JP2005234285A - 位相差フィルム、偏光板保護フィルム、楕円偏光板、及び表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、偏光板保護フィルム、楕円偏光板、及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、セルロース系保護フィルムのけん化貼合の良さを活かしたまま、従来のセルロース系位相差フィルムの欠点である位相差値の湿度変動を抑制して、表示品位が極めて安定したセルロース系位相差フィルム、偏光板保護フィルム、楕円偏光板、及び表示装置を提供することにある。
【解決手段】 セルロース誘導体を含み下記式(1)で表される厚み方向のリターデーション値Rtが40〜400nmの範囲である位相差フィルムにおいて、下記式Aで表される23℃、20〜80%RH環境下の可逆的な厚み方向のリターデーション値Rt(a)変動が12nm以下であることを特徴とする位相差フィルム。
式(1) Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
式A Rt(a)=|Rt(b)−Rt(c)|
【選択図】 なし

Description

本発明は、位相差フィルム、偏光板保護フィルム、楕円偏光板、及び表示装置に関し、詳しくは環境変動に対し厚み方向のリターデーション値Rtが安定で優れた視野角安定性を有する位相差フィルム、偏光板保護フィルム、偏光板、及び表示装置に関する。
液晶ディスプレイの視野角拡大を実現するために、光学補償フィルム(位相差フィルムともいう)が用いられる。
特に映像を精緻に表現することのできる液晶ディスプレイの表示モード(駆動方式)として、VA型(垂直配向方式)、IPS型(横電界方式)、OCB型(ベンドセル方式)などの複屈折を利用した複屈折モードと、TN型(ツイストネマチック型)と呼ばれる旋光を利用した旋光モードがある。これらは一長一短あるが、いずれも十分な視野角を確保するためには、光学補償フィルムを用いる必要がある。
光学補償フィルムは偏光子と液晶セルの間に配置して用いられる。すなわちヨウ素をドープしたPVA(ポリビニルアルコール)を延伸して作製した偏光子を保護膜であるTAC(トリアセチルセルロース)フィルムで両面ラミネートして得た楕円偏光板(単に偏光板ともいう)と液晶セルとの間に配置して用いられる。必要とされる位相差の値、特性に応じて偏光板と液晶セルの間に様々な形態で配置される。例えば、片側1枚で配置されることもあれば、両側に各一枚ずつ配置される場合もある。また、そのうちの片側に何枚も複数の種類のフィルムが積層されて配置される場合もあれば、一枚のフィルム上に塗布により異なる光学異方性層を形成される場合もある。
これらの位相差フィルムまたは光学異方性層は、特定の位相差値(リターデーション値)が与えられるが、この値が変化すると特に斜め方向から見た場合の視野角や色味が変化(=劣化)する。
位相差フィルムには様々な構成を実現するために様々な素材が利用され、それらの素材は環境(特に湿度環境)の変動に対して可逆的に変化する場合がある。
支持体フィルムに他の位相差を生じる層(光学異方性層)を積層した位相差フィルムの場合、例えば液晶層を塗布する支持体としてTACフィルムが使用される。しかし、このTACフィルムはそれ自身が位相差値(特に厚み方向のリターデーション)を持ち水分の吸脱着に依存してリターデーション値が変動する。
ポリカーボネートやノルボルネン系フィルムの延伸フィルム、または液晶を固定化した層は湿度変動に対する可逆的なリターデーション値の変動はほとんどないが、これらの位相差フィルムまたは位相差層は、偏光板に接着剤を介して貼り合わせ、または塗布により層形成されて使用される(例えば、特許文献3〜5参照。)。この場合も、偏光板保護フィルムとして使用されているTACフィルム自身が同様に厚み方向にリターデーションを持っており湿度に依存してそのリターデーション値が変動する特性がある。
また、最近我々は従来のTACフィルムの代わりにセルロース誘導体フィルムを延伸により位相差を発現させ、これをけん化処理してPVA偏光子をラミネートすることにより位相差フィルムの機能を併せ持つ偏光板保護フィルムを実現した(例えば、特許文献6参照。)。しかし、このフィルムも通常のTACフィルムよりも値は小さいが、湿度の変動によりリターデーション値が可逆的に変動する。
それらの点を考慮すると、偏光子から液晶セルの間の総リターデーション値は、通常偏光子の保護フィルムとして用いられるTACフィルムを含めて、位相差値の環境(湿度)依存性を伴う層の存在により、湿度変化に連動して可逆的に変動することが避けられなかった。
これは、湿度変動により液晶ディスプレイの表示品位が変動する(劣化する)ことを意味しており、従来これらに答えうる実用的な技術は存在しなかった。
一方、湿度変動による表示品位の変動への対応として、偏光板保護フィルムの代わりに延伸により位相差を付与したノルボルネン樹脂系フィルムを、接着剤を介してPVA偏光子に直接接着して位相差機能付きの偏光板(楕円偏光板)を作製することが開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしながら、PVA偏光子へ接着剤を介したこれらの保護フィルムの接着は、従来のセルロース系保護フィルムがけん化により極めてスムーズにかつ位相差に影響なく貼合できるのに対してその利点を失うため、生産性の低さ、接着能力の不足、水系接着剤を用いた場合の乾燥性の悪さなど様々な深刻な問題を抱え、結果的に非常に実用性が乏しかった。
よって、セルロース系保護フィルムのけん化貼合の良さを活かしたまま、従来のセルロース系位相差フィルムの欠点である位相差値の湿度変動を抑制して、表示品位の極めて安定性の高いセルロース系位相差機能付き偏光板保護フィルムを得ることが待たれる状況にある。
特開2003−211588号公報 特開2003−211589号公報 特開平8−62422号公報 特開2002−31721号公報 特開平10−62624号公報 特開2003−270442号公報
従って本発明の目的は、セルロース系保護フィルムのけん化貼合の良さを活かしたまま、従来のセルロース系位相差フィルムの欠点である位相差値の湿度変動を抑制して、表示品位が極めて安定したセルロース系位相差フィルム、偏光板保護フィルム、楕円偏光板、及び表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
(請求項1)
セルロース誘導体を含み下記式(1)で表される厚み方向のリターデーション値Rtが23℃、55%RH下で40〜400nmの範囲である位相差フィルムにおいて、下記式Aで表される23℃、20〜80%RH環境下の可逆的な厚み方向のリターデーション値Rt(a)変動が12nm以下であることを特徴とする位相差フィルム。
式(1) Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
〔式中、nxは、フィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyは、nxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率、dは、フィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。〕
式A Rt(a)=|Rt(b)−Rt(c)|
〔式中、Rt(b)は23℃、20%RHにて5時間調湿した後、同環境で測定したRt値、Rt(c)は同じフィルムを続けて23℃、80%RHにて5時間調湿した後、同環境で測定したRt値を表す。〕
(請求項2)
下記式Bで求められるWが0.16%/nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
式B W={(23℃、80%RH環境下のフィルム質量−23℃、20%RH環境下のフィルム質量)/120℃、dry条件下で45分処理したフィルム質量}×100/Rt(a)
(請求項3)
下記式(2)で表される面内方向のリターデーション値Roが23℃、55%RH下で20〜300nmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の位相差フィルム。
式(2) Ro=(nx−ny)×d
〔式中、nxは、フィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyは、nxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、dは、フィルムの厚み(nm)を各々表す。〕
(請求項4)
未置換の水酸基がグルコース単位1モル当たり0.05〜1.0モル有するセルロース誘導体を有し水素結合性物質を0.1〜20質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
(請求項5)
前記水素結合性物質が反応性金属化合物の重縮合物であることを特徴とする請求項4に記載の位相差フィルム。
(請求項6)
請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム上に、更に光学異方性層を設けたことを特徴とする位相差フィルム。
(請求項7)
請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルムと、主としてシクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート及びポリサルフォンから選択される樹脂を含む位相差フィルムとを組み合わせた位相差フィルム。
(請求項8)
請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする偏光板保護フィルム。
(請求項9)
請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする楕円偏光板。
(請求項10)
請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする表示装置。
本発明により、セルロース系保護フィルムのけん化貼合の良さを活かしたまま、従来のセルロース系位相差フィルムの欠点である位相差値の湿度変動を抑制して、表示品位が極めて安定したセルロース系位相差フィルム、偏光板保護フィルム、楕円偏光板、及び表示装置を提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、セルロース誘導体を含み上記式(1)で表される厚み方向のリターデーション値Rtが23℃、55%RH下で40〜400nmの範囲である位相差フィルムにおいて、上記式Aで表される23℃、20〜80%RH環境下の可逆的な厚み方向のリターデーション値Rt(a)変動が12nm以下である位相差フィルムによって、セルロース系保護フィルムのけん化貼合の良さを活かしつつ、表示品位が極めて安定したセルロース系位相差フィルム、偏光板保護フィルム、偏光板及び表示装置が得られることを見出し、本発明をなすに至った次第である。厚み方向のリターデーション値Rt(a)変動はより好ましくは6nm以下である。
