのため、床の剛性は所望の露光精度が得られる範囲内で小さく設定することが望ましい。
従来は床の振動特性(又は剛性)を評価するために、床に或るハンマー入力を与えたときのイナータンス(inertance) 又はアクセレランス(accelerance) の特性を計測していた。イナータンス及びアクセレランスの単位は、加速度/力、即ち1/質量(1/kg)である。イナータンス及びアクセレランスが小さくなる程、剛性が大きくなり、床が変形しにくくなるため、通常は振動量が小さくなる。
図10(A)は、或る床に所定のハンマー入力を与えて、その床の別の位置に設置した加速度センサで加速度を検出し、その加速度をフーリエ解析して得られたイナータンス特性のゲイン(dB)を示し、図10(B)は、図10(A)に対応する位相(deg)を示している。また、図10(A)及び(B)の横軸は周波数(Hz)であり、そのゲインより各周波数におけるその床の剛性の状態が評価できる。即ち、ゲインが小さい程、その周波数における剛性が大きくなり、振動が小さいことが分かる。また、図10(A)の周波数の領域69において、機械的共振特性のあることが分かる。これによって、その床の共振周波数を求めることもできる。
特開平9−139338号公報
上記の如く従来は床の振動特性(又は剛性)を評価するために、ハンマー入力に対するその床の応答をイナータンスのような周波数軸上の応答情報によって評価していた。しかしながら、その周波数軸上の応答情報と同期精度等の露光精度との関係が明確でないため、従来はその応答情報に基づいて露光精度を高めるために、どのような対策を施せばよいのかが必ずしも明確ではなかった。
また、従来の機構系の設計時には、共振周波数や質量については目標値を持つことが可能であった。しかしながら、露光精度と実際に計測される応答情報との関係が明確でないために、所定の露光精度を得るために、機構系の設計時から床等の構造物の振動特性に関して定量的な目標値を持つことは考えられていなかった。そのため、例えば床の剛性について、必要以上に大きい剛性が要求されたり、所定の露光精度が得られるまでの露光装置の組立調整時間が長くなる恐れがある等の問題があった。
本発明は、斯かる点に鑑み、装置性能(露光精度等)に対応した形で床等の構造物の振動特性又は剛性を評価できるリソグラフィ装置の製造技術を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、床等の構造物の設計時からその振動特性又は剛性に関して或る程度定量的な目標値を設定でき、その結果としてリソグラフィ装置を効率的に製造できる製造技術を提供することを第2の目的とする。
本発明によるリソグラフィ装置の製造方法は、床構造(31,32)上に第1防振機構(35)を介して支持されてマスク(R)を保持するマスクステージ(RST)と、その床構造上に第2防振機構(41)を介して支持されて基板(W)を保持する基板ステージ(WST)とを備え、そのマスクのパターンをその基板上に露光するリソグラフィ装置を製造する方法において、その床構造に或る入力を与えてその床構造の応答情報を計測する第1工程(ステップ104)と、その床構造の応答情報を時間軸上で評価する第2工程(ステップ105)とを有するものである。
斯かる本発明によれば、例えばその床構造の応答情報の移動平均を求める等の方法によって、その床構造の応答情報が時間軸上で評価される。また、その応答情報はその床構造の振動特性に対応しており、その振動特性は剛性にも依存している。この場合、そのリソグラフィ装置の装置性能、例えばその2つのステージを同期して移動する際の同期精度は、その床構造の応答情報の時間軸上での評価結果に或る程度対応している。従って、装置性能に対応した形で床構造の振動特性又は剛性を評価することができる。
また、本発明において、その第2工程で時間軸上で評価される情報に許容範囲を設けることによって、その許容範囲を、その床構造を設計する際の振動特性又は剛性に関する定量的な目標値とすることができる。従って、効率的に設計を行うことができる。
本発明において、その第2工程の評価結果に応じて、その床構造の補強を行う第3工程(ステップ107)を更に有することができる。これによって、その床構造の振動特性又は剛性を改善でき、ひいては装置性能を向上できる。
また、一例として、その第1工程で計測されるその床構造の応答情報は、その床構造の所定のサンプリング周期で求められる加速度であり、その第2工程で時間軸上で評価される情報は、その床構造の加速度の所定の平均時間毎の移動平均値を含むものである。その移動平均値によって、その床構造の振動の低周波成分を求めることができる。
この場合、そのリソグラフィ装置は、その基板の露光時に、スリット状の露光領域でその基板を露光した状態で、そのマスクステージとその基板ステージとを同期移動する走査型露光装置であるとすると、その加速度の移動平均値の許容範囲は、そのマスクステージとその基板ステージとの同期精度に基づいて定めてもよい。その加速度の移動平均値は、それらのステージを駆動するときの振動量に或る程度対応しているため、その移動平均値を小さくすることによって、その同期精度を向上できる。
また、別の例として、その第1工程で計測されるその床構造の応答情報は、その床構造の所定のサンプリング周期で求められる加速度であり、その第2工程で時間軸上で評価される情報は、その床構造の加速度の所定の平均時間毎の移動標準偏差値を含むものである。その移動標準偏差値によって、その床構造の振動の高周波成分を求めることができる。
この場合、そのリソグラフィ装置は、そのマスクのパターンをその基板上に投影する投影光学系(PL)を含むものとすると、その加速度の移動標準偏差値の許容範囲は、その投影光学系の像面に対するその基板の表面の合焦精度に応じて定めてもよい。その加速度の移動標準偏差のうちで、その投影光学系の光軸に平行な方向の成分によって合焦精度が劣化するため、その移動標準偏差を小さくすることによって、その合焦精度を向上できる。
また、そのリソグラフィ装置が、その基板の露光時に、スリット状の露光領域でその基板を露光した状態で、そのマスクステージとその基板ステージとを同期移動する走査型露光装置である場合、一例として、その所定の平均時間は、その基板上の一つのショット領域をそのスリット状の露光領域が通過する時間と実質的に等しい。これによって、その基板を走査露光方式で露光する際の露光精度を向上できる。
本発明によれば、床構造の応答情報を時間軸上で評価しているため、装置性能(露光精度等)に対応した形で床構造の剛性等の振動特性又は剛性を評価することができる。
また、例えば床構造の応答情報に関して時間軸上で評価される情報に許容範囲を設けることによって、床構造の設計時からその振動特性又は剛性に関して或る程度定量的な目標値を設定することができる。その結果、リソグラフィ装置を効率的に製造することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態の一例につき図1〜図9を参照して説明する。本例では、スキャニングステッパーよりなる走査露光型の投影露光装置の設計、振動特性又は剛性の評価、及び製造について説明する。先ず、本例で製造対象とする走査露光型の投影露光装置(走査露光装置)の一例を説明する。
図1は、本例の投影露光装置を構成する各機能ユニットをブロック化して表した図であり、この図1において、投影露光装置を収納するチャンバーは省略されている。図1において、露光用の光源としてKrFエキシマレーザ(波長248nm)又はArFエキシマレーザ(波長193nm)よりなるレーザ光源1が使用されている。その露光用の光源としては、その他のF2 レーザ(波長157nm)のような発振段階で紫外域のレーザ光を放射するもの、固体(YAG等)レーザ光源からの近赤外域のレーザ光を波長変換して得られる真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの、或いはこの種の露光装置でよく使われている水銀放電ランプ等も使用できる。
