JP2005241943A - ブレーズド型回折格子の作製方法及びブレーズド型回折格子と光学シート - Google Patents

ブレーズド型回折格子の作製方法及びブレーズド型回折格子と光学シート Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、EB描画装置等の荷電粒子ビームを用いたブレーズド型回折格子の作製方法において、格子深さの制御を従来より厳密に行えるようにするものである。
【解決手段】EB描画装置等を用いたブレーズド型回折格子の作製方法において、1本の格子線を描画する際に、同一場所での走査回数を、1,2,3,4,…と等差数列的に単調増加させるのではなく、一定の規則に基づく実数の数列から作成された整数値をもとにした1,1,2,2,3,4,…といったような数値の組にすることで、格子深さを厳密に制御可能とした。
【選択図】図5

Description

本発明は、電子線描画装置等による荷電粒子ビームを用いたブレーズド型回折格子の作製方法に係り、さらに詳しくは、荷電粒子ビームの走査回数を変化させて高品質な鋸刃形状を有するブレーズド型回折格子を作製する方法に関する。
回折格子を基板表面上に構成した光学シートは、光の回折機能を利用して光の射出方向を任意に制御することができるためディスプレイの用途や偽造防止を目的としたセキュリティ用途、電子表示機器の光制御フィルム等に広く用いられている。
このような回折格子による光学シートに用いられるバイナリ型回折格子はその断面が矩形状もしくは正弦波状であり、典型的な格子ピッチは0.5〜2μm程度、格子深さは0.1〜1μm程度である。矩形状もしくは正弦波状の断面形状を有するバイナリ型回折格子に対して垂直に光を入射した場合、その回折光は図1(a)及び(b)にそれぞれ示すように+n次の方向及び−n次の方向にほぼ均等に分布し、±1次回折光の光量がもっとも多く、次数が増えるに従い光量は減少していく。
これまで、回折格子による光学シートとしてはこのバイナリ型回折格子を用いたものが一般的であったが、バイナリ型回折格子では、十分な回折効率が得られないことや、多くの回折光が様々な方向に射出されてしまうことが問題であった。
一方、図2(a)のようにブレーズド型回折格子は、典型的な格子ピッチや格子深さはバイナリ型回折格子と同等であるが、その断面形状が鋸刃状であり、垂直方向からの入射光に対し回折角度と傾斜面による光の反射角とが一致した場合、その方向に理論上回折効率が100%である回折光が生じ、それ以外の角度には光が射出されないという光学作用がある。すなわち、ブレーズド型回折格子は、バイナリ型回折格子と比較して非常に高い回折効率を得ることができ、また光の進行角度を厳密に制御できるという特徴をもっている。
ブレーズド型回折格子のパラメータとして、
(1)回折格子の空間周波数(格子線の格子間隔(ピッチ))
(2)回折格子の方向(格子線の方向)
(3)回折格子の傾斜角
の3つがあり、
(1)に応じて、定点に対してその回折格子が光って見える色が変化し、
(2)に応じて、その回折格子が光って見える方向が変化し、
(3)に応じて、その回折格子が光って見える角度が変化する。
また図2(b)のように断面形状が片側のみ階段状となっているブレーズド型回折格子でも鋸刃状の断面形状をもつブレーズド型回折格子よりは光の利用効率はやや劣るが同様に高い回折効率を有する回折光を得ることができる。
従来のブレーズド型回折格子を利用した発明としては、表示領域内をマトリクス状に分割し、各小領域毎に空間周波数及び/または方向を様々に変化させたブレーズド型回折格子を配置したディスプレイが提案されている(例えば特許文献1参照)。
ブレーズド型回折格子の作製方法としては、電子線描画装置等の荷電粒子ビームを用い
た露光装置を用い、且つ、コンピュータ制御により、ステージ上に載置された平面状の基板にブレーズド型回折格子の形状を形成していく方法が知られている。例えば、ポジ型の感光材料が塗布された基板に荷電粒子ビームを照射し、現像処理を行うと凹の形状が得られるが、荷電粒子ビームの照射時間を長くしたり、強度を高めたりすることでより深い加工ができ、反対に荷電粒子ビームの照射時間を短くしたり、強度を下げたりすることで浅い加工ができる。