本発明において可逆変動とは、湿度変化における最初と最後の同一条件下での測定結果で測定器の規格範囲内での変動であれば可逆変動と見なせ、本発明のリタデーション値の可逆変動はフィルムを5時間調湿して当該環境と平衡状態になることで変化が観察されるものと定義する。
本発明における可逆変動の改善効果を確認するためには温度を一定の状態で湿度を変化させて、位相差の測定あるいは視野角の測定などを行うことが好ましい。また、湿度変化条件にて測定する前後で、通常の環境(例えば23℃55%RHなど)の測定を行い、可逆変動であることを確認することが出来る。
尚、リターデーション値は自動複屈折率測定装置(王子計測機器(株)製の商品名KOBRA−21ADH)を用いて測定出来る。
また、上記式Bで求められるWが0.16%/nm以上である位相差フィルムであることが本発明の効果を得る上で好ましいことを見出した。
更に、未置換の水酸基がグルコース単位1モル当たり0.05〜1.0モル有するセルロース誘導体を有し水素結合性物質を0.1〜20質量%含有する位相差フィルムによって本発明の目的を達成出来ることを見出したものである。
以下、本発明の各要素を詳細に説明する。
〈セルロース誘導体〉
本発明においては、液晶表示用フィルムとして好ましい有機材料として、低複屈折・波長分散特性が正であるセルロース誘導体が用いられる。
本発明に用いられるセルロース誘導体としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルセルロースなどのセルロースエーテル類と、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類が挙げられるが、好ましくはセルロースエステル類である。
本発明に用いられるセルロース誘導体の原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来る。また、これらから得られたセルロース誘導体は、それぞれを単独あるいは任意の割合で混合使用することが出来るが、綿花リンターを50質量%以上使用することが好ましい。
セルロースエステルフィルムの分子量が大きいと弾性率が大きくなるが、分子量を上げすぎるとセルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎるため生産性が低下する。セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で70000〜200000のものが好ましく、100000〜200000のものが更に好ましい。本発明で用いられるセルロースエステルはMw/Mn比が3.0以下であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜2.3である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1,000,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
未置換の水酸基がグルコース単位1モル当たり0.05〜1.0モル有するセルロース誘導体とは、セルロースエステルの場合、3−総アシル基置換度で求めることが出来る。すなわち、3−総アシル基置換度がグルコース単位1モル当たりの未置換の水酸基のモル数である。セルロースエステルの総アシル基置換度は2.0〜2.95(未置換の水酸基0.05〜1.0)が用いられ、2.6〜2.9(未置換の水酸基0.1〜0.4)が好ましく用いられる。総アシル基置換度はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
また、他の好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜22のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
式(I) 2.6≦X+Y≦2.9
式(II) 0≦X≦2.5
中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦1.0のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらのセルロースエステルは公知の方法で合成することが出来る。
<加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の重縮合物>
本発明に係る水素結合性物質とは、セルロース誘導体の未置換の水酸基などと水素結合によって相互作用することによってフィルム含水率が変動しても、Rt値の変動が著しく低減されるものであり、この水素結合が擬似的な架橋状態とも呼べる状態を形成することで、水分の出入りに対するセルロース誘導体分子の側鎖若しくは主鎖の配向が動きにくくなるという作用を及ぼしているものと推測される。この水素結合性物質は可塑剤等の添加剤に対しても水素結合によって相互作用することがより好ましい。本発明に係る水素結合性物質としては、加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の重縮合物などが挙げられる。
フィルム材料の水素結合物質の含有量としては、フィルムの全質量に対して、0.1〜40質量%で用いることが出来る。より好ましくは、0.5〜20質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。水素結合物質の添加量が0.1質量%より少ないとフィルムの物性改良効果が認められなくなり、40質量%を越えるとフィルムが脆くなってしまう。
本発明者らは検討の結果、湿度変動環境下の可逆的な上記式Aで表される厚み方向のリターデーション値Rt(a)変動を、上記水素結合性物質を添加することにより、従来のセルロースエステル系フィルムでは達成出来なかった12nm以下という極めて低い変動に抑制出来ることを見出したものである。
また、上記水素結合性物質の添加は上記式Bで求められるWが0.16%/nm以上に調整出来るように添加されることが好ましい。Wが0.16%/nm以上になると、偏光子と本発明の位相差フィルムを接着する際の乾燥性に優れ、偏光板の平面性も良好である。Wは0.16%/nm〜3.0%/nmが特に好ましく、従来のセルロース系偏光板保護フィルムとしての特徴を持ちながら、環境変動による影響を著しく低減出来たのである。
本発明の位相差フィルムを構成する反応性金属化合物の重縮合物について説明する。
本発明において金属とは、「周期表の化学」岩波書店 斎藤一夫著 p.71記載の金属すなわち半金属性原子を含む金属である。
本発明に用いられる加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物としては、例えば金属アルコキシド、金属ジケトネート、金属アルキルアセトアセテート、金属イソシアネート、反応性の金属ハロゲン化物が挙げられ、好ましくは金属種がケイ素、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムから選ばれるものであって、特に好ましくはケイ素である。
このような加水分解重縮合可能な反応性金属化合物は、中心金属をM、その原子数をq、加水分解されない置換基をA、その置換基数をp、加水分解可能な置換基をB、その置換基数をrとすると、理想的には下記の式(III)のように反応が完結し、金属酸化物が得られる。
式(III) Apqr → Apqr/2
反応性金属化合物の重縮合物の含有量は、金属酸化物の含有量として求めることが出来る。即ち、この金属酸化物の含有量は、フィルム材料を燃焼させた後、灰中の金属酸化物の含有量として求めることができる。この際灰中に金属酸化物以外の成分(例えばリン等)が含まれている場合は公知の方法で灰中の金属酸化物量を測定することができる。
本発明に係るフィルム中の重縮合物の平均粒子径の測定は透過型電子顕微鏡観察、X線小角散乱測定により得ることができる。好ましいのはX線小角散乱測定により求める方法である。X線小角散乱法の詳細については例えばX線回折ハンドブック第3版(理学電機株式会社2000年発行)を参照することができる。よく知られているように試料中に電子密度の異なる領域が存在すると入射X線方向に散漫な散乱が観測される。この散乱は散乱角0〜5°程度の範囲に観測されるため、これらの散乱は小角散乱と呼ばれる。この散乱曲線に対し、GuinierプロットあるいはFankuchen法を用いて重縮合物の平均粒子径を測定する。
本発明における位相差フィルム中の重縮合物の好ましい平均粒子径は1〜200nmである。より好ましくは1〜100nmさらに好ましくは1〜50nmで、1〜20nmが最も好ましい。本発明の重縮合物は従来の金属酸化物微粒子をセルロースエステル溶液中に分散して添加する方法に比べて凝集体を形成しにくく、小粒径の状態を安定に得られる点で優れている。
加水分解重縮合可能な反応性金属化合物としては、式(III)の化合物のp=0であるような、全てが加水分解可能な置換基で置換されていることが好ましいが、基材フィルムの透湿度を低減する観点から、加水分解されない置換基によって該金属1原子当たり1つまたは2つ、あるいは3つ置換されている化合物が含まれていても良い。このような加水分解されない置換基を有する金属化合物の添加量としては、添加される金属化合物の50モル%以下が好ましい。また、上記添加量の範囲で2種以上の異なる種類の金属アルコキシドを併用しても良い。
このような加水分解されない置換基としては、置換または無置換のアルキル基、または置換または無置換のアリール基が好ましく該アルキル基またはアリール基の置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)、複素環基(たとえばフラン、チオフェン、ピリジン等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基等)、アシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アルキルチオ基、グリシジル基、ビニル基、フッ素原子含有アルキル基またはフッ素原子含有アリール基等が挙げられる。
本発明に用いられる重縮合が可能な反応性金属化合物としては、ケイ素化合物として、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラクロロシラン、テトライソシアナートシラン等が挙げられる。