レーザ光源1からの露光ビームとしての露光用の照明光(露光光)ILは、レンズ系とフライアイレンズ系とで構成される均一化光学系2、ビームスプリッタ3、光量調整用の可変減光器4、ミラー5、及びリレーレンズ系6を介してレチクルブラインド機構7を均一な照度分布で照射する。レチクルブラインド7でスリット状又は矩形状に制限された照明光ILは、結像レンズ系8を介してマスクとしてのレチクルR上に照射され、レチクルR上にはレチクルブラインド7の開口の像が結像される。均一化光学系2、ビームスプリッタ3、光量調整用の可変減光器4、ミラー5、リレーレンズ系6、レチクルブラインド機構7、及び結像レンズ系8を含んで照明光学系9が構成されている。
レチクルRに形成された回路パターン領域のうち、照明光によって照射される部分の像は、両側テレセントリックで投影倍率βが縮小倍率の投影光学系PLを介して基板(感応基板)としてのフォトレジストが塗布されたウエハW上に結像投影される。一例として、投影光学系PLの投影倍率βは1/4、像側開口数NAは0.7、視野直径は27〜30mm程度である。投影光学系PLは屈折系であるが、その他に反射屈折系等も使用できる。レチクルR及びウエハWはそれぞれ第1物体及び第2物体とみなすこともできる。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図1の紙面に平行な方向にX軸を、図1の紙面に垂直な方向にY軸を取って説明する。本例では、Y軸に沿った方向(Y方向)が、走査露光時のレチクルR及びウエハWの走査方向であり、レチクルR上の照明領域は、非走査方向であるX軸に沿った方向(X方向)に細長い形状である。
そして、投影光学系PLの物体面側に配置されるレチクルRは、走査露光時にレチクルベース(不図示)上を少なくともY方向に定速移動するレチクルステージRST(マスクステージ)に保持されている。レチクルステージRSTの移動座標位置(X方向、Y方向の位置、及びZ軸の周りの回転角)は、レチクルステージRSTに固定された移動鏡Mrと、これに対向して配置されたレーザ干渉計システム10とで逐次計測され、その移動はリニアモータや微動アクチュエータ等で構成される駆動系11によって行われる。なお、移動鏡Mr、レーザ干渉計システム10は、実際には少なくともX方向に1軸及びY方向に2軸の3軸のレーザ干渉計を構成している。レーザ干渉計システム10の計測情報はステージ制御ユニット14に供給され、ステージ制御ユニット14はその計測情報及び装置全体の動作を統轄制御するコンピュータよりなる主制御系20からの制御情報(入力情報)に基づいて、駆動系11の動作を制御する。
図3(A)は、図1のレチクルステージRSTの駆動系11を含むレチクルステージユニット15の構成例を示し、この図3(A)において、レチクルステージRSTは、レチクルベース37の上面にエアベアリングを介して移動自在に載置されている。また、レチクルステージRSTは、X軸の微動アクチュエータ48と2つのY軸の微動アクチュエータ49A及び49Bとを介してY軸スライダ43に連結され、Y軸スライダ43は、それぞれ固定子を含む2軸のガイド部材45A及び45Bに沿ってY方向に一次元的に移動できるように支持されている。微動アクチュエータ48及び49A,49Bは、例えばローレンツ力を用いる方式又はいわゆるEIコア方式(プッシュ・プル方式)で、それぞれ非接触で同期誤差を補正するようにY軸スライダ43に対してレチクルステージRSTをX方向、Y方向、及びZ軸の周りの回転方向に微少量駆動する。
そして、Y軸スライダ43に設けられた可動子44A及び44B(例えば永久磁石)と、ガイド部材45A及び45B内の固定子(例えばコイル)とから、それぞれY軸スライダ43をレチクルベース37に対してY方向に定速駆動するリニアモータ46A及び46Bが構成されている。また、一方のガイド部材45Aの両端は支持部材47Aを介してY方向に移動できるようにレチクルベース37上に支持され、同様に他方のガイド部材45Bの両端も支持部材47Bを介してY方向に移動できるようにレチクルベース37上に支持されている。この場合、リニアモータ46A及び46Bを介してY軸スライダ43をY方向に駆動する際には、運動量を保存するように又は駆動反力を相殺するように、カウンターバランスとしてのガイド部材45A及び45Bが逆方向に移動する。従って、レチクルステージRSTを走査方向に定速駆動する際に、レチクルステージユニット15から外部に振動ができるだけ発生しないように構成されている。なお、支持部材47A及び47B内には、それぞれガイド部材45A及び45BのY方向の位置を調整するためのアクチュエータが備えられている。
また、レチクルステージRST上のX方向の端部にほぼX軸に垂直な反射面を持つ移動鏡Mrxが固定され、レチクルステージRST上のY方向の端部にX方向に所定間隔DXで、2つのそれぞれコーナーリフレクタよりなる移動鏡Mry及びMrθが固定されている。本例において、リニアモータ46A及び46Bと、微動アクチュエータ48及び49A,49Bとが図1の駆動系11に対応している。そして、この駆動系11と、図3(A)のレチクルステージRST、レチクルベース37、支持部材47A,47B、Y軸スライダ43、移動鏡Mrx,Mry,Mrθとを含んでレチクルステージユニット15が構成されている。
図4(図4の詳細は後述する)に示すように、レチクルステージRST上の移動鏡Mrxに対向してX軸のレーザ干渉計(X干渉計)10Xが配置され、移動鏡Mry及びMrθにそれぞれ対向してY軸のレーザ干渉計(Y干渉計)10Y及びZ軸の周り(θ方向)の回転角を計測するためのレーザ干渉計(θ干渉計)10θが配置されている。この場合、X干渉計10Xは、移動鏡Mrxで反射されるレーザ光と、例えば投影光学系PLに対して静止している基準鏡Mcxで反射されるレーザ光との干渉光を検出して、レチクルステージRSTのX方向の位置を計測する。また、Y干渉計10Y及びθ干渉計10θは、それぞれ移動鏡Mry及びMrθから反射されるレーザ光と、投影光学系PLに対して静止している基準鏡Mcy及びMcθから反射されるレーザ光との干渉光を検出して、レチクルステージRSTのY方向の位置YA及びYBを計測する。このとき、例えば(YA+YB)/2がレチクルステージRSTのY方向の位置となり、(YA−YB)/DXがレチクルステージRSTのθ方向の回転角となる。これらの計測値はステージ制御ユニット14に供給されている。X干渉計10X、Y干渉計10Y、及びθ干渉計10θが図1のレーザ干渉計システム10に対応している。
図1に戻り、投影光学系PLの像面側に配置されるウエハWは、不図示のウエハホルダを介してウエハステージWST(基板ステージ)上に保持され、ウエハステージWSTは、走査露光時に少なくともY方向に定速移動できるとともに、X方向及びY方向にステップ移動できるように、エアベアリングを介して不図示のウエハベース上に載置されている。また、ウエハステージWSTの移動座標位置(X方向、Y方向の位置、及びZ軸の周りの回転角)は、投影光学系PLの下部に固定された基準鏡Mfと、ウエハステージWSTに固定された移動鏡Mwと、これに対向して配置されたレーザ干渉計システム12とで逐次計測され、その移動はリニアモータ及びボイスコイルモータ(VCM)等のアクチュエータで構成される駆動系13によって行われる。なお、移動鏡Mw、レーザ干渉計システム12は、実際には少なくともX方向に1軸及びY方向に2軸の3軸のレーザ干渉計を構成している。また、レーザ干渉計システム12は、実際には更にX軸及びY軸の周りの回転角計測用の2軸のレーザ干渉計も備えている。レーザ干渉計システム12の計測情報はステージ制御ユニット14に供給され、ステージ制御ユニット14はその計測情報及び主制御系20からの制御情報(入力情報)に基づいて、駆動系13の動作を制御する。
