JP2005243683A - 樹脂封止型及び樹脂封止方法 - Google Patents

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邦彦 藤原
Ryoji Kitada
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Abstract

【課題】 貫通孔を有する基板に装着されたチップを樹脂封止する場合に、基板におけるチップが装着されていない非装着面において樹脂ばりが発生することである。
【解決手段】 チップ3が装着された装着面、非装着面21、及び、装着面と非装着面21とを連通する貫通孔17を有する基板1が載置される下型4と、下型4に相対向する上型5と、上型5に設けられたキャビティ7と、キャビティ7に溶融樹脂10を充填する充填手段と、溶融樹脂10を硬化させて封止樹脂15を形成する硬化手段とを備える樹脂封止型6であって、下型4に形成され平面視した場合に貫通孔17を覆う突起27を備え、下型4と上型5とが型締めした状態において、非装着面21において貫通孔17が突起27により塞がれる。これにより、溶融樹脂10が基板1の貫通孔17から非装着面21に流出することが阻止されるので、非装着面21における樹脂ばりの発生が防止される。
【選択図】図1

Description

本発明は、リードフレーム等の回路基板(以下「基板」という。)に装着されたチップ状素子(以下、適宜「チップ」という。)を樹脂封止して電子部品を製造する際に使用される、樹脂封止型及び樹脂封止方法に関するものである。
従来の、基板において格子状に設けられた領域にそれぞれ装着されたチップを一括して樹脂封止して、得られた成形体を切断することによって個片からなる電子部品を製造する場合について、図4−図6を参照して説明する。図4(1)は本発明が適用される基板に装着されたチップと金型との位置関係を示す平面図であり、図4(2)は従来の樹脂封止における金型が型締めした状態を図4(1)のA−A線に沿って示す断面図であり、図4(3)は基板に装着されたチップが樹脂封止されて完成した成形体を示す平面図である。図5(1)は従来の樹脂封止において基板の周縁部を挟持して金型が型締めした状態を図4(1)のB−B線に沿って示す断面図であり、図5(2)は樹脂封止が終了して金型から取り出された成形体を示す正面図であり、図5(3)は図5(2)の成形体を切断する工程を示す正面図である。図6は、従来技術及び本発明に係る樹脂封止型に載置されるリードフレームからなる基板について、該基板が有する領域の1個分を示す平面図である。なお、以降の説明において使用するいずれの図についても、わかりやすくするために誇張して、かつ模式的に描かれている。
図4に示されているように、この場合に使用されるリードフレーム、プリント基板等からなる基板1には、完成品である電子部品にそれぞれ対応する領域2が格子状に設けられている。すなわち、基板1はいわゆるマトリックス型の基板であり、各領域2にはそれぞれLSI等からなるチップ3が装着されている。また、樹脂封止用の金型として、相対向する下型4と上型5とからなる金型6が使用される。
従来の、マトリックス型の基板1を使用した樹脂封止は、次のようにして行われる。まず、基板1の各領域2にチップ3がダイボンディングされる。次に、チップ3と基板1との電極(図示なし)同士が、ワイヤ(図示なし)を使用したワイヤボンディングによって電気的に接続される。次に、図4(2)と図5(1)とに示すように、上型5に設けられたキャビティ7によって基板1が有する領域2の全部が覆われるようにして、基板1が下型4の上に載置される。次に、金型6が型締めした後に、下型4に設けられたポット8に配置された樹脂タブレット(図示なし)をプランジャ9が押圧することにより、樹脂タブレットを加圧・加熱して溶融樹脂10を生成する。次に、それぞれ上型5に設けられたカル11からランナ12、ゲート13を順次経由して、溶融樹脂10が加圧されてキャビティ7に一括して注入される。次に、溶融樹脂10を硬化させて硬化樹脂を形成した後に金型6を型開きし、硬化樹脂のうちカル11,ランナ12,ゲート13からなる樹脂流路14において硬化した不要樹脂を分離するゲートブレークを行う。これにより、図4(3)と図5(2)とに示すように、基板1に装着された複数のチップ3が硬化樹脂からなる封止樹脂15によって一括して樹脂封止された成形体16が、いわゆるトランスファ成形により完成する。この際に、封止樹脂15は、基板1に設けられた貫通孔17においても、その貫通孔17を塞ぐようにして形成される。