このような方法を用い、格子線と直交する方向に微小な間隔(ステップ)で荷電粒子ビームを移動させ、各地点で強度を制御することでブレーズド型回折格子の鋸刃形状を得ることができる。図3はこのような方式によるブレーズド型回折格子の作製方法の一例を示したものである。図3(a)のようにブレーズド型回折格子の格子線方向に電子線を走査し、その後、図3(b)のように格子線方向と直交する方向に微小なステップで電子線の照射位置を徐々に移動させ、図3(a)で示したような電子線の走査を繰り返し行うことで回折格子を形成する。ここで、図3(b)で示したステップ毎の電子線照射を行う際に、ステップ毎に電子線の照射エネルギー量を変えることでブレーズド型回折格子の形状が得られる。電子線の照射エネルギー量を変化させる方法としては、ステップ毎に走査回数を1回、2回、3回と単調増加させていく方法や、ステップ毎に走査速度を変化させる方法等が提案されている。このような方法により作製されるブレーズド型回折格子は原理的には階段状となるが、ステップを十分に細かく設定することで、荷電粒子ビームがレジスト内で散乱し、周辺部を感光する近接効果が生じ、また、現像条件を最適化することによっても、滑らかな斜面を有し、高い回折効率が得られるブレーズド型回折格子が作製できる。
なお、図3において、ポジ型レジスト12は荷電粒子ビームが照射されたことでブレーズド型回折格子の形状が得られているように描かれているが、これは荷電粒子ビームによる作製方法を概念的に示したものであり、厳密には、荷電粒子ビームによる描画後に適切な現像工程を行うことでブレーズド型回折格子の形状を得ることができる。
また、予め複数枚のマスクパターンを作製し、それらを用いて感光材料(レジスト)やガラス等をエッチングする方法が知られている。図4(a)〜(c)はマスクパターンを用いたブレーズド型回折格子の作製工程の一例を断面図として示したものであり、3枚のマスクにより8段構造から成る階段状のブレーズド型回折格子を形成している。図4(a)〜(c)のように基板11に塗布されたポジ型のレジスト12上に、開口部の大きさが異なっているマスク13を密着して載置し、エッチングすることで、階段形状のブレーズド型回折格子が得られる。一般には、n枚のマスクによりn回のエッチングを繰り返すことにより2のn乗段の階段を形成することができる。n=1,2,3,4の時の回折効率は理論上それぞれ約41,81,95,99%となる。
以下に特許文献を記す。
特開2000−39508号公報
前述したような荷電粒子ビームを用い、ステップ毎の走査回数を単調増加させる方法では、段階的に望ましい深さの断面形状を得ることが難しい。この方式において用いられる感光材料(レジスト)は通常、ビームの照射エネルギー量の変化と現像後の残膜厚の間に完全な比例関係が得られないからである。そのため、この方式では理想的な断面形状のブレーズド型回折格子を得るのが原理上難しい。
なお、前述したような荷電粒子ビームを用いた方法や、イオンビームエッチングによる方法などにより形成されるブレーズド型回折格子は、そこから複数回の使用に耐えうる金属版等を複製時の原版として作成し、熱可塑性樹脂や紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂等の成型用材料を、金属版等に密着し硬化させることで、量産することができる。
ここで、成型用材料は粘性や原版の材質との相性等の特性により原版の複雑な微細パターンを完全に複製することは困難である。特に、凹凸のパターンが複雑で不規則であったり、凹部が深いパターンなどでは良好な複製が行えないことが多い。また、成型用材料の硬化時の特性により、反りや収縮が起きることも、完全な複製が行えない原因となる。そのため、原版として理想的なブレーズド型回折格子を形成しても、複製物において理想的な光学特性が得られないという問題が生じてしまう。
上記のような問題は、複雑な原版形状を複製したときに、より顕著にあらわれるため、ブレーズド型回折格子の断面形状としては、図2(b)に示したような階段状の回折格子より、図2(a)に示したような滑らかな斜面をもつ鋸刃形状の回折格子のほうが望ましく、より高精度な複製が期待できる。
また、複製時の反りや収縮を考慮し、複製品が最良な断面形状となるように、予め原版のブレーズド型回折格子の斜面部分をやや出っ張った形状としておくことや、凹んだ形状に加工しておくことも、複製時に理想的なブレーズド型回折格子を得るのに有効である。このような、複製時の変形を考慮した原版の加工は階段状のブレーズド型回折格子では実現が困難である。
