JP2005233960A - マイクロプローブ並びにその製造装置及び方法 - Google Patents

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直人 角田
Naoki Okuyama
直樹 奥山
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まゆ 渡邊
Yukio Yamada
幸生 山田
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Abstract

【課題】
表面に有用な保護層をもったマイクロプローブを実現する。
【解決手段】
プローブ芯材の表面に、炭化水素ガスをソースガスとして用いた高周波プラズマ化学気相析出法によって水素含有アモルファス状炭素(DLC)膜層を形成することにより、電気絶縁性、かつ高硬度性をもった均一な厚さの保護膜層を形成してなるマイクロプローブを実現できる。
【選択図】 図2

Description

本発明はマイクロプローブ並びにその製造装置及び方法に関し、特に先端径が微小で、テーパ部が比較的長い針形状の棒又は管のマイクロプローブに適用して好適なものである。
従来、この種のマイクロプローブとして、先端の内径が7.5〔nm〕の先細りのガラス管でなるマイクロピペットの周囲に、アルミニウム又は金でなる付着層を蒸着により付着させたものが提案されている(特許文献1参照)。
また、マイクロ熱電対の構成として、先端の外径が数〔nm〕のマイクロピペットであって、円錐状の金属コア上に引張加工によって非導電性材料層を形成し、その上に半導体又は金属層を成膜することにより熱電対を構成したものが提案されている(特許文献2参照)。
特表平9−502018号公報 特表平11−505016号公報
バイオテクノロジ分野や、MEMS(Microelectromechanical Systems) 分野のようなマイクロ・ナノ領域を対象とする分野では、先細り形状で、かつ微小な先端径をもつ針形状の棒又は管のマイクロプローブは有用な操作ツールとなっている。
ところが、その用途として、電子放出や電位測定などの計測用電極として使用する場合、マイクロプローブを構成する導電性材料の表面を電気絶縁することが必要となることが多く、しかも計測用のみならず、例えば単一の細胞を吸着したり、細胞に注入剤を注入したり、生体組織に刺入したりするといった処理操作をするために用いられる場合には、高硬度の膜層を形成したものが望まれる。
また、生体への用途として、生体表面や微小生体の処理操作をしたり、生体組織に比較的長い時間の間刺入するような場合には、マイクロプローブの先端部の材料として、生体適合性を有するものが望まれる場合がある。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、先端径が小さくかつ先端のテーパ部が比較的長い針形状であっても、電気絶縁性が優れかつ高硬度の膜層を有するマイクロプローブを提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、先端にテーパ部1Bを有しかつ針形状のガラス材2上に第1の金属膜層3を形成してなる第1のプローブ芯材16の表面に、炭化水素ガスをソースガスSGとして用いた高周波プラズマ化学気相析出法によって水素含有アモルファス状炭素(DLC)膜層4を形成する。
本発明によれば、プローブ芯材の表面に、炭化水素ガスをソースガスとして用いた高周波プラズマ化学気相析出法によって水素含有アモルファス状炭素(DLC)膜層を形成することにより、電気絶縁性、かつ高硬度性をもった均一な厚さの保護膜層を形成してなるマイクロプローブを実現できる。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)マイクロプローブの構造
図1(A)において、1は全体として針形状を有するマイクロプローブを示し、外形が1〔mm〕の本体部1Aの先端に比較的長いテーパを有する先端部1Bを有し、本体部1Aの後端から先端部1Bの先端までの長さL1が50〔mm〕に選定されている。
