JP2005240870A - スタータの製造方法及びスタータ - Google Patents

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Abstract

【課題】遊星ギヤピン17がピン支持体に圧入嵌合される構造において、加工工程を増やすことなく、遊星ギヤピン17の固定力を確保できるスタータの製造方法を提供する。
【解決手段】遊星ギヤは、軸受を介して遊星ギヤピン17に回転自在に支持され、その遊星ギヤピン17がキャリア部18に形成された圧入孔18aに圧入嵌合して固定されている。キャリア部18は、一方向クラッチのアウタ3aと一体に設けられており、圧入孔18aに遊星ギヤピン17を圧入嵌合して組み付けた後、浸炭等の熱処理が実施される。その結果、アウタ3a、キャリア部18、及び遊星ギヤピン17の露出している表面に硬化層19が形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、遊星ギヤ減速装置を備えるスタータに関する。
従来、遊星ギヤ減速装置を備えるスタータにおいて、遊星ギヤの遊星ギヤピンを一方向クラッチのアウタに圧入埋設したものが公知である(特許文献1参照)。
ところで、アウタや遊星ギヤピン等のトルクを伝達する部品には、高い強度が要求されるため、浸炭等の熱処理を実施することが一般的である。しかし、アウタに熱処理を行うと、表面硬度がHR50以上となり、そこに熱処理された遊星ギヤピンを圧入によって嵌合させると、圧入部近傍のアウタ表面硬化層から亀裂が入り、遊星ギヤピンの固定力が確保できなくなる。
そこで、遊星ギヤピンの固定力を確保する(亀裂が入らないようにする)手段として、遊星ギヤピンが圧入される表面に熱処理が入らないように、アウタ表面を防炭または焼鈍して、表面硬度を低下させる方法が採られている。
あるいは、図6に示す様に、圧入孔100が形成されるアウタ110の表面側に予め駄肉120を設けておき、熱処理によって硬化したアウタ表面側の駄肉120を切削、研磨などにより除去して、低硬度の面を露出させることにより、遊星ギヤピン130の圧入時に亀裂が入らないようにしている。
特開昭58−214668号公報
ところが、遊星ギヤピンの固定力を確保するために行われる従来の方法(アウタ表面を防炭または焼鈍して表面硬度を低下させる方法、熱処理されたアウタ表面の駄肉を除去する方法)では、熱処理以外の加工工程を要することから、コストアップとなっている。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、遊星ギヤピンがピン支持体に圧入嵌合される構造において、加工工程を増やすことなく、遊星ギヤピンの固定力を確保できるスタータの製造方法及びスタータを提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、遊星ギヤの公転運動によってモータの回転速度を減速する遊星ギヤ減速装置を備えたスタータにおいて、遊星ギヤ減速装置は、遊星ギヤを回転自在に支持する遊星ギヤピンと、この遊星ギヤピンが圧入固定されるピン支持体とを有し、遊星ギヤピンとピン支持体は、ピン支持体に形成された圧入孔に遊星ギヤピンが圧入嵌合して組み付けられた後、両者が一体的に熱処理されて、表面硬化されることを特徴とする。
上記の製造方法では、熱処理によって表面硬化される前に、遊星ギヤピンをピン支持体の圧入孔に圧入嵌合するので、遊星ギヤピンの圧入時にピン支持体に亀裂が入ることを防止できる。その結果、従来行われていた、ピン支持体の表面に熱処理が入らないための加工(防炭、焼鈍など)、あるいは、亀裂防止のために駄肉をつけた後で硬化層を除去する加工が不要であり、加工工程を短縮できる。
また、遊星ギヤピンとピン支持体とを同時に熱処理するので、両者を別々に熱処理する従来の方法と比較して、コスト低減効果が大きい。