また加水分解されない置換基を有するケイ素化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロジエチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、アセトキシトリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、メチルトリイソシアナートシラン、フェニルトリイソシアナートシラン、ビニルトリイソシアナートシラン、等が挙げられる。
また、これらの化合物が部分的に縮合した、多摩化学製シリケート40、シリケート45、シリケート48、Mシリケート51のような、数量体のケイ素化合物でもよい。
またチタン化合物としては、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタン−n−ブトキシド、テトラクロロチタン、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
またジルコニウム化合物としては、ジルコニウム−n−プロポキシド、ジルコニウム−n−ブトキシド、ジルコニウムトリ−n−ブトキシドアセチルアセトネート、ジルコニウムジ−n−ブトキシドビスアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、等が挙げられる。
またアルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−s−ブトキシド、アルミニウム−ジ−s−ブトキシドエチルアセチルアセトナート、アルミニウム−t−ブトキシド、アルマトラン、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセチルアセトナート等が挙げられる。
またその他の金属からなる化合物としては、例えば、バリウムイソプロポキシド、カルシウムエトキシド、銅エトキシド、マグネシウムエトキシド、マンガンメトキシド、ストロンチウムイソプロポキシド、錫エトキシド、亜鉛メトキシエトキシド、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、ビスマスt−ペントキシド、クロムイソプロポキシド、エルビウムメトキシエトキシド、ガリウムエトキシド、インジウムメトキシエトキシド、鉄エトキシド、ランタンイソプロポキシド、ネオジウムメトキシエトキシド、プラセオジムメトキシエトキシド、サマリウムイソプロポキシド、バナジウムトリイソブトキシドオキシド、イットリウムイソプロポキシド、テトラメトキシゲルマン、テトラエトキシゲルマン、テトライソプロポキシゲルマン、テトラ−n−ブトキシゲルマン、セリウム−t−ブトキシド、ハフニウムエトキシド、ハフニウム−n−ブトキシド、テルルエトキシド、モリブデンエトキシド、ニオブエトキシド、ニオブ−n−ブトキシド、タンタルメトキシド、タンタルエトキシド、タンタル−n−ブトキシド、タングステン(V)エトキシド、タングステン(VI)エトキシド、タングステン(VI)フェノキシド等が挙げられる。
また、本発明に用いられる重縮合が可能な反応性金属化合物としては、分子種内に2つの金属原子を持つダブル金属アルコキシドと呼ばれる化合物でも良い。このようなダブル金属アルコキシドとしては、例えば、ゲレスト社製のアルミニウム銅アルコキシド、アルミニウムチタンアルコキシド、アルミニウムイットリウムアルコキシド、アルミニウムジルコニウムアルコキシド、バリウムチタンアルコキシド、バリウムイットリウムアルコキシド、バリウムジルコニウムアルコキシド、インジウム錫アルコキシド、リチウムニッケルアルコキシド、リチウムニオブアルコキシド、リチウムタンタルアルコキシド、マグネシウムアルミニウムアルコキシド、マグネシウムチタンアルコキシド、マグネシウムジルコニウムアルコキシド、ストロンチウムチタンアルコキシド、ストロンチウムジルコニウムアルコキシド等が挙げられるが、少なくとも、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウムのいずれかの金属が含まれているものが好ましい。
〈加水分解触媒〉
本発明の位相差フィルムにおいて、無機化合物である加水分解重縮合可能な反応性金属化合物は、必要に応じて水と触媒を加えて加水分解を起こさせて縮合反応を促進してよい。
しかしフィルムのヘイズ、平面性、製膜速度、溶剤リサイクルなどの生産性の観点から、水分はドープ中に0.01%以上2.0%以下の範囲内とすることが好ましい。また、疎水的な加水分解重縮合可能な反応性金属化合物に水を添加する場合には、加水分解重縮合可能な反応性金属化合物と水が混和しやすいように、メタノール、エタノール、アセトニトリルのような親水性の有機溶媒も添加されていることが好ましい。また、セルロース誘導体とドープに加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を混合する際に、ドープからセルロース誘導体が析出しないよう、該セルロース誘導体の良溶媒も添加されていることが好ましい。
反応性金属化合物の加水分解を促進させる触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、トリフロロ酢酸、レブリン酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸等が用いられる。酸を添加しゾル・ゲル反応が進行した後に塩基を加え中和しても良い。塩基を加え中和する場合、乾燥工程前でのアルカリ金属の含有量が5000ppm未満である事が好ましい(ここでアルカリ金属とは、イオン状態のものを含む)。又、ルイス酸、例えばゲルマニウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、錫などの金属の酢酸塩、その他の有機酸塩、ハロゲン化物、燐酸塩などを併用してもよい。
また触媒として、このような酸類の代りに、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなど、DBU(ジアザビシクロウンデセン−1)、DBN(ジアザビシクロノネン)などのビシクロ環系アミン、アンモニア、ホスフィン、アルカリ金属アルコキシド、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム等の塩基を用いることができる。
このような、酸またはアルカリ触媒の添加量としては特に制限はされないが、重縮合可能な反応性金属化合物の量に対して1.0〜20%が好ましい。また、酸及び塩基の処理を複数回行っても良い。必要な加水分解を行った後、触媒を中和してもよいし揮発性の触媒は減圧で除去してもよいし、分液水洗等により除去しても良い。これらは重縮合させた後、乾燥させることなく溶液状態でドープに添加することが好ましい。
尚、金属化合物の加水分解重縮合は、流延前の溶液状態で反応を完結させても良いし、フィルム状に流延してから反応を完結させても良いが流延前に反応を完結させるのが良い。加水分解重縮合の反応状態はNMRにて確認することができる。反応性金属化合物としてシリコンアルコキシドを用いる場合は、シリコンアルコキシドあるいはオルガノアルコキシシランを加水分解すると、OR基がOHに置換し、さらに他のSi−OHあるいはSi−ORと縮合する反応が起こるが、29−Si−NMRスペクトルには、それぞれに対応するピークが現れる。具体的には、シリコンアルコキシド(Si(OR)4)は4つのOR基を持つが、これらがOHと置換しても一つも縮合していない場合はQ0と呼ばれるピークが現れる。四つの内一つが縮合した時にはQ1、二つが縮合した時にはQ2のピークが現れる。
図1にSi(OC254(テトラエトキシシラン:TEOS)および、加水分解後の29−Si−NMRスペクトルを示す。縦軸はシグナルの相対速度を、横軸は周波数を表している。周波数の間隔は用いた磁場の強さによって変わるので、試料と基準のTMSとの共鳴周波数の差を装置発信器の周波数に対するppmで示した値を横軸の単位として用いるのが一般的であり、この図もそれに準じている。Si(OC254のSiによるピークQ0が見られるのに対し、加水分解後はピークQ0が消失し、Q1、Q2に帰属される様々なピークが現れた。これにより反応状態の確認を行うことが好ましい。
〈溶媒〉
本発明のセルロース誘導体および加水分解重縮合可能な反応性金属化合物は溶媒に溶解させてドープを形成し、これを基材上に流延しフィルムを形成させる。この際に押し出しあるいは流延後に溶媒を蒸発させる必要性があるため、揮発性の溶媒を用いることが好ましい。更に、反応性金属化合物や触媒等と反応せず、かつ流延用基材を溶解しないものである。又、2種以上の溶媒を混合して用いても良い。また、セルロースエステルと加水分解重縮合可能な反応性金属化合物を各々別の溶媒に溶解し後に混合しても良い。
ここで、上記セルロース誘導体に対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒または主たる(有機)溶媒という。
良溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ぎ酸メチル、ぎ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン、アセト酢酸メチルなどが挙げられるが、1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチルおよび塩化メチレンが好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらは、ドープを金属支持体に流延した後、溶媒が蒸発し始めてアルコールの比率が多くなることでウェブ(支持体上にセルロース誘導体のドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)をゲル化させ、ウェブを丈夫にし金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロース誘導体の溶解を促進したりする役割もあり、反応性金属化合物のゲル化、析出、粘度上昇を抑える役割もある。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルを挙げることが出来る。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は、単独ではセルロース誘導体に対して溶解性を有しておらず、貧溶媒という。
このような条件を満たし好ましい高分子化合物であるセルロース誘導体を高濃度に溶解する溶剤として最も好ましい溶剤は塩化メチレン:エチルアルコールの比が95:5〜80:20の混合溶剤である。あるいは、酢酸メチル:エチルアルコール60:40〜95:5の混合溶媒も好ましく用いられる。
〈添加剤〉
本発明における位相差フィルムには、フィルムに加工性・柔軟性・防湿性を付与する可塑剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、フィルムのリターデーションを調整するリターデーション調整剤等を含有させても良い。
〈可塑剤〉