マイクロプローブ1は中空の管状ガラス材でなるマイクロピペット2の表面に、導電性金属材料でなる金属膜層3が例えばスパッタリングによって50〔nm〕程度の厚さで堆積されている。
この金属膜層3の表面には、絶縁性を有する水素含有アモルファス状炭素である、DLC(Diamond-Like Carbon)をコーティング材料として、高周波プラズマ化学気相析出法(高周波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition))を用いて100〔nm〕程度の厚さで堆積してなるDLC膜層4が形成され、これが電気絶縁性を呈する保護膜層として機能するようになされている。
先端部1Bは、図1(B)に示すように、先端外径L2が1〔μm〕程度に選定され、マイクロピペット2の中空部への開口2Aと連通するように、金属膜層3及びDLC膜層4に開口3A及び4Aが形成されている。
かくしてマイクロプローブ1は、ガラス材でなるマイクロピペット2の中空部を利用して、例えば微小外径の端面に微細物体である細胞(10〔μm〕程度の大きさをもつ)を吸着保持して移動操作をしたり、細胞電位の測定操作をしたり、細胞に注入剤を注入する注入操作をしたりするために用いられる。
このような操作をする際に、DLC膜層4が優れた電気絶縁性を有すると共に、高硬度性や生体に対する生体適合性を有することにより、細胞のような微小生体に対する計測や、移動や、注入などの処理操作を安全かつ確実に行い得る。
(2)DLC膜層形成装置
図1のマイクロプローブ1において、絶縁膜層であるDLC膜層4は図2に示すDLC膜層形成装置11によって成膜コーティングされる。
DLC膜層形成装置11は、真空ポンプ12によって、上板部13Aの中心部からソースガスSGを導入・排気する円形形状の真空チャンバ13を有し、真空チャンバ13の底板部13B上の中心部に円盤状の電極設置盤14が配設されている。
電極設置板14は絶縁材料でなるテフロンにより構成され、その中心位置に上下方向に厚みを貫通するようにカソードロッド取付孔14Aが穿設され、図3に示すように、このカソードロッド取付孔14A内にカソードロッド15が嵌め込まれている。
カソードロッド15の上端には、取付孔15Aが穿設され、この取付孔15Aに成膜対象であるプローブ芯材16が差込み保持されている。
プローブ芯材16は、図4に示すように、マイクロプローブ1(図1(A))のうち、マイクロピペット2の表面に金属膜層3を形成した構成(DLC膜層4を形成する直前の構成)を有し、これによりプローブ芯材16がカソードロッド15の取付孔15Aに差し込まれたとき、プローブ芯材16は、カソードロッド15と電気的に一体に接続された状態において、カソードロッド15の先端からその中心線上を上方に延長することにより真空チャンバ13の中心位置に垂直方向に立設される。
この実施の形態の場合、カソードロッド15の先端部は電極設置盤14の上面から上方に突出し、当該突出端部にテフロンチューブでなる円環状の補助絶縁部材17が嵌め込まれている。
プローブ芯材16の周囲には、当該プローブ芯材16と同心的に円筒状のアノード電極18が、その上端が丁度プローブ芯材16の上端と一致するように、電極設置盤14上に配設位置決めされている。
アノード電極18は、ステンレス製の導電性線材を縦横1〔mm〕間隔で網目状に編んだ構成を有し、これにより図5に示すようにプローブ芯材16の上下方向の各部分が水平方向にアノード電極18とほぼ同じ間隔を保って対向すると共に、真空チャンバ13内にソースガスSGが導入されたとき、当該導入されたソースガスSGが円筒状のアノード電極18に邪魔されることなく網目を通って内部に入ったり出たりすることができるように構成されている。
かくして、アノード電極18と同心位置に立設されているプローブ芯材16の周囲に、実用上十分に均一な濃度のソースガスSGを保持できるような構成が得られる。
アノード電極18は、アース線19(図2)によって、接地に接続された真空チャンバ13に電気的に接続される。
これに対して、一端にプローブ芯材16が接続されたカソードロッド15の他端は、真空チャンバ13から外部に導出されて直流阻止用コンデンサ20を介して高周波プラズマ電源回路21に接続される。
