JP2005242293A - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、それを用いた偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
比較的、薄くとも位相差値の高い光学フィルムを簡便に製造できる光学フィルムの製造方法及び該光学フィルムを用いた偏光板等を提供する。
【解決手段】
メソゲン基を有する低分子化合物が溶解されたケトン系溶液をセルロース系フィルム上に塗布し、前記メソゲン基を有する低分子化合物を硬化させて硬化層を形成後、該セルロース系フィルムを波長590nmで測定した面内位相差値及び厚み位相差値R(590)と波長480nmで測定した面内位相差値及び厚み位相差値R(480)とが 式(1)の関係を満たすように延伸又は収縮処理を施すことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
0.8<R(480)/R(590)<1.2 (1)
【選択図】なし
Description
また、フィルムを積層する工程で光軸ズレの発生や異物混入等の発生を防止する必要があり、製造が煩雑であるという問題もある。
0.8<R(480)/R(590)<1.2(1)
R(480)/R(590)は、面内位相差値(Re)の比と厚み方向位相差値(Rth)の比との双方を意味する。即ち、式(1)は、0.8<(Re480)/(Re590)<1.2且つ0.8<(Rth480)/(Rth590)<1.2であることを意味する。尚、通常、(Re480)/(Re590)≒(Rth480)/(Rth590)の関係にある。
本実施形態の光学フィルムの製造方法は、メソゲン基を有する低分子化合物が溶解されたケトン系溶液をセルロース系フィルム上に塗布し、前記メソゲン基を有する低分子化合物を硬化させて硬化層を形成後、該セルロース系フィルムを波長590nmで測定した面内位相差値及び厚み位相差値R(590)と波長480nmで測定した面内位相差値及び厚み位相差値R(480)とが 式(1)の関係を満たすように延伸又は収縮処理を施すものである。
0.8<R(480)/R(590)<1.2(1)
まず、本実施形態の光学フィルムの製造に用いられるケトン系溶液について説明する。
メソゲン基とは、液晶性を示す化合物に必須な剛直なユニットであり、環構造を直接或いは結合基で2つ以上連結したものをいう。メソゲン基を構成する環構造としては、例えば、(A-1)〜(A-11)から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。
液晶性化合物としては、例えば、重合性液晶、ネマチック液晶、ディスコチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、ライオトロピック液晶等が挙げられる。液晶性化合物の具体的な構造としては、例えば、シアノフェニルエステル系液晶、シアノビフェニルエステル系液晶、安息香酸フェニルエステル系液晶、アルキルシアノビフェニル系液晶、アルキルシアノターフェニル系液晶、シッフ系液晶、アゾキシ系液晶、アルキルシアノクオーターフェニル系液晶、シアノフェニルシクロヘキサン系液晶、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル系液晶、フェニルジオキサン系液晶等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、液晶性化合物の誘電率異方性、屈折率異方性は、正でも負でも良い。
更に、メソゲン基を有する低分子化合物は、2種類以上の混合物から構成されていてもよい。このとき該混合物を形成する化合物のうち少なくとも一つが液晶性化合物であるものが好ましい。
ここで液晶性化合物とは単独で、ある温度範囲において液晶性を発現するものを意味する。従って、このような液晶性化合物としては、例えば、単独では液晶性を示すが、高分子樹脂と混合すると液晶性を失うものであってもよい。
また、本発明のメソゲン基を有する低分子化合物は、同種の分子が数個から数十個結合したオリゴマー程度の重合度のものであり、分子量が数千程度のものを含むものとする。
高分子樹脂としては、例えば、樹脂中の繰り返し構造単位に少なくとも2つ以上の芳香環を有する、従来公知の材料を使用できる。高分子樹脂は、2種類以上のモノマーから重合されたもの或いは2種類以上の高分子樹脂が混合されたものであってもよい。
また、高分子樹脂は、メソゲン基を有する低分子化合物と混合した際に相分離せず高い透明性を保持するものであって、ケトン系溶媒に溶解するものである。
高分子樹脂の重量平均分子量としては、10,000〜1,000,000の範囲が好ましく、20,000〜500,000がより好ましい。尚、重量平均分子量が、1,000,000を超える場合は、高分子樹脂がゲル化しやすくなるため、溶媒に対する溶解性が著しく低下するという問題を有する。
また、該高分子樹脂のガラス転移点が、-50℃〜350℃のものを使用できる。
高分子樹脂としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ノルボルネン、含フッ素アリールエーテルケトン等の樹脂が挙げられる。前記樹脂の中でも、特に含フッ素アリールエーテルケトン樹脂が好ましい。
セルロース系フィルムの厚みは、通常、12〜200μmであり、20〜150μmが好ましく、25〜100μmがより好ましい。厚みが12μm以上であれば、後述の塗布工程における塗布精度がより一層優れ、また厚みが200μm以下であれば、例えば液晶セルに実装された際の外観をより一層向上できる。
セルロース系フィルムは、できる限り無色透明であることがよく、400〜800nmの波長領域における透過率が80%以上が好ましく、該透過率が90%以上がより好ましい。