次に、図5(3)に示すように、各領域2の境界に仮想的に設けられたダイシングライン18において、回転刃19を使用して、吸着テーブル20によって固定された成形体16を、図4(1)のX方向とY方向とに切断する。ここまでの工程によって、成形体16が各領域2毎に分割されて、各領域2に対応する個片からなる電子部品が完成する(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述した従来の技術によれば、キャビティ7に一括して注入された溶融樹脂10が、基板1において貫通孔17を経由してチップ3が装着されていない面、すなわち、非装着面21(図では下面)に漏れ出すことがある。これにより、基板1の非装着面21において、漏れだした溶融樹脂10が硬化して樹脂ばり(フラッシュ)22が形成される。そして、非装着面21において、図6に示されたリード23、アイランド(ダイパッド)24、吊りリード25等に形成された樹脂ばり22は、次のような問題を引き起こす。
第1に、この樹脂ばり22は、外観不良の原因になる。したがって、樹脂ばり22が発生した電子部品は不良品になるおそれがある。第2に、樹脂ばり22は、完成した電子部品をプリント基板に実装する際に、電子部品の端子とプリント基板の端子との間に介在するので、接続不良及び電子部品の浮きの原因になる。したがって、樹脂ばり22が発生した電子部品は不良品になるおそれがある。第3に、樹脂ばり22は、吸着テーブル20による成形体16の固定を不安定にする。したがって、成形体16を切断する際に、回転刃19のびびりが生じて、完成品である電子部品の寸法精度や外観品位等について不良が発生するおそれがある。これらのことから、樹脂ばり22の発生は電子部品の歩留まりを低下させるという問題がある。特に、図6に示されたリードフレームからなる基板1では、各領域2において貫通孔17が占める面積が大きいので、樹脂ばり22が発生しやすい。また、近年、溶融樹脂10について、その流動性が高くなる傾向があるので、樹脂ばり22が発生しやすい。また、図4に示されたマトリックス型の基板1は、その周縁部26において下型4と上型5とにより挟持されているが、中央部においては挟持されていない。したがって、金型6が型締めした状態で、基板1において微小な反りやうねり等の変形が発生しやすくなっている。更に、近年、コストダウンの要請に伴い基板1が大型化する傾向にあるので、この点からも、基板1における微小な反りやうねり等の変形が発生しやすくなっている。これらのことから、樹脂ばり22が発生しやすくなっているので、樹脂ばり22に起因して発生する問題はいっそう深刻になっている。なお、上述した第1及び第2の問題は、マトリックス型の基板1を使用する場合以外においても発生するおそれがある。すなわち、それらの問題は、基板に装着された1又は複数のチップを覆う1個のキャビティに溶融樹脂を注入して硬化させることにより樹脂封止を行い、そのキャビティに対応する1個の電子部品を形成する場合においても、発生するおそれがある。
ところで、図5に示された樹脂ばり22の発生を防止するために、金型6(図4,図5では下型4)の型面と基板1との間にフィルムを張設して、その状態で樹脂封止を行うことが提案されている。このフィルムは、下型4と上型5とが型締めする際に、基板1と下型4の型面との間でクランプされることによって圧縮変形するので、貫通孔17を塞ぐ。これにより、溶融樹脂10が貫通孔17を経由して基板1の非装着面21に漏れ出すことが、抑制される。したがって、樹脂ばり22の発生が防止される(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この場合には、次のような問題がある。第1に、このようなフィルムは、いわゆる使い捨て方式になっているので、環境に与える負荷が増大する。第2に、使い捨て方式であることによって、ランニングコストが増大する。第3に、フィルムの供給及び巻き取り機構が必要になることから装置の複雑化を招くので、装置のコストが増大する。
特開2000−12578号公報(第4頁−第5頁、図1、図3、図5、図6) 特開平8−156014号公報(第4頁−第5頁、図1)
本発明が解決しようとする課題は、貫通孔を有する基板に装着されたチップを樹脂封止する場合に、基板の非装着面において樹脂ばりが発生することである。
