JP2005228802A - 蛍光発光装置、蛍光発光素子、および蛍光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた発光効率にて多色光を発光する発光装置を提供する。
【解決手段】LED素子20が青色光を発光すると、そのエネルギーの一部が蛍光体10に吸収されて、緑色蛍光層13Gおよび赤色蛍光層13Rに添加された希土類あるいは遷移金属元素をそれぞれ励起する。同時に、各蛍光層に閉じ込められたキャリアが該エネルギーにより再結合することによって生じるエネルギーによっても、当該希土類あるいは遷移金属元素が励起される。これにより、緑色蛍光層13Gと赤色蛍光層13Rとから、高効率で緑色光と赤色光とが発光する。蛍光層の組成に電気的制約がないので、電界を与える場合よりも多くの希土類あるいは遷移金属元素を添加することができる点も、発光効率向上に寄与する。LED素子20から発光された青色光と、蛍光体10から発光された緑色光と赤色光とが混合することによって、2色混合よりも発色性に優れた3色混合による白色光の発光が安価に実現される。
【選択図】図1

Description

本発明は、所望の波長範囲の光を発光する発光装置、発光素子および蛍光体に関する。
近年、白熱灯や蛍光灯よりも消費電力が少なく、かつ長寿命であるなどの理由で、照明光源や表示装置などに、いわゆるLED(発光ダイオード)からなる発光素子を用いた多色発光あるいは白色発光を利用するための研究、開発が盛んになされている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
一方、III族窒化物であるInN、GaN、AlNはそれぞれ1.9、3.4、6.2eV(結晶構造は全て六方晶)の直接遷移型のバンドギャップを持つことから、その混晶AlInGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1)は、可視光から紫外線領域に渡る幅広い波長の発光材料として有望視され、同領域における発光素子にこれを用いるための研究、開発もなされている(例えば、特許文献3および特許文献4参照。)。
特開平10−107325号公報 特開平9−167861号公報 特開2002−261324号公報 特開2002−368267号公報
特許文献1には、青色系発光をするLEDチップに、該LEDチップからの発光によって励起され黄色系発光をする蛍光物質をコーティングした発光装置が開示されている。係る発光装置は、LEDチップからの青色系発光と、蛍光物質からの黄色系発光との混色によって白色系発光を得ることを目的とするものである。しかしながら、係る2色混合によって得られる白色光のもとでは、直接に赤色を発光しないことから赤色の発色が悪く、フルカラーを十分に認識することができないという問題や、蛍光灯に比して十分な輝度が得られていないという問題がある。
特許文献2には、共通基板上に発光波長が異なる緑色、赤色、青色のLEDチップを配置した多色発光素子が開示されている。係る多色発光素子においては、各色のLEDチップを全て点灯させることで、白色光が得られる。係る態様においては、各色の発光に適した(発光効率のよい)LEDチップを用いることで、輝度や混色性は高まるが、3色のLEDチップをそれぞれ別個に作製するためにコストが高く、また実装が複雑になってしまうという問題がある。
特許文献3および特許文献4にはいずれも、InN、GaN、AlNの混晶である窒化物に、希土類あるいは遷移金属元素あるいは遷移金属元素を添加してなる発光層を備える半導体発光素子が開示されている。これらの半導体発光素子はいずれも、発光層を、いわゆるダブルへテロ型構造の活性層として構成してなるものである。そして、その両側にpn双方のクラッド層を介して設けた電極間に電圧を印加することによって活性層に添加された希土類あるいは遷移金属元素等を励起し、光が得られるようになっている。特に特許文献4に開示された半導体発光素子おいては、窒化物によるキャリアの閉じこめ効果をより向上させる発光層の構造を実現することで、発光効率の向上を実現させている。ただし、いずれの半導体発光素子の場合も、添加元素の添加量を増やすことによっても発光効率は向上するが、希土類あるいは遷移金属元素等の添加量が多くなると、添加元素の存在によって活性層たる発光層に生じる電界が弱くなり、結果として発光効率が劣化することから、添加量には係る観点からの制約がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より優れた発光効率にて任意の波長範囲の光を発光可能とし、複数波長の光を混合した所望の光を発光する発光装置、発光素子、および蛍光体を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加領域、を含む蛍光体と、第1の波長範囲を有する第1の光を発する光源と、を備え、前記光源から発光した第1の光によって前記希土類あるいは遷移金属元素を励起することにより、第2の波長範囲を有する第2の光を成分として有する光を発光する、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蛍光発光装置であって、前記添加領域を複数備え、それぞれの添加領域の組成が隣接する領域の組成と異なる、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の蛍光発光装置であって、前記それぞれの添加領域と前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域とが交互に層状に配置されてなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の蛍光発光装置であって、前記それぞれの添加領域のバンドギャップよりも、前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域のバンドギャップの方が大きいことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の蛍光発光装置であって、前記添加領域は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された島状結晶が形成されてなる領域であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の蛍光発光装置であって、前記蛍光体は、それぞれに前記添加領域を含む複数の蛍光領域を有しており、前記添加領域に添加されている前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素の種類が、それぞれの前記蛍光領域ごとに異なる、ことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の蛍光発光装置であって、前記光源が前記第1の光として青色光を発光し、前記蛍光体が、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、の2つの蛍光領域を備え、前記光源から発光された青色光によって前記第1および第2の希土類あるいは遷移金属元素を励起して前記第1および第2の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光とを前記第2の光として発光させることにより、前記青色光と前記第2の光とを成分として有する光を発光する、ことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の蛍光発光装置であって、前記光源が前記第1の光として紫外光を発光する光源であり、前記蛍光体が、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって青色光を発光する第3の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第3の蛍光領域と、の3つの蛍光領域を備え、前記光源から発光された紫外光によって前記第1、第2および第3の希土類あるいは遷移金属元素を励起して前記第1、第2および第3の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光と青色光とを前記第2の光として発光させる、ことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の蛍光発光装置であって、前記光源が発光ダイオードであることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の蛍光発光装置であって、前記蛍光体が所定の基板にエピタキシャル形成してなるものであることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加領域、を含む蛍光体構造と、前記蛍光体構造と連接して形成され、第1の波長範囲を有する第1の光を発する発光体構造と、を備え、前記発光体構造から発光された第1の光によって前記希土類あるいは遷移金属元素を励起することにより、第2の波長範囲を有する第2の光を成分として有する光を発光する、ことを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の蛍光発光素子であって、前記添加領域を複数備え、それぞれの添加領域の組成が隣接する領域の組成と異なる、ことを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の蛍光発光素子であって、前記それぞれの添加領域と前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域とが交互に層状に配置されてなることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の蛍光発光素子であって、前記それぞれの添加領域のバンドギャップよりも、前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域のバンドギャップの方が大きいことを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項13に記載の蛍光発光素子であって、前記添加領域は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された島状結晶が形成されてなる領域であることを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項12ないし請求項15のいずれかに記載の蛍光発光素子であって、前記蛍光体構造は、それぞれに前記添加領域を含む複数の蛍光領域を有しており、前記添加領域に添加されている前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素の種類が、それぞれの前記蛍光領域ごとに異なる、ことを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の蛍光発光素子であって、前記発光体構造が前記第1の光として青色光を発光し、前記蛍光体構造は、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、の2つの蛍光領域を備え、前記発光体構造から発光された青色光によって前記第1および第2の希土類あるいは遷移金属元素を励起して前記第1および第2の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光とを前記第2の光として発光させることにより、前記青色光と前記第2の光とを成分として有する光を発光する、ことを特徴とする。
請求項18に記載の発明は、請求項16に記載の蛍光発光素子であって、前記発光体構造が前記第1の光として紫外光を発光し、前記蛍光体構造が、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって青色光を発光する第3の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第3の蛍光領域と、の3つの蛍光領域を備え、前記発光体構造から発光された紫外光によって前記第1、第2および第3の希土類あるいは遷移金属元素を励起して前記第1、第2および第3の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光と青色光とを前記第2の光として発光させる、ことを特徴とする。
