JP2005233271A - 転がり軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 予圧抜けを防止することにより、予圧変動に伴うトルク変動や剛性の変動を低減して位置決め制御の高速化と高精度化とを図ることができるスイングアーム用転がり軸受装置を提供すること。
【解決手段】 本発明のスイングアーム用転がり軸受装置10は、軸11と、軸11周りに設けられた筒状のハウジング12と、ハウジング12を軸11に対して揺動可能に支持する転がり軸受13,14と、を備え、軸11の外周面には、シールリング27,28が転がり軸受13,14の内輪17,18の側面部と接触するようにして固定されており、シールリング27,28は、軸11と同じ材質であるか、或いは、軸11の線膨張係数の値に近似した線膨張係数を有する材質からなる。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明のスイングアーム用転がり軸受装置10は、軸11と、軸11周りに設けられた筒状のハウジング12と、ハウジング12を軸11に対して揺動可能に支持する転がり軸受13,14と、を備え、軸11の外周面には、シールリング27,28が転がり軸受13,14の内輪17,18の側面部と接触するようにして固定されており、シールリング27,28は、軸11と同じ材質であるか、或いは、軸11の線膨張係数の値に近似した線膨張係数を有する材質からなる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、転がり軸受装置に関し、磁気ディスク装置のスイングアームのような、高速で微小揺動する部位に使用される転がり軸受装置に関する。
近年、磁気ディスク装置はますます高密度化が要求されている。このため、ディスクに信号を記録するトラックの幅はますます狭くなってきており、目標トラックへのアクセスの高速化と位置決め性能の高精度化が要求されている。また、これに伴って、磁気ヘッドを搭載するスイングアームを支持するスイングアーム用転がり軸受装置では、制御の高速化と高精度化を満たすため、ハウジングの軽量化が求められている。
従来のスイングアーム用転がり軸受装置の一例として、潤滑剤が密封された2つの玉軸受に予圧をかけて使用されるものが知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
例えば、図3に示すようなスイングアーム用転がり軸受装置70は、転がり軸受71,71の内輪72,72の内径面及び外輪73,73の外径面の4か所に接着剤を塗布し、内輪72,72を軸74に、外輪73,73をハウジング75に接着固定するか、或いは、接着剤を用いずにそれぞれ圧入固定している。また、図4に示すようなスイングアーム用転がり軸受装置80は、転がり軸受81,81の外輪82,82間に外輪間座83を介在し、内輪84,84の内径面の2か所に接着剤を塗布して内輪84を軸85に接着固定するか、或いは、接着剤を用いずにそれぞれ圧入固定している。
さらに、スイングアーム用転がり軸受70,80では、ボイスコイルモータが取付けられたスイングアーム76,86が図3のハウジング75や図4の外輪間座83及び外輪82に取付けられる。スイングアームの取り付け方法としては、3.5インチHDD(ハードディスクドライブ)の場合には、ハウジングの中央部外径面の1か所にボルト止めする(所謂、引っ張りタイプ)もの、ハウジングの外径面又は間座の外径面にボルト先端を突き当てる(所謂、突き当てタイプ)もの、ハウジングの外径面又は転がり軸受の外輪外径面、外輪間座の外径面と、スイングアームとが接着固定されて取付けられる(所謂、接着タイプ)ものが主に用いられる。また、2.5インチHDDの場合には、プレス加工された平板に間座を設け、ナットによって固定する(所謂、積層タイプ)ものが主に用いられる。
ところで、このようなスイングアーム用転がり軸受70,80では、特許文献1〜3に記載されるように、グリース等の潤滑剤の飛散を防止するためのシールリングがハウジングやシャフトに固定されている。
特開平11−166526号公報(第2−3頁、図1)
特開2001−84716号公報(第3頁、図1)
特許第2586326号公報(第3−4頁、図1)
