JP2005221586A - 所定の波長光学特性を有する誘電体多層膜フィルタ、その設計方法、その設計プログラム、およびその誘電体多層膜フィルタを用いた光アド・ドロップシステム - Google Patents
所定の波長光学特性を有する誘電体多層膜フィルタ、その設計方法、その設計プログラム、およびその誘電体多層膜フィルタを用いた光アド・ドロップシステム Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】特定の波長帯域を透過させる機能、または反射させる機能、またはその両方の機能を備える誘電体多層膜型の帯域透過フィルタであって、その膜構造は、光学膜厚の基準となる中心波長λに対して、(1)光学膜厚がλ/4である、高屈折率材料から成る層(H)と低屈折率材料から成る層(L)とを交互に積層したミラー層と、(2)光学膜厚がλ/4の整数倍である、高屈折率材料から成る層(nH:nは自然数)と低屈折率材料から成る層(nL:nは自然数)との組合せで構成されており、全体の光学膜厚がλ/2の整数倍であるスペーサ層で構成されている誘電体多層膜フィルタである。
【選択図】図1
Description
した膜構造(マルチキャビティ構造)を有する誘電体多層膜フィルタ(以下、単に多層膜フィルタとも記載する)が利用されている。
すなわち、多層膜フィルタは、光学基板上に、カップリング層を介して積層された複数のキャビティを有している。そして、各キャビティは、中心波長(各キャビティの透過波長特性において透過率50%を示す2つの波長の中心)λの(a/2(aは自然数))倍の光学膜厚を有するスペーサ層と、このスペーサ層の積層方向に沿った両側に形成されており、目的(ターゲット)となる透過波長帯域の中心波長λの(b/4(bは奇数))倍の光学膜厚を有し、互いに異なる屈折率を有する二種類の薄膜層(高屈折率を有する高屈折率層;H層および低屈折率を有する低屈折率層;L層)が交互かつスペーサ層に対して対称配置されて成るミラー層とを備えている(例えば特許文献1参照)。
所定の屈折率を有する光学基板と、
(m1λ0)/4(m1は正の奇数)の光学膜厚を有するカップリング層と、
(m2λ0)/2(m2は自然数)の光学膜厚を有するスペーサ層と、前記スペーサ層の積層方向に沿った両側に形成され、(m3λ0)/4(m3は正の奇数)の光学膜厚を有し、互いに異なる屈折率を有する二種類の薄膜層が、交互且つ前記スペーサ層に対して対象配置されたミラー層とを備えるキャビティと、
所定の光学膜圧を有するAR(Anti-Reflection:反射防止)層と、
を備え、
前記光学基板と前記AR層の間に、前記カップリング層を介して前記キャビティが複数積層された誘電体多層膜フィルタであって、前記各キャビティが中心波長及び半値幅で表わされ、最適化法によって設計されて、所定の波長光学特性を有する誘電体多層膜フィルタである。
N個の各Cavityの波長シフト量S(1)、S(2)、・・・・、S(N)の最大値と最小値との差をdとし、
0°入射時のMulti-Cavityの透過波形における、0.5dB幅をWとして、
Wに対するdの割合R、すなわちR=100×(d/W) [%] が、2%以下となっている
ことを特徴とする誘電体多層膜フィルタである。
その膜構造は、
光学膜厚の基準となる中心波長λに対して、(1)光学膜厚がλ/4の奇数倍である、高屈折率材料から成る層(H)と低屈折率材料から成る層(L)とを交互に積層したミラー層と、(2)全体の光学膜厚がλ/2の整数倍である、多層構造のスペーサ層とで構成されており、
(3) 多層構造のスペーサ層は、光学膜厚がλ/4の奇数倍である、高屈折率材料から成る層(H)と低屈折率材料から成る層(L)とを交互に積層した第2のミラー層と、全体の光学膜厚がλ/2の整数倍である、単層または多層構造の、第2のスペーサ層とで構成されていることを特徴とする誘電体多層膜フィルタである。
(m1λ0)/4(m1は正の奇数)の光学膜厚を有するカップリング層と、
(m2λ0)/2(m2は自然数)の光学膜厚を有するスペーサ層と、
