JP2004063924A - レーザアニール方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高分子材料で形成した基板上のアモルファスシリコン薄膜を良好にアニーリングしてポリシリコン化するレーザアニール方法を提供する。
【解決手段】波長が1064nmで、且つパルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を固体レーザ発振装置1から出射し、このパルスレーザ光を波長変換部2で波長が532又は352nmのレーザ光に変換した後、このパルスレーザ光をプラスチックの基板7上に形成したアモルファスシリコン薄膜6に照射して、このアモルファスシリコン薄膜6のアニーリングを行う。
【選択図】 図1
【解決手段】波長が1064nmで、且つパルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を固体レーザ発振装置1から出射し、このパルスレーザ光を波長変換部2で波長が532又は352nmのレーザ光に変換した後、このパルスレーザ光をプラスチックの基板7上に形成したアモルファスシリコン薄膜6に照射して、このアモルファスシリコン薄膜6のアニーリングを行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザアニール方法及び装置に関し、特に半導体ディスプレイ製造装置に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子の移動度の大きいポリシリコンを使った薄膜トランジスタ(TFT)のディスプレイが低電力化や小型化などのメリットから主流になりつつある。この場合のポリシリコンは、アモルファスシリコン薄膜のアニーリングにより形成するとともに、アニーリング温度を下げるためにシリコン表面の局所加熱が可能なレーザアニーリング法が使われる。このアニーリング用レーザとしてはXeClエキシマレーザが汎用されている。XeClエキシマレーザレーザの波長は紫外域の308nmであり、アモルファスシリコン薄膜への吸収が大きく局所加熱には有効である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、下地である基板がプラスティックの場合、300nm近傍の紫外光の吸収が極めて大きくなり、さらに熱的に弱いため、透過紫外レーザ光の吸収が生じて温度が上がり、基板に熱歪が発生し、薄膜が損傷を受けるという問題がある。この場合、プラスチック基板が熱的な影響を受ける原因は二つ考えられる。
【0004】
一つは、プラスティック基板自体が紫外域において光の吸収が大きいことである。これによって、アニール用照射レーザ光のシリコン透過光がプラスチック基板に吸収される結果、プラスチック基板の温度が上昇すると考えられる。ちなみに、従来は基板がガラスであったため、ガラス基板自体の紫外光の吸収はさほど大きくなく、問題にならなかった。
【0005】
もう一つは、アモルファスシリコン薄膜のレーザによる表面加熱時の熱が熱伝導によって、プラスティック基板に伝わり、プラスチック基板の温度が上昇したものであると考えられる。ちなみに、プラスティックは100℃より少し高い温度で溶融するため、従来のガラス基板に比べて、熱伝導によるプラスチック基板の温度上昇の影響が出やすい。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、プラスチック等、高分子材料で形成した基板上のアモルファスシリコン薄膜をアニーリングによりポリシリコン化する場合において、基板に発生する熱歪を可及的に抑制し、ポリシリコンの薄膜を良好に形成し得るレーザアニール方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は次の知見に基づくものである。
【0008】
プラスティック基板のレーザ光の吸収特性としてPETに関する吸収特性を調べたものがある。これを図11に示す。同図に示す特性は、横軸にレーザ光の波長を採り、且つ縦軸にレーザ光の透過率を採って示すものである。同図を参照すれば、300nmの前半よりも短い波長で大きく透過率が減少(光吸収が増加)していることが分かる。すなわち、従来技術でアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うためこのアモルファスシリコン薄膜に照射するエキシマレーザレーザのレーザ光は308nmの紫外光であるため、アモルファスシリコン薄膜を透過したエキシマレーザレーザ光が高効率で前記プラスチック基板に吸収されその温度を上昇させる。なお、図11中、「エキシマレーザ」、「固体THG」及び「固体SHG」の文字及び矢印は、それぞれエキシマレーザの波長(308nm)、固体レーザ(その波長が、例えば1064nm)の第3高調波の波長(355nm)及び前記固体レーザの第2高調波の波長(532nm)であることを示している。
【0009】
一方、図12はアモルファスシリコン薄膜におけるレーザ光の吸収特性を調べた特性図(横軸がレーザ光の波長及び縦軸がレーザ光の吸収係数)である。同図を参照すれば、アモルファスシリコン薄膜において良好な吸収が行われるのは紫外域の波長となっていることが分かる。すなわち、従来技術でアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うべくこのアモルファスシリコン薄膜に照射するエキシマレーザレーザのレーザ光は308nmの紫外光であるため、極めて良好にアモルファスシリコン薄膜に吸収されて良好なアニーリングを行い得ることが分かる。
【0010】
すなわち、アモルファスシリコン薄膜のアニーリングを良好に行うためには、波長が短い紫外域のレーザ光を採用するのが好適であるのに対し、プラスチック基板におけるレーザ光の吸収に伴うその温度上昇を防止するためには、波長が長い可視域のレーザ光を採用するのが好適であることが分かる。すなわち、アニーリングを良好に行うための要件とプラスチック基板の温度上昇を防止するための要件とはトレードオフの関係にある。したがって、アモルファスシリコン薄膜のアニーリングを良好に行うとともに、プラスチック基板の温度上昇を抑制するための波長範囲として350nm乃至550nmが好適である。
【0011】
従来技術に係るエキシマレーザとして、波長が308nmのXeClよりも長い波長においては、波長が351nmのXeFエキシマレーザが存在する。しかしながら、このXeFエキシマレーザはエキシマレーザの中でも、あまり、一般的ではなく、発振効率がXeClエキシマレーザよりも低いものと考えられる。また、このXeFエキシマレーザを含め、エキシマレーザは、一般にハロゲンガスを用いるために、このハロゲンガスのハンドリングや安全、更にはガス交換のための運転コストが高いという問題を従来から抱えている。
【0012】
このため、本願発明に係るレーザアニールに用いるレーザ装置としては、パルス動作のYAG,YLF,YVO4 などの固体レーザを用い、その第2又は3高調波を用いるのが有利である。例えばYAGレーザをベースとした場合、第2高調波として532nmのグリーン光、第3高調波として355nmの紫外光を得ることができる。
【0013】
固体レーザ装置は、最近そのレーザ発振器の励起源として従来のランプに代わり、半導体レーザを用いる装置の実用化が進んでいる。これによって、発振効率の向上や長寿命化を図ることができ、エキシマレーザに対しても運転コストの低減や、装置の小型化、安定性信頼性向上などの多くのメリットを得ることができる。
【0014】
一方、レーザ光の照射による加熱対象物の温度上昇は、照射するパルスレーザ光のパルス幅と密接な関連がある。すなわち、レーザ照射時の加熱対象物に対する入熱量はレーザ光のエネルギで決まるが、同時に加熱対象物(アモルファスシリコン薄膜)の熱伝導で周辺に温度が拡散して、温度がどんどん逃げて行く。このため、加熱対象物を同じ温度まで昇温する場合には、パルス幅が短い方が、必要なエネルギは小さくて良いし、且つ周辺の温度も上昇しにくくなる。一般にナノ秒以上のパルス幅においては、ある温度以上にするのに必要なレーザエネルギの閾値はパルス幅の1/2乗に比例すると言われている。そこで、このパルス幅を10nm未満に制御したレーザ光を照射するものとしたい。
【0015】
かかる知見に基づく本発明のレーザアニール方法の構成は次の点を特徴とする。
【0016】
1) 固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成し、このレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うこと。
【0017】
2) 固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmで、且つパルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を形成し、このパルスレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うこと。
【0018】
3) 上記2)に記載するレーザアニール方法において、
キャビティダンプ法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化すること。
【0019】
4) 上記2)に記載するレーザアニール方法において、
モードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化すること。
【0020】
5) 上記2)に記載するレーザアニール方法において、
キャビティダンプ法及びモードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化すること。
【0021】
6) 上記1)又は2)に記載するレーザアニール方法において、
パルスレーザ光のレーザビームを分割して相互にインコヒーレントなレーザ光とし、その後これらを重畳することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたこと。
【0022】
7) 上記1)又は2)に記載するレーザアニール方法において、
単一光束のパルスレーザ光を分束するとともに、分束した二光束の間に光路差を設け、
さらに前記二光束を重畳して再び単一光束に集束することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたこと。
【0023】
8) 上記1)又は2)に記載するレーザアニール方法において、
パルスレーザ光を光導波路を用いて伝送し、この伝送過程における反射により前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたこと。
【0024】
9) 上記1)又は2)に記載するレーザアニール方法において、
パルスレーザ光を複数の固体レーザ発振器から出射し、その後各パルスレーザ光を合成してアモルファスシリコン薄膜に照射することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたこと。
【0025】
10) パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、
前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、
この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したこと。
【0026】
11) パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、
前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、
この波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行う干渉低減手段とを有し、
この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したこと。
【0027】
12) パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、
前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段とを有し、
それぞれの出力であるレーザ光を合成して高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したこと。
【0028】
13) パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、
前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段と、
各波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行うとともに各出力レーザ光を合成する干渉低減手段とを有し、
この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したこと。
【0029】
14) 上記11)又は13)に記載するレーザアニール装置において、
干渉低減手段は、入射するレーザ光を分割して相互にインコヒーレントな複数のレーザ光とし、その後これらを重畳するものであること。
【0030】
15) 上記11)又は13)に記載するレーザアニール装置において、
干渉低減手段は、単一のパルスレーザ光の光源から出射するレーザ光を二光束に分束する分束器と、
前記二光束を一光束に同一光軸上で集束する集束器と、
前記二光束の光路差を可干渉性距離より長くする光路差形成光学系とを有すること。
【0031】
16) 上記11)又は13)に記載するレーザアニール装置において、
干渉低減手段は、光ファイバで形成し、この光ファイバに入射したレーザ光がそのコアとクラッドの境界面で反射しながら伝送され、この伝送中に反射によってモードが増加するとともに伝播時間差を生じることを利用してレーザ光のコヒーレンスを低下させるようにしたものであること。
【0032】
17) 上記14)に記載するレーザアニール装置において、 干渉低減手段は、入射したレーザ光を、一方は透過し、他方は反射することにより分割する第1の偏光ビームスプリッタと、
第1の偏光ビームスプリッタを透過したレーザ光と反射したレーザ光とを合成して出力する第2の偏光ビームスプリッタと、
第1の偏光ビームスプリッタで反射して分割したレーザ光が第2の偏光ビームスプリッタに入射するよう、このレーザ光の光路を変更するとともに、第1の偏光ビームスプリッタから反射されて第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長が、第1の偏光ビームスプリッタを透過して直接第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長よりもコヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)以上長くなるようにしたものであること。
【0033】
18) 上記10)乃至16)に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、
固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したこと。
【0034】
19) 上記10)乃至16)に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、
固体レーザ発振手段は、モードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したこと。
【0035】
20) 上記10)乃至16)に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、
固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法及びモードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したこと。
【0036】
21) 上記18)又は20)に記載するレーザアニール装置において、
レーザ媒質、これを励起する励起用光源及びレーザ媒質が放射した光を往復増幅する共振器を有してパルスレーザ光を得るとともに、
前記レーザ媒質の両側に高反射率ミラーをそれぞれ配設してなる共振器間にQスイッチ素子及びキャビティダンプ素子を配設し、レーザ光を共振器内に完全に閉じ込めた状態でQスイッチ発振を行わせ、共振器内に蓄積されたパルスレーザ光のピークレベル近傍で、キャビティダンプ素子を動作させ、続けてキャビティダンプを行なわせ、共振器内部に蓄積されたエネルギーを瞬間的に外部に取り出すように構成してキャビティダンプ法を実現するように構成したこと。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0038】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るレーザアニール装置を示すブロック線図である。同図に示すように、本形態に係るレーザアニール装置では、例えば1064nmのパルスレーザ光を発生するYAGレーザで構成した固体レーザ発振装置1を有している。ここで、固体レーザ発振装置1は、パルス幅が10nm未満の短パルスを出射するように構成してある。このため、Qスイッチ法にてレーザ光をパルス化する。ただ、通常のQスイッチパルス化ではレーザ発振器中での立ち上がり時間でパルス幅が決まり、10ns以上のパルス幅を持つことになる。そこで、固体レーザ発振装置1は、特にパルス幅を10ns未満に短くするため、その発振方法として、キャビティダンプ法と呼ばれるQスイッチのスイッチングタイミングにてパルス幅を短縮化する方法若しくはモードロック法と呼ばれるパルス幅を短縮化する方法を実現するか、又はキャビティダンプ法及びモードロック法を同時に実現し得るように構成してある。かかる短パルス化に関する詳細な構成及び説明は後に詳述する。
【0039】
図1に示す波長変換部2は前記固体レーザ発振装置1から出射するパルスレーザ光の波長を、波長が532nmの第2高調波又は355nmの第3高調波に波長変換し干渉低減装置3に供給する。干渉低減装置3は、前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減するものであり、このことによりスペックルによる照射面でのレーザ光の強度ムラを抑制する。ただ、干渉低減装置3は、必要に応じて設ければ良い。また、かかる干渉低減装置3に関する詳細な構成及び説明は後に詳述する。
【0040】
加工ステージ4は、真空容器である加工チャンバ5内で加熱対象物(レーザアニールリングの対象物)のアモルファスシリコン薄膜6を載置している。このアモルファスシリコン薄膜6は、プラスチック等の高分子材料で形成した基板7上に形成してある。かくして、干渉低減装置3でコヒーレンスの低減処理をしたパルスレーザ光を、ミラー8で反射し、ホモジナイザ(マスク)9を通過させて光強度を均一化した後、このパルスレーザ光を、アモルファスシリコン薄膜6の表面に照射するようになっている。システム制御部10は当該レーザアニール装置の各部の制御を行うもので、例えば固体レーザ発振装置1によるレーザ光の発振制御及び加工ステージ4の駆動制御等を行う。
