JP2005226850A - 燃焼装置 - Google Patents

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野 俊 輔 天
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Abstract

【課題】燃焼ガス再循環の効果により、液体燃料の予蒸発、気体燃料/液体燃料の予混合燃焼、及び低酸素濃度における緩慢燃焼を実現して、NOxの生成を抑制した燃焼を実現すること。
【解決手段】一端が閉じられ内筒部1iと外筒部1oとで2重管に構成された環状容器1を燃焼室とし、前記環状容器1の外周側面(外筒部1o)を貫通して前記環状容器1の開放端1xから閉鎖端部1tに向う速度成分を持って流入する空気の流れを形成する流入流路5と、前記環状容器閉鎖端部1tの内側に、前記流入流路5をめがけて前記環状容器1の中心軸Jに対して径方向外側に広がり角度αを持って前記環状容器1の閉鎖端部1tから開放端1xに向う向き(空気の流れと対向する向き)に燃料を噴射する燃料ノズル4とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼室に燃焼用空気及び燃料を流入し、燃焼用空気及び燃料を混合して燃焼する燃焼装置に関する。
燃焼装置から排出される大気汚染物質、特に窒素酸化物(NOx)に対する規制はますます強化されており、NOxの排出を低減する技術が求められている。
NOxの生成機構は、サーマルNOx、プロンプトNOx、そしてフューエルNOxの3つに大別される。サーマルNOxは高温において空気中の窒素が酸素と反応して生成されるもので、温度に強く依存する。プロンプトNOxは、特に燃料過剰の火炎帯で生成される。フューエルNOxは燃料中に含まれる窒素化合物が関与して生成される。
最近では窒素化合物を含まないクリーン燃料が使用されることが多く、その場合、フューエルNOxは殆ど生成しない。
プロンプトNOxを低減するには、燃料過剰の設計を改め、希薄燃焼とすることにより、その生成を抑えることが出来る。
上述したフューエルNOx及びサーマルNOxの低減に比較して、サーマルNOxの低減は最も難しく、近年のNOx低減技術の鍵である。ここで、サーマルNOxを低減するには、燃焼温度を低下させることが重要である。
燃焼温度を低下させるための技術としては、予混合燃焼、特に希薄予混合燃焼、予蒸発、濃淡燃焼、2段燃焼、燃焼ガス再循環などがある。
ガス燃料の場合、燃料を予め空気と良く混合してから着火、燃焼する予混合燃焼により、燃料濃度分布を均一化し、特に希薄燃焼の予混合燃焼では、燃焼温度を低減することが出来る。
しかし、予混合燃焼は安定燃焼範囲が狭く、逆火や吹飛びが起こり易いという問題がある。また、液体燃料に対しては、予め蒸発(予蒸発)しないと予混合出来ないことが欠点である。
液体燃料の場合、燃料が流路断面積が小さいノズルを通過する際に微粒化して噴射するが、通常は着火時に燃料の液滴が残り、液滴が蒸発しながら燃焼するため、理論空気比となる位置が必ず存在し、局所的に高温となってしまう。そのため、サーマルNOxの低減には限界がある。
それを解決する技術として、予蒸発がある。予蒸発は、燃焼器内部又は外部で予蒸発部を設け、そこで噴霧した燃料を他からの加熱により蒸発させた後に燃焼させる技術である。予蒸発によれば、気体燃料と同等のサーマルNOx低減が期待出来る反面、予蒸発部の分だけ、燃焼器のサイズが大きくなってしまうという欠点を有している。
その他の技術として、燃料又は空気を数段に分割して燃焼装置内に供給して空気比を燃焼室内の各領域毎に制御することが行われている。この場合には、理論空気比よりも燃料濃度の濃い部分と燃料濃度の薄い部分が意図的に作られ、理論空気比となる混合状態の領域を避けることでサーマルNOxの低減が図られている。
しかし、係る技術では、燃料又は空気の供給系が複雑になるため、大型の燃焼炉では多くの実績があるが、小型の燃焼装置では適用できない。また、燃料や空気の供給位置や分割割合の最適値を見出すことや、負荷に対応して制御することは難しいとされている。
燃焼ガス再循環(Burnt Gas Recirculation)は、高温かつ酸素濃度が低い既燃焼ガスを燃焼前の空気と混合することによって、緩慢で均一な燃焼を実現して、燃焼温度を低下させると共に、不活性ガスを増加して熱容量を増加せしめ、平均火炎温度を低下させ、以って、サーマルNOxを低減する技術である。主にボイラ、工業炉の燃焼装置及びエンジンに適用事例がある。
燃焼ガス再循環を起こす手法としては、保炎器によるもの、外部再循環、内部再循環が挙げられる。
なお、煙道ガス再循環(FGR:Flue Gas Recirculation)及び排ガス再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)と呼ばれる燃焼方式もあるが、燃焼ガス再循環と基本的に同一の技術である。
燃焼ガス再循環を利用した公知技術の例として、気体燃料に対する技術(例えば特許文献1参照)と、気体燃料の予混合燃焼に対する技術(例えば特許文献2参照)とが存在する。何れも保炎板の下流中央に形成される再循環領域と、燃焼室内に突設した燃焼装置と燃焼室壁との間の空間において燃焼ガスが再循環するものである。
しかし、保炎板の下流中央での燃焼ガス再循環は着火前の燃料と空気が混合している部分には及ばず、その作用は単に着火を安定させることである。
また、燃焼装置と燃焼室壁との間の空間からの燃焼ガス再循環は、実際には燃焼装置近傍のみの循環に止まるので、十分に燃焼して高温、低酸素濃度となった燃焼ガスは再循環せず、且つ循環量が少ないためサーマルNOxの低減効果は小さい。
さらに、これらの燃焼装置では、燃焼ガス再循環が燃焼装置の外側から中心軸方向へ吸引されるようにするため、燃焼室の寸法を燃焼装置の径よりも十分大きくする必要があり、ガスタービンの燃焼装置など燃焼室の寸法をなるべく小さくする必要がある用途には適していない。また、液体燃料に適用するのは難しい。
気体燃料に対する技術(例えば特許文献3参照)は、保炎板による保炎板後方中央からの燃焼ガス再循環とともに、火炎を分割浮き上がり火炎として、火炎側方からも燃焼ガスを再循環させるものである。
係る技術によれば、燃焼ガス再循環の量は大きくすることが出来るが、分割化炎としたためにバーナの構造が複雑になり、バーナ断面積に対して火炎のない部分があるため、バーナの寸法が大きくなってしまう(容積あたりの燃焼負荷が低い)、という問題を有している。
また、液体燃料に適用するのは難しいと考えられる。
ボイラ用バーナにおけるガス燃料の予混合燃焼に関する技術(例えば特許文献4参照)では、燃焼室壁に複数の予混合気噴射孔を設け、一つの予混合気が燃焼ガスとなって隣の予混合気噴射孔めがけて噴射されるようになっている。
しかし、予め燃量と空気が混合されているので着火時に燃焼に関与する空気は新鮮空気であり、燃焼開始後に燃焼ガスと始めて混合するため、燃焼を緩慢にする効果が少ないという問題がある。
また、ガス燃料の予混合燃焼に対する技術であり、予混合気が次の噴射孔に到達するまでの時間が短く、液体燃料に適用するのは難しいと考えられる。
ボイラ用バーナに関する技術(例えば特許文献5参照)は、主に液体燃料に対して、燃料ノズル周りを流れる燃焼用空気の運動エネルギにより低圧部を作り、炉内の燃焼ガスを吸引して燃焼用空気に燃焼ガスを混合するものである。
しかし、燃焼用空気の外側で燃焼ガスを混合するので、燃焼用空気の内側には殆ど混合せず、燃料は先ず燃焼用空気と混合した後に、徐々に燃焼ガスと混合する。従って、燃焼現象を支配するのは通常と同じ酸素濃度をもつ燃焼用空気であり、実際には低酸素濃度下での緩慢な着火、燃焼という狙いを十分に実現できない。
また、燃焼ガスを吸引するための構造が複雑である。
さらに、分割火炎を採用しているので、バーナの構造が複雑になり、バーナ断面積に対して火炎の無い部分があるためバーナの寸法は大きくなってしまう(容積当りの燃焼負荷が低い)、という問題点が存在する。
円筒状の燃焼装置内で旋回流を誘起し、その旋回流の中心部は静圧が低下するため、旋回面の法線方向から別の気体を旋回中心に吸引する技術(例えば特許文献6参照)が開示されており、係る技術は円筒状燃焼装置における二次燃焼領域での燃焼ガス再循環に応用されている。