更に、遊星ギヤピンは、ピン支持体とは別に、例えば、切削や鍛造などで製作されるため、遊星ギヤピンをピン支持体と一体に冷鍛加工によって設けた場合のように、材料素材の流れ方による残留歪みが生じない。このため、遊星ギヤピンとピン支持体とを一体的に熱処理しても、遊星ギヤピンが倒れる等の問題が発生しない。従って、遊星ギヤピン単体での精度が良く、且つピン支持体に組み付けた状態でも精度を確保できるので、遊星ギヤピンに嵌合される軸受の摩耗、異音発生等を抑制でき、品質の良い遊星ギヤ減速装置を提供できる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載したスタータの製造方法において、遊星ギヤピンを圧入孔に圧入嵌合して組み付けた後、両者を一体的に熱処理することにより、圧入孔は内径側に収縮し、遊星ギヤピンは外径側に膨れることを特徴とする。
熱処理により圧入孔が内径側に収縮し、遊星ギヤピンが外径側に膨れることで、圧入締代が増加して、遊星ギヤピンの抜け荷重が大きくなるため、遊星ギヤピンの固定力を増大できる。
(請求項3の発明)
請求項1または2に記載したスタータの製造方法において、熱処理は、浸炭または浸炭窒化など、炭素を拡散浸透させるものであり、遊星ギヤピンおよびピン支持体に使用される熱処理前の素材は、両者の炭素成分比率の差が、熱処理後に焼割れを生じない範囲内に設定されていることを特徴とする。
例えば、遊星ギヤピンの素材をSUJ2等の高炭素鋼とし、ピン支持体の素材をSCM415等の低炭素鋼とした場合(両者の炭素成分比率の差が大きい場合)、低炭素鋼に適した浸炭等の熱処理を両者に実施すると、高炭素鋼を素材とする遊星ギヤピンに焼割れが生じる。従って、熱処理前の遊星ギヤピンに使用される素材と、ピン支持体に使用される素材との炭素成分比率の差が、熱処理後に焼割れを生じない範囲内に設定されていることが重要である。
(請求項4の発明)
請求項1〜3に記載した何れかのスタータの製造方法において、遊星ギヤピンの熱処理前の材料硬度は、遊星ギヤピンを圧入孔に圧入する際に、遊星ギヤピンの変形が予め決められた許容範囲内に収まるように硬度調整されていることを特徴とする。
遊星ギヤピンをピン支持体の圧入孔に圧入する際に、あまりにも遊星ギヤピンの材料硬度が低いと、圧入荷重によって遊星ギヤピンが座屈する恐れがある。
上記の場合(遊星ギヤピンが座屈した場合)、遊星ギヤピンに嵌合する軸受とのクリアランスが小さくなり、軸受の組み付けが困難(最悪の場合、組み付け不能)になる。
これに対し、遊星ギヤピンの圧入時の変形が許容範囲内に入るように、硬度調整された遊星ギヤピンを使用することにより、圧入時に遊星ギヤピンが座屈することはなく、遊星ギヤピンに対する軸受の組み付け不能および軸受の偏摩耗等を防止できる。
(請求項5の発明)
請求項1〜4に記載した何れかの製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明によれば、遊星ギヤピンの固定力が低下することなく、遊星ギヤピンとピン支持体の熱処理に係わる加工工程を短縮できるので、低コストなスタータを提供できる。
また、遊星ギヤピンの抜け荷重を大きくできるので、ピン支持体に対する遊星ギヤピンの圧入長さを短くすることも可能であり、その結果、スタータの軸長短縮も可能である。
(請求項6の発明)
請求項5に記載したスタータにおいて、遊星ギヤ減速装置で減速された回転を出力軸に伝達する一方向クラッチを備え、ピン支持体は、一方向クラッチの駆動側回転体であるアウタと一体に設けられていることを特徴とする。
一方向クラッチは、モータで発生したトルクを出力軸に伝達する部品であり、熱処理を実施することが一般的である。従って、ピン支持体をアウタと一体に設けることにより、請求項5に記載した効果が期待できる。
(請求項7の発明)
請求項5に記載したスタータにおいて、遊星ギヤ減速装置で減速された回転が伝達されて回転する出力軸を備え、ピン支持体は、出力軸と一体に設けられていることを特徴とする。
出力軸は、モータで発生したトルクが遊星ギヤ減速装置を介して伝達される部品であり、熱処理を実施することが一般的である。従って、ピン支持体を出力軸と一体に設けることにより、請求項5に記載した効果が期待できる。
(請求項8の発明)
請求項5〜7に記載した何れかのスタータにおいて、ピン支持体に形成された圧入孔は、遊星ギヤピンの圧入方向にピン支持体を貫通する貫通孔であることを特徴とする。