高周波プラズマ電源回路21は一端を接地された高周波電源回路22を有し、この高周波電源回路22から、パーソナルコンピュータ構成の電圧出力制御回路23の制御出力S2によって電圧レベルとその発生時間が制御されたMHzオーダの高周波出力S1を発生して、マッチング回路24を介して高周波プラズマ電源回路21の成膜駆動出力S3として送出し、これを直流阻止用コンデンサ20を介してカソードロッド15に供給する。
かくしてプローブ芯材16及びアノード電極18間に発生されるプラズマの状態は、
制御出力S2によって制御され、これにより、プローブ芯材16上に適正なDCL膜層4(図1(A))を成膜できるように構成されている。
この実施の形態の場合、ソースガスSGとして炭化水素であるメタンCH4 が用いられ、当該ソースガスSGは、ソースガスタンク25から流速調整装置26を通じて真空チャンバ13に10〔sccm〕で導入され、真空チャンバ13内の圧力が25〔Pa〕に設定される。
(3)成膜制御動作
以上の構成において、電圧出力制御回路23は制御出力S2によって高周波出力S1を制御することにより、カソード電極を構成するプローブ芯材16とアノード電極18との間に、図6に示す電極間成膜電圧VCを発生させる。
電極間成膜電圧VCは、成膜周期T0ごとに、プローブ芯材16及びアノード電極18間にプラズマを順次発生、保持、消失させることにより、繰り返し成膜処理をするように電圧レベルを可変する。
電圧出力制御回路23は、成膜周期T0の開始時点t1において、高周波出力S1の電圧を短い時間の間パルス波形状に立ち上げることにより、電極間成膜電圧VCとして放電開始電圧V1(−400〔V〕前後の値に選定されている)を与え、これにより図7に示すように、プローブ芯材16とアノード電極18との間にプラズマ空間27を発生させる。
このプラズマ動作状態においては、ソースガスSGとして真空チャンバ13に導入された中性原子は、アノード電極18の網目や上部開口を通ってアノード電極18内に入り、プラズマ空間27内において放電による絶縁破壊を受けてイオン及び電子に電離し、この結果プラズマ空間27においてイオン化された気体分子と電子と励起原子とが混在した状態になる。
この結果カソード電極を形成しているプローブ芯材16の金属膜層6上に励起原子が沈着することによりDLC膜層4が形成される。
このとき形成されるDLC膜層4は、図8に示すように、3本の足によって互いに結合している炭素原子の一部に水素原子が結合したアモルファス構造(炭素原子が4本の足によって互いに結合しているダイヤモンド結晶構造SPと、炭素原子が3本の足によって互いに結合しているグラファイト結晶構造SPとの中間的構造をもつ)の水素含有アモルファス状炭素、すなわちDLCの組成をもつ。
この放電開始電圧V1レベルのパルス電圧波形に続いて、電圧出力制御回路23は、電極間成膜電圧VCの電圧レベルを一旦プラズマ保持電圧V2(−20〔V〕に選定されている)に低下させて、プラズマ保持時間T1(5〔秒〕に選定されている)の間、当該プラズマ保持電圧V2を維持させるような波形に切り換える。
かくしてプローブ芯材16及びアノード電極18間に発生したプラズマ状態は、時間T1の間、そのまま維持されることにより、プローブ芯材16上の沈着積層動作が続く。
やがてプラズマ保持時間T1が時点t2において終了すると、電圧出力制御回路23は電極間成膜電圧VCの電圧レベルを放電休止時間T2(30〔秒〕に選定されている)の間、0〔V〕レベルに保持する。
このときプローブ芯材16とアノード電極18との間のプラズマは消失することにより、プローブ芯材16へのDLCの沈着が生じない状態になる。
やがて、放電休止時間T2が経過した時点t3になると、電圧出力制御回路23は1回分の成膜周期T0を終了する。
このように1回分の成膜周期T0が終了すると、電圧出力制御回路23はその終了時点t3を次の成膜周期T0の開始時点t1として、電極間成膜電圧VCの電圧レベルを再度放電開始電圧Vに立ち上げ、その後電圧レベルをプラズマ保持電圧Vのレベルに低下させ、続いて電圧レベルを放電休止電圧すなわち0〔V〕に低下させる動作を繰り返す。