また、ウエハステージWSTには、ウエハWのZ方向の位置(フォーカス位置)と、X軸及びY軸の周りの傾斜角を制御するZレベリング機構も備えられている。そして、投影光学系PLの下部側面に、ウエハWの表面の複数の計測点にスリット像を投影する投射光学系23Aと、その表面からの反射光を受光してそれらのスリット像の再結像された像の横ずれ量の情報を検出して、ステージ制御ユニット14に供給する受光光学系23Bとから構成される斜入射方式の多点のオートフォーカスセンサ(23A,23B)が配置されている。ステージ制御ユニット14は、その横ずれ量の情報を用いてそれらの複数の計測点における投影光学系PLの像面からのデフォーカス量を算出し、走査露光時にはこれらのデフォーカス量が所定の制御精度内に収まるように、オートフォーカス方式でウエハステージWST内のZレベリング機構を駆動する。なお、斜入射方式の多点オートフォーカスセンサの詳細な構成については、例えば特開平1−253603号公報に開示されている。
この場合、オートフォーカス方式で合焦を行う場合のそのデフォーカス量の実際の許容範囲であるAF精度(合焦精度に対応する)は、ほぼ次式のようにZレベリング機構によって追い込み可能なデフォーカス量(上記のデフォーカス量の制御精度)と、走査露光時の投影光学系PLの像面とウエハWの表面(露光面)との間隔のZ方向への比較的高周波数(例えば数10Hz以上)の振動の振幅との和となる。後者のZ方向への振動の振幅は、レチクルステージRSTのZ方向への振動、投影光学系PLのZ方向への振動、及びウエハステージWSTのZ方向への振動に依存する。また、そのAF精度は、次式のように投影光学系PLの焦点深度よりも小さくなるように設定される。
AF精度=デフォーカス量の制御精度+Z方向への振動の振幅<焦点深度…(1)
この場合、そのデフォーカス量の制御精度は、そのZレベリング機構の構成及び多点のオーフォカースセンサ(23A,23B)の検出精度等によって所定の値となる。従って、その像面と露光面との間隔のZ方向への振動の振幅は、投影光学系PLの焦点深度からそのデフォーカス量の制御精度を差し引いた値よりも小さくなるようにしておく必要がある(詳細後述)。
次に、図3(B)は、図1のウエハステージWSTの駆動系13を含むウエハステージユニット16の構成例を示し、この図3(B)において、ウエハステージWSTは、ウエハWをウエハホルダ50を介して保持するウエハテーブル(試料台)52と、ウエハテーブル52を保持して移動するスライド部51と、スライド部51内でウエハテーブル52のZ方向の位置及び傾斜角の制御を行うZレベリング機構(不図示)と、スライド部51に設けられたリニアモータ用の可動子54(例えば永久磁石)とを備えている。そして、ウエハステージWSTのスライド部51は、ウエハベース42の上面にエアベアリングを介して移動自在に載置されている。ウエハベース42は、例えば3個又は4個の能動型防振台41(第2の防振機構)を介して、ウエハステージユニット16用のベース部材であるメンテナンステーブル33A上に載置されている。能動型防振台41は、低周波数の振動を抑制するエアダンパと、例えばウエハベース42に設置されている加速度センサ等で検出される情報に基づいて高周波数の振動を抑制するボイスコイルモータ等からなる電磁ダンパとから構成されている。
また、ウエハステージWSTのスライド部51は、内部に固定子55(例えばコイル)が設けられたX軸ガイド部53に沿ってX方向に移動自在に配置され、スライド部51内の可動子54とX軸ガイド部53内の固定子55とから、X軸ガイド部53に対してウエハステージWSTをX方向に駆動するためのX軸リニアモータ56が構成されている。更に、X軸ガイド部53の両端にそれぞれ例えばコイルを含む可動子57A及び57Bが固定され、これらを挟むように例えば永久磁石を含む断面がU字型の固定子58A及び58Bが配置され、固定子58A及び58Bはそれぞれ支持部材60を介してメンテナンステーブル33A上に固定されている。可動子57A及び57Bと固定子58A及び58Bとから、それぞれウエハベース42に対してX軸ガイド部53及びウエハステージWSTをY方向に駆動するためのY軸リニアモータ59A及び59Bが構成されている。
この場合、Y軸リニアモータ59A及び59Bを介してX軸ガイド部53及びウエハステージWSTをY方向に駆動する際には、その駆動反力は支持部材60を介してメンテナンステーブル33A側に逃がされている。但し、固定子58A及び58Bを支持部材60に対してY方向に移動できるように支持して、X軸ガイド部53及びウエハステージWSTをY方向に駆動する際に、運動量を保存するように又は駆動反力を相殺するように、カウンターバランスとしての固定子58A及び58Bが逆方向に移動できるようにしてもよい。これによって、ウエハステージWSTを走査方向に駆動する際に、ウエハステージユニット16から外部に伝わる振動が更に低減される。
また、ウエハステージWSTのウエハテーブル52上のX方向及びY方向の端部にそれぞれほぼX軸及びY軸に垂直な反射面を持つ移動鏡Mwx及びMwyが固定されている。本例において、X軸リニアモータ56と、Y軸リニアモータ59A及び59Bと、不図示のZレベリング機構とが図1の駆動系13に対応している。そして、この駆動系13、図3(B)のウエハステージWST、ウエハベース42、能動型防振台41、X軸ガイド部53、支持部材60、移動鏡Mwx,Mwy、及びメンテナンステーブル33Aを含んでウエハステージユニット16が構成されている。
そして、図4に示すように、ウエハステージRST上の移動鏡Mwxに対向してX軸のレーザ干渉計(X干渉計)12Xが配置され、移動鏡Mwyに対向してY軸のレーザ干渉計(Y干渉計)12Y及びZ軸の周り(θ方向)の回転角を計測するためのレーザ干渉計(θ干渉計)12θがX方向の間隔DWXで配置されている。この場合、X干渉計12Xは、移動鏡Mwxで反射されるレーザ光と、投影光学系PLの下部に固定された基準鏡Mfxで反射されるレーザ光との干渉光を検出して、ウエハステージWSTのX方向の位置を計測する。また、Y干渉計12Y及びθ干渉計12θは、それぞれ移動鏡Mwyから反射されるレーザ光と、投影光学系PLの下部に固定された基準鏡Mfyから反射されるレーザ光との干渉光を検出して、ウエハステージWSTのY方向の位置YWA及びYWBを計測する。即ち、基準鏡Mfx及びMfyが図1の基準鏡Mfに対応している。このとき、例えば位置YWA(又は位置YWA及びYWBの平均値)がウエハステージWSTのY方向の位置となり、(YWA−YWB)/DWXがウエハステージWSTのθ方向の回転角となる。これらの計測値はステージ制御ユニット14に供給されている。X干渉計12X、Y干渉計12Y及びθ干渉計12θが図1のレーザ干渉計システム12に対応している。
図1に戻り、ステージ制御ユニット14は、レーザ干渉計システム10による計測情報に基づいて駆動系11を最適に制御するレチクル側のコントロール回路と、レーザ干渉計システム12による計測情報に基づいて駆動系13を最適に制御するウエハ側のコントロール回路とを含み、走査露光時にレチクルRとウエハWとを同期走査するときは、その両方のコントロール回路が各駆動系11,13を協調制御する。また、主制御系20は、ステージ制御ユニット14内の各コントロール回路と相互にコマンドやパラメータをやり取りして、オペレータが指定したプログラムに従って最適な露光処理を実行する。そのために、オペレータと主制御系20とのインターフェイスを成す不図示の操作パネルユニット(入力デバイスと表示デバイスとを含む)が設けられている。
