JP2004354705A - 光学バンドパスフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】3つ以上のキャビティからなり、少なくとも2種類以上の構造を有するキャビティを重ねた光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域が平坦でリップルが抑制された良好な特性を実現するフィルタ構造を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる光学バンドパスフィルタは、光学基板1上に2種類以上の異なる構造を有するキャビティ8を3段以上有するものである。そして、キャビティ8は高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層2の両側に交互に配置してなる。また、透過帯域の中心波長をλとしたときに、スペーサ層2の厚みがλ/2の整数倍である。さらに、また各キャビティ8間には低屈折率膜からなる結合層3を有する。結合層3の光学膜厚をCとしたとき、0.10λ≦C≦0.24λである結合層2と、0.26λ≦C≦0.40λである結合層3の少なくとも2層含むようにしている。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明にかかる光学バンドパスフィルタは、光学基板1上に2種類以上の異なる構造を有するキャビティ8を3段以上有するものである。そして、キャビティ8は高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層2の両側に交互に配置してなる。また、透過帯域の中心波長をλとしたときに、スペーサ層2の厚みがλ/2の整数倍である。さらに、また各キャビティ8間には低屈折率膜からなる結合層3を有する。結合層3の光学膜厚をCとしたとき、0.10λ≦C≦0.24λである結合層2と、0.26λ≦C≦0.40λである結合層3の少なくとも2層含むようにしている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体多層膜からなる光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域のリップルを低減したマルチキャビティフィルタの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信等に用いられる誘電体多層膜からなる光学バンドパスフィルタは、例えば、下記非特許文献1のp.288に記載されている全誘電体ファブリーペローエタロンを多重に結合した構成をとる。その構造は、図3に示すように光学基板31上に光学路長がλ/2の整数倍のスペーサ層32の両側に光学路長がλ/4の屈折率の異なる層34、35を交互に積層したミラー層36を重ねた構造のキャビティ38を基本構造とし、このキャビティ38間に結合層33を配置し、これを複数段重ねたものからなる。ここで、スペーサ層32の上下のミラー層36において、各屈折率膜は対称になるように配置されているため、スペーサ層32を高屈折率膜とする場合には、それに隣接する層は低屈折率膜を、スペーサ層32に低屈折率膜を用いる場合には、隣接する層に高屈折率膜を用いて積層している。またミラー層36の構成としては、隣接する層を含めて高屈折率膜と低屈折率膜の対とするか、ミラー層36に隣接する層は一層分多めに配置して残りの層について対とした、積層数2n層もしくは2n+1層(nは1以上の整数であり、各屈折率膜を意味する)としているため、前記スペーサ層の屈折率膜の種類と合わせて、膜構造としては4種の形態が考えられる。そして、フィルタの最上層には1ないし複数層からなる入射媒質への整合層37を配置している。
【0003】
このような光学バンドパスフィルタの特性としては、透過帯域内のリップルは低ければ低い程望ましい。またWDM方式で用いられる光学バンドパスフィルタには、使用されるレーザ波長の安定性や透過帯域の中心波長安定性等の要因による出力変動を回避するために、広い透過帯域を有することが望ましい。
【0004】
一方、光増幅器の帯域幅等の制限により限られた波長範囲に多数の波長の光を利用するためには、狭い波長間隔においても隣接波長の光を反射するために狭い阻止帯域幅が必要となる。広い透過帯域幅と狭い阻止帯域幅を実現するためには、透過波長から阻止波長への遷移幅が狭い、キャビティ38を多重にした構造の高次のバンドパスフィルタが必要となる。しかし、このような高次の光学バンドパスフィルタは次数が上がるほどリップルが発生しやすくなり、例えば100GHz以下の透過帯域幅の光学バンドパスフィルタでは平坦な透過帯域特性のフィルタを設計するのは難しくなる。更に、透過帯域内のリップルは、狭帯域化、入射角度の増加などの条件により大きくなりやすいため、これらの条件で使用される透過帯域が平坦なバンドパスフィルタの設計は更に難しくなる。
【0005】
尚、バンドパス光学フィルタに含まれる複数の1キャビティ型フィルタの透過波長を相互に一致させるために、1キャビティ型フィルタの最上層に付加層を設ける技術が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この従来技術は、複数の1キャビティ型フィルタのそれぞれについて透過波長の補正を行うものである。
【0006】
【非特許文献1】
H.A.Macleod著、小倉繁太郎等訳「光学薄膜」1989年11月30日、日刊工業新聞社発行、p.288
【0007】
【特許文献1】
特開2000−321420号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