しかしながら、スイングアーム用転がり軸受装置70,80では、温度変化が生じると、転がり軸受の内輪72,84と軸74,85との線膨張係数の差に伴ってこれらの嵌合部分の隙間が大きくなり、内輪72,84と軸74,85との接着がはがれたり、圧入による保持力が低下して、予圧抜けが発生するという問題があった。特許文献1〜3では、転がり軸受装置の線膨張係数についての記載がなく、このような温度変化に対する接着はがれや圧入による保持力低下については考慮されていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、予圧抜けを防止することにより、予圧変動に伴うトルク変動や剛性の変動を低減して位置決め制御の高速化と高精度化とを図ることができる転がり軸受装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(1) 軸と、該軸周りに設けられた筒状のハウジングと、前記ハウジングを前記軸に対して揺動可能に支持する転がり軸受と、を備えた転がり軸受装置であって、
前記軸の外周面には、シールリングが前記転がり軸受の内輪の側面部と接触するようにして固定されており、前記シールリングは、前記軸と同じ材質であるか、或いは、前記転がり軸受の内輪の線膨張係数より前記軸の線膨張係数の値に近似した線膨張係数を有する材質からなることを特徴とする転がり軸受装置。
(1) 軸と、該軸周りに設けられた筒状のハウジングと、前記ハウジングを前記軸に対して揺動可能に支持する転がり軸受と、を備えた転がり軸受装置であって、
前記軸の外周面には、シールリングが前記転がり軸受の内輪の側面部と接触するようにして固定されており、前記シールリングは、前記軸と同じ材質であるか、或いは、前記転がり軸受の内輪の線膨張係数より前記軸の線膨張係数の値に近似した線膨張係数を有する材質からなることを特徴とする転がり軸受装置。
本発明の転がり軸受装置によれば、内輪の側面部に接触する軸と同じ材質であるか、或いは、転がり軸受の内輪の線膨張係数より軸の線膨張係数の値に近似した線膨張係数を有する材質からなるシールリングが、転がり軸受の内輪の側面部と接触するようにして固定されているために、温度変化が生じても、軸とシールリングとの間に接着はがれが起きず、シールリングは内輪の側面部を接触支持することができる。これにより、内輪と軸との間で、温度変化による接着はがれや圧入嵌合による保持力の低下を生じたとしても、内輪が軸に対して移動することがなく、予圧抜けの発生を防止することができる。この結果、予圧変動に伴うトルク変動や剛性の変動が低減され、位置決め制御の高速化と高精度化とを図ることができる。
以下、本発明の各実施形態に係る転がり軸受装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、各実施形態の転がり軸受装置は、磁気ディスク装置において、磁気ヘッドを搭載するスイングアームを支持するスイングアーム用転がり軸受装置として説明される。
(第1実施形態)
図1に示されるように、第1実施形態のスイングアーム用転がり軸受装置10は、軸11と、軸11周りに設けられた筒状のハウジング12と、ハウジング12を軸11に対して揺動可能に支持する本発明の転がり軸受である一対の深溝玉軸受13,14とを備える。
図1に示されるように、第1実施形態のスイングアーム用転がり軸受装置10は、軸11と、軸11周りに設けられた筒状のハウジング12と、ハウジング12を軸11に対して揺動可能に支持する本発明の転がり軸受である一対の深溝玉軸受13,14とを備える。
軸11は、磁気ディスク装置のケース1に固定されており、アルミニウム或いはステンレス等の材質から構成されている。一対の深溝玉軸受13,14は、軸11とハウジング12との間に配置されており、ハウジング12を軸11に対して相対回転自在とする。また、ハウジング12には、ボイスコイルモータが取付けられたスイングアーム2が固定されており、スイングアーム2は、ハウジング12と共に軸11に対して揺動回転する。
深溝玉軸受13,14は、外周面に内輪軌道面15,16を有する内輪17,18と、内周面に外輪軌道面19,20を有する外輪21,22と、内輪軌道面15,16と外輪軌道面19,20との間に、周方向に転動自在に複数の玉23,24がそれぞれ配されている。また、深溝玉軸受13,14には、外周縁部が外輪21,22に固定された一対のシール部材25,25,26,26がそれぞれ装着されており、深溝玉軸受13,14の内部空間に封入されたグリース等の潤滑剤が飛散するのを防止している。
深溝玉軸受13,14において、内輪17,18は、その内径面に塗布された接着剤によって軸11に固定されており、外輪21,22は、その外径面に塗布された接着剤によってハウジング12に固定されている。なお、接着剤を用いた固定に代えて、圧入による固定を用いても良い。圧入固定の場合は、接着剤が乾燥するまでの間に接着剤から出るガスによる磁気ディスク表面への汚染が防げるので好ましい。