燃焼用の一次空気と二次空気、それ以外に燃料供給にも夫々旋回流を誘起させる作用を持たせているが、旋回によって導入される燃焼ガスの再循環の効果は二次燃焼領域の燃焼制御に止まっていて、火炎の根元近くの燃料濃度の高い領域を燃焼ガス再循環の対象領域としていない。従って、NOx低減効果も火炎末端部の温度制御だけの限定した効果となっている。
次に、図23〜図26に基づいて、従来技術の具体的な構成及びその問題点を更に詳しく説明する。
従来の汎用の燃焼装置の1例を図23に示す。
図23に示す燃焼装置は、筒型の燃焼装置であって、筒状容器1と流入ケーシング3cと仕切り筒41から成る流入流路と燃料ノズル4と燃料ノズル4の下流に燃料ノズルと同軸に配置された保炎板42とから構成される。
燃焼用空気20は図示しない送風機又は圧縮機によって流入ケーシング3cに流入し、仕切り筒41と燃料ノズル4の間の空間4sを通った後、保炎板42をよぎって環状容器1に流入する。
一方、燃料21は図示しない燃料ポンプ又はブロワ、或いは圧縮機によって燃料ノズル4を介して環状容器1内に噴射される。燃料21と燃焼用空気20とが混合して燃焼し、発生した燃焼ガス22が環状容器1の開口端1xから流出する。
ここで、保炎板42は安定した着火をもたらすための構成である。
前記保炎板42は、図示の例では開口端1x側が拡径するような円錐状であり、空気を仕切り筒41と燃料ノズル4の間の空間4sを流過させることで、燃料ノズル4の先端において空気の流速を低下させるとともに、保炎板42の後方に下流から逆流する流れ領域43を形成する。その逆流43は、高温の燃焼ガスを燃料ノズル4の先端の至近下流の着火領域に戻す。
しかし、これらの燃焼ガスの逆流は燃料航跡21の内側21aのみであり、燃料21と空気20が混合している部分には及ばない。従って、その作用は単に着火を安定させることである。
図23に示した燃焼装置をそのまま環状の燃焼装置に応用する従来技術の1例を、図24に基づいて説明する。上述したように、燃焼装置が筒型の場合(図23)は保炎板42が円錐状であったが、環状燃焼装置(図24)の場合には、図24(B)で示す様に、保炎板も環状の保炎板42bとなる。
燃料ノズル4は図24に示すように筒状のものを複数個保炎板42bに取り付けてもよいし、図示しないが燃料ノズルも環状としてもよい。その作用は筒型の場合と同様である。
燃焼ガス再循環に注目した従来の燃焼装置の1例を図34に基づいて説明する。
図25に示す燃焼装置は、ボイラや工業炉に適用される筒型の燃焼装置で、図23に示した従来の燃焼装置に対して、燃焼用空気が流過する導入路2と、環状容器1の外側に第2の導入路2aと外筒45を加えて構成されている。
図25の燃焼装置では、燃焼用空気20が流れることによる誘引作用で、燃焼室壁46から離れている第2の導入路2aを介して、燃焼室内の燃焼ガス22が吸引され、燃焼用空気20と混合して燃焼が起こる。
これが従来技術による燃焼ガスの再循環の代表的な例であるが、燃焼ガス22が燃焼用空気20の流れの外側から導入されているので、燃焼用空気20の内側には殆ど混合せず、燃料21は先ず燃焼用空気20と混合した後に徐々に燃焼ガス22と混合する。よって燃焼現象を支配するのは通常と同じ酸素濃度を持つ燃焼用空気20であり、実際には低酸素濃度下での着火、燃焼を実現出来ていない。
また、図25で示す装置では、燃焼ガス再循環が外筒45の外側から吸引されるために、燃焼室の寸法が外筒45の径よりも十分大きい必要があり、ガスタービンの燃焼装置など、燃焼室の寸法を極力小さくする必要がある用途には適していない。また、上述した従来技術は、環状の燃焼装置に適用するには適していない。
従来技術による環状のガスタービン燃焼装置の構成、作用及び問題点について図26を参照して説明する。
従来技術によるガスタービンの燃焼装置は、目的とする温度が理論空気量、すなわち、燃料の燃焼に丁度必要な酸素量を含む空気量による燃焼での火炎温度よりかなり低いためにトータル空気比が非常に希薄であり、通常の炭化水素系の燃料を用いる場合、1段で燃焼させることは困難である。
そのため、燃焼用空気を数段に分割して、先ずその一部(以下1次空気17という)のみに燃料を混合して燃焼させ、その後に残りの空気を加えることによって所望の出口温度に対して完全燃焼を実現している。
容器1fの内部で1段目の燃焼用空気が燃料と混合する位置から2段目の空気流入部までを1次燃焼領域16と言う。ガスタービンの燃焼において、燃焼効率が低下して未燃成分が排出されたり、NOx生成が増加したりしないように1次燃焼領域16の下流で空気を加えるための技術的工夫は、多く公知となっている。
尚、図26において、符号14は容器1fに形成した空気孔を、符号18はその空気孔14から容器1f内に流入する2次及び希釈空気を示す。
上述したように、燃焼ガス再循環による低酸素濃度下の燃焼が、サーマルNOxの低減に有効である。
しかし、燃焼ガス再循環による低酸素濃度下の燃焼を目的とする従来技術では、環状燃焼装置に適用でき、且つ十分な燃焼ガス再循環の量とNOx低減効果があり、さらに液体燃料でも予蒸発燃焼を実現し、気体燃料と同様に予混合燃焼を実現できる装置は、未だに提案されていない。
特開2002−364812号公報 特許3139978号 特開平9−133310号公報 特開平11−153306号公報 特許3171147号 特開2000−179837号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、単純な構成で、燃焼ガス再循環の効果を最大限に発揮して、液体燃料の予蒸発、気体燃料/液体燃料の予混合燃焼、及び低酸素濃度における緩慢燃焼を実現して、NOxの生成を抑制した燃焼を実現出来る燃焼装置の提供を目的としている。
また本発明は、耐高温を目指したセラミック化を低コストで実現するのに適した燃焼装置の提供を目的としている。
本発明の燃焼装置は、内周側面を構成する内筒部(1i)と、外周側面を構成する外筒部(1o)と、開放端部(1x)及び閉鎖端部(1t)を有する環状容器(1)が燃焼室を構成しており、前記外筒部(1o)の閉鎖端部(1t)より中心軸(J)方向に離隔した位置には流入流路(5)が形成されており、該流入流路(5)は、環状容器(1)の中心軸(J)方向を開放端部(1x)から閉鎖端部(1t)へ向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流(22b)を形成する様に構成されており、環状容器(1)の閉鎖端部(1t)の内側には燃料ノズル(4)が設けられ、該燃料ノズル(4)は、前記流入流路(5)に向けて、中心軸(J)方向を閉鎖端部(1t)から開放端部(1x)に向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して燃料(23a)を噴射する様に構成されている(請求項1)。
また、本発明の燃焼装置は、内周側面を構成する内筒部(1ai)と、外周側面を構成する外筒部(1ao)と、開放端部(1x)及び閉鎖端部(1at)を有する環状容器(1a)を備え、前記外筒部(1ao)は閉鎖端部(1at)から中心軸(J)方向へ離隔した位置(断面変化部1ad)で断面積が減少しており、該断面積が減少する部分(断面変化部1ad)には流入流路(5)が形成されており、該流入流路(5)は、環状容器(1a)の中心軸(J)方向を開放端部(1x)から閉鎖端部(1at)へ向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流(22b)を形成する様に構成されており、環状容器(1a)の閉鎖端部(1at)の内側には燃料ノズル(4)が設けられ、該燃料ノズル(4)は、前記流入流路(5)に向けて、中心軸方(J)向を閉鎖端部(1at)から開放端部(1x)に向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して燃料(23a)を噴射する様に構成されている(請求項2)。
