JP2005243879A - 高調波レーザビーム発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 レーザ光源と波長変換装置とを含み、高調波への変換効率を高めることができる高調波レーザビーム発生装置を提供する。
【解決手段】 高調波レーザビーム発生装置は、光共振器を有し、パルスレーザビームを出射するQスイッチレーザ光源である第1のレーザ光源と、前記第1のレーザ光源が出射するパルスレーザビームのパルス幅より短いパルス幅のパルスレーザビームを出射する第2のレーザ光源と、前記第2のレーザ光源から出射したパルスレーザビームを、前記第1のレーザ光源が有する光共振器内を往復する光の経路に沿って進行させる光学系と、前記第1のレーザ光源が有する光共振器から出射したレーザビームが入射するように配置され、入射したレーザビームの2次以上の高調波を発生させる波長変換装置とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 高調波レーザビーム発生装置は、光共振器を有し、パルスレーザビームを出射するQスイッチレーザ光源である第1のレーザ光源と、前記第1のレーザ光源が出射するパルスレーザビームのパルス幅より短いパルス幅のパルスレーザビームを出射する第2のレーザ光源と、前記第2のレーザ光源から出射したパルスレーザビームを、前記第1のレーザ光源が有する光共振器内を往復する光の経路に沿って進行させる光学系と、前記第1のレーザ光源が有する光共振器から出射したレーザビームが入射するように配置され、入射したレーザビームの2次以上の高調波を発生させる波長変換装置とを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高調波レーザビーム発生装置に関し、特に、波長変換素子により高調波レーザビームを発生させる高調波レーザビーム発生装置に関する。
レーザビームを出射するレーザ光源の1つとして、Qスイッチレーザが用いられている。Qスイッチレーザは、例えば、全反射鏡と部分反射鏡とからなる光共振器と、光共振器の内部に配置されたレーザ媒質及びQスイッチ素子を含んで構成される。Qスイッチ素子が、光共振器内の損失を変化させることにより、レーザビームが発振できる状態と発振できない状態とを切り替える。Qスイッチ素子により、レーザビームが発振できる状態になると、レーザ媒質から自然放出された光が増幅されて、レーザ光源からパルスレーザビームが出射する。このようなQスイッチレーザは、パルス周波数が数kHz程度であり、パルスエネルギがmJ〜Jのオーダであり、パルス幅がnsのオーダのパルスレーザビームを出射する。
ところで、レーザ光源から出射したレーザビームを、波長変換素子を用いて高調波に変換する技術が知られている。波長変換素子として、例えば、BBO(Beta Barium Borate、β−BaB2O4)結晶が用いられる。BBO結晶は、入射したレーザビームを、その2倍高調波に変換することができる。BBO結晶から出射した2倍高調波を、さらにBBO結晶に入射させることにより、元のレーザビームの4倍高調波を発生させることができる。例えば、波長1064nmであるYAGレーザの基本波を、波長266nmの4倍高調波に変換することができる。例えば、レーザ照射により加工対象物に凹部を形成するとき、照射するレーザビームの波長を短くすることにより、微細な加工が容易になる。
例えば、特許文献1に、上述のようなQスイッチレーザから出射するパルスレーザビームを、波長変換素子で高調波に変換して、加工対象物に照射するレーザ加工装置が記載されている。
上述したようなQスイッチレーザから出射したレーザビームを、BBO結晶等の波長変換素子に入射させたとき、高調波への変換効率が低いので、充分な強度の高調波が得られない。