かくして電圧出力制御回路23を有する高周波プラズマ電源回路21は、成膜周期T0の成膜動作を繰り返すことにより、プローブ芯材16上にDLC膜層4を成膜して行く。
(4)実施の形態の効果
以上の構成によれば、マイクロプローブ1として、先端径が1〔μm〕程度に微小でかつ先端のテーパ部が比較的長い針形状の構成のものを得るのに際して、高周波プラズマ電源回路21が、プローブ芯材16及びアノード電極18間に、図6のように電圧レベルが切り換わる電極間成膜電圧VCを発生させるようにしたことにより、特に細い先端のテーパ部に対して膜厚が実用上十分に均一なDLC膜層4を形成することができる。
実験によれば、電圧出力制御回路23が、各成膜周期T0の時点t1において放電開始電圧V1の電圧レベルの電極間成膜電圧VCを発生させたとき、当該電圧レベルをプラズマ保持電圧V2 まで低下させずにそのまま保持すると、プローブ芯材16とアノード電極18との間のプラズマ空間27のエネルギーが大きくなるために、沈着したDLCがはがれ落ちたり、温度が上昇してDLCが成膜できなくなる結果になることが確認できた。
DLCは250〔°C〕程度で変性を開始し、500〔°C〕を超えるとDLCではなくグラファイト状態(すす状態)になるので、プローブ芯材16へのDLC膜層4の成膜はできなくなる。
この点高周波プラズマ電源回路21は、電極間成膜電圧VCの電圧レベルを一旦プラズマ保持電圧V2 にまで低下させたプラズマ保持時間T1の間、DLC成膜条件を保持できる。
実際上、プラズマ保持期間T1の間にもプラズマ空間27の温度上昇が続くが、高周波プラズマ電源回路21はプラズマ保持時間T1が終了した時点t2から、電極間成膜電圧VCの電圧レベルをさらに0〔V〕にまで低下させて放電休止期間T2の動作に入る。
このときプローブ芯材16とアノード電極18との間のプラズマ空間27は消失するので、当該空間が周囲の温度(常温)によって冷却され、かくして次の成膜周期T0に入る条件が成り立つことになる。
実験によれば、マイクロプローブ1のように先端径が微小でかつ先端のテーパ部が比較的長い針形状の成膜対象の場合には、例えば、スパッタリングを用いて絶縁膜層を成膜しようとしても、均一な膜厚が得られにくく、かつ先端部分の曲率が大きいため、クラックが入りやすかったり、膜が剥がれやすくなり、安定な絶縁膜層を成膜することはできなかった。
また、この実施の形態の場合、カソードロッド12上に立設されたプローブ芯材16の先端の高さは、アノード電極18の先端の高さと一致するように、プローブ芯材16に対するアノード電極18の設置位置が決められている。
これにより先端に行くに従って微小直径になって行くテーパ部分にも、適正な厚さのDLC膜層4を成膜できるような適正な濃度のプラズマを当該プローブ芯材16の先端部分の周囲に発生させることができる。
因みに実験によれば、プローブ芯材16の先端がアノード電極18の先端より上方に突出すると、当該突出部分の周囲に生ずるプラズマの濃度が薄くなるため、適正な成膜動作が得られない。
これとは逆に、プローブ芯材16の先端がアノード電極18の先端より低い位置に位置決めされると、プローブ芯材16の頭上部分を覆うプラズマが発生することにより、プローブ芯材16の先端に向うソースイオンの数が多くなるため、プローブ芯材16の先端部分の温度が適正な成膜温度より高くなり、その結果、適正な成膜動作が得られなくなる。
このように、マイクロプローブ1として、先端部分に均一な膜厚のDLC膜層4を成膜できるようにしたことにより、DLC材がもっている電気絶縁性、高硬度性、生体適合性などの特性を有効に利用して、微小対象に対する計測(電極として用いる)や、吸着(吸引ツールとして用いる)や、移動(機械的な接触ツールとして用いる)や、注入(注入剤の注入ツールとして用いる)などの処理操作を安全かつ確実になし得るものが実現できる。
(5)第2の実施の形態
図9は第2の実施の形態を示すもので、マイクロプローブ31は、図9(A)に示すように、マイクロピペット31A上に順次ニッケル膜層31B、DLC膜層31C、コンスタンタン膜層31D及びDLC膜層31Eを順次積層することにより、熱電対型マイクロプローブを構成している。