また、本発明の燃焼装置は、内周側面を構成する内筒部(1bi)と、外周側面を構成する外筒部(1bo)と、開放端部(1x)及び閉鎖端部(1bt)を有する環状容器(1b1)を備え、該環状容器(1b1)の中心軸(J)と同軸に且つ外筒部の開放端部(1x)側に配置された筒状部材(32)とを有し、筒状部材(32)の断面積は外筒部(1bo)の断面積よりも小さく、外筒部(1bo)の端部(1bot)と筒状部材(32)の端部(32t)とを接続する環状の接続部材(7)を設け、該接続部材(7)には流入流路(5)が形成され、該流入流路(5)は、環状容器(1b1)の中心軸(J)方向を開放端部(1x)から閉鎖端部(1bt)に向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流(22b)を形成する様に構成されており、環状容器(1b1)の閉鎖端部(1bt)内側には燃料ノズル(4)が設けられ、該燃料ノズル(4)は、前記流入流路に(5)向けて、中心軸方向(J)を閉鎖端部(1bt)から開放端部(1x)に向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して燃料(23a)を噴射する様に構成されている(請求項3)。
さらに、本発明の燃焼装置は、内周側面を構成する内筒部(1bi)と、外周側面を構成する外筒部(1bo)と、開放端部(1x)及び閉鎖端部(1bt)を有する環状容器(1b2)を備え、該環状容器(1b2)の中心軸(J)と同軸で開放端部(1x)側に配置された環状部材(6)とを有し、該環状部材(6)は内周側面を構成する内筒部(6i)及び外周側面を構成する外筒部(6o)を備え、環状部材外筒部(6o)の断面積は環状容器外筒部(1bo)の断面積よりも小さく、環状容器外筒部(1bo)の開放端部(1x)側端面と環状部材外筒部(6o)の閉鎖端部(1bt)側端面とを接続する環状の第1の接続部材(7)と、環状容器内筒部(1bi)の開放端部(1x)側端面と環状部材内筒部(6i)の閉鎖端部(1bt)側端面とを接続する第2の接続部材(33)とを設け、第1の接続部材(7)には流入流路(5)が形成され、該流入流路(5)は、環状容器(1b2)の中心軸(J)方向を開放端部(1x)から閉鎖端部(1bt)に向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流(22b)を形成する様に構成されており、環状容器(1b2)の閉鎖端部(1bt)内側には燃料ノズル(4)が設けられ、該燃料ノズル(4)は、前記流入流路(5)に向けて、中心軸(J)方向を閉鎖端部(1bt)から開放端部(1x)に向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して燃料(23a)を噴射する様に構成されている(請求項4)。
本発明において、前記環状容器(1、1a、1b1、1b2)の内筒部(1i、1ai、1bi)に、空気を流入するための付加的な流入流路(5a)が設けられているのが好ましい(請求項5)。
また、前記環状容器(1、1a、1b1、1b2)の閉鎖端部(1bt)の内筒部(1bi)近傍で且つ前記燃料ノズル(4)の半径方向内方に付加的な流入流路(71)を設け、前記環状容器(1、1a、1b1、1b2)の中心軸(J)方向に空気が流れる様に構成するのが好ましい(請求項6)。
そして、前記環状容器(1d)の外筒部(1do)に、前記環状容器(1d)の半径方向内方へ空気を流入するための付加的な流入流路(19)を設けることが好ましい(請求項7)。
さらに、環状容器(1e)の外筒部(1eo)の、中心軸(J)方向について流入流路(7)より閉鎖端部(1et)側の範囲に、付加的な燃料ノズル(補助燃料ノズル12)を設けることが好ましい(請求項8)。
上述した様な構成を具備する本発明によれば、環状容器(1、1a、1b1、1b2)の中心軸(J)方向を開放端部(1x)から閉鎖端部(1t、1at、1bt)に向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流(22b)を形成すると共に、燃焼用空気が流入する流入流路(5)に向けて、中心軸方向(J)を閉鎖端部(1t、1at、1bt)から開放端部(1x)に向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して燃料(23a)を噴射する様に構成されているので、断面が環状の燃焼室で、燃料供給手段から離隔した領域で供給された空気の流れが供給された燃料の航跡と最初に交わり、燃料供給手段近傍の領域で供給された燃料の航跡と再び交わる。その結果、単純な構造でありながら、燃焼ガス再循環を積極的に発生させることが出来る。
そのため、本発明を汎用の燃焼装置に適用した場合には、安定性が高く、且つ燃焼ガス再循環の作用を最大限に発揮することが出来る。
そして、高い安定性で燃焼ガス再循環の作用を最大限に発揮することが出来るため、高温且つ低酸素濃度の燃焼ガスで燃焼させることが出来る。そのため、従来の技術では低NOx化が困難であった液体燃料の場合であっても、安定的な蒸発挙動を持った予蒸発燃焼、気体燃料・液体燃料を問わない予混合燃焼、緩慢な燃焼を行い、均一で最高火炎温度の低い燃焼、燃焼ガス中の不活性ガスの許容量による平均火炎温度の低い燃焼を実現することが出来る。従って、従来技術では困難であったサーマルNOxの抑制を、実現することが出来るのである。
そして本発明では、空気供給手段(流入流路5)から燃焼室内に供給された空気の流れの一部が低温の燃焼ガス(22a)或いは燃焼ガスとはならない空気流(20e)として、燃焼室内壁面に沿って流れる。その結果、燃焼装置の内壁は、低温の燃焼ガス(22a)或いは燃焼ガスとはならない空気流(20e)によって、燃焼装置内部の熱から保護される。その結果、燃焼熱に対する耐久性の高い燃焼装置の提供が実現する。
上述した様に、本発明によれば、燃焼ガス再循環を積極的に発生させることが出来る単純な構造が提供されるので、セラミックス等の耐熱材料の使用が容易で、分解及び部品交換が容易で、しかも、整備性に優れた燃焼装置が実現する。
また、補助燃料ノズル(付加燃料ノズル12:請求項8)を設けた場合は、気体燃料/液体燃料の混焼や、低発熱量の燃料や廃液の燃焼においても、サーマルNOxの生成を抑制できる。
上述したような構成を具備する本発明を、1次燃焼領域としてガスタービン燃焼装置に適用した場合には、単純な構造で燃焼ガス再循環を積極的に発生させることが出来るので、ガスタービン燃焼装置の1次燃焼領域において、安定性が高く、且つ燃焼ガス再循環の作用を最大限に発揮することが出来る。
そして、高い安定性を有することに起因して、本発明を適用したガスタービン燃焼装置においては、1次燃焼領域をより希薄に設計できるので、平均燃焼温度を低く抑えて、サーマルNOxの生成をさらに抑制できるという作用効果を奏する。
また、本発明の燃焼装置を適用したガスタービン燃焼装置では、高い安定性で燃焼ガス再循環の作用を最大限に発揮することが出来るため、例えば従来の技術では低NOx化が困難であった液体燃料の場合であっても、サーマルNOxの生成を抑制できる。
また、上述した通り、本発明の燃焼装置では、内壁が好適に低温の空気流によって冷却されるため、耐久性の高いガスタービン燃焼装置を提供出来る。
さらに、本発明の燃焼装置では構造が簡単であることに起因して、セラミックス等の耐熱材料の使用が容易で、且つ分解、交換が容易になされるため、整備性に優れたガスタービン燃焼装置の提供が実現する。
これに加えて、本発明の燃焼装置を適用したガスタービンでは、1次燃焼領域の外側に空気が流れず、ライナを露出させた構造とすることが出来るため、燃料ノズルや点火装置等を単純な構造で配置でき、コストダウンが可能である。
これに加えて、ケーシングに対するライナの熱膨張を低減出来るため構造が単純になり、更なるコストダウンが可能である。
そして、補助燃料ノズル(付加燃料ノズル12:請求項8)を設けた本発明の燃焼装置でガスタービンを構成すれば、気体燃料/液体燃料の混焼や低発熱量の燃料や廃液の燃焼においてもサーマルNOxの生成を抑制できる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
尚、各実施形態において同一部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
