JP2005226270A - 土木・建築用シート状物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 工場又は現場での貼り付け作業をより簡便なものとするとともに、作業環境を改善することができ、表面に錆や汚れが付着した鋼材に対しても充分な密着性を発揮することが可能な土木・建築用シート状物を提供する。
【解決手段】 少なくとも粘着剤層と潤滑性発現層とを有する土木・建築用シート状物であって、該粘着剤層は、乾燥土を散布した基材表面との粘着力が、25mm幅の該シート状物の粘着剤層を基材に40mmまで重ね合わせ、双方を固定した引っ張り試験機にて0度方向に引っ張り、荷重をかけて測定したときに10gf以上である土木・建築用シート状物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、土木・建築用シート状物に関する。より詳しくは、基礎工事等における鋼材の引き抜き作業を改善し、土木・建築分野の特殊なケースにも充分に対応できる土木・建築用シート状物に関する。
建築分野や土木分野の基礎工事等において、地盤中に土留め擁壁等の構造物を埋設する場合には、鋼矢板等の鋼材(支持体)等を直接地盤に埋設する方法が一般に利用されている。そして、鋼矢板等を地盤に埋設した後には、必要に応じ、セメントミルクや生コンクリート等の水硬性組成物を地盤中に圧入したり、掘削孔を形成し水硬性組成物を注入後にH型鋼を鋼材(芯材)として埋め込んだりすることが行われている。なお、水硬性組成物を使用するか否かは、基礎工事を行う周囲の地下水の状況に応じて決定される。
このような基礎工事等に用いられる鋼材は、借地のためや後年に地下を再び工事(開発)する際の障害とならないようにしたり、また、鋼材を再度使用したりするために、地盤から引き抜かれることが望まれるが、地盤や水硬性組成物中から鋼材を引き抜く作業には相当の労力(引張力)が必要となる。
また基礎工事等の現場においては、鋼材を地盤から引き抜く際に土が付着するため、鋼材の表面は通常、錆や汚れ等が付着した状態であり、錆を充分に落とさないと接着剤や被覆材等の効力を充分に発揮させることができないことから、鋼材を使用する前に充分に洗浄する作業が必要となる。しかしながら、錆や汚れを充分に除去するのは困難であり、また、煩雑な作業であるため、錆や汚れ等が付着した状態で鋼材を再使用することが多い。
従来の引き抜き作業を改善するための技術に関し、下記の先行技術が開示されている。
すなわち、シート状基材に特定のアルカリ水可溶性樹脂及び吸水材を含む樹脂層が形成されている被覆材が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この被覆材は、鋼材と水硬性組成物の硬化物との間に膨潤した吸水材の層を形成して両者の接着を充分に抑制するとともに、鋼材を引き抜く際には膨潤した吸水材が潤滑効果を発揮して鋼材が滑り易くなることから、水硬性組成物の硬化物からの鋼材の引張力を低減でき、引き抜き作業の作業性を向上させることができるものである。そして、この技術を応用して、フリクションカッターシート(登録商標、FRCシート)が開発されており、簡便かつ効率的に作業を行うことが可能となっている。しかしながら、このシートを用いる場合には、現在、鋼材表面に溶剤型接着剤を用いて貼り付けているため、工場又は現場での貼付け作業をこれまでよりも更に簡便なものとするとともに、作業環境も更に充分に改善するための工夫の余地があった。また、錆や汚れ等が多く付着している鋼材表面にも更に充分に貼付することができ、鋼材使用前の洗浄作業を充分に行えない場合や、洗浄作業によっても錆び等を充分に取り除くことができない場合においても、より好適に用いられるようにするための工夫の余地があった。
また本願出願人は、シート基材に、潤滑材層と特定の塗膜剥離強度を有する接着剤層とが形成された被覆材を見いだしている(特願2002−214323)。これは、被覆材を接着剤層により鋼材表面に貼り付けることにより、容易に鋼材表面に潤滑材層を形成し作業性を向上するとともに、鋼材から被覆材が剥がれることを充分に防止して地盤から鋼材を容易に引き抜くことを可能とするものであり、鋼材の引き抜き作業を改善するのに有用なものである。しかしながら、この被覆材において、通常接着剤は、使用前に溶剤に浸す等して液状態で接着作用を発揮するものであるため、貼り付け作業をより簡便かつ効率化するとともに作業環境を更に改善し、しかも錆や汚れ等が多く付着している鋼材にも充分に対応するための工夫の余地があった。また、鋼材を引き抜く際の作業性を更に充分に向上させるための工夫の余地もあった。
また裏面に貼着面を有し、表裏面に吸水ポリマーと再湿性バインダーを混練して乾燥固化させた湿性潤滑層を有する吸水潤滑テープが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この吸水潤滑テープにおいては、錆や汚れ等が付着した鋼材にも粘着作用を有することは記載されておらず、汚れ等のない平滑な表面のみならず、錆や汚れ等が多く付着した鋼材表面にも充分な粘着力を発揮することにより、土木・建築分野での特殊なケースにも充分に対応できるようにするための工夫の余地があった。