【0041】
かかる本形態によれば、干渉低減装置3でコヒーレンスを低減させたパルス幅が10ns未満で、波長が532nm又は355nmのパルスレーザ光をアモルファスシリコン薄膜6の表面に照射してそのアニーリングを行う。この結果、アモルファスシリコン薄膜6の基板7がプラスチックであってもこれに対する熱的な影響を可及的に低減し得ると同時に、アモルファスシリコン薄膜6には十分なレーザエネルギを吸収させて良好なアニーリングを行うことにより均質のポリシリコン化を実現し得る。
【0042】
ここで、パルス幅が10nm未満の短パルス化を実現する具体的な実施例を詳細に説明する。
【0043】
図2は短パルス化を実現するキャビティダンプ法に関する原理を示す原理図である。同図に示すように、キャビティダンプ法は、Qスイッチと呼ばれるレーザ発振器内で光の往復をON,OFFするスイッチのタイミングを工夫するものである。すなわち、光の往復のスイッチをONして、レーザ発振器内に光のエネルギが蓄積されて来たときに、スイッチをOFFとして一気にレーザ発振器外に強いレーザ光を取り出す。この結果、共振器の長さで決まるような短いパルス幅のレーザを取り出すことが可能である。パルス幅は1ns〜10ns程度とすることが可能である。
【0044】
図3はキャビティダンプ法により短パルス化を実現し得る図1に示す固体レーザ発振装置1の具体的な実施例を示すブロック線図である。同図に示すように、レーザ媒質11はYAGレーザロッド等で形成した固体レーザ媒質であり、半導体レーザ12を励起光源としてレーザ光を出射する。レーザ媒質11の両端面側にはそれぞれ高反射率ミラー13、14が配設してあり、これらで共振器を形成している。共振器で挟まれた空間(キャビティ)内には,電気光学結晶で形成したQスイッチ素子15が偏光ビームスプリッタ16及び1/4波長(以下、λと表記する。)板17とともに配設してある。ここで、半導体レーザ12は駆動電源18によりCW(連続波)動作又はQ−CW(準連続波)動作される。また、Qスイッチ素子15は高電圧パルサ19で1/4λのパルス電圧が供給されたとき、1/4λ板として機能する。また、偏光ビームスプリッタ16はP偏光を透過し、S偏光を反射するものを用いている。
【0045】
さらに、本実施例に係る固体レーザ発振装置1は、Qスイッチ素子15、偏光ビームスプリッタ16及び1/4λ板17とともに、キャビティダンプ用のキャビティダンプ素子20及び偏光ビームスプリッタ21を有する。
【0046】
ここで、キャビティダンプ素子20及び偏光ビームスプリッタ21はレーザ媒質11に対してQスイッチ素子15及び偏光ビームスプリッタ16の反対側に振り分けて配設してある。また、キャビティダンプ素子20はQスイッチ素子15と同様の電気光学結晶で形成してあり、偏光ビームスプリッタ21は偏光ビームスプリッタ16と同様にP偏光を透過するとともにS偏光を反射するものである。キャビティダンプ素子20には高電圧パルサ19と同様の高電圧パルサ22でパルス状の1/4λ電圧が印加される。1/4λ電圧が印加されたキャビティダンプ素子20は1/4λ板として機能する。電気光学結晶は結晶への電圧印加に比例して内部の屈折率が変化する一次電気効果を有するものであり、この特性によってレーザ光のx方向及びy方向成分に位相差が生じる。したがって、印加電圧を適当な大きさに設定することによって上記位相差を制御し、偏光状態を変化させることができるからである。
【0047】
高電圧パルサ19、22がQスイッチ素子15及びキャビティダンプ素子20にパルス状の1/4λ電圧を印加するタイミングは、マスタパルサ23が出力するトリガパルスで制御する。具体的には、Qスイッチ素子15を動作させてQスイッチ発振を行った後、その発振パルスレーザ光がピークレベルに達したときキャビティダンプ素子20を動作させてキャビティダンプを行なうようなタイミングに制御する。これは、例えば共振器内を往復するレーザ光を、フォトダイオード等で検出することにより容易に制御することができる。このときの検出光は、例えばフォトダイオードを高反射率ミラー13、14の裏面等に配設することにより、これらから漏出するレーザ光を利用し得る。また、Qスイッチ発振による発振パルスレーザ光が、Qスイッチ素子15の動作時点からピークレベルに達するまでの時間は、素子に固有のものであり、一度これを実測しておけば、高電圧パルサ19、22に供給するトリガパルス間の遅延時間は一義的に決定される。したがって、この遅延時間を回路的に確保してやれば良い。
【0048】
かくして半導体レーザ12の励起光によりレーザ媒質11を励起すると、このレーザ媒質11から光が出射される。この出射光のうちS偏光成分は偏光ビームスプリッタ16で反射されて外部に排出される。一方、直線偏光のうちP偏光成分はQスイッチ素子15及び1/4λ板17を介して高反射率ミラー13に入射し、この高反射率ミラー13で反射され、再度1/4λ板17及びQスイッチ素子15を介して偏光ビームスプリッタ16に至る。ここで、Qスイッチ素子15に電圧が印加されていないときは、偏光ビームスプリッタ16を透過したP偏光は単にここを通過するだけであるため、高反射率ミラー13で反射されて1/4λ板17を往復することによりS偏光となる。このS偏光はQスイッチ素子15を介して偏光ビームスプリッタ16に至り、ここで反射されて外部に排出される。すなわち、かかる状態では、キャビティ内の損失が大きいためレーザ発振は行われない。
【0049】
一方、高圧パルサ19で1/4λ電圧(図4(a)参照。)のパルス電圧を印加するとQスイッチ素子15は1/4λ板として機能する。この結果、偏光ビームスプリッタ16を透過したP偏光はQスイッチ素子15及び1/4λ板17を往復することにより一回転してP偏光となる。このP偏光は偏光ビームスプリッタ16を透過してレーザ媒質11に入射し共振器内で往復増幅される。この結果、急激に損失が小さくなるので、その分レーザの利得が大きくなって、レーザ媒質11内の損失等で決まる一定の遅延時間の経過後、大きなピークをもつ短パルスのレーザ光が高反射ミラー14で反射される。すなわち、高反射率ミラー13、14間をレーザ光が往復して増幅され、Qスイッチ発振がおこる。この結果、一定の遅延時間の経過後、共振器内のレーザ光(図4(b)参照。なお、図中の点線は、キャビティダンプがない場合の当該レーザ光の波形である。)は急激に立ち上がるパルスレーザ光となる。
【0050】
次に、このパルスレーザ光のレベルがピークになった時点でマスタパルサ23のトリガパルスにより高電圧パルサ22を動作してキャビティダンプ素子20にパルス状の1/4λ電圧(図4(c)参照。)を印加する。このことにより、Qスイッチ発振により共振器内に閉じ込められていたレーザ光が偏光ビームスプリッタ21を介して一気に外部に取り出される。すなわち、キャビティダンプにより高いピークを有する短パルス幅(10ns未満)のパルスレーザ光(図4(d)参照。)を得る。
【0051】
さらに詳言すると、レーザ光はQスイッチ発振により共振器間で往復増幅を始め、ある程度の増幅時間後には共振器間のレーザ出力が充分大きくなり、その間に溜め込んだ利得を使い一気に出力が増幅される。このように本実施例ではレーザ光の損失を減らし、一気に共振器間の光強度を増幅するため、100%に近い反射率の高反射率ミラー3、14を用いており、高反射率ミラー3、14間でレーザ光を往復増幅する。
【0052】
レーザ光が共振器間で往復増幅を行っている間はキャビティダンプ素子20である電気光学結晶は何の動作も行わない。この結果、レーザ光はこの電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)により何の変化も受けず、共振器間で往復する。そして、共振器間で光強度が最大となった時点でこの電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)にλ/4電圧に等しい高電圧パルスが印加されると、これによりレーザ媒質11から高反射率ミラー14に向かうレーザ光は偏光が変化し、高反射率ミラー14で折り返して電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)を通過することでこの電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)がλ/2板として機能する。この結果、P偏光であったレーザ光は90°回転してS偏光になる。このS偏光のレーザ光は偏光ビームスプリッタ21で反射されて外部に出力される。このときの電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)の動作はレーザ媒質11側からみれば、大きな損失になるため、光の増幅はこの動作でストップし、共振器間の空間に存在したレーザ光のみが外部に取り出されることになる。したがって、取り出されるレーザ光のパルス幅は
t=2L/c
L:共振器間隔
c:光速
で規定される短いものになり、その分大きなピークレベルを有するものとなる。なお、実際には電気光学結晶に印加する電圧の有限の時間から上記時間tに較べパルス幅は長くなる。
【0053】
前述の如く、固体レーザ発振装置1の出射レーザ光のパルス幅を10ns未満に短パルス化する他の方法としてモードロック法がある。このモードロック法とは、レーザの縦モードの位相をロックさせる方法であり、例えば固体レーザ結晶にRF信号を加えて位相または光周波数の変調をかける方法である。このモードロック法にて出力されるレーザのパルス幅は数10ps以下の非常に短いパルス幅とすることが可能である。
【0054】
また、上記キャビティダンプ法及びモードロック法を同時に実現する装置構成とすることもできる。この場合には、両短パルス化方法の作用・効果が相乗されるため、最も効率的に所望の短パルス化を図ることができる。
【0055】
レーザ光を固体レーザ発振器から得ようとした場合、レーザ光を単一縦モード及び横モードにて運転する必要がある。この場合、出力されるレーザ光はコヒーレンスの極めて高い光となるため、当該レーザ光の照射面での光の干渉によるスペックルパターンが出現し、均一な照射ができないという問題が発生する。このスペックルパターンとは、レーザ光のようなコヒーレントな光を粗面に照射したとき、空間に生じるコントラストの高い斑点状の模様をいう。粗面の各点で散乱された光が互いに不規則な位相関係で干渉することにより生じる複雑な干渉パターンである。ここで、アモルファスシリコン薄膜6はここにいう「粗面」である。
【0056】
したがって、かかるレーザ光をそのままアモルファスシリコン薄膜6の表面に照射したのでは、このアモルファスシリコン薄膜6を均一に加熱することができず、均質なポリシリコン化が阻害されるという問題を発生する。
【0057】
そこで、図1に示す実施の形態に係るレーザアニール装置では、レーザ光の照射面に現れるスペックルパターンを低減してアモルファスシリコン薄膜6の表面を均一に照射すべく干渉低減装置3を設けている。ここで、本形態における干渉低減装置3として好適な幾つかの実施例を説明しておく。
【0058】
<干渉低減装置3の第1の実施例>
図5は本実施例に係る干渉低減装置3を示すブロック線図である。同図に示すように、本実施例に係るスペックル低減装置3は、一本のレーザビームを分割して相互にインコヒーレントな複数のレーザ光とし、その後これらを重畳することにより実現し得る。固体レーザ発振装置1(図1参照。)から出射されたコヒーレンスが極めて高いレーザ光31をP偏光として入射している。ここで入射レーザ光は光学系32及びλ/2板33を介して第1の偏光ビームスプリッタ34に入射される。光学系32は入射したレーザ光31のビーム径を拡大する拡大光学系である。この光学系32を通すことにより、後に第1の偏光ビームスプリッタ34で行うレーザ光31の分割及び第2の偏光ビームスプリッタ35で行うレーザ光1の合成を容易にしている。すなわち、ビーム系が小径の場合には、第1の偏光ビームスプリッタ34、35の位置を厳密に所定位置に調節する必要があるが、ビーム系が大きいと、その分当該位置精度が緩和され、位置調節も簡単になる。λ/2板33は入射したレーザ光31を45°回転する偏光回転手段である。
【0059】
第1の偏光ビームスプリッタ34は、P偏光を透過させるとともにS偏光を図中下方の90°方向に反射する。第2の偏光ビームスプリッタ35は、第1の偏光ビームスプリッタ34を透過したP偏光を直接入射するとともに、第1の偏光ビームスプリッタ34で反射され、折り返しプリスム36で光路を変更されたS偏光を入射する。すなわち、折り返しプリスム36では、第1の偏光ビームスプリッタ34で分割・反射されたS変更を180°折り返して第2の偏光ビームスプリッタ35に入射させる。また、このとき第1の偏光ビームスプリッタ34で反射されたS偏光が折り返しプリスム36を介して第2の偏光ビームスプリッタ35に至る光路長は、第1の偏光ビームスプリッタ34を透過して直接第2の偏光ビームスプリッタ35に至るレーザ光の光路長よりもコヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)以上長くなるように設定してある。
【0060】
かかる干渉低減装置3では、図5に示すように、P偏光(A)として入射されるレーザ光31は、λ/2板33で偏光方向が45°回転された偏光(B)となって第1の偏光ビームスプリッタ34に入射する。偏光(B)は、この第1の偏光ビームスプリッタ34でP偏光成分とS偏光成分に等分割される。これらのうち第1の偏光ビームスプリッタ34を透過するP偏光成分に基づくP偏光(C)は直接第2の偏光ビームスプリッタ35に入射される。一方、第1の偏光ビームスプリッタ34で反射されるS偏光成分に基づくS偏光(D)は折り返しプリスム36−1で折り返されて第2の偏光ビームスプリッタ35に入射する。第2の偏光ビームスプリッタ35において、P偏光(C)はそのまま透過する一方、S偏光(D)は反射される。この結果、これらのP偏光(C)とS偏光(D)とが合成され、大きさが等しいP偏光成分及びS偏光成分を有する偏光(E)のレーザ光31として出力される。ここで、第1の偏光ビームスプリッタ34から第2の偏光ビームスプリッタ35に至るP偏光(C)の光路長とS偏光(D)の光路長との間には、コヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)以上の差がある。この結果、これらを合成して得る偏光(E)は可干渉性が低減されたレーザ光31となる。
【0061】
なお、図5に示す本実施例は、干渉低減装置3を、第1の偏光ビームスプリッタ34、第2の偏光ビームスプリッタ35及び折り返しプリスム36で単一ユニットを形成した場合であるが、かかるユニットを複数段、直列に接続することも可能である。要は、インコヒーレント化の程度によって適宜選択すれば良い。この場合の干渉低減装置3は、第1の偏光ビームスプリッタ34、第2の偏光ビームスプリッタ35及び光路変更手段である折り返しプリスム36で形成したユニットを複数段直列に結合し、前段ユニットの合成レーザ光が次段ユニットの入射レーザ光となるように構成するとともに、n(nは自然数)段目のユニットにおける第1の偏光ビームスプリッタ34から反射されて第2の偏光ビームスプリッタ35に至るレーザ光の光路長は、第1の偏光ビームスプリッタ34を透過して直接第2の偏光ビームスプリッタ35に至るレーザ光の光路長よりもコヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)の2n−1 倍だけ長くなるように構成する。
【0062】
<干渉低減装置3の第2の実施例>
上記図5に示す干渉低減装置3では、レーザ光31を2分割し、各レーザ光を異なる光路長の光路を通過させた後重畳することによりコヒーレンスを低減しているが、これは、レーザ光を2光束以上に分割した後、同様の光路長差を有する光路を通過させた後、重畳するように構成しても同様の干渉低減効果を得ることができる。そして、この場合には、当該干渉低減装置3の小型化を図ることができるという新たな効果を奏する。
【0063】
図6は本実施例に係る干渉低減装置3を示すブロック線図である。同図に示すように、本実施例においては、第1光路差形成光学系がレーザー光源(単一)とともに設けられている。そのレーザー光源51から出射する最高可干渉性レーザー光52は、その第1光路差形成光学系53に入射する。最高可干渉性レーザー光52は、以下、第1光学系干渉性レーザー光52−1と呼ばれる。第1光路差形成光学系53は、後述されるように、複数の他の光路差形成光学系とともに用いられることになって、第1光路差形成光学系要素53−1と呼ばれる。第1光路差形成光学系要素53−1は、2個の偏光回転要素(以下、偏光板と呼ばれる)と1個のビームスプリッタと、2個のプリズムとから構成されている。第1光学系干渉性レーザー光52−1は、互いに直交する横偏光(以下、P偏光と呼ばれる)成分と縦偏光(以下、S偏光と呼ばれる)成分とが概ね半分ずつで合成された合成光である。このような合成光は、図中に、直交矢aで示されている。
【0064】
第1光学系干渉性レーザー光52−1は、その2個の偏光板のうちの1つである第1光学系偏光板54−1に入射してそれを透過する。第1偏光板54−1に入射するレーザービームは、コリメータ(図示されず)により第1光学系干渉性レーザー光52−1が拡径されていることが好ましい。レーザービームの合成比率が既述の合成比率である場合、第1光学系偏光板54−1は1/2λ板が用いられ、第1光学系偏光板54−1は、P偏光とS偏光をそれぞれに45°の角度で回転させることができる。このような偏光角度の変更を受けたレーザービームは、斜交直交矢bで示されている。
【0065】
第1光学系偏光板54−1を透過したレーザービームの光軸上に、第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1が配設されている。第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1は、光軸に対して45°の傾斜角度を持つ傾斜反射・透過面を有し、P偏光を直進させて透過させ、S偏光を反射させる光学的性質を有している。第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1で反射するS偏光ビームの光軸上に、第1光学系第1プリズム56−1Aが配置されている。その光軸の延長線上で、第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1に対して第1光学系第1プリズム56−1Aと反対側になる対称位置(又は反対位置)に、第1光学系第2プリズム56−1Bが配置されている。
【0066】
