JP2005224365A - 多針ミシン - Google Patents
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Abstract
【課題】 縫製作業の効率を落とすことなく、被縫製物を移動させる駆動系の負担を軽減させることができるようにする。
【解決手段】 多針ミシンは、複数の針棒3を上下動可能に保持する針棒ケース2をスライド可能に支持し、針棒選択機構28によって該針棒ケース2をスライドさせることで任意の針棒3を選択して所定の駆動位置に対応させて位置させ、該駆動位置に位置する該選択された針棒3を上下に駆動させることで縫いを行う。針棒ケース2を縫いデータに応じてスライドさせることで、該選択された針棒の位置(針落ち位置)を所定中心位置に対して変位させ、該縫いデータに応じた縫い目形成を可能にする。縫いデータに応じた針棒ケース2のスライド(針落ち位置の変位)と該縫いデータに応じて別の縫製制御(例えば被縫製物すなわち刺繍枠8の移動)とを組み合わせることで縫製作業を効率的に行なうことができる。
【選択図】 図6
Description
本発明は、複数の針棒を保持する針棒ケースをスライド可能に具備し、針棒選択機構によって針棒ケースをスライドさせることで任意の針棒を選択して所定の駆動位置に対応づけて位置させ、該駆動位置に位置する針棒を選択的に上下動させることで縫いを行うようにした多針ミシンにおいて、縫い幅データに応じた縫製制御を行うようにしたことに関する。
従来より、下端に縫い針を備えた複数本の針棒が上下動可能に支持された針棒ケースを、ミシンフレームに固定したアームに対して横方向にスライド可能に支持し、針棒選択機構によって該針棒ケースをスライドさせて任意の針棒を選択して所定の駆動位置に対応づけて位置させ、該駆動位置に位置する針棒を選択的に上下動させて縫製を行う多針ミシンが知られている。この多針ミシンのミシンフレームにはテーブルが支持されており、テーブルの下面には選択された針棒と協働して縫いを形成する釜(下糸釜)が設けてある。テーブルの上面には被縫製物を展張保持する保持枠が設けてあり、保持枠は枠駆動機構によってX/Y方向に駆動されるようになっている。そして、針棒選択機構によって針棒ケースを横方向にスライドさせて任意の針棒を選択し、選択された針棒を上下動させるとともに保持枠をX/Y方向に駆動させて被縫製物への縫製を行っている。
このように、従来では、保持枠を駆動させて被縫製物だけを縫い針に対して相対移動させるようにしていたため、例えばサテンステッチのように被縫製物を往復移動させるような縫いで、しかも特にサテン幅が大きい場合には縫いスピードに限界がある。例えば、1縫い時の最大許容縫い幅より大きな幅の縫いを行う場合は、ミシン主軸回転数を落とすとか、ミシン主軸回転数を落とさずに飛び縫い目形成制御(1縫い分以上の針の上下動を休止させるジャンプ制御)を行うしかない。ミシン主軸回転数を落とすことは、縫製作業の効率を落とすので好ましくない。また、被縫製物の移動速度を増すことで1縫い時の最大許容縫い幅を増すことも可能であるが、そうすると、被縫製物を移動させる駆動系の負担が増すという問題がある。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、縫い針つまり針棒の側も縫い幅に応じて移動させ得る構成とすることで、縫製作業の効率を落とすことなく、被縫製物を移動させる駆動系の負担を軽減させることができるようにしたミシンを提供しようとするものである。
本発明は、複数の針棒を上下動可能に保持する針棒ケースをスライド可能に支持し、針棒選択機構によって該針棒ケースをスライドさせることで任意の針棒を選択して所定の駆動位置に対応させて位置させ、該駆動位置に位置する該選択された針棒を上下に駆動させることで縫いを行う多針ミシンにおいて、前記針棒ケースを縫いデータに応じてスライドさせることで、前記選択された針棒の位置を前記所定の駆動位置に対して相対的に変位させ、該縫いデータに応じた縫製を可能としたことを特徴とする。
縫製時に針棒ケースを縫いデータに応じてスライドさせ、選択された針棒の位置、つまり縫い針の針落ち位置を変位させての縫製を可能としたため、針棒ケースのスライドによって針落ち位置の変位長さ分のステッチ(縫い幅)を形成できることとなる。例えば、被縫製物をX/Y方向に移動させて縫製を行う多針ミシンでは、ステッチを形成するときに被縫製物を移動させるとともに、針棒ケースをスライドさせて縫い針の針落ち位置を変位させることによって被縫製物の移動量を相対的に減らすことができる。これにより、サテンステッチや長い縫い幅のステッチを縫うようなときに、被縫製物を移動させる駆動系の負担を軽減することができることとなり、あるいは縫いスピードの限界を高くすることもできる。
