JP2005224336A - 繊維状構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、水性の液状芳香剤または消臭剤を吸上げる性能と揮発させる性能を併せ持つ優れた性能を有する、安価な繊維状構造物を提供することを目的とする。
【解決手段】0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層を中間層として、表裏外層が0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層である3層構成、もしくは0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層と、0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層との2層構成からなる少なくとも2種以上の異なる密度を有する層が薬剤の吸上げ方向に層状に形成されていることを特徴とする繊維状構造物である。
【選択図】図1

Description

本発明は、水性の液状芳香剤または消臭剤を吸上げる性能と、揮発させる性能を併せ持つ繊維状構造物に係わり、特に、異なる密度を有する層が薬剤の吸い上げ方向に層状に形成された構造により、高密度層による高い吸上げ性能と低密度層による高い吸液性・揮散性能を兼ね備えた繊維状構造物に関する。
従来から知られている吸い上げ式の液状芳香・消臭剤は、液状薬剤中に吸上げ部材を浸し、揮散体を大気に接触させるように露出させることにより、薬剤の吸液・揮散を行うものであるが、単一部材で薬剤の吸上げ性と揮散性の機能を両立させることは難しく、液量が少なくなると液が揮散しきらずに残ってしまう現象が多数観られた。そのため薬剤の吸上げに優れた部材と揮散性能に富む部材を、別々に製造して連結させたもの(例えば特許文献1参照)が多かった。しかしながら部材を組み合わせにより製造することは、多大な労力が必要であり、コストアップの一因となり得る。
下記に特許文献を記す。
特開平5−269188号公報
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、水性の液状芳香剤または消臭剤を吸上げる性能と揮発させる性能を併せ持つ優れた性能を有する、安価な繊維状構造物を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、すなわち、
請求項1に係る発明は、液状薬剤を吸上げる性能と揮散させる性能を併せ持つ繊維状構造物であって、
少なくとも2種以上の異なる密度を有する層が薬剤の吸上げ方向に層状に形成されていることを特徴とする繊維状構造物である。
請求項2に係る発明は、前記繊維状構造物が、乾式積繊法により積繊されて、植物繊維と熱融着可能な熱可塑性樹脂からなる繊維状マットを熱処理して形成されたことを特徴とする請求項1記載の繊維状構造物である。
請求項3に係る発明は、前記2種以上の異なる密度を有する層が、0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層と、0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層との2層構成からなることを特徴とする請求項1または2記載の繊維状構造物である。
請求項4に係る発明は、前記2種以上の異なる密度を有する層が、0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層を中間層として、表裏外層が0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層である3層構成からなることを特徴とする請求項1または2記載の繊維状構造物である。
請求項5に係る発明は、前記熱融着可能な熱可塑性樹脂が、ポリプロピレンを芯部とし
、ポリエチレンを鞘部とした芯鞘構造繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯部とし、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を鞘部とした芯鞘構造繊維、ポリ乳酸(PLA)を芯及び鞘部とした芯鞘構造繊維、PETを芯部及び鞘部とした芯鞘構造繊維からなることを特徴とする請求項2記載の繊維状構造物である。
請求項6に係る発明は、前記熱融着可能な熱可塑性樹脂を、5〜30重量%含有していることを特徴とする請求項2〜5記載の繊維状構造物である。