前記スペーサ層の積層方向に沿った両側に形成され、(m3λ0)/4(m3は正の奇数)の光学膜厚を有し、互いに異なる屈折率を有する二種類の薄膜層が、交互且つ前記スペーサ層に対して対象配置されたミラー層と、を備えるキャビティと、
所定の光学膜厚を有するAR(Anti-Reflection:反射防止)層と、
を備え、
前記光学基板と前記AR層の間に、前記カップリング層を介して前記キャビティが複数積層された誘電体多層膜フィルタを設計する方法であって、
前記各キャビティを中心波長及び半値幅で表して、最適化法によって、所定の波長光学特性を有する誘電体多層膜フィルタを設計する誘電体多層膜フィルタの設計方法である。
更に、Multi-Cavityを構成する各Cavityのスペーサ層を多層構造にすることにより、個々のCavity特性を調整(最適化)することができるため、透過帯のリップルを低減させることができる。更に、従来は1つであった透過帯域を2つにすることが可能となる。
例えば、上記WDMで用いられる、単一信号分の波長帯域を分波および/または合波する狭帯域バンドパスフィルタ(Narrow BPF;NBPF)、WDMの信号数波長分を一括して分波および/または合波するバンドセパレータ(Band Separator)、広帯域の波長域を2つの帯域に分けるC/Lフィルタ、B/Rフィルタ等が、上述したマルチキャビティ構造を応用して設計・製作可能である。
図1は、本発明の実施の形態に係わる多層膜フィルタ1を示す図である。なお、本実施形態においては、多層膜フィルタ1として、中心波長がλ0の所定の透過波長帯域(ターゲット帯域;透過波長帯域、遮断波長帯域)において所定の光学特性値(透過率、ターゲット特性値)を得るための多層膜フィルタについて説明する。
yxy (4)
このyxyは、中心波長の(1/4)倍の光学膜厚をそれぞれ有するH層(Hで示される)およびL層(Lで示される)から成るミラーペア数yのミラー層、およびスペーサ層厚がxLのスペーサ層を有するキャビティ(HL)yHxLH(LH)yを示している。したがって、686は、(HL)6H8LH(LH)6のキャビティ構成を表している。
もし、このステップS5の判断の結果が、NO、すなわち、求めた誤差が許容範囲(設計仕様上許容できる最大範囲)を超えている場合には、コンピュータ12は、ステップS6の処理を行い、ステップS3の処理の前に戻る。
ターゲット帯域:(1)透過波長帯域1547.5nm〜1562.5nm:光学特性値(透過率>‐0.5dB)
:(2)遮断波長帯域1530.0nm〜1543.5nm:光学特性値(透過率)<‐2.5dB)
として設計した。
光学基板2として波長1550.0nmにおいて屈折率=1.52の基板を用い、中心波長λ0を1555.0nmとして、本実施形態のフィルタ設計装置10(膜構造設計手法(アルゴリズム))を用いて多層膜フィルタ1aを実際に設計した(下式(5)参照)。また、設計された多層膜フィルタ1aの光学特性値である透過率E1および等価アドミッタンスA1の波長依存性(透過波長特性)を図5に示した。
光学基板2として波長1550.0nmにおいて屈折率=1.67の基板を用い、中心波長λ0を1555.0nmとして、多層膜フィルタXを実際に設計した(下式(6)参照)。また、設計された多層膜フィルタXの光学特性値である透過率E2および等価アドミッタンスA2の波長依存性(透過波長特性)を図6に示した。
本実施形態においては、第1実施形態で説明した多層膜フィルタ1cとしての、例えば、100G-4skip0 Band Separatorの膜構造を、第1実施形態で述べた設計手法とは異なる設計手法で設計するものである。
上式(7)に示す第1キャビティは、5x5(=(HL)5HxLH(LH)5)のキャビティ構成を表している。すなわち、ミラー層を構成するHおよびLは、中心波長λ0の(1/4)倍の光学膜厚をそれぞれ有するH層およびL層を表し、xLは、中心波長λ0の(2x)/4倍の光学膜厚を有するスペーサ層を表している。
HL HL HL H 0L H LH LH LH (P1=−2、P2=2×0×λ0/4、P3