本発明の一目的は、レーザ光源と波長変換装置とを含み、高調波への変換効率を高めることができる高調波レーザビーム発生装置を提供することである。
本発明の一観点によれば、光共振器を有し、パルスレーザビームを出射するQスイッチレーザ光源である第1のレーザ光源と、前記第1のレーザ光源が出射するパルスレーザビームのパルス幅より短いパルス幅のパルスレーザビームを出射する第2のレーザ光源と、前記第2のレーザ光源から出射したパルスレーザビームを、前記第1のレーザ光源が有する光共振器内を往復する光の経路に沿って進行させる光学系と、前記第1のレーザ光源が有する光共振器から出射したレーザビームが入射するように配置され、入射したレーザビームの2次以上の高調波を発生させる波長変換装置とを有する高調波レーザビーム発生装置が提供される。
Qスイッチレーザの光共振器に第2のレーザ光源から出射したレーザビームが注入され、このレーザビームが増幅されることにより、Qスイッチレーザからパルスレーザビームが出射する。このパルスレーザビームは、該光共振器にレーザビームを注入しないときに、Qスイッチレーザが出射することのできるパルスレーザビームに比べて、パルス幅が短く、ピーク強度が高くなる。該光共振器にレーザビームを注入することによりQスイッチレーザから出射させたパルスレーザビームを、波長変換装置で高調波に変換することにより、高調波への変換効率を高めることができる。
図1は、本発明の実施例による高調波レーザビーム発生装置の概略図である。レーザ光源10が、全反射鏡5a、部分反射鏡5b、レーザ媒質6、励起源7、偏光子3、ポッケルスセル4a、1/4波長板4bを含んで構成される。以下、レーザ光源10について詳しく説明する。
全反射鏡5a及び部分反射鏡5bとが、反射面が互いに対向するように配置される。全反射鏡5aは、反射面に入射した光のすべてを反射し、部分反射鏡5bは、反射面に入射した光の一部を透過させ、残りを反射させる。全反射鏡5aと部分反射鏡5bとを、光が往復することができる。全反射鏡5a及び部分反射鏡5bが、光共振器5を構成する。
光共振器5の内部の、全反射鏡5aから部分反射鏡5bまでの光路上に、例えばYAGからなるレーザ媒質6が配置される。例えばフラッシュランプである励起源7が、レーザ媒質6にエネルギを供給することにより、レーザ発振に必要な反転分布が得られる。光共振器5の内部の、全反射鏡5aからレーザ媒質6までの光路上に、偏光子3が配置される。偏光子3は、入射するP波を透過させ、入射するS波を反射させる。
光共振器5の内部の、全反射鏡5aから偏光子3までの光路上に、1/4波長板4b及びポッケルスセル4aが配置される。1/4波長板4bは、それに2回入射した光の偏光面を、元の偏光面から90度旋回させる。ポッケルスセル4aは、所定電圧が印加されると、1/4波長板4bと同様に作用して、それに入射した光の偏光状態を変化させ、電圧が印加されないと、それに入射した光の偏光状態を変化させない。ポッケルスセル4a及び1/4波長板4bが、偏光面制御装置4を構成する。
偏光子3から、全反射鏡5aに向けて出射して、偏光面制御装置4を通過し、全反射鏡5aで反射され、再び偏光面制御装置4を通過し、偏光子3に戻る光を考える。この光は、ポッケルスセル4a及び1/4波長板4bを2回ずつ通過する。よって、偏光面制御装置4に(ポッケルスセル4aに)電圧が印加されないとき、1/4波長板4bの作用により、この光の偏光面が90度旋回する。一方、偏光面制御装置4に電圧が印加されているとき、1/4波長板4b及びポッケルスセル4aの作用により、この光の偏光面が180度旋回する。
レーザ媒質6から出射して、偏光子3を透過したP波を考える。偏光面制御装置4に電圧が印加されていない場合、この光は、全反射鏡5aで反射されて、偏光子3まで戻ってきたとき、偏光面が90度旋回されたS波となっている。このS波は偏光子3で反射されて、全反射鏡5aと部分反射鏡5bとを往復する光路から外れる。このとき、光共振器5内で光の増幅が起こらない。