圧入孔が貫通孔であると、圧入孔に圧入嵌合された遊星ギヤピンの先端にも熱処理が入るため、ピン先端が膨張して外径が大きくなることで、より抜けにくくなる。
また、圧入孔が貫通していない有底孔の場合には、遊星ギヤピンを圧入孔に圧入した後に、圧入孔の中に形成される空間に残された空気あるいは切削油等が熱処理で高温に晒されて膨張し、最悪の場合、遊星ギヤピンが圧入孔から飛び出して抜けてしまうことが考えられる。これに対し、圧入孔を貫通孔にすれば、上記の不具合を回避できる。
更に、圧入孔が有底穴の場合は、遊星ギヤピンの圧入時に、圧入孔の中の空気が圧縮されて、圧入荷重がばらつくことにより、圧入不良を生じる恐れがあるが、貫通穴であれば、圧入荷重がばらつくこともなく、圧入不良を防止できる。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
図1は遊星ギヤピンが圧入固定されたキャリア部及びアウタの断面図、図3は実施例1に係わるスタータの部分断面図である。
本実施例のスタータ1は、回転力を発生するモータ2(図5参照)と、このモータ2の回転速度を減速する減速装置(後述する)と、この減速装置で減速された回転が一方向クラッチ3(図4参照)を介して伝達される出力軸4と、この出力軸4上に配置されるピニオン5と、モータ2の通電回路に設けられるメイン接点(後述する)を開閉制御すると共に、シフトレバー6を介して出力軸4を軸方向に移動させる電磁スイッチ7等より構成される。
モータ2は、図5に示す様に、磁束を発生する界磁8と、整流子9aを有する電機子9、及び整流子9a上に配置されるブラシ10等より構成される直流電動機であり、電磁スイッチ7によりメイン接点が閉制御されると、車載バッテリ11から始動電流が供給されて、電機子9に回転力が発生する。
界磁8は、図3に示す様に、磁気回路を形成するヨーク8aの内周に界磁極8bが固定され、その界磁極8bに界磁コイル8cを巻線して構成される。なお、巻線式界磁に替えて磁石式界磁を用いても良い。
電機子9は、電機子軸9bと、この電機子軸9bに固定される電機子鉄心9c、及び電機子鉄心9cに巻線される電機子コイル9dより構成され、整流子9aを形成する複数のセグメントが電機子コイル9dに電気的且つ機械的に結合されている。
減速装置は、電機子軸9bの端部に形成されたサンギヤ12と、センタケース13に回転規制されたリング状のインターナルギヤ14と、両ギヤ12、14に噛み合う複数の遊星ギヤ15とで構成される周知の遊星歯車減速機であり、電機子9の回転速度を遊星ギヤ15の公転速度まで減速する。
遊星ギヤ15は、軸受16を介して遊星ギヤピン17に回転自在に支持され、その遊星ギヤピン17がキャリア部18(本発明のピン支持体)に形成された圧入孔18a(図1参照)に圧入嵌合して固定されている。
キャリア部18は、図1に示す様に、一方向クラッチ3のアウタ3aと一体に設けられており、圧入孔18aに遊星ギヤピン17を圧入嵌合して組み付けた後、浸炭等の熱処理が実施される。その結果、図2に示す様に、アウタ3a、キャリア部18、及び遊星ギヤピン17の露出している表面に硬化層19が形成されている。
キャリア部18に形成される圧入孔18aは、遊星ギヤピン17の圧入方向にキャリア部18を貫通している。具体的には、キャリア部18の表面から所定の深さだけ、一定の内径を有する円筒穴が凹設され、さらに、その円筒穴の底部からキャリア部18の裏面側へ向かって次第に内径が小さくなるテーパ穴が設けられて、そのテーパ穴がキャリア部18の裏面に開口している。これにより、キャリア部18の裏面に開口するテーパ穴から圧入孔18aの内部へ浸炭ガスが入り込むことで、遊星ギヤピン17の先端面にも熱処理が施されている。
なお、熱処理が実施されるキャリア部18(アウタ3aを含む)と、遊星ギヤピン17は、両者の炭素成分比率の差が、熱処理後に焼割れを生じない範囲内に設定されている。
センタケース13は、モータ2のヨーク8aとフロントハウジング20との間に配置されて、減速装置と一方向クラッチ3の外側を覆っている。