用いられる可塑剤しては特に限定はないが、フィルムにヘイズを発生させたりフィルムからブリードアウト或いは揮発しないように、セルロース誘導体や加水分解重縮合が可能な反応性金属化合物の重縮合物と水素結合などによって相互作用可能である官能基を有していることが好ましい。
このような官能基としては、水酸基、エーテル基、カルボニル基、エステル基、カルボン酸残基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルホン酸残基、ホスホニル基、ホスホン酸残基等が挙げられるが、好ましくはカルボニル基、エステル基、ホスホニル基である。
このような可塑剤の例として、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることが出来るが、特に好ましくは多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤である。
多価アルコールエステルは2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
一般式(1) R1−(OH)n
(ただし、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数を表す)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものをあげることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロース誘導体との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロース誘導体との相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を示す。
Figure 2005234285
Figure 2005234285
Figure 2005234285
Figure 2005234285
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するグリコレート系可塑剤を好ましく用いることができる。好ましいグリコレート系可塑剤としては、例えばブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等を用いることができる。
これらの可塑剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。可塑剤の使用量は、セルロース誘導体に対して1質量%未満ではフィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため好ましくなく、20質量%を越えるとフィルムから可塑剤がブリードアウトし、フィルムの物性が劣化するため、1〜20質量%が好ましい。6〜16質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。
〈紫外線吸収剤〉
紫外線吸収機能は、液晶の劣化防止の観点から、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムなどの各種光学フィルムに付与されていることが好ましい。このような紫外線吸収機能は、紫外線を吸収する材料をセルロース誘導体中に含ませても良く、セルロース誘導体からなるフィルム上に紫外線吸収機能のある層を設けてもよい。
このような紫外線吸収機能のある紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばトリアジン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。又、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
本発明に有用な紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチル−フェノール<<チヌビン(TINUVIN)171>>、2−オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物<<チヌビン(TINUVIN)109>>、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール<<チヌビン234>>、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール<<チヌビン326>>等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。また、上記のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン326等チヌビンは何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品で、好ましく使用出来る。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
また、本発明の位相差フィルムに用いることのできる紫外線吸収剤は、各種塗布層の塗布性にも優れる為、特開2000−187825に記載されている分配係数が9.2以上の紫外線吸収剤を含むことが好ましく、特に分配係数が10.1以上の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。
また、特開平6−148430号及び特開2002−47357号記載の高分子紫外線吸収剤(または紫外線吸収性ポリマー)を好ましく用いることができる。特開平6−148430号の一般式(1)、あるいは一般式(2)、あるいは特開2002−47357号の一般式(3)(6)(7)記載の高分子紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
また、本発明の位相差フィルムの紫外線吸収剤として、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を好ましく用いることが出来る。該化合物はリターデーション調整剤としても用いることが出来る。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で0.1〜5.0%が好ましく、0.5〜1.5%が更に好ましい。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置などがおかれた場合には、位相差フィルムの劣化が起こる場合がある。酸化防止剤は、例えば、位相差フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により位相差フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記位相差フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることが出来る。特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
〈マット剤〉
本発明におけるセルロース誘導体には、滑り性を付与するためにマット剤等の微粒子を添加することができる。微粒子としては、無機化合物の微粒子又は有機化合物の微粒子が挙げられる。
微粒子の添加量は、位相差フィルム1m2当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.5gがより好ましく、0.08〜0.3gが更に好ましい。これにより、位相差フィルム表面に0.1〜1μmの凸部が形成されることが好ましく、フィルムに滑り性が付与される。
位相差フィルム中に添加される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることが出来る。中でもケイ素を含むものが濁度が低くなり、また、フィルムのヘイズを小さく出来るので好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
二酸化珪素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどを挙げることが出来る。
二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させて得ることが出来る。
二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下、見掛比重が70g/L以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmであるのがより好ましく、5〜12nmであるのが更に好ましい。これらの微粒子はフィルム中で2次凝集体を形成してフィルム表面に凹凸を形成することによって滑り性を付与している。1次粒子の平均径が小さい方がヘイズが低く好ましい。見掛比重は90〜200g/L以上がより好ましく、さらに100〜200g/L以上がより好ましい。見掛比重が大きい程、高濃度の微粒子分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、大きな凝集物の発生が少なく好ましい。なお、本発明において、リットルをLで表すこととする。
好ましい二酸化珪素の微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものを挙げることが出来、アエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812を好ましく用いることが出来る。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、何れも使用することが出来る。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルTT600が本発明の位相差フィルムの濁度を低くし、且つ摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましい。
有機化合物の微粒子の例としては、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることが出来る。これらのうちシリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げることが出来る。
微粒子の1次平均粒子径の測定においては、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値をもって、1次平均粒子径とすることができる。
また、上記記載の見掛比重は、二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出することができる。
見掛比重(g/L)=二酸化珪素質量(g)/二酸化珪素の容積(L)