請求項19に記載の発明は、請求項11ないし請求項18のいずれかに記載の蛍光発光素子であって、前記発光体構造がダイオード構造を有することを特徴とする。
請求項20に記載の発明は、請求項11ないし請求項19のいずれかに記載の蛍光発光素子であって、前記蛍光体構造および前記発光体構造が所定の基板にエピタキシャル形成してなるものであることを特徴とする。
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の蛍光発光素子であって、前記蛍光体構造と前記発光体構造とを積層形成してなることを特徴とする。
請求項22に記載の発明は、請求項11ないし請求項21のいずれかに記載の蛍光発光素子であって、前記発光体構造が、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物を含む発光層を有することを特徴とする。
請求項23に記載の発明は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加領域、を含み、所定の光源から発光された第1の光によって前記希土類あるいは遷移金属を励起することにより、第2の波長範囲を有する第2の光を成分として有する光を発光する、ことを特徴とする。
請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の蛍光体であって、前記添加領域を複数備え、それぞれの添加領域の組成が隣接する領域の組成と異なる、ことを特徴とする。
請求項25に記載の発明は、請求項24に記載の蛍光体であって、前記それぞれの添加領域と前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域とが交互に層状に配置されてなることを特徴とする。
請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の蛍光体であって、前記それぞれの添加領域のバンドギャップよりも、前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域のバンドギャップの方が大きいことを特徴とする。
請求項27に記載の発明は、請求項25に記載の蛍光体であって、前記添加領域は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された島状結晶が形成されてなる領域であることを特徴とする。
請求項28に記載の発明は、請求項24ないし請求項27のいずれかに記載の蛍光体であって、それぞれに前記添加領域を含む複数の蛍光領域を有しており、前記添加領域に添加されている前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素の種類が、それぞれの前記蛍光領域ごとに異なる、ことを特徴とする。
請求項29に記載の発明は、請求項28に記載の蛍光体であって、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、の2つの蛍光領域を備え、所定の光源から発光された青色光によって前記第1および第2の希土類あるいは遷移金属元素が励起されることにより、前記第1および第2の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光とを前記第2の光として発光することにより、前記青色光と前記第2の光とを成分として有する光を発光する、ことを特徴とする。
請求項30に記載の発明は、請求項28に記載の蛍光体であって、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって青色光を発光する第3の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第3の蛍光領域と、の3つの蛍光領域を備え、所定の光源から発光された紫外光によって前記第1、第2および第3の希土類あるいは遷移金属元素を励起されることにより前記第1、第2および第3の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光と青色光とを前記第2の光として発光する、ことを特徴とする。
請求項31に記載の発明は、請求項23ないし請求項30のいずれかに記載の蛍光体であって、所定の基板にエピタキシャル形成してなるものであることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、窒化物の組成および希土類あるいは遷移金属元素の組成を適宜に定めることにより、任意の色の発光を、高い発光効率にて実現することができる。光励起により発光させるので、蛍光体の組成が電気的に制約されることがないことから、電圧を印加することで発光させる発光素子に比して高い固溶度で希土類あるいは遷移金属元素を固溶させることで高発光効率を実現できる。
特に、請求項2ないし請求項8、請求項12ないし請求項18、および請求項24ないし請求項30の発明によれば、各添加領域からの発光を重畳した光を発光するので、発光強度の増大や複数色の発光による混色を実現できる。
特に、請求項3ないし請求項5,請求項13ないし請求項15,および請求項25ないし請求項27の発明によれば、量子井戸構造の井戸層部分に希土類あるいは遷移金属元素を添加することができるので、希土類あるいは遷移金属元素からの発光効率を高めることができる。
特に、請求項4、請求項14、および請求項26の発明によれば、井戸層と、よりバンドギャップが大きい障壁層とを交互に積層配置することができるので、井戸層におけるキャリアの閉じ込め効果がより高められ、その結果、キャリアの再結合が効率よく行われることから、希土類あるいは遷移金属元素の発光の効率もより向上する。
特に、請求項5、請求項15、および請求項27の発明によれば、島状結晶が、バンドギャップが小さい量子ドットとして作用することにより、キャリアの閉じ込め効果が寄り高められ、その結果、キャリアの再結合が効率よく行われることから、希土類あるいは遷移金属元素の発光の効率もより向上する。
特に、請求項6ないし請求項8、請求項16ないし請求項18、および請求項28ないし請求項30の発明によれば、それぞれに異なる色を発光する各蛍光領域からの光を重畳した光を発光するので、複数色の発光による混色を実現できる。各蛍光領域を、各色の発光に最適な構造や組成に構成することができるので、発光効率の向上がより図れる。
特に、請求項7,請求項17、および請求項29の発明によれば、青色光を励起光源に用い、緑色光と赤色光とを励起により発生させることで、紫外光を励起光源とする場合よりも単純な構成で3色混合の発光装置を実現することができる。
特に、請求項8、請求項18、および請求項30の発明によれば、紫外光を励起光源に用い、青色光と緑色光と赤色光とを励起により発生させることで、3色を等価に発生させて白色光を得ることができるので、偏りがより少ない白色を発光させることができる。
また、請求項9および請求項19の発明によれば、消費電力が小さく、長寿命の発光ダイオードを光源として用いるので、発光装置あるいは発光素子を低コストにかつ高信頼度に作製できる。また、窒化物の組成や希土類あるいは遷移金属元素の種類を適宜に定めることにより、発光する2色混合よりも発色性に優れた3色混合による白色光の発光を、3色のLEDチップを用いるよりも安価な、1つの発光ダイオードと1つの蛍光体との組合せによって実現することができる。
また、請求項10、請求項20、請求項21、および請求項31の発明によれば、結晶品質の良い蛍光体を形成することができるので、発光効率をより向上することができる。
特に、請求項21の発明によれば、光源を別体に設ける場合よりも、素子の小型化が実現できる上、光源からの励起エネルギーを拡散させることなく効率よく吸収できるため、発光効率の改善にもつながる。
また、請求項22の発明によれば、蛍光体と光源とを同種の材料を用いて連続的に形成することができるので、作製プロセスの単純化やコストの抑制が可能となる。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る発光装置1を模式的に示す図である。図1に示す発光装置1は、蛍光体10と、LED素子20とを備える。
蛍光体10は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属が添加された添加領域を含めばよく、各種形成方法を用いることができる。たとえば、各構成元素を含む原料を焼結したり、上記領域粉末を樹脂に分散させたりして形成することができいる。また、CVD(chemical vapor deposition)、スパッタ、MBE(molecular beam epitaxy)などの各種薄膜形成方法により基板上に形成することも可能である。例えばサファイア単結晶からなる基板11上に、下地層12と、蛍光層13とがこの順に形成されてなる。基板11は、サファイア単結晶のほか、ZnO単結晶、LiAlO単結晶、LiGaO単結晶、MgAl単結晶、MgO単結晶などの酸化物単結晶、Si単結晶、SiC単結晶などのIV族あるいはIV−IV族単結晶、GaAs単結晶、AlN単結晶、GaN単結晶、およびAlGaN単結晶などのIII−V族単結晶、ZrBなどのホウ化物単結晶、アルミナ、AlNなどの焼結体基板、ガラス基板などの、公知の基板材料によって構成することができる。また、下地層12や蛍光層13は、所定の組成のIII族窒化物、あるいはこれに所定の添加元素を添加して形成されるが、各層の具体的な組成は、その目的や作用によって、適宜に設定される。また、蛍光体10は、下地層12をMOCVD(metal-organic chemical vaor deposition:有機金属化学気相成長)法により形成し、蛍光層13を、MBE(molecular beam epitaxy:分子線エピタキシー)法によって形成するのが、高い結晶品質の実現という観点からは好適であるが、全ての層をMOCVD法で形成してもよいし、全ての層をMBE法によって形成してもよい。また、遷移金属、希土類の添加については、必ずしも、母相である窒化物膜の形成と同時に行う必要はなく、イオン注入法等を用いて別途添加することもできる。
下地層12は、例えばGaNで形成される。ただし、下地層12にGaNを用いる場合は、基板11上にひとまず500℃程度の低温でAlNあるいはGaNの低温バッファ層14を形成したうえで、1000℃以上の温度でさらにGaNの層を形成することで、上記の結晶品質をみたす下地層12を形成する。これにより、下地層12の上に形成する蛍光層13が、良好な結晶品質を有するようになる。下地層12の厚みは、クラックの発生や用途などを考慮して適宜選択される。例えば数μm程度である。
蛍光層13は、図1において拡大して図示するように、2種類の層によって構成されてなる。1つは、所定のエネルギーを吸収することにより、緑色(G)の蛍光を発する緑色蛍光層13Gであり、もう1つは、所定のエネルギーを吸収することにより、赤色(R)の蛍光を発する赤色蛍光層13Rである。
緑色蛍光層13Gは、III族窒化物に、励起されることによって緑色を発光する希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加層131と、係る添加のなされない非添加層132とが、数nmずつ交互に、多数(好ましくは数十層ずつ)積層されてなる層である。
赤色蛍光層13Rは、III族窒化物に、励起されることによって赤色を発光する希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加層133と、係る添加のなされない非添加層134とが、数nmずつ交互に、多数(好ましくは数十層から数百層ずつ)積層されてなる層である。
添加層131および133はそれぞれ、非添加層132および134とは異なる組成の窒化物により形成される。すなわち、緑色蛍光層13Gと赤色蛍光層13Rとにおいては、窒化物の組成を交互に変えることにより、井戸層と、よりバンドが広い障壁層とが交互に堆積した、MQW(Multi Quantum Well:多重量子井戸)構造が実現されてなる。
ここで、希土類あるいは遷移金属元素は、発光効率を高めつつ所望の波長の光を得るために添加されるものである。希土類あるいは遷移金属元素は、光あるいは電子線等の外部励起に対してその固有の発光波長をもつ。複数の希土類あるいは遷移金属元素を適量添加することにより、任意の色合いをもつ光、例えば白色光を発光することが可能である。また、希土類あるいは遷移金属元素はその発光機構に不具合を与えることなく、窒化物中に固溶することができる。