第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1で反射したS偏光ビーム(矢cで示されている)は、第1光学系第1プリズム56−1Aで内部反射し、更に、第1光学系第2プリズム56−1Bで内部反射して、第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1で90°の偏向を受けて、第1光学系干渉性レーザー光52−1の時間的遅延部分のP偏光成分であり第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1は透過する透過ビームに合流する。このような合流により合成される第1合成ビーム57は、P偏光成分とS偏光成分の2成分を半分ずつに持つビームとして、他の1/2λ板である偏光板54−2に入射してそれを透過する。その偏光板54−2は、後述される第2光学系の入射側偏光板として用いられ、第2光学系内で第2光学系偏光板54−2を形成している。
【0067】
第1光学系のS偏光ビームは、既述の時間的遅延部分のP偏光ビームに対して、第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1→第1光学系第1プリズム56−1A→第1光学系第2プリズム56−1B→第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1の光路の光路長分だけ長い光路を辿っている。その長い分の光路長は、ΔLで表される。第1光学系干渉性レーザー52−1のスペクトル幅は、Δνで表される。2光束が可干渉性を保持する距離は、可干渉距離又は可干渉光路差と呼ばれる。可干渉光路差は、C/Δνで表されることが知られている。ΔL>C/Δνであれば、その2光束の可干渉性は消失することが知られている。ΔLは、ΔL>C/Δνを満足している。但し、このような条件が満たされても完全に可干渉性が消失するのではなく、それぞれの光束間では可干渉性が残存している。しかし、スペックルパターンの強度分布は、ランダムなスペックルパターンの二光束の単純足し合わせになるため、平均化がなされ強度分布の不均一性は低減する。
【0068】
本実施例は、2つのプリズム(反射光学要素)を用いて1周回光路を形成することにより、光路差は2つのプリズム間の距離の概ね2倍の長さが得られ、同じ光路差を得るために光学装置系の長さを概ね半分の長さで形成することができる。
【0069】
<干渉低減装置3の第3の実施例>
本実施例は、図6に示す実施例と同様にレーザ光を2光束に分割する方式の実施例である。図7は本実施例に係る干渉低減装置3を示すブロック線図である。同図に示すように、本実施例は、光路差形成光学系として、第2光路差形成光学系要素53−2が構成されている。第2光路差形成光学系要素53−2は、第2光学系偏光板54−2と、1個の第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2と、2個のプリズムである第2光学系第1プリズム56−2Aと第2光学系第2プリズム56−2Bとから構成されている。第2光学系偏光板54−2は、図6に示す第2の実施例における第1光学系偏光板54−1に対応している。
【0070】
第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2は、図6に示す第2の実施例における第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1に対応して配置されている。同様に、第2光学系第1プリズム56−2Aは、図6に示す第2の実施例における第1光学系第1プリズム56−1Aに対応して配置されている。第2光学系第2プリズム56−2Bは、図6に示す第2の実施例における第1光学系第2プリズム56−1Bに対応して配置されている。本実施例の光学要素の離隔間隔を含む位置対応関係は、既述の実施例の光学要素のその位置対応関係に同じである。
【0071】
本実施例は、第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2と第2光学系第1プリズム56−2Aとの間に第2光学系付加偏光板(λ/2波長板)58が追加的に介設されている点で、図6に示す第2の実施例と異なっている。図6の第1光学系偏光板54−1に対応する第2光学系偏光板54−2は、図6の第2光学系偏光板54−2がそのままに利用されている。第2光学系偏光板54−2に入射するP偏光成分とS偏光成分を持つ第2光学系干渉性レーザー光52−2(第1光路差形成光学系要素53−1の出射ビーム)のうちの第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2で反射するS偏光成分は、第2光学系付加偏光板58を透過する間に偏光角度90°の偏光を受けてP偏光成分になり、そのP偏光成分は、第2光学系第1プリズム56−2Aで内部反射し、次に、第2光学系第2プリズム56−2Bで内部反射し、第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2をそのままに透過し、第2光学系付加偏光板58を再び透過する間にS偏光成分に戻り、そのS偏光成分は、再び第2光学系第1プリズム56−2Aと第2光学系第2プリズム56−2Bとで内部反射する。
【0072】
本実施例では、第2光学系に入射するS偏光ビームが途中で2回の偏光変換を受けて辿る光路長は、第2光学系干渉性レーザー光52−2の時間的遅延部分のP偏光ビームに対して、第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2→第2光学系第1プリズム56−2A→第2光学系第2プリズム56−2B→第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2→第2光学系第1プリズム56−2A→第2光学系第2プリズム56−2B→第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2の光路長分(2周回光部分)だけ長い。このような光路差は、図6に示す第2の実施例の光路差の2倍である。
【0073】
第1光路差形成光学系要素53−2から出射するレーザーのうちの残存可干渉性成分のP偏光成分とS偏光成分は、第1光路差形成光学系要素53−2の光路差の2倍の光路差を持って再合流して再合成されている。このような再分割と再合成により、可干渉性が効果的に低下する。このように可干渉性が低減したレーザービームは、必要的・追加的に配置されている第3光学系偏光板54−3に入射する。
【0074】
<干渉低減装置3の第4の実施例>
本実施例は、図6に示す実施例と同様にレーザ光を2光束に分割する方式の実施例であり、図8は本実施例に係る干渉低減装置3を示すブロック線図である。同図に示すように、本実施例では、光路差形成光学系として、第j光路差形成光学系要素53−j(2<j<n)を構成している。1つ前の第(j−1)光路差形成光学系要素53−(j−1)から出射する第(j−1)コヒーレンス低減光L−(j−1)は、第j光学系偏光板54−jを通って、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jで二光束に分束される。
【0075】
第j光路差形成光学系要素53−jは、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jと、第1反射系と、第2反射系と、第3反射系を備えている。その第1反射系は、2体の第1反射体63A,63Bと、2体の第1反射体63A,63Bの間に追加的に介設される第j光学系付加偏光板64と、望遠鏡65とから形成されている。第j光学系付加偏光板64と望遠鏡65は、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jと第1反射体63Aとの間の光軸上に介設されている。2つの第1反射体63A,63Bは、ともにプリズムで形成されることが好ましい。
【0076】
その第2反射系は、非平行に対向する反射面をそれぞれに有する2体の第2反射体66A,66Bとから構成されている。2体の第2反射体66A,66Bは、ともに反射鏡で形成されることが好ましい。その第3反射系は、2体の第3反射体67A,67Bで構成されている。2体の第3反射体67A,67Bは、広い面積を持ち非平行に対向する反射面をそれぞれに有する平面鏡でそれぞれに形成されている。
【0077】
第1反射系の2体の第1反射体のうちの1体63Aで反射する光は、第2反射系の2体の第2反射体66A,66Bのうちの1体の第2反射体66Aで反射して、第3反射系に進入する。第3反射系に進入する光は、第3反射系の2体の第3反射体67A,67Bの間で多数回に反射する。第3反射体67A,67Bは閉じる方向に互いに傾斜して非平行であるので、第3反射体67A,67Bの間で有限回の反射を繰り返す間に進行方向が逆転し、第3反射系から抜け出して、第2反射系の第2反射体のうちの他の1体66Bに向かう。このように他の1体66Bに向かう光は、第1反射系の2体の第1反射体のうちの他の1体63Bで反射して、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jに入射する。第j光学系偏光ビームスプリッタ65−jに入射する時の光は、第j光学系付加偏光板64を1回だけ通過しているので、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jを透過して、再び第1反射体63Aに向かう。再び第1反射体63Aに向かう光は、第1反射系から第2反射系に向かい、更に、第3反射系に向かい、第3反射系で反射的に再び戻されて、第2反射系に向かい、更に、第1反射系に入射して、3度目に、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jに向かう。その光は、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jで今回は透過せずに反射して、第(j−1)コヒーレンス低減光L−(j−1)に合流する。
【0078】
図8に示される角度αを小さく設定すれば、反射回数は多くなる。図8の光学系は、ミラー間で30回の反射を2周回行うことにより100mの光路差を作り出すことができる。
【0079】
<干渉低減装置3の第5の実施例>
図9は、上記実施例同士の組合せにより形成される第5の実施例に係る低減干渉装置3である。本実施例においては、ステップS1からステップS10までの10ステップで、コヒーレンス低減が等比級数的に遂行される。ステップS1では既述の図6の光学系が用いられ、ステップS2では図6の光学系で光路差が2倍に延長された光学系が用いられ、ステップS3では図6の光学系で光路差が4倍に延長された光学系が用いられ、ステップS4では図1の光学系で光路差が4倍以上に延長され、望遠鏡65−1が追加された光学系が用いられ、ステップS5では図6の光学系で光路差が8倍以上に延長され望遠鏡65−2が追加された光学系が用いられ、ステップS6では既述の図8の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−1−1A,66−1−2A等が用いられた光路差が8倍、16倍以上に延長され望遠鏡65−3が追加された光学系が用いられ、ステップS7では図3の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−2−2A,66−2−2Aが用いられ、2回周回を行うための偏光板64−1が追加されて、光路差が32倍又は64倍以上に延長され、望遠鏡65−4が追加された光学系が用いられ、ステップS8では図8の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−3A,67−1Aが用いられ、2回周回を行うための偏光板64−2が追加され、光路差が128倍又は256倍以上に延長され、望遠鏡65−5が追加された光学系が用いられ、ステップS9では図6の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−4A,67−2Aが用いられ、2回周回を行うための偏光板64−3が追加されて光路差が512倍以上に延長され、望遠鏡65−8が追加された光学系が用いられ、ステップS10では図6の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−5A,67−3Aが用いれ、2回周回を行うための偏光板64−4が追加されて光路差が1024倍以上に延長され、望遠鏡65−8が追加された光学系が用いられている。このような組合せは、更に多様に組み合わせられ、多数回周回、多数回反射、ミラー間距離増大、望遠鏡付加の組合せにより、干渉性を等比級数的に減少させて単一ビームの非可干渉光を作成することが可能である。光束径を縮小する望遠鏡は、コリメータの光軸を逆方向にして用いられる。
【0080】
各素子の透過率をビームスプリッタ55−jについて0.998、プリズム56−jについて0.998、偏光板54−j、λ/2波長板58、偏光器64について0.998、反射体66、反射体67の反射鏡について0.999、望遠鏡65について0.998を仮定すると、図9の10段の構成について、入射レーザ光の透過率は約80%である。これは、所定のプロセスにおいて20Wの出力が必要であるとすると、レーザ単体として25W以上の出力を確保する必要があることを意味する。
【0081】
<干渉低減装置3の第6の実施例>
さらに、他の干渉低減手段としては、光ファイバを利用したものも考えられる。すなわち、光ファイバの中を通過するレーザ光は光ファイバのコアとクラッドの境界面で反射しながら伝送される。そして、この伝送中に反射によってモードが増えるとともに伝播時間差が生じる。これによって、レーザ光のコヒーレンスが効果的に低下することを利用するものである。かかる光ファイバ利用においては、装置の構成を簡素化することが可能となる。
【0082】
図10は本発明の第2の実施の形態に係るレーザアニール装置を示すブロック線図である。同図に示すように、本形態に係るレーザアニール装置では、複数の固体レーザ発振装置1−1、1−2、1−3を有しており、各固体レーザ発振装置1−1〜1−3の出射レーザ光を波長変換部2−1、2−2、2−3を介して所定の波長に変換した後、各波長変換部2−1〜2−3をミラー41−1、41−2、41−3を介して干渉低減装置43に入射するように構成してある。ここで、各固体レーザ発振装置1−1〜1−3は、図1に示す固体レーザ発振装置1と同様の装置であり、また波長変換部2−1〜2−3も波長変換部2と同様の構成となっている。干渉低減装置43は、図1に示す干渉低減装置3を3系統有する点が異なるだけである。すなわち、1064nmの波長のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振装置1及び前記パルスレーザ光をその第2高調波(波長、532nm)又は第3高調波(波長、355nm)に波長変換する波長変換部2を複数個(図では3個)有するとともに、干渉低減系統を3系統有する点を除き、図1に示すレーザアニール装置と同様の構成の装置となっている。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0083】
本形態に係るレーザアニール装置は、複数個の固体レーザ発振装置1−1〜1−3からのレーザ光を合成するものであり、各固体レーザ発振装置1−1〜1−3の出射レーザ光は相互の関連がないため、合成したレーザ光での干渉を低減することができる。すなわち、レーザ光のコヒーレンスを効果的に低下させることができる。
【0084】
なお、本形態においても各固体レーザ発振装置1−1〜1−3からのレーザ光は干渉低減装置43に入射させているが、複数個の固体レーザ発振装置1−1〜1−3からのレーザ光を合成するだけで、十分なコヒーレンス低減効果が得られる場合には、これを省略しても図1に示すレーザアニール装置と同様の作用・効果を得る。すなわち、コヒーレンス低減効果の程度によって適宜干渉低減装置43を設ければ良い。また、干渉低減装置43を設けるにしても、図1に示す実施の形態の場合よりもこの干渉低減装置43の構成を簡素化、小型化し得る。
【0085】
さらに、図5等に示すように、レーザ光を分割し、相互にインコヒーレントなレーザ光とするためコヒーレント長さの時間的なズレを発生させる場合には、パルス幅が延びてしまうという問題を有するが、複数レーザ光の合成による本実施の形態の場合は、かかる問題を生起することはない。すなわち、パルス幅を伸ばすことなく、コヒーレンスの低減を行うことができる。例え干渉低減装置43を設けた場合でも、コヒーレンスの低減化に対する干渉低減装置43の寄与度を低減できるので、その分パルス幅を伸ばすことなく、所望のコヒーレンス低減効果を得る。
【0086】
なお、上記実施の形態では、アモルファスシリコン薄膜6に照射するレーザ光の波長は532nm又は355nmとしたが、350nm〜550nmのレーザ光であれば同様に使用し得る。
【0087】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明は、固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成し、このレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うので、
350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。すなわち、アモルファスシリコン薄膜の基板がプラスチックであってもこれに対する熱的な影響を可及的に低減し得ると同時に、アモルファスシリコン薄膜には十分なレーザエネルギを吸収させて良好なアニーリングを行うことにより均質のポリシリコン化を実現し得る。
【0088】
〔請求項2〕に記載する発明は、固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmで、且つパルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を形成し、このパルスレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うので、
アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、〔請求項1〕に記載する発明の作用・効果をより顕著なものとすることができる。
【0089】
〔請求項3〕に記載する発明は、〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、キャビティダンプ法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化するので、
〔請求項2〕に記載する発明をキャビティダンプ法により実現し得る。
【0090】
〔請求項4〕に記載する発明は、〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、モードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化するので、
〔請求項2〕に記載する発明をモードロック法により実現し得る。所定の短パルス化を容易且つ良好に実現し得る。
【0091】
〔請求項5〕に記載する発明は、〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、キャビティダンプ法及びモードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化するので、