図1には多頭式刺繍ミシンの正面図が示してある。ミシンフレームMには複数(例えば6個)のミシンヘッドHが配設してある。各ミシンヘッドHはミシンフレームMに固定されたアーム1とアーム1にスライド可能に支持された針棒ケース2で構成してあり、各針棒ケース2には複数(例えば9本)の針棒3が上下動可能に設けてある。各ミシンヘッドHの下方には、下糸ボビンを収納する釜4を支持した釜土台5が各ミシンヘッドHに対応して設けてあり、釜土台5の上面には針板6が固定してある(図2参照)。釜4は千鳥縫いミシンなどに使用されるジグザグ用のもので、針落ち位置が左右に移動しても縫いを形成することができる。針板6には針孔6aが形成してあり、針孔6aは針落ち位置の移動に対応できるように横方向に延びた長孔となっている(図7参照)。ミシンフレームMにはテーブル7が支持してあり、図2に示すように、テーブル7の上面には被刺繍物を展張保持する刺繍枠8が平面のX/Y方向に移動可能に設けてある。この刺繍枠8はテーブル7の下方に設けたX方向駆動機構9及びY方向駆動機構10によってX/Y方向に駆動される。
図3にはミシンヘッドHの側面が示してある。アーム1には針棒駆動機構によって上下動される針棒駆動部材11が設けてあるとともに、天秤駆動機構によって揺動される天秤駆動レバー12が設けてある。針棒駆動部材11には係合凹部11aが形成してあり、選択された針棒3の係合ピン19と係合して選択された針棒3を上下に駆動するようになっている。
アーム1の前面にはリニアレール13を介して、針棒ケース2がアーム1に対して横方向(図1の左右方向)へスライド可能に設けてある。針棒ケース2の下端部背面にはガイドレール14が固定してある。アーム1には回転自在なローラ15とガイド部材16とが設けてあり、これらでガイドレール14を挟み込んで案内し、スライド時の針棒ケース2の下端側をガイドするようにしてある。針棒ケース2には9本の針棒3が上下動可能に支持してあり、各針棒3の下端部には縫い針17が固定してある。各針棒3の略中間部には針棒抱き18が固定してあり、各針棒抱き18の背面には上記係合ピン19が設けてある。各針棒3の上方部には保持バネ20が嵌装してあり、針棒3は保持バネ20の付勢によって常には図3に示す上死点位置に保持される。針棒3が上死点位置のとき、係合ピン19は針棒ケース2のスライド時(ミシン停止時)における針棒駆動部材11の係合凹部11aと同一高さに位置し、針棒ケース2のスライド時には係合ピン19が係合凹部11a内を通過しながらスライドされることとなる。そして、後述する針棒選択機構28によって針棒ケース2をスライドさせて任意の針棒3を、その係合ピン19が針棒駆動部材11の係合凹部11aと係合する選択位置とすると、針棒駆動部材11とともに選択された針棒3が上下に駆動されることになる。
針棒ケース2に支持された天秤軸21には、各針棒3と対応する天秤22がそれぞれ回動可能に支持してある。各天秤22のボス部23には嵌合溝23a及び係合凹部23bが設けてある。針棒ケース2に固定された支持軸24には各ボス部23の係合凹部23bにそれぞれ係合可能な係合爪25aを備えたロックレバー25が回動自在に設けてある。各ロックレバー25はトーションバネ26によって図3の反時計方向に付勢され、常にはロックレバー25の係合爪25aがボス部23の係合凹部23bに係合して天秤22を所定姿勢(上死点位置)に保持する。
アーム1に設けた天秤駆動レバー12の先端部は、針棒選択機構28によって選択された針棒3と対応する天秤22のボス部23に形成された嵌合溝23aと嵌合するようになっている。アーム1の上面には解除部材27が設けてある。解除部材27は選択された針棒3に対応するロックレバー25の突起部25bと当接するようになっており、解除部材27が当接することによってロックレバー25が時計方向に回動され、ロックレバー25の係合爪25aがボス部23の係合凹部23bから外れて天秤22のロック状態が解除される。これにより、天秤駆動レバー12の揺動によって選択された針棒3に対応する天秤22が揺動されることとなる。