下地層12がGaNによって形成される場合の例でいえば、緑色蛍光層13Gにおいて添加層131は、例えば、GaInN(x+y=1,x≧0、y≧0)にTbあるいはHoを添加して形成され、非添加層132は、GaNにて形成される。赤色蛍光層13Rにおいて添加層133はGaInN(x+y=1,x≧0、y≧0)にEuを添加して形成され、非添加層134は、GaNにて形成される。すなわち、本実施の形態においては、緑色蛍光層13Gおよび赤色蛍光層13RともにGaNあるいはGaInNをベースに形成される。なお、各色の蛍光層を全く異なる種類の元素からなる物質によって形成することも可能であるが、本実施の形態のように、ベースとなる物質を共通にして層形成する方が、コスト面からも作製時間の点からも効率的であることはいうまでもない。
なお、発光効率の向上という観点からは、緑色蛍光層13Gの添加層131、および、赤色蛍光層13Rの添加層133のいずれにおいても、結晶性を劣化させない範囲でできるだけ多くの希土類あるいは遷移金属元素を添加することが好ましい。本実施の形態においては、電気的な制約がないことから、特許文献3および特許文献4に開示されているような、活性層に電圧を印加して発光させる発光素子に比して、組成についての自由度が高いといえる。すなわち、電圧印加による発光素子よりも多くの希土類あるいは遷移金属元素を添加することができ、より高い発行効率を得ることができる。
LED素子20は、青色発光するPN型の半導体発光素子、いわゆる青色発光ダイオードである。LED素子20は、例えばサファイアからなる基板27上に、n型導電層21と、発光層22と、クラッド層23と、p型導電層24とが順に形成されてなる。なお、n型導電層21と発光層22との間にはクラッド層はなくてもよいが、設けられる態様であってもよい。p型導電層24上には、例えばAl/Niからなるp型電極25が形成されている。また、n型導電層21の一部は露出しており、この露出した部分には、例えばAu/Tiからなるn型電極26が形成されている。なお、基板27としては、蛍光体13に用いることができるものと同様の基板材料を用いることができる。また、n型導電層21、発光層22、クラッド層23、およびp型導電層24は、所定の組成のIII族窒化物、あるいはこれに所定の添加元素を添加して形成されるが、各層の具体的な組成は、その目的や作用によって、適宜に設定される。また、各層はいずれもMOCVD法によって形成されるのが、高い結晶品質の実現という観点からは好適であるが、MBE法を一部又は全部の層の形成に用いる態様であってもよい。
本実施の形態においては、図示しない所定の電源によってp型電極25とn型電極26との間に所定の電圧が印加されることによって、発光層22から所定の波長の青色光が発光する。本実施の形態において、LED素子20は、発光光源あるいは後述するように、励起光源として作用する。ただし、励起光源は、蛍光体10を励起できるものであれば他のものであってもよい。例えば、励起光源を電子線銃あるいは電子放出体として、電子により蛍光層13の希土類あるいは遷移金属元素を励起することも可能である。
n型導電層21は、III族窒化物に所定のn型のドーパントが添加されてなる。III族窒化物としては、例えば、全III族元素に対するGaの含有量が50at%以上、好ましくは70原子%以上の窒化物、さらに好ましくはGaNが用いられる。Ga以外のIII族元素として、Al及びInなどを含んでもよい。ドーパントとしては、例えばSiが用いられる。他にも、B、Geなどを用いることができる。n型導電層21は、数μm程度の厚みに形成される。n型導電層21は、転位密度が1×10/cm以下、(002)面におけるX線ロッキングカーブにおける半値幅が300秒以下という高い結晶品質を有するように構成される。
発光層22に用いるIII族窒化物の組成は、発光させる光の波長に応じて定められる。該組成に応じて発光層22のバンドギャップが変化するからである。例えばGaInN(x+y=1,x≧0、y≧0)にて発光層22を形成する場合、Inの比率によってバンドギャップ、つまりは発光波長が、青色光を発光する範囲で調整可能とされる。
p型導電層24は、III族窒化物に所定のp型のドーパントが添加されてなる。III族窒化物としては、例えば、全III族元素に対するGaの含有量が50at%以上、好ましくは70原子%以上の窒化物、さらに好ましくはGaNが用いられる。Ga以外のIII族元素として、Al及びInなどを含んでもよい。ドーパントとしては、例えばMgが用いられる。他にも、Zn、Beなどを用いることができる。p型導電層24は、数百nm程度の厚みに形成される。p型導電層24は、転位密度が1×10/cm以下、(002)面におけるX線ロッキングカーブにおける半値幅が300秒以下という高い結晶品質を有するように構成される。また、キャリア密度が1×1016/cm以上であることが必要であり、さらには1×1017/cm以上であることが好ましい。これにより、p型導電層24内での電圧降下を抑制できるとともに、発光層22に効率的に電圧を加え、発光効率の向上を図ることができる。
クラッド層23は、注入される電子の閉じこめ効果を高めるべく設けられる。例えば、p型導電層24のGaの一部をAlにて置換した組成のIII族窒化物において形成される。
本実施の形態に係る発光装置1においては、所定の電圧が印加されることによってLED素子20が青色光(B)を発光すると、その一部が蛍光体10に吸収され、そのエネルギーが励起エネルギーとなって、添加層131および133に添加された希土類あるいは遷移金属元素をそれぞれ励起し、それぞれに固有の波長の発光が生じる。これに加え、上述したMQW構造の井戸層である添加層131および133に閉じこめられていた電子あるいはホールといったキャリアが、青色光(B)によるエネルギーを得ることで再結合して発するエネルギーも、希土類あるいは遷移金属元素を励起するので、係るプロセスによっても同様に発光が生じる。その結果として、緑色蛍光層13Gおよび赤色蛍光層13Rからそれぞれ、緑色光(G)と赤色光(R)との蛍光が、高い発光効率で発せられることになる。そして、LED素子20から発光された青色光と、蛍光体10から発光された緑色光と赤色光とが混合することによって、白色光の発光が実現される。
これにより、2色混合よりも発色性に優れた3色混合による白色光の発光を、3色のLEDチップを用いるよりも安価な、1つのLEDチップと1つの蛍光体との組合せによって実現することができ、かつ高い輝度の白色光を得ることができる。
なお、蛍光層に添加する元素として他の希土類あるいは遷移金属元素を用いることにより、あるいは、異なる色を発光するLED素子20を用いることにより、色の組合せを異なるものとすることによって、白色光のみならず、任意の色の発光を実現することも可能である。また、蛍光層13が3種類以上の色を発光する層によって形成される態様であってもよい。
また、蛍光体10に直接に電圧を印加する発光素子と異なり、希土類あるいは遷移金属元素の添加量に電気的な制約がなく、また転位の存在による悪影響も小さいことから、結晶品質の許容範囲が広くなる。よって、1つの素子の大型化も容易である。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態においては、青色光を発光する発光光源と、緑色光と赤色光との蛍光を発光する蛍光層とが別体のものとなっていたが、青色光を励起光源として、緑色光と赤色光とを発光させて白色光を得る上で、両者が別体であることは必須の要件ではない。本実施の形態においては、両者が一体となった態様について説明する。
図2は、第2の実施の形態に係る発光装置101を模式的に示す図である。本実施の形態に係る発光装置101は、第1の実施の形態に係る蛍光体10に相当する蛍光体構造110上に、第1の実施の形態に係るLED素子20の基板より上の層に相当するダイオード構造120が形成されてなるものといえる。換言すれば、発光装置101は、蛍光体構造110を基板として、その上に、ダイオード構造120が形成されてなる発光素子として作用するものである。
より具体的には、発光装置101は、例えばサファイア単結晶からなる基板111上に、低温バッファ層114と、下地層112と、蛍光層113と、n型導電層121と、発光層122と、クラッド層123と、p型導電層124とが順に形成されてなる。これらは、それぞれ、第1の実施の形態に係る基板11、低温バッファ層14、下地層12、蛍光層13、n型導電層21、発光層22、クラッド層123、p型導電層24と同様の組成や構造を有するものであるので、その詳細な説明は省略する。なお、低温バッファ層114は、下地層112の結晶性を確保するうえで必要な場合に設けられる。また、p型導電層124上には、p型電極125が形成され、n型導電層121の一部は露出しており、この露出した部分にn型電極126が形成されている点も同様である。
発光装置101は、下地層112をMOCVD法により形成し、他の層を、MBE法によって形成するのが、高い結晶品質の実現という観点からは好適であるが、全ての層をMOCVD法で形成してもよいし、全ての層をMBE法によって形成してもよい。
本実施の形態においても、ダイオード構造120のp型電極125とn型電極126との間に電圧が印加されることによって発光層122から青色光が発光されると、その一部が蛍光体構造110に吸収され、そのエネルギーが励起エネルギーとなって、第1の実施の形態の蛍光層13と同様にMQW構造を有する緑色蛍光層113Gおよび赤色蛍光層113Rに添加された希土類あるいは遷移金属元素をそれぞれ直接に、あるいは井戸層に存在するキャリアの再結合により生じるエネルギーによって励起する。これにより、緑色蛍光層113Gおよび赤色蛍光層113Rからそれぞれ、緑色光(G)と赤色光(R)との蛍光が発せられる。そして、ダイオード構造120から発光された青色光と、蛍光体構造110から発光された緑色光と赤色光とが混合することによって、白色光の発光が実現される。
なお、ダイオード構造120の部分には電圧が印加されるが、その下の発光体構造110の部分には電圧は印加されないので、その組成に電気的な制約がない点は、第1の実施の形態と同様である。
よって、本実施の形態に係る発光装置おいても、第1の実施の形態と同様に、高輝度の白色光を安価に得ることができる。また、ダイオード構造120を蛍光体110上に直接形成していることから、第1の実施の形態より小型で、発光効率がよい発光装置を得ることができる。
また、本実施の形態においては、青色の発光効率がよいIII族窒化物をダイオード構造120の発光層122として用いるとともに、該III族窒化物と同種の元素からなる物質を、蛍光層113の添加層に用いることで高い閉じ込め効果を得ることができる。よって、例えば、MOCVD装置のみで、あるいはMBE装置のみで発光装置を形成する場合に、同種の窒化物を用いて蛍光体構造110とダイオード構造120とを連続して形成することができる。これは、作製プロセスの単純化やコストの抑制の面で好適な態様である。
<第3の実施の形態>
第1および第2の実施の形態は、いずれも、青色光を励起光源として、緑色光と赤色光の蛍光を得ることで白色光を実現する態様であったが、蛍光を利用して白色光を得る態様は、これらに限定されない。本実施の形態においては、異なる構成にて白色光を得る態様について説明する。
図3は、第3の実施の形態に係る発光装置201を模式的に示す図である。図3に示す発光装置201は、蛍光体210と、LED素子220とを備える。
蛍光体210は、例えばサファイア単結晶からなる基板211上に、下地層212と、蛍光層213とがこの順に形成されてなる。基板211は、サファイア単結晶のほか、ZnO単結晶、LiAlO単結晶、LiGaO単結晶、MgAl単結晶、MgO単結晶などの酸化物単結晶、Si単結晶、SiC単結晶などのIV族あるいはIV−IV族単結晶、GaAs単結晶、AlN単結晶、GaN単結晶、およびAlGaN単結晶などのIII−V族単結晶、ZrBなどのホウ化物単結晶などの、公知の基板材料によって構成することができる。また、下地層212や蛍光層213は、所定の組成のIII族窒化物、あるいはこれに所定の添加元素を添加して形成されるが、各層の具体的な組成は、その目的や作用によって、適宜に設定される。また、蛍光体210は、下地層212をMOCVD法により形成し、蛍光層213を、MBE法によって形成するのが、高い結晶品質の実現という観点からは好適であるが、全ての層をMOCVD法で形成してもよいし、全ての層をMBE法によって形成してもよい。