一方、偏光面制御装置4に電圧が印加されている場合、このP波は、全反射鏡5aで反射されて、偏光子3まで戻ってきたとき、偏光面が180度回転されているので、P波のままである。このP波は偏光子3を透過し、レーザ媒質6を通過し、部分反射鏡5bで反射され、再びレーザ媒質6を通過して、偏光子3を透過する。このようにして、P波が、全反射鏡5aと部分反射鏡5bとの間の往復を繰り返す。P波が往復を続け、レーザ媒質6を繰り返し通過することにより(レーザ媒質6内での誘導放出が繰り返されることにより)、光共振器5内で光が増幅される。増幅された光(レーザビーム)が、部分反射鏡5bから出射する。
このように、偏光面制御装置4に電圧を印加することにより、レーザ光源10からパルスレーザビームを出射させることができる。レーザ光源10は、Qスイッチレーザの一構成例である。
図1に示す高調波レーザビーム発生装置では、以下に説明するように、レーザ光源10の光共振器5内に、他のレーザ光源1から出射したパルスレーザビームを注入する。これにより、レーザ光源10は、レーザ媒質6から自然放出する光の代わりに、注入されたパルスレーザビーム(このパルスレーザビームを種光と呼ぶ)を元に光を増幅して、パルスレーザビームを出射する。
レーザ光源1が、偏光子3に対するS波となるパルスレーザビームPLを出射する。レーザ光源1は、例えば、レーザ媒質にYVO4を用いたモードロックレーザであり、数百MHz程度のパルス周波数で、パルスエネルギが1nJ程度、パルス幅が10ps程度、1パルスの平均強度が100W程度のパルスレーザビームを出射する。
レーザ光源1から出射したパルスレーザビームPLが、折り返しミラー2で反射されて、レーザ光源10が有する光共振器5の内部に配置された偏光子3に入射する。パルスレーザビームPLが、偏光子3で反射されて、部分反射鏡5bから全反射鏡5aに向かう方向に進行し、偏光面制御装置4に入射する。このようにして、光共振器5にパルスレーザビームPL(種光)が注入される。種光が注入された状態で偏光面制御装置4に電圧が印加されたとき、レーザ光源10は、種光を増幅することにより、パルスレーザビームを出射する。
なお、種光が注入されない状態で偏光面制御装置4に電圧が印加されたときも、レーザ光源10は、レーザビームを出射することができる。このとき、レーザ光源10は、例えば、1kHz程度のパルス周波数で、パルスエネルギが100mJ程度、パルス幅が1ns程度、1パルスの平均強度が100MW程度のパルスレーザビームを出射する。
レーザ光源1が出射するレーザビームのパルス幅は、長くとも、種光を注入しない場合にレーザ光源10が出射するレーザビームのパルス幅の1/10以下に設定される。また、レーザ光源1から出射されるレーザビームの波長と、レーザ光源10が出射するレーザビームの波長とは、ほぼ等しくなるように選択される。
レーザ光源10を出射したレーザビームが、波長変換装置8に入射する。波長変換装置8は、例えば、BBO結晶を含む波長変換素子を2つ用いて構成され、入射したレーザビームを4倍高調波に変換する。BBO結晶は、それに入射したレーザビームを2倍高調波に変換する。BBO結晶から出射した2倍高調波を、さらにBBO結晶に入射させることにより、元のレーザビームの4倍高調波を発生させることができる。
次に、図2に示すタイミングチャートを参照して、光共振器5に注入された種光の、各時刻における光共振器5内での位置について説明する。図2のタイミングチャートの横軸が、光共振器5内の位置を示す。パルスが、偏光子3を起点に、共振器5内を1往復するまで(偏光子3から全反射鏡5aに向けて出射し、全反射鏡5aと部分反射鏡5bとで順次反射されて再び偏光子3に戻ってくるまで)に通過する位置が、図の左端から右端までに示されている。