3段以上のキャビティを重ねた光学バンドパスフィルタにおいて同一の構造を有するキャビティを重ねると良好な特性を得ることができないため、2種類以上の異なる構造を有するキャビティを重ねるよう構成することが行われている。例えば、透過帯域を急峻にするためにスペーサ層を厚くする場合にキャビティ毎に段階的にスペーサ層を厚くすることで特性の悪化を防止することができるため、スペーサ層の厚さの異なるキャビティを設けている。しかしながら、2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上重ねた場合にも、透過帯域のリップルの抑制は容易ではない。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上の重ねた光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域が平坦でリップルが抑制された良好な特性を実現するフィルタ構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光学基板上に2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上有する光学バンドパスフィルタであって、前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、前記各キャビティ間には低屈折率膜からなる結合層を有し、前記各キャビティ間の結合層のそれぞれの光学膜厚をCとしたとき、0.10λ≦C≦0.24λである結合層と、0.26λ≦C≦0.40λである結合層の少なくとも2層含む光学バンドパスフィルタに関するものである。前記構成とすることにより、透過帯域幅でリップルを低減し、狭帯域で挿入損失が低い光学バンドパスフィルタを提供することができる。
【0011】
また、本発明は、光学基板上に2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上有する光学バンドパスフィルタであって、前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、前記各キャビティ間には低屈折率膜からなる結合層を有し、前記各キャビティ間の結合層のそれぞれの光学膜厚をCとしたとき、少なくとも1層が0.10λ≦C≦0.24λである光学バンドパスフィルタに関するものである。このような構成とすることにより、透過帯域幅でリップルを低減し、狭帯域で挿入損失が低い光学バンドパスフィルタを提供することができる。
【0012】
そして、前記光学バンドパスフィルタにおいては、全ての結合層の光学膜厚が0.10λ≦C≦0.25λであることを好ましい態様としている。
【0013】
さらに、本発明は、光学基板上に2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上有する光学バンドパスフィルタであって、前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、前記各キャビティ間には低屈折率膜からなる結合層を有し、前記結合層に隣接する前後各2層の前記高屈折率膜と前記低屈折率膜からなる調整可能膜群のうち少なくとも1層の光学膜厚Dが0.1λ≦D≦0.24λまたは0.26λ≦D≦0.40λであり、前記調整可能膜群を少なくとも1組備える光学バンドパスフィルタに関するものである。このような構成とすることにより、透過帯域幅でリップルを低減し、狭帯域で挿入損失が低い光学バンドパスフィルタを提供することができる。
【0014】
そして、前記光学バンドパスフィルタにおいては、光学膜厚が0.10λ≦C≦0.24λまたは0.26λ≦C≦0.40λである結合層を少なくとも1層含むことを好ましい態様としている。
【0015】
また、本発明は上記各光学バンドパスフィルタにおいて、前記各キャビティを構成する低屈折率膜の厚みがλ/4の奇数倍であること、また、前記キャビティを構成する高屈折率膜の厚みが、λ/4の奇数倍であることを好ましい態様としている。
【0016】
またさらに、本発明は上記各光学バンドパスフィルタにおいて、前記光学基板の屈折率が低屈折率膜のそれと近似していることを好ましい態様としている。
【0017】
また、本発明は、光学基板上に設けられ、高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなるキャビティと、前記キャビティ間に設けられた低屈折率膜からなる結合層とを有し、少なくとも2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上備えた光学バンドパスフィルタであって、前記各キャビティ間で中心周波数がほぼ等しくなるように結合層の厚さが調整されたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の光学バンドパスフィルタの一例を示すものであり、N段のキャビティ構成による光学バンドパスフィルタの基本構造を示す図である。キャビティ8は光学膜厚がλ/2の整数倍の低屈折率膜からなるスペーサ層2と、スペーサ層2の両側に光学膜厚がλ/4の奇数倍の高屈折率膜4と低屈折率膜5を交互に配置したミラー層6を対称に組合わせた構造で構成されている。なお、図1は本発明を分かりやすくするために表した模式図であり、そのサイズ等は実際とは異なったものとしている。
【0020】
この光学バンドパスフィルタは、光学基板1上にN個のキャビティ8を低屈折率膜からなるN−1個の結合層3を用いて連結して構成されている。
【0021】
図1に示すようにキャビティ8は、光学基板1の直上を1段目キャビティ、その上を2段目キャビティ、最終段をN段目キャビティが積層されて構成されている。また、各キャビティ8を連結するのが結合層3である。なお、N段目キャビティ8の直上には、1ないし複数層からなる入射媒質への整合層7を含んでいても良く、更に、ここでは図示しないが、光学基板1と1段目キャビティとの間には、1ないし複数層からなる光学基板1への整合層を含んでいても良い。
【0022】