→全てλ0/4) ・・・(組み合わせ1)
HL HL HL H 2L H LH LH LH (P1=−2、P2=2×1×λ0/4、P3
→全てλ0/4) ・・・(組み合わせ2)
3HL HL HL H 4L H LH LH L3H (P1=−2、P2=2×2×λ0/4、P3
→2つが3λ0/4、残りがλ0/4)・・・(組み合わせk)
3H3L 3H3L 3H3L 3H3L 3H3L 3H3L H 10L H 3LH3 3L3H 3L3L
3L3H 3L3H 3L3H (P1=4、P2=2×5×λ0/4、P3→
全てが3λ0/4) ・・・(組み合わせp1)
ここでは、7つのキャビティを有する多層膜フィルタの場合の実例を説明する。各キャビティの半値幅をW0、W1、W2、W3、W4、W5、W6とすると、W0−W1−W2−W3−W4−W5−W6の構造の多層膜フィルタにおいて、
W0=W6、W1=W5、W2=W4、W0≠W1≠W2≠W3
という関係となる多層膜フィルタが考えられる。
半値幅を有するキャビティの構造を算出する誘電体多層膜フィルタの設計方法の実施例を下記に示す。
ここでは、存在し得るすべての現実解を計算するのではなく、下記に示す2点の制限を設けて計算を行なう。この制限事項は、製造装置の性能(製作可能なフィルタの膜圧、層数、成膜時間等)を考慮して、実際に製作の可能な範囲内で、最適な現実解を計算することを目的としている。具体的には、下記の条件を付加する。
ミラー層群は、15層以下(7pairs以下)であり、
スペーサ層は、2L、4L、6Lのいずれかを取る。
まず、上記の制限事項の範囲内で、3λ0/4の光学膜厚を装入しないで半値幅が2.115nmに近い(例えば±50%)構造を算出する。その結果を表2に示す。
次に上記の一次計算で求められた5種類の組み合わせのキャビティに対して、ミラー層を構成する薄膜層の光学膜厚に3λ0/4を装入し、半値幅を調整する。
ここで、計算の負荷を軽減するため、また膜厚が厚くなりすぎることを防ぐために、3λ0/4の薄膜層は、キャビティごとに6層(スペーサ層の片側ミラー層群につき3層ずつ)に限定する。また、ミラー層群の構造は、スペーサ層の両側で対称な構造とする。
ここで、構造の標記方法について述べておく。
構造式:[HL HL HL 3HL HL H] 2L [H LH L3H LH LH LH] の場合、
標記を :525-64 (ミラー層5pairs-スペーサ層2L-ミラー層5pairs
3λ0/4位置「64」)のように行なう。
片側のミラー層群11層を、11桁の2進法で標記し、λ0/4を0、3λ0/4を1とする。また、スペーサ層から一番遠い方を1桁目とする。
565-1056: [3HL HL H3L HL HL H] 6L [H LH LH 3LH LH L3H]
565-1044: [3HL HL HL 3HL 3HL H] 6L [H L3H L3H LH LH L3H]
565-0768: [H3L 3HL HL HL HL H] 6L [H LH LH LH L3H 3LH]
ここで、第1キャビティと第7キャビティ、第2キャビティと第6キャビティ、第3キャビティと第5キャビティが同一構造であり、中心に位置する第4キャビティに対して対称構造になっている。
即ち、このスペーサ層の構造を最適化することで、図26に示すように、低Ripple設計を実現する。
Multi-Cavityを構成するCavityは、光が垂直入射する時と比べて斜入射時では、波長特性が短波長側にシフトする。このシフト量はCavityの構造(=設計)によって異なる。そこで、すべてのCavityのシフト量がほぼ均一となるようにMulti-Cavityを構成することで、斜入射時にRippleが発生しないようにする。
例えば、図27に示すように各スペーサ層が2つのCavityで構成されたMulti-Cavity構造とすることで、透過帯域を2つにすることが可能である。
各スペーサ層を3つのCavityで構成されたMulti-Cavity構造とすることで、透過帯域を3つにすることが可能である。
H、Lをそれぞれ 高屈折率材料のQW層、低屈折率材料のQW層とする。