一方、従来の粘着テープに関し、裏打支持体層と特定のガラス転移温度を持つ粘着剤層とを有する貼付剤(例えば、特許文献3参照。)、固定用粘着剤層と特定の分子量及びガラス転移温度を持つ発泡ポリスチレン用粘着剤層とを有する両面粘着テープ(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。しかしながら、これらの貼付剤は、特に、人の皮膚や、住宅等の断熱材に貼付されることを目的とすることから、高い粘着力が望まれる土木・建築分野の基礎工事等においても好適に用いられるようにするための工夫の余地があった。
特許第3274421号公報 特公平4−44045号公報 特開平3−127725号公報 特開平9−125022号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、工場又は現場での貼り付け作業をより簡便なものとするとともに、作業環境を改善することができ、表面に錆や汚れが付着した鋼材に対しても充分な密着性を発揮することが可能な土木・建築用シート状物を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、土木・建築用シート状物について種々検討したところ、フリクションカッターシート(登録商標、FRCシート)等の潤滑効果を発揮し得る層を有するシートが、その潤滑効果により鋼材と地盤や水硬性組成物の硬化物との摩擦力が低減されることに起因して、引き抜き作業の作業性向上に非常に有用であることにまず着目した。そして、このシートの片面に粘着剤層を設け粘着テープ化すると、溶剤型接着剤を使用せずに鋼材に貼り付けることが可能となるため、工場又は現場での貼り付け作業がこれまでよりも更に簡便となり、しかも作業環境も更に充分に改善され得ると考えて、市販の強力両面テープ(粘着剤)をFRCシートの裏面に貼り、それを現場の錆びた鉄鋼材に貼り付けてみたところ、粘着剤は表面の錆びの上に乗る状態となり、充分な貼り付き力を発揮し得なかった。そこで、乾燥土を散布した基材表面との粘着力が特定の値である粘着剤を用いると、汚れ等のない平滑な表面のみならず、錆や汚れ等が多く付着した鋼材表面にも充分な貼り付き力を発揮し得ることを見いだし、このような粘着剤を含む粘着剤層と潤滑性発現層とを有する土木・建築用シート状物とすることにより、引き抜き作業の作業性を更に充分に向上できるとともに、貼り付け作業が容易になり、塗りむらを充分に抑制し、かつ作業環境を改善することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決できることに想到した。そして、このような粘着剤層を、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下である単量体組成物を用いて得られる重合体を含むものとすると、粘着剤層が常温での流動性及び浸透性に優れることに起因して、本発明の作用効果を更に充分に発揮できることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、少なくとも粘着剤層と潤滑性発現層とを有する土木・建築用シート状物であって、上記粘着剤層は、乾燥土を散布した基材表面との粘着力が、25mm幅の該シート状物の粘着剤層を基材に40mmまで重ね合わせ、双方を固定した引っ張り試験機にて0度方向に引っ張り、荷重をかけて測定したときに10gf以上である土木・建築用シート状物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の土木・建築用シート状物は、土木又は建築用途に用いられるシート形状のものであり、少なくとも粘着剤層と潤滑性発現層とを有するものである。本発明においては、予めシート状基材に粘着剤層及び潤滑性発現層等を形成し、これらの層が一体化したシート状物を鋼材表面に貼り付けて鋼材の埋設工事等を行うことにより、溶剤型接着剤を使用しなくても潤滑性発現層を容易に形成できることから、潤滑性発現層の形成作業の効率が向上されるとともに、作業環境もより充分に改善されることとなる。また、鋼材表面に均一な潤滑性発現層を形成することができるため、潤滑材(剤)等を鋼材に塗る場合等に生じやすい塗りむらが抑制され、鋼材の引き抜き作業の作業性をより向上することが可能となる。
このような土木・建築用シート状物において、粘着剤層及び潤滑性発現層を有する形態としては、例えば、シート状基材の片面に潤滑性発現層が形成され、他方の面に粘着剤層が形成された形態、すなわち、粘着剤層と潤滑性発現層とが基材を介して設けられている形態;シート状基材の両面に潤滑性発現層が形成され、その少なくとも片面に更に粘着剤層が重ねて形成された形態;シート状基材の両面に粘着剤層が形成され、その少なくとも片面に更に潤滑性発現層が重ねて形成された形態等が挙げられる。中でも、粘着剤層と潤滑性発現層とがシート状基材を介して設けられている形態は、本発明の好適な形態の1つである。なお、粘着剤層を有する面が鋼材と接触する面となることが好適である。
本発明において、上記形態のシート状物を製造する方法としては、粘着剤層を、10μm〜5000μmのコーター高さの塗布機を使用して潤滑性発現層が形成された面とは反対側の面に設ける工程を含むことが好適である。すなわち、少なくとも粘着剤層と潤滑性発現層とを有する土木・建築用シート状物の製造方法であって、粘着剤層を、10μm〜5000μmのコーター高さの塗布機を使用して潤滑性発現層が形成された面とは反対側の面に設ける工程を含んでなり、該粘着剤層は、乾燥土を散布した基材表面との粘着力が、25mm幅の該シート状物の粘着剤層を基材に40mmまで重ね合わせ、双方を固定した引っ張り試験機にて0度方向に引っ張り、荷重をかけて測定したときに10gf以上である製造方法もまた、本発明の好ましい形態の1つである。また、このように潤滑性発現層が形成された面とは反対側の面に粘着剤層を形成する工程により製造されたシート状物もまた、本発明の好適な形態の1つである。