ここで添加される無機微粒子は、フィルム表面に滑り性を付与することができるが、本発明で用いられる反応性金属化合物の重縮合物の添加によって得られるリターデーションの変動抑制効果は得られない。又、多量の無機微粒子の添加は凝集物の増加や、ヘイズの著しい上昇を伴う点が異なる
〈製膜〉
以下、本発明に係わる位相差フィルムの好ましい製膜方法について、反応性金属化合物の重縮合物を含有するフィルムを例に説明する。
1)溶解工程
セルロース誘導体に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該セルロース誘導体、添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいはセルロース誘導体溶液に添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。
セルロース誘導体の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることが出来るが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のセルロース誘導体の濃度は10〜35質量%が好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
重縮合可能な反応性金属化合物は、前記セルロース誘導体のドープに添加する際に、セルロース誘導体が析出しないようにセルロース誘導体のドープの主溶剤によって10質量%〜50質量%に希釈されていることが好ましい。また同様の観点から、この主溶剤にセルロース誘導体が希薄に(10質量%以下)溶解されていても構わない。
また、重縮合可能な反応性金属化合物に触媒・水などを添加する際には、反応性金属化合物と混和しやすくなるように、メタノール、エタノール、メチルセロソルブのようなアルコール系の溶媒を、全溶媒量に対して50%以下の割合で添加しても良い。
また、可塑剤や紫外線吸収剤のような添加剤の全量または一部を、こちらのドープに添加しても良い。全ての材料が溶解後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
次に、前記のセルロース誘導体と重縮合可能な反応性金属化合物を含むドープの混合について解説する。
別々の釜にて調製された、セルロース誘導体のドープと、反応性金属化合物若しくはそれらの重縮合物を含むドープは、それぞれ濾過後に混合されることが好ましい。混合の順番には特に制限はないが、セルロース誘導体のドープをゆっくりと攪拌しながら、反応性金属化合物のドープを少量ずつ混合することが好ましい。2つのドープの混合終了後、再び濾材で濾過し脱泡して送液ポンプで次工程に送り、最終ドープとする。
2)流延工程
ドープを送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、何れも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
3)溶媒蒸発工程
ウェブを金属支持体上で加熱し、金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。裏面液体伝熱の場合は、ドープ使用有機溶媒の主溶媒または最も低い沸点を有する有機溶媒の沸点以下で加熱するのが好ましい。
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。なお、剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させ過ぎてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
ここで、製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離することで製膜速度を上げることが出来る)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。例えば、ドープ中にセルロース誘導体に対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来る。
金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により5〜150質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
また、該剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を10〜150質量%とすることが好ましく、更に10〜120質量%とすることが好ましい。
残留溶媒量は下記の式で表すことが出来る。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、Nは質量Mのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
5)乾燥及び延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置、及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて、ウェブを乾燥する。
本発明においては、クリップ間の幅手方向に対して1.0〜2.0倍延伸する方法として、テンター装置を用いて延伸することが好ましい。更に好ましくは縦及び横方向に2軸延伸されたものである。2軸延伸の際に縦方向に0.8〜1.0倍に緩和させて所望のリターデーション値を得ることも出来る。延伸倍率は目的の光学特性(Ro、Rt)に応じて設定される。又、本発明に係る位相差フィルムを製造する場合、長尺方向に一軸延伸することもできる。本発明の位相差フィルムは23℃55%RH下でRo20〜300nm、Rt40〜400nmであることが好ましい。延伸の際の温度は80〜180℃、好ましくは90〜160℃であり、延伸時の残留溶媒量は5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%である。
これにより、位相差フィルムとして、湿度が変動する条件下でもRo、Rtの変動の少ない耐久性に優れた位相差フィルムを提供することができることを見出した。
乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。全体を通して、通常乾燥温度は40〜250℃の範囲で行われる。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
フィルムの厚さは特に限定されないが、例えば、10μm〜1mm程度のもの等任意の厚さのフィルムを作製することができる。好ましくは乾燥、延伸等の処理が終わった後の膜厚で10〜500μmが好ましく、特に30〜120μmが好ましい。
〈光学異方性層〉
本発明に係る位相差フィルム上に光学異方性層を形成し、積層型の位相差フィルムとすることも好ましい。
支持体上に形成される光学異方性層としては、後述する液晶性化合物を塗布後、従来公知のラビング処理や光配向処理等の手段により液晶性化合物を配向させた後、次いで、該配向を固定化して作製された層であり、膜厚は、通常0.1μm〜10μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、0.2μm〜5μmの範囲である。
(液晶性化合物)
本発明に用いられる液晶性化合物について説明する。
本発明に用いられる液晶性化合物は、低分子液晶性化合物でもよいし、高分子液晶性化合物でもよい。光学的な特性としては、正の一軸性の棒状液晶性化合物、二軸性の液晶性化合物が好ましく用いられる。また、負の一軸性を示すものであってもよく、例えば代表的には、ディスコティック液晶性化合物や、コレステリック液晶性化合物を用いることもできる。二軸性の液晶化合物については、棒状の分子形態をとることができるが、ディスコティック液晶性化合物のようにやや広がりを持った円盤に近い形態のものもある。
負の一軸性を示す液晶性化合物とは、典型的にはディスコティック液晶性化合物が挙げられ、例えば、液晶の化学:季刊 化学総説No.22,1994、日本化学会編(学会出版センター),60〜72頁に記載されているような化合物であり、具体的には、前記総説の62頁に記載のような分子構造1〜46を有する液晶性化合物である。また、特許公報第2587398号明細書、同第2640083号明細書、同第2641086号明細書、同第2692033号明細書、同第2692035号明細書、同第2767382号明細書、同第2747789号明細書等に記載されているような液晶性化合物もディスコティック液晶性化合物として使用出来る。
正の一軸性を示す(単に、正の一軸性を有するともいう)棒状液晶性化合物や、棒状液晶性化合物に近い光学的な特性を示す二軸性を有する化合物は、棒状液晶性化合物として扱うことができる。ここで、正の一軸性を有する(光学的に一軸性である)とは、光学異方性を有する異方性素子における三軸方向の屈折率の値nx、ny、nzのうち2つのみが等しい値を示し、その2つの屈折率が残る1つの軸の屈折率よりも小さいことを示し、二軸性を有するとは、三軸方向の屈折率の値nx、ny、nzのいずれもが各々異なる値を示す場合を表す。
本発明に用いられる正の一軸性の棒状液晶性化合物については、さらに詳しくは、誘電率異方性が正のものでも負のものであっても良いが、シートの厚み方向における傾斜制御の容易性からは、正の誘電率異方性のものが好ましい。
棒状液晶性化合物の誘電率異方性(Δε)とは、分子の長軸が電解と平行に配向した状態の誘電率(ε//)と分子の短軸が電解と平行に配向した状態の誘電率(ε⊥)との値の差、Δε(=ε//−ε⊥≠0)で表される。誘電率異方性(Δε)は、液晶分子内を通過する光の屈折率の異方性に影響を与え、両者の関係は、Δε=(n//)2−(n⊥)2(ここで、n//は液晶分子の配向ベクトルの方向に偏っている光に対する屈折率、n⊥は配向ベクトルに垂直な方向に偏っている光に対する屈折率である)となる。
なお、このΔεおよびΔnの値は、通常のTN液晶セルなどを駆動させるために用いる液晶性化合物の場合は正の値である。
本発明に用いられる液晶性化合物の光学異方性(具体的には、屈折率の異方性)は、低分子液晶性化合物の場合には分子全体で規定され、高分子液晶性化合物の場合は、大別して、主鎖型液晶、側鎖型液晶があるが、いずれの場合においてもメソゲン基部分について低分子液晶性化合物に準じて規定される。
上記記載のメソゲン基(メソゲン単位)とは、液晶性化合物中において液晶性をもたせるために必須の部分を表し、通常メソゲン基(メソゲン単位)とは剛直な部分のコア、柔軟な部分のスペーサー、末端に位置する末端基からなるが、液晶性化合物に液晶相を発現させる構造であれば必ずしも上記の3つの部分を全て有している必要はない。
