JP2005221789A - 電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、これを用いたプロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 画像形成領域上の塗膜において欠陥や膨潤を十分防止でき、非画像形成領域上の不要な塗膜を良好に除去でき、かつ接触帯電方式で帯電しても電流リークの発生を十分に防止し得る電子写真感光体を製造できる電子写真感光体の製造方法等を提供すること。
【解決手段】 本発明は、導電性支持体1上に、少なくとも第1層6及び第2層14を形成する工程を含む電子写真感光体の製造方法において、第1層形成用塗布液3を、厚膜部5及び薄膜部4bが形成されるよう塗布する工程、薄膜部4bの先端部を、溶剤を用いて除去する工程、薄膜部4及び厚膜部5を乾燥させて第1層6を形成する工程、第1層6上に第2層14を形成する工程を含む。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明は、導電性支持体1上に、少なくとも第1層6及び第2層14を形成する工程を含む電子写真感光体の製造方法において、第1層形成用塗布液3を、厚膜部5及び薄膜部4bが形成されるよう塗布する工程、薄膜部4bの先端部を、溶剤を用いて除去する工程、薄膜部4及び厚膜部5を乾燥させて第1層6を形成する工程、第1層6上に第2層14を形成する工程を含む。
【選択図】 図2
Description
本発明は、複写機、プリンターなどに使用される電子写真感光体、その製造方法、電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真感光体は、その塗膜構成の種類により、電荷発生物質及び電荷輸送物質が単一の塗膜中に含まれる単層型感光体と、電荷発生物質及び電荷輸送物質が、それぞれ別個の塗膜に含まれる積層型感光体とに大別される。
現在、電子写真感光体としては、有機の光導電性材料を用いた感光層を有する有機感光体が主流となっており、特に、感光層を電荷発生層と電荷輸送層とに分離することにより、感度、帯電性、それらの繰返し安定性等の点で優れた特性を得ることができる機能分離型の感光体が注目されている。このような機能分離型感光体として種々の構造のものが提案され実用化されているが、導電性支持体の上に下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を有してなるのが一般である。
電子写真感光体を、複写機、レーザープリンター等に使用する場合、現像性能を良好に維持するために電子写真感光体と現像ロールとの距離は常に一定に保持されなければならない。そのため、通常は、電子写真感光体の端部である非画像形成領域の一部にコロを当てたり、カラーリングで保持したりする等の方法が採用されている。その場合、コロやカラーリングが当接する部分は摺擦を受けるため、その部分に電荷発生層等の塗膜が存在する場合には、塗膜が不均一に剥離されたり、磨耗したりすることによって画像の高画質化が妨げられることがある。従って、その部分には塗膜が全く形成されていないことが必要である。
円筒状の感光層の端部を除去する方法として一般に、塗膜を溶解する溶剤を含浸させた金属または樹脂ブラシを、端部に直接接触させて除去する方法(特許文献1参照)や、塗膜を溶解する溶剤中に感光体を浸し、超音波をかけて除去する方法(特許文献2参照)、塗膜を溶解する溶剤をノズルから感光体の表面に吹き付けて除去する方法(特許文献3参照)などが知られている。
特公平2−51501号公報
特開昭59−142555号公報
特開昭61−168154号公報
しかしながら、前述した溶剤を使用した除去方法を用いる場合には、得られる電子写真感光体において以下のような問題が生じていた。
即ち、上記除去方法を用いる場合には、溶剤によって塗膜の膨潤が発生する場合があり、塗膜の拭取り後、塗膜を除去して露出された非画像形成領域に、膨潤した塗液が垂れてくることがある。特に、塗膜が厚膜である場合には、この液垂れの問題を生じやすい。また、塗液が拭取り溶剤に不溶性の物質を含んだりする場合には、良好な拭取り面を得ることが難しいことが多い。このため、得られる電子写真感光体を、接触帯電装置で帯電させた場合に、電流リークなどが発生するという問題があった。
近年、電子写真感光体の基本構成として、導電性支持体の欠陥隠蔽などの理由から、導電性支持体と感光層の間に下引き層を設ける提案が数多くなされている。欠陥隠蔽のためには下引き層の膜厚を20μm以上の厚膜とするのが好ましく、また、下引き層に導電性を付与するため、不溶性の金属酸化物などを分散処理することがある。このような厚膜、分散系の塗膜を、溶媒を用いて良好に除去することは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、画像形成領域上の塗膜において欠陥や膨潤を十分に防止でき、非画像形成領域上の不要な塗膜を良好に除去でき、かつ接触帯電方式のプロセスカートリッジおよび電子写真装置に用いても電流リークの発生を十分に防止し得る電子写真感光体を製造できる電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、これを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、導電性支持体上に、少なくとも第1層及び第2層を形成する工程を含む電子写真感光体の製造方法において、第1層形成用塗布液を、厚膜部及び前記厚膜部より平均膜厚の小さい薄膜部が形成されるように塗布する塗膜形成工程と、前記薄膜部の先端部を、溶剤を用いて除去する除去工程と、前記薄膜部及び前記厚膜部を乾燥させて前記第1層を形成する乾燥工程と、前記第1層の上に前記第2層を形成する第2層形成工程とを含むことを特徴とする。
なお、本明細書において、「画像形成領域」とは、電子写真の一般的プロセスである露光工程において電気的潜像(静電潜像)が形成される領域を示し、非画像形成領域とはそれ以外の領域を示すものを言う。