一方向クラッチ3は、図4に示す様に、キャリア部18と一体に設けられたアウタ3aと、このアウタ3aの内径側にインナ3bを形成するチューブ21と、アウタ3aの内周面に形成されたくさび状のカム室(図示せず)に配設されるローラ3c等より構成され、このローラ3cを介して、駆動側回転体であるアウタ3aから従動側回転体であるインナ3bへトルク伝達する。
チューブ21は、図4に示す様に、インナ3bの軸方向反モータ側(図示左側)に軸受部21aが設けられ、この軸受部21aの外周に配置されたボールベアリング22を介してセンタケース13に回転自在に支持されている。
チューブ21の内周には、雌ヘリカルスプライン21bが形成されている。この雌ヘリカルスプライン21bは、インナ3bの内径側から軸受部21aの内径側まで形成され、その雌ヘリカルスプライン21bの終端(端部)が、チューブ21に対する出力軸4の軸方向移動を止めるストッパ21cとして機能している。
出力軸4は、フロントハウジング20に固定された軸受23に回転自在且つ摺動自在に支持されると共に、自身の後端部がチューブ21の内周に挿通され、その後端部の外周に形成された雄ヘリカルスプライン4aがチューブ21の雌ヘリカルスプライン21bに噛み合って、軸方向に移動可能に設けられている。
なお、図3において、出力軸4の中心線より上側は、スタータ1の静止状態を示し、中心線より下側は、スタータ1の作動状態(出力軸4が前進してピニオン5がエンジンのリングギヤ24に噛み合った状態)を示している。
ピニオン5は、軸受23より前方へ突き出た出力軸4の前端部にスプライン結合されて、出力軸4と一体に回転可能に設けられると共に、ピニオン5と出力軸4との間に配設されたピニオンスプリング25の反力を受けて出力軸4上を反モータ方向(図示左方向)へ付勢され、出力軸4の先端部に取り付けられたカラー26に当接して保持されている。
なお、出力軸4に対するピニオン5の後退位置は、ピニオンスプリング25が全圧縮された時に、そのピニオンスプリング25の全圧縮量によって規制される。
電磁スイッチ7は、始動スイッチ27(図5参照)の閉操作によりバッテリ11から通電される励磁コイル28と、この励磁コイル28の内側に挿入されて、励磁コイル28の通電時に発生する磁力により、図1の右方向へ吸引されるプランジャ29と、励磁コイル28への通電が停止されて磁力が消滅した時に、プランジャ29を押し戻すためのリターンスプリング30と、プランジャ29の内部に挿入されるフック31と、このフック31とプランジャ29との間に配設されたドライブスプリング32等より構成され、プランジャ29の端面から突き出たフック31の先端部に、シフトレバー6の上端部が連結されている。
シフトレバー6は、センタケース13に固定されたレバーホルダ33により揺動可能に支持され、シフトレバー6の下端部が、出力軸4に設けられた一組のリングワッシャ34間に係合されて、プランジャ29の動きを出力軸4に伝達する。
なお、図3において、プランジャ29の中心線より上側は、電磁スイッチ7の静止状態(励磁コイル28の通電停止時)を示し、中心線より下側は、電磁スイッチ7の作動状態(励磁コイル28の通電時)を示している。
モータ2の通電回路に設けられるメイン接点は、図5に示す様に、電磁スイッチ7に設けられる2本の外部端子35(35a、35b)を介して通電回路に接続される一組の固定接点36(36a、36b)と、プランジャ29の移動に連動して(またはプランジャ29と一体に)可動する可動接点37とで構成され、この可動接点37が一組の固定接点36に当接して両固定接点36間が導通することによりメイン接点が閉状態となり、可動接点37が一組の固定接点36から離れることでメイン接点が開状態となる。
2本の外部端子35は、バッテリケーブル38を介してバッテリ11のプラス電極に接続されるバッテリ端子35aと、モータリード線39を介してモータ2の内部回路に接続されるモータ端子35bであり、それぞれ電磁スイッチ7の接点カバー(図示せず)に固定され、且つ接点カバーの内部で、バッテリ端子35aと一方の固定接点36a、及びモータ端子35bと他方の固定接点36bとが、それぞれ電気的且つ機械的に結合されている。