下地層212は、例えばAlGaNなどのIII族窒化物である。特に、下地層212は、転位密度が1×1011/cm以下、(002)面におけるX線ロッキングカーブにおける半値幅が200秒以下という高い結晶品質を有するように構成されることが望ましい。下地層212の厚みは、クラックの発生や用途などを考慮して適宜選択される。例えば数μm程度である。なお、Alを含むIII族窒化物材料を用いることにより、下地層212のバンドギャップを大きくすることができるため、LED素子220から発光される紫外光を透過させることができる。従って、特に紫外光を励起光として使用する場合には、下地層は紫外光の波長に対応するバンドギャップ以上になるようにAlを含むことが望ましく、特にAlNが望ましい。
蛍光層213は、図3において拡大して図示するように、3種類の層によって構成されてなる。1つは、所定のエネルギーを吸収することにより、青色(B)の蛍光を発する青色蛍光層213Bであり、もう1つは、所定のエネルギーを吸収することにより、緑色(G)の蛍光を発する緑色蛍光層213Gであり、さらにもう1つは、所定のエネルギーを吸収することにより、赤色(R)の蛍光を発する赤色蛍光層213Rである。
青色蛍光層213Bは、希土類あるいは遷移金属III族窒化物からなる微細な島状結晶I1が離散的に形成され、該島状結晶I1を覆うように、厚みが数nm程度の、III族窒化物によるキャップ層C1が形成されてなる、という構造が、多数回(好ましくは数十回)繰り返されてなる。なお、島状結晶I1は、量子効果が出現するような程度の、微細な大きさに形成される。すなわち、青色蛍光層213Bは、島状結晶I1が量子ドットとして作用する量子ドット構造が多層積層されてなる構造を有してなる。島状結晶I1とキャップ層C1とは、相異なる組成の窒化物により形成される。具体的には、キャップ層C1の中に、よりバンドギャップが小さい島状結晶を形成してなる。係る構造によって島状結晶I1の中にキャリアが効果的に閉じこめられる。島状結晶I1は、例えば、GaN、InN、あるいはGaInNからなり、キャップ層C1はAlNにより形成される。係る島状結晶I1は、下地層212またはキャップ層C1を構成するAlNの格子定数よりも、島状結晶I1を構成するIII族窒化物の格子定数の方が大きく、両者の間の界面エネルギーが大きいことを利用して形成されるものである。さらに、島状結晶I1には、励起されることによって青色を発光する希土類あるいは遷移金属元素が添加されてなる。例えば、Tmが添加されてなる。なお、この青色蛍光層213Bの構造は、別の見方をすれば、希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加層2131と、添加されていない非添加層2132とが多層積層されている構造であると捉えることもできる。
緑色蛍光層213Gおよび赤色蛍光層213Rについては、それぞれに、添加されている希土類あるいは遷移金属元素が、励起されることによって緑色を発光する希土類あるいは遷移金属元素や励起されることによって赤色を発光する希土類あるいは遷移金属元素であることの相違はあるものの、それぞれ、青色蛍光層213Bと同様の量子ドット構造を有してなる。すなわち、緑色蛍光層213Gは、島状結晶I2とキャップ層C2とからなり、赤色蛍光層213Rは、島状結晶I3とキャップ層C3とからなる。島状結晶I2は、例えば、GaNにTbあるいはHoが添加されてなり、島状結晶I3は、例えば、GaNにEuが添加されてなり、キャップ層C2およびC3はいずれもAlNにより形成される。そして、緑色蛍光層213Gは、希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加層2133と、添加されていない非添加層2134とが多層積層されている構造であると捉えることもでき、赤色蛍光層213Rは、希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加層2135と、添加されていない非添加層2136とが多層積層されている構造であると捉えることもできる。
なお、添加する希土類あるいは遷移金属元素の種類、濃度、島状結晶の密度および島状結晶を含む層の数等を調整することにより、所望の色合いの光、例えば白色光を高効率で発光することが可能である。
なお、発光効率の向上という観点からは、緑色蛍光層213Gの島状結晶C1、および、赤色蛍光層213Rの島状結晶C2のいずれにおいても、結晶性を劣化させない範囲でできるだけ多くの希土類あるいは遷移金属元素を添加することが好ましい。本実施の形態においては、電気的な制約がないことから、特許文献3および特許文献4に開示されているような、活性層に電圧を印加する発光させる発光素子に比して、組成についての自由度が高いといえる。すなわち、電圧印加による発光素子よりも多くの希土類あるいは遷移金属元素を添加することができ、より高い発行効率を得ることができる。
LED素子220は、紫外発光するPN型の半導体発光素子、いわゆる紫外発光ダイオードである。LED素子220は、例えばサファイアからなる基板227上に、下地層228と、n型導電層221と、クラッド層222と、発光層223と、p型導電層224とが順に形成されてなる。p型導電層224上には、例えばAl/Niからなるp型電極225が形成されている。また、n型導電層221の一部は露出しており、この露出した部分には、例えばAu/Tiからなるn型電極226が形成されている。なお、基板227としては、蛍光体213に用いることができるものと同様の基板材料を用いることができる。また、下地層228、n型導電層221、クラッド層222、発光層223、およびp型導電層224は、所定の組成のIII族窒化物、あるいはこれに所定の添加元素を添加して形成されるが、各層の具体的な組成は、その目的や作用によって、適宜に設定される。また、各層はいずれもMOCVD法によって形成されるのが、高い結晶品質の実現という観点からは好適であるが、MBE法を一部又は全部の層の形成に用いる態様であってもよい。
本実施の形態においては、図示しない所定の電源によってp型電極225とn型電極226との間に所定の電圧が印加されることによって、発光層223から所定の波長の紫外光が発光する。本実施の形態において、LED素子220は、発光光源あるいは後述するように、励起光源として作用する。ただし、励起光源は、蛍光体210を励起できるものであれば他のものであってもよい。例えば、励起光源を電子線銃あるいは電子放出体として、電子により蛍光層213の希土類あるいは遷移金属元素を励起することも可能である。
下地層228は、例えばAlNで形成される。特に、下地層228は、転位密度が1×1011/cm以下、(002)面におけるX線ロッキングカーブにおける半値幅が200秒以下という高い結晶品質を有するように形成されることが望ましい。下地層12の厚みは、クラックの発生や用途などを考慮して適宜選択される。例えば数μm程度である。
n型導電層221は、III族窒化物に所定のn型のドーパントが添加されてなる。上記のように下地層228がAlNである場合、III族窒化物としては、例えば、全III族元素に対するAlの含有量が下地層228よりもAlの含有量が少ない窒化物が用いられる。Al以外のIII族元素として、Ga及びInなどを含んでもよい。ドーパントとしては、例えばSiが用いられる。他にも、B、Geなどを用いることができる。n型導電層221は、転位密度が1×1011/cm以下、(002)面におけるX線ロッキングカーブにおける半値幅が200秒以下という高い結晶品質を有するように構成される。
クラッド層222は、例えば、上記のように下地層228がAlNである場合、n型導電層221のGaの一部をAlにて置換した組成のIII族窒化物に、Siが添加されて形成される。
発光層223は、III族窒化物に、発光中心のアクセプタとなる所定の添加元素が添加されてなる。本実施の形態において、発光層223は、図3において拡大して図示するように、第1組成層2231と、第2組成層2232とが、数nmずつ交互に、数層ずつ積層されてなる。例えば、第1組成層2231はAlGaInN(x+y+z=1,x≧0、y≧0、z≧0)にSiを添加して形成され、第2組成層2232は、AlGaN(x+y=1,x≧0、y≧0)にSiを添加して形成される。係る場合、wellにあたる部分をInを含む第1組成層2231とするMQW構造を実現することによって、紫外光の発光効率の向上が図られている。
p型導電層224は、III族窒化物に所定のp型のドーパントが添加されてなる。III族窒化物としては、例えば、全III族元素に対するGaの含有量が50at%以上のIII族窒化物が用いられる。Ga以外のIII族元素として、Al及びInなどを含んでもよい。ドーパントとしては、例えばMgが用いられる。他にも、Zn、Beなどを用いることができる。p型導電層224は、数百nm程度の厚みに形成される。p型導電層224は、転位密度が1×1011/cm以下、(002)面におけるX線ロッキングカーブにおける半値幅が200秒以下という高い結晶品質を有するように構成される。また、キャリア密度が1×1016/cm以上であることが必要であり、さらには1×1017/cm以上であることが好ましい。これにより、p型導電層224内での電圧降下を抑制できるとともに、発光層223に効率的に電圧を加え、発光効率の向上を図ることができる。
本実施の形態に係る発光装置201においては、所定の電圧が印加されることによってLED素子220が紫外光(UV)を発光すると、その一部が蛍光体210に吸収され、そのエネルギーが励起エネルギーとなって、島状結晶C1、C2およびC3に添加された希土類あるいは遷移金属元素をそれぞれ励起し、それぞれに固有の波長の発光が生じる。これに加え、量子ドットである島状結晶C1、C2およびC3に閉じこめられていた電子あるいはホールといったキャリアが、紫外光(UV)によるエネルギーを得ることで再結合して発するエネルギーも、希土類あるいは遷移金属元素を励起するので、係るプロセスによっても同様に発光が生じる。その結果として、希土類あるいは遷移金属青色蛍光層213B、緑色蛍光層213G、および赤色蛍光層213Rからそれぞれ、青色光(B)、緑色光(G)および赤色光(R)との蛍光が、高い発光効率で発せられることになる。そして、これら蛍光体210から発光された青色光と緑色光と赤色光とが混合することによって、白色光の発光が実現される。
これにより、2色混合よりも発色性に優れた3色混合による白色光の発光を、3色のLEDチップを用いるよりも安価な、1つのLEDチップと1つの蛍光体との組合せによって実現することができ、かつ高い輝度の白色光を得ることができる。
なお、蛍光層に添加する元素として他の希土類あるいは遷移金属元素を用いることにより、あるいは、異なる色を発光するLED素子220を用いることにより、色の組合せを異なるものとすることによって、白色光のみならず、任意の色の発光を実現することも可能である。また、蛍光層213が4種類以上の色を発光する層によって形成される態様であってもよい。
また、蛍光体210に直接に電圧を印加する発光素子と異なり、希土類あるいは遷移金属元素の添加量に電気的な制約がなく、また転位の存在による悪影響も小さいことから、結晶品質の許容範囲が広くなる。よって、1つの素子の大型化も容易である。
<第4の実施の形態>
第3の実施の形態においては、紫外光を発光する発光光源と、青色光、緑色光、および赤色光の蛍光を発光する蛍光層とが別体のものとなっていたが、紫外光を励起光源として、青色光、緑色光、および赤色光を発光させて白色光を得る上で、両者が別体であることは必須の要件ではない。本実施の形態においては、両者が一体となった態様について説明する。
図4は、第4の実施の形態に係る発光装置301を模式的に示す図である。本実施の形態に係る発光装置301は、第2の実施の形態に係る蛍光体210に相当する蛍光体構造310上に、第2の実施の形態に係るLED素子220の基板より上の層に相当するダイオード構造320が形成されてなるものといえる。換言すれば、発光装置301は、蛍光体構造310を基板として、その上に、ダイオード構造320が形成されてなる発光素子として作用するものである。
より具体的には、発光装置301は、例えばサファイア単結晶からなる基板311上に、下地層312と、蛍光層313と、n型導電層321と、クラッド層322と、発光層323と、p型導電層324とが順に形成されてなる。これらは、それぞれ、第3の実施の形態に係る基板211、下地層212、蛍光層213、n型導電層221、クラッド層222、発光層223、p型導電層224と同様の組成や構造を有するものであるので、その詳細な説明は省略する。また、p型導電層324上には、p型電極325が形成され、n型導電層321の一部は露出しており、この露出した部分にn型電極326が形成されている点も同様である。