例えば、2H、またはHH と表記した場合は、高屈折材料の膜厚が2QW(=2λ/4)であることを示す。(LH) 2 とした場合、LHLH であることを示す。
(LH) 2 H 2L とした場合、LHLHHLL であることを示す。
ここでは、透過帯域幅30nm以上 遮断幅45nm以下の特性を満たす、帯域透過フィルタを例に説明する。
図33に透過帯域幅30nm以上遮断幅45nm以下の特性を満たす、帯域透過フィルタの理想解を示す。表5に理想設計の半値幅を示す。
一次候補の決定
まず、第5Cavityから設計を開始する。始めに、スペーサ層の厚さとミラー層の層数とを規定する。スペーサ層の厚さは、厚いほど変形の自由度が増す(設計自由度が増す)が、ある程度の範囲を決定しておかないと計算量が増えてしまう。このため、ここでは、8QW〜12QWに限定する。
スペーサ層が単層である通常の構成のCavityで、半値幅が理想設計の40%〜160%であるものを一次候補とする。第5Cavityの半値幅の理想設計値は26.9056nmであることから、表6に示す4種類の構造が一次候補となる。なお、半値幅は、両側が媒質である構造、例えばAir/(HLHLH LL HLHLH)/Air として透過波形を計算し、その半値幅を計算することとする。
次に、一次候補で絞られた構造で、スペーサ層を変形していく。スペーサ層が8Lの場合、8QWで構成できる多層構造をすべて列挙する。ただし、ここでは計算量を軽減するため、スペーサ層は左右対称の構造に限定する。このため、考えられる構成は16種類となる。表7に、考えられる16種類の構造を示す。
同様に、一次候補の二番目の構造 「HLHLH 12L HLHLH」 のスペーサ層も変形し、一次候補すべての構造を変形させ、考えられるすべてのパターンについて半値幅を計算させる。
最後に半値幅の理想設計値26.9056nmに近い方から3つを2次候補とする。
表8に、2次候補の構造と半値幅を示す。
第5Cavityと同様に、他のCavityも2次候補を選定する。今回の理想設計では、対称構造のMulti-Cavityとしてあるため、第4・第6、第3と第7等、対称位置のCavityは同じ構造として考えられる。
第4、第6Cavityの半値幅の理想設計値は31.24946である。
同様に、すべてのCavityにおいて2次候補を選定する。選定した2次候補の構造を用いて構成されるすべてのMulti-Cavityのパターンにおける透過特性を計算する。その中からRippleの少ない構造を選定し、最適設計とする。表10に最適設計を示す。
Air/ 1.32L 0.32H (1cavity) L (2cavity) L (3cavity) L ・・・・・ L (8cavity) L (9cavity) /基板
となる。 媒質側(空気側)の2層は、ARコートの役割を果たしており、基板側からの透過率がほぼ100%となるように膜厚が調整されている。この最適設計の波形を図34、35に示す。理想設計に非常に近い現実設計が得られていることがわかる。透過帯Rippleは0.01dB以下に抑えられている。
Ripple低減の具体例
ここでは、透過帯域幅2.9nm、遮断帯域幅3.7nmの帯域透過フィルタを例に説明する。
帯域透過フィルタは、図36に示すように透過特性と反射特性の両方が利用されるのが一般的である。このため、帯域透過フィルタは、斜入射でRippleが発生しないことが求められる。
図37に、帯域透過フィルタの設計波形を示す。
また、それぞれの設計を構成するCavityの半値幅特性を表11に示す。9個のCavityから成るMulti-Cavity構造である。
図38に、このフィルタの0°から3°まで傾けて光と透過させた場合の斜入射特性を示す。
角度が大きくなるにつれて、透過帯域内のRippleが増大していることがわかる。0°入射でのRippleは0.02dB以下であるが、3°入射では、0.75dBに達している。これは、Multi-Cavityを構成する個々のCavityの、斜入射特性に差があるためである。