かかる構成のマイクロプローブ31は、複数の膜層を成膜をする手順として、先ず図9(B1)に示すように、マイクロピペット31A上に、例えばスパッタリングにより50〔nm〕のニッケル膜層31Bを熱電対の第1の導体として成膜してなる第1のプローブ芯材32を得る。
この第1のプローブ芯材32は、図2について上述したDLC膜層形成装置11のアノード電極18内にプローブ芯材16として取り付けられ、上述の場合と同様にして、ソースガスSGによるプラズマ成膜加工を受けることにより、図9(B2)に示すように、ニッケル膜層31B上にDLC膜層31Cを成膜してなる中間芯材33を得る。
この中間芯材33の先端部分は、例えばイオンビーム加工装置を用いて切り落とされ(1〔μm〕の長さ分だけ切り落とされる)、これにより図9(B3)に示すように、熱電対の第1の導体となるニッケル膜層31Bの先端を露出させてなる中間芯材34を得る。
次に当該中間芯材34のDLC膜層31C上には、例えばスパッタリングによって熱電対の第2の導体となるコンスタンタンを50〔nm〕程度の厚さに堆積させることにより、図9(B4)に示すように、中間芯材34の先端を覆うように、コンスタンタン膜層31Dを成膜してなる第2のプローブ芯材35を得る。
この第2のプローブ芯材35の先端部において、第1の導体となるニッケル膜層31Bと第2の導体となるコンスタンタン膜層31Dとが接触することにより、熱電対としての機能をもつ。
当該第2のプローブ芯材35は、次にDLC膜層形成装置11(図2)のアノード電極18内にプローブ芯材16として取り付けられ、ソースガスSGによるプラズマ成膜加工を受けることにより、図9(B5)に示すように、コンスタンタン膜層31D上にDLC膜層31Eを成膜してなるマイクロプローブ31を得る。
図9のマイクロプローブ31によれば、第1及び第2の導体となるニッケル膜層31B及びコンスタンタン膜層31D間を絶縁する絶縁層としてDLC膜層31Cを成膜すると共に、第2の導体となるコンスタンタン膜層31Dを外部と絶縁保護するDLC膜層31Eを成膜する際に、図1ないし図9について上述したDLC膜層形成装置11を用いるようにしたことにより、DLC膜層31C及び31Eによって摩擦係数が少なく、かつ高硬度の絶縁膜層を形成してなる熱電対型のマイクロプローブを実現できる。
(6)実施例
DLC膜層形成装置11(図2)における電極取付構造(図3)の各部材の寸法を次のように選定したところ、良好なDLC膜層4を成膜することができた。
プローブ芯材16の本体部1Aの直径1〔mm〕、先端径1〔μm〕、長さ50〔mm〕のとき、アノード電極18の直径40〔mm〕、高さ50〔mm〕、テフロンでなる電極設置盤14の厚さ50〔mm〕、直径150〔mm〕、取付孔15Aの直径(従ってカソードロッド15の直径)2〔mm〕、テフロンでなる補助絶縁部材17の外径4〔mm〕、高さ8〔mm〕。
各部材の寸法をこのように選定したところ、アノード電極18内に発生したプラズマの濃度の均一性は、垂直方向及び半径方向ともに良好であった。
このことは、電極設置盤14及び補助絶縁部材17による絶縁効果によって、アノード電極18内のプラズマの濃度の均一性を乱すような電界の漏れを有効に防止できたことを意味する。
(7)他の実施の形態
(a)上述の実施の形態においては、ガラス材料でなる中空のマイクロピペット2(図1)又は31A(図9)の表面に金属膜層を設けるようにしたが、マイクロピペットに代えて、中空をもたないガラス針を用いる場合にも、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
(b)上述の実施の形態においては、ガラス材料を中心部材としてその表面に金属膜を設けてこれをプラズマ放電の電極として用いるようにしたが、これに代え、金属針を用いてその表面周囲に直接DLC膜層を形成するようにしても良い。
(c)上述の実施の形態の電極間成膜電圧VC(図6)においては、プラズマ保持時間T1を5秒、放電休止時間T2を30秒とした場合について述べたが、プラズマ保持時間T1を短くしても良く、この場合には冷却熱量を小さくできることにより、放電休止時間T2を短くすることができる。