この製造方法によれば、溶剤によって薄膜部の一部である先端部を除去する場合でも、溶剤は薄膜部への含浸にとどまり、厚膜部への溶剤の含浸が十分に防止される。加えて、薄膜化することにより塗膜の乾燥が速くなる。このため、溶剤が、露出された非画像形成領域へ垂れるという事態が十分に防止される。また、薄膜部は、厚膜部よりも平均膜厚が小さく、除去すべき量が少量で済むようになるため、溶剤を用いて除去する場合に、容易に且つ十分に除去することができる。更に、接触型帯電装置や転写装置等の感光体に接触して電圧を印加する装置は通常、電子写真感光体との接触部位が画像形成領域よりも長くなるように、即ち、接触部位が画像形成領域から非画像形成領域まで拡張されるように設置される。このとき、非画像形成領域において薄膜部を乾燥してなる塗膜(以下、「乾燥薄膜部」と言う)しか存在していないと、乾燥薄膜部にも電圧が印加されるため、異常電流リークの発生が懸念される。ところが、本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、乾燥薄膜部の上に第2層が形成されることによって乾燥薄膜部が隠蔽される。このため、本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、非画像形成領域における異常電流リークの発生を十分に防止し得る電子写真感光体を得ることができる。
上記電子写真感光体の製造方法においては、上記薄膜部の平均膜厚d1を7μm以上とし、かつ、第1層の厚膜部の平均膜厚d2に対する薄膜部の平均膜厚の比が下記式:
d1/d2≧0.3
を満足することが好ましい。
d1/d2≧0.3
を満足することが好ましい。
薄膜部の平均膜厚d1が7μm未満であるか、あるいはd1/d2<0.3では、乾燥薄膜部の上に第2層を形成しても、画像形成領域上の膜と非画像形成領域上の膜との段差が大きくなり、特に段差部でリーク耐性を確保できない、即ち異常電流リークが発生することがある。
上記塗膜形成工程においては、薄膜部の平均膜厚d1を15μm以下とすることが好ましい。
薄膜部の平均膜厚d1が15μmを超えると、溶剤を用いて薄膜部を除去する場合に、d1が15μm以上である場合に比べて薄膜部を容易に且つ十分に除去できなくなる傾向がある。
また本発明は、上記電子写真感光体の製造方法により製造される電子写真感光体である。この電子写真感光体によれば、当該電子写真感光体を帯電させる帯電手段として接触型帯電装置を用いた場合でも、乾燥薄膜部が第2層により隠蔽されるため、異常電流リークを十分に少なくすることが可能となる。また本発明の電子写真感光体は、上記製造方法により製造されるため、非画像形成領域の一部が露出されている。このため、この露出した部分にコロやカラーリングが当接されるようにすれば、塗膜が剥離されることがなくなり、塗膜の剥離に起因する画像濃度ムラ等の発生を十分に防止することができる。
更に本発明は、電子写真感光体と、電子写真感光体に接触して電子写真感光体を帯電させる接触型帯電装置とを少なくとも備えるプロセスカートリッジにおいて、電子写真感光体が上記電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
このプロセスカートリッジによれば、電子写真装置本体とともに電子写真装置を構成する場合に、電子写真感光体として上記電子写真感光体が用いられるため、帯電手段として接触型帯電装置が使用される場合でも、異常電流リークの発生を十分に少なくすることができる。また電子写真感光体が上記製造方法により製造されるため、非画像形成領域の一部が露出されている。このため、この露出した部分にコロやカラーリングが当接されるようにすれば、塗膜が剥離されることがなくなり、塗膜の剥離に起因する画像濃度ムラ等の発生を十分に防止することができる。
また本発明は、電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像を現像して現像化する現像手段と、現像手段で現像化により得られる像を転写媒体に転写する転写手段とを備える電子写真装置において、電子写真感光体が上記電子写真感光体であり、帯電手段が、電子写真感光体に接触して電子写真感光体を帯電させる接触型帯電装置であることを特徴とする電子写真装置である。
この電子写真装置によれば、電子写真感光体として、上記構成の電子写真感光体を使用するため、帯電手段として、電子写真感光体に接触して電子写真感光体を帯電させる接触型帯電装置を使用しても、電流リークの発生を十分に少なくすることができる。また電子写真感光体が上記製造方法により製造されるため、非画像形成領域の一部が露出されている。このため、この露出した部分にコロやカラーリングが当接されるようにすれば、塗膜が剥離されることがなくなり、塗膜の剥離に起因する画像濃度ムラ等の発生を十分に防止することができる。
本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、画像形成領域上の塗膜において欠陥や膨潤を十分に防止でき、非画像形成領域上の不要な塗膜を良好に除去でき、かつ接触帯電方式のプロセスカートリッジおよび電子写真装置に用いても電流リークの発生を十分に防止し得る電子写真感光体を製造することができる。
また本発明の電子写真感光体、これを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置によれば、接触帯電方式を用いて画像形成を行っても、電流リークの発生を十分に防止することができる。また本発明の電子写真感光体、これを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置によれば、非画像形成領域における露出部分にコロやカラーリングが当接されても、塗膜の剥離がなくなり、塗膜の剥離に起因する画像濃度ムラ等の発生を十分に防止することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず本発明に係る電子写真感光体の製造方法の実施形態について説明する。
例えば、円筒状の導電性支持体を用いた場合、図1に示すように、導電性支持体1は、画像形成領域2a及びその両端側に設けられる2つの非画像形成領域2b,2cで構成される表面2を有している。