表12に個々のCavityを、0°から2°に傾けた場合の波長シフト量を示す。
表13に第4、6Cavityを入れ替えた設計を示す。入れ替えられた第4、6Cavityは、波長シフト量が元の設計よりも、マイナス側(短波長側)に大きい構造のCavityとなっている。Cavityの構造は、上述した方法により、設計が可能である。波長シフト特性に関しては、上述した方法で設計を行った後、波長シフト量を計算し、波長シフト量が所望の値に近く、かつ半値幅が理想設計に近いものを選ぶこととする。
Multi-Cavity構造で帯域透過フィルタを設計する場合、以下のように個々のCavity構造を決定することで、斜入射時のRippleを低減することができる。
Multi-Cavity構造の帯域透過フィルタを使用する入射角度をθとし、0°入射時のMulti-Cavityの透過波形における、0.5dB幅をWとする。図40に0.5dB幅を示す。
N個のCavityからなるMulti-Cavity構造の、i番目のCavityの、透過特性(または反射特性)の、入射角が0°からθまでしたときに発生する波長シフト量をS(i)とする。(iは、1~Nまでの整数)
このように個々のCavityを設計することで、斜入射時のRippleを低減することが可能である。
上述した帯域透過フィルタの場合、第4、6Cavityを入れ替える前は、R=4.3%であったが、第4、6Cavityを入れ替えることで、R=1.3%まで低減させている。
Cavity構造
図41に、通常のCavity構造と、その透過特性を示す。このような特性のCavityを単一で用いることで、1つの透過帯域をもつ帯域透過フィルタとして使用することができる。あるいはこのようなCavityを、カップリング層を介して重ねたMulti-Cavity構造として、1つの平坦な透過帯域と、急峻な遮断特性とをもつフィルタが製作できる。
図41に示すCavity (HL)4 H 6L H (LH) 4の、スペーサ層 6L を多層構造にし、スペーサ層内に第2のMulti-Cavity構造を形成することで、複数の透過帯域をもつ帯域透過フィルタを製作することができる。
図42に、スペーサ層を2つのCavityから成るMulti-Cavity構造に置き換えた場合の構造と透過波形を示す。
図42に示す構造は、8層から成る2つのミラー層の間に、(HLH 6L HLH)からなるCavityを2つ重ねたMulti-Cavity構造(HLH 6L HLH L HLH 6L HLH )を挟んだ構成となっている。
図43に示す構造は、8層から成る2つのミラー層の間に、(HLH 6L HLH)からなるCavityを3つ重ねたMulti-Cavity構造(HLH 6L HLH L HLH 6L HLH L HLH 6L HLH )を挟んだ構成となっている。
元となるCavityを第1のCavityとし、第1Cavity内のスペーサ層を構成するMulti-Cavityを第2Multi-Cavity、第2Multi-Cavityを構成する個々のCavityを第2のCavityと呼ぶことにする。
この第2Multi-Cavityを構成する第2Cavityの数によって、透過帯域の数が決定する。第2のMulti-Cavityを2つのCavityで構成した場合は、透過帯域が2つとなる。
第2Cavityを構成するミラー層の数が増加、または第2Cavityを構成するスペーサ層が厚くなると、複数の透過帯域間の間隔が狭くなり、ミラー層の数が減少、または第2Cavityを構成するスペーサ層が薄くなると、複数の透過帯域間の間隔が広くなる。
図45に、第2Cavityを構成するスペーサ層をMulti-Cavityに置き換えた、3重Cavity構造の透過波形と構造を示す。
このように、第1Cavity構造を多重Cavity構造に変形していくことで、任意の透過帯をもつ帯域透過フィルタが製作可能である。
上述したように、この発明によると、Rippleの低減ができる。
即ち、Multi-Cavityを構成する各Cavityのスペーサ層を多層構造にすることにより、個々のCavity特性を調整(最適化)することができるため、透過帯のリップルを低減させることができる。