更に、レーザ光源1がエキシマレーザ光源であるときは、主制御系20の制御のもとにあるレーザ制御ユニット25が設けられ、この制御ユニット25は、レーザ光源1のパルス発振のモード(ワンパルスモード、バーストモード、待機モード等)を制御するとともに、放射されるパルスレーザ光の平均光量を調整するためにレーザ光源1の放電用高電圧を制御する。また、光量制御ユニット27は、ビームスプリッタ3で分割された一部の照明光を受光する光電検出器26(インテグレータセンサ)からの信号に基づいて、適正な露光量が得られるように可変減光器4を制御するとともに、パルス照明光の強度(光量)情報をレーザ制御ユニット25及び主制御系20に送る。
露光工程の開始時には、予め主制御系20からステージ制御ユニット14内の制御部に、レチクルステージRSTのX方向、Y方向の位置、及びZ軸の周りの回転角を投影光学系PLの像面側の値に換算した値と、ウエハステージWSTの対応するX方向、Y方向の位置、及びZ軸の周りの回転角の値との差分ΔX,ΔY,ΔRW(両ステージの位置ずれ量)の制御精度の情報が入力される。ステージ制御ユニット14は、その位置ずれ量がその制御精度内に収まるように駆動系11及び13を駆動する。この場合、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期精度は、ほぼその位置ずれ量の制御精度と、レチクルステージRSTのX方向、Y方向への比較的低周波数(例えば数10Hz以下)の振動の振幅を投影光学系PLの像面側の値に換算した値と、ウエハステージWSTのX方向、Y方向へのその比較的低周波数の振動の振幅との和である両ステージ(レチクルステージRST及びウエハステージWST)のX方向、Y方向の振動の振幅との合計となる。また、その同期精度は、一例として、ウエハW上で必要な重ね合わせ精度及び解像度に基づいて定められる両ステージの許容される位置ずれ量よりも小さい必要がある。従って、ほぼ次の関係が成立する。
両ステージのX方向(又はY方向)の同期精度=両ステージのX方向(又はY方向)の位置ずれ量の制御精度+両ステージのX方向(又はY方向)の振動の振幅<両ステージのX方向(又はY方向)の許容される位置ずれ量 …(2)
従って、走査露光中の両ステージのX方向、Y方向への振動の振幅の和は、両ステージの許容される位置ずれ量からその位置ずれ量の制御精度を差し引いた値よりも小さくなるように設定される必要がある(詳細後述)。言い換えると、ステージ制御ユニット14及び駆動系11,13による制御精度を小さくできない場合には、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの許容できる振動量のマージンは小さくなる。
そして、図1において、レチクルRへの照明光ILの照射を開始して、レチクルRのパターンの一部の投影光学系PLを介した像をウエハW上の一つのショット領域に投影した状態で、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを投影光学系PLの投影倍率βを速度比としてY方向に同期して移動(同期走査)する走査露光動作によって、そのショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。その後、照明光ILの照射を停止して、ウエハステージWSTを介してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作と、上記の走査露光動作とを繰り返すことによって、ステップ・アンド・スキャン方式でウエハW上の全部のショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。
この露光に際しては、予めレチクルRとウエハWとのアライメントを行っておく必要がある。そこで、図1の投影露光装置には、レチクルRを所定位置に設定するためのレチクルアライメント系(RA系)21と、ウエハW上のマークを検出するためのオフアクシス方式のアライメント系22とが設けられている。
次に、例えば半導体デバイスの製造工場内での本例の投影露光装置の設置状態の一例につき説明する。図2は、その投影露光装置の設置状態の一例を示し、この図2において、その製造工場の床FL上に例えばH型鋼よりなる複数の支柱31を介して、投影露光装置を設置する際の基礎部材としての厚い平板状のペデスタル32が設置され、ペデスタル32上に投影露光装置を設置するための長方形の薄い平板状のベースプレート33が固定されている。複数の支柱31は、例えばペデスタル32の底面の4隅を含む複数の位置に、ペデスタル32が所定の振動特性(又は剛性)を持つように配置されている。図3(C)に示すように、複数の支柱31、ペデスタル32、及びベースプレート33から床構造としての床ユニット17が構成されている。なお、その床構造としては、床FLそのものを使用することも可能である。床構造として床FLそのものを使用する場合には、支柱31に対応して床FLの振動特性(又は剛性)を決定する部材は、その床FLを支持する梁構造となる。
図2に戻り、床ユニット17のベースプレート33上に3箇所又は4箇所の支持部材34及び能動型防振台35(第1の防振機構)を介して第1コラム36が載置され、第1コラム36の中央の開口部に投影光学系PLが保持されている。能動型防振台35は、低周波数の振動を抑制するエアダンパと、第1コラム36に設置されている1組の加速度センサ40で検出される加速度情報に基づいて高周波数の振動を抑制するボイスコイルモータ等からなる電磁ダンパとから構成されている。加速度センサ40としては、圧電素子(ピエゾ素子等)で発生する電圧を検出する圧電型の加速度センサや、例えば歪みの大きさに応じてCMOSコンバータの論理閾値電圧が変化することを利用する半導体式の加速度センサ等を使用できる。
また、第1コラム36の上部にレチクルベース37が固定され、レチクルベース37を覆うように第2コラム38が固定され、第2コラム38の中央部に図1の照明光学系9が収納された照明系サブチャンバ39が固定されている。この場合、図1のレーザ光源1は一例として図2のペデスタル32の外側の床FL上に設置され、レーザ光源1から射出される照明光ILは、不図示のビーム送光系を介して照明光学系9に導かれる。なお、図2中のレチクルベース37をコラムとみなして、このコラム上に平板状のレチクルベースを固定する構造を採用してもよい。
本例では、レチクルベース37上にレチクルRを保持するレチクルステージRSTが載置されている。レチクルベース37上には、それ以外の図3(A)のレチクルステージユニット15を構成する部材(図2では不図示)も設置されている。図2において、第1コラム36、レチクルベース37、及び第2コラム38よりコラム構造体CLが構成されている。コラム構造体CLは、床ユニット17上に複数の能動型防振台35を介して支持された状態で、投影光学系PL、レチクルステージユニット15、及び照明光学系9を保持している。
上述の1組の加速度センサ40は、例えばほぼXY平面内の同一直線上にない3箇所でZ方向の加速度を計測する3個のZ軸加速度センサと、Y方向に離れた2箇所でX方向の加速度を計測する2個のX軸加速度センサと、X方向に離れた2箇所でY方向の加速度を計測する2個のY軸加速度センサとから構成されている。その1組の加速度センサ40によって、コラム構造体CLのX方向、Y方向、Z方向の加速度と、X軸、Y軸、Z軸の周りの回転加速度(rad/s2 )とが計測される。これらの計測値に基づいて、複数の能動型防振台35内の電磁ダンパは、それぞれコラム構造体CLの振動が小さく維持されるように、かつコラム構造体CLのZ方向の高さが一定に維持されるように作用する。