以下、正の一軸性棒状液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005234285
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また、例えば液晶の化学:季刊 化学総説No.22,1994、日本化学会編(学会出版センター),42、44頁に挙げられている化合物を用いることが出来る。また、上記記載の正の一軸性を示す棒状液晶性化合物は、通常の棒状ネマティック液晶などを好適に用いることが出来る。本発明に係る棒状の液晶性化合物としては、ネマティック液晶相を発現するものが好ましく用いられる。
二軸性の液晶性化合物の具体例としては、例えば、有機合成化学、第49巻;第5号(1991)の124頁〜143頁に記載の化合物、D.W.Bruceらの研究報告〔AN EU−SPONSORED’OXFORD WORKSHOP ON BIAXIAL NEMATICS’(St Benet’s Hall、University of Oxford 20−22 December、1996)、p157−293〕、S.CHANDRASEKHAR等の研究報告〔A Thermotropic Biaxial Nematic Liquid Crystal;Mol.Cryst.Liq.Cryst.,1988,Vol.165,pp.123−130〕、D.Demus,J.Goodby等著〔Handbook of Liquid Crystals Vol.2B:Low Molecular Weight Liquid Crystals II、pp933−943:WILEY−VCH社刊〕等に記載の化合物を用いることが出来る。
本発明に係る液晶性高分子については、特に制限はないが、正または負の固有複屈折値を有するものが好ましい。これらの詳細については、「LIQUID CRYSTALS,1989,Vol.5,NO.1,pp.159−170」に記載されている。
本発明に係る液晶性高分子は大きく分けると、前述の通りメソゲン基の組み込まれ型として、主鎖型、側鎖型がある。また、サーモトロピックとライオトロピックにも分類できる。
本発明に係る液晶性高分子としては、特に制限はないが、ネマティック液晶を形成することが好ましい。また、配向性の点で側鎖型が好ましく、配向固定の点でサーモトロピックが好ましい。側鎖型液晶性高分子で用いられる骨格は、ビニル型のポリマ、ポリシロキサン、ポリペプチド、ポリホスファゼン、ポリエチレンイミン、セルロース等が好ましい。
〈楕円偏光板及び液晶表示装置〉
本発明の位相差フィルムは、優れた視野角補償機能、視野角補償機能の湿度依存性を向上させることが出来たことにより、偏光板保護フィルムであると同時に液晶表示装置の視野角を拡大する光学補償フィルムとして安定した性能を維持して使用することが出来る。
本発明の楕円偏光板について説明する。
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することが出来る。例えば、本発明の位相差フィルムをアルカリ鹸化処理した後に、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ鹸化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理のことをいう。
本発明の偏光板に用いる偏光子としては、従来公知のものを用いることが出来る。例えば、ポリビニルアルコールの如き親水性ポリマーからなるフィルムを、ヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸したものや、塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理して配向させたものを用いる。こうして得られた偏光子を、セルロースエステルフィルムと貼合する。
このとき、セルロールエステルフィルムのうちの少なくとも一枚は、本発明の位相差フィルムが用いられる。もう一方の面には、別のセルロースエステルフィルムを用いることが出来る。もう一方の面にも本発明の位相差フィルム用に製造したセルロースエステルフィルムを用いてもよいし、市販のセルロースエステルフィルム(KC8UX2M、KC4UX2M、KC5UN、KC4UY、KC8UY(コニカミノルタオプト(株)製)を表面側のもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いることが出来る。
また、本発明に係る位相差フィルムと、主としてシクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート及びポリサルフォンから選択される樹脂を含む位相差フィルムとを組み合わせた位相差フィルムを用いることも好ましい。特に樹脂としてシクロオレフィンポリマーが好ましい。例えば、シクロオレフィンポリマーフィルムを本発明の位相差フィルム表面上に液晶セルに接する面側に貼合して用いたり、観察側、バックライト側の2枚の偏光板A、Bにより液晶セルを狭持する場合、偏光板Aの液晶セルに接する面に本発明に係る位相差フィルムを、偏光板Bの液晶セルに接する面に延伸されたシクロオレフィンポリマーフィルムである日本ゼオン(株)製ゼオノア、JSR(株)製アートン等を装着することが出来る。尚、上記配置は限定されるものではない。
表示装置の表面側に用いられる偏光板保護フィルムには防眩層あるいはクリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層を有することが好ましい。
上記のようにして得られる、本発明の偏光板を、液晶セルの両面に配置して貼合し、本発明の液晶表示装置を作製することが出来る。
また、偏光板の作製時には、本発明の位相差フィルムの面内遅相軸と偏光子の透過軸が平行或いは直交するように貼合することが好ましい。この場合、特に長尺フィルムを用いてロール トゥ ロールで貼合することが生産上好ましい。これによって、黒表示のときの光漏れが著しく改善され、15型以上、好ましくは19型以上の大画面の液晶表示装置であっても、画面周辺部での白抜けなどもなく、その効果が湿度変動が大きい環境下であっても、安定した視野角特性が長期間維持され、特にMVA(マルチドメインバーティカルアライメント)型液晶表示装置では顕著な効果が認められる。また、TN,VA,OCB,HAN等の各種駆動方式を採用した液晶表示装置の視野角特性を最適化することが出来る。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
最初にRo、Rtの測定方法を下記に示す。
アッベ屈折率計(4T)を用いてフィルム構成材料の平均屈折率を測定した。また、市販のマイクロメーターを用いてフィルムの厚さを測定した。
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が590nmにおいるフィルムのリターデーション測定を行った。上述の平均屈折率と膜厚を入力し、面内リターデーション(Ro)及び厚み方向のリターデーション(Rt)の値を得た。遅相軸の方向も同時に測定した。
《セルロースエステルフィルム101の作製》
用いるセルロースエステル、可塑剤、紫外線吸収剤、微粒子及び溶剤について表1に示す。
Figure 2005234285
Figure 2005234285
〈微粒子分散液〉
微粒子 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに表1で示したセルロースエステルBを添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、アトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステルB 4質量部
微粒子分散液 11質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。メチレンクロライドの一部(約40質量部)は予め分けておき、加水分解重縮合物溶液を添加する際に加水分解重縮合物溶液と混合して添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルBを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。更に、充分に攪拌しながら、加水分解重縮合物溶液と溶剤の混合液をゆっくりと添加した。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
主ドープ液100質量部と微粒子添加液2質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が110%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。剥離の際に張力をかけて縦(MD)延伸倍率が1.0倍となるように延伸し、次いで、テンターでウェブ両端部を把持し、延伸開始時の残留溶剤量20質量%、温度130℃にて幅手(TD)方向の延伸倍率が1.3倍となるように延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持し、幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅1.5m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚80μmのセルロースエステルフィルム101を作製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 52質量部
セルロースエステルB 100質量部
可塑剤(A) 9.5質量部
可塑剤(B) 2.2質量部
紫外線吸収剤(B) 1.3質量部
紫外線吸収剤(C) 0.6質量部
加水分解重縮合物溶液B 16質量部
〈加水分解重縮合物溶液A〉
下記の材料を室温で混合し、2時間攪拌して加水分解重縮合物溶液Aを調製した。
メチレンクロライド 10質量部
テトラメトキシシラン 10質量部
アルミニウム−ジs−ブトキシドエチルアセチルアセトナート 2質量部
〈加水分解重縮合物溶液B〉
下記の材料を室温で混合し、3時間攪拌して加水分解重縮合物溶液Bを調製した。
水 1質量部
エタノール 10質量部
テトラメトキシシラン 10質量部
酢酸 0.3質量部
〈加水分解重縮合物溶液C〉
下記の材料を70℃で混合し、1時間攪拌して加水分解重縮合物溶液Cを調製した。
エタノール 10質量部
テトラメトキシシラン 10質量部
水 3質量部
〈加水分解重縮合物溶液D〉
下記の材料を室温で混合し、2時間攪拌して加水分解重縮合物溶液Dを調製した。
メチレンクロライド 10質量部
テトラエトキシシラン 10質量部
アルミニウム−ジs−ブトキシドエチルアセチルアセトナート 2質量部
〈加水分解重縮合物溶液E〉
下記の材料を室温で混合し、3時間攪拌して加水分解重縮合物溶液Eを調製した。