(d)上述の実施の形態における電極間成膜電圧VC(図6)の場合は、放電休止時間T2における冷却を室温(常温)によって行うようにした場合について述べたが、これに代え、冷却装置を用いるようにしても良く、この場合には冷却装置による冷却の分、放電休止時間T2を短くすることができる。
(e)上述の実施の形態においては、真空チャンバ13に導入するソースガスSGとして、メタンCHを用いるようにしたが、ソースガスとしてはこれに限らず、炭素及び水素を含む炭化水素ガス、例えばC、C、Cを用いるようにしても良い。
(f)またソースガスに不純物をドープすることにより、成膜されたDLC膜層の電気絶縁性に電気導電特性を与えるように制御したり、DLC膜層に光透過性を与えるように制御するようにしても良い。
(g)さらに、図9の実施の形態においては、熱電対を構成する第1及び第2の導体31B及び31Dとしてニッケル及びコンスタンタンを用いるようにしたが、第1及び第2の導体の材料としてはその他の熱電対材料を用いても良い。
(h)さらに、上述の実施の形態においては、先端径が1〔μm〕程度のプローブ芯材にDLC膜層を成膜する場合について述べたが、これに限らず、0.1〔μm〕程度の細さのプローブ芯材に成膜する場合においても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
(8)マイクロプローブの使用例
上述のように、DLC膜層形成装置11(図2)によってプローブ芯材に成膜されるDLC膜層4又は31C、31Eは電気絶縁性をもっていると共に、高硬度性と生体適合性をもっているので、マイクロプローブ1、31を、例えば図10に示すように、マイクロピペット型電極として用いて、培養槽41の培養液42内において培養している細胞43(10〔μm〕程度の大きさをもつ)の電位を測定するような操作に使用できる。
この場合、マイクロプローブ1の先端のテーパ部は比較的長いにも関わらず、DLC膜層4は高硬度性をもちながら均一に成膜されていることにより、保護膜層として機能し、これにより多数の細胞のなかから特定の細胞を選択操作をする際に壊れたりせずに確実に作業することができる。
また、マイクロプローブ1として、例えば図11に示すように、金属針45の表面にDLC膜層46を成膜したものを用いて、その先端部を生体組織47の生体表面から刺入することにより、組織表面48側から複数の組織49A及び49Bの内側にある組織49Cに先端を届かせて電位の測定をする(金属針45の先端をDLC膜層46から露出させて電極として用いる)ような操作をするときにも、DLC膜層46を構成するDLCが高硬度性、かつ低摩擦係数特性、かつ生体適合性をもっていることにより、生体組織47へのマイクロプローブ1の操作を確実かつ安全に行うことができる。
本発明は、1〜数〔μm〕程度の微小処理対象に対して、計測処理や注入処理などを行う場合に使用するマイクロプローブに適用できる。
(A)は本発明の一実施の形態によるマイクロプローブ1を示す側面図である。(B)はマイクロプローブ1の先端部分の詳細構成を示す部分的拡大断面図である。 DLC膜層形成装置の構成を示す略線的縦断面図である。 電極構造の詳細構成を示す略線的縦断面図である。 プローブ芯材を示す側面図である。 カソード及びアノード電極の位置関係を示す平面図である。 電極間成膜電圧を示す信号波形図である。 アノード電極18内のプラズマ動作状態の説明に供する略線図である。 DLC膜層の分子構造を示す略線図である。 (A)は第2の実施の形態によるマイクロプローブ31を示す側面図である。(B1)〜(B5)はマイクロプローブ31の成膜手順を示す部分的拡大断面図である。 マイクロプローブの使用例を示す略線図である。 マイクロプローブの使用例を示す略線図である。
符号の説明
