JP2005227271A - 電動機用コイル試験方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電動機用コイルの絶縁不良を精度よく判定できる試験方法および装置を提供する。
【解決手段】 電動機の回転子と被験コイルとの相対位置を第1位置に位置決めするステップと、第1位置において被験コイルのインダクタンス値を測定するステップ(S101)と、第1位置のインダクタンス値から、判定基準に基づいてコイルの絶縁不良を判定する判定ステップ(S103)と、固定子のコイルに対してインパルス電圧試験を行うステップ(S108)と、インパルス電圧試験により得られた応答波形の面積を、所定の基準応答波形面積と比較することにより、コイルの絶縁不良を判定する判定ステップ(S109)とを有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、電動機の固定子のコイルの試験方法および装置に関し、特に、コイルの絶縁状態の良否の判定を行う試験方法および装置に関する。
電動機等の品質を確保するには、使用されるコイルに絶縁状態の破れがないことが重要である。一般に、コイルが良好に絶縁されていることを検査する手法として、インパルス電圧試験が採用されている。このインパルス電圧試験は、コイルにインパルス電流を流すことによりコイルに発生する過渡応答電圧の減衰振動波形を計測し、その波形を、巻線異常の無いことが保証されているコイルの示す減衰振動波形と比較検討し、コイル内の短絡および巻数の過不足を判定するテスト法である。
図2は、従来のインパルス電圧試験において出力される過渡応答電圧波形のグラフである。このグラフの横軸は時間、縦軸は電圧である。従来のインパルス電圧試験では、予め設定された標本波形と、被験コイルの示す波形との差異から被験コイルの異常の有無を判定している。具体的には、例えば、時間軸と曲線21で囲まれている第1領域R1の面積、または、第2領域R2の面積を計算し、標本波形における同一の領域の面積と比較する。そして、両波形における面積の差が所定の値域内に含まれるか否かで被験コイルの異常の有無を判定している。
このテスト法に則って、例えば、3相巻線の固定子を有する電動機のコイルを検査する場合、例えば第1相と第2相との間に1000Vの電圧を印加して発生する減衰振動波形を計測する。この減衰振動波形を、先の計測と同一条件下で計測された巻線異常の無いことが保証されているコイルの減衰振動波形と比較検討し、両波形のずれの量から検査対象となっているコイルの巻線異常の有無を判定する(特許文献1および特許文献2参照。)。
また、上記テスト法では、電動機の回転子を装着せずに行うため、検出される減衰振動波形の感度が固定子を装着した場合に検出される値に比して低く、巻線異常の検出が困難となる場合があった。
また、インパルス電圧を印加することで得られるコイルの過渡応答電圧波形は、例えば環境温度により変化する。そのため、高温環境下で被験コイルを試験する必要がある場合などは、被験コイルおよびその周囲の部材が環境温度の変化の影響を受け、判定が困難になる場合がある。また、電動機を構成する部材の許容される個体差、および、構成上の許容されるずれ等によっても、検出される応答波形が変化するおそれがある。この変化がコイル異常の有無判定を困難にしている。
特許文献3の開示する発明においては、上記問題点を解消することを目的として回転子が挿入される空間に未着磁の回転子を挿入してインパルス電圧試験を実施している。そうすることで、電圧が印加されたときにコイルから発生する磁束が回転子を効率よく通過し、検出される減衰振動波形の感度は良好となり、巻線異常の検出をより精度よく行うことができる。
上記特許文献3において、固定子内部に挿入される回転子は磁気的性質が一様な磁性材料で構成されている。これは、固定子に対する回転子の位置に依存して、測定されるコイルのインダクタンス値が変化することを回避することを目的としている。そのため、既に着磁された磁石等、回転子の磁気的性質に方向性を与える部材が装着された回転子を有する電動機用コイルの試験には不適であった。
特許文献4の開示する発明においては、電動機が、たとえ、磁石等、回転子の磁気的性質に方向性を与える部材が装着された可動子(主として回転子)を有する場合であっても、コイル試験を精度よく実施することを目的としており、そのために、コイルのインダクタンスを測定し、位置の微妙な差異が試験結果に及ぼす影響の最も少ないと思われる可動子の固定子に対する位置を定め、試験を実施する方法を開示している。
特開平6−88849号公報 特許第3102433号明細書 特開2002−340966号公報 特開2003−75500号公報
しかしながら、従来のインパルス電圧試験法では、試験を実施する環境の変化が及ぼす影響(例えば、環境温度の変化によるコイル周辺に存在する部材の透磁率の変化)や、電動機の磁気的性質の個体差(回転子の回転軸方向の位置のずれ、磁石の着磁率のばらつき、等)による影響をキャンセルできない。そのために、判定の閾値に幅を持たせる等により対応しているが、判定に用いる値の、正常値の範囲と異常値の範囲が近接している場合、閾値に幅を持たせることで両値域がオーバーラップする値域が現われ、判定を困難にしている。
また、電動機の回転子が着磁された部材を有する場合、回転子と固定子との相対位置によっては、回転子を貫く磁束の通過が著しく妨げられる。これにより、インパルス電圧試験より得る判定値は小さくなり、前段同様、オーバーラップする値域が現れることとなり、コイル異常有無の判定を困難にしている。
本発明は、上記問題を解決し、より正確にコイル異常の有無を判定可能な電動機用コイル試験方法および装置を提供する。
本発明に係る試験方法は、電動機の固定子のコイルの絶縁不良を試験する方法である。その試験方法は、電動機の回転子と被験コイルとの相対位置を第1位置に位置決めするステップと、第1位置において被験コイルのインダクタンス値を測定するステップと、第1位置のインダクタンス値から、判定基準に基づいてコイルの絶縁不良を判定する第1判定ステップと、固定子のコイルに対してインパルス電圧試験を行うステップと、インパルス電圧試験により得られた応答波形の面積を、所定の基準応答波形面積と比較することにより、コイルの絶縁不良を判定する第2判定ステップとを有する。
上記の試験方法において、第1判定ステップの後に、さらに、電動機の回転子と被験コイルとの相対位置を、第1位置と異なる第2位置に位置決めするステップと、第2位置において被験コイルのインダクタンス値を測定するステップと、第2位置のインダクタンス値の測定値から、判定基準に基づいてコイルの絶縁不良を判定する第3判定ステップとを設けてもよい。
本発明に係る試験装置は、電動機用コイルの絶縁不良を試験する装置である。その試験装置は、回転子の固定子に対する相対位置を所望の位置に定めるための回転子位置決め手段と、コイルのインダクタンスを測定するインダクタンス測定手段と、コイルにインパルス電圧を印加するためのインパルス電圧発生手段と、電動機用コイルの試験を行うために前記各手段を制御する制御手段とを備える。制御手段は、電動機の回転子と被験コイルとの相対位置を第1位置に位置決めし、第1位置において被験コイルのインダクタンス値を測定し、第1位置におけるインダクタンスの測定値から、判定基準に基づいてコイルの絶縁不良を判定し、また、固定子のコイルに対してインパルス電圧試験を行い、インパルス電圧試験により得られた応答波形の面積を、所定の基準応答波形面積と比較することによりコイルの絶縁不良を判定するように制御する。