水 1質量部
エタノール 10質量部
テトラメトキシシラン 10質量部
酢酸 0.3質量部
〈加水分解重縮合物溶液F〉
下記の材料を70℃で混合し、1時間攪拌して加水分解重縮合物溶液Fを調製した。
エタノール 10質量部
テトラエトキシシラン 10質量部
水 3質量部
〈加水分解重縮合物溶液G〉
下記の材料を室温で混合し、2時間攪拌して加水分解重縮合物溶液Gを調製した。
メチレンクロライド 10質量部
アルミニウム−ジs−ブトキシドエチルアセチルアセトナート 2質量部
《セルロースエステルフィルム102〜220の作製》
同様にして下記表記載のドープ組成、可塑剤組成、紫外線吸収剤組成、加水分解重縮合物溶液、溶媒組成、製造条件(延伸の場合、MD方向への延伸はロールに収束差を設けて延伸した。)に変更した以外は同様にしてセルロースエステルフィルム102〜120(実施例)、201〜220(比較例)を作製した。
Figure 2005234285
Figure 2005234285
得られたセルロースエステルフィルムについて下記の評価を行った。
《評価》
(湿度変化に対するリターデーション値変動)
作製したセルロースエステルフィルムのリターデーション値を各々求め、その値よりRt(a)変動を求めた。
Rt(a)変動は、Rt(b)は23℃、20%RHにて5時間調湿した後、同環境で測定したRt値を測定しこれをRt(b)とし、Rt(c)は同じフィルムを続けて23℃、80%RHにて5時間調湿した後、同環境で測定したRt値を求めこれをRt(c)とし、下記の式よりRt(a)を求めた。
Rt(a)=|Rt(b)−Rt(c)|
更に調湿後の試料を再度23℃55%RHの環境にて測定を行い、この変動が可逆変動であることを確認した。
(フィルム質量変化及びW値の測定)
上記リターデーション値測定の際に同一環境下でフィルムの質量測定を行った。各フィルムの含水量測定は、セルロースエステルフィルムを120℃で45分乾燥させた条件での質量を基準とし含水率を計算した。
更に得られた値を用い下記式よりW値を求めた。
式B W={(23℃、80%RH環境下のフィルム質量−23℃、20%RH環境下のフィルム質量)/120℃、dry条件下で45分処理したフィルム質量}×100/Rt(a)
(透湿度)
JIS Z0208に記載の方法に従い、各サンプルの透湿度を測定した。試験を行った温湿度条件は40℃、90%RHである。
以上の評価結果を下記表に示す。
Figure 2005234285
Figure 2005234285
本発明の位相差フィルムは、比較例に比べて明らかに湿度変動に対するリタデーション値の変化が少なく優れていることが分かった。更に、本発明の位相差フィルムはW値がすべて0.16%/nm以上であった。また、透湿度を測定したが、透湿度とリターデーション変動とは相関していないことも分かった。
実施例2
実施例1で作製したセルロースエステルフィルム102〜120(実施例)、201〜220(比較例)を用い、下記要領で偏光板及び液晶表示装置を作製した。
《偏光板の作製》
上記作製したセルロースエステルフィルムの原反試料を使って、下記に記載するアルカリケン化処理、偏光板の作製を行った。
〈アルカリケン化処理〉
ケン化工程 2M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
〈偏光子の作製〉
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍に搬送方向に延伸して偏光膜を作った。
上記偏光膜の両面に表6の構成で前記アルカリケン化処理した保護フィルムを完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として、偏光子の透過軸と各フィルムの面内遅相軸が図2〜12で示す向きになるように各々貼り合わせ、乾燥して偏光板P101〜P120、P1121及びP201〜P220、P2121を作製した。
Figure 2005234285
尚、次に挙げるセルロースエステルフィルムについては、予め下記の要領で光学異方性層を設け、これを偏光板保護フィルムとして使用した。
《光学異方性層》
(位相差フィルムR109、R209)
セルロースエステルフィルム109、209の上にゼラチン下引きを行い、アルキル変性ポリビニルアルコール垂直配向膜を塗設、乾燥し下記組成の塗布液を塗布後、熱処理してモノドメインの状態とし、紫外線硬化して109、209上にホメオトロピック配向状態を固定化した3.5μmの光学異方層を有する位相差フィルムR109、R209を作製した。
〈組成物〉
下記化合物1 98.5質量部
イルガキュアー369(チバスペショルティケミカルズ(株)製)
1.5質量部
MEK 900質量部
Figure 2005234285
次いで、このフィルムを鹸化処理し、完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を用いてセルロースエステルのケン化処理面と偏光膜とを、偏光子の透過軸とセルロースエステルフィルムの面内遅相軸が平行になるように貼合し偏光板を作製した。
(位相差フィルムR110、R210)
下記式で表されるポリアミック酸塩(PA1)の水溶液を、対応するポリアミック酸1g(カルボン酸量:2.71mg当量)を0.1Nトリエチレンアミン水溶液50mlに溶解して調製した。
Figure 2005234285
セルロースエステルフィルム110、210の上に上記で調製したポリアミック酸塩(PA1)の水溶液をバーコーターを用いて透明支持体の上に1μmの厚さに塗布した。
塗布層を、80℃の温風で10分間乾燥し、さらに120℃で30分間加熱した。その表面をラビング処理して、配向膜を形成した。
配向膜の上に、以下の組成の塗布液をバーコーターを用いて乾燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、室温で乾燥した。
下記のディスコティック液晶性化合物(1) 91質量部
アセチル化度2.0%、ブチリル化度52.0%、数平均分子量30000のセルロースアセテートブチレート(CAB−551−0.2、イーストマンケミカル社製)
0.25質量部
アセチル化度3.0%、ブチリル化度50.0%、数平均分子量40000のセルロースアセテートブチレート(CAB−531−1、イーストマンケミカル社製)
0.25質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製) 9質量部
光重合開始剤(イルガキュア907、チバスペショルティケミカルズ(株)製)
3質量部
増感剤(カヤキュア−DETX、日本化薬(株)製) 1質量部
メチルエチルケトン 120質量部
Figure 2005234285
塗布層を130℃で2分間加熱して、ディスコティック液晶性化合物を実質的に垂直に配向させた。その温度で、4秒間紫外線を照射し、ディスコティック液晶性化合物を重合させ、配向状態を固定した。このようにして、ディスコティック液晶性化合物が垂直に配向している光学的異方性層を形成し、位相差フィルムR110、R210を作製した。
(位相差フィルムR111、R112、R211、R212)
セルロースエステルフイルム111、112、211、212を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースエステルフイルムの表面をケン化した。
ケン化処理したセルロースエステルフイルムの一方の面に、下記の組成の塗布液を#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥し配向膜を形成た。次に、セルロースアセテートフイルムの延伸方向(面内遅相軸とほぼ一致)と45°の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
アルキル変性変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
配向膜上に、前記ディスコティック液晶性化合物(1)41.01質量部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.90質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)1.35質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45質量部を、102質量部のメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック液晶性分子を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射しディスコティック液晶性分子を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成し、位相差フィルムR111、R112、R211、R212を作製した。
(位相差フィルムR113、R114、R213、R214)
セルロースエステルフィルム113、114、213、214の両面に、厚さ0.1μmのゼラチン下塗り層を設けた。下塗り層の上に、変性ポリビニルアルコールを塗布し、80℃の温風で乾燥した後、ラビング処理を行い配向膜を形成した。配向膜のラビング方向は、セルロースエステルフィルムの流延方向と平行であった。
前記ディスコティック液晶性化合物(1)1.8g、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)0.2g、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.04g、光重合開始剤(イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)0.06gおよび光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02gを、3.43gのメチルエチルケトンに溶解して、塗布液を調製した。第1配向膜の上に、塗布液を#4のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて固定した状態で、120℃の恒温槽中で3分間加熱し、ディスコティック液晶性分子を配向させた。120℃の温度を維持しながら、120W/cmの高圧水銀灯用いて、1分間紫外線を照射し、ディスコティック液晶性分子のビニル基を重合させ、配向状態を固定した。その後、室温まで冷却し位相差フィルムR113、R114、R213、R214を作製した。
(位相差フィルムR115、R215)
セルロースエステルフィルム115、215の片面にラビング配向膜を形成し、その上にコレステリック液晶(大日本インキ社製、CB−15)を塗布し乾燥させ位相差フィルムR115、R215を得た。
(位相差フィルムR116、R216)