導電性支持体1としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル等の金属材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、フェノール樹脂等の高分子材料又は硬質紙等の絶縁材料に、導電処理として導電物質を分散したもの、金属箔を積層したもの或いは金属を蒸着したもの等の各種材料からなるものが用いられる。
次に、図2(a)に示すように、円筒状の導電性支持体1を縦にした状態で、下引き層形成用塗布液3中に浸漬する。具体的には、まず導電性支持体1を所定速度で下降させる。
下引き層形成用塗布液3は、少なくとも樹脂及びこれを溶解する溶剤を含む。このような樹脂としては、主に、アクリル系、メタクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、エポキシ系、ポリウレタン系、フェノール系、ポリエステル系、アルキッド系、ポリカーボネート系、シリコーン系、メラミン系等の各種樹脂類が挙げられる。下引き層形成用塗布液は、上記樹脂のほか、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物等を含んでもよい。上記樹脂を溶解する溶剤としては、揮発性が高くその蒸気密度が空気よりも大きい溶剤が好適に用いられ、例えば、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、4−メトキシ−4−メチルペンタノン、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、2,4−ペンタジオン、アニソール、3−オキソブタン酸メチル、モノクロロベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート、メチルセルソルブアセテート等が挙げられる。
導電性支持体1が下引き層形成用塗布液3中に浸漬したら、図2(b)に示すように、導電性支持体1を所定速度で引き上げる。これにより、導電性支持体1の画像形成領域2a及び非画像形成領域2b上には、平均膜厚の大きい厚膜部5が形成されるようになる。
そして、下引き層形成用塗布液3の液面3aが非画像形成領域2cにさしかかったら、導電性支持体1の引上げ速度を下げてその引上げ速度で引き上げる。これにより、非画像形成領域2c上に厚膜部5よりも平均膜厚の小さい薄膜部4bが形成されることととなる。
こうして導電性支持体1を下引き層形成用塗布液3から完全に引き抜くと、図2(b)に示すように、下端の非画像形成領域2cの全体に厚膜部5より平均膜厚の小さい薄膜部4bが形成される(塗膜形成工程)。
このとき、薄膜部4bの平均膜厚d1は、15μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましい。これは、薄膜部4bの平均膜厚d1が15μmを超えると、拭取り用溶剤を用いて薄膜部4bを除去する場合に、d1が15μm以上である場合に比べて良好な拭取り面が得られなくなる傾向があるからである。
なお、薄膜部4bの厚さは、下引き層形成用塗布液3からの導電性支持体1の引上げ速度を調整することにより容易に調整することができる。具体的には、引上げ速度が大きければ大きいほど、薄膜部4bの厚さが大きくなるので、薄膜部4bの厚さを厚膜部5より小さくするには、途中で引上げ速度を低下させればよい。
上記のようにして非画像形成領域2bに薄膜部4bを形成した後は、薄膜部4bの一部である下端部(先端部)を、拭取り用溶剤を用いて除去して、非画像形成領域2cの一部を露出させる(先端部除去工程)。ここで、薄膜部4bの一部である不要部のみを除去している。言い換えると、薄膜部4bは、除去する予定の不要部よりも広く形成されている。このように不要部よりも薄膜部4bを広く形成する理由は以下の通りである。即ち、一般に、不要部のみを薄膜化することは液垂れなどの影響から難しく、仮に不要部のみ薄膜化できたとしても、塗膜除去時に除去溶剤が厚膜部5に浸透するなどして液垂れが生じて拭取り面が乱れてしまうことがあるからである。
このとき、非画像形成領域2cには薄膜部4bが形成されている。このため、拭取り用溶剤は薄膜部4bに含浸されるため、拭取り用溶剤の厚膜部5への含浸が十分に防止される。従って、拭取り用溶剤が、露出された非画像形成領域2cへ垂れるという事態が十分に防止される。また、薄膜部4bは、厚膜部5よりも平均膜厚が小さいため、拭取り用溶媒を用いて除去する場合に、容易に且つ十分に除去することができる。
拭取り用溶剤は、下引き層形成用塗布液3を溶解し得るものであれば特に制限されず、このような拭取り用溶剤としては、例えば1−ブタノール、n−ブチルアルコールなどが挙げられる。
なお、薄膜部4bの除去方法としては、導電性支持体1を回転させ、除去部材を固定する方式、除去部材を回転させ、導電性支持体1を固定する方式、拭取り槽自体が回転する方式、さらには、支持体1、除去部材が共に回転する方式等があるが、いずれの方式であっても構わない。また、除去する層は、導電性支持体端部の内外面両面であっても、いずれか一方の面だけであっても構わない。また、その塗膜除去に用いる拭取り用溶剤としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、トルエン、ハロゲン化ベンゼン等の固化した塗膜を溶解しうる有機溶剤が好ましい。
なお、薄膜部4bの一部である下端部を除去する方法の具体例については後述する。
こうして薄膜部4bの一部である下端部を除去した後は、薄膜部4b及び厚膜部5を乾燥させる。これにより、図2(c)に示すように、導電性支持体1上に下引き層(第1層)6が形成され、下引き層付き導電性支持体7が得られる(乾燥工程)。このとき、下引き層6は、導電性支持体1の表面上において画像形成領域2a上だけでなく、非画像形成領域2bの一部上にも形成されることになる。
次に、下引き層6上に、電荷発生層(第2層)を形成する(第2層形成工程)。そのためにはまず、図3(a)に示すように、下引き層付き導電性支持体7を縦にした状態で、電荷発生層形成用塗布液13中に浸漬する。具体的には、下引き層付き導電性支持体7を所定速度で下降させる。
電荷発生層形成用塗布液13は、少なくとも電荷発生物質、結着樹脂及び溶剤を含む。電荷発生物質としては、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、キノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩、アズレニウム塩、三方晶型セレン等の従来公知の電荷発生性材料が用いられる。
