JP2005229513A - 薄膜弾性表面波デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧電体薄膜の下層に配置される基板や導電膜との間に生ずる寄生容量を低減することにより、共振子特性やフィルタ特性を向上させることのできる薄膜弾性表面波デバイスを提供する。
【解決手段】 本発明の薄膜弾性表面波デバイス100は、基板101と、基板101上に配置された圧電体薄膜103と、圧電体薄膜103の表面に形成された電極104ax,104ay,105aとを有する薄膜弾性表面波デバイスにおいて、電極104ax,104ay,105aに導電接続された配線層104bx、104by、104cx,104cy,105bを有し、配線層104bx、104by、104cx,104cy,105bと基板101の距離が電極104ax,104ay,105aと基板101の距離よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は薄膜弾性表面波デバイスに係り、特に、薄膜弾性波デバイスの配線構造に関する。
一般に、通信機器や各種信号処理には、共振子やフィルタなどを構成する弾性表面波デバイスが用いられている。このような弾性表面波デバイスとしては、シリコン基板などの基板上にZnO薄膜などの圧電体薄膜を形成した薄膜弾性表面波デバイスが知られている(例えば、以下の非特許文献1参照)。従来の薄膜弾性表面波デバイスにおいては、圧電体薄膜上にIDT(インタディジタル変換子、例えば櫛歯状電極)や反射器が形成され、これらのIDTや反射器を相互に結線するためのバスバーや、このバスバーをボンディングパッドへ結線するための配線、ボンディングパッドなどを含む配線層が設けられる。通常の弾性表面波デバイスでは、デバイスチップをケーシングの内部に密封した状態で配置し、このデバイスチップに形成されたボンディングパッドと、ケーシングに設けられた外部端子とが導電ワイヤで導電接続されるようになっている。
特に、一般の半導体集積回路は、シリコン基板の表面領域に種々の半導体素子をモノリシックに形成したり、或いは、シリコン基板上に薄膜構造を形成したりすることによって、種々の半導体素子や配線を形成することによって構成され、通常、通信回路や各種信号処理回路においては、多くの部分が半導体集積回路として構成されるため、例えば、半導体集積回路が構成されるシリコン基板上に上記の弾性表面波デバイスを構成することが、通信回路や信号処理回路の小型化を進める上で重要なポイントになるものと考えられる。このため、従来から、半導体集積回路を構成してなるシリコン基板上に形成された弾性表面波デバイスが提案されている(例えば、以下の特許文献1及び2参照)。
三露常男・他4名 「薄膜弾性表面波ディバイス」 松下技報(National Technical Report) Vol.22 No.6 Dec 1976 P.905-923 特開平6−125226号公報 特開2000−151451号公報
しかしながら、前述のように、シリコン基板などの導電性基板や、表面に導電膜が存在する基板上に形成された弾性表面波デバイスにおいては、弾性表面波素子構造と基板や導電膜との間の寄生容量が大きくなり、この寄生容量によって共振子やフィルタ特性が劣化するという問題点がある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、圧電体薄膜の下層に配置される基板や導電膜との間に生ずる寄生容量を低減することにより、共振子特性やフィルタ特性を向上させることのできる薄膜弾性表面波デバイスを提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の薄膜弾性表面波デバイスは、基板と、該基板上に配置された圧電体薄膜と、該圧電体薄膜の表面に形成された電極とを有する薄膜弾性表面波デバイスにおいて、前記電極に導電接続された配線層を有し、該配線層と前記基板の距離が前記電極と前記基板の距離よりも大きいことを特徴とする。
この発明によれば、配線層と基板との距離が電極と基板との距離よりも大きいことにより、配線層と基板との間に発生する静電容量を低減することができるので、寄生容量が小さくなり、薄膜弾性表面波デバイスの特性を向上させることができる。具体的には、薄膜弾性表面波デバイスの挿入損失やインピーダンスを低減することができる。
ここで、上記配線層とは、上記の電極間を導通させ、上記電極に電位を供給し、或いは、上記電極から信号を取り出すための導電経路を構成するもの、例えば、以下の実施形態における導通部(バスバー)、配線、接続端子(ボンディングパッド)などを言う。上記の電極としては、弾性表面波を生成するための励振電極や弾性表面波を検出するための検出電極などが挙げられる。通常、これらの電極はIDT(インタディジタル変換子)を構成する櫛歯状電極であることが望ましい。また、弾性表面波を反射するための反射器を構成する反射電極であってもよい。