本発明においてはまた、シート状基材の両面に潤滑性発現層を形成し、その少なくとも片面に更に粘着剤層を重ねて形成する工程により製造してもよく、また、粘着剤層が形成された面とは反対側の面に潤滑性発現層を形成する工程により製造してもよく、シート状基材の両面に粘着剤層を形成し、その少なくとも片面に更に潤滑性発現層を形成する工程により製造してもよい。
上記土木・建築用シート状物において、粘着剤層とは、粘着剤を含有する層であり、鋼材と潤滑性発現層とを充分に密着させるために形成する層である。ここで、「粘着剤」とは、溶剤等を別途使用しなくてもそれ自体で粘着作用を発揮し、基材等に貼付後、乾燥等により含有液体(溶剤等)量が充分に低減された状態(例えば、溶剤含有量が5質量%以下)でも常温(0℃〜40℃)下において粘着力を有するものである。よって、溶剤に浸す等して液状態とした後、溶剤を揮発させることで接着作用を発揮し、基材等に貼付して乾燥した後(溶剤揮発後)は接着力を有さないように設計された「接着剤」とは、異なるものである。
本発明においては、このような粘着剤層を有するシート状物とすることにより、鋼材への貼付前にシートを溶剤に浸す等の工程を省略することができ、鋼材への貼り付け作業をより充分に簡略化することが可能となるとともに、作業環境を更に充分に改善することが可能となる。また、所望により本発明のシート状物における粘着層に含まれる重合体やその他の添加剤を適宜選択し、上記の常温の範囲より低い温度、例えば、−30℃〜0℃の使用領域であっても、充分に粘着力が発現するように設計することも可能である。
上記粘着剤層としては、乾燥土を散布した基材表面との粘着力が、25mm幅の該シート状物の粘着剤層を基材に40mmまで重ね合わせ、双方を固定した引っ張り試験機にて0度方向に引っ張り、荷重をかけて測定したときに10gf以上であるものである。粘着力が10gf/25mm未満であると、現場での錆や汚れ等が多く付着した鋼材表面に対して充分な粘着力を発揮することができないおそれがあり、作業性を充分に向上することができないおそれがある。好ましくは、100gf以上であり、より好ましくは、150gf以上であり、更に好ましくは、300gf以上であり、特に好ましくは、600gf以上であり、最も好ましくは、800gf以上である。なお、上記粘着剤層の粘着力は、上記粘着剤層を有するシート状物の粘着剤層と基材との間の密着力のことであり、25℃、相対湿度65%、25mm幅の当該シート状物の粘着剤層を基材に40mmまで重ね合わせ、双方を固定した引っ張り試験機にて0度方向(すなわち、基材と水平方向)に引っ張り荷重をかけて測定したときの密着力である。また、例えば粘着剤層に含まれる重合体のガラス転移温度(単量体から算出したガラス転移温度)をより低く設計することにより、上記のように粘着力を向上させることが可能になる。そして本発明のシート状物の使用時の気温、使用時に必要な粘着力、鋼材の表面の状態等により、適宜設計することができる。
本発明においては、このような範囲を満たす粘着剤層を用いることにより、表面が平滑な鋼材とともに、表面に錆や汚れ等が付着した鋼材にも充分な密着性を発揮し、土木・建築分野での特殊なケースにも充分に対応できることとなる。
なお、乾燥土を散布した基材表面との粘着力としては、例えば、以下のようにして求めることができる。
試料としては、粘着剤を離型紙の上に乾燥付着量200g/mになるようにアプリケーターで均一に塗布し、25℃の室温で24時間放置した後に100℃で2分間加熱乾燥して溶剤を揮発除去させた後、この離型紙に付着した粘着剤層とフリクションカッター(登録商標)被覆材シートの片面とを合わせ圧着させ、幅25mm×50mmに裁断して作製したものを用いる。また、乾燥土として笠岡粘土を使用し、また、乾燥土を散布した基材(被着体)として、70mm×70mm鉄板表面に笠岡粘土を50メッシュ(300μm)のフルイを用いて60g/mとなるように表面に均一に散布したものを用い、試料の裏面の離型紙を剥がし、長さ40mmの部分を被着体に貼付け、シートの上から4kgfの荷重を1分間かける。次に、「QC引張試験機TE−2001型」(商品名、テスト産業社製)を使用し、下部の固定部に被着体(鉄板)を固定し、上部の固定部に試料シートを固定した。引張りは、25℃、相対湿度65%にて、幅25mmの試料シートを0°方向(すなわち、鉄板と平行方向)に100mm/minの速度で引張り、そのときの粘着による抵抗力を測定し、該粘着による抵抗力を、乾燥土を散布した基材表面との粘着力とする。
上記範囲を満たす粘着力を有する粘着剤層としては、例えば、ガラス転移温度(Tg)が非常に低い単量体組成物を用いて得られる重合体を含むものであることが好適であり、このような単量体組成物が常温で流動性及び浸透性を有することに起因して、錆びた鋼材表面であっても錆びを巻き込んで張り付くことが可能となる。ガラス転移温度(Tg)としては、−30℃以下であることが好ましい。より好ましくは、−40℃以下であり、更に好ましくは、−50℃以下である。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(Tgi、単位:K)と、単量体iの質量分布(Wi)とを用いて下記式により算出される温度(K)を(℃)に換算して求めることができる。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