本発明により、少なくとも2種以上の異なる密度を有する高密度層と低密度層層を薬剤の吸上げ方向に層状に形成された構造体にすることによって、高い吸液性と揮散性を発現させることが可能である。特に、異なる材料による吸上げ部材と揮散体を組み合わせる複雑な製造工程を経ずに製造できるため、製造コストを削減でき、水性の液状芳香剤または消臭剤を吸上げる性能と揮発させる性能を併せ持つ、安価な繊維状構造物を提供できる。
以下、本発明の一実施例としての実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の繊維状構造物の構成の一例を示す縦断面図である。また、図2は、本発明の繊維状構造物の構成の他の例を示す縦断面図である。
図1に示すように、本発明の繊維状構造物10は、2種以上の異なる密度を有する層が、0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層からなる中間層11と、0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層からなる表裏外層12,13の3層構成からなることを特徴とする繊維状構造物である。
また、本発明の繊維状構造物の構成の他の例として、図2に示すように、2種以上の異なる密度を有する層が、0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層22と、0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層21との2層構成からなることを特徴とする繊維状構造物20である。
本発明の繊維状構造物は、密度の異なる層を二層以上配したことを特徴とし、芳香・消臭・防虫剤などの液状薬剤を吸上げ揮散させる繊維状構造物に関するものである。本発明の繊維状構造物は、その形態は棒状、円柱状、角柱状など特に問わないが、毛細管現象による薬剤の吸上げ機能を効果的に発揮できるような高密度層と、高い吸液性や揮散性を示すような嵩高い構造、即ち低密度層を併せ持つ繊維状構造物であれば良い。
その製造方法は、植物繊維を主原料とし、植物繊維と熱融着可能な熱可塑性樹脂を混合積繊し、さらに積繊繊維状マットの熱処理を行うことにより材料同士を融着させて固着済み繊維状マットを形成させた後、特定の形状に打ち抜いたり、断裁するといった乾式プロセスによることを特徴としている。
乾式法による複数の密度層を含む繊維状構造物は、積繊繊維状マットの熱処理時にかけるプレス圧を調節することにより作製することができる。詳しくは、ロールにより上下からプレスを行うと、繊維状マットの中央に最大の荷重がかかるため、中央が高密度になる。一方、繊維状マット表面部はプレス圧が低く、圧縮される程度が小さいため低密度になる。プレスをこの方法以外にも繊維状マットを異なる圧力でプレスし密度を変化させたマットを貼り合わせることによっても作製可能である。さらに、繊維状構造物の全層をパルプ層にする必要はなく、都合の良い材料・密度の層を適宜選択し貼り合わせれば良い。もちろん、この製造方法以外で繊維層を設けるものであっても、樹脂繊維で融着可能である限り、他の製造方法であっても構わない。
吸液性に優れる植物繊維からなる繊維状構造物とするためには、広葉樹、針葉樹、イネ、葦等の草本類の繊維を用いる事が可能で、その利用形態としては、パルプ繊維になったもの、古紙由来の脱墨パルプ(DIP)の他、古紙なども可能である。さらに、全部が植物繊維である必要はなく、必要に応じて合成繊維などの材料も含む繊維であっても、通常の湿式抄紙に用いられているサイズ剤等の添加物を含むものであっても構わない。
熱可塑性樹脂としては、表面が少なくとも熱融着性があることが必要であり、例えばその内部が熱可塑性樹脂ではない、植物繊維や化学繊維等で構成されている樹脂繊維等であっても、界面活性剤等の添加物を含むものであっても構わない。また芯鞘構造内の鞘部を親水化したり、低融点化するなど、改質したものであっても良く、鞘部をポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンブテン共重合体等のポリオレフィン系、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンブチレンテレフタレート等のポリエステル系など適宜選択できる。さらに芯部は鞘部の強度補完的な役割を果たし、鞘部との芯鞘構造を形成できれば良く、ポリオレフィンやオレフィン共重合体、ポリエステルやポリエステル共重合体等選択可能である。
使用する熱可塑性樹脂の形状としては、混合・融着に障害にならない、及び表面への過度の析出を防止するサイズであることが望ましく、ポリプロピレンを芯部とし、ポリエチレンを鞘部とした芯鞘構造繊維、またはPETを芯部としEVOHを鞘部、PLA(ポリ乳酸)を芯及び鞘部、PETを芯部及び鞘部としたとした芯鞘構造繊維の場合には繊度(繊維の太さ)1.0〜20.0dtex、繊維長4.0〜7.0mm、捲縮数10〜15山/25mmの範囲のものが良い。