なお、光共振器5内の同一の位置でも、そこをパルスが全反射鏡5aから部分反射鏡5bに向かって通過するときと、部分反射鏡5bから全反射鏡5aに向かって通過するときとでは、図において別の位置に表示される。図の左端と右端とは、パルスが部分反射鏡5bから全反射鏡5aに向かって通過するときの、偏光子3の位置を示す。図の縦軸がns単位で示した時間を表す。図において、パルスは、時間の経過とともに左方から右方に移動するように表示され、右端に到達したら、再び左端に表示される。パルスは1nsの間に、30cm移動する。
ここで説明する例では、パルスレーザビームPLのパルス周波数を357MHzとし(つまり、パルス周期を2.8nsとし)、共振器5の長さ(部分反射鏡5bの反射面から全反射鏡5aの反射面までの距離)を1mとする。1つ目のパルスP1が偏光子3に入射した時点を時刻の原点とし、それから7ns後に、偏光面制御装置4に所定電圧が印加される(それまでは、偏光面制御装置4に電圧が印加されない)。
時刻0nsから時刻7nsの少し前までの期間の、パルスP1の挙動について説明する。タイミングチャートの時刻0の位置に示すように、S波である1つ目のパルスP1が、レーザ光源1から偏光子3に入射する。偏光子3で反射されたパルスP1が、偏光面制御装置4に入射し、全反射鏡5aで反射され、偏光面制御装置4を通過する。偏光面制御装置4を通過したパルスP1は、偏光面が90度旋回されたP波となっている。P波となったパルスP1が、偏光子3を透過して、レーザ媒質6を通過し、部分反射鏡5bで反射されて、再びレーザ媒質6を通過する。レーザ媒質6を通過したパルスP1が、時刻約6.7nsに偏光子3に入射する。
2つ目のパルスP2が、時刻2.8nsにおいて、レーザ光源1から偏光子3に入射し、3つ目のパルスP3が、時刻5.6nsにおいて、レーザ光源1から偏光子3に入射する。パルスP2及びパルスP3が、パルスP1と同様にして、光共振器5内を進行する。なお、パルスP2及びP3の入射時点(時刻2.8ns及び5.6ns)の各パルスの配置については図示していない。
時刻7nsに、偏光面制御装置4に(ポッケルスセル4aに)所定電圧が印加される。この時点で、パルスP1は、偏光子3を透過して、ポッケルスセル4aに向かって進行している。パルスP2は、レーザ媒質6を通過して、部分反射鏡5bに向かって進行している。パルスP3は、ポッケルスセル4aから出射して、ポッケルスセル4aから偏光子3に向かって進行している。パルスP1〜P3は、すべてP波であり、ポッケルスセル4aより偏光子3側に位置する。
偏光面制御装置4に所定電圧が印加された時刻以後、パルスP1〜P3は、偏光子3側から偏光面制御装置4に入射する。偏光面制御装置4に所定電圧が印加されているので、偏光子3から偏光面制御装置4に入射し、全反射鏡5aで反射され、偏光面制御装置4を通過して偏光子3に入射するパルスは、P波のままである。このようにして、パルスP1〜P3が、偏光面制御装置4側から偏光子3に常にP波として入射する。これにより、これらのパルスは、光共振器5内を往復し続けることができる。このようにして、3つのパルスP1〜P3を元に、光共振器5内で光が増幅され、部分反射鏡5bからパルスレーザビームが出射する。
種光を注入したときに出射されるレーザビームのパルス幅は、種光を注入しないときに出射されるレーザビーム(レーザ媒質6から自然放出される光を元に光が増幅されて出射するレーザビーム)のパルス幅に比べて、パルスレーザビームPLのそれに近づく。つまり、種光の注入により、種光を注入しないときと比べて、レーザ光源10から出射されるレーザビームのパルス幅が短くなる。