先ず、図1及び図2を参照して、第一実施形態を説明する。
図1において、第1実施形態の燃焼装置は、上端(閉鎖端部)1tが閉じられた環状容器1と、その環状容器1の外周側面(後述の外筒部1o)に形成され、燃焼用空気20を環状容器1内に流入させる図示の例では共通ピッチの複数の空気流入部5と流入ケーシング3及び導入路2から成る流入流路と、前記環状容器1の上端(閉鎖端部)1tの裏面に設けた燃料ノズル4から構成されている。
前記環状容器1は、図2に詳細を示すように、内筒部1iと、外筒部1oとを有し、その内筒部1i及び外筒部1oとが、前記閉鎖端部1tによって閉塞するように構成されている。尚、環状容器1の下端は開放された燃焼ガスの出口1xとなる。
尚、環状容器1の内筒部1iにおいて、前記外筒部1oに形成された空気流入部5よりも上方側(閉鎖端部1t側)の位置には複数の内側空気流入部5aが複数形成されている。
前記ケーシング3は、環状容器1の内筒部1iの内側に所定の隙間部Siが形成されるように配置された内筒3iと、環状容器1の外筒部1oの外側に所定の隙間部Soが形成されるように配置された外筒3oと、前記内筒3iの下端と環状容器1の内筒部1iの下端を接続する内側底部材3biと、前記外筒3oの下端と環状容器1の外筒部1oの下端を接続する外側底部材3boとで構成されている。
前記ノズル4は、図示では明確に描かれていないが、例えば、中空材で作成された単一の環に多数の孔(噴孔)を穿孔したり、多数のノズルチップを取り付けることによって実現出来る。また、複雑な構造ではあるが、微粒化特性のよいノズルチップを利用してもよい。
上述したように構成された第1実施形態では、燃焼用空気20は、図示しない送風機又は圧縮機によって前記流入ケーシング3の外筒3oと環状容器1の外筒部1oとで形成された前記隙間Soに流入し、導入路2を経由して空気流入部5から斜め上方向き(開放端部1xから閉鎖端部1tへの向き)に環状容器1に流入する。
一方、燃料21は図示しない燃料ポンプ、又はブロア、或いは圧縮機によって燃料ノズル4を介して、環状容器1の閉鎖端部1tから出口1x方向に向けて環状容器1の中心軸Jに対して径方向外側に広がり角度αを持って、且つ、前記燃焼用空気の流入部5をめがけて噴射される。
環状容器1内では、燃料21と燃焼用空気20が混合して燃焼し、燃焼して出来た燃焼ガス22が環状容器1の開口端1xから排出される。
第1実施形態の特徴は、図2に示すように、燃焼用空気20が環状容器1の閉鎖端部1tから環状容器1の軸方向に所定距離だけ離れた位置において、環状容器1の閉鎖端部1tから開放端1xに向う向き(以下、出口方向とする)に対して逆向きの速度成分を持って(前記空気流入部5から斜め上方に向って)環状容器1内に流入するとともに、燃料23が環状容器1の閉鎖端部1tから出口1x方向に向けて、環状容器1の中心軸Jに対して半径方向に広がり角度αを持って、且つ、燃焼用空気20の流入部5をめがけて噴射されることである。換言すれば、空気流入部5から容器1内に流入する燃焼用空気は、環状容器1の中心軸J方向を開放端部1xから閉鎖端部1tへ向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流22bを形成する。一方、燃料ノズル4から噴射される燃料は、空気流入部5(流入流路)に向けて、中心軸J方向を閉鎖端部1tから開放端部1xに向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して、噴射される。
さらに、前記内側空気流入部5aからは環状容器1内において斜め下方に向って、空気20aが流入するので、環状容器1の内筒部1iの内壁を好適に冷却する。
図示はしないが、空気流入部5の環状容器1側面に対する開口割合や形状及びピッチは任意に設定出来る。また、図示しないが燃焼用空気20の環状容器1への流入部5において、流入する燃焼用空気20の流れを、出口1xと逆向き(開放端部1xから閉鎖端部1tに向う向き)の速度成分を持つ限りにおいて偏向する構造を設けてもよい。
尚、図2において、符号22bは空気流入部5から流入した燃焼用空気20と、燃料が混合、燃焼して発生した燃焼ガスの出口1xと逆方向に大きな速度成分を有するが、旋回する速度成分は有しない空気流を示す。
次に、図3及び図4を参照して第2実施形態を説明する。
図3及び図4の第2実施形態の燃焼装置では、図1及び図2の第1実施形態における環状容器1に対して、環状容器1aの外筒部1aoを、図示の例では軸方向の略中央で絞った構造(段付構造)とした実施形態である。
その段付部1ad、すなわち環状容器1aの外筒部1aoの外径が不連続に変化する部分に空気流入部5が形成されている。
この第2実施形態においても、空気流入部5aから容器1a内に流入する燃焼用空気は、環状容器1aの中心軸J方向を開放端部1xから閉鎖端部1atへ向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流22bを形成する。一方、燃料ノズル4から噴射される燃料は、空気流入部5a(流入流路)に向けて、中心軸J方向を閉鎖端部1tから開放端部1xに向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して、噴射される。
ケーシング3については後述の図7および図8の第4実施形態と概略同様であり、詳細説明は第4実施形態の説明の際に行う。
そのように構成された第2実施形態によれば、前記空気流入部5から環状容器1aに流入する燃焼用空気20と、燃料が混合、燃焼して発生した燃焼ガスの出口1xと逆方向に大きな速度成分を有するが、旋回する速度成分は有しない空気流22bを形成するように、環状容器1a内に流入する。
図3、4において、環状容器1aの外筒部1aoの断面変化部1adは環状容器1aの軸方向に直交して描かれているが、角度は任意である。また、図示しないが、空気流入部5の開口割合や形状及びピッチに関しても任意に設定出来る。
さらに、図示はしないが、空気流入部5において流入する燃焼用空気20の流れを径方向外側に偏向させる構造を設けてもよい。
また、図3,4の第2実施形態では、燃焼用空気20に出口と逆向きの速度成分を持たせられる限りにおいて導入路2はなくてもよい。
尚、図4において、符号1aiは環状容器1aの内筒部を、符号1atは環状容器1aの閉鎖端部を示す。
次に、図5、図6を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図3及び図4の第2実施形態における環状容器1aに対して、図5、図6の第3実施形態では、環状容器1b1の外周側側面(外筒部)1boと同軸に、開放端部1x側に2次筒(筒状部材)32を配置している。
ここで、2次筒32の断面積は、外周側側面1boの断面積よりも小さい。そして、2次筒32の上方(閉鎖端部1bt側)端部32tと、外周側側面1boの下方(開放端部1x側)端部1botとは、接続部材7により接続されている。
接続部材7には、空気流入部5(流入流路)が形成されている。
図5、図6において、接続部材7は2次筒32及び外周側側面1boと軸方向(符号J)に直交する部材として描かれているが、接続部材7の中心軸Jに対する角度は任意である。
また、図示はしないが空気流入部5の開口割合、形状及びピッチは任意に設定出来る。或いは、空気流入部5において流入する燃焼用空気20の流れを径方向外側に偏向させる構造を設けてもよい(図示せず)。
さらに、空気流入部5は、燃焼用空気20に対して、出口1x(開放端部)から閉鎖噴部1btへ向う速度成分を持たせられる限りにおいて、導入路2はなくてもよい。
図5、図6の実施形態においても、空気流入部5から容器1b1内に流入する燃焼用空気は、環状容器1b1の中心軸J方向を開放端部1xから閉鎖端部1btへ向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流22bを形成する。一方、燃料ノズル4から噴射される燃料は、空気流入部5(流入流路)に向けて、中心軸J方向を閉鎖端部1btから開放端部1xに向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して、噴射される。