また、本発明に係る試験装置の制御手段は、インパルス電圧試験を実施の後、さらに、回転子と被験コイルとの相対位置を第1位置とは別の第2位置に位置決めし、第2位置において被験コイルのインダクタンス値を測定し、第2位置におけるインダクタンスの測定値から、判定基準に基づいてコイルの絶縁不良を判定するように制御可能であり、またさらに、第2位置において、固定子のコイルに対してインパルス電圧試験を行い、コイルの絶縁不良を判定するように制御することも可能である。
本発明に係る方法および装置により、試験を実施する環境の変動による影響をキャンセル可能であり、かつ、十分な正確さでコイル異常の有無を判定可能である。
以下、添付の図面を参照し、本発明に係る電動機用コイルの試験装置の実施の形態を詳細に説明する。
《実施の形態1》
<電動機コイル試験装置の構成>
図1は本発明の電動機用コイルの試験装置の構成を示すブロック図である。試験装置は試験される電動機1に一定の電圧を印加する定電圧電源3と、被験コイルのインダクタンスを測定するインダクタンス測定器4、インパルス電圧試験のための高電圧を発生するインパルス発生器5と、試験装置全体の動作を制御する制御装置6とを備える。
電動機1内の固定子には被験コイル2u、2v、2wが挿設されており、被験コイルは3相Y結線されている。ここではそれぞれをU相被験コイル2u、V相被験コイル2v、および、W相被験コイル2wと称する。また、電動機1には、着磁された磁石を備えた回転子(図示せず)が固定子の内部空間に回転可能に挿入されている。
3つの被験コイル2u、2v、2wは定電圧電源3、インダクタンス測定器4、および、インパルス発生器5と接続されている。定電圧電源3は、3相コイルに通電することにより、図示されていない着磁された磁石を有する回転子を電気的に回転させ、回転子の固定子1に対する相対的な位置関係を所望の位置関係に定めることが可能である。次に、インダクタンス測定器4は3相被験コイルの任意の組み合わせからなる2相(例えば、U−V相、V−W相、W−U相)におけるインダクタンスを測定することが可能である。また、インパルス発生器5は3相被験コイルの任意の2相間におよそ2800ボルトのインパルス電圧を印加することができる。
制御装置6は、定電圧電源3、インダクタンス測定器4、および、インパルス発生器5と接続され、定電圧電源3による回転子の回転、インダクタンス測定器4による任意の2相のインダクタンス値の測定、および、インパルス発生器5による任意の2相間へのインパルス電圧の印加、を制御可能である。また、制御装置6は測定されたインダクタンス値、および、インパルス電圧の印加によって生じる過渡応答電圧の減衰振動波形の受信、および、記憶、ならびに、それらデータを基にした演算処理を行い、試験結果を出力することが可能である。
<コイル試験方法>
本発明では、従来のインパルス電圧試験に加えて、コイルのインダクタンス値の測定試験を行い、これらの試験結果を併せて総合的にコイル異常の有無判定を行う。
(短絡の有無とインダクタンス値の変化)
本発明では、コイルの短絡の有無によりインダクタンス値が変化することに着目し、インダクタンス値の測定値を用いて短絡の検出を行う。
図4は、着磁された部材を有する回転子の固定子に対する位置と、正常コイル、および、U相に1箇所だけ隣接する巻線間に短絡(1Tショート)を設けた異常コイルのインダクタンス値との関係を示すグラフである。同図において、曲線41、42、43は正常コイルのU−V、V−W、W−U相間のインダクタンス値をそれぞれ示し、曲線41a、42a、43aは異常コイルのU−V、V−W、W−U相間のインダクタンス値をそれぞれ示している。各測定値の求め方の詳細については後述する。同図から、異常コイルのインダクタンス値(41a、43a)は、正常コイルのインダクタンス値(41、42、42a、43)に比し、回転子角度によっては20%以上も小さな値をとることがわかる。
よって、インダクタンス値を測定することにより、コイルの異常の有無を容易に判定可能である。ただし、インダクタンス値が顕著な変化を示すのは、コイル内の異なる2点間が接触等により短絡している場合である。コイルに被覆の剥がれ等の異常が存在してもコイルの当該異常を有する部分が互いに非接触であれば、インダクタンス値は正常値を示す。そこで、非接触な異常については、インパルス電圧試験により検出する。
(インパルス電圧試験による応答波形面積とインダクタンス値の関係)
インパルス電圧試験により得られる応答波形面積とインダクタンス値との関係について説明する。
図3は波形面積とコイルのインダクタンス値との関係性を示すグラフである。このグラフの横軸は、コイルのインダクタンス値、縦軸は応答波形の面積であり、図2における領域R1の面積である。着磁された部材を有する回転子の位置を変化させることでコイルのインダクタンスを変化させ、それぞれについてインパルス電圧を印加し、得られた過渡応答電圧波形の上述の面積を評価し、グラフ平面上にプロットしている(図3における黒点)。プロットされた点を一次式で近似したものが直線31である。図から明白であるように、コイルのインダクタンス値と応答波形の面積とは比例関係を示す。
前述のように、コイルのインダクタンス値は、測定環境、各電動機構成要素の個体差、および、コイル短絡異常の有無に応じて変化する。しかし、コイルのインダクタンス値と応答波形の面積との関係を用いれば、インダクタンス値が変動しようとも、そのようなインダクタンス値を示す正常な(、非接触コイル異常の無い、)コイルの応答波形面積を正確に予測でき、測定された応答波形の面積から、コイルの非接触異常の有無を判定できる。非接触異常がある場合、インパルス電圧試験により得られる波形面積は、大幅に変化する。そのため、コイルの非接触異常の有無はインパルス電圧試験により容易に判定可能である。
以上のように、本発明の試験方法は、インパルス電圧試験とインダクタンス値測定試験を併用することにより、短絡による異常についてはインダクタンス値測定試験により検出し、インダクタンス値測定試験では検出できない非接触な異常についてはインパルス電圧試験で検出し、コイルの絶縁状態に関する正常/異常の有無を正確に判定可能である。さらに、併用することによって被験コイル周囲の環境の微細な変動による測定値のぶれを補正する効果が得られ、より厳密な判定を可能としている。
次に、図4ないし図6を参照し、本発明に係る試験方法を具体的に説明する。最初に、コイルの良否を判定する際に用いる判定基準の決定方法について説明する。
(判定基準の決定)
被験コイルを試験するに先立ち、コイルに異常の無いことを保証された正常コイルを用いて判定基準値を事前に決定する。そのため、正常コイルが配設された電動機を図1に示すように配置し、正常コイルのインダクタンス値およびインパルス電圧試験による応答波形を測定する。
正常コイルの構成は、被験コイルと同一、つまり3相Y結線を有するものである。3相のうちの2相(U−V相、V−W相、および、W−U相)のコイルについて、回転子の固定子に対する相対位置を所定角ずつ変化させ、その都度回転子の回転角およびインダクタンス値を測定すると、インダクタンス値は、回転子の回転角の変化に伴って、それぞれ図4のように変化する。U−V相のインダクタンス値を曲線41、V−W相のインダクタンス値を曲線42、W−U相のインダクタンス値を曲線43としてプロットしている。