なお、S波である4つ目のパルスP4が、時刻8.4nsにおいて、レーザ光源1から偏光子3に入射する(パルスP4の入射時点の各パルスの配置については図示せず)。偏光面制御装置4に電圧が印加されているので、このパルスP4は、偏光子3から偏光面制御装置4に入射し、全反射鏡5aで反射され、偏光面制御装置4を通過して偏光子3に入射するとき、S波のままである。よって、時刻10nsを少し過ぎた時点に示すように、このパルスP4は、偏光子3で反射されて、光共振器5の外に放出される。このように、偏光面制御装置4への電圧印加後に光共振器5に入射するパルスレーザビームPLは、レーザ媒質6に入射することなく、光共振器5の外に放出される。
次に、図3を参照し、上述したような構成のQスイッチレーザ光源に、モードロックレーザ光源から出射した種光を注入して、Qスイッチレーザ光源からパルスレーザビームを出射させた実験、及び、種光を注入せずにQスイッチレーザ光源からパルスレーザビームを出射させた実験について説明する。
Qスイッチレーザ光源のレーザ媒質はYAGであり、モードロックレーザ光源のレーザ媒質はYVO4である。両レーザ光源とも、出射するレーザビームの波長は1064nmである。モードロックレーザ光源のパルス周波数は119MHzであり(パルス周期は8.4nsであり)、パルス幅は10psであり、出力は4Wである。
図3は、Qスイッチレーザ光源から出射したパルスレーザビームの強度の時間変化を、種光を注入しない場合と注入した場合とについて示したグラフである。グラフの横軸がns単位で示した時刻であり、縦軸が任意単位で示した強度である。なお、種光を注入しない場合より、注入した場合の方が、ポッケルスセルへの電圧印加からパルスの出射開始までの期間が短くなる。種光はレーザ媒質内で自然放出される光に比べて強度が高いので、種光を注入した場合の方が、レーザビームが早く出射する。
種光を注入しない場合の結果がグラフC1である。ポッケルスセルへ電圧が印加されると、時刻30ns〜50nsの辺りに示すように、パルス幅数ns程度のパルスが出射される。なお、3つのパルスが出射されているが、これは各々異なる縦モードに対応する。光共振器の配置等によって、ポッケルスセルへの1回の電圧印加時に、複数の縦モードのレーザビームが出射される。
種光を注入した場合の結果がグラフC2である。ポッケルスセルへ電圧が印加されると、時刻0ns〜20nsの辺りに示すように、パルス幅1ns未満の多数のパルスが出射される。種光を注入することにより、パルス幅が短くなることがわかる。時刻2ns〜3ns辺りに示されているパルスのピーク強度は、種光を注入しなかった場合に出射されたパルスのピーク強度の2倍程度である。種光を注入することにより、ピーク強度の高いパルスを出射させることができることがわかる。
図2を参照して説明したように、ポッケルスセルへの電圧印加時に、Qスイッチレーザ光源の光共振器内に複数個の種光のパルスが存在する。このため、各種光のパルスが増幅されたレーザビームが、順次Qスイッチレーザ光源から出射される。また、種光のパルスが増幅されたレーザビームが、光共振器の部分反射鏡に到達したとき、部分反射鏡からそのレーザビームの一部が出射される。光共振器から出射されなかったレーザビームが、光共振器内を往復し、部分反射鏡に戻ってきたとき、再びその一部が出射される。このため、各種光のパルスが増幅されたレーザビームが、光共振器内を往復する度にQスイッチレーザ光源から出射される。このようにして、種光を注入した場合、ポッケルスセルへの1回の電圧印加時に、多数のパルスが出射される。
次に、図4を参照し、Qスイッチレーザ光源から出射したパルスレーザビームを、波長変換装置に入射させ、4倍高調波に変換した実験について説明する。Qスイッチレーザ光源に種光を注入する場合と注入しない場合とについて実験を行った。Qスイッチレーザ光源のポッケルスセルに1回電圧を印加したときに出射するレーザビームの強度を、ホトダイオードで測定した。
図4(A)及び図4(B)がそれぞれ、種光を注入しない場合及び注入した場合について、Qスイッチレーザ光源から出射した基本波及び波長変換素子から出射した4倍高調波の強度を示すグラフである。両グラフとも、横軸がns単位で示した時刻であり、縦軸が任意単位で示した強度である。なお、測定のノイズの強度が、縦軸の0.01程度である。