故に、ブレーズド型回折格子としては滑らかな斜面をもつ鋸刃状のものが望ましく、そのようなブレーズド型回折格子を作製するためには、断面形状を高精度に制御し、加工できる手段をとることが望ましい。前述の電子線描画装置等の荷電粒子ビームによる方法を用いれば、0.1μm以下の非常に高い解像度で荷電粒子ビームを走査することができ、それによりステップ毎にその地点での加工深さを決定することができるので、意図した断面形状を有するブレーズド型回折格子を得ることが可能である。
本発明は、電子線描画装置等の荷電粒子ビームによるブレーズド型回折格子の作製方法において、荷電粒子ビームの走査回数をステップ毎に一定の規則に基づいて変化させることで、意図する断面形状を有するブレーズド型回折格子を精度良く作製する方法を提供することを目的とするものである。
請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、感光材料上で荷電粒子ビームを走査して、走査領域である1ステップ毎に段階的にビームの照射エネルギー量を制御し、回折格子を描画形成する工程を有するブレーズド型回折格子の作製方法において、前記荷電粒子ビームの1ステップ毎の走査回数が、予め定められた実数に、他の予め定められた小数点以下の値を有する実数を1ステップ毎に加算や減算もしくは一定の規則により演算した値に対し、小数点以下の値を切り捨てもしくは切り上げもしくは四捨五入もしくは一定の規則により整数化し、決定されていることを特徴としている。
請求項2記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、請求項1記載の方法において、荷電粒子ビームのステップ間距離が、ブレーズド型回折格子の格子間隔に比例していることを特徴としている。
請求項3記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、請求項1記載の方法において、荷電粒子ビームのステップ間距離が、一定であることを特徴としている。
請求項4記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、請求項1記載の方法において、荷電粒子ビームのステップ間距離が、ブレーズド型回折格子の最深部に向かうに従い、狭くなっていることを特徴としている。
請求項5記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、請求項1記載の方法において、
前記荷電粒子ビームのステップ間距離が、ブレーズド型回折格子の最浅部に向かうに従い、狭くなっていることを特徴としている。
請求項6記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、請求項1記載の方法において、
前記荷電粒子ビームのステップ間距離が、局所的に変動していることを特徴としている。
請求項7記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法において、
荷電粒子ビームの1本の格子線に対するステップ数が3回以上であることを特徴としている。
請求項8記載のブレーズド型回折格子は、荷電粒子ビームの走査により原版が作製されるブレーズド型回折格子において、
構成単位となる格子縞が、荷電粒子ビームを走査する列に応じて、略階段状に深さが変化してなる断面形状を有しており、
隣接する前記列の間での高低差が、1つの格子縞内部で一定でないことを特徴としている。
請求項9記載のブレーズド型回折格子から成る光学シートは、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のブレーズド型回折格子の作製方法により作製されていることを特徴としている。
本発明のブレーズド型回折格子の作製方法は、以上説明したような工程により以下のような効果が期待できる。
(1)1ステップ毎の走査回数を、予め定められた実数に、他の予め定められた小数点以下の値を有する実数を加算もしくは減算して得られた値に対し、小数点以下の値を切り捨てもしくは切り上げもしくは四捨五入もしくは一定の規則により整数化し決定するので、従来の単純な整数値の加算もしくは減算に基づいて走査回数を決定するより、より各ステップでの照射エネルギー量の厳密な制御が可能となり、期待する断面形状を有するブレーズド型回折格子を作製することができる。すなわち、従来の走査回数の決定方法は、1,2,3,4,…と公差1で単調増加するものであったが、本特許が提案する方式によれば、1,1,2,3,3,…といったような増分値が一定でなく、各ステップにおける走査回数が得られるので、より断面形状の制御を自由に行うことができる。