セルロースエステルフィルム116、216の片面にゼラチン下塗り層を、反対側の面にジアセチルセルロース層を設けた。ゼラチン下塗り層の上に、アルキル変性ポリビニルアルコール(MP−203、クラレ(株)製)の2質量%水/メタノール溶液を#12バーで塗布し、120℃で2分間乾燥して、配向膜を形成した。ロール状透明支持体の長手方向に沿って、ラビング処理を実施した。配向膜の上に、下記の光学的二軸性液晶性分子の10質量%メチルエチルケトン溶液を#3バーで塗布し、135℃で5分間加熱して液晶性分子を配向させ、光学異方性層を形成した。これを急冷して、位相差フィルムR116、R216を作製した。
Figure 2005234285
二軸性液晶の『二軸性』の確認は、例えばKOBRA21ADHなどの複屈折計による測定、あるいはエリプソメーターによる測定で、光学異方層の面内進相軸を回転軸としてフィルムの位相差を測定することによって確認出来る。ガラス上に同じ配向膜を作製し同じ方法で膜を作って、エリプソメーターにて測定したところ光学的に2軸性の光学異方層であることが確認できた。
(位相差フィルムR117、R217)
セルロースエステルフィルム117、217の表面に配向膜を形成し、次いで完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として下記により製造されたシクロオレフィンポリマーフィルムAを貼合し、位相差フィルムR117、R217を作製した。
〈シクロオレフィンポリマーフィルムの製造〉
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン1.2部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記)20部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)140部、及び8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン(以下、MTDと略記)40部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン270部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/MTD開環重合体水素化ポリマーを20%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、軟質重合体(クラレ社製;セプトン2002)、及び酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液にそれぞれ添加して溶解させた(いずれも重合体100部あたり0.1部)。次いで、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて除去し、水素化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化して回収した。重合体中の各ノルボルネン系モノマーの共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/MTD=10/70/20でほぼ仕込組成に等しかった。この開環重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は31,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、水素添加率は99.9%、Tgは134℃であった。
得られた開環重合体水素添加物のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した。次いで、前記ペレットを、リップ幅1400mmのコートハンガータイプのTダイを有する短軸押出機(三菱重工業株式会社製:スクリュー径90mm、Tダイリップ部材質は炭化タングステン、溶融樹脂との剥離強度44N)を用いて溶融押出成形して厚み80μmのシクロオレフィンポリマーフィルムを製造した。このフィルムのRoは45nm、Rtは90nmでった。押出成形は、クラス10,000以下のクリーンルーム内で、溶融樹脂温度240℃、Tダイ温度240℃の成形条件にて行った。得られたフィルムを乾燥工程途中にて、MD方向、TD方向に2軸延伸してシクロオレフィンポリマーフィルムAを得た。
(位相差フィルムR118、R218)
ステンレス基板上に上記セルロースエステルフィルム109、209で作製した配向膜を塗設し、同様の化合物を塗布、(乾燥)熱処理しモノドメインの光学異方層(1μm)を作り、それをセルロースエステルフィルム118、218に粘着層を用い転写した。更に上記シクロオレフィンポリマーフィルムをMD方向にのみ延伸しシクロオレフィンポリマーフィルムB(Roは200nm、Rtは100nm)を作製し、セルロースエステルフィルム118、218に完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として貼合して、位相差フィルムR118、R218を作製した。
《液晶表示装置》
得られた偏光板P101〜P120、P1121及びP201〜P220、P2121について下記表7の液晶パネルとの組み合わせで、該液晶パネルに予め貼合されていた偏光板を剥がし、液晶セルの両面に図で示した配置構成となるように偏光板の透過軸が、予め貼合されていた偏光板の透過軸と同じ方向になるよう粘着剤を介して偏光板を貼合して、液晶表示装置A〜U(実施例)、a〜u(比較例)を作製した。
尚、液晶表示装置の構成は下記図で示した通りである。
図2:液晶表示装置A、C、D、G、H、S、a、c、d、g、h、s
図3:液晶表示装置B、E、F、b、e、f
図4:液晶表示装置I、i
図5:液晶表示装置J、j
図6:液晶表示装置K、L、k、l
図7:液晶表示装置M、N、m、n
図8:液晶表示装置O、o
図9:液晶表示装置P、p
図10:液晶表示装置Q、q
図11:液晶表示装置R、r
図12:液晶表示装置T、U、t、u
得られた液晶表示装置について以下の条件下で視野角変動を評価した。
〈視野角劣化〉
23℃55%RHの環境でELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて液晶表示装置の視野角測定を行った。続いて23℃20%RH、さらに23℃80%RHの環境下で、作製した液晶表示装置(市販のパネル+自作楕円偏光板)の視野角を測定し下記基準にて評価した。最後に23℃55%RHの環境でもう一度視野角測定を行い、前記測定の際の変化が可逆変動であることを確認した。尚、これらの測定は、液晶表示装置を当該環境に5時間置いてから測定を行った。
○: 視野角変動がない
×: 視野角変動が認められる
××:視野角変動が非常に大きい
以上の評価結果を下表に示す。
Figure 2005234285
本発明の液晶表示装置は湿度が変動する条件下でも視野角変動がなく、極めて安定した表示性能を示すことが明らかである。
シリカアルコキシドの加水分解前後の29−Si−NMRスペクトルである。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。 液晶表示装置の構成を示す概略図である。

Claims (10)

  1. セルロース誘導体を含み下記式(1)で表される厚み方向のリターデーション値Rtが23℃、55%RH下で40〜400nmの範囲である位相差フィルムにおいて、下記式Aで表される23℃、20〜80%RH環境下の可逆的な厚み方向のリターデーション値Rt(a)変動が12nm以下であることを特徴とする位相差フィルム。
    式(1) Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
    〔式中、nxは、フィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyは、nxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率、dは、フィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。〕
    式A Rt(a)=|Rt(b)−Rt(c)|
    〔式中、Rt(b)は23℃、20%RHにて5時間調湿した後、同環境で測定したRt値、Rt(c)は同じフィルムを続けて23℃、80%RHにて5時間調湿した後、同環境で測定したRt値を表す。〕
  2. 下記式Bで求められるWが0.16%/nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
    式B W={(23℃、80%RH環境下のフィルム質量−23℃、20%RH環境下のフィルム質量)/120℃、dry条件下で45分処理したフィルム質量}×100/Rt(a)
  3. 下記式(2)で表される面内方向のリターデーション値Roが23℃、55%RH下で20〜300nmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の位相差フィルム。
    式(2) Ro=(nx−ny)×d
    〔式中、nxは、フィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyは、nxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、dは、フィルムの厚み(nm)を各々表す。〕
  4. 未置換の水酸基がグルコース単位1モル当たり0.05〜1.0モル有するセルロース誘導体を有し水素結合性物質を0.1〜20質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  5. 前記水素結合性物質が反応性金属化合物の重縮合物であることを特徴とする請求項4に記載の位相差フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム上に、更に光学異方性層を設けたことを特徴とする位相差フィルム。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルムと、主としてシクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート及びポリサルフォンから選択される樹脂を含む位相差フィルムとを組み合わせた位相差フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする偏光板保護フィルム。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする楕円偏光板。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする表示装置。
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