キャビティ8は、少なくとも2種類以上の異なる構造を有する。ここで、異なる構造には、例えば、スペーサ層2の厚さが異なる場合、ミラー層6を構成する各層の数が異なる場合、キャビティ8を構成する各層の材料が異なる場合があるが、好ましくはスペーサ層2の厚さまたはその材料が異なる場合に関する。スペーサ層2は、λ/2の整数倍の単位で厚さを異ならせることができ、その膜厚の精度は±2%以下が好ましい。また、キャビティ8は、全てのキャビティ8が互いに異なる構造を有してもよく、また一部のキャビティ8が他のキャビティ8と異なる構造を有するようにしてもよい。
【0023】
本発明のミラー層6は、上記のように低屈折率膜からなるスペーサ層2の両側に高屈折率膜4を隣接させ、各キャビティ8の最上層及び最下層も高屈折率膜4としている。従って、各ミラー層6の片側において積層数は2n+1層(nは1以上の整数)となっている。そして結合層3には低屈折率膜を配置した形態としていて、結合層3に隣接する層には高屈折率膜4が配置されている。また、結合層3を低屈折率膜とするため、積層数を2n層とし、スペーサ層2に高屈折率膜とする形態も可能である。
【0024】
本発明のフィルタは上記の構造を基本とするが、これは従来のように高屈折率膜をスペーサ層2に用いて、2n+1層の積層形態をとると結合層3も高屈折率膜となるが、この場合にはキャビティ8の対称性が崩れるため挿入損失が発生し、狭帯域で利用される光学バンドパスフィルタには適さないことが分かっている。
【0025】
なお、本発明においてミラー層6を構成する各屈折率膜の光学膜厚はλ/4の奇数倍を基本とするが、他の特性との関係でこれらを変更することも可能である。特に整合層7と接するキャビティ8最上部の複数層について膜厚をλ/4からずらすことにより調整を図ることも可能である。
【0026】
上述の構造を基本とする光学バンドパスフィルタにおいては、一部の入射光を反射させて検出する必要があるため、1.8°から2°前後斜めより光を入射させる必要がある。このように斜めに光を入射させると、垂直に光を入射させた場合よりもさらにリップルが発生することが確認されている。本発明者等は、斜め入射に起因するリップルの発生原因は以下にあると考えた。すなわち、入射光が斜めから入射する場合においては、フィルタの特性上、中心波長は短波長側にずれてくるが、そのずれ量はキャビティ8の構造により異なるため、0度入射時には一致していた各キャビティ8の中心波長の位置関係が崩れ、これがリップルに悪影響を与えることとなる。狭帯域での使用においては、微小なずれが透過特性に大きく影響するため、斜め入射における問題も大きくなってくる。
【0027】
このような問題を低減するため、光学設計において所定角度入射光が傾いた際の中心波長の短波長側へのシフト分を求め、そのシフト分だけ予めフィルタ全体の中心波長が長波長側になるよう設定するとよい。
【0028】
しかしながら、本発明者等の検討によれば、フィルタ全体の中心波長をシフトさせただけでは、リップルの低減に改善が得られないことが明らかとなった。そして、各キャビティ8が少なくとも2種類以上の異なる構造を有することに起因して、リップルが発生していることを見出した。即ち、各キャビティ8が少なくとも2種類以上の異なる構造を有する場合には、それぞれのキャビティ3の透過中心波長と入射光の入射角度との関係が異なるため、一律にフィルタ全体の中心波長をシフトさせたとしても、斜め入射する光に対する各キャビティ8の中心波長は異なったままであり、これに起因してリップルが発生するものと考えられる。そこで、本発明では、各キャビティ8に接する結合層3の厚さを調整することにより、各キャビティ8が少なくとも2種類以上の異なる構造を有することに起因するリップルの発生を抑制した。
【0029】
具体的に結合層3の厚さについて種々検討した結果、前記結合層3のそれぞれの光学膜厚をC、透過帯域の中心波長をλとしたとき、0.10λ≦C≦0.24λである結合層3と、0.26λ≦C≦0.40λである結合層3の少なくとも2層設けることによって、狭帯域の光学バンドパスフィルタで広い透過帯域幅を確保し、かつリップルを低減することができることを見出すことができた。
【0030】
上記0.10λ≦C≦0.24λである結合層3の光学膜厚は、好ましくは0.15λ≦C≦0.24λであり、0.26λ≦C≦0.40λである結合層3の光学膜厚は、好ましくは0.26λ≦C≦0.35λである。光学膜厚が0.10λよりも小さく、または、0.40λより大きくなると、遮断帯域において透過率曲線の特異点が透過帯域の近くに現れてくるため好ましくなく、一方0.24λ〜0.26λの間ではλ/4に近づいてくるため、リップル低減の効果が得られにくくなってくる。
【0031】
なお、上記点から本発明のキャビティ8の段数は少なくとも3段以上必要であり、好ましくは3段〜20段である。
【0032】
本発明の高屈折率膜の材料としては、TaxOy、TiOx、ZnS、ZnSe、GaP、InP、Si、Ge、SiGex、SiNx、SiCx、ZrOx、NbOx、YOx、CeOx、HfOx、ZrOx、およびこれらの混合材から選ばれる少なくとも1種が、低屈折率膜の材料としてはSiOx、MgF2、AlOX、SiOxCy、SiOxNy、MgOx、およびこれらの混合材から選ばれる少なくとも1種がある。なお、各屈折率膜は同種のものを用いることが好ましいが、屈折率が近似した材料であれば、一部を他の材料からなる屈折率膜に置換することも可能である。この意味で、本発明のミラー層6は3種類上の屈折率膜にも適用することができる。
【0033】
スペーサ層2、ミラー層6、結合層3のそれぞれの材料は異なっていても良い。光学基板1としては、ガラスが主に用いられるが、透明プラスチックも使用できる。基板には対称性の点から低屈折率材料が好ましいが、そうでない場合には、基板直上に整合層7を設けるのが好ましい。
【0034】