〔請求項2〕に記載する発明の短パルス化を最も効果的且つ良好に実現し得る。
【0092】
〔請求項6〕に記載する発明は、〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、パルスレーザ光のレーザビームを分割して相互にインコヒーレントなレーザ光とし、その後これらを重畳することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたので、
〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載する発明の作用・効果とともに、パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制してアモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。
【0093】
〔請求項7〕に記載する発明は、〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、単一光束のパルスレーザ光を分束するとともに、分束した二光束の間に光路差を設け、さらに前記二光束を重畳して再び単一光束に集束することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたので、
〔請求項6〕に記載する発明と同様の作用・効果を奏する。このとき、スペックル低減のための部分を〔請求項6〕の発明の場合よりもコンパクトに形成することができる。
【0094】
〔請求項8〕に記載する発明は、〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、パルスレーザ光を光導波路を用いて伝送し、この伝送過程における反射により前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたので、
〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載する発明の作用・効果とともに、パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制してアモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。また、このときのインコヒーレント化を光ファイバで実現しているので、これに要するコストを最も低減し得る。
【0095】
〔請求項9〕に記載する発明は、〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、パルスレーザ光を複数の固体レーザ発振器から出射し、その後各パルスレーザ光を合成してアモルファスシリコン薄膜に照射することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたので、
〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載する発明と同様の作用・効果とともに、パルス幅を伸ばすことなく、コヒーレンスの低減を行うことができるという効果も奏する。ちなみに、例えばレーザ光を分割し相互にインコヒーレントなレーザ光とするためコヒーレント長さの時間的なズレを発生させる場合には、パルス幅が延びてしまうという問題を有する。
【0096】
〔請求項10〕に記載する発明は、パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したので、350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。さらに、アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、前記作用・効果をより顕著なものとすることができる。
【0097】
〔請求項11〕に記載する発明は、パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、この波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行う干渉低減手段とを有し、この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したので、
350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。さらに、アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、前記作用・効果をより顕著なものとすることができる。
さらに、パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制してアモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。
【0098】
〔請求項12〕に記載する発明は、パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段とを有し、それぞれの出力であるレーザ光を合成して高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したので、
350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。さらに、アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、前記作用・効果をより顕著なものとすることができる。
さらに、相互に位相的な関連がない複数個の固体レーザ発振手段の出力レーザ光を合成したので、パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制してアモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。このとき、パルス幅を伸ばすことなく、コヒーレンスの低減を行うことができる。
【0099】
〔請求項13〕に記載する発明は、パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段と、各波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行うとともに各出力レーザ光を合成する干渉低減手段とを有し、この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したので、
350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。さらに、アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、前記作用・効果をより顕著なものとすることができる。
さらに、干渉低減手段によりパルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制できるので、アモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。このとき、パルス幅を伸ばすことなく、コヒーレンスの低減を行うことができる。
【0100】
〔請求項14〕に記載する発明は、〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載するレーザアニール装置において、干渉低減手段は、入射するレーザ光を分割して相互にインコヒーレントな複数のレーザ光とし、その後これらを重畳するものであるので、
〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載する発明と同様の作用・効果に加え、干渉低減手段によりパルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制できるので、アモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。
【0101】
〔請求項15〕に記載する発明は、〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載するレーザアニール装置において、干渉低減手段は、単一のパルスレーザ光の光源から出射するレーザ光を二光束に分束する分束器と、前記二光束を一光束に同一光軸上で集束する集束器と、前記二光束の光路差を可干渉性距離より長くする光路差形成光学系とを有するので、
〔請求項14〕に記載する発明と同様の作用・効果を奏する。このとき、干渉低減手段を〔請求項14〕の発明の場合よりもコンパクトに形成することができる。
【0102】
〔請求項16〕に記載する発明は、〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載するレーザアニール装置において、干渉低減手段は、光ファイバで形成し、この光ファイバに入射したレーザ光がそのコアとクラッドの境界面で反射しながら伝送され、この伝送中に反射によってモードが増加するとともに伝播時間差を生じることを利用してレーザ光のコヒーレンスを低下させるようにしたものであるので、
〔請求項14〕に記載する発明と同様の作用・効果を奏する。特に、本発明の場合、スペックルによる照射面での強度ムラの抑制を最も廉価なコストで実現し得る。
【0103】
〔請求項17〕に記載する発明は、〔請求項14〕に記載するレーザアニール装置において、干渉低減手段は、入射したレーザ光を、一方は透過し、他方は反射することにより分割する第1の偏光ビームスプリッタと、第1の偏光ビームスプリッタを透過したレーザ光と反射したレーザ光とを合成して出力する第2の偏光ビームスプリッタと、第1の偏光ビームスプリッタで反射して分割したレーザ光が第2の偏光ビームスプリッタに入射するよう、このレーザ光の光路を変更するとともに、第1の偏光ビームスプリッタから反射されて第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長が、第1の偏光ビームスプリッタを透過して直接第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長よりもコヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)以上長くなるようにしたものであるので、
光路長が異なる2種類のレーザ光を得ることができる。この結果、コヒーレンスを低下させることができ、その分スペックルパターンの発生を防止することができ〔請求項14〕に記載する発明の干渉低減装置を良好に構成し得る。
【0104】
〔請求項18〕に記載する発明は、〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したので、
〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する発明の作用・効果とともに、キャビティダンプ法により出力パルスレーザ光の短パルス化を容易に実現し得るという効果を奏する。
【0105】
〔請求項19〕に記載する発明は、〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、固体レーザ発振手段は、モードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したので、 〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する発明の作用・効果とともに、モードロック法により出力パルスレーザ光の短パルス化を容易に実現し得るという効果を奏する。
【0106】
〔請求項20〕に記載する発明は、〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法及びモードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したので、
〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する発明の作用・効果とともに、キャビティダンプ法及びモードロック法により出力パルスレーザ光の短パルス化を容易に実現し得るという効果を奏する。
【0107】
〔請求項21〕に記載する発明は、〔請求項18〕又は〔請求項20〕に記載するレーザアニール装置において、レーザ媒質、これを励起する励起用光源及びレーザ媒質が放射した光を往復増幅する共振器を有してパルスレーザ光を得るとともに、前記レーザ媒質の両側に高反射率ミラーをそれぞれ配設してなる共振器間にQスイッチ素子及びキャビティダンプ素子を配設し、レーザ光を共振器内に完全に閉じ込めた状態でQスイッチ発振を行わせ、共振器内に蓄積されたパルスレーザ光のピークレベル近傍で、キャビティダンプ素子を動作させ、続けてキャビティダンプを行なわせ、共振器内部に蓄積されたエネルギーを瞬間的に外部に取り出すように構成してキャビティダンプ法を実現するように構成したので、
〔請求項18〕又は〔請求項20〕に記載するキャビティダンプ法を容易、且つ具体的に実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレーザアニール装置を示すブロック線図である。
【図2】短パルス化を実現するキャビティダンプ法に関する原理を示す原理図である。
【図3】図1に示すレーザアニール装置の固体レーザ発振装置の具体的な構成である実施例を示すブロック線図である。
【図4】図3に示す固体レーザ発振装置の各部の波形を示す波形図である。
【図5】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第1の実施例を示すブロック線図である。
【図6】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第2の実施例を示すブロック線図である。
【図7】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第3の実施例を示すブロック線図である。
【図8】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第4の実施例を示すブロック線図である。
【図9】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第5の実施例を示すブロック線図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るレーザアニール装置を示すブロック線図である。
【図11】プラスティック基板のレーザ光の吸収特性としてPETに関する吸収特性を調べた結果を示す特性図である。
【図12】アモルファスシリコン薄膜におけるレーザ光の吸収特性を調べた特性図である。
【符号の説明】
1 固体レーザ発振装置
2 波長変換部
3 干渉低減装置
6 アモルファスシリコン薄膜
7 基板
11 レーザ媒質
12 半導体レーザ
13、14 高反射ミラー
15 Qスイッチ
16 偏光ビームスプリッタ
17 1/4λ板
19、22 高電圧パルサ
23 マスタパルサ
31 レーザ光
32 光学系
33 1/2λ板
34、35 偏光ビームスプリッタ
36 折り返しプリズム
43 干渉低減装置
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザアニール方法及び装置に関し、特に半導体ディスプレイ製造装置に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子の移動度の大きいポリシリコンを使った薄膜トランジスタ(TFT)のディスプレイが低電力化や小型化などのメリットから主流になりつつある。この場合のポリシリコンは、アモルファスシリコン薄膜のアニーリングにより形成するとともに、アニーリング温度を下げるためにシリコン表面の局所加熱が可能なレーザアニーリング法が使われる。このアニーリング用レーザとしてはXeClエキシマレーザが汎用されている。XeClエキシマレーザレーザの波長は紫外域の308nmであり、アモルファスシリコン薄膜への吸収が大きく局所加熱には有効である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、下地である基板がプラスティックの場合、300nm近傍の紫外光の吸収が極めて大きくなり、さらに熱的に弱いため、透過紫外レーザ光の吸収が生じて温度が上がり、基板に熱歪が発生し、薄膜が損傷を受けるという問題がある。この場合、プラスチック基板が熱的な影響を受ける原因は二つ考えられる。
【0004】
一つは、プラスティック基板自体が紫外域において光の吸収が大きいことである。これによって、アニール用照射レーザ光のシリコン透過光がプラスチック基板に吸収される結果、プラスチック基板の温度が上昇すると考えられる。ちなみに、従来は基板がガラスであったため、ガラス基板自体の紫外光の吸収はさほど大きくなく、問題にならなかった。
【0005】
もう一つは、アモルファスシリコン薄膜のレーザによる表面加熱時の熱が熱伝導によって、プラスティック基板に伝わり、プラスチック基板の温度が上昇したものであると考えられる。ちなみに、プラスティックは100℃より少し高い温度で溶融するため、従来のガラス基板に比べて、熱伝導によるプラスチック基板の温度上昇の影響が出やすい。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、プラスチック等、高分子材料で形成した基板上のアモルファスシリコン薄膜をアニーリングによりポリシリコン化する場合において、基板に発生する熱歪を可及的に抑制し、ポリシリコンの薄膜を良好に形成し得るレーザアニール方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は次の知見に基づくものである。
【0008】
プラスティック基板のレーザ光の吸収特性としてPETに関する吸収特性を調べたものがある。これを図11に示す。同図に示す特性は、横軸にレーザ光の波長を採り、且つ縦軸にレーザ光の透過率を採って示すものである。同図を参照すれば、300nmの前半よりも短い波長で大きく透過率が減少(光吸収が増加)していることが分かる。すなわち、従来技術でアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うためこのアモルファスシリコン薄膜に照射するエキシマレーザレーザのレーザ光は308nmの紫外光であるため、アモルファスシリコン薄膜を透過したエキシマレーザレーザ光が高効率で前記プラスチック基板に吸収されその温度を上昇させる。なお、図11中、「エキシマレーザ」、「固体THG」及び「固体SHG」の文字及び矢印は、それぞれエキシマレーザの波長(308nm)、固体レーザ(その波長が、例えば1064nm)の第3高調波の波長(355nm)及び前記固体レーザの第2高調波の波長(532nm)であることを示している。
【0009】