本発明において、前記配線層は、前記電極の形成領域における前記圧電体薄膜の表面よりも前記基板から離れた表面を備えた絶縁層上に形成されていることが好ましい。これによれば、配線層が絶縁層上に形成されていることによって、電極よりも基板から離れた位置に配線層を容易かつ確実に設けることができる。
この場合において、前記絶縁層は、前記圧電体薄膜よりも低い誘電率を有することが望ましい。このようにすると、配線層と基板との間の静電容量をさらに低減することができる。
また、前記絶縁層は多孔質膜であることが好ましい。これによれば、絶縁層を多孔質膜とすることで、絶縁層の誘電率を低下させることができるため、配線層と基板との間の静電容量をさらに低減することができる。
本発明において、前記配線層の形成領域における前記配線層と前記基板との間には空間が設けられていることが好ましい。これによれば、配線層と基板との間に空間が設けられていることによって配線層と基板との間の実質的な誘電率をさらに低下させることができるため、配線層と基板との間の静電容量をさらに低減することができる。
上記各発明においては、前記基板はシリコン基板であることが好ましい。これによれば、シリコン基板に半導体集積回路などを適宜に形成することができるので、半導体集積回路などの回路構造と薄膜弾性表面波デバイスとを一体に構成することができる。この場合には、上述のように、シリコン基板上に絶縁層を介して圧電体薄膜、電極及び配線層を形成することが望ましい。また、基板はSiGe、GaAs等のIC作成可能な半導体基板であっても良い。
また、前記基板と前記圧電体薄膜との間に絶縁層が形成されていることが好ましい。これによってデバイスと基板との間の寄生容量を全体として低減することができる。
さらに、前記圧電体薄膜の前記電極が形成されている表面とは反対側において、少なくとも弾性表面波デバイスの実効領域全体に導電膜が形成されていることが好ましい。これによれば、弾性表面波デバイスの弾性表面波が伝播する表面とは反対側の表面の電位勾配を低減することができるので、電気機械結合係数が成膜の容易な薄い圧電膜でも高い値を示すようになるため、弾性表面波デバイスの伝播特性を向上させることができる。
また、前記圧電体薄膜としては、ZnO、AlN、PZT(Pb−Zr−Ti)、CdS、ZnS、Bi−Pb−O、LiNbO、TaNbO、KNbOなどで構成されることが好ましい。これらの圧電体は水晶よりも高い圧電性を有し、高い性能を備えた弾性表面波デバイスを形成することができる。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は本発明に係る第1実施形態の薄膜弾性表面波デバイス100の概略構造を示す概略縦断面図(a)、概略平面図(b)、及び、上記(a)と直交する断面、すなわち(b)のC−C線に沿った断面を示す概略断面図(c)である。
この薄膜弾性表面波デバイス100は、シリコン基板、ガラス基板、石英基板、セラミック基板などで構成される基板101の上にSiO、PSG(リンドープガラス)、TiO、Taなどの金属酸化物、Siなどの窒化シリコン、アクリル樹脂などの合成樹脂などで構成される絶縁層102が形成されている。絶縁層102は、基板101が導電体基板である場合や半導体基板であるときに、基板と、その上層の導電体との間を絶縁するためのものである。
基板101としては、シリコン基板であっても、導電体或いは半導体であって、或る程度の導電性を有する場合と、真性半導体のような絶縁性を有する場合とがあるが、前者の場合には特に絶縁層102が必要となる。また、後者の場合には絶縁層102は必ずしも必要ない。さらに、基板101としてはガラス基板、石英基板、セラミック基板などの絶縁体を用いることも可能であり、このような場合でも、絶縁層102は不要となる。なお、絶縁性を有する基板101を用いている場合でも、その表面上に配線パターンなどの導電膜が形成されている場合には、上層との絶縁を確保するために絶縁層102が必要となる場合がある。この絶縁層102として、半導体集積回路が構成されたシリコン基板上の表面被覆用の絶縁層をそのまま用いることも可能である。