結着樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリエステル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリスルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースエステル類等が挙げられる。
溶剤としては、上述した下引き層形成用塗布液に用いられる溶剤と同様の溶剤を用いることができる。
そして、図3(b)に示すように、下引き層付き導電性支持体7を所定速度で引き上げる。このときの引上げ速度は、画像形成領域2a上において所定厚さの塗布液が塗布される速度とする。
そして、下引き層付き導電性支持体7を電荷発生層形成用塗布液13から完全に引き抜くと、下引き層6及び露出された非画像形成領域2cの上に電荷発生層形成用塗布液13が塗布される(図3(c)参照)。
続いて、露出された非画像形成領域2cの上の電荷発生層形成用塗布液13を、拭取り用溶剤を用いて拭き取り、除去する。
拭取り用溶剤は、電荷発生層形成用塗布液13を溶解し得るものであれば特に制限されず、このような拭取り用溶剤としては、例えば1−ブタノール、n−ブチルアルコールなどが挙げられる。
こうして露出された非画像形成領域2cの上の電荷発生層形成用塗布液13を、拭取り用溶剤を用いて拭き取り、除去した後は、電荷発生層形成用塗布液13を乾燥させる。これにより下引き層6上に電荷発生層14が形成され、電荷発生層付き導電性支持体15が得られる。
このとき、厚膜部5のみならず薄膜部4bの上にも電荷発生層形成用塗布液13が塗布されるため、厚膜部5のみならず薄膜部4bの上にも電荷発生層14が形成されることになる。言い換えると、電荷発生層14が画像形成領域2aから非画像形成領域2b,2cの一部にまで拡張されることになる。
次に、電荷発生層14上に、電荷輸送層を形成する。そのためにはまず、電荷発生層付き導電性支持体15を縦にした状態で、電荷輸送層形成用塗布液中に浸漬する。具体的には、電荷発生層付き導電性支持体15を所定速度で下降させる。
電荷輸送層形成用塗布液は、少なくとも電荷輸送物質、結着樹脂及び溶剤を含む。
電荷輸送物質としては、アントラセン、ピレン、フェナントレン、コロネン等の多環芳香族化合物又はそれらの誘導体、インドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、ヒアジアゾール、トリアゾール等の含チッ素複環式化合物又はそれらの誘導体、その他にヒドラゾン化合物等の正孔輸送物質等が用いられる。結着樹脂及び溶剤については、上述した下引き層形成用塗布液3及び電荷発生層形成用塗布液13に用いられる結着樹脂及び溶剤を用いることができる。
そして、電荷発生層付き導電性支持体15を所定速度で引き上げる。このときの引上げ速度は、画像形成領域2a上において所定厚さの塗布液が塗布される速度とする。このとき、塗布液の平均膜厚は15μm以上とすることが好ましい。この場合、リーク欠陥の少ない電子写真感光体を得ることができる。なお、より高いリーク耐性を得るためには、塗布液の平均膜厚は、20μm以上とすることが好ましく、25μm以上とすることがより好ましい。
そして、電荷発生層付き導電性支持体15を電荷輸送層形成用塗布液から完全に引き抜くと、電荷発生層14及び露出された非画像形成領域2cの上に電荷輸送層形成用塗布液が塗布される。
続いて、露出された非画像形成領域2cの上の電荷輸送層形成用塗布液又はその不要部分のみを、拭取り用溶剤を用いて拭き取り、除去する。
拭取り用溶剤は、電荷輸送層形成用塗布液を溶解し得るものであれば特に制限されず、このような拭取り用溶剤としては、例えば1−ブタノール、n−ブチルアルコールなどが挙げられる。
こうして、露出された非画像形成領域2cの電荷輸送層形成用塗布液又はその不要部分のみを、拭取り用溶剤を用いて拭き取り、除去した後は、電荷輸送層形成用塗布液を乾燥させる。これにより電荷発生層14上に電荷輸送層が形成される。
こうして、図4に示すように、導電性支持体1上に、下引き層6と、電荷発生層14および電荷輸送層16からなる感光層17とを有する電子写真感光体18が得られる。
以上のようにして電子写真感光体18を製造する場合、拭取り用溶剤によって薄膜部4bの一部である下端部を除去する場合でも、拭取り用溶剤は薄膜部4bに含浸されるようになるため、厚膜部5への拭取り用溶剤の含浸が十分に防止される。加えて、薄膜化することにより塗膜の乾燥が速くなる。このため、拭取り用溶剤が、露出された非画像形成領域4bへ垂れるという事態が十分に防止される。このため、画像形成時において、下端部における液垂れの拭残り部分が不均一に剥離して現像ロールに入り込み、画像濃度むらを発生するという事態を十分に防止することができる。また、薄膜部4bは、厚膜部5よりも平均膜厚が小さく、除去すべき量が少量で済むようになるため、拭取り用溶剤を用いて除去する場合に、容易に且つ十分に除去することができる。
更に、接触型帯電装置や転写装置等の感光体に接触して電圧を印加する装置は通常、電子写真感光体との接触部位が画像形成領域よりも長くなるように、即ち、接触部位が画像形成領域2aから非画像形成領域2b,2cまで拡張されるように設置される。このとき、非画像形成領域2b,2cにおいて乾燥薄膜部しか存在していないと、乾燥薄膜部にも電圧が印加されるため、異常電流リークの発生が懸念される。ところが、上記電子写真感光体の製造方法によれば、乾燥薄膜部の上に電荷発生層14及び電荷輸送層16が形成されることによって乾燥薄膜部が隠蔽される。このため、上記電子写真感光体の製造方法によれば、非画像形成領域2b,2cにおける電流リークの発生を十分に防止し得る電子写真感光体18を得ることができる。また、乾燥薄膜部が電荷発生層14及び電荷輸送層16で隠蔽されることにより、乾燥薄膜部でもリーク耐性は確保される。このため、隠蔽された乾燥薄膜部を、帯電部材や中間転写体などの他部材との接触領域まで拡張することが可能となる。従って、画像形成領域2a外であれば、薄膜部4bを広く確保することが可能となり、薄膜部4bの形成および不要部の除去のいずれの作業も容易になる。