一方、図12はアモルファスシリコン薄膜におけるレーザ光の吸収特性を調べた特性図(横軸がレーザ光の波長及び縦軸がレーザ光の吸収係数)である。同図を参照すれば、アモルファスシリコン薄膜において良好な吸収が行われるのは紫外域の波長となっていることが分かる。すなわち、従来技術でアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うべくこのアモルファスシリコン薄膜に照射するエキシマレーザレーザのレーザ光は308nmの紫外光であるため、極めて良好にアモルファスシリコン薄膜に吸収されて良好なアニーリングを行い得ることが分かる。
【0010】
すなわち、アモルファスシリコン薄膜のアニーリングを良好に行うためには、波長が短い紫外域のレーザ光を採用するのが好適であるのに対し、プラスチック基板におけるレーザ光の吸収に伴うその温度上昇を防止するためには、波長が長い可視域のレーザ光を採用するのが好適であることが分かる。すなわち、アニーリングを良好に行うための要件とプラスチック基板の温度上昇を防止するための要件とはトレードオフの関係にある。したがって、アモルファスシリコン薄膜のアニーリングを良好に行うとともに、プラスチック基板の温度上昇を抑制するための波長範囲として350nm乃至550nmが好適である。
【0011】
従来技術に係るエキシマレーザとして、波長が308nmのXeClよりも長い波長においては、波長が351nmのXeFエキシマレーザが存在する。しかしながら、このXeFエキシマレーザはエキシマレーザの中でも、あまり、一般的ではなく、発振効率がXeClエキシマレーザよりも低いものと考えられる。また、このXeFエキシマレーザを含め、エキシマレーザは、一般にハロゲンガスを用いるために、このハロゲンガスのハンドリングや安全、更にはガス交換のための運転コストが高いという問題を従来から抱えている。
【0012】
このため、本願発明に係るレーザアニールに用いるレーザ装置としては、パルス動作のYAG,YLF,YVO4 などの固体レーザを用い、その第2又は3高調波を用いるのが有利である。例えばYAGレーザをベースとした場合、第2高調波として532nmのグリーン光、第3高調波として355nmの紫外光を得ることができる。
【0013】
固体レーザ装置は、最近そのレーザ発振器の励起源として従来のランプに代わり、半導体レーザを用いる装置の実用化が進んでいる。これによって、発振効率の向上や長寿命化を図ることができ、エキシマレーザに対しても運転コストの低減や、装置の小型化、安定性信頼性向上などの多くのメリットを得ることができる。
【0014】
一方、レーザ光の照射による加熱対象物の温度上昇は、照射するパルスレーザ光のパルス幅と密接な関連がある。すなわち、レーザ照射時の加熱対象物に対する入熱量はレーザ光のエネルギで決まるが、同時に加熱対象物(アモルファスシリコン薄膜)の熱伝導で周辺に温度が拡散して、温度がどんどん逃げて行く。このため、加熱対象物を同じ温度まで昇温する場合には、パルス幅が短い方が、必要なエネルギは小さくて良いし、且つ周辺の温度も上昇しにくくなる。一般にナノ秒以上のパルス幅においては、ある温度以上にするのに必要なレーザエネルギの閾値はパルス幅の1/2乗に比例すると言われている。そこで、このパルス幅を10nm未満に制御したレーザ光を照射するものとしたい。
【0015】
かかる知見に基づく本発明のレーザアニール方法の構成は次の点を特徴とする。
【0016】
1) 固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成し、このレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うこと。
【0017】
2) 固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmで、且つパルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を形成し、このパルスレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うこと。
【0018】
3) 上記2)に記載するレーザアニール方法において、
キャビティダンプ法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化すること。
【0019】
4) 上記2)に記載するレーザアニール方法において、
モードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化すること。
【0020】
5) 上記2)に記載するレーザアニール方法において、
キャビティダンプ法及びモードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化すること。
【0021】
6) 上記1)又は2)に記載するレーザアニール方法において、
パルスレーザ光のレーザビームを分割して相互にインコヒーレントなレーザ光とし、その後これらを重畳することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたこと。
【0022】
7) 上記1)又は2)に記載するレーザアニール方法において、
単一光束のパルスレーザ光を分束するとともに、分束した二光束の間に光路差を設け、
さらに前記二光束を重畳して再び単一光束に集束することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたこと。
【0023】
8) 上記1)又は2)に記載するレーザアニール方法において、
パルスレーザ光を光導波路を用いて伝送し、この伝送過程における反射により前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたこと。
【0024】
9) 上記1)又は2)に記載するレーザアニール方法において、
パルスレーザ光を複数の固体レーザ発振器から出射し、その後各パルスレーザ光を合成してアモルファスシリコン薄膜に照射することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたこと。
【0025】
10) パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、
前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、
この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したこと。
【0026】
11) パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、
前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、
この波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行う干渉低減手段とを有し、
この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したこと。
【0027】
12) パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、
前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段とを有し、
それぞれの出力であるレーザ光を合成して高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したこと。
【0028】
13) パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、
前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段と、
各波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行うとともに各出力レーザ光を合成する干渉低減手段とを有し、
この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したこと。
【0029】
14) 上記11)又は13)に記載するレーザアニール装置において、
干渉低減手段は、入射するレーザ光を分割して相互にインコヒーレントな複数のレーザ光とし、その後これらを重畳するものであること。
【0030】
15) 上記11)又は13)に記載するレーザアニール装置において、
干渉低減手段は、単一のパルスレーザ光の光源から出射するレーザ光を二光束に分束する分束器と、
前記二光束を一光束に同一光軸上で集束する集束器と、
前記二光束の光路差を可干渉性距離より長くする光路差形成光学系とを有すること。
【0031】
16) 上記11)又は13)に記載するレーザアニール装置において、
干渉低減手段は、光ファイバで形成し、この光ファイバに入射したレーザ光がそのコアとクラッドの境界面で反射しながら伝送され、この伝送中に反射によってモードが増加するとともに伝播時間差を生じることを利用してレーザ光のコヒーレンスを低下させるようにしたものであること。
【0032】
17) 上記14)に記載するレーザアニール装置において、 干渉低減手段は、入射したレーザ光を、一方は透過し、他方は反射することにより分割する第1の偏光ビームスプリッタと、
第1の偏光ビームスプリッタを透過したレーザ光と反射したレーザ光とを合成して出力する第2の偏光ビームスプリッタと、
第1の偏光ビームスプリッタで反射して分割したレーザ光が第2の偏光ビームスプリッタに入射するよう、このレーザ光の光路を変更するとともに、第1の偏光ビームスプリッタから反射されて第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長が、第1の偏光ビームスプリッタを透過して直接第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長よりもコヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)以上長くなるようにしたものであること。
【0033】
18) 上記10)乃至16)に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、
固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したこと。
【0034】
19) 上記10)乃至16)に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、
固体レーザ発振手段は、モードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したこと。
【0035】
20) 上記10)乃至16)に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、
固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法及びモードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したこと。
【0036】
21) 上記18)又は20)に記載するレーザアニール装置において、
レーザ媒質、これを励起する励起用光源及びレーザ媒質が放射した光を往復増幅する共振器を有してパルスレーザ光を得るとともに、
前記レーザ媒質の両側に高反射率ミラーをそれぞれ配設してなる共振器間にQスイッチ素子及びキャビティダンプ素子を配設し、レーザ光を共振器内に完全に閉じ込めた状態でQスイッチ発振を行わせ、共振器内に蓄積されたパルスレーザ光のピークレベル近傍で、キャビティダンプ素子を動作させ、続けてキャビティダンプを行なわせ、共振器内部に蓄積されたエネルギーを瞬間的に外部に取り出すように構成してキャビティダンプ法を実現するように構成したこと。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0038】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るレーザアニール装置を示すブロック線図である。同図に示すように、本形態に係るレーザアニール装置では、例えば1064nmのパルスレーザ光を発生するYAGレーザで構成した固体レーザ発振装置1を有している。ここで、固体レーザ発振装置1は、パルス幅が10nm未満の短パルスを出射するように構成してある。このため、Qスイッチ法にてレーザ光をパルス化する。ただ、通常のQスイッチパルス化ではレーザ発振器中での立ち上がり時間でパルス幅が決まり、10ns以上のパルス幅を持つことになる。そこで、固体レーザ発振装置1は、特にパルス幅を10ns未満に短くするため、その発振方法として、キャビティダンプ法と呼ばれるQスイッチのスイッチングタイミングにてパルス幅を短縮化する方法若しくはモードロック法と呼ばれるパルス幅を短縮化する方法を実現するか、又はキャビティダンプ法及びモードロック法を同時に実現し得るように構成してある。かかる短パルス化に関する詳細な構成及び説明は後に詳述する。
【0039】
図1に示す波長変換部2は前記固体レーザ発振装置1から出射するパルスレーザ光の波長を、波長が532nmの第2高調波又は355nmの第3高調波に波長変換し干渉低減装置3に供給する。干渉低減装置3は、前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減するものであり、このことによりスペックルによる照射面でのレーザ光の強度ムラを抑制する。ただ、干渉低減装置3は、必要に応じて設ければ良い。また、かかる干渉低減装置3に関する詳細な構成及び説明は後に詳述する。
【0040】
加工ステージ4は、真空容器である加工チャンバ5内で加熱対象物(レーザアニールリングの対象物)のアモルファスシリコン薄膜6を載置している。このアモルファスシリコン薄膜6は、プラスチック等の高分子材料で形成した基板7上に形成してある。かくして、干渉低減装置3でコヒーレンスの低減処理をしたパルスレーザ光を、ミラー8で反射し、ホモジナイザ(マスク)9を通過させて光強度を均一化した後、このパルスレーザ光を、アモルファスシリコン薄膜6の表面に照射するようになっている。システム制御部10は当該レーザアニール装置の各部の制御を行うもので、例えば固体レーザ発振装置1によるレーザ光の発振制御及び加工ステージ4の駆動制御等を行う。
【0041】
かかる本形態によれば、干渉低減装置3でコヒーレンスを低減させたパルス幅が10ns未満で、波長が532nm又は355nmのパルスレーザ光をアモルファスシリコン薄膜6の表面に照射してそのアニーリングを行う。この結果、アモルファスシリコン薄膜6の基板7がプラスチックであってもこれに対する熱的な影響を可及的に低減し得ると同時に、アモルファスシリコン薄膜6には十分なレーザエネルギを吸収させて良好なアニーリングを行うことにより均質のポリシリコン化を実現し得る。
【0042】
ここで、パルス幅が10nm未満の短パルス化を実現する具体的な実施例を詳細に説明する。
【0043】
図2は短パルス化を実現するキャビティダンプ法に関する原理を示す原理図である。同図に示すように、キャビティダンプ法は、Qスイッチと呼ばれるレーザ発振器内で光の往復をON,OFFするスイッチのタイミングを工夫するものである。すなわち、光の往復のスイッチをONして、レーザ発振器内に光のエネルギが蓄積されて来たときに、スイッチをOFFとして一気にレーザ発振器外に強いレーザ光を取り出す。この結果、共振器の長さで決まるような短いパルス幅のレーザを取り出すことが可能である。パルス幅は1ns〜10ns程度とすることが可能である。
【0044】
図3はキャビティダンプ法により短パルス化を実現し得る図1に示す固体レーザ発振装置1の具体的な実施例を示すブロック線図である。同図に示すように、レーザ媒質11はYAGレーザロッド等で形成した固体レーザ媒質であり、半導体レーザ12を励起光源としてレーザ光を出射する。レーザ媒質11の両端面側にはそれぞれ高反射率ミラー13、14が配設してあり、これらで共振器を形成している。共振器で挟まれた空間(キャビティ)内には,電気光学結晶で形成したQスイッチ素子15が偏光ビームスプリッタ16及び1/4波長(以下、λと表記する。)板17とともに配設してある。ここで、半導体レーザ12は駆動電源18によりCW(連続波)動作又はQ−CW(準連続波)動作される。また、Qスイッチ素子15は高電圧パルサ19で1/4λのパルス電圧が供給されたとき、1/4λ板として機能する。また、偏光ビームスプリッタ16はP偏光を透過し、S偏光を反射するものを用いている。
【0045】
さらに、本実施例に係る固体レーザ発振装置1は、Qスイッチ素子15、偏光ビームスプリッタ16及び1/4λ板17とともに、キャビティダンプ用のキャビティダンプ素子20及び偏光ビームスプリッタ21を有する。
【0046】
ここで、キャビティダンプ素子20及び偏光ビームスプリッタ21はレーザ媒質11に対してQスイッチ素子15及び偏光ビームスプリッタ16の反対側に振り分けて配設してある。また、キャビティダンプ素子20はQスイッチ素子15と同様の電気光学結晶で形成してあり、偏光ビームスプリッタ21は偏光ビームスプリッタ16と同様にP偏光を透過するとともにS偏光を反射するものである。キャビティダンプ素子20には高電圧パルサ19と同様の高電圧パルサ22でパルス状の1/4λ電圧が印加される。1/4λ電圧が印加されたキャビティダンプ素子20は1/4λ板として機能する。電気光学結晶は結晶への電圧印加に比例して内部の屈折率が変化する一次電気効果を有するものであり、この特性によってレーザ光のx方向及びy方向成分に位相差が生じる。したがって、印加電圧を適当な大きさに設定することによって上記位相差を制御し、偏光状態を変化させることができるからである。
【0047】
高電圧パルサ19、22がQスイッチ素子15及びキャビティダンプ素子20にパルス状の1/4λ電圧を印加するタイミングは、マスタパルサ23が出力するトリガパルスで制御する。具体的には、Qスイッチ素子15を動作させてQスイッチ発振を行った後、その発振パルスレーザ光がピークレベルに達したときキャビティダンプ素子20を動作させてキャビティダンプを行なうようなタイミングに制御する。これは、例えば共振器内を往復するレーザ光を、フォトダイオード等で検出することにより容易に制御することができる。このときの検出光は、例えばフォトダイオードを高反射率ミラー13、14の裏面等に配設することにより、これらから漏出するレーザ光を利用し得る。また、Qスイッチ発振による発振パルスレーザ光が、Qスイッチ素子15の動作時点からピークレベルに達するまでの時間は、素子に固有のものであり、一度これを実測しておけば、高電圧パルサ19、22に供給するトリガパルス間の遅延時間は一義的に決定される。したがって、この遅延時間を回路的に確保してやれば良い。
【0048】
かくして半導体レーザ12の励起光によりレーザ媒質11を励起すると、このレーザ媒質11から光が出射される。この出射光のうちS偏光成分は偏光ビームスプリッタ16で反射されて外部に排出される。一方、直線偏光のうちP偏光成分はQスイッチ素子15及び1/4λ板17を介して高反射率ミラー13に入射し、この高反射率ミラー13で反射され、再度1/4λ板17及びQスイッチ素子15を介して偏光ビームスプリッタ16に至る。ここで、Qスイッチ素子15に電圧が印加されていないときは、偏光ビームスプリッタ16を透過したP偏光は単にここを通過するだけであるため、高反射率ミラー13で反射されて1/4λ板17を往復することによりS偏光となる。このS偏光はQスイッチ素子15を介して偏光ビームスプリッタ16に至り、ここで反射されて外部に排出される。すなわち、かかる状態では、キャビティ内の損失が大きいためレーザ発振は行われない。