また、ベースプレート33上の複数の支持部材34及び能動型防振台35で囲まれた領域に、不図示のメンテナンステーブルが固定され、その上に図3(B)を参照して説明したように、3個又は4個の能動型防振台41(第2の防振機構)を介してウエハベース42が支持されている。ウエハベース42上にはウエハWを保持するウエハステージWSTが移動自在に載置されている。また、ベースプレート33上には、これらの部材以外の図3(B)のウエハステージユニット16を構成する部材も設置されている。即ち、ベースプレート33上のコラム構造体CLの内側にはウエハステージユニット16が設置されている。
このように本例の投影露光装置及びこれを支持する基礎部材は、床ユニット17、ウエハステージユニット16、能動型防振台35、コラム構造体CL、投影光学系PL、レチクルステージユニット15、照明系サブチャンバ39(照明光学系9)、及び図1のレーザ光源1等から構成されている。
本例の投影露光装置の機構部及び制御系を組み立てる際には、設計完了後に一例として、床ユニット17、ウエハステージユニット16、投影光学系PL、及びレチクルステージユニット15は、個別に組立が行われる。その際に、床ユニット17については、所定の防振特性又は剛性が得られるように設計、製造が行われ、必要に応じて補強が行われる(詳細後述)。次に、床ユニット17上に支持部材34及び能動型防振台35を介してコラム構造体CL中の第1コラム36を設置した後、ウエハステージユニット16及び投影光学系PLの組み込みが行われる。次に、レチクルベース37を含むレチクルステージユニット15の組み込みが行われるのに続いて、第2コラム38を介して照明光学系9及び照明系サブチャンバ39の組み込みが行われた後、図1のレーザ光源1及びビーム送光系(不図示)が設置される。その後、光学系及び制御系の調整等が行われる。
このように本例では、ペデスタル32上に投影光学系PLを保持するコラム構造体CLと、ウエハステージユニット16とが並列に設置されている。しかしながら、例えばコラム構造体CLに吊り下げるようにベース部材を支持し、このベース部材上に能動型防振台41を含むウエハステージユニット16を設置してもよい。
さて、本例では、投影露光装置の装置性能としての露光精度の一例である、オートフォーカス方式で投影光学系PLの像面にウエハWの表面を合焦させる際のデフォーカス量の許容範囲である(1)式のAF精度、及び走査露光時のレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの位置ずれ量の許容範囲である(2)式の同期精度をそれぞれ所定精度にするために、床構造としての床ユニット17の振動特性を設定する。そのために、設計段階で、床ユニット17の振動特性によってAF精度中の像面と露光面との間隔のZ方向の振動、及び同期精度中のステージのX方向、Y方向の振動がどのように変化するのかを解析して、必要な同期精度及びAF精度を得るための床ユニット17の設計上での振動特性を求める。なお、床ユニット17の振動特性を設定する代わりに、その剛性を所定の状態に設定してもよい。
本例において、AF精度及び同期精度に含まれる主な振動としては、図2において、投影露光装置のステージ系及び投影光学系PLで発生する振動と、そのステージ系で発生して能動型防振台35,41を介して又は直接に床ユニット17に伝わった後、再び能動型防振台35又は41を介してそのステージ系及び投影光学系PLに戻される振動と、床FL上の別の露光装置や空調設備等で発生して、床ユニット17を介してその上の投影露光装置に伝わる振動(外乱又は暗振動)とがある。以下では、床ユニット17の振動特性とAF精度及び同期精度に含まれる振動成分との関係を解析する方法の一例につき、図4を参照して概念的に説明する。なお、その解析は、例えば設計用又は構造解析用の不図示のコンピュータを用いて行うことができる。
図4は、図1〜図3に示した投影露光装置及び床ユニット17の制御系の信号路及び振動の伝達路を示すブロック図であり、この図4において、実線の経路が制御系の信号路であり、点線の経路が振動の伝達路である。図4において、ウエハステージWSTを例えばY方向(走査方向)に移動させるための入力情報(目標位置座標、速度指令値等)がステージ制御ユニット14に入力されると、駆動系13中のY軸リニアモータ59A,59Bが付勢されてウエハステージWSTのY方向への移動が始まる。
また、ウエハステージWSTの移動によって、ウエハステージWST上に取り付けられた移動鏡Mwx,Mwyも移動し、ウエハステージWSTのY方向の位置及びZ軸の周りの回転角は、投影光学系PLの下部に固定された基準鏡Mfyを基準とした移動鏡Mwyの位置変化としてY干渉計12Y及びθ干渉計12θで計測される。更に、ウエハステージWSTがY方向に移動する場合でも、X干渉計12Xは、投影光学系PLの下部に固定された基準鏡Mfxを基準とした移動鏡MwxのX方向の位置変化を計測している。そしてステージ制御ユニット14は、干渉計12Y,12θ,12Xの各計測値に基づいて駆動系13を最適に制御する。
このように駆動系13が付勢されると、ウエハステージWSTの加速度(又は減速度)によってウエハステージWSTはそれ自体の構造(振動特性又は剛性)に応じた固有のモードで微小振動し、その振動が各移動鏡Mwx,Mwyにも伝わって同期精度が悪化する。更に、時間的な遅れを伴い量的には小さいものの、ウエハステージWSTの加減速を伴う移動によって装置全体が傾く際に図4の能動型防振台41が作動し、その能動型防振台41の反発力による微小振動がウエハステージWSTの移動鏡Mwx,Mwyに影響して同期精度が悪化する。
また、ウエハステージWSTの加減速時には、駆動系13中のY軸リニアモータ59A,59Bの固定子58A,58B(図3(B)参照)に反力が作用し、これが矢印62Bで示すように、床ユニット17のペデスタル32に伝わる。同様に、レチクルステージRSTをY方向に駆動する際にも、レチクルステージRSTの駆動系11中のリニアモータ46A,46Bを運動量保存則を満たすように駆動しても残存している振動が、コラム構造体CLを介して投影光学系PLに伝わるとともに、その振動は矢印62Dで示すように、能動型防振台35を介してペデスタル32に伝わる。また、投影光学系PLの振動によって基準鏡Mfx,Mfyが振動して同期精度が悪化するとともに、投影光学系PLのZ方向への振動によってAF精度が悪化する。更に、投影光学系PLの振動も矢印62Cで示すように、能動型防振台35を介してペデスタル32に伝わる。この際に、外乱又は暗振動も矢印62Aで示すようにペデスタル32に伝わっている。
そして、ペデスタル32の振動の内で比較的高い周波数成分の微小振動は、矢印63Bで示すように能動型防振台41を介してウエハステージWSTを振動させる。この振動の内で、X方向及びY方向への振動は同期精度を悪化させ、Z方向への振動はAF精度を悪化させる。
また、駆動系11によってレチクルステージRSTをY方向に駆動して、レチクルステージRSTをY方向に加減速した場合も、レチクルステージRSTはそれ自体の構造(振動特性又は剛性)に応じた固有のモードで微小振動し、その振動が各移動鏡Mrx,Mry,Mrθにも伝わって同期精度が悪化する。更に、上記のペデスタル32の振動の内で比較的高い周波数成分の微小振動は、矢印63Aで示すように能動型防振台35及びコラム構造体CLを介して投影光学系PL及びレチクルステージRSTをも振動させる。この振動の内で、X方向及びY方向への振動は同期精度を悪化させ、Z方向への振動はAF精度を悪化させる。
以上をまとめると、本例において、AF精度及び同期精度に影響を与える振動成分は、主に次の3つになる。
1)レチクルステージRST及びウエハステージWSTの固有振動による振動と、この振動に起因する投影光学系PLの振動とを合わせた振動(以下、「第1の振動」と言う)