次に、スタータ1の作動を説明する。
始動スイッチ27の閉操作により電磁スイッチ7の励磁コイル28が通電されると、プランジャ29が吸引されることにより、シフトレバー6を介して出力軸4が反モータ方向へ押し出される。ここで、出力軸4上のピニオン5がスムーズにリングギヤ24に噛み合った場合は、可動接点37が一組の固定接点36に当接してメイン接点が閉じることにより、電機子9に回転力が発生する。
一方、ピニオン5がスムーズにリングギヤ24に噛み合うことなく、リングギヤ24に衝突した場合は、ピニオンスプリング25を押し縮めながら出力軸4だけが更に前進することにより、ピニオン5が出力軸4上を相対的に後退する。この時、出力軸4の移動に伴ってピニオン5がリングギヤ24と噛み合い可能な位置まで回転すると、ピニオンスプリング25の反力により、ピニオン5が押し出されてリングギヤ24に噛み合い、その後、メイン接点が閉じることで電機子9に回転力が発生する。
また、メイン接点が閉じる前に、ピニオン5とリングギヤ24との噛み合いが出来なかった場合でも、メイン接点が閉じて電機子9に回転力が発生すると、出力軸4がモータ2の回転力を受けて回転することにより、ピニオン5がリングギヤ24と噛み合い可能な位置まで回転した時点で、ピニオンスプリング25の反力とドライブスプリング32の反力とを合わせた合成力により、ピニオン5をリングギヤ24に押し込んで噛み合わせることができる。
ピニオン5とリングギヤ24との噛み合いが完了すると、ピニオン5からリングギヤ24に回転力が伝達されてエンジンをクランキングさせる。
エンジン始動後、始動スイッチ27が開操作されると、励磁コイル28への通電停止により磁力が消滅するため、プランジャ29がリターンスプリング30の反力で押し戻され、メイン接点が開くことにより、電機子9への通電が停止される。
また、プランジャ29が押し戻されると、シフトレバー6を介して出力軸4がモータ方向へ戻され、出力軸4の後端面(モータ側端面)がキャリア部18の端面に当接して停止する。
以上に述べた実施例1では、スタータ1は遊星ギヤ15の公転運動によってモータ2の回転速度を減速する遊星ギヤ減速装置を備える。この遊星ギヤ減速装置は、遊星ギヤ15を回転自在に支持する遊星ギヤピン17と、この遊星ギヤピン17が圧入固定されるピン支持体としてのキャリア部18とを有する。遊星ギヤピン17とキャリア部18は、キャリア部18に形成された圧入孔18aに遊星ギヤピン17が圧入嵌合して組み付けられている。両者は、圧入孔18aに遊星ギヤピン17を圧入嵌合して組み付けた後、一体的に、その全体が、例えば熱処理等の表面硬化処理に晒され、表面硬化処理がなされる。この結果、キャリア部18の表面と、キャリア部18から突出する遊星ギヤピン17の突出部分の表面とには、硬化層19が形成され、これらの部分は硬化層19を有する。
一方、キャリア部18の圧入孔18aの内面のうち、遊星ギヤピン17によって塞がれる部分と、遊星ギヤピン17の圧入孔18aに収容された部分の外周面とには、硬化層19が形成されず、これらの部分には硬化層19がない。従って、遊星ギヤピン17とキャリア部18とは、それらの露出表面が所要の硬さを与えられる。その一方で、両部品を結合するための圧入孔18a内と、そこに圧入された遊星ギヤピン17の圧入部分においては、両者に破壊を生じることなく、両者を安定的に結合するために必要な特性が維持される。
キャリア部18は、一方向クラッチ3のカム面を形成する部材を兼ねることができる。この場合、一方向クラッチ3のカム面形成部材の表面に設けられる硬化層19により、一方向クラッチ3のカム面に所要の表面硬度を与えることもできる。例えば、キャリア部18は、一方向クラッチ3のアウタ部材(アウタ3a)を兼ねることができる。キャリア部18は、有底円筒状に形成され、アウタ部材としての円筒部分と、その一端に位置する底壁部分とを有することができる。遊星ギヤピン17は、底壁部分に立設することができる。更に、底壁部分は、円筒部分より小径に形成することができる。