(2)請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法を実施する際に、ブレーズド型回折格子の格子間隔に比例してステップ数を変化させることで、格子間隔の長短に依らず、ほぼ同じ描画時間でブレーズド型回折格子を作製することができる。また、格子間隔の長い格子を描画する際に、ステップが粗くなり過ぎて望ましい格子形状が得られなかったり、格子間隔の狭い格子を描画する際に、ステップが細かくなり過ぎて露光時の近接効果が格子形成時に悪影響を及ぼす現象を回避することができる。
(3)請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法を実施する際に、荷電粒子ビームのステップ間距離を一定にすることで、場所に依らず同じ解像度でブレーズド型回折格子を作製することができる。
(4)請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法を実施する際に、荷電粒子ビーム
のステップ間距離を、ブレーズド型回折格子の最深部に向かうに従い狭くすることで、最深部周辺における形状制御を他の部分より正確に行うことができる。
(5)請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法を実施する際に、荷電粒子ビームのステップ間距離を、ブレーズド型回折格子の最浅部に向かうに従い狭くすることで、最浅部周辺における形状制御を他の部分より正確に行うことができる。
(6)請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法を実施する際に、荷電粒子ビームのステップ間距離を、ブレーズド型回折格子の形成精度があまり要求されないところでは粗くし、また、高い形成精度が要求されるところでは細かくするなどして、描画時間の短縮を図ったり、場所により形成精度に差をつけたりすることができる。
(7)請求項1乃至6のいずれか1項に記載のブレーズド型回折格子の作製方法を実施する際に、1本の格子線に対する荷電粒子ビームのステップ数を3回以上とすることで、滑らかな斜面を有し、十分な回折効率をもつブレーズド型回折格子を作製することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法の実施例を示す。請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法では、1ステップ毎の荷電粒子ビームの走査回数を、予め定められた実数に、他の予め定められた小数点以下の値を有する実数を加算もしくは減算して得られた値に対し、小数点以下の値を切り捨てもしくは切り上げもしくは四捨五入もしくは一定の規則により整数化し決定することを特徴としている。例えば、基準となる実数を1.0、他の小数点以下の値を有する実数を0.4と設定する。その場合、基準となる実数にもう一方の実数を加算していくと、1.0,1.4,1.8,2.2,2.6,3.0,3.4,3.8,4.2,4.6,5.0,…という実数の組が得られる。これらの実数に対し、それぞれ小数点以下の値の切り捨てを行いそれぞれを整数化すると、1,1,1,2,2,3,3,3,4,4,5,…という整数の組を得ることができる。これを1ステップ毎の荷電粒子ビームの走査回数とすることで、従来の等差数列的に走査回数が決定されていた描画方法と比較して、より断面形状の制御が容易となる。図5に上記方法により決定した荷電粒子ビームの走査回数でブレーズド型回折格子を描画した場合のポジ型レジスト12の加工状態の一例を黒線31で示す。荷電粒子ビームの走査の様子については図3と同様であるので、図5では省略する。また、同図5に従来の等差数列的に走査回数を決定した場合の加工状態の一例を灰色の線32で示す。図から明らかなように黒線31で示した本特許の描画方法では灰色の線32で示した従来手法のものより斜面の角度が緩やかな断面が得られているのが分かる。すなわち、本特許の作製方法を用いれば、同じエネルギー量をもつ荷電粒子ビームであっても、従来手法とは異なる角度の断面を得ることができるのである。なお、図5においては、1つの格子線の鋸刃形状は10ステップの描画により形成されており、上記走査回数の決定方法で導出した整数の組は10番目までの数値を用い、その後は1番目の値に戻って10番目まで同様に使用することとなる。