本発明の誘電体多層薄膜フィルタは、真空成膜法で作製される。真空成膜法には、真空蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法、レーザブレイション法など各種成膜法を用いることができる。真空蒸着法を用いる場合、膜質を改善するため蒸気流の一部をイオン化するとともに基板側にバイアスを印加するイオンプレーティング法、クラスタイオンビーム法、別イオン銃を用いて基板にイオンを照射するイオンアシスト蒸着法を用いると有効である。スパッタ法としては、DC反応性スパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法などがある。また、化学的気相法としては、プラズマ重合法、光アシスト気相法、熱分解法、有機金属化学気相法などがある。なお、各屈折率膜の膜厚は膜形成時の蒸着時間等を変えることで、所望の膜厚とすることができる。
【0035】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2としては、実施の形態1における基本構造の光学バンドパスフィルタにおいて、結合層3の光学厚みをCとした時に、0.10λ≦C≦0.24λである結合層3を少なくとも1層含むものである。このような構成によっても、実施の形態1と同様に斜め入射におけるリップルの悪化を抑制することが可能となる。
【0036】
本発明においては、図1における実施の形態1と同様のミラー層6、スペーサ層2を有し、その各構造を同じくするものであるため、具体的構造については説明を省略するが、各キャビティ8間に配置する全ての結合層3の光学膜厚を0.10λ≦C≦0.25λとすることが好ましい。すなわち、結合層3の光学膜厚はいずれも0.10λ≦C≦0.25λとするが、そのうち少なくとも1層の結合層3は0.10λ≦C≦0.24λの光学膜厚とすることによりさらにリップルを改善することができる。
【0037】
なお、前記0.10λ≦C≦0.24λである結合層3の光学膜厚としては、形態1と同様の理由から0.15λ≦C≦0.24λが好ましく、前記0.10λ≦C≦0.25λである結合層3の光学膜厚としては、0.15λ≦C≦0.25λが好ましい。
【0038】
(実施の形態3)
本発明は、図2に示すように実施の形態1で説明した基本構造を有する光学バンドパスフィルタにおいて、調整可能膜群を用いてリップルを改善するものである。
【0039】
すなわち、この実施の形態では、実施の形態1と同様に、各キャビティ8は低屈折率膜からなるスペーサ層2の両側に2n層もしくは2n+1層(nは1以上の整数である)の高屈折率膜4と低屈折率膜5を交互に積層してなるミラー層6を対称に組合わせて構成されている。そして、光学基板1上にN個のキャビティ8を低屈折率膜からなるN−1個の結合層3を用いて連結して構成されている。なお、この図2も本発明を分かりやすくするために表した模式図であり、そのサイズ等は実際とは異なったものとしている。また、N段目キャビティ8の直上には、1ないし複数層からなる入射媒質への整合層7を含んでいても良く、更に、ここでは図示しないが、光学基板1と1段目キャビティ8との間には、1ないし複数層からなる光学基板1への整合層を含んでいても良い。
【0040】
本発明においては、前記結合層3に隣接する前後各2層の前記高屈折率膜4と前記低屈折率膜5を調整可能膜群10とし、このうち少なくとも1層の光学膜厚Dが0.10λ≦D≦0.24λまたは0.26λ≦D≦0.40λとし、この調整可能膜群を1組以上配置することにより、リップルを低減するものである。
【0041】
リップルには実施の形態1で示したキャビティ8の中心波長のシフトのほかに、キャビティ単独で評価したときの透過帯域の半値幅及び透過率の変化が影響すると推定している。従って、結合層3の厚さを変更すると、中心波長がシフトする以外に、これらの半値幅や透過率も変化する。この形態においては、リップルを最適化するように中心波長の他に前記半値幅や透過率についても調整できるようにするものであり、上記調整可能膜群10にこの機能を持たせるため、その厚みを変更している。なお、本発明において結合層3の厚みを変更する実施の形態1あるいは2と組合わせることも可能である。
上記調整機能を持たせる層は結合層3に隣接した少なくとも前後各2層である必要があるが、3層以上を調整可能膜群とすることも可能である。
【0042】
(実施の形態4)
実施の形態1〜3は、結合層および調整可能膜群の一部または全部は0.10λ〜0.24λまたは0.26λ〜0.40λの範囲の膜厚となっているが、これらの膜は本発明で使用する膜よりλ/2もしくはλ/2の整数倍だけ厚い膜を使用しても同様の効果を得ることができる。
すなわち、実施の形態1において結合層の光学膜厚Cは、0.10λ+0.50λ・P≦C≦0.24λ+0.50λ・P(Pは0以上の整数である)である結合層と、0.26λ+0.50λ・Q≦C≦0.40+0.50λ・Q(Qは0以上の整数である)である結合層の少なくとも2層設けることによって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
同様に、実施の形態2において結合層の光学膜厚Cは、全ての結合層の膜厚を0.10λ+0.50λ・P≦C≦0.25λ+0.50λ・P(Pは0以上の整数である)とし、そのうちの少なくとも1層を0.10λ+0.50λ・Q≦C≦0.24+0.50λ・Q(Qは0以上の整数である)の光学膜厚とすることで、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3においては、調整可能膜群の少なくとも1層の光学膜厚Dを、0.10λ+0.50λ・P≦C≦0.24λ+0.50λ・P(Pは0以上の整数である)または、0.26λ+0.50λ・Q≦C≦0.40+0.50λ・Q(Qは0以上の整数である)とし、この調整膜群を1組以上配置することで、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