図5、図6の第3実施形態では、特に図6で示す様に、閉鎖端部1btの内側であって、内筒部1bi近傍で且つ前記燃料ノズル4の半径方向内方に、補助空気流入口71(付加的な流入流路)を設け、環状容器1b1の中心軸J方向へ空気が流れる様に(矢印72で示す)構成されている。これにより、内筒部1biの内壁面1bisに沿って空気72が流れることとなり、内筒部1biの内壁面1bisが効率的に冷却される。ここで、補助空気流入口71は、図5では矢印で示されている。
この補助空気流入口71については、図5、図6の第3実施形態のみならず、図1〜図4の第1実施形態及び第2実施形態でも適用することが出来る。同様に、図7以下で後述するその他の実施形態についても、補助空気流入口71から空気流71を噴射して内筒部内壁面1bisを冷却する構成を適用することが可能である。
次に、図7、図8を参照して第4実施形態を説明する。
図7、図8の第4実施形態の燃焼装置では、環状容器1b2が、製作上の要請に応じて断面変化部分(段付部)1bdで2次環状容器6と、第1の接続部材7と、第2の接続部材33とに分割された構成に置き換えられた実施形態である。
図8において、符号6iは2次環状容器6の内筒を、6oは同じく外筒を示す。
その他の構成については、図5、図6で示す第3実施形態と同様である。
なお、第3実施形態と第4実施形態では、燃焼室が環状容器1b1と2次筒32に分割されているため(第3実施形態)、或いは、環状容器1b2と下流の構造(2次環状容器6)に分割されているため(第4実施形態)、環状容器1b1、1b2を容易に取り出すことが出来、従来例と比較して燃焼装置の分解、交換、整備がし易く、整備性が向上する。
ここで、環状容器の形状について触れる。
第1〜第4実施形態において、容器1、1a、1b1、1b2の断面形状は円環形(環状)であるが、任意の形状に変更することも可能である。
また、一方が他方を完全に包含する二つの多角形で構成される環状であってもよい。
また、容器1、1a、1b1、1b2の断面形状は空気流入部5が形成された(軸方向)位置以外で軸方向に変化していてもよい。
さらに、環状容器1、1a、1b1、1b2の内筒部1i、1ai、1biと、2次環状容器6の内周側(内筒)6iには、任意の空気流入口5aを設けてもよい。これは主に環状容器1、1a、1b1、1b2及び2次環状容器6の壁面の冷却のためである。
環状容器1、1a、1b1、1b2の内筒部1i、1ai、1biや、2次環状容器6の内筒6iが耐熱性で構成されている場合は係る空気流入口5aは無くてもよい。また、空気流入部5よりも下流においては、これらの空気孔から燃焼に必要な燃焼用空気を供給してもよい。
以上の容器1に関する等価な構造は、上述した全ての実施形態に適用出来る。
第1〜第4実施形態において、導入路2の形状は空気流入部5から出口1xと逆向きの速度成分を持つように吹き込む限りにおいて形状は自由である。環状容器1、1a、1b1、1b2の全周にあってもよいし、空気流入部5が分割されている場合は導入路2も分割されてよい。
また、第1〜第4実施形態におけるケーシング3の形状は任意に偏向出来る。例えば、図示はしないが、実施形態においては軸方向の閉鎖端部1t、1at、1bt側からの流入となっている流入ケーシング3を、スクロール形状で周方向からの流入としたり、環状容器1、1a、1b1、1b2や2次環状容器6の出口周囲から逆向きに流入する形状としても良い。
また図9の様に、遠心圧縮機、タービンに適した所謂逆流方の流入ケーシング3aとしてもよい。
また、環状容器1、1a、1b1、1b2の内周側が耐熱性材料で形成されている場合で環状容器1、1a、1b1、1b2の内周側に空気流入孔5aがなくてもよい場合は、図10、図11に示すように、流入ケーシング3bは環状容器1b2の外周側(外筒部)1boで環状容器1b2と一体化してもよい。その場合の流入ケーシング3cは環状容器1b2の空気流入部5よりも閉鎖端部1bt側、又は環状容器1b2全体をケーシング3bで包囲して2重構造とする必要がなくなるので、燃料ノズル4や図示しない点火装置を、ケーシング3bを介さずに取り付けることが出来、構造が簡単になるためコストダウン出来る。その場合、露出した環状容器1b2は断熱材で断熱することが望ましい。
また、図示はしないが分割された空気流入部5である場合、導入路2に延長管を接続して延長管を合流させた流入管を設けて、流入ケーシングに変えてもよい。他の空気流入部がある場合も同様である。
以上の流入ケーシング3に関する等価な構造は、以降の全ての実施形態においても同様に適用出来る。
燃料ノズルの構成方法としては、単一の環型燃料ノズル4(図1〜図8)に変えて、図12及び図13に示すように、複数のノズル4aを同心円状に配置してもよい。
この場合も、燃料が環状容器1b2の閉鎖端部1btから出口1x方向に向けて、環状容器1b2の中心軸に対して径方向外方に角度を持って噴流状、又は扇状に、且つ、燃焼用空気の燃焼用空気流入部5をめがけて噴射される限りにおいて、単一のノズルと同様の作用が実現出来る。ノズル4aを複数とすることで、特に大型の燃焼装置で単一のノズルが適用しにくい場合に有効である。
以上の燃料ノズルに関する同様な構造は第1実施形態〜第4実施形態、及び以降の全ての実施形態においても適用可能である。
本発明に係る実施形態の作用について、図7、図8の第4実施形態を例にとり、以下に更に詳しく説明する。
図14において、燃料21は燃料ノズル4から環状容器1b2の中心軸Jに対して径方向外側に広がり角度αを持って噴射される(図15参照)。換言すれば、燃料は、空気流入部5に向けて、中心軸J方向を閉鎖端部1btから開放端部1xに向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して噴射される。
環状容器1b2の軸方向に対して広がり角度αを持って噴射された燃料のいくつかの燃料航跡23aを考える。
燃料航跡23aと同一面にある位置から環状容器1b2に流入した燃料用空気20bは、環状容器1b2内を出口1xとは逆方向に溯上し、一つの航跡23aと位置25で交わる。
液体燃料の場合を考えたとき、位置25において燃料航跡23aを経由してきた燃料21は幾分蒸発して粒子の径が小さくなっており、且つ空気流の中を進んできたためにノズル4の出口近傍と比べて速度が遅く、且つ燃料21と燃料用空気20の速度が対向する向きになっているため、燃料21は燃焼用空気20bの流れに乗り、着火して火炎を形成して燃焼する。
ここで、燃焼用空気20は、空気流入部5から容器1b2内へ流入し、環状容器1b2の中心軸J方向を、開放端部1xから閉鎖端部1btに向う速度成分を有するが、旋回する速度成分は有しない空気流22bを形成する。
燃焼用空気20bは環状容器1b2を出口1xと逆方向に、更に遡上しつつ、高温低酸素濃度の燃焼ガス22bとなる。
そして環状容器1b2の閉鎖端部1btに近づくに連れて環状容器1b2の中心軸J寄りに向きを変え、環状容器1b2の内筒1bi寄りにおいて出口1x方向に向きを変え位置26において燃料航跡23aを横切る。即ち、燃焼ガス再循環が起こる。
位置26において、高温、低酸素濃度の燃焼ガス22bは燃料を着火させずに予蒸発させる。蒸発した燃料は燃焼ガス22bに伴流し、燃焼ガス22bが高温ではあるが、低酸素濃度であるので燃焼速度を抑制するため、蒸発した燃料はすぐには着火せず予混合される。そして、所定時間経過の後、着火して燃焼し、燃焼ガス22bは更に高温、低酸素濃度の燃焼ガス22となって出口1xから排出される。
図示の実施形態においては、大部分の燃料が燃焼用空気20と最初に接触することなく、最初に燃焼ガス22bと接触することで、実際に低酸素濃度下で着火、燃焼が実現できる。
また、図示の実施形態においては、仮に燃料航跡23の根元近くでの燃料の蒸発が少ない場合には、より多くの燃料が燃料航跡23の先端で燃焼用空気20bと混合して燃焼ガス22bの温度が高くなることにより、燃料航跡23の根元での蒸発が促進される。即ち、蒸発量に対してフィードバック作用を持っている。よって、燃料噴射の条件が変化しても安定して本実施形態の作用が実現するような性質を持っている。