1……マイクロプローブ、1A……本体部、1B……先端部、2……マイクロピペット、3……金属膜層、4……DLC(水素含有アモルファス状炭素)膜層、11……DLC膜層形成装置、12……真空ポンプ、13……真空チャンバ、13A……上板部、13B……底板部、14……電極設置盤、14A……カソードロッド取付孔、15……カソードロッド、16……プローブ芯材、17……補助絶縁部材、18……アノード電極、19……アース線、20……直流阻止用コンデンサ、21……高周波プラズマ電源回路、22……高周波電源回路、23……電圧出力制御回路、24……マッチング回路、25……ソースガスタンク、26……流速調整装置、31……マイクロプローブ、31A……マイクロピペット、31B……ニッケル膜層、31C……DLC膜層、31D……コンスタンタン膜層、31E……DLC膜層、32、35……第1、第2のプローブ芯材、33、34……中間芯材、41……培養槽、42……培養液、43……細胞、45……金属針、46……DLC膜層、47……生体組織、48……組織表面、49A〜49D……組織。

Claims (6)

  1. 先端にテーパ部を有しかつ針形状のガラス材上に第1の金属膜層を形成してなる第1のプローブ芯材の表面に、炭化水素ガスをソースガスとして用いた高周波プラズマ化学気相析出法によって第1の水素含有アモルファス状炭素膜層を形成した
    ことを特徴とするマイクロプローブ。
  2. さらに上記第1の水素含有アモルファス状炭素膜層上に、先端が上記第1の金属膜層に接触して熱電対を構成する第2の金属膜層を形成してなる第2のプローブ芯材の表面に、炭素水素ガスをソースガスとして用いた高周波プラズマ化学気相析出法によって形成した第2の水素含有アモルファス状炭素膜層を形成した
    ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロプローブ。
  3. 先端にテーパ部を有しかつ針形状のガラス材上に第1の金属膜層を成膜する第1のステップと、
    上記ガラス材上に上記第1の金属膜層を形成してなる第1のプローブ芯材の表面に、炭化水素ガスをソースガスとして用いた高周波プラズマ化学気相析出法によって第1の水素含有アモルファス状炭素膜層を成膜する第2のステップと
    を具えることを特徴とするマイクロプローブの製造方法。
  4. さらに、上記第1の金属膜層及び上記第1の水素含有アモルファス状炭素膜層を積層してなる上記ガラス材の先端を切り落す第3のステップと、
    上記第1の水素含有アモルファス状炭素膜層上に、先端が上記第1の金属膜層の切落し端面に接触して当該第1の金属膜層と共に熱電対を構成する第2の金属膜層を成膜する第4のステップと、
    上記第1のプローブ芯材上に上記第1の水素含有アモルファス状炭素膜層及び上記第2の金属膜層を形成してなる第2のプローブ芯材の表面に、炭化水素ガスをソースガスとして用いた高周波プラズマ化学気相析出法によって第2の水素含有アモルファス炭素膜層を成膜する第5のステップと
    を具えることを特徴とするマイクロプローブの製造方法。
  5. 炭化水素ガスをソースガスとして導入する真空チャンバと、
    上記真空チャンバ内にプローブ芯材を一方の電極として立設すると共に、高周波プラズマ電源回路の成膜駆動出力を上記プローブ芯材に供給する第1の電極部材と、
    上記第1の電極部材を絶縁するように覆う電極設置盤と、
    上記電極設置盤上に上記プローブ芯材を囲むように他方の電極として配設され、上記ソースガスを通過させる円筒状網目構造を有し、上記プローブ芯材との間にプラズマを発生させることにより上記プローブ芯材上に上記ソースガスを用いた高周波プラズマ化学気相析出法による水素含有アモルファス炭素膜層を成膜する第2の電極部材と
    を具えることを特徴とする成膜装置。
  6. 上記高周波プラズマ電源回路は、順次繰り返す成膜周期ごとに、当該成膜周期の開始時点においてパルス波形状に放電開始電圧レベルとなり、続いて所定のプラズマ保持時間の間プラズマ保持電圧レベルとなり、続いて上記成膜周期の終了時点までの放電休止時間の間冷却電圧レベルとなる電極間成膜電圧を、プロープ芯材及び上記第2の電極部材間に与える
    ことを特徴とする請求項5に記載の成膜装置。
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