【0049】
一方、高圧パルサ19で1/4λ電圧(図4(a)参照。)のパルス電圧を印加するとQスイッチ素子15は1/4λ板として機能する。この結果、偏光ビームスプリッタ16を透過したP偏光はQスイッチ素子15及び1/4λ板17を往復することにより一回転してP偏光となる。このP偏光は偏光ビームスプリッタ16を透過してレーザ媒質11に入射し共振器内で往復増幅される。この結果、急激に損失が小さくなるので、その分レーザの利得が大きくなって、レーザ媒質11内の損失等で決まる一定の遅延時間の経過後、大きなピークをもつ短パルスのレーザ光が高反射ミラー14で反射される。すなわち、高反射率ミラー13、14間をレーザ光が往復して増幅され、Qスイッチ発振がおこる。この結果、一定の遅延時間の経過後、共振器内のレーザ光(図4(b)参照。なお、図中の点線は、キャビティダンプがない場合の当該レーザ光の波形である。)は急激に立ち上がるパルスレーザ光となる。
【0050】
次に、このパルスレーザ光のレベルがピークになった時点でマスタパルサ23のトリガパルスにより高電圧パルサ22を動作してキャビティダンプ素子20にパルス状の1/4λ電圧(図4(c)参照。)を印加する。このことにより、Qスイッチ発振により共振器内に閉じ込められていたレーザ光が偏光ビームスプリッタ21を介して一気に外部に取り出される。すなわち、キャビティダンプにより高いピークを有する短パルス幅(10ns未満)のパルスレーザ光(図4(d)参照。)を得る。
【0051】
さらに詳言すると、レーザ光はQスイッチ発振により共振器間で往復増幅を始め、ある程度の増幅時間後には共振器間のレーザ出力が充分大きくなり、その間に溜め込んだ利得を使い一気に出力が増幅される。このように本実施例ではレーザ光の損失を減らし、一気に共振器間の光強度を増幅するため、100%に近い反射率の高反射率ミラー3、14を用いており、高反射率ミラー3、14間でレーザ光を往復増幅する。
【0052】
レーザ光が共振器間で往復増幅を行っている間はキャビティダンプ素子20である電気光学結晶は何の動作も行わない。この結果、レーザ光はこの電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)により何の変化も受けず、共振器間で往復する。そして、共振器間で光強度が最大となった時点でこの電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)にλ/4電圧に等しい高電圧パルスが印加されると、これによりレーザ媒質11から高反射率ミラー14に向かうレーザ光は偏光が変化し、高反射率ミラー14で折り返して電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)を通過することでこの電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)がλ/2板として機能する。この結果、P偏光であったレーザ光は90°回転してS偏光になる。このS偏光のレーザ光は偏光ビームスプリッタ21で反射されて外部に出力される。このときの電気光学結晶(キャビティダンプ素子20)の動作はレーザ媒質11側からみれば、大きな損失になるため、光の増幅はこの動作でストップし、共振器間の空間に存在したレーザ光のみが外部に取り出されることになる。したがって、取り出されるレーザ光のパルス幅は
t=2L/c
L:共振器間隔
c:光速
で規定される短いものになり、その分大きなピークレベルを有するものとなる。なお、実際には電気光学結晶に印加する電圧の有限の時間から上記時間tに較べパルス幅は長くなる。
【0053】
前述の如く、固体レーザ発振装置1の出射レーザ光のパルス幅を10ns未満に短パルス化する他の方法としてモードロック法がある。このモードロック法とは、レーザの縦モードの位相をロックさせる方法であり、例えば固体レーザ結晶にRF信号を加えて位相または光周波数の変調をかける方法である。このモードロック法にて出力されるレーザのパルス幅は数10ps以下の非常に短いパルス幅とすることが可能である。
【0054】
また、上記キャビティダンプ法及びモードロック法を同時に実現する装置構成とすることもできる。この場合には、両短パルス化方法の作用・効果が相乗されるため、最も効率的に所望の短パルス化を図ることができる。
【0055】
レーザ光を固体レーザ発振器から得ようとした場合、レーザ光を単一縦モード及び横モードにて運転する必要がある。この場合、出力されるレーザ光はコヒーレンスの極めて高い光となるため、当該レーザ光の照射面での光の干渉によるスペックルパターンが出現し、均一な照射ができないという問題が発生する。このスペックルパターンとは、レーザ光のようなコヒーレントな光を粗面に照射したとき、空間に生じるコントラストの高い斑点状の模様をいう。粗面の各点で散乱された光が互いに不規則な位相関係で干渉することにより生じる複雑な干渉パターンである。ここで、アモルファスシリコン薄膜6はここにいう「粗面」である。
【0056】
したがって、かかるレーザ光をそのままアモルファスシリコン薄膜6の表面に照射したのでは、このアモルファスシリコン薄膜6を均一に加熱することができず、均質なポリシリコン化が阻害されるという問題を発生する。
【0057】
そこで、図1に示す実施の形態に係るレーザアニール装置では、レーザ光の照射面に現れるスペックルパターンを低減してアモルファスシリコン薄膜6の表面を均一に照射すべく干渉低減装置3を設けている。ここで、本形態における干渉低減装置3として好適な幾つかの実施例を説明しておく。
【0058】
<干渉低減装置3の第1の実施例>
図5は本実施例に係る干渉低減装置3を示すブロック線図である。同図に示すように、本実施例に係るスペックル低減装置3は、一本のレーザビームを分割して相互にインコヒーレントな複数のレーザ光とし、その後これらを重畳することにより実現し得る。固体レーザ発振装置1(図1参照。)から出射されたコヒーレンスが極めて高いレーザ光31をP偏光として入射している。ここで入射レーザ光は光学系32及びλ/2板33を介して第1の偏光ビームスプリッタ34に入射される。光学系32は入射したレーザ光31のビーム径を拡大する拡大光学系である。この光学系32を通すことにより、後に第1の偏光ビームスプリッタ34で行うレーザ光31の分割及び第2の偏光ビームスプリッタ35で行うレーザ光1の合成を容易にしている。すなわち、ビーム系が小径の場合には、第1の偏光ビームスプリッタ34、35の位置を厳密に所定位置に調節する必要があるが、ビーム系が大きいと、その分当該位置精度が緩和され、位置調節も簡単になる。λ/2板33は入射したレーザ光31を45°回転する偏光回転手段である。
【0059】
第1の偏光ビームスプリッタ34は、P偏光を透過させるとともにS偏光を図中下方の90°方向に反射する。第2の偏光ビームスプリッタ35は、第1の偏光ビームスプリッタ34を透過したP偏光を直接入射するとともに、第1の偏光ビームスプリッタ34で反射され、折り返しプリスム36で光路を変更されたS偏光を入射する。すなわち、折り返しプリスム36では、第1の偏光ビームスプリッタ34で分割・反射されたS変更を180°折り返して第2の偏光ビームスプリッタ35に入射させる。また、このとき第1の偏光ビームスプリッタ34で反射されたS偏光が折り返しプリスム36を介して第2の偏光ビームスプリッタ35に至る光路長は、第1の偏光ビームスプリッタ34を透過して直接第2の偏光ビームスプリッタ35に至るレーザ光の光路長よりもコヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)以上長くなるように設定してある。
【0060】
かかる干渉低減装置3では、図5に示すように、P偏光(A)として入射されるレーザ光31は、λ/2板33で偏光方向が45°回転された偏光(B)となって第1の偏光ビームスプリッタ34に入射する。偏光(B)は、この第1の偏光ビームスプリッタ34でP偏光成分とS偏光成分に等分割される。これらのうち第1の偏光ビームスプリッタ34を透過するP偏光成分に基づくP偏光(C)は直接第2の偏光ビームスプリッタ35に入射される。一方、第1の偏光ビームスプリッタ34で反射されるS偏光成分に基づくS偏光(D)は折り返しプリスム36−1で折り返されて第2の偏光ビームスプリッタ35に入射する。第2の偏光ビームスプリッタ35において、P偏光(C)はそのまま透過する一方、S偏光(D)は反射される。この結果、これらのP偏光(C)とS偏光(D)とが合成され、大きさが等しいP偏光成分及びS偏光成分を有する偏光(E)のレーザ光31として出力される。ここで、第1の偏光ビームスプリッタ34から第2の偏光ビームスプリッタ35に至るP偏光(C)の光路長とS偏光(D)の光路長との間には、コヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)以上の差がある。この結果、これらを合成して得る偏光(E)は可干渉性が低減されたレーザ光31となる。
【0061】
なお、図5に示す本実施例は、干渉低減装置3を、第1の偏光ビームスプリッタ34、第2の偏光ビームスプリッタ35及び折り返しプリスム36で単一ユニットを形成した場合であるが、かかるユニットを複数段、直列に接続することも可能である。要は、インコヒーレント化の程度によって適宜選択すれば良い。この場合の干渉低減装置3は、第1の偏光ビームスプリッタ34、第2の偏光ビームスプリッタ35及び光路変更手段である折り返しプリスム36で形成したユニットを複数段直列に結合し、前段ユニットの合成レーザ光が次段ユニットの入射レーザ光となるように構成するとともに、n(nは自然数)段目のユニットにおける第1の偏光ビームスプリッタ34から反射されて第2の偏光ビームスプリッタ35に至るレーザ光の光路長は、第1の偏光ビームスプリッタ34を透過して直接第2の偏光ビームスプリッタ35に至るレーザ光の光路長よりもコヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)の2n−1 倍だけ長くなるように構成する。
【0062】
<干渉低減装置3の第2の実施例>
上記図5に示す干渉低減装置3では、レーザ光31を2分割し、各レーザ光を異なる光路長の光路を通過させた後重畳することによりコヒーレンスを低減しているが、これは、レーザ光を2光束以上に分割した後、同様の光路長差を有する光路を通過させた後、重畳するように構成しても同様の干渉低減効果を得ることができる。そして、この場合には、当該干渉低減装置3の小型化を図ることができるという新たな効果を奏する。
【0063】
図6は本実施例に係る干渉低減装置3を示すブロック線図である。同図に示すように、本実施例においては、第1光路差形成光学系がレーザー光源(単一)とともに設けられている。そのレーザー光源51から出射する最高可干渉性レーザー光52は、その第1光路差形成光学系53に入射する。最高可干渉性レーザー光52は、以下、第1光学系干渉性レーザー光52−1と呼ばれる。第1光路差形成光学系53は、後述されるように、複数の他の光路差形成光学系とともに用いられることになって、第1光路差形成光学系要素53−1と呼ばれる。第1光路差形成光学系要素53−1は、2個の偏光回転要素(以下、偏光板と呼ばれる)と1個のビームスプリッタと、2個のプリズムとから構成されている。第1光学系干渉性レーザー光52−1は、互いに直交する横偏光(以下、P偏光と呼ばれる)成分と縦偏光(以下、S偏光と呼ばれる)成分とが概ね半分ずつで合成された合成光である。このような合成光は、図中に、直交矢aで示されている。
【0064】
第1光学系干渉性レーザー光52−1は、その2個の偏光板のうちの1つである第1光学系偏光板54−1に入射してそれを透過する。第1偏光板54−1に入射するレーザービームは、コリメータ(図示されず)により第1光学系干渉性レーザー光52−1が拡径されていることが好ましい。レーザービームの合成比率が既述の合成比率である場合、第1光学系偏光板54−1は1/2λ板が用いられ、第1光学系偏光板54−1は、P偏光とS偏光をそれぞれに45°の角度で回転させることができる。このような偏光角度の変更を受けたレーザービームは、斜交直交矢bで示されている。
【0065】
第1光学系偏光板54−1を透過したレーザービームの光軸上に、第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1が配設されている。第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1は、光軸に対して45°の傾斜角度を持つ傾斜反射・透過面を有し、P偏光を直進させて透過させ、S偏光を反射させる光学的性質を有している。第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1で反射するS偏光ビームの光軸上に、第1光学系第1プリズム56−1Aが配置されている。その光軸の延長線上で、第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1に対して第1光学系第1プリズム56−1Aと反対側になる対称位置(又は反対位置)に、第1光学系第2プリズム56−1Bが配置されている。
【0066】
第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1で反射したS偏光ビーム(矢cで示されている)は、第1光学系第1プリズム56−1Aで内部反射し、更に、第1光学系第2プリズム56−1Bで内部反射して、第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1で90°の偏向を受けて、第1光学系干渉性レーザー光52−1の時間的遅延部分のP偏光成分であり第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1は透過する透過ビームに合流する。このような合流により合成される第1合成ビーム57は、P偏光成分とS偏光成分の2成分を半分ずつに持つビームとして、他の1/2λ板である偏光板54−2に入射してそれを透過する。その偏光板54−2は、後述される第2光学系の入射側偏光板として用いられ、第2光学系内で第2光学系偏光板54−2を形成している。
【0067】
第1光学系のS偏光ビームは、既述の時間的遅延部分のP偏光ビームに対して、第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1→第1光学系第1プリズム56−1A→第1光学系第2プリズム56−1B→第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1の光路の光路長分だけ長い光路を辿っている。その長い分の光路長は、ΔLで表される。第1光学系干渉性レーザー52−1のスペクトル幅は、Δνで表される。2光束が可干渉性を保持する距離は、可干渉距離又は可干渉光路差と呼ばれる。可干渉光路差は、C/Δνで表されることが知られている。ΔL>C/Δνであれば、その2光束の可干渉性は消失することが知られている。ΔLは、ΔL>C/Δνを満足している。但し、このような条件が満たされても完全に可干渉性が消失するのではなく、それぞれの光束間では可干渉性が残存している。しかし、スペックルパターンの強度分布は、ランダムなスペックルパターンの二光束の単純足し合わせになるため、平均化がなされ強度分布の不均一性は低減する。
【0068】
本実施例は、2つのプリズム(反射光学要素)を用いて1周回光路を形成することにより、光路差は2つのプリズム間の距離の概ね2倍の長さが得られ、同じ光路差を得るために光学装置系の長さを概ね半分の長さで形成することができる。
【0069】
<干渉低減装置3の第3の実施例>
本実施例は、図6に示す実施例と同様にレーザ光を2光束に分割する方式の実施例である。図7は本実施例に係る干渉低減装置3を示すブロック線図である。同図に示すように、本実施例は、光路差形成光学系として、第2光路差形成光学系要素53−2が構成されている。第2光路差形成光学系要素53−2は、第2光学系偏光板54−2と、1個の第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2と、2個のプリズムである第2光学系第1プリズム56−2Aと第2光学系第2プリズム56−2Bとから構成されている。第2光学系偏光板54−2は、図6に示す第2の実施例における第1光学系偏光板54−1に対応している。
【0070】
第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2は、図6に示す第2の実施例における第1光学系偏光ビームスプリッタ55−1に対応して配置されている。同様に、第2光学系第1プリズム56−2Aは、図6に示す第2の実施例における第1光学系第1プリズム56−1Aに対応して配置されている。第2光学系第2プリズム56−2Bは、図6に示す第2の実施例における第1光学系第2プリズム56−1Bに対応して配置されている。本実施例の光学要素の離隔間隔を含む位置対応関係は、既述の実施例の光学要素のその位置対応関係に同じである。
【0071】
本実施例は、第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2と第2光学系第1プリズム56−2Aとの間に第2光学系付加偏光板(λ/2波長板)58が追加的に介設されている点で、図6に示す第2の実施例と異なっている。図6の第1光学系偏光板54−1に対応する第2光学系偏光板54−2は、図6の第2光学系偏光板54−2がそのままに利用されている。第2光学系偏光板54−2に入射するP偏光成分とS偏光成分を持つ第2光学系干渉性レーザー光52−2(第1光路差形成光学系要素53−1の出射ビーム)のうちの第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2で反射するS偏光成分は、第2光学系付加偏光板58を透過する間に偏光角度90°の偏光を受けてP偏光成分になり、そのP偏光成分は、第2光学系第1プリズム56−2Aで内部反射し、次に、第2光学系第2プリズム56−2Bで内部反射し、第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2をそのままに透過し、第2光学系付加偏光板58を再び透過する間にS偏光成分に戻り、そのS偏光成分は、再び第2光学系第1プリズム56−2Aと第2光学系第2プリズム56−2Bとで内部反射する。
【0072】
本実施例では、第2光学系に入射するS偏光ビームが途中で2回の偏光変換を受けて辿る光路長は、第2光学系干渉性レーザー光52−2の時間的遅延部分のP偏光ビームに対して、第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2→第2光学系第1プリズム56−2A→第2光学系第2プリズム56−2B→第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2→第2光学系第1プリズム56−2A→第2光学系第2プリズム56−2B→第2光学系偏光ビームスプリッタ55−2の光路長分(2周回光部分)だけ長い。このような光路差は、図6に示す第2の実施例の光路差の2倍である。