絶縁層102の上にはZnO、AlN、PZT(Pb−Zr−Ti)、CdS、ZnS、Bi−Pb−O、LiNbO、TaNbO、KNbOなどの、弾性表面波を励振可能な各種圧電体で構成された圧電体薄膜103が形成されている。圧電体薄膜103は、基板101の表面全体にわたって形成されていてもよいが、基板101の一部領域に形成されていてもよい。これは、基板101が半導体集積回路などの他の回路構造などを形成するために必要な面積とされる場合があるのに対して、圧電体薄膜103は弾性表面波デバイスを構成する上で必要最小限の面積で足りるからである。
圧電体薄膜103は、その材質や結晶性に応じて適宜の厚さtpとされる。例えば、一般的には厚さtpは0.1〜5μm程度であり、特に、0.5〜1.5μm程度であることが好ましい。圧電体薄膜103が薄すぎると弾性表面波の伝播態様が下層の影響を受けやすくなるとともに、圧電体薄膜の表面(図示例では上面)の結晶性が不十分となる場合がある。通常、圧電体薄膜の厚さは励起される弾性表面波の1波長以上の厚さとされることが望ましい。逆に、圧電体薄膜が厚すぎると、製造工程に時間がかかり、製造コストが増大するため、薄膜弾性表面波素子としたメリットが薄くなる。
圧電体薄膜103の表面(上面)には電極104ax,104ay,105aが形成されている。電極104ax.104ayは弾性表面波を励振するための励振電極である。電極104ax,104ayはそれぞれが複数設けられて櫛歯状に構成され、電極104axと104ayが交互に一定間隔で弾性表面波の伝播方向(図示左右方向)に配列されている。複数の電極104axはこれらを相互に導通させる導通部(バスバー)104bxに導電接続され、この導通部104bxは配線を介してさらに接続端子(ボンディングパッド)104cxに導電接続されている。これらの電極104ax,導通部104bx及び接続端子104cxは一体の配線層によって構成され、これによって弾性表面波励振手段104が構成される。また、本実施形態の場合、電極104ax.104ayは弾性表面波を検出するための検出電極でもあり、弾性表面波励振手段104は弾性表面波検出手段でもある。
また、電極105aは反射器を構成するための反射電極である。複数の電極105aが上記伝播方向に上記一定間隔にて配列されることにより反射器(いわゆるグレーティング反射器)105が構成されている。これらの反射器105は、上記電極104ax,104ayの配列領域の上記伝播方向両側にそれぞれ配置されている。この反射器105には、上記の複数の電極105aを相互に導通させる導通部105bが設けられている。
圧電体薄膜103における上記伝播領域以外の領域には絶縁層106が形成されている。絶縁層106は図示例では伝播領域の両側にそれぞれ設けられているが、伝播領域の片側にのみ設けられていてもよい。絶縁層106は、SiO、PSG(リンドープガラス)、TiO、Taなどの金属酸化物、Siなどの窒化シリコン、アクリル樹脂などの合成樹脂などで構成される。絶縁層106は誘電率の低い素材、特に、圧電体薄膜よりも低い誘電率を有するもので構成されていることが好ましい。絶縁層106の誘電率を低くするには、絶縁層106を本質的な低誘電率素材で構成するほか、絶縁層106を多孔質素材で構成したり、後述するように空間を設けたりする方法が挙げられる。多孔質素材の例としては多孔質シリカ、例えばメソポーラスシリカが挙げられる。絶縁層106の厚さtiは、圧電体薄膜103の厚さtpよりも少なくとも厚く形成されていることが好ましい。特に、厚さtiが厚さtpの3倍以上であることが望ましい。
上記の導通部104bx、104by、接続端子104cx,104cy及び導通部105bは上記の配線層を構成するものであり、いずれも上記の絶縁層106の表面上に形成されている。したがって、この配線層は、絶縁層106の厚さti分だけ電極104ax,104ay、105aよりも基板101から離れた位置に配置されていることになる。
[製造方法]
次に、図6を参照して上記第1実施形態の製造方法について説明する。最初に、図6(a)に示すように、基板101の表面上に絶縁層102を形成する。絶縁層102は、CVD法などで直接成膜してもよく、或いは、液状やペースト状の基材をスピンコーティング法、ロールコーティング法、印刷法などによって塗布し、加熱処理などによって硬化させてもよい。
次に、絶縁層102上に圧電体薄膜103を形成する。圧電体薄膜103は、MOCVD法(有機金属原料を用いたCVD法)などのCVD法、RFスパッタリング法(RF高周波電界を印加して行うもの)などのスパッタリング法などによって成膜できる。
さらに、図6(b)に示すように、圧電体薄膜103上に絶縁層106を形成する。この絶縁層106は上記絶縁層102と同様の方法で構成できるが、多孔質素材で絶縁層106を構成する場合にはゾル−ゲル法を用いることができる。例えば、多孔質シリカは、アルコキシシランなどのガラス構成材料を含む溶液を塗布し、乾燥させる(アルコールなどの溶媒を揮発させる)ことによって構成できる。
