JP2005238760A - 吸湿性パッキング材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 熱可塑性樹脂100質量部に対し、粒子状吸湿性材料5〜100質量部を含む混合物からなる吸湿性発泡体の少なくとも片面に密閉層を設けてなる吸湿性パッキング材であって、該吸湿性発泡体の発泡樹脂層は、発泡倍率が2.0〜20.0倍であり、該粒子状吸湿性材料が該発泡樹脂層に保持されており、該粒子状吸湿性材料の周囲の少なくとも一部に空隙が形成された構造とする。
【選択図】 なし
Description
そこで、上記不具合を解消するため、樹脂と粒子状吸湿性材料を混合した材料をシ−ト状に成形した吸湿性パッキング材が利用されている。
しかし、この吸湿性パッキング材は、樹脂内部に存在する粒子状吸湿性材料の吸湿効果が発揮されにくく、また、粒子状吸湿性材料が吸湿した際の膨張により、吸湿性パッキング材の変形・反りなどが発生してしまうという問題がある。
さらに、下記の特許文献2には、ポリプロピレンを原料とし、表面にスキン層を形成した発泡シートからなる容器用パッキングが開示されている。しかし、この容器用パッキングは、内容物が液体の場合は密封性に優れるものの、内容物が固形物であって、湿気によって品質が低下するものに対しては、防湿効果が不十分であるという問題がある。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、粒子状吸湿性材料5〜100質量部を含む混合物からなる吸湿性発泡体の少なくとも片面に密閉層を設けてなる吸湿性パッキング材であって、該吸湿性発泡体の発泡樹脂層は、発泡倍率が2.0〜20.0倍であり、該粒子状吸湿性材料が該発泡樹脂層に保持されており、該粒子状吸湿性材料の周囲の少なくとも一部に空隙が形成された構造を有することを特徴とする吸湿性パッキング材である。
本発明は、粒子状吸湿性材料の周囲に空隙が形成されたり、また、樹脂中に埋設されていない特徴的構造を有するため、粒子状吸湿性材料が水分を吸収して膨張し容積が大きくなっても、パッキング材の膨張・湾曲・反りなどが発生せず、吸湿性能が高くなり、また、吸湿性パッキング材の省スペース化を図ることができる。
本発明は、発泡体であるため、同一厚さの無発泡体からなるパッキング材と比較して、構成樹脂の占める割合が少なく、その結果、樹脂層の透湿性が向上し、発泡体の内部に存在する粒子状吸湿性材料への水分の浸透速度が速くなり、安定かつ迅速な吸湿性能が得られる。
本発明は、粒子状吸湿性材料を発泡体全体に分散させているため、吸湿量が経時的に一定であり、長期にわたり安定かつ一定の吸湿性能が維持できる。
本発明の吸湿性パッキング材1を構成する吸湿性発泡体2は、材料的には、熱可塑性樹脂と粒子状吸湿性材料を含む混合物からなり、構造的には、多数の発泡セル(気泡)5を有する発泡樹脂層3に、粒子状吸湿性材料4が保持されており、該粒子状吸湿性材料4の少なくとも一部が発泡セル5内に挿入され、該粒子状吸湿性材料4の周囲の少なくとも一部に空隙6が形成されている構造を有するものである。発泡樹脂層3は、吸湿性発泡体2のうち、粒子状吸湿性材料4を除いた部分であり、多数の発泡セル5、並びに空隙6を有する。
図1に示すように、粒子状吸湿性材料4の全体あるいは一部が発泡セル5内に挿入され、粒子状吸湿性材料4の周囲全部あるいは一部に空隙6が存在する点に、本発明の特徴がある。
これらの中では低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合樹脂、およびポリプロピレンが、発泡成形性、粒子状吸湿性材料との混合性の点から好適である。