遊星ギヤピン17は、アウタ部材としての円筒部分に到達することなく配置され、一方方向クラッチ3のローラ3cの径方向外側に位置することがない。
キャリア部18に設けられた圧入孔18aは、貫通孔とすることができる。貫通孔は、遊星ギヤピン17を受け入れることが可能な比較的大きい径をもった大径部分を、その遊星ギヤ減速装置側に有し、遊星ギヤピン17の径より比較的小さい径をもった小径部分を、その一方向クラッチ3側に有することができる。遊星ギヤピン17は、キャリア部18の一方向クラッチ3側の部材から離れて支持される。
(実施例1の効果)
上記のスタータ1に使用される減速装置は、遊星ギヤピン17をキャリア部18の圧入孔18aに圧入嵌合して組み付けた後、一体的に熱処理が実施される。つまり、熱処理前に遊星ギヤピン17を圧入孔18aに圧入嵌合して固定するので、遊星ギヤピン17の圧入時に、キャリア部18に亀裂が入ることを防止でき、遊星ギヤピン17の固定力を確保できる。その結果、従来行われていた、キャリア部18の表面に熱処理が入らないための加工(防炭、焼鈍など)、あるいは、亀裂防止のために駄肉をつけた後で硬化層19を除去する加工が不要であり、加工工程を短縮できる。
また、遊星ギヤピン17を圧入孔18aに圧入嵌合して組み付けた状態で熱処理するので、遊星ギヤピン17とキャリア部18とを別々に熱処理する従来の方法と比較して、コスト低減効果が得られる。
加工工数を低減するために、遊星ギヤピン17をキャリア部18と一体に冷鍛加工等によって設けることも考えられるが、遊星ギヤ15を支持する遊星ギヤピン17は、その位置、形状などについて高精度が要求される。しかし、冷鍛加工では精度を出すのが困難である。なぜなら、冷鍛加工で遊星ギヤピン17を形成する時には、鍛造時の素材の流れ方によって部分的に歪みが残り、熱処理によって、その歪みが緩和されると、遊星ギヤピン17が倒れたりして、要求の寸法精度を満足できない。
これに対し、実施例1に記載した遊星ギヤピン17は、例えば、切削や鍛造などの方法で、キャリア部18とは別に、単独で製作されるため、冷鍛加工で遊星ギヤピン17をキャリア部18と一体に設けた場合の様に、材料素材の流れ方による残留歪みが生じない。これにより、遊星ギヤピン17とキャリア部18とを一体的に熱処理しても、遊星ギヤピン17が倒れる等の問題が発生しない。従って、遊星ギヤピン17単体での精度が良く、且つキャリア部18に組み付けた状態でも精度を確保できるので、遊星ギヤピン17に嵌合される軸受16の摩耗、異音発生等を抑制でき、品質の良い減速装置を提供できる。
また、炭素が拡散された硬化層19では、組織が変化して、キャリア部18の圧入孔18aは内径側に収縮し、遊星ギヤピン17は外径側に膨らむため、圧入締代が増加して、遊星ギヤピン17の抜け荷重が大きくなるため、遊星ギヤピン17の固定力を増大できる。更に、圧入孔18aは、キャリア部18を貫通する貫通孔として形成されるので、圧入孔18aに圧入嵌合された遊星ギヤピン17の先端面にも硬化層19が形成される(図2参照)。その結果、ピン先端が膨張して外径が大きくなることで、より抜けにくくなるため、キャリア部18に対する遊星ギヤピン17の圧入長さを短くすることも可能であり、延いては、スタータ1の軸長短縮も可能である。
また、圧入孔18aが貫通していない有底穴の場合には、遊星ギヤピン17を圧入孔18aに圧入した後に、圧入孔18aの中に形成される空間に残された空気あるいは切削油等が熱処理で高温に晒されて膨張し、最悪の場合、遊星ギヤピン17が圧入孔18aから飛び出して抜けてしまうことが考えられる。これに対し、圧入孔18aを貫通孔にすれば、上記の不具合を回避できる。
更に、圧入孔18aが有底穴の場合は、遊星ギヤピン17の圧入時に、圧入孔18aの中の空気が圧縮されて、圧入荷重がばらつくことにより、圧入不良を生じる恐れがあるが、貫通穴であれば、圧入荷重がばらつくこともなく、圧入不良を防止できる。