ただし、PまたはQを6以上の値とすると、遮断帯域において透過率曲線の特異点が透過帯域の近くに現れてくるため好ましくなく、また費用・成膜時間はP=Q=0のとき最小となるため、P=Q=0とするのが良い。
【0043】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明では設定した入射角度においてバンドパスフィルタの透過帯域の中心波長が1550nmとなるようにした。光学設計には、Thin Film Center社のEssential MacleoTM等の改良法による自動設計機能を有する市販の光学薄膜設計プログラムを利用して行った。なお、Hは光学膜厚λ/4の高屈折率膜、Lは光学膜厚λ/4の低屈折率膜を示す。実施例および比較例で説明するフィルタに用いる材料の屈折率には、H=2.1、L=1.445、空気=1、基板=1.5を用いた。
【0044】
(実施例1)
構造式1は、5段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
構造式1:基板/(HL)^6H2L H(LH)^6L(HL)^6H6L H(LH)^6L(HL)^6H8L H(LH)^6L(HL)^6H6L H(LH)^6L(HL)^6H2L H(LH)^6L
【0045】
上記構造の光学バンドパスフィルタにおいて、入射角5度での中心波長を1550nmにするため、入射角度0度では、中心波長は1552.5nmとした。このうち1段目〜4段目までの結合層と、5段目キャビティ最上部と空気への整合層を膜厚変更可能な層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各結合層の厚みの調整方法として、目標特性を1549.3〜1550.7nmの波長範囲において透過率100%とした。その結果、表1の実施例1に示す各結合層の膜厚を得た。表1に示すように、各結合層の厚みは基板側から順に0.801L(0.200λ)、1.148L(0.287λ)、0.878L(0.219λ)及び1.072L(0.268λ)である。なお、この時の高屈折率膜である5段目キャビティ最上部の膜厚は0.935Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.499Lであった。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性を図4の太線で示す。
【0046】
(比較例1)
実施例1において、全ての結合層をλ/4で固定し、5段目キャビティ最上部と空気への整合層に対して膜厚の調整を実施した。この時の高屈折率膜である5段目キャビティ最上部の膜厚は1.004Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.486Lであった。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性を図4の細線で示す。
【0047】
【表1】
【0048】
図4において本発明の実施例1と比較例1の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例1と比較して膜厚が0.10λ≦C≦0.24λである結合層と、0.26λ≦C≦0.40λである結合層をそれぞれ2層有する実施例1の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られていることが分かる。
【0049】
(実施例2)
構造式2は、4段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
構造式2:基板/(HL)^7H2L H(LH)^7L((HL)^7H6L H(LH)^7L)^2(HL)^7H2L H(LH)^7L
【0050】
実施例1と同様にして、入射角度2度で中心波長が1550nmとするため、入射角0度での中心波長を1550.47nmとした。このうち1段目と3段目の結合層と、4段目のキャビティ最上部と空気への整合層を膜厚変更可能な層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各結合層の厚みの調整方法として、目標特性を波長範囲1549.69〜1550.31nmにおいて透過率100%とした。その結果、表2の実施例2に示す各結合層の膜厚を得た。表2に示すように各結合層の厚みは、基板側から順に、0.801L(0.200λ)、L(0.250λ)及び0.795L(0.199λ)である。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は1.397Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.274Lであった。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのp偏光の分光特性は図8の太線で示す。
【0051】
(比較例2−1)
実施例2において、全ての結合層をλ/4で固定し、4段目キャビティ最上部と空気への整合層に対して膜厚の調整を実施した。この時のキャビティ最上部と整合層の厚みは高屈折率膜が1.184H、低屈折率膜が1.363Lであった。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのp偏光の分光特性を図5の細線で示す。
【0052】
(比較例2−2)
実施例2において、フィルタ各結合層の膜厚を、各キャビティを単独で設計した場合の中心波長を入射角2度で1550nmに修正されるように結合層の膜厚を調整し、それを連結したフィルタとした。この結果を表2に示す。表2に示すように各結合層の厚みは、基板側から順に、1.207L(0.302λ)、1.237L(0.309λ)、及び1.237L(0.309λ)である。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚はHであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.237Lであった。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのp偏光の分光特性は図5の破線で示す。