ミラー層の層数と、スペーサ層の膜厚を調整することでRippleを低減させる従来の方法で4skip0-100GHz-Filterを設計した場合、透過帯域内に発生するRippleが0.13dBとなる。同じ帯域の反射Isolation特性は15dB程度となる。
本発明のように、Multi-Cavityを構成する核Cavityのスペーサ層を多層構造にし、個々のCavity特性を調整(最適化)すると、透過帯域内に発生するRippleが0.01dBとなる。同じ帯域の反射Isolation特性は25dBとなる。
Ripple 0.13dB → 0.01dB、 反射Isolation 15dB → 25dB と、大きく改善できている。
即ち、図30、図31に、斜入射時の特性を考慮した設計と考慮していない設計を比較する。
図30はスペーサ層を多層構造として、垂直入射時に、透過帯のRippleを低減させた設計である。
それぞれ、垂直入射、および2度入射時の波形を示す、
垂直入射時の特性は、両方の設計とも透過帯内のRippleが0.02dB以下であるが、2度入射でのRippleは、0.2dB、0.02dB以下と大きな違いがある。
更に、複数の透過帯域が可能である。
即ち、図32に、スペーサ層を2つのCavityで構成されるMulti-Cavity構造として設計した帯域透過フィルタの波形を示す。スペーサ層をMulti-Cavity構造とすることで、従来は1つであった透過帯域を2つにすることが可能となる。
信号光101が出射される送信端102と、誘電体多層膜フィルタが多段に配置されてなるフィルター部104と、該フィルター部104内で透過もしくは反射された任意のチャネルの信号光を受信する受信端106とからなる。本実施例では、フィルター部104の一構成例として、一段目には、4skip0フィルタ108が1つ配置され、2段目には、100GHz-BPF(Band-pass filter)110a、110b、110c、110dの4つが配置されている。
図16において、反射光RbにおけるGDRを考えてみる。図17に、4skip0フィルター108と、チャネルSbの信号光をドロップさせる100GHz-BPF110bの反射のGDRを示す。図17に示すように、4skip0フィルター108を透過させた後、チャネルSaの信号光を100GHz-BPF110bで反射させることにより、GDRがキャンセルされることがわかる。
図20は、チャネルSd、Saの信号光をドロップさせる際、エッジフィルターにより反射させて行う光アド・ドロップシステムを示すものである。それ以外は、図15と同様の構成である。
更に、Multi-Cavityを構成する各Cavityのスペーサ層を多層構造にすることにより、個々のCavity特性を調整(最適化)することができるため、透過帯のリップルを低減させることができる。更に、従来は1つであった透過帯域を2つにすることが可能となる。
2 光学基板
4 カップリング層
4a1〜4ak キャビティ
6a1〜6ak スペーサ層
7a1〜7ak ミラー層
8a1〜8ak 第1の屈折率層(L層)
8b1〜8bk 第2の屈折率層(H層)
10 フィルタ設計装置
11 入力部
100 光アド・ドロップシステム
Claims (17)
- 中心波長がλ0の所定の波長帯域において、所定の屈折率を有する光学基板と、
(m1λ0)/4(m1は正の奇数)の光学膜厚を有するカップリング層と、
(m2λ0)/2(m2は自然数)の光学膜厚を有するスペーサ層と、
前記スペーサ層の積層方向に沿った両側に形成され、(m3λ0)/4(m3は正の奇数)の光学膜厚を有し、互いに異なる屈折率を有する二種類の薄膜層が、交互且つ前記スペーサ層に対して対象配置されたミラー層とを備えるキャビティと、
所定の光学膜厚を有するAR(Anti-Reflection:反射防止)層と、
を備え、