上述の課題を解決するために、本発明に係る樹脂封止型(6)は、チップ状素子(3)が装着された装着面、該装着面に対向する非装着面(21)、及び、装着面と非装着面(21)とを連通する貫通孔(17)を有する基板(1)が載置される第1の型(4)と、該第1の型(4)に相対向して設けられた第2の型(5)と、第1の型(4)と第2の型(5)とのいずれかにチップ状素子(3)と貫通孔(17)とを覆うようにして設けられたキャビティ(7)と、キャビティ(7)の少なくとも一部を流動性樹脂(10)によって充填された状態にする充填手段(9)と、キャビティ(7)に充填された流動性樹脂(10)を硬化させて封止樹脂(15)を形成する硬化手段とを備える樹脂封止型(6)であって、第1の型(4)と第2の型(5)とのうち非装着面(21)に対向する型(4)において、平面視した場合に貫通孔(17)を含むようにして形成された突起(27,28)を備えるとともに、第1の型(4)と第2の型(5)とが型締めした状態において突起(27,28)によって貫通孔(17)が塞がれることを特徴とする。
また、本発明に係る樹脂封止型(6)は、上述の樹脂封止型(6)において、平面視した場合に突起(28)の先端部は貫通孔(17)に含まれているとともに、基板(1)と突起(28)とが該突起(28)の側面において接触することを特徴とする。
また、本発明に係る樹脂封止型(6)は、上述の樹脂封止型(6)において、突起(27,28)は材料を堆積させることによって形成されたことを特徴とする。
また、本発明に係る樹脂封止型(6)は、上述の樹脂封止型(6)において、突起(27,28)は第1の型(4)と第2の型(5)とのうち非装着面(21)に対向する型(4)において突起(27,28)以外の部分を所定の量だけ除去することによって形成されたことを特徴とする。
また、本発明に係る樹脂封止方法は、チップ状素子(3)が装着された装着面、該装着面に対向する非装着面(21)、及び、装着面と非装着面(21)とを連通する貫通孔(17)を有する基板(1)が載置される第1の型(4)と、該第1の型(4)に相対向して設けられた第2の型(5)と、第1の型(4)と第2の型(5)とのいずれかにチップ状素子(3)と貫通孔(17)とを覆うようにして設けられたキャビティ(7)とを使用して、チップ状素子(3)を樹脂封止する樹脂封止方法であって、基板(1)が載置された第1の型(4)と第2の型(5)とを型締めする工程と、第1の型(4)と第2の型(5)とのうち非装着面(21)に対向する型(4)において形成された突起(27,28)を使用して、非装着面(21)において貫通孔(17)を塞ぐ工程と、キャビティ(7)の少なくとも一部を流動性樹脂(10)によって充填された状態にする工程と、突起(27,28)を使用して、流動性樹脂(10)が貫通孔(17)から非装着面(21)に流出することを阻止する工程と、第1の型(4)と第2の型(5)とを型締めした状態で流動性樹脂(10)を硬化させて封止樹脂(15)を形成する工程と、第1の型(4)と第2の型(5)とを型開きする工程と、基板(1)と封止樹脂(15)とを有する成形体(16)を取り出す工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、第1の型(4)と第2の型(5)とが、すなわち、樹脂封止型(6)が型締めした状態で、基板(1)の非装着面(21)において、第1の型(4)と第2の型(5)とのうち非装着面(21)に対向する型(4)において形成された突起(27,28)により、貫通孔(17)が塞がれる。これにより、流動性樹脂(10)が基板(1)の貫通孔(17)から非装着面(21)に流出することが阻止される。また、樹脂封止型(6)が型締めした状態において、基板(1)は、非装着面(21)に対向する型(4)によって、貫通孔(17)周辺の小さい面積において支持されている。これにより、まず、キャビティ(7)に注入された流動性樹脂(10)の樹脂圧によって、非装着面(21)に対向する型(4)に対して基板(1)が押圧されるので、流動性樹脂(10)が貫通孔(17)から非装着面(21)に流出することが阻止される。次に、樹脂封止型(6)が型締めして基板(1)が挟持されることにより、基板(1)の反りを抑制する効果が増大する。したがって、これらのことにより、フィルムを使用することなく、基板(1)の非装着面(21)における樹脂ばりの発生が防止される。
また、本発明によれば、平面視した場合に突起(28)の先端部は貫通孔(17)に含まれているとともに、基板(1)と突起(28)とがその突起(28)の側面において接触する。これにより、基板(1)のうち貫通孔(17)の内壁と、突起(28)の側面との間に、硬化樹脂からなる封止樹脂(15)が形成されない部分を設けることが可能になる。これにより、基板(1)と封止樹脂(15)とを有する成形体(16)において、非装着面(21)側の貫通孔(17)の内壁、すなわち、リード(23)の側面を露出させることが可能になる。したがって、成形体(16)をプリント基板等に実装する際に、はんだ等の導電性物質がリード(23)の側面にまで付着するので、リード(23)とプリント基板等の端子とが確実に接続される。