【0053】
【表2】
【0054】
図5において本発明の実施例2と比較例2−1の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例2−1と比較して膜厚が0.10λ≦C≦0.24λである結合層3層を有する実施例2の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られていることが分かる。また、結合層の膜厚をλ/4より厚くすることにより各キャビティの中心波長を補正した構造である比較例2−2は、リップルの改善に効果が見られないことが分かる。
【0055】
(実施例3)
構造式3は、9段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
構造式3:基板/(HL)^52H(LH)^5L(HL)^5H4 LH(LH)^5L((HL)^5H6L H(LH)^5L)^5(HL)^5H4L H(LH)^5L(HL)^52H(LH)^5L
【0056】
入射角度は0度、中心波長は1550nmとした。このうち1段目、2段目、7段目、8段目の調整可能膜群のうちの8層と、9段目キャビティ最上部と空気への整合層の計10層を膜厚変更可能な調整層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各調整可能膜群の厚みの調整方法として、目標特性を波長範囲1548.2〜1551.8nmにおいて透過率100%とした。その結果、表3の実施例3に示す各膜厚を得た。各段の結合層については下線を施している。表3に示すように調整可能膜群のうちの選択した8層の厚みは、基板側から順に1.073L(0.268λ)、0.845H(0.211λ)、1.088H(0.272λ)、0.980L(0.245λ)、1.144L(0.286λ)、0.794H(0.198λ)、1.014H(0.253λ)及び1.119H(0.280λ)である。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は0.973Hであり、低屈折率膜である整合層の膜厚は1.444Lであった。そのときの透過帯域の分光特性は図6の太線に示す。
【0057】
(比較例3)
実施例3において、全ての結合層および調整可能膜をλ/4で固定し、9段目キャビティ最上部と空気への整合層に対して膜厚の調整を実施した。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は1.299Hであり、低屈折率膜である整合層の膜厚は1.375Lであった。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのp偏光の分光特性を図6の細線で示す
【0058】
【表3】
【0059】
図6において本発明の実施例3と比較例3の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例3と比較して実施例3の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られていることが分かる。
【0060】
また、各段における調整可能膜群の計4層のうち任意の層を選択できるが、3層以上の層を指定すると遮断帯域幅が広くなりやすくなるため各段の調整可能膜群は2層以内にとどめておいた方が遮断帯域幅の広がりを抑制しやすい。また、本実施例では調整可能膜群として第1段目、第2段目、第7段目、第8段目を選択しているが、これ以外の段を指定していても良い。
【0061】
(実施例4)
構造式4は、7段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
設計構造式4:基板/(HL)^36H(LH)^3L(HL)^44H(LH)^4L((HL)^46H(LH)^4L)^3(HL)^44H(LH)^4L(HL)^36H(LH)^3L
【0062】
実施例1と同様にして、入射角度15度で中心波長を1550nmとするため、入射角0度での中心波長を1565.22nmとした。このうち1段目、2段目、5段目、6段目の結合層および各段の調整可能膜群のうちの8層および、7段目キャビティ最上部と空気への整合層について膜厚の調整層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各調整調整層の厚みの調整方法として、目標特性を1544.5〜1555.5nmの波長範囲において透過率100%とした。その結果、表4の実施例4に示す各調整層の膜厚を得た。各段の結合層については下線を施している。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は1.185Hであり、低屈折率膜である整合層の膜厚は1.315Lであった。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性を図7の太線で示す。表4に示すように結合層及び調整可能膜群のうちの選択した8層の厚みは、0.928L(0.232λ)、1.176H(0.294λ)、0.969L(0.242λ)、0.996L(0.249λ)、1.032L(0.258λ)、0.957L(0.239λ)、1.134H(0.284λ)及び1.018H(0.254λ)であった。
【0063】
【表4】
【0064】
(比較例4)
実施例4において、全ての結合層および調整可能膜をλ/4で固定し、7段目キャビティ最上部と空気への整合層に対して膜厚の調整を実施し、その結果、表4の比較例4に示す膜厚を得た。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性は図7の細線に示す。