かかる粒子状吸湿性材料4としては、シリカゲル、アロフェン、ベントナイト、ゼオライト、アルミナシリカゲル、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウムと塩化マグネシウムの混合物、酸化マグネシウム・塩化マグネシウム・水酸化マグネシウムと他の保水性物質とからなる混合物等が利用できる。これらの粒子状吸湿性材料は、所望するパッキング材の吸湿性能に合わせて、単独あるいは2種以上を適宜混合して使用することができる。また、粒子状吸湿性材料4の平均粒径は、通常、0.5〜150μmとするのが、本発明の効果を得る上で好ましい。
例示した上記粒子状吸湿性材料4のうち、平均粒径が1〜100μmの酸化カルシウムが、吸湿性能、および熱可塑性樹脂への分散性が良好であることから好適である。この酸化カルシウムは、特に温度25℃、相対湿度50%雰囲気中の条件下における24時間後の吸湿率が0.5〜1.5%のもの、および特定の焼結条件で多孔質化され、上記条件下での吸湿率が5〜25%のものが好適である。
さらに、粒子状吸湿性材料を混合して使用する場合は、酸化カルシウムを粒子状吸湿性材料に対して50〜90wt%に混合することが好ましい。
熱可塑性樹脂と粒子状吸湿性材料の混合物は、二軸混練機や加圧ニーダー等の一般的な混合装置を用いて、それぞれの材料を均一に混合分散することによって作製される。この混合物には、成形性を考慮して、ポリエチレン系ワックス、高級脂肪酸等からなる滑材等の加工助剤のほか、抗菌剤、防かび剤、熱安定剤、香料等を適宜添加することもできる。
粒子状吸湿性材料との反応性、発泡セルの大きさを考慮すると、超臨界窒素が好適である。また、これら超臨界流体の注入量は、求める発泡倍率と溶融樹脂の吐出量から算出して決定する。
また、粒子状吸湿性材料4および発泡セル5は、発泡樹脂層3に均一に存在させることが好ましい。そうすることにより、長期にわたり吸湿量が経時的に一定となり、安定した吸湿性能を得ることができる。
密閉層7の材質としては、発泡樹脂層3を構成する熱可塑性樹脂と同様のものが使用される。密閉層7の厚さは、吸湿性パッキング材1の厚さに対し、1.0〜30%であることが好ましい。1.0%未満であると密閉性が低下し、30%を超えるとクッション性が低下して、蓋が締めにくくなる。密閉層7の大きさは、通常、吸湿性発泡体2と同じ大きさとするが、特に限定されない。
そして、本発明の吸湿性パッキング材は、熱ラミネート法、接着剤や両面粘着テープを用いる接着法などの公知の方法を用いて、前記吸湿性発泡体2と密閉層7を積層させることにより得られる。また、発泡成形時に、鏡面ロールに圧着することにより、表層に実質的に発泡していない層(密閉層)を形成することにより得られる。
本発明の第2の実施形態は、図1に示した第1の実施形態である吸湿性パッキング材の少なくとも片面に、さらに、熱可塑性樹脂100質量部に対し、粒子状吸湿性材料100〜300質量部を含む混合物からなる発泡シート12であって、該発泡シート12の発泡樹脂層13の発泡倍率が1.1〜2.0倍であり、該粒子状吸湿性材料14が該発泡樹脂層13に保持されており、該粒子状吸湿性材料の周囲の少なくとも一部に空隙16が形成された発泡シート12を接合してなることを特徴とする吸湿性パッキング材である。したがって、この第2の実施形態においては、発泡シート12を除いた部分、すなわち、吸湿性発泡体2、発泡樹脂層3、粒子状吸湿性材料4、発泡セル5、空隙6、および密閉層7については、第1の実施形態で述べたものと同様である。
また、この発泡シート12は、粒子状吸湿性材料14の周囲に空隙16が形成されているため、湿気、水分を吸収して膨張し容積が大きくなっても、発泡シート12の膨張・湾曲・反りなどは発生しない。さらに、発泡樹脂層13に発泡セル15が存在することにより、同一厚さの無発泡体からなるパッキング材と比較して、樹脂部分が少なくなることとなり、樹脂層への透湿性が向上し、発泡樹脂層13の内部に存在する粒子状吸湿性材料14への水分の浸透速度が速くなり、安定かつ迅速な吸湿性能が得られ、さらに吸湿量を経時的に一定にすることができるという特徴が得られ、長期にわたり安定かつ一定の吸湿性能が維持できる。