また、本発明によれば、樹脂封止型(6)の突起(27,28)が、材料を堆積させることによって、又は、突起(27,28)以外の部分を除去することによって、形成される。したがって、突起(27,28)の寸法、形状、数、材質等に応じて、最適な方法で突起(27,28)が形成される。
チップ状素子(3)が装着された装着面、その装着面に対向する非装着面(21)、及び、装着面と非装着面(21)とを連通する貫通孔(17)を有する基板(1)が載置される第1の型(4)と、該第1の型(4)に相対向して設けられた第2の型(5)と、第1の型(4)と第2の型(5)とのいずれかにチップ状素子(3)と貫通孔(17)とを覆うようにして設けられたキャビティ(7)と、キャビティ(7)の少なくとも一部を流動性樹脂(10)によって充填された状態にする充填手段(9)と、キャビティ(7)に充填された流動性樹脂(10)を硬化させて封止樹脂(15)を形成する硬化手段とを備える樹脂封止型(6)であって、第1の型(4)と第2の型(5)とのうち非装着面(21)に対向する型(4)において、平面視した場合に貫通孔(17)を含むようにして形成された突起(27,28)を備えるとともに、第1の型(4)と第2の型(5)とが型締めした状態において、突起(27,28)によって貫通孔(17)が塞がれる。また、平面視した場合に突起(28)の先端部は貫通孔(17)に含まれているとともに、第1の型(4)と第2の型(5)とが型締めした状態において、基板(1)と突起(28)とが該突起(28)の側面において接触する。
本発明に係る樹脂封止型及び樹脂封止方法の実施例1について、図1を参照して説明する。図1(1)は本実施例において基板の周縁部を挟持して金型が型締めした状態を図4(1)のB−B線の一部に沿って示す部分断面図であり、図1(2)は図1(1)に示された部分において溶融樹脂の硬化が完了した状態を示す部分断面図である。以下の説明において使用するいずれの図についても、図4−図6の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、以下の説明では、基板1として、貫通孔17を有しCu等からなる金属製のリードフレームを例に挙げて説明する。
図1に示されているように、下型4と上型5とのうち、基板1の非装着面21に対向する型、すなわち、下型4においては、基板1の貫通孔17に対応する位置において突起27が形成されている。これらの突起27は、それぞれ、平面視した場合に各貫通孔17を含むようにして形成されているとともに、ほぼ矩形状の断面を有している。このことにより、基板1においては、下型4の各突起27の頂面(図では上面)が、各リード23の縁部と重なり合うことによって基板1を支持するとともに、非装着面21において貫通孔17を塞ぐ。また、下型4と上型5とが型締めした状態において、基板1は、各貫通孔17の周辺、言い換えれば各リード23の縁部の微小な面積において、下型4の各突起27によって支持されている。これにより、下型4と上型5とが型締めして基板1がその周縁部26において挟持されている場合に、基板1の反り等の変形を抑制する効果が、挟持されている周縁部26で生じることに加えて、基板1の中央部に向かって拡大して生じる。
本実施例に係る樹脂封止型について、その動作を説明する。まず、図1(1)に示すように、基板1の貫通孔17と下型4の突起27とが位置合わせされた状態で、下型4と上型5とを型締めする。これにより、各突起27の頂面が、基板1の非装着面21において貫通孔17を塞ぐ。
次に、図1(2)に示すように、下型4と上型5とを型締めしたまま、キャビティ7に溶融樹脂10を注入した後に、上型5に設けられたヒータ(図示なし)を使用して、その溶融樹脂10を加熱して硬化させる。これにより、キャビティ7において硬化樹脂からなる封止樹脂15を形成する。この工程においては、上述のように、第1に、各突起27の頂面が、基板1の非装着面21において貫通孔17を塞ぐことによって、溶融樹脂10が貫通孔17から非装着面21に流出することを阻止する。第2に、基板1の反り等の変形を抑制する効果が、基板1の中央部に向かって拡大して生じるので、これによっても、溶融樹脂10が貫通孔17から非装着面21に流出することを阻止する。加えて、第3に、キャビティ7に注入された流動性樹脂10の樹脂圧により、下型4に対して基板1が押圧されるので、溶融樹脂10が貫通孔17から非装着面21に流出することを阻止する。