気体燃料の場合も、噴流状に燃料が空気の流れを突き抜け、周辺部が部分的に空気と混合しながら(燃料噴流がその運動量を失う前に)位置25まで届くように噴射することによって、液体燃料の場合と同様に燃料用空気20bが環状容器1b2を出口1xと逆方向に遡上しつつ燃料航跡23aと交わって燃料21と混合し、高温、低酸素濃度の燃料ガス22aとなる。
そして、環状容器1b2の閉鎖端部1btに近づくにつれて、環状容器1b2の中心軸寄りに向きを変え、内筒部1bi寄りにおいて反転して、位置26において燃料航跡23aを横切り、燃焼ガス再循環が起こる。
燃焼ガス22aは高温ではあるが低酸素濃度なので燃焼速度を抑制するため、直ぐに着火せず予混合となり、所定時間経過の後、着火して燃焼する。
図示の実施形態の最も基本的な作用は、空気が当該燃焼装置内で流れの向きを変えられて、燃焼装置内における燃焼用の空気と燃料のそれぞれの航跡が同一ではなく、空気の航跡と燃料の航跡とが2回交わり、且つ、空気にとって最初の交わりが燃料航跡の先端近傍で、2回目の交わりが燃料航跡の根元から先端近傍までの領域で起こるように燃料と空気とを混合することにより、燃焼ガス再循環を積極的に制御して起こすことである。
実施形態の作用のために例示された第4実施形態に係る燃焼装置内の流れを、環状容器1b2の中心軸Jを通る断面内でより詳しく示すと、図15に示すようになっている。
環状容器1b2に流入する燃焼用空気20を位置に応じて模式的に20a、20b、20c、20d、20eに分けて図示してある。環状容器1b2に流入する燃焼用空気20の大半20b、20c、20dは夫々燃料航跡23と衝突して燃焼ガス22b、22c、22dとなり、環状容器1b2内を深く遡上して再度燃料航跡23を横切る。燃焼用空気の流入位置が環状容器1b2の外筒部1boから離れるほど燃焼用空気はより浅い位置までしか遡上せずに反転する。環状容器1b2に流入する燃焼用空気20のうち、容器1bの外筒1bo内面に最も近い位置から流入した燃料用空気20aは燃料21と衝突しないまま容器1b内を最も深く溯上する。そして、溯上につれて燃焼ガス22bと混合して燃焼ガス22aとなる。よって、燃料航跡23に沿って満遍なく燃焼ガス22a、22b、22c、22dが横切ることとなり、燃焼ガス再循環の作用が最大限に発揮される。
図示の実施形態におけるその他の本質的な作用は、燃料の航跡に沿って満遍なく燃焼ガスが横切ることである。
これらの作用により、図示の実施形態に係る燃焼装置においては、図15に示すように、環状容器1b2の内筒部1biよりの第2の環状火炎28と、外筒部1bo寄りの、しかし環状容器1b2の外筒1boの内壁からは離れた第1の環状火炎27の二つが形成される。
第1の環状火炎27は、燃焼用空気20と燃料21が対向する形に成っていること、そして、第2の環状火炎28から燃料と出会う前の燃焼用空気に高温の燃焼ガスが乱流拡散によって供給されることによる燃焼用空気の温度上昇と酸素濃度の低下が、燃料の着火を抑制しつつ蒸発を促進するため、火炎の安定度が高まる。
また、第2の環状火炎28は第1の環状火炎27の燃焼ガス22a、22b、22c、22dが燃料航跡23を横切ることにより、第1の環状火炎27が確実な着火源となって安定性が高くなるとともに、高温且つ低酸素濃度の燃焼ガスで燃焼するために、予蒸発燃焼、予混合燃焼、且つ緩慢な燃焼となって、通常の拡散燃焼のように局所的に理論混合比となって、局所的に高温な箇所が存在する燃焼ではなく、均一で最高火炎温度の低い、且つ燃焼ガス中の不活性ガスの熱容量により平均火炎温度が低い燃焼となるため、サーマルNOxの生成が抑制される。
また、冷却上の利点として、図15に示す様な環状容器1b2に流入する燃焼用空気20のうち、環状容器1b2の外筒部1boの内周面に最も近い位置から流入した燃料用空気20aは(燃料21或いは)燃料航跡23と衝突しないまま環状容器1b2内を最も深く溯上して、遡上するにつれて燃焼ガス22bと混合して燃焼ガス22aとなる。燃焼ガス22aは比較的低温であるので環状容器1b2の内面を過熱から保護する。
一方、環状容器1b2の外筒部1boの内面から最も離れた位置で環状容器1b2に流入した燃焼用空気20eは、燃焼量21の到達点よりも出口1x側で反転して出口1x方向に流れるため、燃焼ガスとはならないで2次環状容器6の外筒6oの内周面6of寄りから次第に主火炎(第2の環状火炎)28の燃焼ガスと混合する。
しかし、この反転した燃焼用空気20eのうち、最も2次環状容器6の外筒6oの内周面6ofに近い部分は比較的低温であり、主火炎28の高温から2次環状容器6の外筒6oの内周面6ofを保護する。環状容器1b2の内周側及び2次環状容器6の内周側(内筒6i)内面は、高温の燃焼ガスが近傍を通過する。従って、必要に応じて環状容器1b2の内周側及び2次環状容器6の内筒6iの内周面6ifには空気孔5aを設けて、冷却用の空気を噴流状に、若しくは壁面に沿うように噴出して冷却してもよい。
環状容器1b2の内周側及び2次環状容器6の内筒6iの内周面6ifが耐熱性材料で構成される場合は、環状容器1b2の内周側及び2次環状容器6の内筒6iの内周面6ifに空気流入孔は無くても良い。
上述した作用は、第1〜第3実施形態、及び以降説明する実施形態でも同様に起こる。
次に、前述の第4実施形態と等価、すなわち互換性のある第5実施形態について、図16を参照して説明する。
図16において、第5実施形態の燃焼装置は、環状容器の閉鎖端部1ctが前述した第1〜第4実施形態とは異なって、断面曲線Lrが一様でない極率の自由円弧からなる曲面で構成された環状容器1cを有する実施形態である。
尚、図示の例では、当該環状容器1cは、大部分が曲面の閉鎖端部1ctから成り、その環状容器1cの極めて短い内筒部1ciには第2の接続部材33を介して、及び外筒部1coには接続部材7を介して2次環状容器6が接続されている。
第5実施形態の燃焼装置の場合も、前記第4実施形態で説明したと同様の作用が実現出来る。環状容器1cの閉鎖端部1ctが曲面で構成されていることにより、特に燃焼温度が高温になる用途において、環状容器1cをセラッミク等の耐熱材料で構成する場合、製作がより容易になり、コストダウン出来る。
また、燃焼室が環状容器1cと下流の構造(2次環状容器6)に分割されているため、環状容器1cを容易に取り外すことが出来、従来と比較して燃焼装置の分解、交換、整備がし易く、整備性が向上する。
第5実施形態の一部曲面で構成された環状容器1cを第1〜第4実施形態に適用してもよい。
次に、図17を参照して第6実施形態を説明する。図17の第6実施形態は、図7、図8の第4実施形態の応用型、即ち、第4実施形態に対して、環状容器の外筒部に補助空気孔を形成した実施形態である。
図17において、第6実施形態の燃焼装置は、環状容器1dが閉鎖端部1dt近くの外筒部1doの周囲に複数の補助空気孔19を形成した実施形態である。
そのように閉鎖端部1dt近くの外筒部1doの周囲に形成された複数の補助空気孔19から流入した燃焼用空気20dは向心方向にジェット状に環状容器1d内に流入するので、周囲の燃焼ガス22bを誘引して、容器1dの閉鎖端部1dt近くで全体として環状容器1dの外周(外筒部)1doから内周(内筒部)1diへ向う方向に流れを促進する。
これによって旋回して流れてきた燃焼ガス22bを環状容器1dの閉鎖端部1dt近くにおいて環状容器1dの内周(内筒部)1di寄りに導き、燃料航跡23に向って再循環させることが出来る。
第6実施形態の補助空気孔19を第1〜第2実施形態に適用してもよい。
次に、図18を参照して、第4実施形態の応用例である第7実施形態を説明する。
当該燃焼装置は、内筒部1ei及び外筒部1eoを有する環状容器1eの外筒部1eoの内面で、燃焼用空気20の流入部5のやや閉鎖端部1et寄りに補助的に燃料を噴射する補助燃料ノズル12を設けた実施形態である。
補助燃料ノズル12から噴射される燃料は主燃料ノズル4から噴射する燃料と同一であっても、異なる燃料であってもよい。燃焼装置が大型である場合や、気体燃料で噴射圧力が限られていて、燃料21を燃焼用空気20の流入部5(図示せず)まで到達させるのが難しい場合でも、補助燃料ノズル12から同一燃料を噴射すると、第3の実施例と同様に燃焼ガス再循環により、サーマルNOxの再生を抑えた燃焼を実現出来る。