前記ケトン系溶液に高分子樹脂が配合されていない場合、前記ケトン系溶液におけるメソゲン基を有する低分子化合物の配合量は、塗布方法に適した粘度範囲となる範囲が好ましく、例えば前記ケトン系溶媒100重量部に対して、メソゲン基を有する低分子化合物5〜50重量部が好ましく、10〜40重量部がより好ましい。
高分子樹脂が配合されている場合、ケトン系溶液における低分子化合物と高分子樹脂との配合量は、塗布方法に適した粘度範囲のものが好ましく、例えばケトン系溶媒100重量部に対して、メソゲン基を有する低分子化合物と高分子樹脂との混合体5〜50重量部が好ましく、10〜40重量部がより好ましい。
本実施形態の光学フィルムの製造方法は、メソゲン基を有する低分子化合物が溶解されたケトン系溶液をセルロース系フィルム上に塗布し、前記メソゲン基を有する低分子化合物を硬化させて、セルロース系フィルム上に硬化層を形成するものである。
セルロース系フィルム上にケトン系溶液を塗布する塗布方法としては、例えばスピンコート法・ロールコート法・フローコート法・プリントコート法・ディップコート法・流延成膜法・バーコート法・グラビア印刷法等がある。尚、ケトン系溶液の塗布量は、所望の位相差値に応じて適宜調整する。尚、ケトン系溶液塗布前のセルロース系フィルムとしては、既に延伸及び/又は収縮処理された光学的に異方性を有するものを採用してもよく、また、未延伸及び/又は未収縮のもの(例えば、市販のもの)を採用してもよい。
加熱乾燥の場合は、2段階の乾燥処理、例えば40〜140℃(好ましくは40〜120℃)の温度で第1の乾燥処理(前キュア処理という)を施し、続いて150〜350℃の温度で第2の乾燥処理(後キュア処理という)を施すことが好ましい。
前キュア処理を前記温度範囲内で行えば外観均一性に優れ、後キュア処理を前記温度範囲内で行えばフィルムの均一性・透明性の低下を抑制できるためである。
また、紫外線などの光で硬化する光重合性の官能基を持ったメソゲン基を有する低分子化合物を溶解させたケトン系溶液を用いた場合、加熱処理を行いある程度溶媒を揮発させた後、光照射を行い硬化層を形成する。
前記硬化層の厚みは、0.2〜50μmである。好ましくは1〜30μmであり、より好ましくは2〜25μmである。硬化層の厚みが0.2μm未満の場合は、セルロース系フィルムの位相差を上昇させる効果が低く、50μmを超える場合は乾燥時にムラができ不均一なフィルムになるためである。
厚み方向の位相差(Rth590)が100nm以上あれば、液晶セルを光学的に補償することができる。一般的に、厚み方向の位相差(Rth)が、100nm以上ある光学フィルムは、特にVA(Vertical Alignment)モードの液晶セルを補償するのに好ましく、厚み方向の位相差(Rth)が200nm以上ある光学フィルムは、OCB(Optically compensated bend)モードの液晶セルを補償するのに好ましい。
尚、厚み方向の位相差(Rth)は、下記式に従って算出される。
Rth=(nx-nz)×d
式中、nxは光学フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり、nzは厚さ方向の屈折率であり、dは光学フィルムの厚み(nm)である。
該延伸処理としては、例えば、塗布・硬化工程後のセルロース系フィルムを一方向(通常、長手方向)に一軸延伸する自由端縦延伸、該セルロース系フィルムの一方向(通常、幅方向)に延伸する固定端横延伸、長手方向及び幅方向の両方向に延伸を行う逐次又は同時二軸延伸等の処理等が挙げられる。
延伸処理は、硬化層を剥離したセルロース系フィルムに施してもよく又は硬化層が形成されているセルロース系フィルムに施してもよい。該硬化層が形成されているセルロース系フィルムを延伸処理する場合は、セルロース系フィルムだけでなく、硬化させた硬化層にも位相差が発生し、より大きな位相差を得ることができる。この際の硬化層は、メソゲン基を有する低分子化合物と高分子樹脂との混合物により形成されているものが好ましく、溶液調整時において、延伸条件に合わせて、メソゲン基を有する低分子化合物と高分子樹脂との配合部数を適宜調整することができる。
面内位相差(Re)は、Re=(nx-ny)×dにより算出される。
式中nxは、光学フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり、nyは面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり、dは光学フィルムの厚み(nm)である。
また、前記配向処理によって得られた光学フィルムは、通常、波長590nmで測定した厚み方向位相差値(Rth590)が、80〜800nmであり、好ましくは100〜400nmである。
尚、厚み方向の位相差(Rth)は、上記と同様により算出される。
また、本実施形態により製造された光学フィルムは、波長590nmで測定した面内位相差値(Re590)が、240nm<Re590<320nmの関係を満たす場合には、λ/2波長フィルムとして使用できる。
偏光子としては、特に制限されず、従来の公知の方法により各種フィルムにヨウ素や二色染料等の二色性物質を吸着させて染色し、延伸、架橋、乾燥することにより作製したものを使用できる。その中でも自然光を入射させると直線偏光を透過する偏光子が好ましく、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。前記二色性物質を吸着させるフィルムとしては、例えばポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVAフィルム、エチレン・酢酸ビニル供重合体系ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等が挙げられる。これらの他にも、例えばPVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理等のポリエン配向フィルム等も使用できる。これらの中でも、好ましいのはPVA系フィルムである。前記偏光子の厚みは、通常1〜80μmの範囲であるがこれには限定されない。