次に、図1(2)に示した状態から下型4と上型5とを型開きして、基板1と封止樹脂15とを有する成形体16を取り出す。そして、次の工程において、回転刃(図5の回転刃19)等を使用して、ダイシングライン18において成形体16を切断して、成形体16を各領域2の単位に個片化する。ここまでの工程により、成形体16の各領域2に対応する電子部品が完成する。
ここまで説明したように、本実施例によれば、第1に、下型4と上型5とを型締めした状態において、下型4の各突起27の頂面が、基板1の非装着面21において貫通孔17を塞ぐ。第2に、下型4と上型5とが型締めして基板1がその周縁部26において挟持される場合に、基板1の反り等の変形を抑制する効果が、基板1の中央部に向かって拡大する。第3に、キャビティ7に注入された流動性樹脂10の樹脂圧により、下型4の各突起27に対して基板1が押圧される。これらにより、溶融樹脂10が基板1の貫通孔17から非装着面21に流出することが、阻止される。したがって、フィルムを使用することなく、基板1の非装着面21における樹脂ばりの発生が防止される。
本発明に係る樹脂封止型の実施例2を、図2を参照して説明する。図2(1)は本実施例において基板の周縁部を挟持して金型が型締めした状態を図4(1)のB−B線の一部に沿って示す部分断面図であり、図2(2)は図2(1)に示された部分において溶融樹脂の硬化が完了した状態を示す部分断面図である。
図2に示されているように、本実施例では、下型4に設けられている突起28が、平面視した場合に、貫通孔17を含むようにして、かつ、突起28の先端部が貫通孔17に含まれるようにして、形成されている。言い換えれば、突起28は、先端部が小さくなるような先細状の断面形状を有している。これにより、下型4と上型5とが型締めした状態において、基板1と突起28とがその突起28の側面において接触する。このことにより、実施例1と同様に、下型4の各突起27が基板1の非装着面21の側において貫通孔17を塞ぐので、溶融樹脂10が基板1の貫通孔17から非装着面21に流出することが阻止される。したがって、フィルムを使用することなく、基板1の非装着面21における樹脂ばりの発生が防止される。
加えて、本実施例では、溶融樹脂10の流動性に対応して突起28の先端部の寸法、側面の傾斜等を適切に設定することによって、基板1において、貫通孔17の内壁と突起28の側面との間に封止樹脂15が形成されない部分を設けることが可能になる。したがって、成形体16において、非装着面21側の貫通孔17の内壁、すなわち、リード23の側面を露出させることができる。言い換えれば、成形体16を切断して製造される電子部品がプリント基板等に装着される面、すなわち、基板1における非装着面21と、封止樹脂15の下面との間において、一定の距離、すなわち、スタンドオフDだけリード23の側面を露出させることができる。
ここまで説明したように、本実施例によれば、実施例1と同様に、基板1の非装着面21における樹脂ばりの発生が防止される。加えて、リード23の下面の位置からその側面が露出する距離、すなわち、スタンドオフDの存在により、成形体16をプリント基板等に実装する際に、はんだ等の導電性物質がリード23の側面にまで付着することになる。したがって、リード23とプリント基板等の端子とが確実に接続される。
なお、本実施例では、図2(2)に示されているように、突起28の断面形状を、富士山状、すなわち、台形状とした。これに限らず、その断面形状を、三角形状、弓形状等にすることもできる。
本発明に係る樹脂封止型の実施例3について、図1−図3を参照しながら説明する。図3(1)は母材の表面に成膜されたフォトレジストが露光される状態を、図3(2)は現像により母材の表面にレジストパターンが形成された状態を、図3(3)はレジストパターンが形成された状態でニッケルめっきが行われる状態を、図3(4)はレジストパターンが除去された状態をそれぞれ示す部分断面図である。本実施例においては、下型4を構成する母材29における基板1の非装着面21に対向する表面、すなわち、型面30において、突起27(図1参照)に相当する部分に材料を堆積させることにより、下型4の突起27が形成される。具体的には、LIGAプロセスを使用して、型面30において突起27に相当する部分に材料を堆積させる。