かかる繊維状構造物は、吸液性能に富むものがよく、熱可塑性樹脂の含有率は5〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%である。過剰な熱可塑性樹脂の混合は毛細管現象による水性薬剤の吸液性を低下させ、薬剤の吸上げを阻害するため好ましくないが、植物繊維の脱落を防止し、薬剤に浸漬させることによる膨潤を抑えるためには熱可塑性樹脂10重量%以上であることが好ましい。
用途としては、液状薬剤の吸上げ・揮散性が求められるろ紙等の繊維状構造物での用途は勿論、吸上げ性または揮散性どちらか一方の性能が求められる用途でも使用可能である。
以下に、本願発明の一実施例を図面に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(繊維状構造物の製造法)
針葉樹由来ブリーチクラフトパルプ(以下NBKPと称する)パルプを解繊しフラフパルプとしたパルプ繊維、芯鞘構造をもつ樹脂繊維であるバインダー繊維(芯/鞘=ポリプロピレン(以下PPと称する)/ポリエチレン(以下PEと称する))を混ぜ合わせ(95:5および90:10とした)、その混合物をエアレイド法によってシート化した積繊パルプとし、さらに145℃(PEの融点以上PPの融点以下)のオーブンに晒し、加熱直後にプレスすることによって、目付け500g/m2の繊維状マットを作製し、繊維状構造物を得た。得られた繊維状構造物を抜き型により短冊状(長さ22cm、幅3cm)に抜き取って揮散体とした。その作製した揮散体のサンプルを表1に示す。
Figure 2005224336
表1では、揮散体のサンプル毎のその組成、プレス条件等を示した。
揮散体1は、図1に示すように、加熱処理時にプレスし低密度層12/高密度層11/低密度層13の三層構造からなる、図1に示す本発明の繊維状構造物10である。これに対して、揮散体2および揮散体3は、本発明の繊維状構造物からなる揮散体1と性能を比較するために作製したものであって、揮散体2は、処理時のプレスを行わず密度が均一な低密度層からなる単層構造の繊維状構造物30ある(図3参照)。また、揮散体3はシート状パルプからなる高密度層(目付け700g/m2)単層構造の繊維状構造物40である(図4参照)。
上記の揮散体1〜3について密度を測定した結果を表2に示す。
Figure 2005224336
表中の密度は、一定面積(3cm×5cm)をサンプリングして、その重量と体積(ノギスで測った厚さと面積から算出した数値)から求めた。なお、揮散体2、3の密度については、揮散体1の中間層11、表裏外層12、13に相当する3箇所からサンプリングして求めたものである。
(吸い上げ性能試験)
本発明の繊維状構造物からなる揮散体10をプラスチック製のカートリッジに巻きつけ全長22cmとし、プラスチックボトル50(高さ17cm)に入れ、揮散体の揮散面がボトルから5cm出るように調節した(図5参照)。ボトルは、全量400g入るサイズのものを用い、揮散体を入れる前に60gの液状薬剤60を注入した。液状薬剤には香料、植物抽出物、両性界面活性剤系消臭剤、界面活性剤(非イオン、陰イオン)、色素が含まれるが、主成分は水とした。
評価は、揮散体を薬剤に浸漬させ、時間経過後の吸い上げ高さの変化を観察することにより行った。また、薬剤の重量変化を測定し、吸い上げ・揮散量を測定した。その結果を表3および図6に示す。
Figure 2005224336
表中の吸い上げ高さとは、薬剤がボトルの底部から吸い上がったところまでの距離とした。
揮散体1は、三層構造中の中央に位置する高密度層から吸い上げが始まり、浸漬開始から3時間でボトル開口部よりも吸いあがり、日数経過により薬剤重量が減少した。一方、揮散体2は一週間経過後もボトル開口部まで吸いあがらず、薬剤の重量変化に乏しかった。揮散体3に関しては、全層で均一に吸いあがり始め、3時間でボトル開口部あたりまで吸いあがり、薬剤の重量が減少した。このことから、高密度な層を有する揮散体ほど吸上げ性能に優れ、全層が高密度であると揮散体全体での吸上げ速度が速いことが分かった。
(揮散性能試験)
揮散体を吸上げ性能試験と同様にセットした。ボトルは全量400g入るサイズのものを用い、ボトルに400gの液状薬剤を満了注入した。評価は、揮散体をボトルにセットして薬剤に浸漬させてから、薬剤の揮散による重量変化を追跡した。その結果を図7に示す。
揮散体1は、他の揮散体2、揮散体3と比べ、初期の揮散量が多くかつ揮散速度も速かった。さらに安定した揮散性能を示し、最終的な残液はなかった。