図1に示すように、複数配設されたミシンヘッドHの右方には針棒選択機構28が設けてある。図4に拡大して示すように、針棒選択機構28は、ミシンフレームMに固定した断面コ字形のフレーム部材29と、フレーム部材29に回転自在に支持したボールネジ30と、ボールネジ30に螺合され移動子として機能するナット部材31とを備えている。フレーム部材29には駆動モータ32が固定してあり、駆動モータ32のモータ軸はカップリング部材33を介してボールネジ30の一端に連結してある。これにより、駆動モータ32を駆動するとボールネジ30が回転され、ナット部材31が左右方向に移動されることとなる。ナット部材31には、各ミシンヘッドHの針棒ケース2に連結されたロッド34の一端が固定してあり、駆動モータ32の駆動によってナット部材31が左右に移動されると、ロッド34を介して針棒ケース2が左右にスライドされることとなる。
図4には針棒選択機構28にて針棒ケース2をスライドさせ、一番右側(1針目)の針棒3を選択した状態が実線で示してあり、図5にはこのときの1つのミシンヘッドHにおける針棒ケース2の位置つまり針棒選択状態が平面概念図で示してある。針棒ケース2が図4の実線に示すスライド位置にあるときには、図5に示すように1針目の針棒3の係合ピン19が針棒駆動部材11の係合凹部11aと係合しており、針棒駆動部材11の上下動によって1針目の針棒3が上下に駆動されることとなる。1針目の針棒3に対応する天秤22は、そのボス部23の嵌合溝23aに天秤駆動レバー12の先端部が嵌合しているとともに、係合凹部23bに係合していたロックレバー25の係合爪25aが外れ、天秤駆動レバー12の揺動によって針棒3の上下動と同期して揺動されることとなる。なお、図4には9針目(一番左側)の針棒3を選択した状態が想像線で示してある。
このように、針棒選択機構28にて図4の実線と想像線で示す範囲で針棒ケース2を各針棒3のピッチに対応してスライドさせ、任意の針棒3を針棒駆動部材11と係合する選択位置に位置させることによって、選択された針棒3による縫製が行われることとなる。
これとは別に、針棒選択機構28は刺繍時に選択された針棒3(縫い針17)の針落ち位置を移動させるための、針棒ケース2の往復スライド駆動が可能となっている。この刺繍時の針棒ケース2のスライドは選択された針棒3の縫い針17の先端が被刺繍物より抜き出て、再度刺さるまでの間(つまり1縫い目形成動作の間)に行うようになっている。図6には、その針落ち位置を移動させたときの針棒ケース2のスライド状態が示してある。図6では1針目の針棒3が選択されている状態を示しており、1針目の針棒3(縫い針17)の針落ち位置が釜4の中心と一致するときの針棒ケース2の位置が実線で示してある。通常では、この実線で示す位置(センタ位置)が針落ち位置となるように針棒ケース2を位置させるようになっている。このセンタ位置に対して、針落ち位置を最も左側に移動した状態(左位置)が一点鎖線で、針落ち位置を最も右側に移動した状態(右位置)が想像線(二点鎖線)で示してある。図7には夫々の針落ち位置が示してあり、Aはセンタ位置、Bは左位置、Cは右位置のときの針落ち位置である。
図8には選択された針棒3の針落ち位置を最左位置及び最右位置に移動したときの選択された針棒3の係合ピン19(s)と針棒駆動部材11の係合凹部11aとの位置関係が示してあり、図8(a)は左位置、図8(b)は右位置のときの位置関係が示してある。図8に示すように、針棒駆動部材11は左位置、右位置に移動したときでも選択された針棒3の係合ピン19(s)と係合しているとともに、隣り合う針棒3の係合ピン19とは係合しないように、その幅が設定してある。一例として、本実施例では、針間(隣り合う針棒3同士の間隔)が15mmであり、針棒ケース2の往復駆動による針棒3の往復駆動を、隣の針棒3に干渉することなく行えるその振り幅(図7のB点からC点)は12.7mmとなっている。
なお、天秤22の嵌合溝23aと天秤駆動レバー12との嵌合に関しても同様であり、図9の(a)はセンタ位置、(b)は最左位置、(c)は最右位置のときの位置関係が示してある。図9に示すように、天秤駆動レバー12の先端に設けられたコロ12aは左位置、右位置に移動したときでも選択された針棒3に対応する天秤22(s)の嵌合溝23aと嵌合しているとともに、隣り合う天秤22の嵌合溝23aとは嵌合しないようになっている。図示はしないが、選択された針棒3に対応するロックレバー25においても針落ち位置の最右位置から最左位置の範囲内では、その突起部25bが解除部材27と当接するようになっており天秤22(s)のロック状態が解除される。