本実施例に係る樹脂封止型は、以下のようにして製造される。まず、図3(1)に示すように、例えば、鋼系材料からなる母材29の型面30にポジ型のフォトレジスト31を成膜する。この成膜を行う際には、予め所定の厚さでシート状に成形されたフォトレジスト材料(ドライフィルムレジスト)を、ドライコータ(ラミネータ)を使用して型面30に貼付すればよい。その後に、フォトマスクとして基板1を使用して、基板1を介して露光用の光線32を照射する。そして、光線32によって照射された照射部33においてフォトレジスト31に分解反応を起こさせて、フォトレジスト31が所定の現像液に対する可溶性を持つようにする。なお、露光用の光線32としては、紫外線又はX線を使用することができる。ここで、本実施例においては、光源等の装置の利用容易性を考慮して、紫外線を使用するUV−LIGAプロセスを採用することが好ましい。これにより、樹脂封止型を製造するコストが低減される。また、母材29の型面30において予め硬質クロムめっきを施しておくこともできる。また、型面30にフォトレジスト31を成膜する場合には、液状のフォトレジスト材料を使用して、ロールコータによって塗布してもよく、更に、小型で軽量な型材料を使用する場合にはスピンコータによって塗布してもよい。
次に、図3(2)に示すように、所定の現像液を使用して、母材9の型面30に成膜されたフォトレジスト31を現像する。これにより、照射部33が融解して形成された凹部34と、フォトレジスト31が残存する凸部35とからなるレジストパターン36が、型面30において形成される。
次に、図3(3)に示すように、レジストパターン36が形成された型面30に対してニッケルめっきを行う。これにより、凹部34の型面30において、ニッケル37が堆積する。
次に、図3(4)に示すように、型面30からレジストパターン36を剥離する。これにより、図3(3)に示された凹部34においてニッケル37からなる突起27が形成される。その後に、突起27の上面の高さをそろえるために、その上面を研削することが好ましい。ここまでの工程により、図1に示された、突起27を有する下型4が完成する。その後に、下型4において突起27が形成された面に対して、硬質クロムめっきを行ってもよい。なお、図1においては、下型4は同一材料から構成されている実施例が示されている。これに対して、本実施例では、図3(4)に示されているように、母材29と突起27とが異なる材料から構成されることになる。
ここまで説明したように、本実施例によれば、LIGAプロセスを使用して、突起27を有する下型4が製造される。これにより、まず、光学的なプロセスを使用するので、多数の突起27を精度よく形成することができる。また、レジスト成膜、露光、現像、めっき、レジスト剥離という各工程を経て、多数の突起27を、逐次的にではなく、一括して形成することができる。更に、UV−LIGAプロセスを使用した場合には、装置に関するコストを低減することができる。したがって、本実施例によれば、良好な寸法精度で突起27が形成された樹脂成形型が、低コストで製造される。
なお、本実施例では、ポジ型のフォトレジスト31を使用した。これに限らず、ネガ型のフォトレジストと、基板1を反転させたパターンを有するフォトマスクとを、組み合わせて使用することもできる。
また、本実施例によっても、図2に示された断面形状を有する突起28を形成することができる。この場合には、フォトマスクとして使用される基板1を介して、成膜されたフォトレジスト31に対して、露光用の光線32を適宜斜めに照射すればよい。また、基板1を反転させたパターンを有するフォトマスクと、平行光源と、ネガ型のフォトレジストとを使用して、そのフォトマスクを図3の水平方向に微小に運動させることによって、露光量をコントロールしてもよい。
本発明に係る樹脂封止型の実施例4について、図1−図2を参照して説明する。本実施例においては、下型4の突起27,28が、下型4における基板1の非装着面21に対向する面(図1,図2では下型4の上面)における突起27,28以外の部分を所定の量だけ除去することによって、形成される。具体的には、研削加工、切削加工、放電加工等によって、下型4の上面における突起27,28以外の部分を除去することができる。
また、エッチングにより、図1,図2に示された下型4の上面における突起27,28以外の部分を除去することにより、突起27,28を形成することができる。この場合には、下型4の上面にフォトレジストを成膜し、フォトマスクを介してそのフォトレジストを露光させ、現像してレジストパターンを形成した後に、レジストパターンが形成された下型4の上面をエッチング液に浸して、その上面における露出した部分を所定の量だけ融解させて除去する。これにより、図1に示された突起27が形成される。