前記接着剤等としては、アクリル系・ビニルアルコール系・シリコーン系・ポリエステル系・ポリウレタン系・ポリエーテル系等のポリマー性感圧接着剤やゴム系感圧接着剤が挙げられる。また、グルタルアルデヒド・メラミン・シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤も使用できる。これらの接着剤等としては、温度や熱の影響によっても離れにくく、光透過率や偏光度にも優れるものが好ましい。具体的には、前記偏光子がPVA系フィルムの場合、例えば接着処理の安定性等の点から、PVA系接着剤が好ましい。これらの接着剤等は、例えば偏光子や透明保護フィルムとして用いる光学フィルムの表面に塗布してもよいし、接着剤等から構成されたテープやシートのような層を前記表面に配置してもよい。
ハードコート処理は、該光学フィルムよりも硬い層を積層する処理であり、偏光板表面の傷つき防止等を目的としたもので、例えば、前記光学フィルム表面に、硬度や滑り性に優れた硬化型樹脂を設けるものである。前記硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン系・ウレタン系・アクリル系・エポキシ系等の紫外線硬化型樹脂等を使用できる。前記ハードコート処理は、従来公知の方法により施される。
スティッキング防止処理は、該光学フィルムと他の光学フィルムとを積層する際の表面の密着性を抑制させる処理である。
反射防止処理は、偏光板表面での外光の反射を抑制する処理であり、従来公知の反射防止層等の形成方法により施される。
アンチグレア処理は、偏光板表面において外光が反射することによる偏光板透過光の視認妨害を抑制する処理であり、従来公知の方法により、該光学フィルムの表面に微細な凹凸構造を施すものである。
他の位相差板としては、光透過率が80%以上であるポリマーフィルムを用いることが好ましい。ポリマーフィルムとしては、外力による複屈折が生じにくいものが好ましい。 該ポリマーフィルムとして具体的には、セルロース系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー(商品名:アートン(JSR株式会社製)、商品名:ゼオノア(日本ゼオン株式会社製))、ポリメチルメタクリレート等を挙げることができる。セルロース系ポリマーとしては、セルロースエステルが好ましい。また、これらのポリマーフィルムは、紫外線吸収剤等を含むことが好ましい。更に、接着性を改善するために、表面処理(例えばグロー放電処理、コロナ放電処理紫外線処理)が施されていてもよい。
また、ポリマーフィルムは、表面に接着層が設けられていてもよい。該接着層の厚みは、0.1〜2.0μmであることが好ましく、0.2〜1.0μmが更に好ましい。前記ポリマーフィルムは、用いる表示装置の特性に合わせて一軸延伸、二軸延伸、Z軸配向処理が適宜施されていてもよい。
透過型液晶表示装置としては、TN(Twistednematic)モード、VA(Vertical aligned)モード、OCB(Optically compensated bend)モードの液晶表示装置を挙げることができる。これらの液晶表示装置は、セル及びその両側に配置された2枚の偏光板からなる。透過型液晶表示装置の液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶が担持されてなる。また、反射型液晶表示装置は、液晶セルが偏光板と反射板との間で挟持されてなる。
VAモード液晶セルには、棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモード液晶セル、視野角拡大のためVAモードをマルチドメイン化した液晶セル及び棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモードの液晶セル、更にSURVAIVALモードの液晶セルが含まれる。
尚、実施例で用いた各分析方法は、以下の通りである。
(分子量測定)
東ソー製HLC-8120GPCを用いた。分子量は、各試料を0.1%DMF溶液に調整し、0.45μmメンブレンフィルターにて濾過した後測定し、ポリエチレンオキサイド標準で求めた。
使用カラム(東ソー製:GMHx1(径7.8mm×30cm),G2500Hx1(径7.8mm×30cm))
展開溶媒(10mmolのLiBrと10mmolのリン酸とをメスフラスコに入れ、DMFで全量を1Lとした。)
前記カラムを(GMHx1+GMHx1+G2500Hx1)3本直列につなぎ、カラム温度40℃、流速0.80ml/minで測定した。
(屈折率測定)
アッベ屈折率計を用いた。
(位相差・複屈折率・透過率測定)
王子計測機器株式会社製:自動複屈折計KOBRA-21ADHを用いた。測定値は、全て590nmで測定した値である。厚さ方向の位相差(Rth)は、測定光をサンプル法線から0〜40度で入射させて測定した値から求めた。
(膜厚測定)
接触式ダイヤルゲージで測定した。