また同様に、基準となる実数を1.0,他の実数を0.6と設定し、加算を繰り返すと実数の組は、1.0,1.6,2.2,2.8,3.4,4.0,4.6,5.2,5.8,6.4,7.0,…となり、小数点以下切り捨てにより1,1,2,2,3,4,4,5,5,6,7,…という整数の組が得られる。この整数の組から荷電粒子ビームの走査回数を決定するとポジ型レジスト12の加工状態は図6の実線33のようになり、図5で示した双方の描画方法により得られるブレーズド型回折格子の中間の角度の格子を得ることができる。このように、基準となる実数、及びもう一方の小数点以下の値を有する実数を任意に設定することでブレーズド型回折格子の断面形状を制御することが可能となる。言うまでもなく、小数点以下の値を有する実数を小さくすることで、走査回数は増加し
にくくなり、反対に小数点以下の値を有する実数を大きくすることで、走査回数は増加しやすくなる。なお、ここで基準となる実数は小数点以下の値があっても、整数であっても構わない。また、基準となる実数と、もう一方の小数点以下の値を有する実数との演算は加算だけでなく、減算や乗算、除算、平方根等、一定の規則に基づく演算であれば1ステップ毎の走査回数に規則性をもたせることができ、ブレーズド型回折格子の断面形状を制御できるので、様々な演算を選択し使用することができる。また、1つの演算だけの使用にとどまらず、1つの演算を複数回施したり、複数種類の演算を施したり、また、複数の実数を用意し、それらに対し演算を施したりしても構わない。
また、さらに別の実施例として、基準となる実数を12.7,もう一方の実数を1.3として減算を繰り返すと、12.7,11.4,10.1,8.8,7.5,6.2,4.9,3.6,2.3,1.0,…となり、小数点以下を四捨五入すると、13,11,10,9,8,6,5,4,2,1,…という整数の組が得られる。この組を1ステップ毎の荷電粒子ビームの走査回数に割り当てると、図7に示したような断面形状からなるブレーズド型回折格子を得ることができる。この場合、従来の等差数列的に走査回数が決定されていた描画方法と比較して同じエネルギー量でより深い加工が可能となる。また、この場合演算として減算を用いたので、加算を用いた図5や図6の方法とは逆方向のブレーズド型回折格子が作製される。
このように、請求項1記載の作製方法を用いることで、荷電粒子ビームの照射エネルギー量と現像後残膜厚の間で比例関係が得られないという感光材料(レジスト)の特性にも対応でき、理想的な断面形状を有するブレーズド型回折格子を所望の格子深さで作製することができる。
請求項2記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、請求項1記載の作製方法を実施する際にブレーズド型回折格子の格子間隔に比例して、格子線毎のステップ間隔を変化させることを特徴としている。図8に請求項2記載のブレーズド型回折格子の作製方法の概念図を示す。図8右のブレーズド型回折格子は格子間隔が広く、図8左の格子は格子間隔が狭い。ここで、ステップ間隔13を格子間隔の長短に応じてそれぞれ変化させ、格子間隔の長短にかかわらず1つの格子線に対するステップ数(電子線照射位置の数)を同一にする。図8ではそれぞれステップ数を4としている。格子間隔の長短に依らず1つの格子線に対し同じステップ数で描画を行うと、格子間隔の長い格子を描画する際に、ステップが粗くなり過ぎて望ましい格子形状が得られなかったり、格子間隔の狭い格子を描画する際に、ステップが細かくなり過ぎて露光時の近接効果が格子形成時に悪影響を及ぼす現象が生じることが懸念されるが、請求項2記載のブレーズド型回折格子の作製方法を用いることでこれらの現象の影響を回避もしくは低減することができる。また、格子間隔の長短により、描画時間が大きく変化することも抑制することができる。
例えば、格子間隔が2μmの格子を1ステップ0.2μm間隔で電子線照射位置を移動させて描画し、同時に格子間隔が1μmの格子を1ステップ0.1μm間隔で描画すると、それぞれ1つの格子線を10ステップで描画することになる。
請求項3記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、請求項1記載の作製方法を実施する際に、ステップ間隔を一定とすることを特徴としている。ステップ間隔を一定とすることで場所やブレーズド型回折格子の格子間隔に依らず同じ解像度でブレーズド型回折格子を作製することができる。