発光装置301は、下地層312をMOCVD法により形成し、他の層を、MBE法によって形成するのが、高い結晶品質の実現という観点からは好適であるが、全ての層をMOCVD法で形成してもよいし、全ての層をMBE法によって形成してもよい。
本実施の形態においても、ダイオード構造320のp型電極325とn型電極326との間に電圧が印加されることによって発光層323から紫外光が発光されると、その一部が蛍光体構造310に吸収され、そのエネルギーが励起エネルギーとなって、第3の実施の形態の蛍光層213と同様に量子ドット構造を有する青色蛍光層313B、緑色蛍光層313G、および赤色蛍光層313Rに添加された希土類あるいは遷移金属元素をそれぞれ直接に、あるいは井戸層に存在するキャリアの再結合により生じるエネルギーによって励起する。これにより、青色蛍光層313B、緑色蛍光層313G、および赤色蛍光層313Rからそれぞれ、青色光(B)、緑色光(G)、および赤色光(R)の蛍光が発せられる。そして、ダイオード構造320から発光された紫外光と、蛍光体構造310から発光された青色光、緑色光、および赤色光が混合することによって、白色光の発光が実現される。
なお、ダイオード構造320の部分には電圧が印加されるが、その下の発光体構造310の部分には電圧は印加されないので、その組成に電気的な制約がない点は、第3の実施の形態と同様である。
よって、本実施の形態に係る発光装置おいても、第3の実施の形態と同様に、高輝度の白色光を安価に得ることができる。また、発光ダイオードを蛍光体上に直接形成していることから、第3の実施の形態より小型で、発光効率がよい発光装置を得ることができる。
また、本実施の形態においては、紫外の発光効率がよいIII族窒化物をダイオード構造320の発光層323として用いるとともに、該III族窒化物と同種の元素からなる物質を、蛍光層313の添加層に用いることで高い閉じ込め効果を得ることができる。よって、例えば、MOCVD装置のみで、あるいはMBE装置のみで発光装置を形成する場合に、同種の窒化物を用いて蛍光体構造310とダイオード構造320とを連続して形成することができる。これは、作製プロセスの単純化やコストの抑制の面で好適な態様である。
<第5の実施の形態>
第3および第4の実施の形態は、紫外光を励起光源として白色光を得る態様であったが、係る態様を実現するにあたって、各色の蛍光層が量子ドット構造を有することは必須の要件ではなく、第1および第2の実施の形態のようなMQW構造を有する態様でも、同様に白色光を得ることができる。本実施の形態においては、係る態様について説明するとともに、上記の実施の形態とは異なるダイオード構造について併せて説明する。
図5は、第4の実施の形態に係る発光装置401を模式的に示す図である。本実施の形態に係る発光装置401は、第4の実施の形態と同様に、蛍光体構造410の上に、ダイオード構造420が形成されてなるものといえる。換言すれば、発光装置401は、蛍光体構造410を基板として、その上に、ダイオード構造420が形成されてなる発光素子として作用するものである。
より具体的には、発光装置401は、例えばサファイア単結晶からなる基板411上に、下地層412と、蛍光層413と、n型導電層421と、クラッド層422と、発光層423と、p型導電層424とが順に形成されてなる。各層の具体的な組成は、その目的や作用によって、適宜に設定される。基板411と下地層412とは、それぞれ、第3の実施の形態に係る基板211および下地層212と同様の組成や構造を有するものであるので、その詳細な説明は省略する。また、p型導電層424上には、p型電極425が形成され、n型導電層421の一部は露出しており、この露出した部分にn型電極426が形成されている点も同様である。
発光装置401は、下地層412をMOCVD法により形成し、他の層を、MBE法によって形成するのが、高い結晶品質の実現という観点からは好適であるが、全ての層をMOCVD法で形成してもよいし、全ての層をMBE法によって形成してもよい。
蛍光層413は、図5において拡大して図示するように、3種類の層によって構成されてなる。1つは、所定のエネルギーを吸収することにより、青色(B)の蛍光を発する青色蛍光層413Bであり、もう1つは、所定のエネルギーを吸収することにより、緑色(G)の蛍光を発する緑色蛍光層413Gであり、さらにもう1つは、所定のエネルギーを吸収することにより、赤色(R)の蛍光を発する赤色蛍光層413Rである。
青色蛍光層413Bは、III族窒化物に、励起されることによって緑色を発光する希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加層4131と、係る添加のなされない非添加層4132とが、数nmずつ交互に、多数(好ましくは数十層ずつ)積層されてなる層である。
緑色蛍光層413Gは、III族窒化物に、励起されることによって緑色を発光する希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加層4133と、係る添加のなされない非添加層4134とが、数nmずつ交互に、多数(好ましくは数十層ずつ)積層されてなる層である。
赤色蛍光層413Rは、III族窒化物に、励起されることによって赤色を発光する希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加層4135と、係る添加のなされない非添加層4136とが、数nmずつ交互に、多数(好ましくは数十層ずつ)積層されてなる層である。
添加層4131、4133、および4135はそれぞれ、非添加層4132、4134、および4136とは異なる組成の窒化物により形成される。すなわち、緑色蛍光層413Gと赤色蛍光層413Rとにおいては、窒化物の組成を交互に変えることにより、井戸層と、よりバンドが広い障壁層とが交互に堆積した、MQW(Multi Quantum Well:多重量子井戸)構造が実現されてなる。
ここで、希土類あるいは遷移金属元素は、発光効率を高めつつ所望の波長の光を得るために添加されるものである。希土類あるいは遷移金属元素は、光あるいは電子線等の外部励起に対してその固有の発光波長をもつ。複数の希土類あるいは遷移金属元素を適量添加することにより、任意の色合いをもつ光、例えば白色光を発光することが可能である。また、希土類あるいは遷移金属元素はその発光機構に不具合を与えることなく、窒化物中に固溶することができる。
下地層411がAlNによって形成される場合の例でいえば、青色蛍光層413Bにおいて添加層4131は、例えば、AlGaN(x+y=1,x≧0、y≧0)にTmを添加して形成され、非添加層4132は、AlNにて形成される。緑色蛍光層413Gにおいて添加層4133は、例えば、AlGaN(x+y=1,x≧0、y≧0)にTbあるいはHoを添加して形成され、非添加層4132は、AlNにて形成される。赤色蛍光層413Rにおいて添加層4133はAlGaN(x+y=1,x≧0、y≧0)にEuを添加して形成され、非添加層4134は、AlNにて形成される。すなわち、本実施の形態においては、青色蛍光層413B、緑色蛍光層413Gおよび赤色蛍光層413RのいずれもAlNあるいはAlGaNをベースに形成される。なお、各色の蛍光層を全く異なる種類の元素からなる物質によって形成することも可能であるが、本実施の形態のように、ベースとなる物質を共通にして層形成する方が、コスト面からも作製時間の点からも効率的であることはいうまでもない。なお、本実施の形態の場合、蛍光層413にAlを含むことで、発光効率の向上が見込まれる。
n型導電層421は、III族窒化物に所定のn型のドーパントが添加されてなる。III族窒化物としては、例えば、全III族元素に対するAlの含有量が50at%程度のIII族窒化物が用いられる。Al以外のIII族元素として、Ga及びInなどを含んでもよい。ドーパントとしては、例えばSiが用いられる。他にも、B、Geなどを用いることができる。
クラッド層422は、例えば、n型導電層421のGaの一部をAlにて置換した組成のIII族窒化物に、Siが添加されて形成される。
発光層423は、III族窒化物に、発光中心のアクセプタとなる所定の添加元素が添加されてなる。本実施の形態において、発光層423は、図5において拡大して図示するように、第1組成層4231と、第2組成層4232とが、数nmずつ交互に、数層ずつ積層されてなる。例えば、第1組成層4231はAlGaInN(x+y+z=1,x≧0、y≧0、z≧0)にSiを添加して形成され、第2組成層4232は、AlGaN(x+y=1,x≧0、y≧0)にSiを添加して形成される。係る場合、wellにあたる部分をInを含む第1組成層4231とするMQW構造を実現することによって、紫外光の発光効率の向上が図られている。
p型導電層424は、III族窒化物に所定のp型のドーパントが添加されてなる添加層4241と、係る添加がなされていない非添加層4242とが、数nmずつ交互に、多数(好ましくは数十層ずつ)積層されてなる層である。すなわち、本実施の形態に係る発光装置401においては、p型導電層424においてこのように積層構造をとることにより、添加層4231を井戸層とするMQW構造が実現されている。
添加層4241としては、例えば、全III族元素に対するAlの含有量が50at%以上のIII族窒化物が用いられる。Al以外のIII族元素として、Ga及びInなどを含んでもよい。ドーパントとしては、例えばMgが用いられる。他にも、Zn、Beなどを用いることができる。非添加層4242としては、添加層4241よりもAlの比率が少ないIII族窒化物が用いられる。
なお、p型導電層424を係るMQW構造に形成することは、Alを多く含むIII族窒化物半導体を形成する場合に、単純な単層膜で形成する場合よりもp型電極424の抵抗値を低減させることができるという点で効果的である。
本実施の形態においても、ダイオード構造420のp型電極425とn型電極426との間に電圧が印加されることによって発光層423から紫外光が発光されると、その一部が蛍光体構造410に吸収され、そのエネルギーが励起エネルギーとなって、添加層4131、4133、および4135に添加された希土類あるいは遷移金属元素をそれぞれ励起し、それぞれに固有の波長の発光が生じる。これに加え、上述したMQW構造の井戸層である添加層4131、4133、および4135に閉じこめられていた電子あるいはホールといったキャリアが、紫外光(UV)によるエネルギーを得ることで再結合して発するエネルギーも、希土類あるいは遷移金属元素を励起するので、係るプロセスによっても同様に発光が生じる。その結果として、希土類あるいは遷移金属青色蛍光層413B、緑色蛍光層413G、および赤色蛍光層413Rからそれぞれ、青色光(B)、緑色光(G)、および赤色光(R)の蛍光が発せられる。そして、ダイオード構造420から発光された紫外光と、蛍光体構造410から発光された青色光、緑色光、および赤色光が混合することによって、白色光の発光が実現される。
よって、本実施の形態に係る発光装置おいても、高輝度の白色光を安価に得ることができる。
<第6の実施の形態>
以上の実施の形態において説明したような、MQW構造や量子ドット構造を有する蛍光体(構造)でなくとも、多色光の発光は実現される。本実施の形態では、より簡易な構造で、多色光として例えば白色光を得る態様について説明する。
図6は、第6の実施の形態に係る発光装置1001を模式的に示す図である。本実施の形態に係る発光装置1001は、第2の実施の形態に係る発光装置101に近似した構造を有する。すなわち、蛍光体構造1110上に、ダイオード構造1020が形成されてなる。
より具体的には、発光装置1001は、例えばサファイア単結晶からなる基板1011上に、低温バッファ層1014と、下地層1012と、蛍光層1013と、n型導電層1021と、発光層1022と、クラッド層1023と、p型導電層1024とが順に形成されてなる。これらは、蛍光層1013を除き、それぞれ、第2の実施の形態に係る基板111、低温バッファ層114、下地層112、n型導電層121、発光層12223、クラッド層12322、p型導電層124と同様の組成や構造を有するものであるので、その詳細な説明は省略する。なお、低温バッファ層1014は、下地層1012の結晶性を確保するうえで必要な場合に設けられる。また、p型導電層1024上には、p型電極1025が形成され、n型導電層1021の一部は露出しており、この露出した部分にn型電極1026が形成されている点も同様である。