なお、熱処理前の遊星ギヤピン17は、圧入孔18aに圧入する際に、遊星ギヤピン17の変形が予め決められた許容範囲内に収まるように、硬度調整されたものでも良い。つまり、遊星ギヤピン17の材料硬度があまりにも低いと、遊星ギヤピン17をキャリア部18の圧入孔18aに圧入する際に、圧入荷重によって遊星ギヤピン17が座屈する恐れがある。この場合、遊星ギヤピン17に嵌合する軸受16とのクリアランスが小さくなり、軸受16の組み付けが困難(最悪の場合、組み付け不能)になる。従って、遊星ギヤピン17の圧入時の変形が許容範囲内に入るように、硬度調整された遊星ギヤピン17を使用することにより、圧入時に遊星ギヤピン17が座屈することを防止でき、遊星ギヤピン17に対する軸受16の組み付け不能および軸受16の偏摩耗等を防止できる。
上記の実施例1では、遊星ギヤピン17を支持するキャリア部18が一方向クラッチ3のアウタ3aと一体に設けられている例を示したが、例えば、一方向クラッチ3がピニオン5と一体に出力軸4上を移動する構造のスタータでは、キャリア部18を出力軸4と一体に設けることもできる。この場合も、実施例1と同様の効果を得ることができる。
実施例1に係わる遊星ギヤピンが圧入固定されたキャリア部及びアウタの断面図である。 実施例1に係わる遊星ギヤピンが圧入固定されたキャリア部及びアウタの硬化層を示す断面図である。 実施例1に係わるスタータの部分断面図である。 実施例1に係わる一方向クラッチ周辺の断面図である。 実施例1に係わるスタータの電気回路図である。 従来技術に係わる遊星ギヤピンが圧入固定されたアウタの断面図である。
符号の説明
1 スタータ
2 モータ
3 一方向クラッチ
3a アウタ
4 出力軸
15 遊星ギヤ
17 遊星ギヤピン
18 キャリア部(ピン支持体)
18a 圧入孔

Claims (8)

  1. 遊星ギヤの公転運動によってモータの回転速度を減速する遊星ギヤ減速装置を備えたスタータにおいて、
    前記遊星ギヤ減速装置は、前記遊星ギヤを回転自在に支持する遊星ギヤピンと、この遊星ギヤピンが圧入固定されるピン支持体とを有し、
    前記遊星ギヤピンと前記ピン支持体は、前記ピン支持体に形成された圧入孔に前記遊星ギヤピンが圧入嵌合して組み付けられた後、両者が一体的に熱処理されて、表面硬化されることを特徴とするスタータの製造方法。
  2. 請求項1に記載したスタータの製造方法において、
    前記遊星ギヤピンを前記圧入孔に圧入嵌合して組み付けた後、両者を一体的に熱処理することにより、前記圧入孔は内径側に収縮し、前記遊星ギヤピンは外径側に膨れることを特徴とするスタータの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載したスタータの製造方法において、
    前記熱処理は、浸炭または浸炭窒化など、炭素を拡散浸透させるものであり、
    前記遊星ギヤピンおよび前記ピン支持体に使用される熱処理前の素材は、両者の炭素成分比率の差が、熱処理後に焼割れを生じない範囲内に設定されていることを特徴とするスタータの製造方法。
  4. 請求項1〜3に記載した何れかのスタータの製造方法において、
    前記遊星ギヤピンの熱処理前の材料硬度は、前記遊星ギヤピンを前記圧入孔に圧入する際に、前記遊星ギヤピンの変形が予め決められた許容範囲内に収まるように硬度調整されていることを特徴とするスタータの製造方法。
  5. 請求項1〜4に記載した何れかの製造方法により製造されたことを特徴とするスタータ。
  6. 請求項5に記載したスタータにおいて、
    前記遊星ギヤ減速装置で減速された回転を出力軸に伝達する一方向クラッチを備え、
    前記ピン支持体は、前記一方向クラッチの駆動側回転体であるアウタと一体に設けられていることを特徴とするスタータ。
  7. 請求項5に記載したスタータにおいて、
    前記遊星ギヤ減速装置で減速された回転が伝達されて回転する出力軸を備え、
    前記ピン支持体は、前記出力軸と一体に設けられていることを特徴とするスタータ。
  8. 請求項5〜7に記載した何れかのスタータにおいて、
    前記ピン支持体に形成された圧入孔は、前記遊星ギヤピンの圧入方向に前記ピン支持体を貫通する貫通孔であることを特徴とするスタータ。
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