【0065】
図7において本発明の実施例4と比較例4の透過帯域の分光特性を比較すると、結合層の光学膜厚を0.1λ≦C≦0.24λとし、調整可能膜群の各光学膜厚を0.1λ≦D≦0.24λまたは0.26λ≦D≦0.4λとして調整した実施例4は、比較例4と比較して、実施例4の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られている。
【0066】
(実施例5)
構造式5は、6段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
構造式5:基板/(HL)^8H2L H(LH)^8L(HL)^8H8L H(LH)^8L((HL)^8H10L H(LH)^8L)^2(HL)^8H8L H(LH)^8L(HL)^8H2L H(LH)^8 L
【0067】
実施例1と同様にして入射角度2度において中心波長を1550nmとするため、0度での中心波長を1550.41nmとした。このうち全ての結合層および、6段目キャビティの最上部と空気への整合層について膜厚の調整可能な層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜についてはその膜厚をλ/4に設定した。選択した各調整調整層の厚みの調整方法として、波長範囲1549.865〜1550.135nmにおいて透過率100%とした。その結果表5の実施例5に示す膜厚を得た。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は1.426Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは、1.263Lであった。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性は図8の太線に示す。表5に示すように、各結合層の厚みは、基板側から順に、0.806L(0.201λ)、1.160L(0.290λ)、0.827L(0.207λ)、1.176L(0.294λ)及び0.786L(0.196λ)である。
【0068】
【表5】
【0069】
(比較例5)
実施例5において、全ての結合層をλ/4で固定し、空気への整合層2層に対して自動設計機能を利用し膜厚の調整を実施し、その結果、表5の比較例5に示す膜厚を得た。なお、この時の高屈折率膜である6段目キャビティの最上部の膜厚は1.080Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.387Lであった。また、そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性は図8の細線の特性となった。
【0070】
本実施例は図8に示すように50GHzの狭帯域の光学バンドパスフィルタであり、図8において本発明の実施例5と比較例5の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例5と比較して実施例5の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られている。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、3つ以上のキャビティであって、少なくとも2種類以上の構造を有するキャビティを重ねた光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域が平坦でリップルが抑制された良好な特性を実現するフィルタ構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタを示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタを示す断面図である。
【図3】従来の光学バンドパスフィルタを示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1、31 光学基板
2、32 スペーサ層
3、33 結合層
4、34 高屈折率膜
5、35 低屈折率膜
6、36 ミラー層
7、37 整合層
8、38 キャビティ
10 調整可能膜群
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体多層膜からなる光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域のリップルを低減したマルチキャビティフィルタの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信等に用いられる誘電体多層膜からなる光学バンドパスフィルタは、例えば、下記非特許文献1のp.288に記載されている全誘電体ファブリーペローエタロンを多重に結合した構成をとる。その構造は、図3に示すように光学基板31上に光学路長がλ/2の整数倍のスペーサ層32の両側に光学路長がλ/4の屈折率の異なる層34、35を交互に積層したミラー層36を重ねた構造のキャビティ38を基本構造とし、このキャビティ38間に結合層33を配置し、これを複数段重ねたものからなる。ここで、スペーサ層32の上下のミラー層36において、各屈折率膜は対称になるように配置されているため、スペーサ層32を高屈折率膜とする場合には、それに隣接する層は低屈折率膜を、スペーサ層32に低屈折率膜を用いる場合には、隣接する層に高屈折率膜を用いて積層している。またミラー層36の構成としては、隣接する層を含めて高屈折率膜と低屈折率膜の対とするか、ミラー層36に隣接する層は一層分多めに配置して残りの層について対とした、積層数2n層もしくは2n+1層(nは1以上の整数であり、各屈折率膜を意味する)としているため、前記スペーサ層の屈折率膜の種類と合わせて、膜構造としては4種の形態が考えられる。そして、フィルタの最上層には1ないし複数層からなる入射媒質への整合層37を配置している。