蛍光層1013は、窒化物に、励起されることによって緑色(G)の蛍光を発する希土類あるいは遷移金属元素と、同じく励起されることによって赤色(R)の蛍光を発する希土類あるいは遷移金属元素とが添加されてなる。好ましくは、それぞれの希土類あるいは遷移金属元素は、微細均一に分散して存在するように添加される。蛍光層1013は、例えば、GaInN(x+y=1,x≧0、y≧0)に緑色(G)の蛍光を発する希土類あるいは遷移金属元素としてTbあるいはHoを、赤色(R)の蛍光を発する希土類あるいは遷移金属元素としてEuを添加して形成される。
発光装置1001は、下地層1012をMOCVD法により形成し、他の層を、MBE法によって形成するのが、高い結晶品質の実現という観点からは好適であるが、全ての層をMOCVD法で形成してもよいし、全ての層をMBE法によって形成してもよい。
本実施の形態においては、ダイオード構造1020のp型電極1025とn型電極1026との間に電圧が印加されることによって発光層1022から青色光が発光されると、その一部が蛍光体構造1010に吸収され、そのエネルギーが励起エネルギーとなって、蛍光層1013に添加された希土類あるいは遷移金属元素をそれぞれ直接に、あるいは井戸層に存在するキャリアの再結合により生じるエネルギーによって励起する。これにより、蛍光層113からは、緑色光(G)と赤色光(R)との蛍光が発せられる。ただし、それぞれの色を発光する希土類あるいは遷移金属元素は微細均一に分散しているので、見かけ上は、両者の混食光である黄色光が発せられる。そして、ダイオード構造1020から発光された青色光と、蛍光体構造1010から発光された緑色光と赤色光とからなる黄色光とが混合することによって、白色光の発光が実現される。
なお、ダイオード構造1020の部分には電圧が印加されるが、その下の発光体構造1010の部分には電圧は印加されないので、その組成に電気的な制約がない点は、第2の実施の形態と同様である。
よって、本実施の形態に係る発光装置おいては、より簡易な構造で、高輝度の白色光を得ることができる。もちろん、蛍光層1013に添加する元素として他の希土類あるいは遷移金属元素を用いることにより、あるいは、異なる色を発光するダイオード構造1020を形成することにより、色の組合せを異なるものとすることによって、白色光のみならず、任意の色の発光を実現することも可能である。添加する希土類あるいは遷移金属元素が1種だけの場合は、当該希土類あるいは遷移金属元素に固有の発光が生じることはいうまでもない。また、蛍光層1013から、3種類以上の色を発光するように、対応する種類の希土類あるいは遷移金属元素が添加される態様であってもよい。
(実施例1)
本実施例においては、図1に示す発光装置1を作製した。まず、蛍光体10の作製においては、基板11として2インチ径の厚さ500μmのC面サファイア単結晶を用い、これを所定のMOCVD装置の反応菅内に設置した。MOCVD装置は、反応ガスあるいはキャリアガスとして、少なくともH、N、TMG(トリメチルガリウム)およびNHが、反応管内に供給可能とされている。反応管内の圧力を100Torrに設定した後、Hを平均流速1m/secで流しながら、基板11を1100℃まで昇温した。
その後、いったん500℃に高温した後、TMAとNHとを供給して、AlNの低温バッファ層14を20nmの厚さに形成したうえで、再び1100℃に昇温し、TMGとNHとを供給して、下地層12として厚さ2μmのGaN層を形成した。この際、成膜速度を0.3μm/hrとなるように、TMA及びNHの供給量を設定した。なお、このGaN層中の転位密度をTEM(透過電子顕微鏡)によって観察したところ、1×1010/cmであった。また、GaNの(002)面のX線ロッキングカーブを測定したところ、その半値幅は60秒であり、AFM(原子間力顕微鏡)により求めた表面粗さ(Ra)は1.5Å以下であった。すなわち、GaNからなる下地層12は良好な結晶品質を有することが確認された。
引き続き、成長させたGaN層を保護するために、TMGとNHを平均流速10m/secで流して、GaN膜を厚さ10nm成長させた。
成長終了後、膜形成された基板を取り出し、これを所定のMBE装置の中に設置した。MBE装置は、固体源として、7NのGa、7NのIn、6NのAlを用いた。また、窒素源として、所定の高周波プラズマ装置により発生した原子状窒素を用いた。蛍光層を形成するために添加すべく、3NのTbおよびEuの固体源をそれぞれ設けた。
まず、基板を900℃まで加熱した後、Hを流すことにより保護層となっていたGaN膜を除去した。
続けて、GaNの下地層12の上に、緑色蛍光層13Gの添加層131を構成すべく、600℃で、Ga0.75In0.25Nを2nmの厚さに形成した。その際には、Tbを同時にドープさせた。さらに、非添加層132として、GaNを2nmの厚さに形成した。係る添加層131と非添加層132の形成を、それぞれが30層ずつとなるよう、繰り返し交互に行った。
同様に、赤色蛍光層13Rの添加層133を構成すべく、600℃で、Ga0.75In0.25Nを2nmの厚さに形成した。その際には、Euを同時にドープさせた。さらに、非添加層134として、GaNを2nmの厚さに形成した。係る添加層133と非添加層134の形成を、それぞれが20層ずつとなるよう、繰り返し交互に行った。
一方、LED素子20の作製においては、基板27として2インチ径の厚さ500μmのC面サファイア単結晶を用い、これを所定のMOCVD装置の反応菅内に設置した。MOCVD装置は、反応ガスあるいはキャリアガスとして、少なくともH、N、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMG、TMI(トリメチルインジウム)、CpMg、NH、およびSiHが、反応管内に供給可能とされている。反応管内の圧力を100Torrに設定した後、Hを平均流速1m/secで流しながら、基板27を1100℃まで昇温した。
その後、TMGとNHとSiHとを供給して、n型導電層21として、SiをドープしたGaN層を2μmの厚さに形成した。この際、成膜速度を0.3μm/hrとなるように、TMG及びNHの供給量を設定した。なお、このGaN層中の転位密度をTEMによって観察したところ、1×1010/cmであった。また、GaNの(002)面のX線ロッキングカーブを測定したところ、その半値幅は60秒であり、AFMにより求めた表面粗さ(Ra)は1.5Å以下であった。すなわち、n型導電層21は良好な結晶品質を有することが確認された。
ついで、TMGとTMIとNHとを供給して、発光層22として、Ga0.8In0.2Nを2.5μmの厚さに形成した。
さらに、TMGとTMAとNHとCpMgとを供給して、クラッド層23として、MgをドープしたAl0.1Ga0.9N層を30nmの厚さに形成した。
続けて、TMGとNHとCpMgとを供給して、p型導電層24として、MgをドープしたGaN層を0.2μmの厚さに形成した。次いで、Nガスを導入し、750℃において1時間保持して、p型導電層24の活性化処理を行った。
その後、発光層22、クラッド層23、およびp型導電層24を所定のエッチング工程によって部分的にエッチング除去することによって、n型導電層21を構成するSiドープGaN層の一部を露出させ、この露出部分に対してAl/Tiからなるn型電極26を形成した。また、p型導電層24を構成するMgドープGaN層上に、Au/Niからなるp型電極25を形成した。
得られたLED素子20に対し、Au/Ni電極とAl/Ti電極との間に電圧を印加したところ、LED素子20からは青色光の発光が確認された。
そして、係る青色光を蛍光体10に入射させたところ、緑色光と赤色光との発光が確認された。また、蛍光体10とLED素子20とを所定の配置関係に配置したうえで、Au/Ni電極とAl/Ti電極との間に電圧を印加することで、白色光の発光が確認された。
(実施例2)
本実施例においては、図2に示す発光装置101を作製した。まず、蛍光体構造110については、MOCVD装置およびMBE装置を用いて、実施例1の蛍光体10と同様に作製した。
引き続き、MBE装置において、蛍光体構造110の上に、ダイオード構造120の作製を行った。なお、本実施例において、MBE装置には、蛍光体構造110の作製に必要な固体源に加えて、ダイオード構造120を作製するに必要な固体源として、ドーパント源としてSi、Mgの固体源を用意した。
ダイオード構造120の形成は、まず、600℃で、蛍光層113の上にn型導電層121として、SiをドープしたGaN層を2μmの厚さに形成した。ついで、600℃で、発光層122を2.5μmの厚さに形成した。さらに、600℃で、クラッド層123として、MgをドープしたAl0.1Ga0.9N層を30nmの厚さに形成した。続けて、600℃で、p型導電層124として、MgをドープしたGaN層を0.2μmの厚さに形成した。
その後、発光層122、クラッド層123、およびp型導電層124を所定のエッチング工程によって部分的にエッチング除去することによって、n型導電層121を構成するSiドープGaN層の一部を露出させ、この露出部分に対してAl/Tiからなるn型電極126を形成した。また、p型導電層124を構成するMgドープGaN層上に、Au/Niからなるp型電極125を形成した。
得られた発光装置101に対し、Au/Ni電極とAl/Ti電極との間に電圧を印加したところ、白色光の発光が確認された。
(実施例3)
本実施例においては、図3に示す発光装置201を作製した。まず、蛍光体210の作製においては、基板211として2インチ径の厚さ500μmのC面サファイア単結晶を用い、これを所定のMOCVD装置の反応菅内に設置した。MOCVD装置は、反応ガスあるいはキャリアガスとして、少なくともH、N、TMA、TMG、およびNHが、反応管内に供給可能とされている。反応管内の圧力を100Torrに設定した後、H2を平均流速1m/secで流しながら、基板211を1100℃まで昇温した。
その後、TMAとNH3とを供給して、下地層212として厚さ1μmのAlN層を形成した。この際、成膜速度を0.3μm/hrとなるように、TMA及びNH3の供給量を設定した。なお、このAlN層中の転位密度をTEMによって観察したところ、1×1010/cmであった。また、GaNの(002)面のX線ロッキングカーブを測定したところ、その半値幅は60秒であり、AFMにより求めた表面粗さ(Ra)は1.5Å以下であった。すなわち、AlNからなる下地層212は良好な結晶品質を有することが確認された。
引き続き、成長させたAlN層を保護するために、TMGとNHを平均流速10m/secで流して、GaN膜を厚さ10nm成長させた。
成長終了後、膜形成された基板を取り出し、これを所定のMBE装置の中に設置した。MBE装置は、固体源として、7NのGa、7NのIn、6NのAlを用いた。また、窒素源として、所定の高周波プラズマ装置により発生した原子状窒素を用いた。蛍光層を形成するために添加すべく、3NのTm、Tb、およびEuの固体源をそれぞれ設けた。
まず、基板を900℃まで加熱した後、H2を流すことにより保護層となっていたGaN膜を除去した。
続けて、AlNの下地層212の上に、600℃で、GaNにTmをドープしてなる島状結晶I1を、厚さ2nm、水平方向の直径20nmに形成した。さらに、島状結晶I1を埋め込むように、キャップ層C1としてAlNを3nmの厚さに形成した。これは、2nmの厚さの添加層2131と、1nmの厚さの非添加層2132とを形成したことにも相当する。係る島状結晶I1とキャップ層C1の形成を、40回繰り返して行った。
同様に、いずれも600℃において、緑色蛍光層213Gについて、GaNにTbがドープされた島状結晶I2とAlNによるキャップ層C2との形成を、30回繰り返して行い、赤色蛍光層213Rについて、GaNにEuがドープされた島状結晶I3とAlNによるキャップ層C2との形成を、20回繰り返して行った。
一方、LED素子220の作製においては、基板227として2インチ径の厚さ500μmのC面サファイア単結晶を用い、これを所定のMOCVD装置の反応菅内に設置した。MOCVD装置は、反応ガスあるいはキャリアガスとして、少なくともH、N、TMA、TMG、TMI、CpMg、NH、およびSiHが、反応管内に供給可能とされている。反応管内の圧力を100Torrに設定した後、Hを平均流速1m/secで流しながら、基板11を1100℃まで昇温した。
まず、下地層228として、厚さ1μmのAlN層を形成した。この際、成膜速度を0.3μm/hrとなるように、TMA及びNHの供給量を設定した。