このように、針棒選択機構28によって針棒ケース2をスライドさせて、選択された針棒3の針落ち位置を図7のB点からC点の間で移動させて縫いを行うことができ、針棒ケース2のスライドによって図7のB点からC点までの長さ(12.7mm)のステッチを形成できることとなる。このB点、C点は選択された針棒3の針落ち位置を最も移動させたときの位置であり、この範囲内でステッチ長に応じて針落ち位置を移動することができる。
刺繍を行うときは、針棒選択機構28にて針棒ケース2をスライドさせて所望の糸がセットされた針棒3を選択位置に位置させ、柄データに基づいて被刺繍物が展張保持された刺繍枠8をX/Y方向に駆動するとともに、選択した針棒3を上下駆動して行う。
ところで、ある刺繍スピード(主軸回転スピード、すなわち針棒が上下動するスピード)において、針棒3が1上下動する間に刺繍枠8を移動駆動できる量には限界があり、従来は、ステッチ長(縫い目幅)が所定値以上に長いとき(限界長に達したとき)には主軸スピードを落とすか、あるいは主軸スピードは落とさないで、針棒のいわゆるジャンプ制御によって対処することが行われている。ジャンプ制御においては、2針以上の縫いタイミングを使用して縫い飛ばしを行なうことにより1つの長いステッチ(縫い目)を形成するので、それだけ刺繍速度は落ちることとなり、刺繍ができあがるのに時間が掛かることになり、刺繍効率が悪い。これに対して、本発明の実施例では、ステッチデータに応じて針棒ケース2をスライドさせることで、刺繍枠8の移動量は相対的に少量で済ますことができるので、1針縫い動作中の刺繍枠8を限界長まで動かしたとしても、それ以上に長い縫い目を形成することができる。この点につき、1針縫い動作中の刺繍枠8の移動によって形成しうるステッチ長(縫い目幅)の限界長が6mmであるとしたときを例に、以下説明する。
ところで、ある刺繍スピード(主軸回転スピード、すなわち針棒が上下動するスピード)において、針棒3が1上下動する間に刺繍枠8を移動駆動できる量には限界があり、従来は、ステッチ長(縫い目幅)が所定値以上に長いとき(限界長に達したとき)には主軸スピードを落とすか、あるいは主軸スピードは落とさないで、針棒のいわゆるジャンプ制御によって対処することが行われている。ジャンプ制御においては、2針以上の縫いタイミングを使用して縫い飛ばしを行なうことにより1つの長いステッチ(縫い目)を形成するので、それだけ刺繍速度は落ちることとなり、刺繍ができあがるのに時間が掛かることになり、刺繍効率が悪い。これに対して、本発明の実施例では、ステッチデータに応じて針棒ケース2をスライドさせることで、刺繍枠8の移動量は相対的に少量で済ますことができるので、1針縫い動作中の刺繍枠8を限界長まで動かしたとしても、それ以上に長い縫い目を形成することができる。この点につき、1針縫い動作中の刺繍枠8の移動によって形成しうるステッチ長(縫い目幅)の限界長が6mmであるとしたときを例に、以下説明する。
図10(a)は、サテン幅W1が一例として12mmのサテンステッチS1を示す平面図であり、図10(b)はこのサテンステッチS1を刺繍するときの動作を説明する正面略図である。図において、Tは被刺繍物である。
このサテンステッチS1を刺繍するときの動作について説明すると、この例において、サテンステッチS1の開始点P1は、縫い針17の針落ち位置が釜4の中心と同じセンタ位置(図10(b)の実線位置)にて縫われる。P1からP2へのステッチを形成するときは、針棒ケース2をスライドさせて縫い針17の針落ち位置を右(矢印L1)に6mm移動した右位置(図10(b)の想像線位置)とするとともに、刺繍枠8(被刺繍物T)を左(矢印L2)に6mmとY方向へのピッチ分移動させる。これにより、P1から右に12mmのP2へのステッチが形成される。P2からP3へのステッチを形成するときは、針棒ケース2をスライドさせて縫い針17の針落ち位置を左(矢印R1)に6mm移動したセンタ位置とするとともに、被刺繍物Tを右(矢印R2)に6mmとY方向へのピッチ分移動させる。これにより、P2から左に12mmのP3へのステッチが形成される。以降、この繰返しにより、サテンステッチS1が形成される。すなわち、右へのステッチを形成するときには、縫い針17の針落ち位置を右(矢印L1)に6mm移動して右位置とするとともに、被刺繍物Tを左(矢印L2)に6mm移動させ、次に、左へのステッチを形成するときには、縫い針17の針落ち位置を左(矢印R1)に6mm移動してセンタ位置とするとともに、被刺繍物Tを右(矢印R2)に6mm移動させてステッチを形成する。