2)レチクルステージRST、ウエハステージWST、及び投影光学系PLで発生した第1の振動のうちで、能動型防振台35,41を介して又は直接に床ユニット17に伝わった後、再び能動型防振台35又は41を介してレチクルステージRST、ウエハステージWST、及び投影光学系PLに伝えられる振動(以下、「第2の振動」と言う)
3)外乱又は暗振動の内で床ユニット17を介してレチクルステージRST、ウエハステージWST、及び投影光学系PLに伝わる振動(以下、「第3の振動」と言う)
これらの振動の内で、その第1の振動については、図3(A)のレチクルステージユニット15及び図3(B)のウエハステージユニット16の設計時の構造解析によって評価することができる。そして、その第2の振動については、その第1の振動と、能動型防振台35及び41における振動の減衰特性と、床ユニット17の設計時の構造解析によって得られる振動特性(一例として、単位のハンマー入力に対して発生する周波数毎の加速度分布)とから評価することができる。また、その第3の振動については、例えば予め本例の投影露光装置が設置されるデバイス製造工場の平均的な外乱又は暗振動の状態とその床ユニット17の振動特性とから評価することができる。これらの第1、第2、及び第3の振動を求めることによって、図4の工程ブロック64及び65に示すように、同期精度及びAF精度を評価することができる。
これに関して、床ユニット17の振動特性は、従来は周波数軸上で評価されていたが、本例ではその振動特性を時間軸上で評価する。これは、床ユニット17の振動特性を時間軸上で評価することによって、その振動特性が装置性能(露光精度)としてのAF精度及び同期精度に与える影響を容易に定量的に評価できるからである。具体的に、(2)式の同期精度に含まれるX方向、Y方向の振動成分は、例えば数10Hz以下の比較的低周波数の成分である。このような比較的低周波数の成分は、床ユニット17に単位のハンマー入力を与えた場合に、時間軸t上で所定のサンプリング周期で計測される床ユニット17のX方向(又はY方向)の加速度a(t)を、中心点を次第にずらしながら所定の平均時間Tで平均して得られる移動平均値b(t)に対応している。この移動平均値b(t)の振幅は、その比較的低周波数の成分の振幅にほぼ対応している。
また、(1)式のAF精度に含まれるZ方向の振動成分は、例えば数10Hz以上の比較的高周波数の成分である。このような比較的高周波数の成分は、床ユニット17に単位のハンマー入力を与えた場合に計測される床ユニット17のZ方向の加速度(これもa(t)とする)を用いて、中心点を次第にずらしながらその平均時間T内で計算される標準偏差である移動標準偏差値c(t)に対応している。その移動標準偏差値を以下では「移動σ値」と呼ぶ。なお、移動σ値は、MSD(Moving Standard Deviation) とも呼ぶことができる。この移動σ値は、その比較的高周波数の成分の振幅にほぼ対応している。
ここで、サンプリング周期をΔtとして、所定の2以上の偶数の整数mを用いて平均時間Tが次のようにm・Δtであるとする。これは、平均時間Tの中に加速度のサンプリング点が(m+1)個含まれることを意味する。
T=m・Δt …(3)
次に、i番目(i=0,1,2,…)のサンプリング点における加速度a(t)(t=i・Δt)をa(i)として、n番目(n=0,1,2,…)のサンプリング点における移動平均値b(t)をb(n)とすると、b(n)は次の(4)式で表わすことができる。また、n番目のサンプリング点における移動σ値c(t)をc(n)とすると、その加速度a(i)及び移動平均値b(n)を用いることによって、c(n)は次の(5)式で表わすことができる。なお、(4)式及び(5)式において、加速度a(i)のデータが無い領域では、例えばa(i)=0とすればよい。
Figure 2005243887
ここで、その平均時間Tの一例は、走査露光方式でウエハ上の代表的な形状のショット領域に露光を行う場合に、そのショット領域をスリット状の露光領域が走査方向に横切る時間(1つのショット領域の露光時間)である。
図9(D)は、ウエハ上の代表的な形状のショット領域67が図1の投影光学系PLによる露光領域68に対して走査速度VWSで走査方向(Y方向)に移動する状態を示し、この図9(D)において、ショット領域67及び露光領域68の走査方向の幅をそれぞれL1及びLとする。一例として、幅L1は33mm、幅Lは8mm、ウエハの走査速度VWSは300mm/s程度である。このとき、露光領域68がショット領域67に対して位置68Aに来るまでショット領域67が走査方向に移動する時間、即ちショット領域67の露光時間T’は次のようになる。
T’=(L+L1)/VWS …(6)
この露光時間T’を(3)式の平均時間Tとして用いることによって、ウエハ上の代表的なショット領域を走査露光する場合に、露光精度としての同期精度及びAF精度をそれぞれ向上できる。なお、L1=33(mm)、L=8(mm)、VWS=300(mm/s)を(6)式に代入すると、露光時間T’(平均時間T)は次のようになる。
T=T’=(33+8)/300≒137(ms) …(7)
この場合、サンプリング周期Δtを一例として1msとすると、(3)式で定められる整数mは例えば136(最も近い偶数を選んでいる)となる。即ち、平均時間中のサンプリング点の個数は137となる。
次に、移動平均値b(n)の許容範囲を(−a1/2≦b(n)≦+a1/2)とすると、その許容範囲の幅a1は、(2)式の同期精度がその許容範囲内に収まるように設定される。その幅a1は、X方向及びY方向で異なる値に設定してもよい。仮にその幅a1はX方向の加速度に対応する値であるとする。このとき、(2)式において、X方向の同期精度の許容範囲から位置ずれ量のX方向の制御精度及び上記の第1の振動によるX方向への振動の振幅を差し引くことで、床ユニット17の振動特性に依存するX方向の振動の振幅に対する許容レベルが求められる。この許容レベルを、上記の第1の振動に能動型防振台35及び41における減衰特性を乗じた振動と平均的な外乱又は暗振動による振動とによって床ユニット17に加えられるX方向の力で割ることによって、その移動平均値b(n)の許容範囲を示す振幅a1/2の値を求めることができる。同様にY方向の加速度に対応する幅a1の値も求めることができる。
また、上記の移動σ値c(n)の許容値をa2とすると、その許容値a2は(1)式のAF精度が焦点深度の幅内に収まるように設定される。このとき、(1)式において、焦点深度からデフォーカス量の制御精度及び上記の第1の振動によるZ方向への振動の振幅を差し引くことで、床ユニット17の振動特性に依存するZ方向の振動の振幅に対する許容レベルが求められる。この許容レベルを、上記の第1の振動に能動型防振台35及び41における減衰特性を乗じた振動と平均的な外乱又は暗振動による振動とによって床ユニット17に加えられるZ方向の力で割ることによって、その移動σ値c(n)の許容値a2を求めることができる。
次に、床ユニット17の振動特性を時間軸上で評価する手法を用いて、本例の投影露光装置、及びその基礎部材としての床ユニット17の製造を行う場合の工程の一例につき図5のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図5のステップ101に示すように、投影露光装置のモデルを設計及び構造解析用のコンピュータのデータ上で構築する。即ち、図3(A)のレチクルステージユニット15、図3(B)のウエハステージユニット16、図2の能動型防振台35、コラム構造体CL、照明光学系9を含む照明系サブチャンバ39、図1のレーザ光源1、アライメント系やオートフォーカスセンサやレーザ干渉計等の各種センサ、及び送光光学系(不図示)等の設計を行う。次のステップ102において、所定の装置性能(露光精度)としてのAF精度及び同期精度がそれぞれ上記の(1)式及び(2)式の許容範囲内に収まるように、上述のように図3(C)の床ユニット17に単位のハンマー入力を与えた場合の、その床ユニット17の加速度a(t)の移動平均値b(t)及び移動σ値(移動標準偏差値)c(t)の許容範囲(上記の幅a1及び許容値a2)を定める。