その後、TMAとTMGとNHとSiHとを供給して、n型導電層221として、SiをドープしたAl0.3Ga0.7N層を2μmの厚さに形成した。
引き続き、クラッド層22として、SiをドープしたAl0.4Ga0.6N層を20nmの厚さに形成した。
次いで、第1組成層2231を構成すべく、SiをドープしたAl0.2Ga0.78In0.02N層を2.5nmの厚さに形成した。さらに、第2組成層2232としてSiをドープしたAl0.25Ga0.75N層を2.5nmの厚さに形成した。係る第1組成層2231と第2組成層2232の形成をそれぞれが5層ずつとなるよう、繰り返し交互に行った。
続けて、TMAとTMGとNHとCpMgとを供給して、p型導電層224として、MgをドープしたAl0.3Ga0.7N層を0.1μmの厚さに形成した。次いで、N2ガスを導入し、750℃において1時間保持して、p型導電層224の活性化処理を行った。
その後、クラッド層222、発光層223、およびp型導電層224を所定のエッチング工程によって部分的にエッチング除去することによって、n型導電層221の一部を露出させ、この露出部分に対してAl/Tiからなるn型電極226を形成した。また、p型導電層224上に、Au/Niからなるp型電極225を形成した。
得られたLED素子220に対し、Au/Ni電極とAl/Ti電極との間に電圧を印加したところ、LED素子220からは青色光の発光が確認された。
そして、係る青色光を蛍光体210に入射させたところ、緑色光と赤色光との発光が確認された。また、蛍光体210とLED素子220とを所定の配置関係に配置したうえで、Au/Ni電極とAl/Ti電極との間に電圧を印加することで、白色光の発光が確認された。
(実施例4)
本実施例においては、図4に示す発光装置301を作製した。まず、蛍光体構造310については、MOCVD装置およびMBE装置を用いて、実施例3の蛍光体210と同様に作製した。
引き続き、MBE装置において、蛍光体構造310の上に、ダイオード構造320の作製を行った。なお、本実施例において、MBE装置には、蛍光体構造310の作製に必要な固体源に加えて、ダイオード構造320を作製するに必要な固体源として、ドーパント源としてIn、Si、Mgの固体源を用意した。
ダイオード構造320の形成は、まず、600℃で、蛍光層313の上にn型導電層321として、SiをドープしたAl0.3Ga0.7N層を2μmの厚さに形成した。ついで、600℃で、クラッド層322として、SiをドープしたAl0.4Ga0.6N層を20nmの厚さに形成した。
次いで、発光層323の第1組成層3231を構成すべく、600℃で、SiをドープしたAl0.2Ga0.78In0.02N層を2.5nmの厚さに形成した。さらに、第2組成層3232としてSiをドープしたAl0.25Ga0.75N層を2.5nmの厚さに形成した。係る第1組成層3231と第2組成層3232の形成をそれぞれが5層ずつとなるよう、繰り返し交互に行った。
続けて、600℃で、p型導電層324として、MgをドープしたAl0.3Ga0.7N層を0.1μmの厚さに形成した。
その後、発光層322、クラッド層323、およびp型導電層324を所定のエッチング工程によって部分的にエッチング除去することによって、n型導電層321の一部を露出させ、この露出部分に対してAl/Tiからなるn型電極326を形成した。また、p型導電層324の上に、Au/Niからなるp型電極325を形成した。
得られた発光装置301に対し、Au/Ni電極とAl/Ti電極との間に電圧を印加したところ、白色光の発光が確認された。
(実施例5)
本実施例においては、図5に示す発光装置401を作製した。まず、基板411として2インチ径の厚さ500μmのC面サファイア単結晶を用い、これを所定のMOCVD装置の反応菅内に設置した。MOCVD装置は、反応ガスあるいはキャリアガスとして、少なくともH、N、TMA、TMG、およびNHが、反応管内に供給可能とされている。反応管内の圧力を100Torrに設定した後、H2を平均流速1m/secで流しながら、基板411を1100℃まで昇温した。
その後、TMAとNHとを供給して、下地層412として厚さ1μmのAlN層を形成した。この際、成膜速度を0.3μm/hrとなるように、TMA及びNHの供給量を設定した。なお、このAlN層中の転位密度をTEMによって観察したところ、1×1010/cmであった。また、GaNの(002)面のX線ロッキングカーブを測定したところ、その半値幅は60秒であり、AFMにより求めた表面粗さ(Ra)は1.5Å以下であった。すなわち、AlNからなる下地層412は良好な結晶品質を有することが確認された。
引き続き、成長させたAlN層を保護するために、TMGとNHを平均流速10m/secで流して、GaN膜を厚さ10nm成長させた。
成長終了後、膜形成された基板を取り出し、これを所定のMBE装置の中に設置した。MBE装置は、固体源として、7NのGa、7NのIn、6NのAlを用いた。また、窒素源として、所定の高周波プラズマ装置により発生した原子状窒素を用いた。蛍光層を形成するために添加すべく、3NのTm、Tb、およびEuの固体源をそれぞれ設けた。さらに、ドーパント源として、Si、Mgの固体源を設けた。
まず、基板を900℃まで加熱した後、H2を流すことにより保護層となっていたGaN膜を除去した。
続けて、AlNの下地層412の上に、青色蛍光層413Bの添加層4131を構成すべく、600℃で、Al0.3Ga0.7Nを3nmの厚さに形成した。その際には、Tmを同時にドープさせた。さらに、非添加層4132として、AlNを3nmの厚さに形成した。係る添加層4131と非添加層4132の形成を、それぞれが40層ずつとなるよう、繰り返し交互に行った。
同様に、緑色蛍光層413Gの添加層4133を構成すべく、600℃で、Al0.3Ga0.7Nを3nmの厚さに形成した。その際には、Tbを同時にドープさせた。さらに、非添加層4134として、AlNを3nmの厚さに形成した。係る添加層4133と非添加層4134の形成を、それぞれが30層ずつとなるよう、繰り返し交互に行った。
同様に、赤色蛍光層413Rの添加層4135を構成すべく、600℃で、Al0.3Ga0.7Nを3nmの厚さに形成した。その際には、Euを同時にドープさせた。さらに、非添加層4135として、AlNを3nmの厚さに形成した。係る添加層4135と非添加層4136の形成を、それぞれが20層ずつとなるよう、繰り返し交互に行った。
さらに、600℃で、n型導電層421として、SiをドープしたAl0.5Ga0.5層を2μmの厚さに形成した。引き続き、600℃で、クラッド層422として、SiをドープしたAl0.48Ga0.52N層を20nmの厚さに形成した。
次いで、発光層423の第1組成層4231を構成すべく、600℃で、SiをドープしたAl0.4Ga0.58In0.02N層を2.5nmの厚さに形成した。さらに、600℃で、第2組成層4232としてSiをドープしたAl0.45Ga0.55N層を2.5nmの厚さに形成した。係る第1組成層4231と第2組成層4232の形成をそれぞれが10層ずつとなるよう、繰り返し交互に行った。なお係る組成を有する発光層423は、実施例4で例示する組成の発光層323よりも短波長の紫外光を発光するものである。
続けて、p型導電層424を構成すべく、600℃で、添加層4241としてMgをドープしたAl0.5Ga0.5N層を2.5nmの厚さに形成し、引き続き非添加層4242として、600℃で、Al0.48Ga0.52N層を2.5nmの厚さに形成した。係る添加層4241と非添加層4242との形成を、それぞれが100層ずつとなるよう、繰り返し行った。
その後、クラッド層422、発光層423、およびp型導電層424を所定のエッチング工程によって部分的にエッチング除去することによって、n型導電層221の一部を露出させ、この露出部分に対してAl/Tiからなるn型電極426を形成した。また、p型導電層224上に、Au/Niからなるp型電極425を形成した。
得られた発光装置401に対し、Au/Ni電極とAl/Ti電極との間に電圧を印加したところ、白色光の発光が確認された。
(実施例6)
本実施例においては、図6に示す発光装置1001を作製した。まず、蛍光体構造1010については、MOCVD装置を用いて、実施例1の蛍光体10と同様に、AlNからなるバッファ層1014と、GaNからなる下地層1012を作製した。引き続き、成長させたGaN層を保護するために、TMGとNH3を平均流速10m/secで流して、GaN膜を厚さ10nm成長させた。
成長終了後、膜形成された基板を取り出し、これを所定のMBE装置の中に設置した。MBE装置は、固体源として、7NのGa、7NのIn、6NのAlを用いた。また、窒素源として、所定の高周波プラズマ装置により発生した原子状窒素を用いた。蛍光層を形成するために添加すべく、3NのTbおよびEuの固体源をそれぞれ設けた。
まず、基板を900℃まで加熱した後、H2を流すことにより保護層となっていたGaN膜を除去した。
続けて、GaNの下地層1012の上に、蛍光層1013を構成すべく、600℃で、Ga0.75In0.25Nを2nmの厚さに形成した。その際には、TbとEuとを同時にドープさせた。
引き続き、MBE装置において、蛍光体構造1010の上に、実施例2のダイオード構造120の作製と同様に、ダイオード構造1020の作製を行った。
得られた発光装置1001に対し、Au/Ni電極とAl/Ti電極との間に電圧を印加したところ、白色光の発光が確認された。
<変形例>
Al、In、Ga、Bを少なくとも1種含む窒化物、つまりはAlInGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1)を蛍光体として利用するのであれば、上述のように単結晶基板にエピタキシャル成長させる態様のみならず、該窒化物そのものを単結晶、エピタキャル膜、多結晶あるいは粉体等の様々な形態で利用することはもちろん可能である。これらに希土類あるいは遷移金属元素を添加して用いる態様も同様に可能である。
希土類あるいは遷移金属元素としては、上述のように、赤色発光にEu、青色発光にTm、緑色発光TbあるいはHo等を用いることが可能であり、さらに赤外発光にはErを用いることが可能であるが、必ずしもこれらの元素に限られるわけではない。
また、上記の実施の形態では、主として、希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加層と添加されていない非添加層とが交互に配置される態様が実現されていたが、これに代わり、異なる希土類あるいは遷移金属元素が添加された層が交互に配置される態様であってもよい。
本発明の第1の実施の形態に係る発光装置1を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る発光装置101を模式的に示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る発光装置201を模式的に示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る発光装置301を模式的に示す図である。 本発明の第5の実施の形態に係る発光装置401を模式的に示す図である。 本発明の第6の実施の形態に係る発光装置1001を模式的に示す図である。
符号の説明
1、101、201、301、401、1001 発光装置
10、210 蛍光体
110、310、410、1010 蛍光体構造
11、111、211,311、411、1011 (蛍光体(構造)の)の基板
12、112、212、312、412。1012 (蛍光体(構造)の)下地層
13、113、213、313、413、1013 蛍光層
13G、113G、213G、313G、413G 緑色蛍光層
13R、113R、213R、313R、413R 赤色蛍光層
14,114、1014 低温バッファ層
20、229 LED素子
120、320、420、1020 ダイオード構造
21、121、221、321、421、1021 n型導電層
22、122、223、323、423、1022 発光層
23、123、222、322、422、1022 クラッド層
24、124、224、324、424、1024 p型導電層
25、125、225、325、425、1025 p型電極
26、126、226、326、426、1026 n型電極
213b、313b、413b 青色蛍光層
27、227 (LED素子の)基板
C1〜C3 キャップ層
I1〜I3 島状結晶

Claims (31)

  1. Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加領域、