上記単量体組成物を用いて得られる重合体としては、全粘着剤層成分100質量%に対して、40質量%以上含有されることが好ましい。40質量%未満であると、粘着剤層に充分な流動性、浸透性を与えることができないおそれがあり、より充分な粘着力が得られないおそれがある。より好ましくは、50質量%以上であり、更に好ましくは、60質量%以上であり、特に好ましくは、70%以上である。
本発明の土木・建築用シート状物においては、上記粘着剤層は、全粘着剤層成分100質量%に対して、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下である単量体組成物を用いて得られる重合体を40質量%以上含むものであることが好ましく、このような形態は本発明の好適な形態の1つである。
上記範囲を満たし得るガラス転移温度を有する単量体組成物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メク)アクリル酸アルキルエステル:アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル:N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン等のN基含有不飽和単量体:(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等の不飽和アミド;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロビル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのポリカプロラクトン変性物(商品名:プラクセルFシリーズ(ダイセル化学工業(株)製))等を含むものであることが好適である。これらは、1種又は2種以上を用いることができる。錆び等で汚染された面への粘着力の観点から、重合後のガラス転移温度が−30℃以下となるようなものを1種又は2種以上組み合わせて併用するのが好ましい。
上記重合体を得る場合の重合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ラジカル重合開始剤等の重合開始剤を用いる重合方法:イオン化放射線、電子線等の放射線や、紫外線を照射する重合方法:加熱による重合方法等、従来公知の種々の方法を採用することができる。上記重合方法の中でも、通常のアクリル系粘着剤の製造に用いられるラジカル重合開始剤を使用する方法が工業的には最も好ましい。
上記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、有機過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開始剤等が挙げられる。上記有機過酸化物系重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。上記アゾ系重合開始剤としては、具体的には、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらの重合開始剤は、l種類のみを用いてもよく、2種以上を便宜混合してもよい。また、これらの重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではない。上記重合開始剤の中でも、有機過酸化物系重合開始剤が(メタ)アクリル系重合体主鎖の水素引き抜き反応を起こすラジカルをアゾ系重合開始剤よりも多量に生成し、これにより、重合体から単量体組成物に由来する重合体部分をより成長させることができるので、より好ましい。
これらの単量体の中でも、アクリル酸を必須とすることが好適であり、その場合のアクリル酸の含有割合としては、単量体組成物の合計質量100質量%に対して、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、更に好ましくは、10質量%以上とすることが好ましい。これにより、粘着剤層がアルカリ水可溶性を有することとなるため、潤滑性発現層に用いられる潤滑剤と鋼材とを密着させるバインダーとしての機能を発揮できる。それと同時に、粘着剤層自体に潤滑性発現層に似た作用効果を付与することができることから、これを用いた本発明のシート状物を鋼材に貼付し、地盤中に埋設した場合には、シート状基材と地盤や水硬性組成物との間に易剥離層を形成することができるので、仮埋設物を地盤や水硬性組成物中から引き抜く作業における労力(引張力)を更に充分に低減することができ、該作業の作業性をより一層向上させることが可能となる。
上記単量体組成物を用いて重合体を得る方法としては特に限定されず、溶液重合や塊状重合等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明の粘着剤層としては、上記重合体を含むことが好適であるが、乾燥土を散布した基材表面との粘着力が、25mm幅の該シート状物の粘着剤層を基材に40mmまで重ね合わせ、双方を固定した引っ張り試験機にて0度方向に引っ張り、荷重をかけて測定したときに10gf以上となる限り、天然ゴムを用いて形成することもできる。