請求項4記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、ブレーズド型回折格子の最も深い部分に向かうに従い、ステップ間隔が狭くなっていることを特徴としている。図9に請求項4記載のブレーズド型回折格子の作製方法における荷電粒子ビーム走査の概念図を示す
。図9に示したように、荷電粒子ビームの走査回数が増加するのに伴い、ステップ間隔を狭くすることで、最深部に向かうに従い、形状制御をより精度良く行うことができる。
また、請求項5記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、ブレーズド型回折格子の最も浅い部分に向かうに従い、ステップ間隔が狭くなっていることを特徴としている。図10に請求項5記載のブレーズド型回折格子の作製方法における荷電粒子ビーム走査の概念図を示す。図10に示したように、荷電粒子ビームの走査回数が減少するのに伴い、ステップ間隔を狭くすることで、最浅部の近辺で、形状制御をより精度良く行うことができる。
ブレーズド型回折格子の最深部や最浅部は鋭利な形状をしていることから、熱可塑性樹脂等の成型用材料で複製物を作製する際に、樹脂が奥まで入り込まず正確に複製できなかったり、硬化した樹脂を剥離する際に先端部が欠けたりすることがある。このような格子形状の欠損が場所によって不均一に発生してしまうと、複製物からの射出光の光量にムラが生じるなどして品質を低下させるおそれがある。よって、請求項4乃至5記載のブレーズド型回折格子の作製方法を実施し、予めブレーズド型回折格子の最深部や最浅部を丸く加工するなどすれば、上記欠損を防止もしくは低減することが可能である。
請求項6記載のブレーズド型回折格子の作製方法は、格子線内の特定部分において局所的にステップ間隔を変化させることを特徴としている。これまで述べてきたように感光材料(レジスト)の照射エネルギー量に対する現像後残膜厚特性や、ビーム照射部周辺の近接効果等により、望ましい断面形状のブレーズド型回折格子が得られないことがある。それを考慮し、請求項4乃至5の作製方法で示したものと同様な方法で、ステップ間隔を特定部分において変化させることで、理想的な断面形状をもつブレーズド型回折格子を得ることができる。
すでに述べたように、ブレーズド型回折格子は1本の格子線に対し、階段数が3段以上あれば理論値としては95%以上の回折効率が得られる。そのため、請求項7に記載したように本特許によるブレーズド型回折格子の作製方法において、1本の格子線に対する荷電粒子ビームのステップ数を3回以上とすることで、十分な回折効率が得られる格子を作製することができる。一般にブレーズド型回折格子としては、空間周波数が500〜1500本/mm程度(格子間隔に換算すると約2.0〜0.67μm)の範囲のものが実用的である。すなわち、ステップ間隔としては、空間周波数が500本/mmの時は0.66μm以下、1500本/mmの時は0.22μm以下とすれば良い。
なお、これまで述べてきた本特許で提案するブレーズド型回折格子の作製方法では、荷電粒子ビームの走査方向としては直線状のものを図示してきたが、曲線状のブレーズド型回折格子についても同様の作製方法が実施でき、同様の効果を見込むことができる。
以上、請求項1乃至7のいずれか1項に記載した方法により作製されたブレーズド型回折格子は熱可塑性樹脂や紫外線硬化樹脂等を成型用材料とし、光学シートとして複製することができる。この光学シートはディスプレイの用途や偽造防止を目的としたセキュリティ用途、電子表示機器の光制御フィルム等に幅広く用いることができる。