上記粒子状吸湿性材料14は、所望する発泡シート12の吸湿性能に合わせて、前記した粒子状吸湿性材料を単独あるいは2種以上適宜混合して使用することができるが、混合して使用する場合は、酸化カルシウムの割合が大きいほうが好ましい。また、粒子状吸湿性材料14の平均粒径は、通常、0.5〜150μmとするのが、本発明の効果を得る上で好ましい。
熱可塑性樹脂と粒子状吸湿性材料の混合物は、二軸混練機や加圧ニーダー等の一般的な混合装置を用いて、それぞれの材料を均一に混合分散することによって作製される。この混合物には、成形性を考慮して、ポリエチレン系ワックス、高級脂肪酸等からなる滑材等の加工助剤のほか、抗菌剤、防かび剤、熱安定剤、香料等を適宜添加することもできる。
粒子状吸湿性材料との反応性、発泡セル径の大きさを考慮すると、超臨界窒素が好適である。また、これら超臨界流体の注入量は、求める発泡倍率と溶融樹脂の吐出量から算出して決定する。
また、粒子状吸湿性材料14および発泡セル15は、発泡シート12に均一に存在させることが好ましい。そうすることにより、長期にわたり吸湿量が経時的に一定となり、安定した吸湿性能を得ることができる。
発泡シート12の大きさ、厚さは、容器の締め付け部におけるパッキングに影響を与えないものであれば、特に限定されない。
発泡シート12は、上記した第1の実施形態である吸湿性パッキング材の少なくとも片面に設け、また、密閉層7上に積層させるだけでなく、発泡樹脂層3上に直接積層させてもよい。
上記した第1の形態である吸湿性パッキング材と発泡シート12の接合方法としては、該パッキング材および該発泡シ−トの表面を加熱して熱融着する方法、熱融着可能なフィルム等を挟持して接合する方法、接着剤や両面テープなどによる接着、粘着による方法などがある。例えば、密閉層7としての二軸延伸PETフィルムの両面にポリエチレン樹脂等からなる融着層を有するものも利用できる。また、加熱した針状突起で発泡シ−ト側から複数箇所を押圧させて接合することも可能である。
A.シート状発泡体(成形シート)の作製
1)熱可塑性樹脂として、ランダムポリプロピレン(PP)(PC540A:サンアロマ一社製)、および粒子状吸湿性材料として、酸化カルシウム(アオクラボルミック:有恒鉱業社製、平均粒径70μm、吸湿率1.0%:75wt%と高活性生石灰:宇部マテリアルズ社製、平均粒径10μm、吸湿率18.0%:25wt%の混合物)を使用し、表1に示す組成比(質量部)からなる両者の混合物を、二軸混練機を用いて混合、押出することにより、マスターペレットを作製した。
2)上記マスターペレットを原料とし、また、超臨界窒素を発泡剤として用いて、押出機(φ65mm、L/D=34)にそれらを投入し、外径85mmの円形のシート状発泡体(成形シート)を成形した(実施例1〜6、比較例1、3、4。なお、比較例2は成形不能であった。)。
得られた成形シートの厚さ、発泡倍率、および発泡セルの平均径を表1に示した。なお、上記発泡倍率は、式:発泡倍率=(無発泡体の比重)/(発泡体の比重)により求めた。
B.シート状発泡体(成形シート)の作製
熱可塑性樹脂として、ランダムポリプロピレン(PP)(PC540A:サンアロマ一社製)、粒子状吸湿性材料として、酸化カルシウム(アオクラボルミック:有恒鉱業社製、平均粒径70μm、吸湿率1.0%:60wt%と高活性生石灰:宇部マテリアルズ社製、平均粒径10μm、吸湿率18.0%:40wt%の混合物)を使用し、表1に示す組成比(重量部)からなる両者の混合物を、上記のA.シート状発泡体(成形シート)の作製と同様にして、外径75mmの円形のシート状発泡体(成形シート)を作製した(実施例7〜9)。
得られた成形シートの厚さ、発泡倍率、および発泡セルの平均径を表1に示した。
C.パッキング材の作製