上記粘着剤層としてはまた、溶剤を含んでいてもよく、溶剤として、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンゼン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール及びその誘導体等の1種又は2種以上を用いることができる。
なお、溶剤を含む場合、その含有量としては、粘着剤層をシート状基材に形成した後の含有量として、全粘着剤層成分100質量%に対して、40質量%以下であることが好ましい。40質量%を超えると、シート基材上に充分に粘着剤層を形成することができないおそれがあり、本発明の作用効果を充分に発揮することができないおそれがある。より好ましくは、30質量%以下、更に好ましくは、20質量%以下、より更に好ましくは、10質量%以下、特に好ましくは、5質量%以下、最も好ましくは、2質量%以下である。
本発明においては、上記粘着剤層が、全粘着剤層成分100質量%に対して、溶剤含有量が5質量%以下である形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
上記粘着剤層としては更に、本発明の作用効果を損なわない範囲で、架橋剤、可塑剤、粘着付与剤、無機添加物、充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の添加剤を含むことができる。
上記添加剤において、架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、トリメチロールプロパン変性TDI等のイソシアネート系架橋剤;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等のアジリジン系架橋剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
なお、架橋剤を用いる場合には、その含有量として、上記単量体組成物を用いて得られる重合体100重量部に対して、5重量部以下とすることが好適である。5重量部を超えると、粘着剤層の柔軟性、流動性が充分とならないおそれがある。より好ましくは、0.5重量部以下である。
上記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;ジブチルセバケート等のセバシン酸エステル系可塑剤;ジオクチルアジベート等のアジピン酸エステル系可塑剤;トリブチルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ヒマシ油等の天然から得られるグリセリントリエステル系可塑剤;オリーブ油等の植物油;クエン酸トルエチル等のクエン酸エステル系可塑剤;液状ポリエーテル等の液状可塑剤;エステルガム等のロジンエステル系誘導体(樹脂性タツキファイヤー);ミリスチン酸イソプロピルやエイゾン等の薬剤移行促進効果を有する化合物等の1種又は2種以上を用いることができる。
なお、可塑剤を用いる場合には、その含有量として、上記単量体組成物を用いて得られる重合体100重量部に対して、5重量部以下とすることが好適である。5重量部を超えると、粘着力が充分とはならないおそれがあり、粘着剤層の作用効果を充分に発揮することができないおそれがある。より好ましくは、0.5重量部以下である。
上記粘着付与剤としては、例えば、ロジン系、ロジンエステル系、テルペン系、テルペンフェノール系、クマロン系、クマロンインデン系、スチレン樹脂系、キシレン樹脂系、フェノール樹脂系、石油樹脂系等の1種又は2種以上のものを用いることができる。なお、粘着付与剤を用いる場合には、上記単量体組成物を用いて得られる重合体100重量部に対して、軟化点が100〜150℃のものを5〜30重量部と、軟化点が40〜80℃のものを5〜30重量部とを配合することが好ましい。
上記(メタ)アクリル系重合体に対するこれらの粘着付与剤の添加量は、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、例えば、0〜100重量部の範囲であることが好適である。上記(メタ)アクリル系重合体に対する粘着付与剤の添加量が100重量部より多ければ、タックが減少して粘着力が低下するおそれがあるので、好ましくない。
上記無機添加物としては、例えば、シリカ粉末(ホワイトカーボン)、微粉末シリカ(エアロジル)等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記土木・建築用シート状物において、潤滑性発現層とは、潤滑剤を含有する層であり、地盤や水硬性組成物と鋼材等との接着や摩擦を抑制する作用効果を有するものである。潤滑剤としては、例えば、吸水性樹脂、吸水性繊維、パルプ(繊維)、綿、レーヨン(繊維)、ワックス、グリース、紙等が好適であり、中でも、吸水性樹脂がより好ましい。