このサテンステッチS1を刺繍するときの動作について説明すると、この例において、サテンステッチS1の開始点P1は、縫い針17の針落ち位置が釜4の中心と同じセンタ位置(図10(b)の実線位置)にて縫われる。P1からP2へのステッチを形成するときは、針棒ケース2をスライドさせて縫い針17の針落ち位置を右(矢印L1)に6mm移動した右位置(図10(b)の想像線位置)とするとともに、刺繍枠8(被刺繍物T)を左(矢印L2)に6mmとY方向へのピッチ分移動させる。これにより、P1から右に12mmのP2へのステッチが形成される。P2からP3へのステッチを形成するときは、針棒ケース2をスライドさせて縫い針17の針落ち位置を左(矢印R1)に6mm移動したセンタ位置とするとともに、被刺繍物Tを右(矢印R2)に6mmとY方向へのピッチ分移動させる。これにより、P2から左に12mmのP3へのステッチが形成される。以降、この繰返しにより、サテンステッチS1が形成される。すなわち、右へのステッチを形成するときには、縫い針17の針落ち位置を右(矢印L1)に6mm移動して右位置とするとともに、被刺繍物Tを左(矢印L2)に6mm移動させ、次に、左へのステッチを形成するときには、縫い針17の針落ち位置を左(矢印R1)に6mm移動してセンタ位置とするとともに、被刺繍物Tを右(矢印R2)に6mm移動させてステッチを形成する。
このように、被刺繍物Tを移動させることに組み合わせて、針棒ケース2のスライドによって縫い針17の針落ち位置も移動させることによって、従来であれば被刺繍物Tを12mm動かす必要があったところを、被刺繍物Tと縫い針17の針落ち位置をそれぞれ6mm移動するだけでよく、被刺繍物Tを移動させる駆動系の負担を軽減できることとなる。また、上記したように針棒3が1上下動する間に刺繍枠8を移動駆動できる限界長は6mmであるため、従来であれば主軸スピードを落とすか、ジャンプ制御にて1針ジャンプさせて2針分の縫い動作時間を費やして刺繍枠8を合計で12mm移動させる必要があったが、本実施例では1針分の縫い動作時間内で刺繍枠8を6mm移動させればよく、主軸スピードを落としたりジャンプ制御する必要がない。このため、刺繍を短時間で行えることとなり、刺繍効率を向上させることができる。
図10では縫い針17の針落ち位置をセンタ位置と右位置とに往復移動させて刺繍を行ったが、これとは逆に、針落ち位置をセンタ位置と左位置とに往復移動させて刺繍を行うようにしてもよい。図11(a)にはサテン幅W2が12mmのサテンステッチS2が示してあり、このサテンステッチS2を刺繍するときには針落ち位置をセンタ位置と左位置とに往復移動させて行う。このサテンステッチS2の開始点はセンタ位置(図11(b)にて実線で示す位置)で縫い、以降、左へのステッチを形成するときは針落ち位置を左に6mm移動した左位置(図11(b)にて想像線で示す位置)とするとともに、被刺繍物Tを右に6mm移動させ、右へのステッチを形成するときは針落ち位置を右に6mm移動したセンタ位置とするとともに、被刺繍物Tを左に6mm移動させてサテンステッチS2を刺繍する。
図12(a)には、よりサテン幅の広いサテンステッチS3が示してある。このサテンステッチS3を刺繍するときには、図12(b)に示すように縫い針17の針落ち位置を右位置(一点鎖線位置)と左位置(二点鎖線位置)とに往復移動させて行う。サテンステッチS3の開始点P1’はセンタ位置(図12(b)にて実線で示す位置)で縫いを行う。P1’からP2’へのステッチを形成するときは、縫い針17の針落ち位置を右位置に移動するとともに被刺繍物Tを左に移動させる。P2’からP3’へのステッチを形成するときは、縫い針17の針落ち位置を左位置に移動するとともに被刺繍物Tを右に移動させる。以降、右へのステッチを形成するときには、針落ち位置を右位置に移動するとともに被刺繍物Tを左に移動させ、左へのステッチを形成するときには、針落ち位置を左位置に移動するとともに被刺繍物Tを右に移動させてステッチを形成する。このように、針落ち位置を右位置と左位置とに往復移動させれば、針落ち位置の最大振り幅である12.7mmと刺繍枠8を移動駆動できる限界長の6mmを合わせた18.7mmまでのサテン幅のサテンステッチを主軸スピードを落としたり、ジャンプ制御することなく刺繍することができることとなる。