上記感光体の製造方法においては、薄膜部4bの拭取り性の観点からは、薄膜部4bが薄いほど除去が容易となるが、一方で薄膜部4bができる限り平滑に隠蔽された方がリーク耐性等には有利であり、薄膜部4bの平均膜厚d1と画像形成領域2a上の平均膜厚d2との膜厚差が小さい方が望ましい。本発明者らは、薄膜部4bの膜厚d1を7μm以上とし、かつ、画像形成領域2a上の下引き層の平均膜厚d2に対する薄膜部4bの平均膜厚d1の比が下記式:
d1/d2≧0.3
を満足することにより、薄膜部4bの拭取り性および乾燥薄膜部のリーク耐性ともさらに良好となることを見出した。
d1/d2≧0.3
を満足することにより、薄膜部4bの拭取り性および乾燥薄膜部のリーク耐性ともさらに良好となることを見出した。
なお、薄膜部の平均膜厚d1が7μm未満であるか、あるいはd1/d2<0.3の時は、乾燥薄膜部の上に第2層を形成しても、画像形成領域2a上の膜と非画像形成領域2b,2cの膜との段差が大きくなり、特に段差部でリーク耐性を確保できない、即ち異常電流リークが発生してしまうことがある。
次に、本発明の電子写真装置の第1実施形態について説明する。
図5は、本発明の電子写真装置の第1実施形態を示す概略図である。図5に示す電子写真装置20は電子写真感光体18を備えており、電子写真感光体18の周囲には、電子写真感光体18の回転方向に沿って順次、帯電部材21、画像入力装置(露光手段)22、現像装置(現像手段)23、1次転写部材24、クリーニング装置25が配置されている。ここで、1次転写部材24は、電子写真感光体18の表面と逆極性に帯電可能となっている。また、26は定着装置、27は画像出力媒体であり、画像出力媒体27は1次転写部材24と転写部材28とによって挟まれている。更に帯電部材21には、電源29により電位が与えられるようになっている。
上記帯電部材21は、電子写真感光体18の表面に接触されて帯電させる接触式帯電部材である。帯電部材21は、電子写真感光体18の表面に接触しており、その接触部位は、画像形成領域2aから非画像形成領域2b,2cのそれぞれまで拡張されている。また1次転写部材24も、電子写真感光体18に接触しており、その接触部位が画像形成領域2aから非画像形成領域2b,2cまで拡張されている。
更に、導電性支持体2における非画像形成領域2b、2cのうち露出された部分には、コロあるいはカラーリングが当接されている。
次に、上記電子写真装置20を用いた画像形成方法について説明する。
まず、電子写真感光体18を回転させる。そして、帯電部材21を用いて電子写真感光体18を帯電させ、画像入力装置22により画像信号に基づいて帯電された電子写真感光体18を露光することで静電潜像を形成し、現像装置23により静電潜像を現像し、最後にこの像を1次転写部材24に転写する。すると、1次転写部材24に転写された像は画像出力媒体27に転写される。
このとき、電子写真感光体18が上記製造方法で製造されることにより、導電性支持体1においてコロ又はカラーリングが当接される部分では塗膜が十分に除去されている。従って、コロ又はカラーリングと塗膜との摺擦による塗膜の剥離が十分に防止され、塗膜の剥離に起因する画像濃度ムラ等が十分に防止され、良好な画像を得ることができる。
また、電子写真装置20では、帯電部材21が、電子写真感光体18の表面と接触しており、その接触部位が画像形成領域2aよりも長くなっている。言い換えると、接触部位が画像形成領域2aから非画像形成領域2b,2cまで拡張されている。このことは、1次転写部材24の場合も同様である。このとき、非画像形成領域2b,2cにおいて乾燥薄膜部しか存在していないと、乾燥薄膜部にも電圧が印加されるため、異常電流リークの発生が懸念される。ところが、電子写真感光体18では、乾燥薄膜部の上に電荷発生層14及び電荷輸送層16が形成されることによって乾燥薄膜部が隠蔽される。このため、非画像形成領域2b,2cにおける異常電流リークの発生が十分に防止される。
次に、本発明の電子写真装置の第2実施形態について図6を用いて説明する。
図6に示す電子写真装置30は、プロセスカートリッジ31と電子写真装置本体32とを備えており、プロセスカートリッジ31が電子写真装置本体32に着脱可能である点で図5に示す電子写真装置20と相違する。
ここで、電子写真装置本体32は、1次転写部材24、転写部材28、定着装置26、画像入力装置22及び取り付けレール33により構成されている。
また、プロセスカートリッジ31は、ハウジング34内に電子写真感光体18、接触式の帯電部材21、現像装置23及びクリーニング装置25を収容している。プロセスカートリッジ31は取り付けレール33に取り付け可能であり、プロセスカートリッジ31が取り付けレール33に取り付けられると、電子写真感光体18が1次転写部材24に当接されるようになっている。また、ハウジング34には、窓35が形成されており、この窓35を通して画像入力装置22から電子写真感光体18に光が照射され、静電潜像による画像が形成されるようになっている。なお、プロセスカートリッジ31において、クリーニング装置25は必ずしも必要ではない。
上記電子写真装置30においても、上記電子写真装置20と同様の効果が得られる。すなわち、コロ又はカラーリングと塗膜との摺擦による塗膜の剥離が十分に防止され、塗膜の剥離に起因する画像濃度ムラ等が十分に防止され、良好な画像を得ることができる。また、電子写真装置30では、非画像形成領域2b,2cにおいて乾燥薄膜部しか存在していないと、乾燥薄膜部にも電圧が印加されるため、異常電流リークの発生が懸念される。ところが、電子写真感光体18では、乾燥薄膜部の上に電荷発生層14及び電荷輸送層16が形成されることによって乾燥薄膜部が隠蔽される。このため、非画像形成領域2b,2cにおける異常電流リークの発生が十分に防止される。
次に、前述した塗膜除去方法の具体例について説明する。図7は、塗膜除去装置の一例を示す図である。