(a)は断面が矩形状であるバイナリ型回折格子の回折の様子を示す説明図、(b)は断面が正弦波状であるバイナリ型回折格子の回折の様子を示す説明図である。 (a)は断面が鋸刃状であるブレーズド型回折格子の回折の様子を示す説明図、(b)は断面が階段状であるブレーズド型回折格子の回折の様子を示す説明図である。 (a)は荷電粒子ビームを用いブレーズド型回折格子を形成する際の格子線方向に対する加工の様子を示す概念図、(b)は格子線と直交する方向に対する加工の様子を示す概念図である。 (a),(b),(c)はそれぞれエッチング法によりブレーズド型回折格子を形成する際のエッチング工程を工程順に示す説明図である。 各ステップ毎の走査回数を一定の法則により規定しブレーズド型回折格子を形成する本特許提案のブレーズド型回折格子の作製方法の一例を示す説明図である。 図5とは異なる走査回数決定規則を適用しブレーズド型回折格子を形成する作製方法の一例を示す説明図である。 図5及び図6とは異なる走査回数決定規則を適用しブレーズド型回折格子を形成する作製方法の一例を示す説明図である。 ブレーズド型回折格子の格子間隔に応じて、ステップ間隔を変えて描画を行う本発明のブレーズド型回折格子の作製方法の一例を示す説明図である。 ブレーズド型回折格子の最深部に向かうに従いステップ間隔を狭くして描画を行う本発明ののブレーズド型回折格子の作製方法の一例を示す説明図である。 ブレーズド型回折格子の最浅部に向かうに従いステップ間隔を狭くして描画を行う本発明のブレーズド型回折格子の作製方法の一例を示す説明図である。
符号の説明
01…矩形状断面のバイナリ型回折格子
02…正弦波状断面のバイナリ型回折格子
03…鋸刃状断面のブレーズド型回折格子
04…階段状断面のブレーズド型回折格子
11…基板
12…ポジ型レジスト
13…荷電粒子ビーム
14…荷電粒子ビームの走査方向
15…荷電粒子ビームの描画方向
16…荷電粒子ビームのステップ間隔
20…マスク
21…露光光
31…本発明の作製方法により加工された格子角度の浅い格子の断面形状
32…従来の手法により加工された格子の断面形状
33…本発明の作製方法により加工された格子角度がやや浅い格子の断面形状
34…本発明の作製方法により加工された格子角度の深い格子の断面形状

Claims (9)

  1. 感光材料上で荷電粒子ビームを走査して、走査領域である1ステップ毎に段階的にビームの照射エネルギー量を制御し、回折格子を描画形成する工程を有するブレーズド型回折格子の作製方法において、
    前記荷電粒子ビームの1ステップ毎の走査回数が、予め定められた実数に、他の予め定められた小数点以下の値を有する実数を1ステップ毎に加算や減算もしくは一定の規則により演算した値に対し、小数点以下の値を切り捨てもしくは切り上げもしくは四捨五入もしくは一定の規則により整数化し、決定されていることを特徴とするブレーズド型回折格子の作製方法。
  2. 前記荷電粒子ビームのステップ間距離が、ブレーズド型回折格子の格子間隔に比例していることを特徴とする請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法。
  3. 前記荷電粒子ビームのステップ間距離が、一定であることを特徴とする請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法。
  4. 前記荷電粒子ビームのステップ間距離が、ブレーズド型回折格子の最深部に向かうに従い、狭くなっていることを特徴とする請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法。
  5. 前記荷電粒子ビームのステップ間距離が、ブレーズド型回折格子の最浅部に向かうに従い、狭くなっていることを特徴とする請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法。
  6. 前記荷電粒子ビームのステップ間距離が、局所的に変動していることを特徴とする請求項1記載のブレーズド型回折格子の作製方法。
  7. ブレーズド型回折格子の格子間隔に対する前記荷電粒子ビームの格子線毎のステップ数が3回以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のブレーズド型回折格子の作製方法。
  8. 荷電粒子ビームの走査により原版が作製されるブレーズド型回折格子において、
    構成単位となる格子縞が、荷電粒子ビームを走査する列に応じて、略階段状に深さが変化してなる断面形状を有しており、
    隣接する前記列の間での高低差が、1つの格子縞内部で一定でないことを特徴とするブレーズド型回折格子。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のブレーズド型回折格子の作製方法により作製されたブレーズド型回折格子が形成され、載置されていることを特徴とする光学シート。
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