もちろん、本発明を実施するにあたって、サテンステッチのサテン幅に対する被刺繍物と針落ち位置の移動の割合は、上記実施例に示した例に限らず、適宜変更してよい。例えば、サテン幅10mmであるとき、双方を5mm移動させたり、一方を6mm、他方を4mmとするなど、適宜に設定してよい。また、刺繍枠8の限界長未満の縫い幅のサテンステッチを縫う場合も、被刺繍物(刺繍枠8)の移動と針棒ケース2のスライド(針落ち位置の移動)を組み合わせることで、効率のよい縫製を行なうことができる。
また、サテン幅の狭いサテンステッチを刺繍するときには、被刺繍物(刺繍枠8)を動かさずに、針棒ケース2のみをスライドさせる(針落ち位置のみを動かす)ようにしてもよい。また、反対に、サテン幅の狭いサテンステッチを刺繍するときには、被刺繍物(刺繍枠8)のみを動かし、針棒ケース2はスライドさせない(針落ち位置は動かさない)ようにしてもよい。
更に、サテンステッチの開始点を縫うときの針落ち位置は必ずしもセンタ位置でなくてよく、任意の位置でもよい。また、針棒選択(糸選択)時において、次に選択する針棒3の針落ち位置はセンタ位置又は右位置など、刺繍データ等に応じて適宜変更してもよい。
更に、サテンステッチの開始点を縫うときの針落ち位置は必ずしもセンタ位置でなくてよく、任意の位置でもよい。また、針棒選択(糸選択)時において、次に選択する針棒3の針落ち位置はセンタ位置又は右位置など、刺繍データ等に応じて適宜変更してもよい。
上記実施例では、針棒選択機構28をボールネジ方式としたが、リニアモータ方式など他の方式で構成してもよい。
また、上記実施例では、針棒選択機構28にて各針棒ケース2に連結されたロッド34を駆動して、各針棒ケース2をスライドするようにしたが、各針棒ケースを連結ロッドにて連結し、例えば1頭目(例えば図1で一番右側)の針棒ケースを針棒選択機構28にてスライド駆動するようにしてもよい。あるいは、各針棒ケース2毎に針棒選択機構28を設けてもよい。もちろん、図示のような多頭ミシンに限らず、一頭ミシンでも本発明は適用可能である。一頭ミシンの場合は、各ヘッドの針棒ケース2を連動してスライドさせるための連結ロッドは勿論不要である。
また、上記実施例では、針棒選択機構28にて各針棒ケース2に連結されたロッド34を駆動して、各針棒ケース2をスライドするようにしたが、各針棒ケースを連結ロッドにて連結し、例えば1頭目(例えば図1で一番右側)の針棒ケースを針棒選択機構28にてスライド駆動するようにしてもよい。あるいは、各針棒ケース2毎に針棒選択機構28を設けてもよい。もちろん、図示のような多頭ミシンに限らず、一頭ミシンでも本発明は適用可能である。一頭ミシンの場合は、各ヘッドの針棒ケース2を連動してスライドさせるための連結ロッドは勿論不要である。
上記実施例では、原反枠をX/Y方向に移動駆動する刺繍枠8を使用して被刺繍物を動かしているが、これに限らず、例えばローラトラバース方式(原反を少なくとも前後一対のローラでY方向には移動駆動するが、X方向には移動駆動せず、X方向については、針棒ケースと釜土台をセットでX方向に移動駆動する方式)を用いて被刺繍物を動かす場合においても、本発明は適用可能である。その場合は、針棒ケースと釜土台をセットでX方向に移動駆動することに組み合わせて、本発明に従って針棒ケースのみを釜土台に対して相対的に変位させることで、上記実施例と同様の長い縫い目の形成が、刺繍効率を落すことなく、行なえる。
以上説明した通り、本実施例によれば、1針の縫い動作中に針棒選択機構28により針棒ケース2をスライドさせることによって、刺繍時の縫い針17の針落ち位置を変位して縫い動作を行なうことを可能としたため、刺繍時に被刺繍物を移動させるとともに、針棒ケース2をスライドさせて縫い針17の針落ち位置を変位させ、被刺繍物の移動と針落ち位置の移動を合わせた長さのステッチを形成することができ、これによって被刺繍物を移動させる駆動系の負担を軽減することができることとなる。また、従来は、主軸スピードを落としたり、ジャンプ制御する必要のあった長い縫い目形成が、その必要なしに行なえるため、刺繍を短時間で行えることとなり、刺繍効率が向上する。また、本発明と組み合わせて、従来の主軸スピードを落としたり、ジャンプ制御を行なったりする縫い目形成制御を行なうことも可能であるから、形成可能な長い縫い目の長さを従来よりも長くすることもできる。