揮散体2に関しては、初期の揮散量・揮散速度は大きいものの、吸上げ性が不足するた
め後期の揮散性能が低く、液が残った。
揮散体3に関しては、全層が高密度で嵩高性に欠けるため、吸液性が少なく、初期の揮散性が他の揮散体に比べて低かった。このことから、高密度層と低密度層を併せ持つ揮散体が良好な結果を示した。
以上の結果から、少なくとも2種以上の異なる密度を有する層が薬剤の吸上げ方向に層状に形成されて、0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層を中間層として、表裏外層が0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層である3層構成からなる繊維状構造物は、水性の液状芳香剤または消臭剤を吸上げる性能と揮発させる性能を併せ持つ優れた性能を有する。また、2種以上の異なる密度を有する層が、0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層と、0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層との2層構成からなる繊維状構造物も同様の効果を発現するものである。そして、本発明の繊維状構造物は、液体芳香、消臭器において、芳香あるいは消臭剤の揮散体として好適に用いられるものである。
本発明の繊維状構造物は、液体芳香、消臭器において、芳香あるいは消臭剤の揮散体として好適に用いられる。
本発明の繊維状構造物の一例を示す縦断面図である。 本発明の繊維状構造物の他の例を示す縦断面図である。 本発明の繊維状構造物の性能と比較するための繊維状構造物の一例を示す縦断面図である。 本発明の繊維状構造物の性能と比較するための繊維状構造物の他の例を示す縦断面図である。 繊維状構造物からなる揮散体として、液状薬剤の吸い上げ性能および揮散性能を評価する方法を説明するための説明図である 本発明における液状薬剤の吸い上げ性能試験結果を示す図である。 本発明における液状薬剤の揮散性能試験結果を示す図である。
符号の説明
10、20、30、40・・・繊維状構造物
11・・・高密度層(中間層)
12、13・・・低密度層(表裏外層)
21・・・高密度層低密度層
22・・・低密度層
50・・・ボトル
60・・・液状薬剤

Claims (6)

  1. 液状薬剤を吸上げる性能と揮散させる性能を併せ持つ繊維状構造物であって、
    少なくとも2種以上の異なる密度を有する層が薬剤の吸上げ方向に層状に形成されていることを特徴とする繊維状構造物。
  2. 前記繊維状構造物が、乾式積繊法により積繊されて、植物繊維と熱融着可能な熱可塑性樹脂からなる繊維状マットを熱処理して形成されたことを特徴とする請求項1記載の繊維状構造物。
  3. 前記2種以上の異なる密度を有する層が、0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層と、0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層との2層構成からなることを特徴とする請求項1または2記載の繊維状構造物。
  4. 前記2種以上の異なる密度を有する層が、0.15〜0.3g/cm3の高密度を有する高密度層を中間層として、表裏外層が0.04〜0.14g/cm3の低密度を有する低密度層である3層構成からなることを特徴とする請求項1または2記載の繊維状構造物。
  5. 前記熱融着可能な熱可塑性樹脂が、ポリプロピレンを芯部とし、ポリエチレンを鞘部とした芯鞘構造繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯部とし、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を鞘部とした芯鞘構造繊維、ポリ乳酸(PLA)を芯及び鞘部とした芯鞘構造繊維、PETを芯部及び鞘部とした芯鞘構造繊維からなることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の繊維状構造物。
  6. 前記熱融着可能な熱可塑性樹脂を、5〜30重量%含有していることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の繊維状構造物。
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CN103781351A (zh) * 2011-11-16 2014-05-07 大日本除虫菊株式会社 含挥发性药剂的结构体

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