光重合性液晶モノマー(BASF製、商品名「LC242」)を、30重量%になるようにシクロペンタノンに溶解した。この溶液を厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製、商品名「UZ-TAC」)上にウエット厚み20μmになるよう塗布した後、これを100℃で5分間乾燥した。続いて、これに紫外光(波長365nmの光強度が50mW/cm2)を1分間照射し、該TACフィルム上に硬化層を形成した。次いで、この硬化層を剥離して、該TACフィルムのみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で20%延伸して、厚み76μmの光学フィルムを得た。該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=44.9nm、Re590=49.6nmであり、Re480/Re590=0.91であった。
4,4’-ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(BPDE)及び2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(6FBA)を用いて、下記一般式(C-1)で表される繰り返し単位から構成されるポリエーテルケトン(PEK-1)(重量平均分子量(Mw=521,000))を合成した。このポリエーテルケトンと光重合性液晶モノマー(BASF製、商品名「LC242」)とを混合比1:1で混合し、30重量%になるようにシクロペンタノンに溶解した。この溶液を厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製、商品名「UZ-TAC」)上にウエット厚み50μmになるよう塗布した後、これを100℃で5分間乾燥した。これによって該TACフィルム上に硬化層を形成した。該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で20%延伸して、厚み88μmの光学フィルムを得た。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=97.8nm、Re590=101.3nmであり、Re480/Re590=0.97であった。
光重合性液晶モノマー(高砂香料製、商品名「LC42」)を使用した以外は、前記実施例2と同様にしてTACフィルム上に硬化層を形成した。該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で70%延伸して、厚み81μmの光学フィルムを得た。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=152.6nm、Re590=157.3nmであり、Re480/Re590=0.97であった。
4,4’-ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(BPDE)及び9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(HF)を用いて、下記一般式(D-1)で表される繰り返し単位から構成されるポリエーテルケトン(PEK-2)(重量平均分子量(Mw=202,000))を合成した。前記ポリエーテルケトン(PEK-1)に代えて、該ポリエーテルケトン(PEK-2)を使用した以外は、前記実施例2と同様にしてTACフィルム上に硬化層を形成した。該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で40%延伸して、厚み80μmの光学フィルムを得た。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=85.1nm、Re590=91.1nmであり、Re480/Re590=0.94であった。
前記高分子樹脂層の塗布量を変化させた以外は、実施例4と同様の方法で、厚み82μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=119.6nm、Re590=123.0nmであり、Re480/Re590=0.97であった。
前記高分子樹脂層の塗布量を変化させた以外は、実施例4と同様の方法で、厚み84μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=177.9nm、Re590=177.4nmであり、Re480/Re590=1.00であった。
4,4’-ビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンゾイル)ジフェニルエーテル(BPDE)及び9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(HF)を用いて、一般式(D-1)で表される繰り返し単位から構成されるポリエーテルケトン(PEK-2)(重量平均分子量(Mw=202,000))を合成した。前記ポリエーテルケトン(PEK-1)に代えて、該ポリエーテルケトン(PEK-2)を使用した以外は、前記実施例2と同様にしてTACフィルム上に硬化層を形成した。該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、固定端横延伸で10%延伸して、厚み83μmの光学フィルムを得た。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=24.7nm、Re590=22.9nmであり、Re480/Re590=1.07であった。
固定端横延伸で20%延伸させた以外、実施例7と同様の方法で、厚み78μmの光学フィルムを得た。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=36.9nm、Re590=35.9nmであり、Re480/Re590=1.03であった。