次のステップ103において、図3(C)の床ユニット17の設計を行う。この際に、床ユニット17の振動特性を、上記の移動平均値b(t)及び移動σ値c(t)がそれぞれ対応する許容範囲内となるように設定する。このためには、一例として床ユニット17の振動特性をアクセレランス(accelerance) で表した場合に、そのアクセレランスの内の移動平均値b(t)にほぼ対応する周波数域(f1〜f2)、及び移動σ値c(t)にほぼ対応する周波数域(f3〜f4)における値をそれぞれ上記の許容範囲(a1及びa2)に対応する値以下とすればよい。なお、そのアクセレラレンスは、床ユニット17に単位のハンマー入力を与えた場合の周波数毎の加速度であり、その単位は、加速度/力、即ち1/質量(1/kg)である。
図6(A)は、設計された床ユニット17の構造解析によって求められるアクセレランスの一例を示し、図6(B)は、図6(A)の計算結果の確からしさを表わす値(コヒーレンス)である。図6(A)及び図6(B)の横軸はそれぞれ対数表示の周波数(Hz)である。また、図6(A)において、点線の曲線70は、低周波数領域での加速度よりも高周波数領域での加速度が小さくなるように設計した比較例であり、実線の曲線71が、最終的な床ユニット17に近いモデルで計算されたアクセレランスである。また、上記の許容範囲に応じて定まる基準は、実線の直線72であるとする。この場合一例として、周波数域(f1〜f2)は10〜20Hzであり、周波数域(f3〜f4)は100〜200Hzである。従って、それらの周波数域(f1〜f2)及び(f3〜f4)における曲線71のアクセレランスの値が直線72で定まる基準値よりも小さくなればよい。
図6(A)の場合には、周波数域(f1〜f2)においてアクセレランスが基準値を超えているため、低周波数領域での剛性を高めるように床ユニット17の設計が僅かに変更される。そして、それらの周波数域におけるアクセレランスの値が基準値以下となるように、床ユニット17の設計が行われる。続いて、本例の投影露光装置が設置されるデバイス製造工場に、その設計データに基づいて図3(C)の床構造としての床ユニット17が設置される。なお、その床ユニット17としては、そのデバイス製造工場に既に設置されている床ユニットをそのまま用いてもよい。
次のステップ104において、そのデバイス製造工場の床構造としての床ユニット17に実際に或るハンマー入力(F)を与えて、その床ユニット17の加速度a(t)’を所定のサンプリング周期Δtで計測する。一例としてそのサンプリング周期Δtは1ms程度であり、そのサンプリングレートは1kHz程度である。
図7は、床ユニット17のペデスタル32にハンマー66を用いて或る入力(F)を与える場合の配置の一例を示し、この図7において、図3(C)のベースプレート33は図示省略されている。この場合、ハンマー66には、ペデスタル32に衝突した際の力(N)の変化を計測できる不図示の計測装置が接続されている。また、ペデスタル32上のハンマー66によって入力が与えられる位置の近傍に1組の加速度センサ40Aが配置されており、1組の加速度センサ40Aによって、ハンマー入力後のペデスタル32(床ユニット17)のX方向、Y方向、及びZ方向の加速度a(t)’の変化が計測される。その加速度が床構造の応答情報に対応している。
図8は、ペデスタル32に対するハンマー入力の一例を示し、この図8の横軸は時間(sec)、縦軸はそのハンマーに備えられている計測装置で計測される力(N)である。なお、図8では、ハンマー入力はZ方向に与えられているが、必要に応じてハンマー入力をX方向及びY方向に与えてもよい。
次のステップ105において、図8のハンマー入力の最大値Fmaxが単位入力である1(N)になるように規格化を行う。この規格化にために図8のハンマー入力の力がFmaxで除算されるため、ステップ104で計測された加速度a(t)’についてもFmaxで除算することによって、その加速度a(t)’を規格化した加速度a(t)を求める。
図9(A)は、その規格化された加速度a(t)の一例を示し、図9(A)の横軸は時間t(sec)、縦軸は加速度a(t)(m/s2 )である。また、図9(A)において、i番目(i=0,1,2,…)に計測される加速度a(t)をa(i)、n番目(n=0,1,2,…)に計測される加速度a(t)をa(n)として、例えばウエハ上の代表的な形状のショット領域を走査露光する際の露光時間とほぼ等しい平均時間をTとする。この際に、偶数の整数mを用いて(3)式が成立するようにその平均時間Tを微調整する。そして、上記の(4)式を用いて加速度a(t)の移動平均値b(n)を計算した後、上記の(5)式を用いて加速度a(t)の移動σ値c(n)を計算する。図9(B)がそのように計算された移動平均値b(n)を示し、図9(C)が移動σ値c(n)を示している。また、図9(B)及び図9(C)には、ステップ102において設定された移動平均値b(n)の許容範囲の幅a1、及び移動σ値c(n)の許容値a2も示されている。
次のステップ106において、ステップ105で求められた移動平均値b(n)が許容範囲である幅a1以内(−a1/2以上で+a1/2以下)にあるか、更に移動σ値c(n)が許容範囲であるa2以下であるかどうかが判定される。本例では、図9(B)及び図9(C)から分かるように、移動平均値b(n)及び移動σ値c(n)の両方が許容範囲を外れている。そこで、動作はステップ107に移行して、床構造としての床ユニット17の補強を行う。具体的に、図7において、床FL上でペデスタル32を支持する支柱31と並列にH型鋼等からなる支柱31A,31Bを追加する。なお、床構造が床FL自体である場合には、その床FLを補強するためには、その下面の梁構造に梁を追加するなどの工事を行えばよい。
次に、動作はステップ104に戻り、補強後の床ユニット17に再び或るハンマー入力を与えて、その加速度a(t)’を計測した後、ステップ105において、規格化後の加速度a(t)の移動平均値及び移動σ値を求める。そして、ステップ106において、それらが許容範囲内にあるかどうかを判定し、それらが何れも許容範囲内である場合には、工程はステップ108に以降して、床構造としての床ユニット17に図2に示すように本例の投影露光装置を設置する。その後、光学系や制御系の調整を行うことで投影露光装置の組立・調整が完了する。
上述のように本例では、床構造としての床ユニット17の振動特性を評価するために、それにハンマー入力を与えた場合の加速度を計測し、その加速度の移動平均値及び移動σ値を求め、これらが許容範囲内かどうかで床ユニット17の振動特性が許容範囲内かどうかを判定している。従って、床構造の応答情報の時間軸上での評価結果に基づいて、床ユニット17の振動特性の合否判定を容易に行うことができる。また、その加速度の移動平均値の許容範囲は同期精度に基づいて定められ、その移動σ値の許容範囲はAF精度に基づいて定められているため、本例によれば床ユニット17の振動特性を装置性能(露光精度)に直接的に対応する形で評価することができる。
また、本例では加速度の移動平均値及び移動σ値が許容範囲内でないときに床ユニット17の補強を行っているため、床ユニット17の振動特性又は剛性を必要以上に過剰な特性に設定することがなく、床ユニット17を含むデバイス製造工場の建設コストを低減できる。