前記光学基板と前記AR層の間に、前記カップリング層を介して前記キャビティが複数積層され誘電体多層膜フィルタであって、前記各キャビティが中心波長及び半値幅で表わされ、最適化法によって設計されて、所定の波長光学特性を有する誘電体多層膜フィルタ。 - 前記所定の波長光学特性が、前記中心波長がλ0の所定の波長帯域における透過率のリップルが小さくなることを含む請求項1に記載の誘電体多層膜フィルタ。
- 前記透過率のリップルが0.3dB以下となる請求項2に記
載の誘電体多層膜フィルタ。 - 前記ミラー層を構成する前記二種類の薄膜層が、λ0/4または(3λ0)/4の光学膜厚を有するものである請求項1に記載の誘電体多層膜フィルタ。
- 前記各キャビティの半値幅が、前記積層の中心に対して対称に位置するキャビティの半値幅以外には異なるものである請求項1に記載の誘電体多層膜フィルタ。
- 中心波長がλ0の所定の波長帯域において、所定の屈折率を有する光学基板と、
(m1λ0)/4(m1は正の奇数)の光学膜厚を有するカップリング層と、
(m2λ0)/2(m2は自然数)の光学膜厚を有するスペーサ層と、
前記スペーサ層の積層方向に沿った両側に形成され、(m3λ0)/4(m3は正の奇数)の光学膜厚を有し、互いに異なる屈折率を有する二種類の薄膜層が、交互且つ前記スペーサ層に対して対象配置されたミラー層と、を備えるキャビティと、
所定の光学膜厚を有するAR(Anti-Reflection:反射防止)層と、
を備え、
前記光学基板と前記AR層の間に、前記カップリング層を介して前記キャビティが複数積層された誘電体多層膜フィルタを設計する方法であって、
前記各キャビティを中心波長及び半値幅で表して、最適化法によって、所定の波長光学特性を有する誘電体多層膜フィルタを設計する誘電体多層膜フィルタの設計方法。 - 前記各キャビティの前記中心波長及び前記半値幅を、前記各キャビティの透過率と周波数の特性をローレンツ(Lorentz)関数で近似することによって求める請求項6に記載の誘電体多層膜フィルタの設計方法。
- 前記最適化法をLevenberg-Marquardt法、Simplex法またはGauss-Newton法を用いて行なう請求項6に記載の誘電体多層膜フィルタの設計方法。
- 前記各キャビティの使用を、前記最適化法によって求められた半値幅に近いキャビティを、予め所定の屈折率の値を用いて半値幅を算出した一覧表から選択することよって定める請求項6に記載の誘電体多層膜フィルタの設計方法。
- 前記薄膜層の光学膜厚として(3λ0)/4を装入して、
所定の半値幅を有する前記キャビティの構造を算出する請求項6に記載の誘電体多層膜フィルタの設計方法。 - 中心波長がλ0の所定の波長帯域において、所定の屈折率を有する光学基板と、
(m1λ0)/4(m1は正の奇数)の光学膜厚を有するカップリング層と、
(m2λ0)/2(m2は自然数)の光学膜厚を有するスペーサ層と、
前記スペーサ層の積層方向に沿った両側に形成され、(m3λ0)/4(m3は正の奇数)の光学膜厚を有し、互いに異なる屈折率を有する二種類の薄膜層が、交互且つ前記スペーサ層に対して対象配置されたミラー層とを備えるキャビティと、
所定の光学膜厚を有するAR(Anti-Reflection:反射防止)層と、
を備え、
前記光学基板と前記AR層の間に、前記カップリング層を介して前記キャビティが複数積層された誘電体多層膜フィルタを設計するためのコンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
前記コンピュータがアクセス可能なメモリに記憶された所定の波長光学特性に対応するターゲット光学特性を読み出す工程1と、
前記コンピュータがアクセス可能なメモリに記憶された前記誘電体多層膜フィルタの各構成要素の初期値を読み出す工程2と、
最適化法によって、前記各構成要素を最適化する工程3と、
前記コンピュータがアクセス可能なメモリに予め記憶され読み出された、屈折率の値を用いて半値幅を算出した一覧表から、前記最適化された半値幅に最も近いキャビティを選択する工程4と、
前記最適化された前記各構成要素に基づいて光学特性を計算し、前記ターゲット光学特性との誤差を算出する工程5と、