また、これら深溝玉軸受13,14への予圧の付与は、内輪17,18を加振しながら軸11に挿入し、外輪21,22側で共振周波数を測定しながら予圧を制御する、所謂共振圧入方式でもよいし、内輪17,18を加振しながら軸11に挿入し、外輪21,22側でトルクを測定しながら予圧を制御する所謂トルク圧入方式でもよい。なお、深溝玉軸受13,14の材質としては、ステンレス鋼や軸受鋼が用いられている。
また、軸11の外周面には、シールリング27,28が深溝玉軸受13,14の内輪17,18の軸方向外方における側面部29,30と接触するようにして固定されている。シールリング27,28は、ハウジング12の内周面よりもわずかに小さい外径を有する円環形状に形成されており、深溝玉軸受13,14のシール部材25,25,26,26と共に、潤滑剤が飛散するのを防止している。シールリング27,28は、その内周面に塗布された接着剤によって軸11に固定されている。なお、シールリング27,28は、接着剤を用いて固定する代わりに、圧入により固定してもよい。また、シールリング27,28の軸方向厚さは、15mm以下であればよく、転がり軸受装置の小型化を考慮して、好ましくは5mm以下に形成される。
また、シールリング27,28の材質は、軸11と同じ材質であるか、或いは、内輪17,18の線膨張係数より軸11の線膨張係数の値に近似した線膨張係数を有する材質で構成される。具体的には、シールリング27,28は、軸11と同じ、アルミニウム或いはステンレス等から構成される。
このように構成されたスイングアーム用転がり軸受装置10では、ハードディスクドライブの使用が長時間になると、各部材の摩擦等によりケース1内の雰囲気温度が上昇する。これに伴って、深溝玉軸受13,14の内輪17,18と軸11との線膨張係数の差により、両者間に隙間が発生し、接着はがれや圧入による保持力の低下が生ずる。しかしながら、深溝玉軸受13,14の内輪17,18の側面部29,30と接触するシールリング27,28が、軸11と同じ材質であるか、或いは、内輪17,18の線膨張係数より軸11の線膨張係数の値に近似した線膨張係数を有する材質からなるため、温度変化が生じたとしても、両者間で隙間を生じることがなく、接着はがれや圧入による保持力の低下が起きることがない。
その結果、内輪17,18と軸11の間で接着はがれや圧入による保持力の低下が生じたとしても、シールリング27,28が軸11に対して緩まないことから、深溝玉軸受13,14の内輪17,18の移動を防ぎ、予圧抜けの発生を防止することができる。よって、予圧変動に伴うトルク変動や剛性の変動を低減して、位置決め精度の高速化と高精度化とを図ることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るスイングアーム用転がり軸受装置について図2を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については、同一の符号を付し、説明を省略或いは簡略化する。
次に、本発明の第2実施形態に係るスイングアーム用転がり軸受装置について図2を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一または同等部分については、同一の符号を付し、説明を省略或いは簡略化する。
図2に示すように、第2実施形態のスイングアーム用転がり軸受装置40は、第1実施形態に用いていた一対のシールリング27,28のうち、一方のシールリング27を深溝玉軸受13側に配置し、深溝玉軸受14側では、シールリング28の代わりに、軸41に形成されたフランジ42を設けて、フランジ42に深溝玉軸受14の内輪18の側面部30を接触させている。
また、深溝玉軸受13,14の外輪21,22間には、外輪間座43を介在させており、外輪間座43の両端面と外輪21,22とは接着剤により固定されている。また、スイングアーム2’は、本発明の筒状のハウジングであるスリーブ部2aを備えており、スリーブ部2aの内周面は外輪21,22の外周面と外輪間座43の外周面に接着剤によって固定されている。なお、スリーブ部2aと外輪21,22及び外輪間座43との固定は、圧入による固定であってもよい。
従って、本実施形態のスイングアーム用転がり軸受装置40によれば、深溝玉軸受13の内輪17の側面部29と接触するシールリング27が、軸11と同じ材質であるか、或いは、内輪17,18の線膨張係数より軸11の線膨張係数の値に近似した線膨張係数を有する材質からなるため、温度変化が生じたとしても、両者間で隙間を生じることがなく、接着はがれや圧入による保持力の低下が起きることがない。その結果、内輪17、18と軸11の間で接着はがれや圧入による保持力の低下が生じたとしても、シールリング27と軸41のフランジ42によって深溝玉軸受13,14の内輪17,18の移動を防ぎ、予圧抜けの発生を防止することができる。よって、予圧変動に伴うトルク変動や剛性の変動を低減して、位置決め精度の高速化と高精度化とを図ることができる。