本実施形態の場合、絶縁層106は上記伝播領域となる領域には形成されていない。このような選択的な絶縁層106の形成方法としては、マスキング法、リフトオフ法、フォトリソグラフィ法などを用いることができる。その後、圧電体薄膜103及び絶縁層106の表面上にアルミニウムなどの導体を蒸着法、スパッタリング法などを用いて成膜し、フォトリソグラフィ法等によってパターニングすることによって、図1に示す上述の電極104ax,104ay,105a、導通部104bx,104by,105b及び接続端子104cx,104cyを形成する。
図6(c)には、図6(b)に示す絶縁層106の端部側面が配置された領域Cを、図1に示す電極104ax,104ay,105a及び導通部104bx,104by,105bと共に拡大して示す。絶縁層106は上記のように伝播領域を除く領域にのみ形成されるが、伝播領域上に形成された電極104ax,104ay,105aと導通部104bx,104by,105bとを導電接続させるための配線部分104ax′,104ay′,105a′は絶縁層106の端部側面106a上に形成される。したがって、上記のように電極104ax,104ay,105a、導通部104bx,104by,105b及び接続端子104cx,104cyを同時に形成する場合には、端部側面106a上の配線部分104ax′,104ay′,105a′の断線を防止するために、端部側面106aを所定の傾斜角度を備えた傾斜面となるように形成することが好ましい。この傾斜角は、電極や配線の成膜材料、成膜時の被覆特性、膜厚などによって断線を起こさないように適宜に設定する。ただし、上記の断線を防止するために、上記の配線部分104ax′,104ay′,105a′を、電極104ax,104ay,105aと導通部104bx,104by,105bとの間に導電接続された導電ワイヤ(ボンディングワイヤ)などによって導電接続することもできる。
[作用効果]
図7は、上記実施形態の弾性表面波デバイスの等価回路図である。薄膜弾性表面波デバイス100の等価回路には、接続端子104cxと104cyとの間に静電容量Ca,インダクタンスLa,抵抗Raの直列回路と、この直列回路と並列に接続される並列容量(short Capacitance)Csとが存在する。ここで、上記直列回路部分は弾性表面波を介した弾性表面波デバイスの入出力特性をもたらす部分であり、並列容量Csは電極104axと104ayとの間の静電容量の定常成分に相当するものである。以上の構成部分は通常の弾性表面波デバイスの等価回路と同様であるが、本実施形態の薄膜弾性表面波デバイスでは、以上の回路構成に対してさらに並列に、電極104ax,104ay,105a、導通部104bx,104by,105b、及び、接続端子104cx、104cyと、基板101との間の静電容量である寄生容量Coが存在する。そして、上記のように、導通部104bx、104by、接続端子104cx,104cy、及び、導通部105bで構成される配線層が絶縁層106の厚さti分だけ電極104ax,104ay、105aよりも基板101から離れた位置に配置されていることにより、上記の寄生容量Coは低減される。すなわち、配線層と基板101との間に生ずる静電容量は、C=εS/t(Cは静電容量、εは誘電率、Sは電極面積、tは電極間距離)の式において電極間距離tが上記絶縁層106の厚さti分だけ大きくなることによって小さくなる。また、この静電容量は、絶縁層106の誘電率が圧電体薄膜103の誘電率よりも小さいため、上記の式において誘電率εが実質的に小さくなることによっても小さくなる。
このように、上記配線層を電極よりも基板101から離反させることにより寄生容量Coを小さくすることができるので、容量Co、Cs、Caに配分されていた電気エネルギーがより多くCsとCaに配分されるようになる。その結果、薄膜弾性表面波デバイス100の挿入損失やインピーダンスを低減することができる。
図8は、本実施形態の薄膜弾性表面波デバイス100の挿入損失及びインピーダンスの周波数依存性を模式的に示すグラフである。ここで、図示実線は本実施形態の挿入損失を示し、図示二点鎖線は本実施形態のインピーダンスを示し、図示点線は従来構造の薄膜弾性表面波デバイスの挿入損失及びインピーダンスを示している。上記のように構成することによって寄生容量Coを小さくすることができるため、本実施形態では従来構造よりも挿入損失が低減され、また、インピーダンスも低減されている。
[第2実施形態]