図7において、符号1は円筒状の導電性支持体、40は回転可能な円筒状支持体保持具である。41はオーバーフ口ーした溶剤を受けるためのオーバーフローパンであり、溶剤排出口42が設けられている。オーバーフローパン41の内側には、回転可能な円盤べッセル43が配置されており、その中心には溶剤供給口44が配設されると共に、周壁内側には拭取り部材支持具45に固定された拭取り板と樹脂板と支持板からなる拭取り部材46が配設されている。また、47はリザーバータンク、48はポンプ、49はフィルターであり、それらはオーバーフローパン41と共に、溶剤50を再循環させる再循環手段を構成している。
この装置では、拭取り部材46が装着された円盤ベッセル43に、ポンプ48により溶剤50を供給し、溶剤50をオーバーフローさせる。そして、この状態で、導電性支持体1を所定の拭取り位置まで下降させ、拭取り部材46を導電性支持体1に接触摺動させることにより、導電性支持体1の表面に形成された塗膜のうちの不要部分の除去を行う。
次に、塗膜除去が終了した後に拭取り部材46を導電性支持体1から離脱させ、導電性支持体1を上昇させる。このようにして、下端部における塗膜が除去されるようになる。
なお、溶剤50は塗膜により汚染されるため、フィルター49を設け、ポンプ48を作動させることによって、再循環されるようになっている。従って、オーバーフローパン41には常に清浄な溶剤が供給されるようになっている。
図8は、塗膜除去開始前および塗膜除去終了後の導電性支持体1と拭取り部材46との位置関係を示している。すなわち、塗膜除去開始前および塗膜除去終了後には、円盤ベッセル43の周壁内側において拭取り部材支持具45に固定された拭取り部材46は、導電性支持体1に接触していないことを示す。
拭取り部材支持具45は支点Aを中心に回動自在であり、図示されるように、一方の端部に拭取り部材46が固定されると共に、他方の端部にはガイドロール51が取り付けられている。ガイドロール51は上部にテーパ部を備えており、また、バネにより円盤ベッセル43の周壁から離れる方向に付勢されている。一方、拭取り部材46は、導電性支持体1に直接接触する拭取り板としての46A、及び、その拭取り板46Aを支持する剛性の高い支持板46Bとから構成されている。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば上記製造方法に係る実施形態では、導電性支持体1上に下引き層6、電荷発生層14及び電荷輸送層16を順次形成して電子写真感光体18を製造しているが、電荷輸送層16の上にさらに表面保護層を形成してもよいし、あるいは、導電性支持体1上に電荷発生層14及び電荷輸送層16を順次形成して電子写真感光体を形成してもよい。さらには、導電性支持体1上に、下引き層6を形成した後、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含む単層の感光層を形成して電子写真感光体を形成してもよい。但し、導電性支持体1上に1番目に形成する層については、画像形成領域2a上に厚膜部5を形成し、非画像形成領域2c上に薄膜部4を形成し、薄膜部4の先端部を溶剤により除去して乾燥した後、その乾燥薄膜部を第2層により隠蔽する必要がある。
また、本発明の製造方法に使用する導電性支持体の形状は、上記実施形態のような円筒状のものに限定されるものではなく、ベルト状やその他の形状であっても構わない。即ち、本発明の製造方法は、導電性支持体の形状に影響されることなく適用することができる。
以下、本発明の内容を、実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(下引き層形成用塗布液の調製)
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)15重量部および硬化剤(BL3475、住友バイエルウレタン)20重量部を 2-ブタノン80重量部に溶解して、酸化亜鉛粉末(SMZ−017N10、テイカ社製)90重量部と混合攪拌し、ダイノミル分散機(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて20時間分散処理した。
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)15重量部および硬化剤(BL3475、住友バイエルウレタン)20重量部を 2-ブタノン80重量部に溶解して、酸化亜鉛粉末(SMZ−017N10、テイカ社製)90重量部と混合攪拌し、ダイノミル分散機(シンマルエンタープライゼス社製)を用いて20時間分散処理した。
得られた溶液に、溶液中の全固形分において5%体積割合となるように、シリコン微粒子(R935:平均粒径5.0μm、東レ・ファインケミカル)を添加した。こうして下引き層形成用塗布液を得た。
(電荷発生層形成用塗布液の調製)
Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン3重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)2重量部及び酢酸ブチル180重量部からなる混合物をサンドミルにより4時間分散処理して電荷発生層形成用塗布液を得た。
Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン3重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)2重量部及び酢酸ブチル180重量部からなる混合物をサンドミルにより4時間分散処理して電荷発生層形成用塗布液を得た。
(電荷輸送層形成用塗布液の調製)
電荷輸送材料としてN,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン4重量部と、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(三菱化学社製:ユーピロンZ400)6重量部とを、テトラヒドロフラン60重量部及び2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノール0.2重量部に加えて溶解させた。こうして電荷輸送層形成用塗布液を得た。
電荷輸送材料としてN,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン4重量部と、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(三菱化学社製:ユーピロンZ400)6重量部とを、テトラヒドロフラン60重量部及び2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノール0.2重量部に加えて溶解させた。こうして電荷輸送層形成用塗布液を得た。