各インダクタンス値は、固定子におけるコイルの構成および回転子の回転対称性に起因して、回転子の回転に伴い周期的に変化している。各曲線41、42、および43は、回転子に配された4枚の磁石の周期性に起因した周期(360度÷4(磁石枚数)=90度)を有し、また、固定子に配された3相コイルの構成に起因した位相差(30度、すなわち、第1位置θ1、第2位置θ2、および、第3位置θ3間の位相差)を有する。
先ず、回転子をU−V相、V−W相、および、W−U相のいずれかのインダクタンス値が極大となる位置(例えば位置θ1)に回転子を合わせ、その位置から30度刻みで(好ましくは15度刻みで)、少なくとも90度の範囲に渡り(好ましくは360度の範囲に渡り)インダクタンス値を、U−V相、V−W相、および、W−U相のそれぞれについて測定し、同時に、各位置において、U−V相、V−W相、および、W−U相のそれぞれにインパルス電圧を印加して応答波形の面積を測定する。ここでは応答波形の面積として図2において第1領域R1として示されている部分の面積を求めている。
なお、回転子は定電圧電源3により所定の相に通電することにより、回転させることができる。この方法では、固定子および回転子が、密閉され外部から回転子の位置を視認することができない状態であっても位置合わせ可能である。固定子および回転子を視認可能な状態であるならば、固定子、および/または、回転子に目盛等を付し、操作者が回転子を回転させて位置合わせしてもよく、または、ロータリーエンコーダを用いて制御装置6により機械的に位置合わせすることもできる。また、応答波形面積は、図2における第1領域R1の面積に限定されず、第2領域R2の面積であっても、または、第1領域R1および第2領域R2の面積、もしくは、それ以降の領域の面積をも含めた面積の総和であってもよい。
次に、得られたデータに基づき、正常コイルのインダクタンス値と応答波形の面積との関係性を特定する。
図3に示した例に倣い、U−V相、V−W相、および、W−U相のそれぞれについて得た測定データから、インダクタンス値をx軸、波形面積をy軸として、グラフ平面にプロットし、それぞれの場合について1次式(y=ax+b)で近似する。そして、近似により得た直線の傾き(a)、および、縦軸の切片(b)を記録する。U相、V相、および、W相の各コイルが実質的に同一であるならば、ここで得られる3つの傾き(a)の値、および、3つの切片(b)の値は実質的には同一である。
以上の作業により、正常コイルのU−V相、V−W相、および、W−U相のうちいずれかのインダクタンス値が極大値を示す回転子位置における、U−V相、V−W相、および、W−U相各相のインダクタンス値、および、その位置における、U−V相、V−W相、および、W−U相各相の応答波形の面積、ならびに、インダクタンス値と応答波形面積との関係を直線近似した場合の1次式のパラメータ(傾きおよび切片)を得る。正常コイルに関するこれらの値は、コイルの異常判定における基準値として使用される。
(コイル異常判定法)
以下、被験コイル異常の有無判定方法について図5のフローチャートを用いて説明する。
ステップS101において、被験コイルはU−V相、V−W相、または、W−U相いずれかのインダクタンス値が極大値となる位置に位置合わせされる(例えば、図4における第1位置θ1、第2位置θ2、または、第3位置θ3)。
次に、ステップS101で合わせられた回転子位置において、U−V相、V−W相、および、W−U相のインダクタンス値を測定する(ステップS102)。
ステップS102にて測定された各相のインダクタンス値を、正常コイルに対して測定された各相のインダクタンス値のうちステップS102における測定における回転子位置と同じ回転子位置(または、同一の相が極大を示している回転子位置)において測定されたインダクタンス値とそれぞれの相について比較する(ステップS103)。比較の結果、いずれかの相においてインダクタンスの測定値が、基準インダクタンス値の所定比率以下の場合、その相を構成しているコイルに短絡異常が存在すると判定し、その結果を出力する(ステップS111)。ここで、所定比率は80%程度に設定されることが好ましい。
ここで、上記の所定比率について説明する。図4において曲線41a、42a、43aは、U−V相(曲線41a)、V−W相(曲線42a)、および、W−U相(曲線43a)のそれぞれについて、1ターンショートを故意に生じさせた3相コイルのインダクタンス測定値を、プロットしたものである。1Tショートとは、コイルの隣接した巻線間における短絡である。1Tショートを有するコイルの示すインダクタンス値は、短絡を有するコイルの示すインダクタンス値のうち、最も正常インダクタンス値に近い値を示す。図4に示すようにコイルが短絡を有する場合、そのインダクタンス値は正常な場合に比して小さくなるが、図4中の矢印Aが示すように、その変化は、インダクタンス値が極大値をとる回転子位置において最も顕著に現れる。その際のインダクタンス値の減少比率がおよそ20%であるため、本実施形態では、上記の所定比率を80%程度に設定する。
当然のことながら、U相が1Tショートを有する場合、V−W相の示すインダクタンス値(曲線42a)は正常コイルの示すインダクタンス値と比較して変化は見られない。つまり、1箇所の短絡を有する3相コイルでは、3つのインダクタンス測定値のうちの1つは正常値を示すことになる。そこで、測定もれのないようにするため、1回目の測定後、インダクタンス測定位置を変えて再度測定する。
図5に戻り、ステップS103において異常なしと判定された場合、測定位置を変えるため、回転子を30度または60度回転させる(ステップS104)。この角度は、固定子におけるコイルの構成より決定される各相間の位相差に対応している。つまり、30度または60度だけ、時計周りまたは反時計回りに回転子を回転させることにより、回転子は、ステップS101およびステップS102においてインダクタンス値が極大値を示していた相とは異なる相のうちのいずれかの相のインダクタンス値が極大値を示すような回転子位置に位置決めされる。
この回転子位置において、ステップS102と同様にU−V相、V−W相、および、W−U相のインダクタンス値を測定する(ステップS105)。そして、その測定値に基づいてステップS103と同様に比較を行う(ステップS106)。その結果、コイルに異常があると判定されればその結果が出力され(ステップS111)、異常なしと判定されればステップS107へ進む。なお、さらに回転子位置を別の、コイルのインダクタンス値が極大となる位置に定め、ステップS101ないしステップS103、または、ステップS104ないしステップS106と同様の一連のステップを繰り返してもよい。
U相、V相、または、W相のいずれかに1ターン以上の、コイル同士の接触を有する短絡が存在する場合には、ステップS103とステップS106の少なくともいずれかにおいて、異常が検出される。しかし、上述したようにインダクタンス値による測定では、コイル同士の接触を有さない異常の検出は困難である。そこで、このようなコイル異常を検出するために、以降のステップS107ないしステップS109においてインパルス電圧試験を実施する。
ステップS105において測定された、U−V相、V−W相、および、W−U相各相のインダクタンス値を用いて、事前の判定基準の決定において得られた、U−V相、V−W相、および、W−U相についてのインダクタンス値とその応答波形面積との関係を近似した1次式から、各相の基準応答波形面積を求める(ステップS107)。