なお、本例では、床構造としての床ユニット17の応答情報を時間軸上で評価しているが、その他に図3(A)のレチクルステージユニット15及び図3(B)のウエハステージユニット16についてもその応答情報を時間軸上で評価するようにしてもよい。これによってレチクルステージユニット15及びウエハステージユニット16についてもその振動特性を容易に評価できる。
また、本発明の振動特性又は剛性の評価方法は、露光装置のみならず、リソグラフィ装置としてのレジストコータ、レジストデベロッパ、及び座標測定装置などの振動特性を評価する場合にも適用することができる。
更に、上記の実施の形態の投影露光装置を用いてウエハ上に半導体デバイスを製造する場合、この半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、このステップに基づいたレチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを制作するステップ、上記の実施の形態の投影露光装置によりアライメントを行ってレチクルのパターンをウエハに露光するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
また、本発明は、走査露光型の投影露光装置(走査露光装置)のみならず、ステップ・アンド・リピート方式(一括露光方式)の投影露光装置を製造する場合にも適用できる。更に本発明は、例えば国際公開(WO)第99/49504号パンフレットなどに開示される液浸型露光装置、更には投影光学系を使用しないプロキシミティ方式等の露光装置を製造する場合にも適用することができる。
また、露光光(露光ビーム)は波長100〜400nm程度の紫外光に限られるものではなく、例えばレーザプラズマ光源又はSOR(Synchrotron Orbital Radiation)リングから発生する軟X線領域(波長5〜50nm)のEUV光(Extreme Ultraviolet Light )を用いてもよい。EUV露光装置では、照明光学系及び投影光学系はそれぞれ複数の反射光学素子のみから構成される。
これらの場合、ウエハステージ系やレチクルステージ系にリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型、又は磁気浮上型等の何れの方式で可動ステージを保持してもよい。また、可動ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもよいし、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
また、ウエハステージ又はレチクルステージのステップ移動時や走査露光時等の加減速時に発生する反力は、それぞれ例えば米国特許(USP) 第5,528,118 号、又は米国特許(USP) 第6,020,710 号(特開平8−33022号公報)に開示されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
なお、本発明の露光装置の用途としては半導体デバイス製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
本発明によれば、装置性能と同様の評価基準で床構造等の構造物の振動特性又は剛性を評価できるため、露光装置等のリソグラフィ装置を効率的に製造することができる。
本発明の実施形態の一例の投影露光装置の概略構成を示すブロック図である。 図1の投影露光装置がデバイス製造工場に設置された状態を示す一部を切り欠いた図である。 (A)は図1の投影露光装置のレチクルステージユニット15を示す斜視図、(B)は図1の投影露光装置のウエハステージユニット16を示す一部を切り欠いた斜視図、(C)は図1の投影露光装置が設置される床ユニット17を示す斜視図である。 図1の投影露光装置の制御系の信号路及び振動の伝達路を示す図である。 図1の投影露光装置の設計及び製造を行う場合の工程の一例を示すフローチャートである。 (A)は床ユニット17の振動特性としてのアクセレランスを示す図、(B)は図6(A)に対応するコヒーレンスを示す図である。 床ユニット17のペデスタル32にハンマー入力を与える状態を示す図である。 そのハンマー入力の一例を示す図である。 (A)はそのハンマー入力後に計測される規格化された加速度を示す図、(B)はその加速度の移動平均値を示す図、(C)はその加速度の移動標準偏差値を示す図、(D)は移動平均値を求める際の平均時間Tの決定方法の説明に供する図である。 (A)は従来の床のイナータンス特性のゲイン(dB)を示す図、(B)は図10(A)に対応する位相(deg)を示す図である。
符号の説明
R…レチクル、W…ウエハ、PL…投影光学系、RST…レチクルステージ、WST…ウエハステージ、CL…コラム構造体、9…照明光学系、15…レチクルステージユニット、16…ウエハステージユニット、17…床ユニット、31…支柱、32…ペデスタル、33…ベースプレート、35…能動型防振台、41…能動型防振台、42…ウエハベース

Claims (7)

  1. 床構造上に第1防振機構を介して支持されてマスクを保持するマスクステージと、前記床構造上に第2防振機構を介して支持されて基板を保持する基板ステージとを備え、前記マスクのパターンを前記基板上に露光するリソグラフィ装置を製造する方法において、
    前記床構造に或る入力を与えて前記床構造の応答情報を計測する第1工程と、
    前記床構造の応答情報を時間軸上で評価する第2工程とを有することを特徴とするリソグラフィ装置の製造方法。
  2. 前記第2工程の評価結果に応じて、前記床構造の補強を行う第3工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置の製造方法。
  3. 前記第1工程で計測される前記床構造の応答情報は、前記床構造の所定のサンプリング周期で求められる加速度であり、
    前記第2工程で時間軸上で評価される情報は、前記床構造の加速度の所定の平均時間毎の移動平均値を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のリソグラフィ装置の製造方法。
  4. 前記リソグラフィ装置は、前記基板の露光時に、スリット状の露光領域で前記基板を露光した状態で、前記マスクステージと前記基板ステージとを同期移動する走査型露光装置であり、
    前記加速度の移動平均値の許容範囲は、前記マスクステージと前記基板ステージとの同期精度に基づいて定められることを特徴とする請求項3に記載のリソグラフィ装置の製造方法。
  5. 前記第1工程で計測される前記床構造の応答情報は、前記床構造の所定のサンプリング周期で求められる加速度であり、
    前記第2工程で時間軸上で評価される情報は、前記床構造の加速度の所定の平均時間毎の移動標準偏差値を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のリソグラフィ装置の製造方法。
  6. 前記リソグラフィ装置は、前記マスクのパターンを前記基板上に投影する投影光学系を含み、
    前記加速度の移動標準偏差値の許容範囲は、前記投影光学系の像面に対する前記基板の表面の合焦精度に応じて定められることを特徴とする請求項5に記載のリソグラフィ装置の製造方法。
  7. 前記リソグラフィ装置は、前記基板の露光時に、スリット状の露光領域で前記基板を露光した状態で、前記マスクステージと前記基板ステージとを同期移動する走査型露光装置であり、
    前記所定の平均時間は、前記基板上の一つのショット領域を前記スリット状の露光領域が通過する時間と実質的に等しいことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載のリソグラフィ装置の製造方法。
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