上記誤差が所定値以内になるまで、上記工程2から工程5までを繰り返す工程6と、を備え、
前記コンピュータを機能させ、所定の波長光学特性を有する誘電体多層膜フィルタを設計するプログラム。 - 信号光が出射される送信端と、請求項1から5の何れか1項に記載の誘電体多層膜フィルタが多段に配置されてなるフィルター部と、該フィルター部を透過もしくは反射された任意のチャネルの信号光を受信する受信端とからなる光アド・ドロップシステムにおいて、
前記誘電体多層膜フィルタは、各フィルターに入射される信号光が持つ分散特性もしくは群遅延特性を、各フィルターが持つ分散特性もしくは群遅延特性でキャンセルさせていることを特徴とする光アド・ドロップシステム。 - 各チャネルの信号光の分散特性もしくは群遅延特性が小さくなる順番で配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の光アド・ドロップシステム。
- 信号光を送信端から出射し、請求項1から5の何れか1項に記載の誘電体多層膜フィルタが多段に配置されてなるフィルター部で任意のチャネルの信号光を透過もしくは反射させて受信端に伝播する光アド・ドロップ方法において、各フィルターに入射される信号光が持つ分散特性もしくは群遅延特性を、前記各多層膜フィルターが持つ分散特性もしくは群遅延特性でキャンセルさせて、任意のチャネルの信号光を透過もしくは反射することを特徴とする光アド・ドロップ方法。
- 特定の波長帯域を透過させる機能、または反射させる機能、またはその両方の機能を備える誘電体多層膜型の帯域透過フィルタであって、
その膜構造は、
光学膜厚の基準となる中心波長λに対して、(1)光学膜厚がλ/4である、高屈折率材料から成る層(H)と低屈折率材料から成る層(L)とを交互に積層したミラー層と、(2)光学膜厚がλ/4の整数倍である、高屈折率材料から成る層(nH:nは自然数)と低屈折率材料から成る層(nL:nは自然数)との組合せで構成されており、全体の光学膜厚がλ/2の整数倍であるスペーサ層
で構成されていることを特徴とする誘電体多層膜フィルタ。 - 0°でない角度からの入射光に対して、特定の波長帯域を透過させる機能、または反射させる機能、またはその両方の機能を備える誘電体多層膜型の帯域透過フィルタであって、(1)光学膜厚がλ/4の奇数倍である、高屈折率材料から成る層(xH:xは奇数)と低屈折率材料から成る層(xL:xは奇数)とを交互に積層したミラー層と、(2)光学膜厚がλ/2の整数倍となるように、単層または多層で構成されたスペーサ層 (1)と(2)両方から構成されるCavityを、(3)光学膜厚がλ/4の整数倍である層を介してN個(Nは2以上の自然数)連結されており、このフィルタが使用される際に発生し得る最大入射角をψ°(0°< ψ < 90°)として、入射光が0°からψ°まで角度変化したとき、
N個の各Cavityの波長シフト量S(1)、S(2)、・・・・、S(N)の最大値と最小値との差をdとし、
0°入射時のMulti-Cavityの透過波形における、0.5dB幅をWとして、
Wに対するdの割合R、すなわちR=100×(d/W) [%] が、2%以下となっている
ことを特徴とする誘電体多層膜フィルタ。 - 複数の波長帯域を透過させる機能、または反射させる機能、またはその両方の機能を備える誘電体多層膜型の帯域透過フィルタであって、
その膜構造は、
光学膜厚の基準となる中心波長λに対して、(1)光学膜厚がλ/4の奇数倍である、高屈折率材料から成る層(H)と低屈折率材料から成る層(L)とを交互に積層したミラー層と、(2)全体の光学膜厚がλ/2の整数倍である、多層構造のスペーサ層とで構成されており、
(3) 多層構造のスペーサ層は、光学膜厚がλ/4の奇数倍である、高屈折率材料から成る層(H)と低屈折率材料から成る層(L)とを交互に積層した第2のミラー層と、全体の光学膜厚がλ/2の整数倍である、単層または多層構造の、第2のスペーサ層とで構成されていることを特徴とする誘電体多層膜フィルタ。
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