そして、ステップS104で位置決めされた位置で、U−V相、V−W相、および、W−U相の各相についてインパルス電圧試験を行う(ステップS108)。そして、得られた応答波形の面積と、ステップS107において算出された基準応答波形面積とを比較する(ステップS109)。
図6は、正常なコイルの示す、インダクタンス値とインパルス電圧試験による応答波形面積との関係(X)と、非接触異常を有するコイルの示す、インダクタンス値と応答波形面積の関係(Y)を示した図である。同図より、非接触異常を有するコイルのインダクタンス値に対する波形面積の値(Y)は、正常コイルの示す値(X)の50%程度であることがわかる。これは、コイルに非接触の異常が存在すれば、インパルス電圧試験(ステップS108)において放電が生じ、その応答波形の面積は、基準応答波形面積のおよそ50%程度になり、インダクタンス値は非接触異常によって変化しないからである。
そこで、本実施形態においては、インパルス電圧試験の結果得られた応答波形面積が、基準応答波形面積の50%未満である場合に、異常ありと判定する(ステップS109)。なお、この判定の基準値の変更は可能である。
ステップS109において異常ありと判定されれば、その結果を出力する(ステップS111)。異常なしと判定されれば、ステップS110において異常なしと出力される。
《実施の形態2》
(コイル異常判定法)
被験コイル異常の有無判定方法の別の例を、図7のフローチャートを用いて説明する。
以下に説明するコイル異常判定方法も、方法の根幹をなす基本原理は実施の形態1のコイル異常判定方法と実質的に同一である。
本実施の形態のコイル異常判定方法は、電動機の構成により、回転子の被験コイルを備えた固定子に対する相対位置を電気的方法でのみ決定可能であり、かつ、被験コイルの構成により、電気的に位置決め可能な回転子位置が、3つのインダクタンス値のうち2つのインダクタンス値が同一となる位置のうち相対的に大きなインダクタンス値を示す位置(例えば、図4におけるθ、θ、θ、等、以下、高インダクタンス交差位置と称す。)のみとなる場合にも有効な方法である。
本方法では、判定に高インダクタンス交差位置を用いる。そのため、実施の形態1の「判定基準の決定」において、いずれかのインダクタンス値が極大となる位置(例えば、θ)からさらに15度回転した高インダクタンス交差位置(例えば、θ)においてもインダクタンス値の測定およびインパルス電圧応答波形面積の測定を実施し、さらに位置θより30度もしくは60度回転した高インダクタンス交差位置θもしくはθ(位置θにおいて同一のインダクタンス値を示さなかった残りのインダクタンス値と、位置θにおいて同一のインダクタンス値を示した2つインダクタンス値のいずれか1つのインダクタンス値が同一となる位置)においてもインダクタンス値の測定およびインパルス電圧応答波形面積を測定することが好ましい。
先ず、図7のステップS201において、被験コイルはU−V相、V−W相、または、W−U相のインダクタンス値のいずれか2つが相対的に高い値で同一となる高インダクタンス交差位置に位置合わせされる(例えば、図4における第4位置θ、第5位置θ、または、第6位置θ)。正常なコイルの3つのインダクタンス値のいずれか2つの値が同一の回転子位置で同一となる場合、その同一なインダクタンス値には、正常なコイルのインダクタンス値の極大値と極小値の平均値よりも高い値と、正常なコイルのインダクタンス値の極大値と極小値の平均値未満の値の2種類の値が存在する。ここで相対的に高い値とは、正常なコイルのインダクタンス値の極大値と極小値の平均値よりも高い値を指す。このような、2つのインダクタンス値が同一となる回転子位置は、回転子の磁石の構成、および、固定子のコイルの構成より明らかである。
次に、ステップS201で合わせられた回転子位置において、U−V相、V−W相、および、W−U相のインダクタンス値のうち、コイルが正常であれば同一のインダクタンス値を有するであろう2組の2相のインダクタンス値を測定する(ステップS202)。
ステップS202にて測定された2組の2相のインダクタンス値を、それぞれ正常コイルに関して測定された同一の2相のインダクタンス値のうちステップS202の測定における回転子位置と実質的に同じ高インダクタンス交差位置において測定された正常コイルのインダクタンス値と比較する(ステップS203)。比較の結果、いずれかの2相においてインダクタンスの測定値が、基準インダクタンス値の所定比率以下の場合、その2相を構成しているコイルに短絡異常が存在すると判定し、その結果を出力する(ステップS214)。
ここで再度図6を参照すれば、正常なコイルのインダクタンスと波形面積との関係に関する近似直線Xにおける実測点は集合61、集合62、集合63、および、集合64に大別可能である。正常なコイルの高インダクタンス交差位置におけるインダクタンス値は集合62にプロットされている実測点である。集合62に含まれる実測点のインダクタンス値の平均(L)を求め、それを基準インダクタンス値としてもよい。本方法では、判定に用いる基準インダクタンス値はLのみでもよいので、Lに対し所定比率に達しないインダクタンス値を示した被験コイルには短絡異常が存在すると判定してもよい。
次に、ステップS202において測定された2組の2相のインダクタンス値を用いて、事前の判定基準の決定において得た、インダクタンス値とその応答波形面積との関係から、各相の基準応答波形面積を求める(ステップS204)。
そして、ステップS201で位置決めされた位置で、ステップS202で測定した2相についてインパルス電圧試験を行う(ステップS205)。そして、得られた応答波形の面積と、ステップS204において算出された基準応答波形面積とを比較する(ステップS206)。
図4より明らかであるが、ステップS202で測定されなかった2相の組み合わせは、ステップS201で定められた位置では、もとより非常に小さなインダクタンス値を示し、短絡異常が存在しても、正常なコイルのものとの差は非常に小さく、判定が困難である。複数ある高インダクタンス交差位置のうちの任意の1つの高インダクタンス交差位置において2組の2相のインダクタンス値測定が可能であり、インパルス電圧試験も可能であるので、3相コイルのいずれか1相に含まれる短絡異常、および、上記2組の2相における非接触異常を判定することが可能である。そこで、以下のステップにおいては、ステップS202でも測定されたコイルに含まれる短絡異常を再検証し、ステップS205で判定されなかった1組の2相の非接触異常の有無を判定することを目的とする。
ステップS206において異常なしと判定されれば、回転子を30度(θの位置に)または60度(θの位置に)回転させる(ステップS207)。この角度は、固定子における被験コイルの構成より決定される各相間の位相差に対応している。つまり、30度または60度だけ、時計周りまたは反時計回りに回転子を回転させることにより、回転子は、ステップS201およびステップS202において同一のインダクタンス値を示さなかった残りの1組の2相のインダクタンス値が、ステップS201およびステップS202において同一のインダクタンス値を示した2組の2相のいずれかのインダクタンス値と、(仮にコイルが正常であれば、)同一のインダクタンス値を示すであろう高インダクタンス交差位置に位置決めされる。