図2は、本発明に係る第2実施形態の弾性表面波デバイス200を示す概略縦断面図である。この実施形態では、基板201、絶縁層202、圧電体薄膜203、電極204ax,204ay,205a、導通部204bx,204by,205b、接続端子204cx,204cy、絶縁層206はそれぞれ上記第1実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
この弾性表面波デバイス200においては、圧電体薄膜203における上記電極が形成されている表面とは反対側の界面(基板201側の界面)に接する導電膜207が形成されている。この導電膜207は、弾性表面波デバイスの弾性表面波の実質的な伝播領域(電極204ax,204ayが形成されていて、その両側の一対の反射器205に挟まれた領域)の全体を平面的に覆うように構成されている。この導電膜207は、基板201が絶縁性基板である場合にはその基板201の表面上に直接形成してもよい。ただし、基板201が導電性基板であったり、或いは、基板201の表面上に配線パターンなどが形成されていたりする場合には、図示例のように絶縁膜202上に形成することが好ましい。この導電膜207は定電位(例えば接地電位)に導電接続されることが好ましい。この導電膜207によって、それよりも上層にある弾性表面波デバイスの構造部分の底部、すなわち、圧電体薄膜203の電極形成面とは反対側の界面の電位分布が緩和されるので、電気機械結合係数が低下しやすい圧電体薄膜203の薄い条件でも弾性表面波の伝播特性を向上させることができる。
[第3実施形態]
次に、図3を参照して本発明に係る第3実施形態の弾性表面波デバイス300について説明する。この実施形態では、基板301、絶縁層302、電極304ax,304ay、導通部304bx,304by、接続端子304cx,304cy、並びに、図示しない反射器を構成する電極及び導通部はそれぞれ上記第1実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
この実施形態では、圧電体薄膜303が、上記伝播領域上に形成された実効部303Aと、伝播領域以外の領域に形成された周辺部303Bとを有する。この周辺部303Bの厚さtp2は、実効部303Aの厚さtp1よりも大きく構成されている。そして、実効部303Aの表面上に上記電極304ax,304ayが形成され、周縁部303Bの表面上に上記導通部304bx,304by及び接続端子304cx,304cyが形成されている。また、この実施形態では、先の実施形態の絶縁層106,206に相当する層は形成されていない。
この圧電体薄膜303を形成する方法としては、一様な厚さtp2の圧電体薄膜を形成してから上記伝播領域だけ部分的に除去してもよく、また、一様な厚さtp1の圧電体薄膜を形成してから、さらに伝播領域以外の領域にのみさらに圧電体薄膜を積層してもよい。
この実施形態でも、導通部304bx,304by及び接続端子304cx,304cyを構成する配線層が電極304ax,304ayに較べてΔt=tp2−tp1だけ基板301から離れて形成されているため、配線層と基板301との間の静電容量がそのΔt分だけ小さくなり、その結果、寄生容量Coが低減される。
[第4実施形態]
次に、図4を参照して本発明に係る第4実施形態の弾性表面波デバイス400について説明する。この実施形態では、基板401、絶縁層402、電極404ax,404ay、導通部404bx,404by、接続端子404cx,404cy、並びに、図示しない反射器を構成する電極及び導通部はそれぞれ上記第1実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
この実施形態では、厚さtpの圧電体薄膜403が弾性表面波の伝播領域に限定して形成されており、また、厚さtiの絶縁層406が、圧電体薄膜403上に形成されておらず、圧電体薄膜403の形成されている下地面と同じ下地面(本実施形態では絶縁層402の表面)上に直接形成されている。そして、電極404ax,404ayは圧電体薄膜403上に形成され、導通部404bx,404by、接続端子404cx,404cyは絶縁層406上に形成されている。
本実施形態では、配線層が電極よりもΔt=ti−tpだけ基板401から離れている点は先の各実施形態と同様であるが、さらに、導通部404bx,404by及び接続端子404cx,404cyを構成する配線層と、基板401との間には圧電体薄膜403が配置されておらず、この圧電体薄膜403よりも誘電率の低い絶縁層406が配置されているので、配線層と基板401との間の誘電体の誘電率を先の各実施形態よりもさらに小さくすることが可能になることから、寄生容量Coをさらに低減することが可能になる。
[第5実施形態]