【0073】
第1光路差形成光学系要素53−2から出射するレーザーのうちの残存可干渉性成分のP偏光成分とS偏光成分は、第1光路差形成光学系要素53−2の光路差の2倍の光路差を持って再合流して再合成されている。このような再分割と再合成により、可干渉性が効果的に低下する。このように可干渉性が低減したレーザービームは、必要的・追加的に配置されている第3光学系偏光板54−3に入射する。
【0074】
<干渉低減装置3の第4の実施例>
本実施例は、図6に示す実施例と同様にレーザ光を2光束に分割する方式の実施例であり、図8は本実施例に係る干渉低減装置3を示すブロック線図である。同図に示すように、本実施例では、光路差形成光学系として、第j光路差形成光学系要素53−j(2<j<n)を構成している。1つ前の第(j−1)光路差形成光学系要素53−(j−1)から出射する第(j−1)コヒーレンス低減光L−(j−1)は、第j光学系偏光板54−jを通って、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jで二光束に分束される。
【0075】
第j光路差形成光学系要素53−jは、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jと、第1反射系と、第2反射系と、第3反射系を備えている。その第1反射系は、2体の第1反射体63A,63Bと、2体の第1反射体63A,63Bの間に追加的に介設される第j光学系付加偏光板64と、望遠鏡65とから形成されている。第j光学系付加偏光板64と望遠鏡65は、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jと第1反射体63Aとの間の光軸上に介設されている。2つの第1反射体63A,63Bは、ともにプリズムで形成されることが好ましい。
【0076】
その第2反射系は、非平行に対向する反射面をそれぞれに有する2体の第2反射体66A,66Bとから構成されている。2体の第2反射体66A,66Bは、ともに反射鏡で形成されることが好ましい。その第3反射系は、2体の第3反射体67A,67Bで構成されている。2体の第3反射体67A,67Bは、広い面積を持ち非平行に対向する反射面をそれぞれに有する平面鏡でそれぞれに形成されている。
【0077】
第1反射系の2体の第1反射体のうちの1体63Aで反射する光は、第2反射系の2体の第2反射体66A,66Bのうちの1体の第2反射体66Aで反射して、第3反射系に進入する。第3反射系に進入する光は、第3反射系の2体の第3反射体67A,67Bの間で多数回に反射する。第3反射体67A,67Bは閉じる方向に互いに傾斜して非平行であるので、第3反射体67A,67Bの間で有限回の反射を繰り返す間に進行方向が逆転し、第3反射系から抜け出して、第2反射系の第2反射体のうちの他の1体66Bに向かう。このように他の1体66Bに向かう光は、第1反射系の2体の第1反射体のうちの他の1体63Bで反射して、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jに入射する。第j光学系偏光ビームスプリッタ65−jに入射する時の光は、第j光学系付加偏光板64を1回だけ通過しているので、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jを透過して、再び第1反射体63Aに向かう。再び第1反射体63Aに向かう光は、第1反射系から第2反射系に向かい、更に、第3反射系に向かい、第3反射系で反射的に再び戻されて、第2反射系に向かい、更に、第1反射系に入射して、3度目に、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jに向かう。その光は、第j光学系偏光ビームスプリッタ55−jで今回は透過せずに反射して、第(j−1)コヒーレンス低減光L−(j−1)に合流する。
【0078】
図8に示される角度αを小さく設定すれば、反射回数は多くなる。図8の光学系は、ミラー間で30回の反射を2周回行うことにより100mの光路差を作り出すことができる。
【0079】
<干渉低減装置3の第5の実施例>
図9は、上記実施例同士の組合せにより形成される第5の実施例に係る低減干渉装置3である。本実施例においては、ステップS1からステップS10までの10ステップで、コヒーレンス低減が等比級数的に遂行される。ステップS1では既述の図6の光学系が用いられ、ステップS2では図6の光学系で光路差が2倍に延長された光学系が用いられ、ステップS3では図6の光学系で光路差が4倍に延長された光学系が用いられ、ステップS4では図1の光学系で光路差が4倍以上に延長され、望遠鏡65−1が追加された光学系が用いられ、ステップS5では図6の光学系で光路差が8倍以上に延長され望遠鏡65−2が追加された光学系が用いられ、ステップS6では既述の図8の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−1−1A,66−1−2A等が用いられた光路差が8倍、16倍以上に延長され望遠鏡65−3が追加された光学系が用いられ、ステップS7では図3の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−2−2A,66−2−2Aが用いられ、2回周回を行うための偏光板64−1が追加されて、光路差が32倍又は64倍以上に延長され、望遠鏡65−4が追加された光学系が用いられ、ステップS8では図8の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−3A,67−1Aが用いられ、2回周回を行うための偏光板64−2が追加され、光路差が128倍又は256倍以上に延長され、望遠鏡65−5が追加された光学系が用いられ、ステップS9では図6の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−4A,67−2Aが用いられ、2回周回を行うための偏光板64−3が追加されて光路差が512倍以上に延長され、望遠鏡65−8が追加された光学系が用いられ、ステップS10では図6の光学系のうちの多数回反射を行うミラー66−5A,67−3Aが用いれ、2回周回を行うための偏光板64−4が追加されて光路差が1024倍以上に延長され、望遠鏡65−8が追加された光学系が用いられている。このような組合せは、更に多様に組み合わせられ、多数回周回、多数回反射、ミラー間距離増大、望遠鏡付加の組合せにより、干渉性を等比級数的に減少させて単一ビームの非可干渉光を作成することが可能である。光束径を縮小する望遠鏡は、コリメータの光軸を逆方向にして用いられる。
【0080】
各素子の透過率をビームスプリッタ55−jについて0.998、プリズム56−jについて0.998、偏光板54−j、λ/2波長板58、偏光器64について0.998、反射体66、反射体67の反射鏡について0.999、望遠鏡65について0.998を仮定すると、図9の10段の構成について、入射レーザ光の透過率は約80%である。これは、所定のプロセスにおいて20Wの出力が必要であるとすると、レーザ単体として25W以上の出力を確保する必要があることを意味する。
【0081】
<干渉低減装置3の第6の実施例>
さらに、他の干渉低減手段としては、光ファイバを利用したものも考えられる。すなわち、光ファイバの中を通過するレーザ光は光ファイバのコアとクラッドの境界面で反射しながら伝送される。そして、この伝送中に反射によってモードが増えるとともに伝播時間差が生じる。これによって、レーザ光のコヒーレンスが効果的に低下することを利用するものである。かかる光ファイバ利用においては、装置の構成を簡素化することが可能となる。
【0082】
図10は本発明の第2の実施の形態に係るレーザアニール装置を示すブロック線図である。同図に示すように、本形態に係るレーザアニール装置では、複数の固体レーザ発振装置1−1、1−2、1−3を有しており、各固体レーザ発振装置1−1〜1−3の出射レーザ光を波長変換部2−1、2−2、2−3を介して所定の波長に変換した後、各波長変換部2−1〜2−3をミラー41−1、41−2、41−3を介して干渉低減装置43に入射するように構成してある。ここで、各固体レーザ発振装置1−1〜1−3は、図1に示す固体レーザ発振装置1と同様の装置であり、また波長変換部2−1〜2−3も波長変換部2と同様の構成となっている。干渉低減装置43は、図1に示す干渉低減装置3を3系統有する点が異なるだけである。すなわち、1064nmの波長のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振装置1及び前記パルスレーザ光をその第2高調波(波長、532nm)又は第3高調波(波長、355nm)に波長変換する波長変換部2を複数個(図では3個)有するとともに、干渉低減系統を3系統有する点を除き、図1に示すレーザアニール装置と同様の構成の装置となっている。そこで、図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0083】
本形態に係るレーザアニール装置は、複数個の固体レーザ発振装置1−1〜1−3からのレーザ光を合成するものであり、各固体レーザ発振装置1−1〜1−3の出射レーザ光は相互の関連がないため、合成したレーザ光での干渉を低減することができる。すなわち、レーザ光のコヒーレンスを効果的に低下させることができる。
【0084】
なお、本形態においても各固体レーザ発振装置1−1〜1−3からのレーザ光は干渉低減装置43に入射させているが、複数個の固体レーザ発振装置1−1〜1−3からのレーザ光を合成するだけで、十分なコヒーレンス低減効果が得られる場合には、これを省略しても図1に示すレーザアニール装置と同様の作用・効果を得る。すなわち、コヒーレンス低減効果の程度によって適宜干渉低減装置43を設ければ良い。また、干渉低減装置43を設けるにしても、図1に示す実施の形態の場合よりもこの干渉低減装置43の構成を簡素化、小型化し得る。
【0085】
さらに、図5等に示すように、レーザ光を分割し、相互にインコヒーレントなレーザ光とするためコヒーレント長さの時間的なズレを発生させる場合には、パルス幅が延びてしまうという問題を有するが、複数レーザ光の合成による本実施の形態の場合は、かかる問題を生起することはない。すなわち、パルス幅を伸ばすことなく、コヒーレンスの低減を行うことができる。例え干渉低減装置43を設けた場合でも、コヒーレンスの低減化に対する干渉低減装置43の寄与度を低減できるので、その分パルス幅を伸ばすことなく、所望のコヒーレンス低減効果を得る。
【0086】
なお、上記実施の形態では、アモルファスシリコン薄膜6に照射するレーザ光の波長は532nm又は355nmとしたが、350nm〜550nmのレーザ光であれば同様に使用し得る。
【0087】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに具体的に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明は、固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成し、このレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うので、
350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。すなわち、アモルファスシリコン薄膜の基板がプラスチックであってもこれに対する熱的な影響を可及的に低減し得ると同時に、アモルファスシリコン薄膜には十分なレーザエネルギを吸収させて良好なアニーリングを行うことにより均質のポリシリコン化を実現し得る。
【0088】
〔請求項2〕に記載する発明は、固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmで、且つパルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を形成し、このパルスレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うので、
アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、〔請求項1〕に記載する発明の作用・効果をより顕著なものとすることができる。
【0089】
〔請求項3〕に記載する発明は、〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、キャビティダンプ法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化するので、
〔請求項2〕に記載する発明をキャビティダンプ法により実現し得る。
【0090】
〔請求項4〕に記載する発明は、〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、モードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化するので、
〔請求項2〕に記載する発明をモードロック法により実現し得る。所定の短パルス化を容易且つ良好に実現し得る。
【0091】
〔請求項5〕に記載する発明は、〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、キャビティダンプ法及びモードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化するので、
〔請求項2〕に記載する発明の短パルス化を最も効果的且つ良好に実現し得る。
【0092】
〔請求項6〕に記載する発明は、〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、パルスレーザ光のレーザビームを分割して相互にインコヒーレントなレーザ光とし、その後これらを重畳することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたので、
〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載する発明の作用・効果とともに、パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制してアモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。
【0093】
〔請求項7〕に記載する発明は、〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、単一光束のパルスレーザ光を分束するとともに、分束した二光束の間に光路差を設け、さらに前記二光束を重畳して再び単一光束に集束することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたので、
〔請求項6〕に記載する発明と同様の作用・効果を奏する。このとき、スペックル低減のための部分を〔請求項6〕の発明の場合よりもコンパクトに形成することができる。
【0094】
〔請求項8〕に記載する発明は、〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、パルスレーザ光を光導波路を用いて伝送し、この伝送過程における反射により前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたので、
〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載する発明の作用・効果とともに、パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制してアモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。また、このときのインコヒーレント化を光ファイバで実現しているので、これに要するコストを最も低減し得る。
【0095】
〔請求項9〕に記載する発明は、〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、パルスレーザ光を複数の固体レーザ発振器から出射し、その後各パルスレーザ光を合成してアモルファスシリコン薄膜に照射することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたので、
〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載する発明と同様の作用・効果とともに、パルス幅を伸ばすことなく、コヒーレンスの低減を行うことができるという効果も奏する。ちなみに、例えばレーザ光を分割し相互にインコヒーレントなレーザ光とするためコヒーレント長さの時間的なズレを発生させる場合には、パルス幅が延びてしまうという問題を有する。
【0096】
〔請求項10〕に記載する発明は、パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したので、350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。さらに、アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、前記作用・効果をより顕著なものとすることができる。
【0097】
〔請求項11〕に記載する発明は、パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、この波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行う干渉低減手段とを有し、この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したので、
350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。さらに、アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、前記作用・効果をより顕著なものとすることができる。
さらに、パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制してアモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。
【0098】
〔請求項12〕に記載する発明は、パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段とを有し、それぞれの出力であるレーザ光を合成して高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したので、
350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。さらに、アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、前記作用・効果をより顕著なものとすることができる。