    を含む蛍光体と、
    第1の波長範囲を有する第1の光を発する光源と、
    を備え、
    前記光源から発光した第1の光によって前記希土類あるいは遷移金属元素を励起することにより、第2の波長範囲を有する第2の光を成分として有する光を発光する、
    ことを特徴とする蛍光発光装置。
  2. 請求項1に記載の蛍光発光装置であって、
    前記添加領域を複数備え、
    それぞれの添加領域の組成が隣接する領域の組成と異なる、
    ことを特徴とする蛍光発光装置。
  3. 請求項2に記載の蛍光発光装置であって、
    前記それぞれの添加領域と前記希土類あるいは元素が添加されていない領域とが交互に層状に配置されてなることを特徴とする蛍光発光装置。
  4. 請求項3に記載の蛍光発光装置であって、
    前記それぞれの添加領域のバンドギャップよりも、前記希土類あるいは元素が添加されていない領域のバンドギャップの方が大きいことを特徴とする蛍光発光装置。
  5. 請求項3に記載の蛍光発光装置であって、
    前記添加領域は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された島状結晶が形成されてなる領域であることを特徴とする蛍光発光装置。
  6. 請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の蛍光発光装置であって、
    前記蛍光体は、
    それぞれに前記添加領域を含む複数の蛍光領域を有しており、
    前記添加領域に添加されている前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素の種類が、それぞれの前記蛍光領域ごとに異なる、
    ことを特徴とする蛍光発光装置。
  7. 請求項6に記載の蛍光発光装置であって、
    前記光源が前記第1の光として青色光を発光し、
    前記蛍光体が、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、
    の2つの蛍光領域を備え、
    前記光源から発光された青色光によって前記第1および第2の希土類あるいは遷移金属元素を励起して前記第1および第2の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光とを前記第2の光として発光させることにより、前記青色光と前記第2の光とを成分として有する光を発光する、
    ことを特徴とする蛍光発光装置。
  8. 請求項6に記載の蛍光発光装置であって、
    前記光源が前記第1の光として紫外光を発光する光源であり、
    前記蛍光体が、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって青色光を発光する第3の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第3の蛍光領域と、
    の3つの蛍光領域を備え、
    前記光源から発光された紫外光によって前記第1、第2および第3の希土類あるいは遷移金属元素を励起して前記第1、第2および第3の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光と青色光とを前記第2の光として発光させる、
    ことを特徴とする蛍光発光装置。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の蛍光発光装置であって、
    前記光源が発光ダイオードであることを特徴とする蛍光発光装置。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の蛍光発光装置であって、
    前記蛍光体が所定の基板にエピタキシャル形成してなるものであることを特徴とする蛍光発光装置。
  11. Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加領域、
    を含む蛍光体構造と、
    前記蛍光体構造と連接して形成され、第1の波長範囲を有する第1の光を発する発光体構造と、
    を備え、
    前記発光体構造から発光された第1の光によって前記希土類あるいは遷移金属元素を励起することにより、第2の波長範囲を有する第2の光を成分として有する光を発光する、
    ことを特徴とする蛍光発光素子。
  12. 請求項11に記載の蛍光発光素子であって、
    前記添加領域を複数備え、
    それぞれの添加領域の組成が隣接する領域の組成と異なる、
    ことを特徴とする蛍光発光素子。
  13. 請求項12に記載の蛍光発光素子であって、
    前記それぞれの添加領域と前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域とが交互に層状に配置されてなることを特徴とする蛍光発光素子。
  14. 請求項13に記載の蛍光発光素子であって、
    前記それぞれの添加領域のバンドギャップよりも、前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域のバンドギャップの方が大きいことを特徴とする蛍光発光素子。
  15. 請求項13に記載の蛍光発光素子であって、
    前記添加領域は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された島状結晶が形成されてなる領域であることを特徴とする蛍光発光素子。
  16. 請求項12ないし請求項15のいずれかに記載の蛍光発光素子であって、
    前記蛍光体構造は、
    それぞれに前記添加領域を含む複数の蛍光領域を有しており、
    前記添加領域に添加されている前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素の種類が、それぞれの前記蛍光領域ごとに異なる、
    ことを特徴とする蛍光発光素子。
  17. 請求項16に記載の蛍光発光素子であって、
    前記発光体構造が前記第1の光として青色光を発光し、
    前記蛍光体構造は、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、
    の2つの蛍光領域を備え、
    前記発光体構造から発光された青色光によって前記第1および第2の希土類あるいは遷移金属元素を励起して前記第1および第2の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光とを前記第2の光として発光させることにより、前記青色光と前記第2の光とを成分として有する光を発光する、
    ことを特徴とする蛍光発光素子。
  18. 請求項16に記載の蛍光発光素子であって、
    前記発光体構造が前記第1の光として紫外光を発光し、
    前記蛍光体構造が、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって青色光を発光する第3の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第3の蛍光領域と、
    の3つの蛍光領域を備え、
    前記発光体構造から発光された紫外光によって前記第1、第2および第3の希土類あるいは遷移金属元素を励起して前記第1、第2および第3の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光と青色光とを前記第2の光として発光させる、
    ことを特徴とする蛍光発光素子。
  19. 請求項11ないし請求項18のいずれかに記載の蛍光発光素子であって、
    前記発光体構造がダイオード構造を有することを特徴とする蛍光発光素子。
  20. 請求項11ないし請求項19のいずれかに記載の蛍光発光素子であって、
    前記蛍光体構造および前記発光体構造が所定の基板にエピタキシャル形成してなるものであることを特徴とする蛍光発光素子。
  21. 請求項20に記載の蛍光発光素子であって、
    前記蛍光体構造と前記発光体構造とを積層形成してなることを特徴とする蛍光発光素子。
  22. 請求項11ないし請求項21のいずれかに記載の蛍光発光素子であって、
    前記発光体構造が、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物を含む発光層を有することを特徴とする蛍光発光素子。
  23. Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された添加領域、
    を含み、
    所定の光源から発光された第1の光によって前記希土類あるいは遷移金属を励起することにより、第2の波長範囲を有する第2の光を成分として有する光を発光する、
    ことを特徴とする蛍光体。
  24. 請求項23に記載の蛍光体であって、
    前記添加領域を複数備え、
    それぞれの添加領域の組成が隣接する領域の組成と異なる、
    ことを特徴とする蛍光体。
  25. 請求項24に記載の蛍光体であって、
    前記それぞれの添加領域と前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域とが交互に層状に配置されてなることを特徴とする蛍光体。
  26. 請求項25に記載の蛍光体であって、
    前記それぞれの添加領域のバンドギャップよりも、前記希土類あるいは遷移金属元素が添加されていない領域のバンドギャップの方が大きいことを特徴とする蛍光体。
  27. 請求項25に記載の蛍光体であって、
    前記添加領域は、Al、In、Ga、Bのうち、少なくとも1種の元素を含む窒化物に少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素が添加された島状結晶が形成されてなる領域であることを特徴とする蛍光体。
  28. 請求項24ないし請求項27のいずれかに記載の蛍光体であって、
    それぞれに前記添加領域を含む複数の蛍光領域を有しており、
    前記添加領域に添加されている前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素の種類が、それぞれの前記蛍光領域ごとに異なる、
    ことを特徴とする蛍光体。
  29. 請求項28に記載の蛍光体であって、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、
    の2つの蛍光領域を備え、
    所定の光源から発光された青色光によって前記第1および第2の希土類あるいは遷移金属元素が励起されることにより、前記第1および第2の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光とを前記第2の光として発光することにより、前記青色光と前記第2の光とを成分として有する光を発光する、
    ことを特徴とする蛍光体。
  30. 請求項28に記載の蛍光体であって、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって赤色光を発光する第1の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第1の蛍光領域と、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって緑色光を発光する第2の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第2の蛍光領域と、
    前記少なくとも1種の希土類あるいは遷移金属元素として、励起によって青色光を発光する第3の希土類あるいは遷移金属元素が添加された第3の蛍光領域と、
    の3つの蛍光領域を備え、
    所定の光源から発光された紫外光によって前記第1、第2および第3の希土類あるいは遷移金属元素を励起されることにより前記第1、第2および第3の蛍光領域からそれぞれ赤色光と緑色光と青色光とを前記第2の光として発光する、
    ことを特徴とする蛍光体。
  31. 請求項23ないし請求項30のいずれかに記載の蛍光体であって、
    所定の基板にエピタキシャル形成してなるものであることを特徴とする蛍光体。



























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