この高インダクタンス交差位置において、ステップS202において測定されなかった相のインダクタンス値を測定する(ステップS208)。そして、その測定値に基づいてステップS203と同様に比較を行う(ステップS209)。その結果、コイルに異常があると判定されればその結果が出力され(ステップS214)、異常なしと判定されればステップS210へ進む。
次に、ステップS208において測定された2相のインダクタンス値を用いて、事前の判定基準の決定において得た、インダクタンス値とその応答波形面積との関係から、その相の基準応答波形面積を求める(ステップS210)。
そして、ステップS207で位置決めされた位置で、ステップS208で測定した2相についてインパルス電圧試験を行う(ステップS211)。そして、得られた応答波形の面積と、ステップS210において算出された基準応答波形面積とを比較する(ステップS212)。
ステップS212において異常ありと判定されれば、その結果を出力する(ステップS214)。異常なしと判定されれば、ステップS213において異常なしと出力される。
以上のように、上記の実施の形態1、2では、特に、インパルス電圧試験により得られる応答波形面積と、コイルのインダクタンス値との関係性に着目している。すなわち本発明に係る方法は、コイルのインダクタンス値は試験環境(周囲温度、回転子の固定子中への挿入状態等)により変動することから、コイルのインダクタンス値の変化に対応した、インパルス電圧試験による応答波形面積を見ることにより、試験環境の変化をインダクタンス値の変化に吸収することができ、試験環境の変動による判定誤差をキャンセルすることができる利点を有する。例えば、応答波形面積は温度依存性を有するため、周囲の温度が変化すると、応答波形面積も変化する。このため、試験時の周囲温度により、同じ応答波形面積であっても、コイルが異常を有する場合もあれば正常な場合もある。また、被験コイルのインダクタンス値も温度依存性を有する。本実施形態では、インダクタンス値に対する応答波形面積を見ているため、例えば周囲温度の変化をインダクタンス値の変化に含ませることができ、試験環境の変動による判定誤差をキャンセルすることができる。つまり、本発明においては被験コイルのインダクタンスの変化を上記の関係性により判定の材料に加えることで、環境の変動等による誤差をキャンセルしている。
《実施の形態3》
上記、実施の形態1および実施の形態2においては、応答波形面積とインダクタンス値との関係性(図3参照。)を用い、応答波形面積の温度依存性が判定に影響を与えない工夫を施している。しかしながら、インダクタンス値の温度依存性それ自体は依然として存在する。しかし、その影響は軽微であるため、上記実施の形態による判定法であっても異常判定は可能である。ただし、正常コイルのインダクタンス値が測定された温度環境と、実際に判定が行われる温度環境との間に隔たりが増大すれば、その影響を無視できなくなる場合もある。そこで、本実施の形態においては、インダクタンス値の温度依存性に起因する、被験コイルのインダクタンス値の変動を計算によって補正する。それにより、正常コイルのインダクタンス値が測定された温度環境における、被験コイルのインダクタンス値を計算により求め、異常判定する。これにより、被験コイルは、正常コイルと同一の温度環境下で測定されたインダクタンス値を用いて異常判定されることとなり、インダクタンス値の温度依存性をキャンセルすることができ、本試験の精度をより向上できる。
被験コイル2u、2v、2wを試験する環境によっては、インダクタンス値の温度依存性を考慮することが、判定の精度を高める上で有効である。例えば、塗装乾燥炉内に置かれた被験コイル2u、2v、2wをそのまま炉内で試験する場合が例として挙げられる。正常コイルのインダクタンス値を測定する環境が20℃であり、炉内の温度が100℃であれば、測定環境の温度差は、80℃に達する。インダクタンス値は、20℃から100℃、つまり、+80℃の温度差により、インダクタンス値は、およそ5%増加することを、本発明の発明者は見出している。
本実施形態においては、被験コイル2u、2v、2wのインダクタンス値が測定されたときの温度に基づいてインダクタンス値の補正を行う。
また、インダクタンス値とインパルス電圧応答波形面積には、明瞭な関係性が存在する(図3参照。)。このことからも容易に推察されることだが、インダクタンス値に加え、被験コイルの応答波形面積の温度依存性も補正可能である。よって、本実施形態においては、応答波形面積の温度依存性についても計算による補正を行ってもよい。
さらに、本実施の形態においては、判定にかかる工程数は前述の実施の形態に比べて増加しているが、被験コイルにおける異常の有無を判定するのみならず、異常を有するコイルがいずれであるか、確実に判定することが可能である。
その他、特に記載のない点については、他の実施形態と実質的に同一である。
<電動機コイル試験装置の構成>
図8は、実施の形態3における本装置の構成を示すブロック図である。本装置の構成は、電動機1内に温度センサ7を設けたこと以外、実施の形態1および実施の形態2における装置構成と同じである。温度センサ7は、被験コイル2u、2v、2wの温度、または、被験コイル2u、2v、2w近傍の周囲環境の温度を計測可能である。また、温度センサ7は、制御装置6に信号の送信が可能なように接続されており、これによって、計測した温度のデータを制御装置6に送信する。なお、温度センサ7は、連続的に温度を計測し続け、逐次的に制御装置6に送信する仕様でよい。また、温度センサ7は、制御装置6からの信号を受信可能に構成されてもよく、その場合、制御装置6からの命令に基づいたタイミングで温度を計測し、そのデータを制御装置6に送信する。
制御装置6は、実施の形態1および実施の形態2と同様の仕様を備え、さらに、少なくとも、温度センサ7からの信号の受信が可能である。温度センサ7へ制御信号の送信が可能であってもよい。制御装置6は、温度センサ7から送信される温度データを記憶し、被験コイルの異常判定に利用する。
<コイル試験方法>
本実施の形態における試験方法においては、被験コイル2u、2v、2wのインダクタンス値および応答波形を測定する際に、被験コイル2u、2v、2wの温度を計測するステップ、および、その温度に基づく測定値の温度補正を実施するステップ、を有する。また、異常判定を実施するステップにおいては、温度補正された測定値に基づいて異常判定を実施する。
前段記載に記載のステップを除いては、実施の形態1および実施の形態2における各ステップの内容と、本実施形態における各ステップの内容は、実質的に同一である。
(判定基準の決定)
先の実施形態と同様、本実施の形態においても、被験コイルを試験するに先立ち、コイルに異常の無いことを保証された正常コイルを用いて判定基準値を事前に決定する。そのため、正常コイルが配設された電動機を図1に示すように配置し、正常コイルのインダクタンス値およびインパルス電圧試験による応答波形を測定するが、その際、温度センサ7を用いて測定環境温度を計測し、制御装置6がその温度を記憶する。測定は、例えば、常温(約20℃)、および、塗装乾燥炉内の温度(約100℃)のような、温度の異なる少なくとも2つの温度環境下で行われることが好ましい。これら測定値を用いて、以下で詳述する補正式を決定する。
(コイル異常判定法)