さらに、相互に位相的な関連がない複数個の固体レーザ発振手段の出力レーザ光を合成したので、パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制してアモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。このとき、パルス幅を伸ばすことなく、コヒーレンスの低減を行うことができる。
【0099】
〔請求項13〕に記載する発明は、パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段と、各波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行うとともに各出力レーザ光を合成する干渉低減手段とを有し、この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したので、
350nm〜550nmのレーザ光が、アモルファスシリコン薄膜に十分吸収され、このアモルファスシリコン薄膜を良好に加熱して所定のアニーリングを行うことができる。一方、高分子材料で形成した基板にはあまり吸収されず、したがってこの基板に対する熱的影響を低減し得る。さらに、アモルファスシリコン薄膜及び基板に対しては瞬間的な熱エネルギの供給により、前記作用・効果をより顕著なものとすることができる。
さらに、干渉低減手段によりパルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制できるので、アモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。このとき、パルス幅を伸ばすことなく、コヒーレンスの低減を行うことができる。
【0100】
〔請求項14〕に記載する発明は、〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載するレーザアニール装置において、干渉低減手段は、入射するレーザ光を分割して相互にインコヒーレントな複数のレーザ光とし、その後これらを重畳するものであるので、
〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載する発明と同様の作用・効果に加え、干渉低減手段によりパルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制できるので、アモルファスシリコン薄膜の表面を均一に照射することができ、その分良好なポリシリコン化を実現し得る。
【0101】
〔請求項15〕に記載する発明は、〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載するレーザアニール装置において、干渉低減手段は、単一のパルスレーザ光の光源から出射するレーザ光を二光束に分束する分束器と、前記二光束を一光束に同一光軸上で集束する集束器と、前記二光束の光路差を可干渉性距離より長くする光路差形成光学系とを有するので、
〔請求項14〕に記載する発明と同様の作用・効果を奏する。このとき、干渉低減手段を〔請求項14〕の発明の場合よりもコンパクトに形成することができる。
【0102】
〔請求項16〕に記載する発明は、〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載するレーザアニール装置において、干渉低減手段は、光ファイバで形成し、この光ファイバに入射したレーザ光がそのコアとクラッドの境界面で反射しながら伝送され、この伝送中に反射によってモードが増加するとともに伝播時間差を生じることを利用してレーザ光のコヒーレンスを低下させるようにしたものであるので、
〔請求項14〕に記載する発明と同様の作用・効果を奏する。特に、本発明の場合、スペックルによる照射面での強度ムラの抑制を最も廉価なコストで実現し得る。
【0103】
〔請求項17〕に記載する発明は、〔請求項14〕に記載するレーザアニール装置において、干渉低減手段は、入射したレーザ光を、一方は透過し、他方は反射することにより分割する第1の偏光ビームスプリッタと、第1の偏光ビームスプリッタを透過したレーザ光と反射したレーザ光とを合成して出力する第2の偏光ビームスプリッタと、第1の偏光ビームスプリッタで反射して分割したレーザ光が第2の偏光ビームスプリッタに入射するよう、このレーザ光の光路を変更するとともに、第1の偏光ビームスプリッタから反射されて第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長が、第1の偏光ビームスプリッタを透過して直接第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長よりもコヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)以上長くなるようにしたものであるので、
光路長が異なる2種類のレーザ光を得ることができる。この結果、コヒーレンスを低下させることができ、その分スペックルパターンの発生を防止することができ〔請求項14〕に記載する発明の干渉低減装置を良好に構成し得る。
【0104】
〔請求項18〕に記載する発明は、〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したので、
〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する発明の作用・効果とともに、キャビティダンプ法により出力パルスレーザ光の短パルス化を容易に実現し得るという効果を奏する。
【0105】
〔請求項19〕に記載する発明は、〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、固体レーザ発振手段は、モードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したので、 〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する発明の作用・効果とともに、モードロック法により出力パルスレーザ光の短パルス化を容易に実現し得るという効果を奏する。
【0106】
〔請求項20〕に記載する発明は、〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法及びモードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したので、
〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する発明の作用・効果とともに、キャビティダンプ法及びモードロック法により出力パルスレーザ光の短パルス化を容易に実現し得るという効果を奏する。
【0107】
〔請求項21〕に記載する発明は、〔請求項18〕又は〔請求項20〕に記載するレーザアニール装置において、レーザ媒質、これを励起する励起用光源及びレーザ媒質が放射した光を往復増幅する共振器を有してパルスレーザ光を得るとともに、前記レーザ媒質の両側に高反射率ミラーをそれぞれ配設してなる共振器間にQスイッチ素子及びキャビティダンプ素子を配設し、レーザ光を共振器内に完全に閉じ込めた状態でQスイッチ発振を行わせ、共振器内に蓄積されたパルスレーザ光のピークレベル近傍で、キャビティダンプ素子を動作させ、続けてキャビティダンプを行なわせ、共振器内部に蓄積されたエネルギーを瞬間的に外部に取り出すように構成してキャビティダンプ法を実現するように構成したので、
〔請求項18〕又は〔請求項20〕に記載するキャビティダンプ法を容易、且つ具体的に実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレーザアニール装置を示すブロック線図である。
【図2】短パルス化を実現するキャビティダンプ法に関する原理を示す原理図である。
【図3】図1に示すレーザアニール装置の固体レーザ発振装置の具体的な構成である実施例を示すブロック線図である。
【図4】図3に示す固体レーザ発振装置の各部の波形を示す波形図である。
【図5】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第1の実施例を示すブロック線図である。
【図6】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第2の実施例を示すブロック線図である。
【図7】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第3の実施例を示すブロック線図である。
【図8】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第4の実施例を示すブロック線図である。
【図9】図1に示すレーザアニール装置の干渉低減装置の第5の実施例を示すブロック線図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るレーザアニール装置を示すブロック線図である。
【図11】プラスティック基板のレーザ光の吸収特性としてPETに関する吸収特性を調べた結果を示す特性図である。
【図12】アモルファスシリコン薄膜におけるレーザ光の吸収特性を調べた特性図である。
【符号の説明】
1 固体レーザ発振装置
2 波長変換部
3 干渉低減装置
6 アモルファスシリコン薄膜
7 基板
11 レーザ媒質
12 半導体レーザ
13、14 高反射ミラー
15 Qスイッチ
16 偏光ビームスプリッタ
17 1/4λ板
19、22 高電圧パルサ
23 マスタパルサ
31 レーザ光
32 光学系
33 1/2λ板
34、35 偏光ビームスプリッタ
36 折り返しプリズム
43 干渉低減装置
Claims (21)
- 固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成し、このレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うことを特徴とするレーザアニール方法。
- 固体レーザ発振手段を用いて波長が350nm〜550nmで、且つパルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を形成し、このパルスレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射して、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うことを特徴とするレーザアニール方法。
- 〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、
キャビティダンプ法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化することを特徴とするレーザアニール方法。 - 〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、
モードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化することを特徴とするレーザアニール方法。 - 〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、
キャビティダンプ法及びモードロック法によりパルス幅を10nm未満に短パルス化することを特徴とするレーザアニール方法。 - 〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、
パルスレーザ光のレーザビームを分割して相互にインコヒーレントなレーザ光とし、その後これらを重畳することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたことを特徴とするレーザアニール方法。 - 〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、
単一光束のパルスレーザ光を分束するとともに、分束した二光束の間に光路差を設け、
さらに前記二光束を重畳して再び単一光束に集束することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたことを特徴とするレーザアニール方法。 - 〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、
パルスレーザ光を光導波路を用いて伝送し、この伝送過程における反射により前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたことを特徴とするレーザアニール方法。 - 〔請求項1〕又は〔請求項2〕に記載するレーザアニール方法において、
パルスレーザ光を複数の固体レーザ発振器から出射し、その後各パルスレーザ光を合成してアモルファスシリコン薄膜に照射することにより前記パルスレーザ光のコヒーレンスを低減してスペックルによる照射面での強度ムラを抑制するようにしたことを特徴とするレーザアニール方法。 - パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、
前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、
この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したことを特徴とするレーザアニール装置。 - パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する固体レーザ発振手段と、
前記パルスレーザ光を波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光を形成する波長変換手段とを有し、
この波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行う干渉低減手段とを有し、
この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したことを特徴とするレーザアニール装置。 - パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、
前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段とを有し、
それぞれの出力であるレーザ光を合成して高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したことを特徴とするレーザアニール装置。 - パルス幅が10nm未満のパルスレーザ光を出射する複数の固体レーザ発振手段と、
前記各パルスレーザ光をそれぞれ波長変換して波長が350nm〜550nmのレーザ光をそれぞれ形成する複数の波長変換手段と、
各波長変換手段の出力レーザ光のコヒーレンス低減処理を行うとともに各出力レーザ光を合成する干渉低減手段とを有し、
この出力であるレーザ光を高分子材料の基板上に形成したアモルファスシリコン薄膜に照射し、このアモルファスシリコン薄膜のアニーリングを行うように構成したことを特徴とするレーザアニール装置。 - 〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載するレーザアニール装置において、
干渉低減手段は、入射するレーザ光を分割して相互にインコヒーレントな複数のレーザ光とし、その後これらを重畳するものであることを特徴とするレーザアニール装置。 - 〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載するレーザアニール装置において、
干渉低減手段は、単一のパルスレーザ光の光源から出射するレーザ光を二光束に分束する分束器と、
前記二光束を一光束に同一光軸上で集束する集束器と、
前記二光束の光路差を可干渉性距離より長くする光路差形成光学系とを有することを特徴とするレーザアニール装置。 - 〔請求項11〕又は〔請求項13〕に記載するレーザアニール装置において、
干渉低減手段は、光ファイバで形成し、この光ファイバに入射したレーザ光がそのコアとクラッドの境界面で反射しながら伝送され、この伝送中に反射によってモードが増加するとともに伝播時間差を生じることを利用してレーザ光のコヒーレンスを低下させるようにしたものであることを特徴とするレーザアニール装置。 - 〔請求項14〕に記載するレーザアニール装置において、干渉低減手段は、入射したレーザ光を、一方は透過し、他方は反射することにより分割する第1の偏光ビームスプリッタと、
第1の偏光ビームスプリッタを透過したレーザ光と反射したレーザ光とを合成して出力する第2の偏光ビームスプリッタと、
第1の偏光ビームスプリッタで反射して分割したレーザ光が第2の偏光ビームスプリッタに入射するよう、このレーザ光の光路を変更するとともに、第1の偏光ビームスプリッタから反射されて第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長が、第1の偏光ビームスプリッタを透過して直接第2の偏光ビームスプリッタに至るレーザ光の光路長よりもコヒーレンス長(光速c/スペクトル幅Δν)以上長くなるようにしたものであることを特徴とするレーザアニール装置。 - 〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、
固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したことを特徴とするレーザアニール装置。 - 〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、
固体レーザ発振手段は、モードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したことを特徴とするレーザアニール装置。 - 〔請求項10〕乃至〔請求項16〕に記載する何れか一つのレーザアニール装置において、
固体レーザ発振手段は、キャビティダンプ法及びモードロック法によりその出力パルスレーザ光の短パルス化を図るように構成したことを特徴とするレーザアニール装置。 - 〔請求項18〕又は〔請求項20〕に記載するレーザアニール装置において、
レーザ媒質、これを励起する励起用光源及びレーザ媒質が放射した光を往復増幅する共振器を有してパルスレーザ光を得るとともに、
前記レーザ媒質の両側に高反射率ミラーをそれぞれ配設してなる共振器間にQスイッチ素子及びキャビティダンプ素子を配設し、レーザ光を共振器内に完全に閉じ込めた状態でQスイッチ発振を行わせ、共振器内に蓄積されたパルスレーザ光のピークレベル近傍で、キャビティダンプ素子を動作させ、続けてキャビティダンプを行なわせ、共振器内部に蓄積されたエネルギーを瞬間的に外部に取り出すように構成してキャビティダンプ法を実現するように構成したことを特徴とするレーザアニール装置。
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