また、ブラスト加工を使用して、図1,図2に示されている下型4の上面における突起27,28以外の部分を除去してもよい。これにより、突起27,28を形成することができる。
なお、上述した各実施例においては、基板1として、貫通孔17を有する金属製のリードフレームを例に挙げて説明した。これに限らず、貫通孔17を有しガラスエポキシ等を基材とするプリント基板、貫通孔17を有するフレキシブル基板等に対して本発明を適用することもできる。
また、ここまでの説明では、マトリックス型の基板について本発明が適用される場合を説明した。これに限らす、基板に装着された1個又は複数個のチップを覆う1個のキャビティに溶融樹脂を注入して硬化させることにより樹脂封止を行って、そのキャビティに対応する1個の電子部品を形成する場合においても、本発明を適用することができる。
また、下型4に基板1が載置されるとともに、上型5にキャビティ7が形成されることとした。これに限らず、下型4又は上型5のいずれかに基板1が載置されるとともに、下型4にキャビティ7が形成されることとしてもよい。この場合には、トランスファ成形又は射出成形を適用して、樹脂封止を行うことができる。
また、上型5に基板1が載置されるとともに、下型4にキャビティ7が形成されることとして、型締めが完了する前にキャビティ7の少なくとも一部を流動性樹脂によって充填された状態にすることとしてもよい。この構成においては、ディスペンサ等の供給手段を使用して、予めキャビティ7の少なくとも一部に、加熱前には室温において液状である流動性樹脂を充填することができる。更に、キャビティ7に粉末状、顆粒状、シート状等の固体樹脂材料を供給し、ヒータブロックやハロゲンランプ等の加熱手段を使用してその樹脂材料を加熱・溶融させて、予めキャビティ7の少なくとも一部を流動性樹脂によって充填された状態にすることができる。これらの場合には、供給手段又は加熱手段が、キャビティ7の少なくとも一部を流動性樹脂によって充填された状態にする充填手段として機能する。
また、相対向する下型4と上型5とを使用した。本発明は、上下方向に限らず相対向する複数の樹脂封止型について、適用することができる。
また、キャビティ7が1個の上型5に設けられることとした。これに限らず、分割した型によってキャビティ7を形成することができる。例えば、キャビティ7の側面を形成する中間型と、キャビティ7の内底面(図では上面)を形成する狭義の上型とを組み合わせて、図1及び図2に示された上型5と同じように機能させてもよい。更に、下型4にキャビティ7が形成されることとして、その下型4を、キャビティ7の側面を形成する中間型と、キャビティ7の内底面を形成する狭義の下型とに分割してもよい。
また、突起27,28が形成された多孔性材料によって下型4を構成し、下型4と上型5とを型締めしながら、又はそれらが型締めした状態で、その下型4に形成された多数の連通孔を介してキャビティ7内を吸引することとしてもよい。この場合には、溶融樹脂10を脱泡した後に硬化させることにより、封止樹脂15において気泡の発生が防止されるので、電子部品の信頼性を向上させることができる。また、下型4の突起27,28に対して基板1が押し当てられる効果が増大する。したがって、溶融樹脂10が貫通孔17から非装着面21に流出することが、いっそう効果的に阻止される。
また、ここまでの説明では、樹脂封止用の型として、金属材料からなる金型6を例にとって説明した。これに限らず、セラミック等の非金属材料から構成される型を使用することもできる。
また、本発明は、上述の各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
図1(1)は本発明の実施例1において基板の周縁部を挟持して金型が型締めした状態を図4(1)のB−B線の一部に沿って示す部分断面図であり、図1(2)は図1(1)に示された部分において溶融樹脂の硬化が完了した状態を示す部分断面図である。 図2(1)は本発明の実施例2において基板の周縁部を挟持して金型が型締めした状態を図4(1)のB−B線の一部に沿って示す部分断面図であり、図2(2)は図2(1)に示された部分において溶融樹脂の硬化が完了した状態を示す部分断面図である。 図3(1)は母材の表面に成膜されたフォトレジストが露光される状態を、図3(2)は現像により母材の表面にレジストパターンが形成された状態を、図3(3)はレジストパターンが形成された状態でニッケルめっきが行われる状態を、図3(4)はレジストパターンが除去された状態をそれぞれ示す部分断面図である。 