図4(A)に示すグラフC3a及び図4(B)に示すグラフC4aが、それぞれ、種光を注入しない場合及び種光を注入した場合の基本波の強度を示す。グラフC3a及びグラフC4aに示すように、種光を注入しない場合及び注入した場合における基本波の強度変化の概形は、ほぼ等しい。2つの基本波は、ともに100ns程度の幅のパルス状であり、時間的に平均した強度が両者でほぼ等しい。
なお、グラフC3a及びC4aは、それぞれ図3に示したグラフC1及びC2に対応するが、図4に示した実験では、測定器の時間分解能を低く設定しているため、図3に示したような短い時間間隔における強度変化が平均化されている。そのため、種光を注入しない場合と注入した場合とで、基本波の強度がほぼ同様に変化するように観測されている。なお、グラフC3a及びC4a上の細かい凹凸(グラフC3aの50〜150nm辺りの細かい凹凸と、グラフC4aの0〜100nm辺りの細かい凹凸)の形状を比較すると、グラフC4aの凹凸の方が、短い時間間隔で変化している。これは、種光の注入により、短いパルス幅のパルスが発生していることに対応する。
図4(A)に示すグラフC3が、種光を注入しなかった場合の4倍高調波の強度を示す。この場合の4倍高調波の強度は、高々ノイズと同程度(縦軸の0.01程度)である。このように、種光を注入せずにQスイッチレーザ光源から出射したレーザビームを波長変換装置に入射させた場合は、波長変換装置から4倍高調波がほとんど出射しなかった。
図4(B)に示すグラフC4が、種光を注入した場合の4倍高調波の強度を示す。この場合の4倍高調波の強度は、最大で縦軸の1程度に達する。これは、種光を注入しない場合に得られた4倍高調波の強度の100倍程度である。このように、種光を注入することにより、波長変換装置から出射する4倍高調波の強度を、著しく増加させることができた。種光を注入しない場合と注入した場合とで、基本波の平均的な強度がほぼ等しいので、種光を注入したことにより、4倍高調波への変換効率が100倍程度に向上したと言える。
以上説明したように、図1に示した高調波レーザビーム発生装置は、Qスイッチレーザに種光を注入して出射させたパルスレーザビームを、波長変換装置に入射させることにより、高調波への変換効率を向上させ、強度の高い高調波を出射させることができる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
1 レーザ光源
2 折り返しミラー
3 偏光子
4a ポッケルスセル
4b 1/4波長板
4 偏光面制御装置
5a 全反射鏡
5b 部分反射鏡
5 光共振器
6 レーザ媒質
7 励起源
8 波長変換装置
2 折り返しミラー
3 偏光子
4a ポッケルスセル
4b 1/4波長板
4 偏光面制御装置
5a 全反射鏡
5b 部分反射鏡
5 光共振器
6 レーザ媒質
7 励起源
8 波長変換装置
Claims (1)
- 光共振器を有し、パルスレーザビームを出射するQスイッチレーザ光源である第1のレーザ光源と、
前記第1のレーザ光源が出射するパルスレーザビームのパルス幅より短いパルス幅のパルスレーザビームを出射する第2のレーザ光源と、
前記第2のレーザ光源から出射したパルスレーザビームを、前記第1のレーザ光源が有する光共振器内を往復する光の経路に沿って進行させる光学系と、
前記第1のレーザ光源が有する光共振器から出射したレーザビームが入射するように配置され、入射したレーザビームの2次以上の高調波を発生させる波長変換装置と
を有する高調波レーザビーム発生装置。
Priority Applications (1)
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