上記シート状発泡体(成形シート)と、厚さ18μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材とし、その片面に厚さ25μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂層を有する外径75mmの円形のシーラント材を熱融着させてパッキング材を作製した。
D.吸湿性能力の測定
作製した各パッキング材について、48時間後における、温度25℃、相対湿度20%雰囲気、温度25℃、相対湿度50%雰囲気、および温度25℃、相対湿度90%雰囲気での質量変化(吸湿量(g)および吸湿率(%)({48時間静置後の質量−初期質量}/初期質量)×100)を調べた。結果を表2に示した。
E.容器内の湿度変化測定
実施例1、3、5で得た成形シートをそれぞれ上部シート発泡体とし、各上部シート発泡体に対して、順に実施例9、7、8で得た成形シートを下部シート発泡体として、それぞれ対応する上部シート発泡体と下部シート発泡体を接合することにより作製した各パッキング材を蓋の内面に装填して、容量1200mlの瓶容器と蓋の間に挟持させて、該瓶容器を密封し、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中で、該瓶容器内の(1)密閉状態1日間経過後の湿度、(2)蓋を開けた後5分間経過後の湿度、(3)再び密閉状態にして1日間経過後の湿度、を測定装置(温湿度カードログ−MR6661、チノー社製、商品名)により測定した。結果を表3に示す。
F.パッキング材の吸湿後の変形・反りの発生の確認
温度25℃、相対湿度50%雰囲気下、48時間放置後のパッキング材の変形・反りの状態を目視により観察した。結果を表1に示した。
2…吸湿性発泡体
3、13…発泡樹脂層
4、14…粒子状吸湿性材料
5、15…発泡セル
6、16…空隙
7…密閉層
12…発泡シート
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂100質量部に対し、粒子状吸湿性材料5〜100質量部を含む混合物からなる吸湿性発泡体の少なくとも片面に密閉層を設けてなる吸湿性パッキング材であって、該吸湿性発泡体の発泡樹脂層は、発泡倍率が2.0〜20.0倍であり、該粒子状吸湿性材料が該発泡樹脂層に保持されており、該粒子状吸湿性材料の周囲の少なくとも一部に空隙が形成された構造を有することを特徴とする吸湿性パッキング材。
- 熱可塑性樹脂100質量部に対し、粒子状吸湿性材料5〜100質量部を含む混合物からなる吸湿性発泡体の少なくとも片面に密閉層を設けてなる吸湿性パッキング材であって、該吸湿性発泡体の発泡樹脂層は、発泡倍率が2.0〜20.0倍であり、該粒子状吸湿性材料が該発泡樹脂層に保持されており、該粒子状吸湿性材料の周囲の少なくとも一部に空隙が形成された構造を有する吸湿性パッキング材において、該吸湿性パッキング材の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂100質量部に対し、粒子状吸湿性材料100〜300質量部を含む混合物からなる発泡シートであって、該発泡シートの発泡樹脂層は、発泡倍率が1.1〜2.0倍未満であり、該粒子状吸湿性材料が該発泡樹脂層に保持されており、該粒子状吸湿性材料の周囲の少なくとも一部に空隙が形成された発泡シートを接合してなることを特徴とする吸湿性パッキング材。
- 吸湿性発泡体の発泡セルの平均径が0.15〜0.60mmであり、発泡シートの発泡セルの平均径が0.01〜0.30mmである請求項2記載の吸湿性パッキング材。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の吸湿性パッキング材を備えた蓋。
- 請求項4記載の蓋を用いた容器。
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