また、燃料ノズル4から液体燃料を、補助燃料ノズル12から気体燃料を噴射することによって、液/ガス混焼を単純な構成で実現出来る。
また、補助燃料ノズル12によってターンダウン性能をより向上させることが出来る。
更に、低発熱量で安定燃焼が難しい燃料を使用する場合、特に発熱量を有しているものの、その熱量が少ない廃液を燃焼処理するような場合には、燃料ノズル4から低発熱量燃料又は廃液を噴射し、補助燃料ノズル12から燃焼性のよい燃料を噴射することによって、第2の実施例と同様に、燃焼ガス再循環により、予蒸発、予混合した燃料となり、サーマルNOxの生成を抑制した燃焼を実現出来る。
尚、図18において補助燃料ノズル12は環状容器1eの外周に沿って複数のノズルを設けたものであるが、別の構成としては、(図示はしないが)多数の噴射孔を開けた単一の環を環状容器1eの外筒部1eoの内面に配置してもよい。
第12実施形態の補助燃料ノズル12は、第1〜第3実施形態、第5実施形態、第6実施形態にも適用可能である。
本発明をガスタービンの燃焼装置に適用する場合、上述してきたような実施形態(第1実施形態〜第7実施形態)を1次燃焼領域と見做して、出口1xの下流に更に空気流入部を設ければよい。一方、ガスタービンの燃焼装置において、燃焼効率が低下して未燃焼成分が排出されたり、NOx生成が増加したりしないように1次燃焼領域の下流で空気を加えるための技術的工夫は、多く公知になっている。従って、本発明をガスタービンに適用する場合、これまで説明してきた実施形態に公知の技術を適用することで実現できるため、本発明の本質を保ったまま多くの応用的実施形態が可能となる。その全てを記すことは出来ないが1部の例について以下に説明する。
図19及び図20を参照して、第8実施形態に係るガスタービンの燃焼装置を説明する。
図19及び図20の第8実施形態は、前述の第4実施形態の燃焼装置をガスタービン燃焼装置に適用した実施形態である。
図20において、当該ガスタービン燃焼装置は、前記第4実施形態と比較すると、2次環状容器が出口1x側に延長され2次環状容器6bの内筒6biの適切な位置に空気孔14が開口された2次環状容器6bに置き換えられている。また、2次環状容器6bは下流で断面が拡張(6bd)されているが、これは任意に設定出来る。また、2次環状容器6bは出口1xまで一体で構成されているが、製作上の要請に応じて分割されてもよい。
2次環状容器6bの内筒6biに複数段にわたって形成された空気孔14から2次及び希釈空気18が流入する。
第4実施形態と同様に1次燃焼領域16では、燃料航跡23に沿って満遍なく燃焼ガス再循環が起こることにより、高温且つ低酸素濃度の燃焼ガスで燃焼するために、液体燃料の場合には予蒸発燃焼、さらに気体燃料であっても液体燃料であっても予混合燃焼、且つ緩慢な燃焼となって、(通常の拡散燃焼のように局所的に理論混合比となって局所的に高温な箇所が存在する燃焼ではなく)均一で最高火炎温度の低い、且つ燃焼ガス中の不活性ガスの熱容量により平均火炎温度が低い燃焼となるため、サーマルNOxの生成が抑制される。2次環状容器6bの最も上流側の2次空気孔14までの外筒部1boの内壁面は第4の実施形態と同様に1次空気17の一部で冷却される。
尚、2次環状容器6bの外筒6boの壁面には任意に冷却空気孔14oを開けてもよい。環状容器1b2及び2次環状容器6bの内筒6biの内面は高温のガスが近傍を通過する。従って必要に応じて環状容器1b2及び2次環状容器6bの内筒6biには空気孔を設けて、冷却用の空気を噴流状に、若しくは壁面に沿うように噴出して冷却してもよい。
環状容器1b2及び2次環状容器6bの内筒6biが耐熱材料で作られている場合、環状容器1b2及び2次環状容器6bの内筒6biには空気流入孔は設けなくてもよい。
更に1次燃焼領域16の安定性が高いため、全空気流量に対する1次空気17の流量比率を高めて、より希薄な1次燃焼として燃焼温度を低くすることが出来るため、さらにサーマルNOxの生成を抑制出来る。
また、燃焼室が環状容器1b2と下流の構造(2次環状容器6b)に分割されているため、環状容器1b2を容易に取り出すことが出来、従来例と比較して燃焼装置の分解、交換、整備がし易く、整備性が向上する。
第4の実施形態に代えて、第1〜第3、第6、第7実施形態をガスタービン燃焼装置に適用した場合についても、第13実施形態の作用、効果が同様に実現出来る。また、その際、第1〜第3、第6、第7実施形態夫々の作用、効果はそのまま発揮される。
次に、図21を参照して第9実施形態に係るガスタービン燃焼装置について説明する。
図21の第9実施形態は、前述の第5実施形態の燃焼装置をガスタービン燃焼装置に適用した実施形態である。
図21において、当該ガスタービン燃焼装置は、前記第5実施形態と比較すると、2次環状容器が出口1x側に延長され2次環状容器6bの内筒6biの適切な位置に空気孔14が開口された2次環状容器6bに置き換えられている。なお、2次環状容器6bは下流で断面が拡張されているが、これは任意に設定出来る。また、2次環状容器6bは出口1xまで一体で構成されているが、製作上の要請に応じて分割されてもよい。2次環状容器6bの内筒6biに複数段にわたって形成された空気孔14から2次及び希釈空気18が流入する。
第5実施形態と同様に1次燃焼領域16では、燃料航跡23に沿って満遍なく燃焼ガス再循環が起こることにより、高温且つ低酸素濃度の燃焼ガスで燃焼するために、液体燃料の場合には予蒸発燃焼、更に気体燃焼であっても液体燃料であっても予混合燃焼、且つ緩慢な燃焼となって、(通常の拡散燃焼のように局所的に理論混合比となって局所的に高温な箇所が存在する燃焼ではなく)均一で最高火炎温度の低い、且つ燃焼ガス中の不活性ガスの熱容量により平均火炎温度が低い燃焼となるため、サーマルNOxの生成が抑制される。2次環状容器6bの最も上流側の2次空気孔14までの外筒部1coの内壁面は第5実施形態と同様に1次空気17の一部で冷却される。
尚、2次環状容器6bの外筒6boの壁面には図示のように、任意に冷却空気孔14oを開けてもよい。環状容器1c及び2次環状容器6bの内筒6bi内面は高温の燃焼ガスが近傍を通過する。従って、必要に応じて、環状容器1cの内周側及び2次環状容器6bの内筒6bi内面には空気孔14を設けて、冷却用の空気を噴流状に、若しくは壁面に沿うように噴出して冷却してもよい。
環状容器1c及び2次環状容器6bの内筒6biが耐熱材料で作られている場合、環状容器1c及び2次環状容器6bの内筒6biには空気流入孔は設けなくてもよい。
更に1次燃焼領域16の安定性が高いため、全空気流量に対する1次空気17の流量比率を高めて、より希薄な1次燃焼として燃焼温度を低くすることが出来るため、さらにサーマルNOxの生成を抑制出来る。
また、燃焼室が環状容器1cの閉鎖端部1ctが曲面でドーム状に構成されていることにより、特に温度が高温になる用途において環状容器1cをセラミック等の耐熱材料で形成する場合、製作がより容易になり、コストダウンが可能となる。
また、燃焼室が環状容器1cと下流の構造(2次環状容器6b)に分割されているため、環状容器1cを容易に取り出すことが出来、従来例と比較して燃焼装置の分解、交換、整備がし易く、整備性が向上する。
次に、図22を参照して第10実施形態に係るガスタービン燃焼装置について説明する。
図22の第10実施形態は、前述の図20の第8実施形態の応用例である。
即ち、図20の第8実施形態の燃焼装置における2次空気18の混合部の空気孔14に変えて、旋回器15を用いた実施形態である。
但し、2次環状容器6bの内筒6biには空気孔14が、外筒6boには空気孔14oが設けてある。
旋回器15で2次空気18を旋回流とすることにより、2次領域での混合を促進することが可能となる。そのように1次燃焼領域の下流で空気を加えるに当たって、燃焼効率が低下して未燃成分が排出されたり、NOx生成が増加したりしないための公知の技術的工夫を用いることにより、本発明の本質を保ったまま、様々な形の応用的実施例を得ることが出来る。
以上説明したように、本発明に係る燃焼装置をガスタービンに適用した場合、単純な構造で、燃焼ガス再循環を積極的に発生せしめることにより、1次燃焼領域において、安定性が高く、且つ燃焼ガス再循環の作用を最大限に発揮することが出来る。