(実施例1)
導電性支持体として、ED管アルミニウム(30mmφ)を用いた。
導電性支持体として、ED管アルミニウム(30mmφ)を用いた。
そして、下引き層形成用塗布液の液面が導電性支持体の下端から20mmの位置に到達した時点で、導電性支持体の引上げ速度を50mm/minまで低下させた。
こうして導電性支持体を下引き層形成用塗布液から完全に引き抜き、導電性支持体の下端より20mmの位置までの間の領域に厚膜部より平均膜厚の小さい薄膜部を形成した。
薄膜部を形成した後は、薄膜部の下端部(導電性支持体の下端より10mmの部分)を、1−ブタノールを用いて拭き取り、導電性支持体の表面を露出させた。
詳細に述べると、まず図7に示す塗膜除去装置を用いて薄膜部の下端部を拭き取った。具体的には、拭取り部材46が装着された円盤ベッセル43に、ポンプ48により1−ブタノールを供給し、これをオーバーフローさせた。そして、この状態で、導電性支持体1を所定の拭取り位置まで下降させ、ガイドロール51で導電性支持体1の下端部を挟んだ。そして、導電性支持体を回転させることでガイドロール51を回転させ、拭き取り部材46を薄膜部に当接させた。こうして、導電性支持体1の表面に形成された塗膜のうちの不要部分の除去を行った。
次に、塗膜除去が終了した後に拭取り部材46を導電性支持体1から離脱させ、導電性支持体1を塗膜除去装置から取り外した。
こうして薄膜部4bの下端部を除去した後、薄膜部4b及び厚膜部5を150℃で60分間乾燥させて導電性支持体1上に下引き層6を形成し、下引き層付き導電性支持体7を得た。このとき、下引き層の厚膜部の平均膜厚は30μmであり、薄膜部の平均膜厚は10μmであった。ここで、下引き層の平均膜厚の測定には、渦電流方式の膜厚測定装置(フィッシャー社製、フィッシャースコープMMS)を用いた。そして、画像形成領域を、導電性支持体の軸方向に4等分した各点につき、さらに周方向90°ごとに4点、合計16点を測定して、その平均を画像形成領域の平均膜厚とした。また、薄膜部については、中央部を周方向に90°ごとに4点測定し、その平均を薄膜部の平均膜厚とした。
次に、下引き層付き導電性支持体7を縦にし、電荷発生層形成用塗布液中に浸漬した。下引き層6の上端部が電荷発生層形成用塗布液13中に完全に浸漬された時点で、下引き層付き導電性支持体7を停止させた。
そして、下引き層付き導電性支持体7を150mm/minの速度で引き上げた。
そして、下引き層付き導電性支持体7を電荷発生層形成用塗布液13から完全に引き抜き、下引き層6及び露出された非画像形成領域2cの上に電荷発生層形成用塗布液13を塗布した。
続いて、露出された非画像形成領域2cの上の電荷発生層形成用塗布液13を、1−ブタノールを用い、下引き層と同様の装置を用いて拭き取った。
その後、電荷発生層形成用塗布液13を150℃で30分間乾燥させた。これにより下引き層6上に電荷発生層14を形成し、電荷発生層付き導電性支持体15を得た。このとき、電荷発生層の膜厚は0.2μmであった。
次に、電荷発生層付き導電性支持体15を縦にし、電荷輸送層形成用塗布液中に浸漬した。電荷発生層14の上端部が電荷輸送層形成用塗布液中に完全に浸漬された時点で、電荷発生層付き導電性支持体15を停止させた。
そして、電荷発生層付き導電性支持体15を130mm/minの速度で引き上げた。
こうして、電荷発生層14及び露出された非画像形成領域2cの上に電荷輸送層形成用塗布液を塗布した。
続いて、露出された非画像形成領域2cの上の下端から10mmの部分における電荷輸送層形成用塗布液を、1−ブタノールを用い、上記下引き層と同様にして拭き取った。
その後、電荷輸送層形成用塗布液を120℃で40分間乾燥させて電荷発生層上に電荷輸送層を得た。このとき、電荷輸送層の平均膜厚は20μmであった。
こうして、導電性支持体上に、下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を有する電子写真感光体を得た。
(実施例2)
薄膜部の平均膜厚を15μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
薄膜部の平均膜厚を15μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例3)
薄膜部の平均膜厚を15μmとし、電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
薄膜部の平均膜厚を15μmとし、電荷輸送層の膜厚を25μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例4)
薄膜部の平均膜厚を5μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
薄膜部の平均膜厚を5μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例5)
薄膜部の平均膜厚を20μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
薄膜部の平均膜厚を20μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(実施例6)
薄膜部の平均膜厚を15μmとし、電荷輸送層の膜厚を10μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
薄膜部の平均膜厚を15μmとし、電荷輸送層の膜厚を10μmとした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
薄膜部の平均膜厚を15μmとし、薄膜部の先端部を拭き取る前の薄膜部形成領域を10mmとし、薄膜部の一部ではなく全部を拭き取るようにした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