上記吸水性樹脂としては、水を吸水することによって膨潤し、かつ、自重に対するイオン交換水の吸水倍率が3倍以上(25゜C、1時間)の樹脂であることが好適であり、より好ましくは、吸収倍率が10倍以上のものである。このような吸水性樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸塩架橋体、スルホン酸基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリオキシアルキレン基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド架橋体、(メタ)アクリル酸塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合架橋体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体、ポリジオキソラン架橋体、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン架橋体、架橋ポリビニルピリジン、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸(塩)との反応生成物、架橋ポリビニルアルコールスルホン酸塩、ポリビニルアルコール−アクリル酸グラフト共重合体、ポリイソブチレンマレイン酸(塩)架橋重合体等の水溶性又は親水性化合物(単量体及び/又は重合体)を架橋剤で架橋させた合成吸水性樹脂;ゼラチン、寒天等の天然水膨潤性物等の1種又は2種以上が好適である。中でも、水溶性又は親水性化合物を架橋剤で架橋させた合成吸水性樹脂を用いることが好ましく、これにより、膨潤倍率、水可溶分、吸水速度、強度等のバランスが良好となり、更にそのバランスの調整も容易に行うことが可能となる。
上記吸水性樹脂の好ましい形態としては、ノニオン性基及び/又はスルホン酸(塩)基を有する吸水性樹脂である。より好ましくは、アミド基又はヒドロキシアルキル基を有する吸水性樹脂であり、例えば、(メタ)アクリル酸塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合架橋体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体等が挙げられる。また、特に好ましい形態としては、ポリオキシアルキレン基を有する吸水性樹脂であり、例えば、メトキシポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体等が挙げられる。これらの形態では、アルカリ水に対する吸水性が向上することになるが、メトキシポリオキシアルキレン基を有する吸水性樹脂が特にこの性能に優れている。
上記吸水性樹脂としては、単量体成分を(共)重合することにより作製できるが、(共)重合方法は特に限定されず、通常用いられている方法により行うことができる。また、吸水性樹脂の平均分子量や形状、平均粒子径、更に、このような吸水性樹脂等を有する潤滑性発現層の厚みや塗布量は、地盤を構成する土壌や水硬性組成物の組成、作業環境、シート状基材や粘着剤層との組み合わせ等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、平均粒子径としては、1μm〜1000μmであることが好ましい。1μm未満だと微粉の粉塵問題が生じ取り扱い性が低下する。また、1000μmを超えると、潤滑性発現層を形成させるための塗布性(コーティング性)が低下することや潤滑性発現層の吸水性樹脂の分布が不均一となり潤滑性能が低下するため好ましくない。より好ましくは、5μm〜500μmであり、更に好ましくは、10μm〜100μmである。
本発明の土木・建築用シート状物において、シート状基材としては、地盤基礎構造体を施工する際にかかる種々の外力、例えば、鋼材や水硬性組成物の重量がかかることによって生じる引張力や剪断力;鋼材を埋設するときに生じる衝撃力や引張力、水硬性組成物との間の摩擦力等に対して耐え得る強度、すなわち、このような外力がかかっても破損しない強度を備える材質からなるものであればよい。
上記シート状基材の材料としては、例えば、紙、木材、割繊維不織布、ニードルパンチ不織布、フラットヤーンの繊維織物、綿織物、麻織物、帯状織物、合成樹脂織物、湿紡織物等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用(複合)してもよい。なお、上記材料においては、透水性が充分でない場合等の必要に応じて、例えば、切り目や孔等を形成してもよく、切り目や孔等の形状、大きさ、個数、形成位置としては、上述した外力がかかってもシート状基材が破損しない強度を維持することができる範囲内で設定すればよい。
上記シート状基材の厚さとしては、材料(材質)に応じて適宜設定すればよいが、例えば、その下限は0.01mm、上限は10mmであることが好ましい。10mmを超えると、シート状物が充分な柔軟性を得られないおそれがあり、また、シート状物が嵩高くなるため、取り扱い性や保管性が充分とはならないおそれがある。0.01mm未満であると、外力に耐え得る強度を充分に維持することができないおそれがある。より好ましい下限は0.05mm、上限は8mmであり、更に好ましい下限は0.2mm、上限は5mmである。
なお、上記シート状基材の坪量は、材質や厚さ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、その下限は1g/m2 、上限は10000g/m2 であることが好ましい。より好ましい下限は10g/m2 、上限は1000g/m2 である。
上記シート状基材の引張強度としては特に限定されないが、例えば、1kgf/2.5cm以上であることが好ましい。1kgf/2.5cm未満であると、外力に耐え得る強度を充分に維持することができないおそれがある。より好ましくは、10kgf/2.5cm以上であり、更に好ましくは、30kgf/2.5cm以上である。