次に、図5を参照して、本発明に係る第5実施形態の弾性表面波デバイス500について説明する。この実施形態では、基板501、絶縁層502、圧電体薄膜503、電極504ax,504ay、導通部504bx,504by、接続端子504cx,504cy、並びに、図示しない反射器を構成する電極及び導通部はそれぞれ上記第1実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。
この実施形態では、導通部504bx,504by及び接続端子504cx,504cyで構成される配線層が表面上に形成されてなる絶縁層506内に、厚さtsの空間506aが設けられている。これによって、配線層と基板501との間の誘電体の実質的な誘電率が空間506aの厚さts分だけ絶縁層506の誘電率よりもさらに低下するために、配線層と基板501との間の静電容量もさらに低下する。したがって、上記の寄生容量Coをさらに低減できる。
上記空間506aは、例えば、絶縁層506の第1層を形成した後に、図示しない犠牲層(ポリシリコン、PSG、有機樹脂などで構成できる。)を形成し、この犠牲層上にさらに絶縁層506の第2層を積層し、その後、上記の犠牲層をエッチングなどで除去することによって構成できる。
なお、この実施形態は第1実施形態と同様の構造をベースとして空間506aを設けたものであるが、第2実施形態乃至第4実施形態の基本構造をベースとして空間を設けることも可能である。また、上記空間は絶縁層506の内部に形成されているが、本発明はこのような態様に限らず、空間が絶縁層506と配線層の間に設けられていたり、絶縁層506と圧電体薄膜503との間に設けられていたりしてもよいなど、配線層と基板501との間であればいずれに空間が設けられていても構わない。
尚、本発明の薄膜弾性表面波デバイスは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態のIDT(インタディジタル電極)は、シングル電極構造として描いてあるが、ダブル(スプリット)電極構造を有するものなど、種々の電極構造を用いることができる。また、上記各実施形態では、1端子対形共振子構造のデバイスについてのみ説明したが、本発明の弾性表面波デバイスでは、2端子対形共振子構造、トランスバーサル型フィルタ構造などの種々の弾性表面波デバイスの概略構造を採用することができる。
本発明に係る第1実施形態の概略縦断面図(a)、概略平面図(b)及び(b)のC−C線に沿った断面を示す概略縦断面図(c)。 第2実施形態の概略縦断面図。 第3実施形態の概略縦断面図。 第4実施形態の概略縦断面図。 第5実施形態の概略縦断面図。 第1実施形態の製造方法を示す概略工程断面図(a)及び(b)並びに絶縁層の端部側面を拡大して示す拡大断面図(c)。 第1実施形態の等価回路図。 第1実施形態の挿入損失及びインピーダンスの周波数特性を示すグラフ。
符号の説明
100…薄膜弾性表面波デバイス、101…基板、102…絶縁層、103…圧電体薄膜、104ax,104ay,105a…電極、104bx,104by,105b…導通部、104cx,104cy…接続端子、106…絶縁層、506a…空間

Claims (5)

  1. 基板と、該基板上に配置された圧電体薄膜と、該圧電体薄膜の表面に形成された電極とを有する薄膜弾性表面波デバイスにおいて、
    前記電極に導電接続された配線層を有し、該配線層と前記基板の距離が前記電極と前記基板の距離よりも大きいことを特徴とする薄膜弾性表面波デバイス。
  2. 前記配線層は、前記電極の形成領域における前記圧電体薄膜の表面よりも前記基板から離れた表面を備えた絶縁層上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜弾性表面波デバイス。
  3. 前記絶縁層は、前記圧電体薄膜よりも低い誘電率を有することを特徴とする請求項2に記載の薄膜弾性表面波デバイス。
  4. 前記絶縁層は多孔質膜であることを特徴とする請求項2又は3に記載の薄膜弾性表面波デバイス。
  5. 前記配線層の形成領域における前記配線層と前記基板との間には空間が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の薄膜弾性表面波デバイス。
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JP2009290423A (ja) * 2008-05-28 2009-12-10 Fujitsu Media Device Kk 弾性表面波デバイス

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