また、高い安定性で燃焼ガス再循環の作用を最大限に発揮することが出来るため、高温且つ低酸素濃度の燃焼ガスで燃焼させて、従来の技術では低NOx化が困難であった液体燃料の場合の安定的な蒸発挙動を持った予蒸発燃焼、気体燃料・液体燃料を問わない予混合燃焼、緩慢な燃焼となって均一で最高火炎温度の低い燃焼、燃焼ガス中の不活性ガスの熱容量による平均火炎温度の低い燃焼を実現して、より1次燃焼領域を希薄に設計できる。そして、1次燃焼領域を希薄に出来ることにより、更に燃焼温度を低く抑えて、サーマルNOxの生成を抑制できるガスタービン燃焼装置の提供が実現出来る。
また、燃焼装置の内壁が好適に低温の空気流によって冷却されるため、耐久性の高いガスタービン燃焼装置の提供が実現する。
さらに、セラミックス等の耐熱材料の使用が容易な燃焼装置の提供が実現する。また、分解、交換が容易になされるため、整備性に優れたガスタービン燃焼装置の提供が実現する。
これに加えて、補助燃料ノズルを設けた場合は、気体燃料/液体燃料の混焼や低発熱量の燃料や廃液の燃焼においてもサーマルNOxの生成を抑制できるガスタービン燃焼装置の提供が実現する。
尚、以上説明してきた実施形態は、発明の本質を保つ範囲で任意に変形できるものであり、発明の技術的外延はあくまで請求項の記述によって判断されなければならない。
すなわち、図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
本発明の第1実施形態の斜視図。 本発明の第1実施形態の断面図。 本発明の第2実施形態の斜視図。 本発明の第2実施形態の断面図。 本発明の第3実施形態の斜視図。 本発明の第3実施形態の断面図。 本発明の第4実施形態の斜視図。 本発明の第4実施形態の断面図。 本発明で用いられる流入ケーシングの第2の形状例を示す断面図。 本発明で用いられる流入ケーシングの第3の形状例を示す斜視図。 本発明で用いられる流入ケーシングの第3の形状例を示す断面図。 本発明で用いられる燃料ノズルの第2の構成例を示す斜視図。 本発明で用いられる燃料ノズルの第2の構成例を示す断面図。 本発明の作用を示す斜視透視図。 本発明の作用を示す断面図。 本発明の第5実施形態の断面図。 本発明の第6実施形態の断面図。 本発明の第7実施形態の断面図。 本発明の第8実施形態の斜視図。 本発明の第8実施形態の断面図。 本発明の第9実施形態の断面図。 本発明の第10実施形態の断面図。 従来の筒状燃焼装置の断面図。 従来の環状燃焼装置の断面図及び正面図。 別の従来の筒状燃焼装置の断面図。 従来のガスタービン用環状燃焼装置の断面図。
符号の説明
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f・・・環状容器
2、2a・・・導入路
3、3a、3b、・・・流入ケーシング
4、4a・・・燃料ノズル
5・・・空気流入部
7・・・接続部材
12・・・補助燃料ノズル
14・・・空気孔
15・・・旋回器
16・・・1次燃焼領域
17・・・1次空気
18・・・2次及び希釈空気
19・・・補助空気孔
20、20a、20b、20c、20d、20e・・・燃焼用空気
21・・・燃料
22、22a、22b、22c、22d・・・燃焼ガス
23、23a、23b・・・燃料の航跡
25・・・燃焼用空気と燃料との最初の衝突点
26・・・燃焼用空気と燃料との2回目の衝突点(燃焼ガスと燃料との衝突点)
27・・・第1の環状火炎
28・・・第2の環状火炎
32・・・2次筒
33・・・第2接続部材
41・・・内筒(仕切り筒)
42・・・保炎板
43・・・保炎板による逆流
44・・・旋回流れによる中心逆流
45・・・外筒
46・・・燃焼室壁

Claims (8)

  1. 内周側面を構成する内筒部と、外周側面を構成する外筒部と、開放端部及び閉鎖端部を有する環状容器が燃焼室を構成しており、前記外筒部の閉鎖端部より中心軸方向に離隔した位置には流入流路が形成されており、該流入流路は、環状容器の中心軸方向を開放端部から閉鎖端部へ向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流を形成する様に構成されており、環状容器の閉鎖端部の内側には燃料ノズルが設けられ、該燃料ノズルは、前記流入流路に向けて、中心軸方向を閉鎖端部から開放端部に向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して燃料を噴射する様に構成されていることを特徴とする燃焼装置。
  2. 内周側面を構成する内筒部と、外周側面を構成する外筒部と、開放端部及び閉鎖端部を有する環状容器を備え、前記外筒部は閉鎖端部から中心軸方向へ離隔した位置で断面積が減少しており、該断面積が減少する部分には流入流路が形成されており、該流入流路は、環状容器の中心軸方向を開放端部から閉鎖端部へ向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流を形成する様に構成されており、環状容器の閉鎖端部の内側には燃料ノズルが設けられ、該燃料ノズルは、前記流入流路に向けて、中心軸方向を閉鎖端部から開放端部に向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して燃料を噴射する様に構成されていることを特徴とする燃焼装置。
  3. 内周側面を構成する内筒部と、外周側面を構成する外筒部と、開放端部及び閉鎖端部を有する環状容器を備え、該環状容器の中心軸と同軸に且つ外筒部の開放端部側に配置された筒状部材とを有し、筒状部材の断面積は外筒部の断面積よりも小さく、外筒部の端部と筒状部材の端部とを接続する環状の接続部材を設け、該接続部材には流入流路が形成され、該流入流路は、環状容器の中心軸方向を開放端部から閉鎖端部に向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流を形成する様に構成されており、環状容器の閉鎖端部内側には燃料ノズルが設けられ、該燃料ノズルは、前記流入流路に向けて、中心軸方向を閉鎖端部から開放端部に向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して燃料を噴射する様に構成されていることを特徴とする燃焼装置。
  4. 内周側面を構成する内筒部と、外周側面を構成する外筒部と、開放端部及び閉鎖端部を有する環状容器を備え、該環状容器の中心軸と同軸で開放端部側に配置された環状部材とを有し、該環状部材は内周側面を構成する内筒部及び外周側面を構成する外筒部を備え、環状部材外筒部の断面積は環状容器外筒部の断面積よりも小さく、環状容器外筒部の開放端部側端面と環状部材外筒部の閉鎖端部側端面とを接続する環状の第1の接続部材と、環状容器内筒部の開放端部側端面と環状部材内筒部の閉鎖端部側端面とを接続する第2の接続部材とを設け、第1の接続部材には流入流路が形成され、該流入流路は、環状容器の中心軸方向を開放端部から閉鎖端部に向う速度成分を有するが旋回する速度成分は有しない空気流を形成する様に構成されており、環状容器の閉鎖端部内側には燃料ノズルが設けられ、該燃料ノズルは、前記流入流路に向けて、中心軸方向を閉鎖端部から開放端部に向う速度成分及び半径方向外方へ向う速度成分を有して燃料を噴射する様に構成されていることを特徴とする燃焼装置。
  5. 前記環状容器の内筒部に、空気を流入するための付加的な流入流路が設けられている請求項1〜4の何れか1項の燃焼装置。
  6. 前記環状容器の閉鎖端部の内筒部近傍で且つ前記燃料ノズルの半径方向内方に付加的な流入流路を設け、前記環状容器の中心軸方向に空気が流れる様に構成した請求項1〜5の何れか1項の燃焼装置。
  7. 前記環状容器の外筒部に、前記環状容器の半径方向内方へ空気を流入するための付加的な流入流路を設けたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項の燃焼装置。
  8. 環状容器の外筒部の、中心軸方向について流入流路より閉鎖端部側の範囲に、付加的な燃料ノズルを設けた請求項1〜7の何れか1項の燃焼装置。
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