なお、上記引張強度としては、例えば、下記のようにして求めることができる。
すなわち、シート状基材を幅2.5cm、長さ20cmの大きさに裁断し、イオン交換水に30分間浸漬して充分に濡らしたものを試験片とし、JIS L 1096(一般織物試験方法)の引張試験方法(引張強さ)に基づく低速伸長引張試験機を使用して、引張速度20mm/min、つかみ間隔10cmの条件下で測定する。なお、試験機によって得た測定値(単位:kgf/2.5cm)が大きいほど、シート状基材の引張強度が大きいと判断できる。
上記シート状基材の形状としては、少なくとも粘着剤層及び潤滑性発現層を形成して本発明のシート状物とした場合に、鋼材を被覆することができる形状、大きさとなるものであればよいが、例えば、鋼材が挿入可能な程度の袋状又は筒状であることが好ましい。これにより、大きくかつ重量物である鋼材を、より一層簡単かつ迅速にシート状物で被覆することができるため、作業現場における作業性を更に充分に向上させることが可能となる。
本発明の土木・建築用シート状物において、シート状基材表面に少なくとも粘着剤層と潤滑性発現層とを形成する方法としては、これらの層に含有される潤滑剤や粘着剤、シート基材の材質等に応じて適宜選択すればよく、上述したシート状物の製造方法の他にも、例えば、潤滑剤や粘着剤を、シート状基材表面に噴霧(スプレー)や刷毛塗りによって塗布したり、ローラを用いて塗布したり、シート状基材に潤滑剤や粘着剤からなる溶液を含浸させたりすることによっても、シート状基材表面(外面及び/又は内面)にそれぞれの層を形成することができる。
また上記層の膜厚としては、その成分等に応じて適宜設定すればよく特に限定されないが、、例えば、粘着剤層及び潤滑性発現層のそれぞれが、下限は0.01mm、上限は5mmであることが好ましい。5mmを超えるると、シート状物の取り扱い性や保存性が充分とはならないおそれがあり、0.01mm未満であると、それぞれの層の作用効果を充分に発揮できないおそれがある。このそれぞれの層において、より好ましい下限は0.02mm、上限は1mmであり、更に好ましい下限は0.05mm、上限は0.5mmである。
なお、本発明において、「鋼材」とは、土木・建築分野の基礎工事において、土留め擁壁や土台等の地盤基礎構造体を施工する際に用いられ、使用後に地盤や水硬性組成物中から分離することが好ましい埋設物(地盤に埋設される基材)であればよく、例えば、鋼管、ヒューム管、H型鋼、I型鋼、鋼管杭、鉄柱、コンクリート杭、ポール、筒状のパイル(中空パイル)、長尺板状の杭である鋼矢板(シートパイル)、波板、タンク類、貯水槽等が挙げられる。なお、鋼材の形状、長さ、材質、表面の粗度等は特に限定されず、表面に錆びや汚れが付着したものであっても、汚れ等のない平滑な表面を有するものであってもよいが、表面に錆びや汚れが付着した鋼材を用いることにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
本発明の土木・建築用シート状物は、上述のような構成であるので、工場又は現場での貼り付け作業をより簡便なものとするとともに、作業環境を改善することができ、表面に錆や汚れが付着した鋼材に対しても充分な密着性を発揮することを可能とし、土木・建築分野での特殊なケースにも充分に対応することができるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
(製造例1)
温度計、撹拌機、窒素ガス導入管、還流冷却器及び滴下ロートを備えた4つ口フラスコにアクリル酸ブチル(BA)45.9部、アクリル酸−2−エチルへキシル(2EHA)22.8部、酢酸ビニル(VAc)25部、アクリル酸(AA)6部からなるモノマー(単量体)混合物のうちの40部と、酢酸エチルを40部を加えて昇温し、84℃になったところで過酸化物系開始剤(商品名「ナイパーBMT−K40」、日本油脂社製)を0.04部添加して重合を開始した。重合開始後、10分経過して、残りのモノマー混合物60部と酢酸エチルを40部とナイパーBMT−K40を0.06部混合したものを、90分間にわたって均一に滴下した。還流温度で重合を続けた。モノマーの滴下が終了してから90分後に添加用開始剤としてアゾ系重合開始剤(商品名「ABN−E」、日本ヒドラジン工業社製)を0.3部とトルエン50部を添加し、更に90分間熟成して反応を終了させ粘着剤(1)を得た。
(製造例2及び製造例3)
モノマー組成を表1の組成のように代えた他は、製造例1と同様に調整して粘着剤(2)及び粘着剤(3)を得た。
また、本発明の潤滑性発現層に使用するアルカリ可溶性樹脂と吸水性樹脂を以下のような手順で作製又は使用した。またシート状基材としては以下に示すものを使用した。
〔アルカリ水可溶性樹脂〕
アルカリ水可溶性樹脂は以下のようにして調製した。温度計、攪拌翼、還流冷却器及び滴下装置を備えた容量50Lの槽型反応器に、アクリル酸(AA)0.45kg、アクリル酸エチル(EA)2.4kg、メタクリル酸メチル(MMA)0.15kg、重合開始剤である2,2’−アゾビス−(2,4ジメチルバレロニトリル)12g、及び、溶媒であるメタノール3kgを仕込んだ。また、滴下装置に、アクリル酸1.05kg、アクリル酸メチル2.1kg、メタクリル酸メチル3.85kg、2,2’−アゾビス−(2,4ジメチルバレロニトリル)28g、及び、メタノール7kgからなる混合溶液を仕込んだ。