M ミシンフレーム
H ミシンヘッド
1 アーム
2 針棒ケース
3 針棒
4 釜
5 釜土台
6 針板
6a 針孔
7 テーブル
8 刺繍枠
9 X方向駆動機構
10 Y方向駆動機構
11 針棒駆動部材
12 天秤駆動レバー
17 縫い針
18 針棒抱き
22 天秤
28 針棒選択機構
H ミシンヘッド
1 アーム
2 針棒ケース
3 針棒
4 釜
5 釜土台
6 針板
6a 針孔
7 テーブル
8 刺繍枠
9 X方向駆動機構
10 Y方向駆動機構
11 針棒駆動部材
12 天秤駆動レバー
17 縫い針
18 針棒抱き
22 天秤
28 針棒選択機構
Claims (3)
- 複数の針棒を上下動可能に保持する針棒ケースをスライド可能に支持し、針棒選択機構によって該針棒ケースをスライドさせることで任意の針棒を選択して所定の駆動位置に対応させて位置させ、該駆動位置に位置する該選択された針棒を上下に駆動させることで縫いを行う多針ミシンにおいて、
前記針棒ケースを縫いデータに応じてスライドさせることで、前記選択された針棒の位置を前記所定の駆動位置に対して相対的に変位させ、該縫いデータに応じた縫製を可能としたことを特徴とする多針ミシン。 - 前記針棒ケースの前記縫いデータに応じたスライド運動に対して、下糸釜の位置が相対的に固定されている請求項1に記載の多針ミシン。
- 縫いデータに応じて前記所定の駆動位置に対する被縫製物の位置を相対的に変位させることで該縫いデータに応じた縫い目が形成されるようにする駆動機構を具備しており、該駆動機構の動きと前記針棒ケースの前記縫いデータに応じたスライド運動との組み合わせに応じた縫い目が形成されることを特徴とする請求項1に記載の多針ミシン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004035309A JP2005224365A (ja) | 2004-02-12 | 2004-02-12 | 多針ミシン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004035309A JP2005224365A (ja) | 2004-02-12 | 2004-02-12 | 多針ミシン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005224365A true JP2005224365A (ja) | 2005-08-25 |
Family
ID=34999533
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004035309A Pending JP2005224365A (ja) | 2004-02-12 | 2004-02-12 | 多針ミシン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005224365A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006035809A1 (ja) * | 2004-09-28 | 2006-04-06 | Tokai Kogyo Mishin Kabushiki Kaisha | 多針刺繍ミシン |
WO2006046708A1 (ja) * | 2004-10-29 | 2006-05-04 | Tokai Kogyo Mishin Kabushiki Kaisha | 刺繍ミシン |
-
2004
- 2004-02-12 JP JP2004035309A patent/JP2005224365A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006035809A1 (ja) * | 2004-09-28 | 2006-04-06 | Tokai Kogyo Mishin Kabushiki Kaisha | 多針刺繍ミシン |
WO2006046708A1 (ja) * | 2004-10-29 | 2006-05-04 | Tokai Kogyo Mishin Kabushiki Kaisha | 刺繍ミシン |
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