以下に説明するコイル異常判定方法も、方法の根幹をなす基本原理は実施の形態1および実施の形態2のコイル異常判定方法と実質的に同一である。本方法は、測定されたインダクタンス値および応答波形面積に、計測された環境温度を用いて補正を加える点で上記の2つの実施形態と異なる。
本実施の形態のコイル異常判定方法は、上記実施の形態1のように、電動機の構成により、回転子の被験コイルを備えた固定子に対する相対位置を電気的方法でのみ決定可能であり、かつ、被験コイルの構成により、電気的に位置決め可能な回転子位置が、3つのインダクタンス値のいずれか1つが極大値を示す位置(例えば、図4におけるθ、θ、θ、等)を含む場合にも有効な方法である。また、上記実施の形態2のように、電動機の構成により、回転子の被験コイルを備えた固定子に対する相対位置を電気的方法でのみ決定可能であり、かつ、被験コイルの構成により、電気的に位置決め可能な回転子位置が、3つのインダクタンス値のうち2つのインダクタンス値が同一となる位置のうち相対的に大きなインダクタンス値を示す位置(例えば、図4におけるθ、θ、θ、等、以下、高インダクタンス交差位置と称す。)のみとなる場合にも有効な方法である。
つまり、本実施の形態では、判定に高インダクタンス交差位置を用いてもよいし、または、いずれかのインダクタンス値が極大となる位置(例えば、θ、θ、θ)を用いてもよい。
本実施の形態では、回転子と固定子との相対的な位置関係を変えて、インダクタンス値および応答波形面積による異常判定をそれぞれ3回ずつ行う。この3回の測定に対応する、3つの、回転子の固定子に対する相対的位置は、正常コイルの3組の2相(U−V相、V−W相、および、W−U相)のインダクタンス値がそれぞれ、3回の測定のうち少なくとも1回、その極大値と極小値の平均値よりも大きな値を示す位置の組み合わせであればよい。例えば、これら3つの相対位置は、図4におけるθ、θ、および、θでよい。この場合、3組の2相は各組それぞれ、いずれかの位置において極大値を示す。また、例えば、図4におけるθ、θ、および、θでもよい。さらには、いずれかの2相が極大値を示すような位置と、2組の2相が極大値と極小値の平均値よりも大きな値で同一となるような位置とを組み合わせても、3組の2相がそれぞれ少なくとも1回、極大値と極小値の平均値よりも大きな値になればよい。このような3つの位置で測定すれば、3組の2相についてそれぞれ、コイルが正常である場合のインダクタンス測定値と、コイルが異常である場合の測定値との差違は、顕著に現われ、コイル異常の有無を正確に判定できる。また、それら結果を総合的に判断することで、いずれの相に異常が存在するか、特定することができる。以下の説明では、例として、θ、θ、θにおいて異常判定を実施している。
本実施の形態における、被験コイルの異常の有無判定方法を、図9および図10のフローチャートを用いて説明する。
ステップS301において、被験コイルは、2相間のインダクタンス値が極大となる位置、例えば、図4における第1位置θに位置合わせされる。
ステップS302において、制御装置6は、温度センサ7を用いて被験コイルの温度を計測し、その温度を記録する。ここで、この被験コイルの温度をTmとする。
ステップS303においては、先述の実施の形態らと同様に被験コイルの、少なくとも第1位置θにおいて極大を示す2相のインダクタンス値の測定を行い、その測定値を制御装置6に送る。
次に、ステップS304において、ステップS303で得たインダクタンス測定値の温度補正を行う。この温度補正の手順について以下に記す。
予め、正常コイルのインダクタンス値およびインパルス応答波形面積を2つの温度で計測しておく。測定した温度(T1およびT2)(正常コイル測定温度とする。)と、それぞれにおけるインダクタンス値(L1およびL2)および応答波形面積(S1およびS2)を制御装置6が記憶する。T1およびT2は、例えば、T1が常温(約20℃)、T2が炉内温度(約100℃)である。これら温度およびインダクタンス値を利用し、以下に記す計算式によって制御装置6は、被験コイルのインダクタンス測定値を、正常コイル測定温度の一方の温度、例えばT1、における被験コイルのインダクタンス値に補正する。温度補正された被験コイルのインダクタンス値L(温度T1における被験コイルのインダクタンス値)は、次式で与えられる。
L=(1−(α×(Tm−T1)))×Lm
ここで、
α=(L2−L1)/(L1×T2−L2×T1)
L1:温度T1における正常コイルのインダクタンス測定値
L2:温度T2における正常コイルのインダクタンス測定値
Lm:被験コイルのインダクタンス測定値
Tm:被験コイルのインダクタンス値測定における温度
上記の、インダクタンス値の温度依存性に関わる関係式は、本発明の発明者により見出されたものである。図11に温度とインダクタンス測定値との関係をプロットしたグラフを示す。横軸に温度、縦軸にインダクタンス値を配し、異なる複数の温度において(本図においては8点において)測定されたインダクタンス値をドット11でプロットしている。このように、インダクタンス値は、温度により変化するが、上記の補正式によってインダクタンス測定値を補正することで、インダクタンス値の温度依存性による判定のぶれを防止することができ、よって、正常コイルと同一の温度条件で被験コイル1を試験しなくとも、インダクタンス値の温度依存性をキャンセルアウトして正確な判定を行うことができる。
図9に戻り、ステップS305において、温度補正を行ったインダクタンス測定値(L)を用いて実施の形態1および実施の形態2と同様に判定用計算値を算出する。本実施形態における判定法は、実施の形態1および実施の形態2における判定法と、温度補正がなされた被験コイルのインダクタンス測定値を用いる点を除いて実質的に同じである。
次に、S306において、先述の実施の形態1および実施の形態2と同様に、ステップS303において測定され、ステップS304において補正されたインダクタンス値を用い、事前の判定基準の決定において得られたインダクタンス値とその応答波形面積との関係を近似した一次式から基準応答波形面積を求める。
そして、ステップS307において、ステップS301で位置決めされた位置(第1位置θ)で、少なくとも第1位置θにおいて極大を示す2相のインパルス電圧応答波形面積の測定を行い、その測定値(Smとする。)を制御装置6に送る。
次に、ステップS308において、ステップS307で測定された波形面積の温度補正を行う。この温度補正の手順について以下に記す。
ここでは、予め測定された正常コイルのインパルス応答波形面積およびそれが測定された温度(T1およびT2)を利用する。これら温度および応答波形面積(S1およびS2)を用い、以下に記す計算式によって制御装置6は応答波形面積を、正常コイル測定温度の一方の温度、例えばT1、における被験コイルの応答波形面積(S)に補正する。温度補正された被験コイルの応答波形面積S(温度T1における被験コイルの応答波形面積)は、次式で与えられる。
S=(1−(α×(Tm−T1)))×Sm
ここで、
α=(S2−S1)/(S1×T2−S2×T1)
S1:温度T1における正常コイルの応答波形面積
S2:温度T2における正常コイルの応答波形面積
Sm:被験コイルの応答波形面積測定値
Tm:被験コイルの応答波形面積測定における温度