固定端横延伸で30%延伸させた以外、実施例7と同様の方法で、厚み72μmの光学フィルムを得た。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=56.0nm、Re590=54.1nmであり、Re480/Re590=1.04であった。
固定端横延伸で40%延伸させた以外、実施例7と同様の方法で、厚み65μmの光学フィルムを得た。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=57.2nm、Re590=57.0nmであり、Re480/Re590=1.00であった。
2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(6FDA)及び2,2’-ビス(トリフルオロメチル)−4,4’-ジアミノフェニル(PFMB)を用いて、下記一般式(E-1)で表される繰り返し単位から構成されるポリイミド(PI)(重量平均分子量(Mw=177,000))を合成した。前記ポリエーテルケトン(PEK-1)に変えて、該ポリイミド(PI)を使用した以外は、前記実施例2と同様にして厚み88μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=74.1nm、Re590=76.7nmであり、Re480/Re590=0.97であった。
前記TACフィルムに変えて、厚み約111μmの光学補償層付透明フィルム(富士写真フィルム:商品名「WVフィルム」)を使用した以外は、前記実施例2と同様にして、厚み115μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=227.0nm、Re590=256.9nmであり、Re480/Re590=0.88であった。
ノルボルネン系樹脂[JSR社製:商品名「Arton」(重量平均分子量(Mw=50,000)]と光重合性液晶モノマー(BASF製、商品名「LC242」)とを混合比95:5で混合し、10重量%になるようにシクロペンタノンに溶解した。この溶液を厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製、商品名「UZ-TAC」)上にウエット厚み20μmになるよう塗布した後、これを100℃で5分間乾燥した。次に、該フィルムに紫外光(波長365nm、光強度50mW/cm2)を照射し、該TACフィルム上に硬化層を形成した。該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で40%延伸して、厚み80μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=36.9nm、Re590=45.2nmであり、Re480/Re590=0.82であった。
ノルボルネン系樹脂(JSR社製:商品名「Arton」)と光重合性液晶モノマー(BASF製、商品名「LC242」)とを混合比75:25で混合した以外は、前記実施例13と同様にTACフィルム上に硬化層を形成し、該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で40%延伸して、厚み74μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=47.2nm、Re590=55.3nmであり、Re480/Re590=0.85であった。
ノルボルネン系樹脂(JSR社製:商品名「Arton」)と光重合性液晶モノマー(BASF製、商品名「LC242」)とを混合比50:50で混合した以外は、前記実施例13と同様にTACフィルム上に硬化層を形成し、該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で40%延伸して、厚み77μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=91.4nm、Re590=96.8nmであり、Re480/Re590=0.94であった。
ノルボルネン系樹脂(JSR社製:商品名「Arton」)と光重合性液晶モノマー(BASF製、商品名「LC242」)とを混合比34:66で混合した以外は、前記実施例13と同様にTACフィルム上に硬化層を形成し、該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で40%延伸して、厚み75μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=98.5nm、Re590=102.5nmであり、Re480/Re590=0.96であった。
光重合性液晶モノマー(BASF製、商品名「LC888」)を10重量%になるようにシクロペンタノンに溶解した。この溶液を厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製、商品名「UZ-TAC」)上にウエット厚み10μmになるよう塗布した後、これを100℃で5分間乾燥した。次に、該フィルムに紫外光(波長365nm、光強度50mW/cm2)を照射し、該TACフィルム上に硬化層を形成した。該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で20%延伸して、厚み77μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=107.1nm、Re590=105.5nmであり、Re480/Re590=1.02であった。
光重合性液晶モノマー(BASF製、商品名「LC270」)を、10重量%になるようにシクロペンタノンに溶解した。これを前記実施例17と同様にしてTACフィルム上に硬化層を形成した。該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で20%延伸して、厚み76μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=61.9nm、Re590=64.3nmであり、Re480/Re590=0.96であった。
厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製、商品名「UZ-TAC」)を150℃に加熱し、自由端縦延伸で20%まで延伸し、厚み76μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=18.8nm、Re590=24.2nmであり、Re480/Re590=0.78であった。
ポリエーテルケトン(PEK-1)を20重量%になるようにシクロペンタノンに溶解した。この溶液を厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製、商品名「UZ-TAC」)上にウエット厚み50μm塗布した後、これを100℃で5分間乾燥した。TACフィルム上に形成された硬化層を剥離して該TACフィルムを150℃に加熱し、自由端縦延伸で20%延伸し、厚み87μmの光学フィルムを得た。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=7.5nm、Re590=14.1nmであり、Re480/Re590=0.53であった。
溶剤を前記シクロペンタノンに変えて、トルエンを使用した以外は前記実施例2と同様にして、厚み76μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=19.1nm、Re590=24.3nmであり、Re480/Re590=0.79であった。
厚み約111μmの光学補償層付透明フィルム(富士写真フィルム製、商品名「WVフィルム」)を150℃に加熱し、自由端縦延伸で20%延伸し、厚さ107μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=49.4nm、Re590=47.7nmであり、Re480/Re590=1.05であった。
ノルボルネン系樹脂(JSR社製:商品名「Arton」)を10重量%になるようにシクロペンタノンに溶解した。この溶液を厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム製、商品名「UZ-TAC」)上にウエット厚み20μmになるよう塗布した後、これを100℃で5分間乾燥し、該TACフィルム上に硬化層を形成した。該硬化層を剥離して、基材(TACフィルム)のみを150℃に加熱し、自由端縦延伸で40%延伸して、厚み77μmの光学フィルムを作製した。
該光学フィルムを波長480nm及び590nmで測定した面内位相差値Reは、Re480=31.3nm、Re590=38.9nmであり、Re480/Re590=0.80であった。
また、実施例12では、WVフィルムにも大きな位相差を発生させることができた。
実施例1〜実施例16から、延伸方法を固定端横延伸にすることで正波長分散となり、自由端縦延伸にすることで、逆波長分散となることが判明した。
Claims (14)
- メソゲン基を有する低分子化合物が溶解されたケトン系溶液をセルロース系フィルム上に塗布し、前記メソゲン基を有する低分子化合物を硬化させて硬化層を形成後、該セルロース系フィルムを波長590nmで測定した面内位相差値及び厚み位相差値R(590)と波長480nmで測定した面内位相差値及び厚み位相差値R(480)とが 式(1)の関係を満たすように延伸又は収縮処理を施すことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
0.8<R(480)/R(590)<1.2 (1) - 前記硬化層を形成後、更に前記セルロース系フィルム上から前記硬化層を剥離する請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記メソゲン基を有する低分子化合物が、液晶性化合物である請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記ケトン溶液には、更に高分子樹脂が溶解されている請求項1〜3の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記ケトン系溶液の溶媒が、シクロペンタノンである請求項1〜4の何れかに記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜5の何れかに記載の光学フィルムの製造方法により得られた光学フィルム。
- 波長590nmで測定した面内位相差値Re590が、式(2)の関係を満たす請求項6に記載の光学フィルム。
120nm<Re590<160nm (2) - 波長590nmで測定した面内位相差値Re590が、式(3)の関係を満たす請求項6に記載の光学フィルム。
240nm<Re590<320nm (3) - 請求項6〜8の何れかに記載の光学フィルムを少なくとも偏光子の片側に配置した偏光板。
- 請求項6〜8の何れかに記載の光学フィルム又は請求項9記載の偏光板を含む液晶セル。
- OCBモード液晶セル、VAモード液晶セル又はTNモード液晶セルである請求項10記載の液晶セル。
- 請求項10又は請求項11記載の液晶セルと、該液晶セルの両側に配置された2枚の偏光板とからなる液晶表示装置。
- 反射板を更に含む反射型の請求項12記載の液晶表示装置。
- 請求項6〜8の何れかに記載の光学フィルム又は請求項9記載の偏光板を含む画像表示装置。
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