上記の槽型反応容器中の溶液を、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら65℃に加熱し、20分間反応させた、これにより、内容物の重合率を72%に調節した。続いて、内温を65℃に保ちながら、滴下装置から上記混合溶液を2時間かけて均等に滴下した。滴下終了後、内容物を65℃で3時間熟成させた。反応終了後、内容物にメチルエチルケトン20kgを混合することにより、アルカリ水可溶性樹脂(以下、ASPという)25質量%溶液を得た。
〔吸水性樹脂〕
吸水性樹脂としては、市販のポリアクリル酸ナトリウム塩架橋体(商品名:アクアリックCA ML−70、平均粒径50μm、(株)日本触媒製)を使用した。以下、このポリアクリル酸ナトリウム塩架橋体をSAPという。
〔シート状基材〕
シート状基材として坪量160g/m、厚み0.32mmの織物シート(商品名:TC−7270、トーメン(株)販売)を用いた。
〔潤滑性発現層〕
上記ASP25質量%溶液に、乾燥状態の質量がASP:SAP=1:1となるように、SAPを分散させたASP/SAP分散液(ASP25質量%溶液700gと、SAP175gとを混合溶解させたもの)に、上記シート状基材を片面浸漬することにより、ASPとSAPとが、それぞれ50g/mの塗布量(付着量)となるようにして(ASPとSAPとの合計では塗布量が100g/m)潤滑性発現層を作製した。
実施例1〜3
製造例1〜3で作製した粘着剤を離型紙の上に乾燥付着量200g/mになるようにアプリケーターで均一に塗布し、25℃の室温で24時間放置した後に100℃で2分間加熱乾燥して溶剤を揮発除去させた。この粘着剤層の溶剤含有量は1質量%であった。この離型紙に付着した粘着剤層と上記の潤滑性発現層を有するフリクションカッター(登録商標)被覆材シートの片面を合わせ圧着させ、幅25mm×50mmに裁断して試料を作製した。このようにして、本発明の粘着剤層と潤滑性発現層とがシート状基材を介して設けられているシート状物を作製し試料とした。また、70mm×70mm鉄板の上に笠岡粘土(錆びの代替)を50メッシュ(目開き300μm)のフルイ(JIS Z 8801準拠)で均一に60g/mになるように散布して被着体とした。その後、上記シート状物試料の裏面の離型紙を剥がし、長さ40mmの部分を被着体に貼付け、シートの上から4kgfの荷重を1分間かけた。次に、「QC引張試験機TE−2001型」(商品名、テスト産業社製)を使用し、下部の固定部に被着体(鉄板)を固定し、上部の固定部に試料シートを固定した。引張りは、図1に示すように、幅25mmの試料シートを0°方向(すなわち、鉄板と平行方向)に100mm/minの速度で引張り、そのときの粘着による抵抗力を測定した。測定は25℃、相対湿度65%で行った。結果を表1に示す。なお、粘着剤に含まれる単量体組成物のガラス転移温度と粘着力(粘着による抵抗力)との関係を表2に示す。またシート状基材として、坪量50g/m、厚み0.07mmの紙シート(商品名;コスモペーパー、大王製紙製)を使用し、上記と同様に実施例2の粘着剤層を使用してシート状物を作製した。同様に粘着力は、200gfであった。
比較例1
比較のために、市販の強力両面テープである「WF102」(商品名、コニシ社製;ボンドSSテープ、0.75mm×25mm幅×10m)を用い、実施例1〜3と同様にして粘着による抵抗力を測定しようとしたが、被着体上にシートが張り付かず、測定不能であった。
Figure 2005226270
表1において、「BA」とは、ブチルアクリレートであり、「2EHA」とは、2−エチルヒドロキシアクリレートであり、「VAc」とは、酢酸ビニル(ビニルアセテート)であり、「AA」とは、アクリル酸である。
Figure 2005226270
実施例において、粘着による抵抗力を測定した際の形態を例示する概念図である。

Claims (4)

  1. 少なくとも粘着剤層と潤滑性発現層とを有する土木・建築用シート状物であって、
    該粘着剤層は、乾燥土を散布した基材表面との粘着力が、25mm幅の該シート状物の粘着剤層を基材に40mmまで重ね合わせ、双方を固定した引っ張り試験機にて0度方向に引っ張り、荷重をかけて測定したときに10gf以上である
    ことを特徴とする土木・建築用シート状物。
  2. 前記粘着剤層は、全粘着剤層成分100質量%に対して、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下である単量体組成物を用いて得られる重合体を40質量%以上含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の土木・建築用シート状物。
  3. 前記粘着剤層は、全粘着剤層成分100質量%に対して、溶剤含有量が5質量%以下である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の土木・建築用シート状物。
  4. 前記土木・建築用シート状物は、粘着剤層と潤滑性発現層とがシート状基材を介して設けられている
    ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の土木・建築用シート状物。
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