上記の、応答波形面積の温度依存性に関わる関係式は、本発明の発明者により見出されたものである。図12に温度と応答波形面積との関係をプロットしたグラフを示す。横軸に温度、縦軸に応答波形面積を配し、異なる複数の温度において(本図においては8点において)測定された応答波形面積値をドット12でプロットしている。このように、応答波形面積は、温度により変化するのだが、上記の補正式によって応答波形面積測定値を補正することで、応答波形面積の温度依存性による判定のぶれを防止することができ、よって、正常コイルと同一の温度条件で被験コイル1を試験しなくとも、応答波形面積の温度依存性をキャンセルアウトして正確な判定を行うことができる。
図9に戻り、ステップS309において、インパルス電圧試験およびそれに続く温度補正の結果得られた応答波形面積(S)が、基準応答波形面積の50%未満である場合に、異常ありと判定する。なお、この判定の基準値の変更は可能である。本実施形態における判定法は、実施の形態1および実施の形態2における判定法と、温度補正がなされた被験コイルの応答波形面積測定値を用いる点を除いて実質的に同じである。
ステップS309において異常ありと判定されれば、その結果を出力する(ステップS329)。異常なしと判定されれば、ステップS310に進む。
ステップS310において、被験コイルは、別の2相間のインダクタンス値が極大となる位置、例えば、図4における第2位置θに位置合わせされる。
ステップS311〜ステップS318では、ステップS310で位置決めされた位置で、ステップS302〜ステップS309と同様に、少なくとも第2位置においてインダクタンス値が極大を示す2相について、インダクタンス値および応答波形面積を用いた試験を行う。これにより、第2位置においてインダクタンス値が極大を示す2相について異常の有無が判定される。
次に、ステップS319において、被験コイルは、さらに別の残りの2相間のインダクタンス値が極大となる位置、例えば、図4における第3位置θに位置合わせされる。
ステップS320〜ステップS327では、ステップS319で位置決めされた位置で、ステップS302〜ステップS309、および、ステップS311〜ステップS318と同様に、少なくとも第3位置においてインダクタンス値が極大を示す2相について、インダクタンス値および応答波形面積を用いた試験を行う。これにより、第3位置においてインダクタンス値が極大を示す2相について異常の有無が判定される。
すべての試験において異常がない場合、異常なしの出力がなされる(ステップS328)。
上記の実施形態においては回転子内に磁石を有する電動機を試験しているが、回転子内に着磁された部材を有さない電動機を試験することも可能である。その場合、図4に示すようなインダクタンス値の回転子位置による変動は見られず、インダクタンス値は一定となるが、短絡を有するコイルのインダクタンス値は正常なコイルの示すインダクタンス値に比べて同様に減少する。また、非接触異常を有するコイルの応答波形の面積も同様に減少する。
また、上記の実施形態においてコイルは3相Y結線としたが、Δ結線を有するコイルも可能である。
また、インダクタンス値の測定において使用されるインダクタンス測定器4が使用するインダクタンス測定周波数は、高い周波数帯を使用することが望ましい。短絡を有するコイルのインダクタンス値を測定する場合においては、正常なコイルの示すインダクタンス値との差が明瞭に現れることを、本発明の発明者が見出している。以下に、これを説明する。
図13は、正常なコイルのインダクタンス測定値および1Tショートを有するコイルのインダクタンス測定値と、測定に用いたインダクタンス測定周波数との関係を示すグラフである。横軸は対数スケールで示されたインダクタンス測定周波数であり、縦軸は測定されたインダクタンス値である。正常なコイルのインダクタンス測定値の測定周波数による変化は直線81で近似的され、一方、1Tショートを有するコイルのインダクタンス測定値の測定周波数による変化は直線82で近似され、表示されている。各直線81および82上の点は実測値を示す。図8より明らかなように、測定周波数を高く設定することにより、正常なコイルと短絡を有するコイルとのインダクタンス測定値の差が拡大している。
よって、インダクタンス測定周波数をより高周波帯域に設定することにより、判定の閾値の設定がより容易になる。
測定周波数は、コイルのインダクタンス値を変動させる要因、例えば、回転子と固定子との水平方向および鉛直方向の位置関係の誤差、回転子と固定子との位置決めに起因する誤差、測定温度による変動、回転子磁石の着磁率の変動、等の要因を考慮し、正常なコイルにおいて想定されるインダクタンス値のばらつきの範囲、と、1Tショートの短絡1箇所有するコイルにおいて想定されるインダクタンス値のばらつきの範囲とがオーバーラップしないような、高周波帯域を使用することが好ましい。
本発明に係る電動機用コイル試験方法および装置は、試験を実施する環境の変動による影響をキャンセルし、十分な正確さでコイル異常の有無を判定可能であり、電動機用コイルの試験方法および装置として有用である。
実施の形態1の装置構成のブロック図である。 インパルス電圧試験で得られる過渡電圧波形のグラフである。 正常なコイルの、インダクタンス値とインパルス電圧波形で得られる過渡電圧波形の第1領域R1の面積との関係を示すグラフである。 着磁された部材を有する回転子の固定子に対する位置と、正常コイルおよび1Tショートを有するコイルのインダクタンス値との関係を示すグラフである。 本発明に係る実施の形態1のコイル異常判定法のフローチャートである。 図3に示されたグラフ、および、非接触異常を有するコイルの示すインダクタンス値と過渡電圧波形との関係を示すグラフである。 本発明に係る実施の形態2のコイル異常判定法のフローチャートである。 本実施形態の装置の構成を示すブロック図である。 本発明に係る実施の形態3のフローチャートである。 本発明に係る実施の形態3のフローチャートである。 インダクタンス値の温度依存性を示すグラフである。 応答波形面積の温度依存性を示すグラフである。 インダクタンス測定周波数と正常なコイルおよび1箇所の1Tショートを有するコイルのインダクタンス実測値との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 ・・・ 電動機
2u・・・ U相巻線 2v・・・ V相巻線 2w・・・ W相巻線
3 ・・・ 定電圧電源 4 ・・・ インダクタンス測定器
5 ・・・ インパルス発生器 6 ・・・ 制御装置
7 ・・・ 温度センサ
21 ・・・ 過渡電圧波形
31 ・・・ インダクタンス−波形面積近似直線
41 ・・・ 正常U−V相インダクタンス値補間曲線
42 ・・・ 正常V−W相インダクタンス値補間曲線
43 ・・・ 正常W−U相インダクタンス値補間曲線
44 ・・・ U相1TショートU−V相インダクタンス値
45 ・・・ U相1TショートV−W相インダクタンス値
46 ・・・ U相1TショートW−U相インダクタンス値
X ・・・ 正常コイルインダクタンス−波形面積近似直線
Y ・・・ 非接触異常コイルインダクタンス−波形面積近似直線
61 ・・・ 正常コイルでの、インダクタンス値が極大となる位置における実測値集合
62 ・・・ 正常コイルでの、高インダクタンス交差位置における実測値集合
63 ・・・ 正常コイルでの、低インダクタンス交差位置における実測値集合
64 ・・・ 正常コイルでの、インダクタンス値が極小となる位置における実測値集合
81 ・・・ 正常コイルインダクタンス測定値近似直線