図4(1)は本発明が適用される基板に装着されたチップと金型との位置関係を示す平面図であり、図4(2)は従来の樹脂封止における金型が型締めした状態を図4(1)のA−A線に沿って示す断面図であり、図4(3)は基板に装着されたチップが樹脂封止されて完成した成形体を示す平面図である。 図5(1)は従来の樹脂封止において基板の周縁部を挟持して金型が型締めした状態を図4(1)のB−B線に沿って示す断面図であり、図5(2)は樹脂封止が終了して金型から取り出された成形体を示す正面図であり、図5(3)は図5(2)の成形体を切断する工程を示す正面図である。 従来技術及び本発明に係る樹脂封止型に載置されるリードフレームからなる基板について、該基板が有する領域の1個分を示す平面図である。
符号の説明
1 基板
2 領域
3 チップ(チップ状素子)
4 下型(第1の型)
5 上型(第2の型)
6 金型(樹脂封止型)
7 キャビティ
8 ポット
9 プランジャ(充填手段)
10 溶融樹脂(流動性樹脂)
11 カル
12 ランナ
13 ゲート
14 樹脂流路
15 封止樹脂
16 成形体
17 貫通孔
18 ダイシングライン
19 回転刃
20 吸着テーブル
21 非装着面
22 樹脂ばり
23 リード
24 アイランド
25 吊りリード
26 周縁部
27,28 突起
29 母材
30 型面
31 フォトレジスト
32 光線
33 照射部
34 凹部
35 凸部
36 レジストパターン
37 ニッケル
D スタンドオフ

Claims (5)

  1. チップ状素子が装着された装着面、該装着面に対向する非装着面、及び、前記装着面と前記非装着面とを連通する貫通孔を有する基板が載置される第1の型と、該第1の型に相対向して設けられた第2の型と、前記第1の型と前記第2の型とのいずれかに前記チップ状素子と前記貫通孔とを覆うようにして設けられたキャビティと、前記キャビティの少なくとも一部を流動性樹脂によって充填された状態にする充填手段と、前記キャビティに充填された流動性樹脂を硬化させて封止樹脂を形成する硬化手段とを備える樹脂封止型であって、
    前記第1の型と前記第2の型とのうち前記非装着面に対向する型において、平面視した場合に前記貫通孔を含むようにして形成された突起を備えるとともに、
    前記第1の型と前記第2の型とが型締めした状態において前記突起によって前記貫通孔が塞がれることを特徴とする樹脂封止型。
  2. 請求項1記載の樹脂封止型において、
    平面視した場合に前記突起の先端部は前記貫通孔に含まれているとともに、前記基板と前記突起とが該突起の側面において接触することを特徴とする樹脂封止型。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂封止型において、
    前記突起は材料を堆積させることによって形成されたことを特徴とする樹脂封止型。
  4. 請求項1又は2に記載の樹脂封止型において、
    前記突起は前記第1の型と前記第2の型とのうち前記非装着面に対向する型において前記突起以外の部分を所定の量だけ除去することによって形成されたことを特徴とする樹脂封止型。
  5. チップ状素子が装着された装着面、該装着面に対向する非装着面、及び、前記装着面と前記非装着面とを連通する貫通孔を有する基板が載置される第1の型と、該第1の型に相対向して設けられた第2の型と、前記第1の型と前記第2の型とのいずれかに前記チップ状素子と前記貫通孔とを覆うようにして設けられたキャビティとを使用して、前記チップ状素子を樹脂封止する樹脂封止方法であって、
    前記基板が載置された前記第1の型と前記第2の型とを型締めする工程と、
    前記第1の型と前記第2の型とのうち前記非装着面に対向する型において形成された突起を使用して、前記非装着面において前記貫通孔を塞ぐ工程と、
    前記キャビティの少なくとも一部を前記流動性樹脂によって充填された状態にする工程と、
    前記突起を使用して、前記流動性樹脂が前記貫通孔から前記非装着面に流出することを阻止する工程と、
    前記第1の型と前記第2の型とを型締めした状態で前記流動性樹脂を硬化させて封止樹脂を形成する工程と、
    前記第1の型と前記第2の型とを型開きする工程と、
    前記基板と前記硬化性樹脂とを有する成形体を取り出す工程とを備えることを特徴とする樹脂封止方法。
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