また、シールリング27を深溝玉軸受13,14の一方の側のみとし、また、ハウジングをスイングアーム2’のスリーブ部2aで構成したので、部品点数を低減すると共に、装置の低コスト化を図ることができる。また、深溝玉軸受14をフランジ42でバックアップすることが可能であるため、モーメント剛性と耐衝撃性を向上することができる。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
例えば、転がり軸受は、単列深溝玉軸受に限らず、その他、単列アンギュラ玉軸受等の各種転がり軸受を適用しても良い。
例えば、転がり軸受は、単列深溝玉軸受に限らず、その他、単列アンギュラ玉軸受等の各種転がり軸受を適用しても良い。
10,40 スイングアーム用転がり軸受装置(転がり軸受装置)
2,2’ スイングアーム
2a スリーブ部(ハウジング)
11,41 軸
12 ハウジング
13,14 転がり軸受
17,18 内輪
21,22 外輪
27,28 シールリング
42 フランジ
2,2’ スイングアーム
2a スリーブ部(ハウジング)
11,41 軸
12 ハウジング
13,14 転がり軸受
17,18 内輪
21,22 外輪
27,28 シールリング
42 フランジ
Claims (1)
- 軸と、該軸周りに設けられた筒状のハウジングと、前記ハウジングを前記軸に対して揺動可能に支持する転がり軸受と、を備えた転がり軸受装置であって、
前記軸の外周面には、シールリングが前記転がり軸受の内輪の側面部と接触するようにして固定されており、前記シールリングは、前記軸と同じ材質であるか、或いは、前記転がり軸受の内輪の線膨張係数より前記軸の線膨張係数の値に近似した線膨張係数を有する材質からなることを特徴とする転がり軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004041617A JP2005233271A (ja) | 2004-02-18 | 2004-02-18 | 転がり軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004041617A JP2005233271A (ja) | 2004-02-18 | 2004-02-18 | 転がり軸受装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005233271A true JP2005233271A (ja) | 2005-09-02 |
Family
ID=35016447
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004041617A Pending JP2005233271A (ja) | 2004-02-18 | 2004-02-18 | 転がり軸受装置 |
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JP (1) | JP2005233271A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008180362A (ja) * | 2006-12-29 | 2008-08-07 | Nsk Ltd | 充填剤による固定構造を有する転がり軸受装置 |
-
2004
- 2004-02-18 JP JP2004041617A patent/JP2005233271A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008180362A (ja) * | 2006-12-29 | 2008-08-07 | Nsk Ltd | 充填剤による固定構造を有する転がり軸受装置 |
JP2012082970A (ja) * | 2006-12-29 | 2012-04-26 | Nsk Ltd | 転がり軸受装置及びそれを備えたダイレクトドライブモータ |
JP2012132567A (ja) * | 2006-12-29 | 2012-07-12 | Nsk Ltd | 転がり軸受装置及びそれを備えたダイレクトドライブモータ |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060327 |