82 ・・・ 1Tショートコイルインダクタンス測定値近似直線

Claims (15)

  1. 電動機の固定子のコイルの絶縁不良を試験する方法であって、
    前記電動機の回転子と被験コイルとの相対位置を第1位置に位置決めするステップと、
    該第1位置において前記被験コイルのインダクタンス値を測定するステップと、
    該第1位置のインダクタンス値の測定値から、判定基準に基づいて前記被験コイルの絶縁不良を判定する第1判定ステップと、
    前記固定子の前記被験コイルに対して第1インパルス電圧試験を行うステップと、
    前記第1インパルス電圧試験により得られた応答波形の面積を、所定の基準応答波形面積と比較することにより、前記被験コイルの絶縁不良を判定する第2判定ステップと
    を有することを特徴とする電動機用コイル試験方法。
  2. さらに、
    前記被験コイルの温度を計測するステップ、および、
    前記温度に基づいて、前記インダクタンスの測定値を補正するステップ、を有し、
    前記第1判定ステップにおいて、前記補正されたインダクタンス測定値を用いて前記被験コイルの絶縁不良を判定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. さらに、
    前記被験コイルの温度を計測するステップ、および、
    前記温度に基づいて、前記応答波形の面積を補正するステップ、を有し、
    前記第2判定ステップにおいて、前記補正された応答波形面積を用いて前記被験コイルの絶縁不良を判定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記第1位置が、前記回転子の回転に伴う前記被験コイルのインダクタンス値の変化において前記インダクタンス値が極大となる位置であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電動機用コイル試験方法。
  5. 前記第1判定ステップの後に、さらに、
    前記電動機の前記回転子と前記被験コイルとの相対位置を、前記第1位置と異なる第2位置に位置決めするステップと、
    該第2位置において前記被験コイルのインダクタンス値を測定するステップと、
    該第2位置のインダクタンス値の測定値から、前記判定基準に基づいて前記被験コイルの絶縁不良を判定する第3判定ステップとを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電動機用コイル試験方法。
  6. 前記第1位置が、前記回転子の回転に伴う正常なコイルのインダクタンス値の変化において、前記正常なコイルの異なる任意の2相の2つのインダクタンス値が共に、前記正常なコイルのインダクタンス値の極大値と極小値の平均値より大きい値で、かつ、実質的に同一となる位置であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電動機用コイル試験方法。
  7. 前記第1インパルス電圧試験においては、前記第1位置において同一なインダクタンス値を示す前記正常なコイルの2相に対応する前記被験コイルの2相のコイルに対して試験を行い、
    前記第3判定ステップの後に、さらに、
    前記固定子の、前記第1インパルス電圧試験において試験されなかったコイルに対して第2インパルス電圧試験を行うステップと、
    前記第2インパルス電圧試験により得られた応答波形の面積を、前記所定の基準応答波形面積と比較することにより、前記被験コイルの絶縁不良を判定する第4判定ステップと
    を有することを特徴とする請求項6に記載の電動機用コイル試験方法。
  8. 前記第1判定ステップにおいて、前記判定基準は、前記正常なコイルのインダクタンス値に基づいて定められることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電動機用コイル試験方法。
  9. 前記第2判定ステップにおいて、前記基準応答波形面積は、前記正常なコイルに関して事前に求められたインダクタンス値とインパルス電圧応答波形との一定の関係性にしたがい、インパルス電圧試験時の前記被験コイルのインダクタンス値の測定値に基づいて求められることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の電動機用コイル試験方法。
  10. 電動機用コイルの絶縁不良を試験する装置であって、
    a)回転子の固定子に対する相対位置を所望の位置に定めるための回転子位置決め手段、
    被験コイルのインダクタンスを測定するインダクタンス測定手段、
    前記被験コイルにインパルス電圧を印加するためのインパルス電圧発生手段、および、
    前記被験コイルの試験を行うために前記各手段を制御する制御手段を備え、
    b)該制御手段は、
    前記電動機の前記回転子と前記被験コイルとの相対位置を第1位置に位置決めし、該第1位置において前記被験コイルのインダクタンス値を測定し、該第1位置のインダクタンスの測定値から、判定基準に基づいて前記被験コイルの絶縁不良を判定し、また、前記固定子の前記被験コイルに対して第1インパルス電圧試験を行い、前記第1インパルス電圧試験により得られた応答波形の面積から、所定の基準応答波形面積値に基づいて前記被験コイルの絶縁不良を判定するように制御することを特徴とする電動機用コイル試験装置。
  11. さらに、前記被験コイルの温度を計測する、前記制御手段に信号送信可能に接続された温度センサを有する請求項10に記載の電動機用コイル試験装置。
  12. 前記制御手段は、前記被験コイルのインダクタンスの測定値を、前記温度センサによって計測された前記被験コイルの温度に基づいて補正し、その結果得られるインダクタンス値の補正値から、前記判定基準に基づいて前記被験コイルの絶縁不良を判定することを特徴とする請求項11に記載の電動機用コイル試験装置。
  13. 前記制御手段は、前記被験コイルの応答波形面積の測定値を、前記温度センサによって計測された前記被験コイルの温度に基づいて補正し、その結果得られる応答波形面積の補正値から、前記所定の基準応答波形面積値に基づいて前記被験コイルの絶縁不良を判定することを特徴とする請求項11に記載の電動機用コイル試験装置。
  14. 前記制御手段は、さらに、前記第1位置でのインダクタンスの測定後に、電動機の前記回転子と前記被験コイルとの相対位置を、前記第1位置と異なる第2位置に位置決めし、該第2位置で前記被験コイルのインダクタンス値を測定し、該第2位置のインダクタンス値の測定値から、前記判定基準に基づいて前記被験コイルの絶縁不良を判定するように制御する、ことを特徴とする請求項10ないし13のいずれか1つ記載の電動機用コイル試験装置。
  15. 前記制御手段は、さらに、前記第2位置におけるインダクタンス値の測定値および前記判定基準に基づいた前記被験コイルの絶縁不良の判定の後に、第2のインパルス電圧試験を行い、前記第2インパルス電圧試験により得られた応答波形の面積を、前記所定の基準応答波形面積と比較することにより前記被験コイルの絶縁不良を判定するように制御する、ことを特徴とする請求項14に記載の電動機用コイル試験装置。
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