薄膜部の平均膜厚を15μmとし、薄膜部の先端部を拭き取る前の薄膜部形成領域を10mmとし、薄膜部の一部ではなく全部を拭き取るようにした以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(拭取り性及びリークの確認)
実施例1〜6及び比較例1において、薄膜部の先端部の拭取り部を目視により観察した。結果を表1に示す。
実施例1〜6及び比較例1において、薄膜部の先端部の拭取り部を目視により観察した。結果を表1に示す。
また、富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocuCenterColor400CP改造機に実施例1〜6および比較例1で得られた電子写真感光体を装着し、50000枚走行試験を実施し、リーク発生の有無を目視により確認した。なお、DocuCenterColor400CP改造機は、装着した電子写真感光体の下端15mmの領域まで帯電ロールが接触するようにしたものを言う。結果を表1に示す。なお、表1中、拭き取り性についての「◎」「○」「×」はそれぞれ以下の評価に対応するものである。
◎・・・極めて良好
○・・・良好
×・・・悪い
◎・・・極めて良好
○・・・良好
×・・・悪い
表1に示すように、実施例1〜6によれば、薄膜部の拭き取り性が良好であり、且つ得られる電子写真感光体において電流リーク発生が十分に防止されていることが確認された。
これに対し、薄膜形成領域を拭取り領域と同等幅とした比較例1によれば、得られる電子写真感光体において電流リーク発生については実施例1〜6と同程度に防止されているものの、液垂れにより十分な薄膜部を確保できず拭き残りが存在した。また、拭取り溶剤が浸透して境界部に塗膜の乱れが生じた。すなわち、薄膜部の拭き取り性は悪いものであった。
また、薄膜部を15μm以下とした実施例1〜3、4、6は、薄膜部の膜厚を20μmとした実施例5よりも拭き取り性に優れることが確認された。そして、薄膜部の平均膜厚が15μm以下のときは、薄膜部の拭取り性は良好であり、薄膜であるほど拭取り性は向上することが確認された。ただし、リーク耐性については、薄膜部の膜厚を5μmとした実施例4よりも、薄膜部の膜厚を10μm以上とした実施例1〜3、実施例5,6の方が優れていた。
更に、実施例1〜6及び比較例1で得られた電子写真感光体を上記富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocuCenterColor400CP改造機に入れて20日間で50000枚の走行試験を実施したところ、比較例1で得られた電子写真感光体の下端部の塗膜の拭き残り部分が不均一に剥離して、その小片が現像ロールに入り込み、画像濃度むらを発生した。これに対し、拭取り面の良好な実施例1〜6の電子写真感光体では、このような障害は発生しなかった。
更にまた、電荷輸送層の膜厚を15μm以上で塗布することにより、電荷輸送層を10μmと薄くした実施例6よりも、下引き層の段差部および薄膜領域におけるリーク欠陥を十分に抑制することができた。
以上より、本発明による電子写真感光体の製造方法によれば、薄膜部の先端部の拭取り性を良好にでき、かつ接触帯電方式を用いて画像形成を行っても、電流リークの発生を十分に防止でき、良好な画像が得られる電子写真感光体を製造できることが分かった。
1…導電性支持体、3…下引き層形成用塗布液(第1層形成用塗布液)、4b…薄膜部、5…厚膜部、6…下引き層(第1層)、14…電荷発生層(第2層)円筒状支持体保持具、21…帯電部材(接触型帯電装置、帯電手段)、41…オーバーフローパン、42…溶剤排出口、43…円盤ベッセル、44…溶剤供給口、45…拭取り部材支持具、46…拭取り部材、46A…拭取り板、46B…支持板、47…リザーバータンク、48…ポンプ、49…フィルター、50…溶剤、51…ガイドロール。
Claims (6)
- 導電性支持体上に、少なくとも第1層及び第2層を形成する工程を含む電子写真感光体の製造方法において、
第1層形成用塗布液を、厚膜部および該厚膜部より平均膜厚の小さい薄膜部が形成されるように塗布する塗膜形成工程と、
前記薄膜部の先端部を、溶剤を用いて除去する除去工程と、
前記薄膜部及び前記厚膜部を乾燥させて前記第1層を形成する乾燥工程と、
前記第1層の上に前記第2層を形成する第2層形成工程と、
を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記薄膜部の平均膜厚d1を7μm以上とし、かつ、前記第1層の厚膜部の平均膜厚d2に対する前記薄膜部の平均膜厚の比が下記式:
d1/d2≧0.3
を満足することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。 - 前記塗膜形成工程において、前記薄膜部の平均膜厚d1を15μm以下とすることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法により製造される電子写真感光体。
- 前記電子写真感光体と、前記電子写真感光体に接触して前記電子写真感光体を帯電させる接触型帯電装置とを少なくとも備えるプロセスカートリッジにおいて、
前記電子写真感光体が請求項4に記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 前記電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
前記静電潜像を現像して現像化する現像手段と、
前記現像手段で現像化により得られる像を転写媒体に転写する転写手段と、
を備える電子写真装置において、
前記電子写真感光体が請求項4に記載の電子写真感光体であり、
前記帯電手段が、前記電子写真感光体に接触して前記電子写真感光体を帯電させる接触型帯電装置であることを特徴とする電子写真装置。
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JP2007264146A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Oki Data Corp | 感光体、感光体の製造方法、現像装置及び画像形成装置 |
-
2004
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