【0003】
このような光学バンドパスフィルタの特性としては、透過帯域内のリップルは低ければ低い程望ましい。またWDM方式で用いられる光学バンドパスフィルタには、使用されるレーザ波長の安定性や透過帯域の中心波長安定性等の要因による出力変動を回避するために、広い透過帯域を有することが望ましい。
【0004】
一方、光増幅器の帯域幅等の制限により限られた波長範囲に多数の波長の光を利用するためには、狭い波長間隔においても隣接波長の光を反射するために狭い阻止帯域幅が必要となる。広い透過帯域幅と狭い阻止帯域幅を実現するためには、透過波長から阻止波長への遷移幅が狭い、キャビティ38を多重にした構造の高次のバンドパスフィルタが必要となる。しかし、このような高次の光学バンドパスフィルタは次数が上がるほどリップルが発生しやすくなり、例えば100GHz以下の透過帯域幅の光学バンドパスフィルタでは平坦な透過帯域特性のフィルタを設計するのは難しくなる。更に、透過帯域内のリップルは、狭帯域化、入射角度の増加などの条件により大きくなりやすいため、これらの条件で使用される透過帯域が平坦なバンドパスフィルタの設計は更に難しくなる。
【0005】
尚、バンドパス光学フィルタに含まれる複数の1キャビティ型フィルタの透過波長を相互に一致させるために、1キャビティ型フィルタの最上層に付加層を設ける技術が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この従来技術は、複数の1キャビティ型フィルタのそれぞれについて透過波長の補正を行うものである。
【0006】
【非特許文献1】
H.A.Macleod著、小倉繁太郎等訳「光学薄膜」1989年11月30日、日刊工業新聞社発行、p.288
【0007】
【特許文献1】
特開2000−321420号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
3段以上のキャビティを重ねた光学バンドパスフィルタにおいて同一の構造を有するキャビティを重ねると良好な特性を得ることができないため、2種類以上の異なる構造を有するキャビティを重ねるよう構成することが行われている。例えば、透過帯域を急峻にするためにスペーサ層を厚くする場合にキャビティ毎に段階的にスペーサ層を厚くすることで特性の悪化を防止することができるため、スペーサ層の厚さの異なるキャビティを設けている。しかしながら、2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上重ねた場合にも、透過帯域のリップルの抑制は容易ではない。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上の重ねた光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域が平坦でリップルが抑制された良好な特性を実現するフィルタ構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、光学基板上に2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上有する光学バンドパスフィルタであって、前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、前記各キャビティ間には低屈折率膜からなる結合層を有し、前記各キャビティ間の結合層のそれぞれの光学膜厚をCとしたとき、0.10λ≦C≦0.24λである結合層と、0.26λ≦C≦0.40λである結合層の少なくとも2層含む光学バンドパスフィルタに関するものである。前記構成とすることにより、透過帯域幅でリップルを低減し、狭帯域で挿入損失が低い光学バンドパスフィルタを提供することができる。
【0011】
また、本発明は、光学基板上に2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上有する光学バンドパスフィルタであって、前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、前記各キャビティ間には低屈折率膜からなる結合層を有し、前記各キャビティ間の結合層のそれぞれの光学膜厚をCとしたとき、少なくとも1層が0.10λ≦C≦0.24λである光学バンドパスフィルタに関するものである。このような構成とすることにより、透過帯域幅でリップルを低減し、狭帯域で挿入損失が低い光学バンドパスフィルタを提供することができる。
【0012】
そして、前記光学バンドパスフィルタにおいては、全ての結合層の光学膜厚が0.10λ≦C≦0.25λであることを好ましい態様としている。
【0013】
さらに、本発明は、光学基板上に2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上有する光学バンドパスフィルタであって、前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、前記各キャビティ間には低屈折率膜からなる結合層を有し、前記結合層に隣接する前後各2層の前記高屈折率膜と前記低屈折率膜からなる調整可能膜群のうち少なくとも1層の光学膜厚Dが0.1λ≦D≦0.24λまたは0.26λ≦D≦0.40λであり、前記調整可能膜群を少なくとも1組備える光学バンドパスフィルタに関するものである。このような構成とすることにより、透過帯域幅でリップルを低減し、狭帯域で挿入損失が低い光学バンドパスフィルタを提供することができる。
【0014】
そして、前記光学バンドパスフィルタにおいては、光学膜厚が0.10λ≦C≦0.24λまたは0.26λ≦C≦0.40λである結合層を少なくとも1層含むことを好ましい態様としている。
【0015】
また、本発明は上記各光学バンドパスフィルタにおいて、前記各キャビティを構成する低屈折率膜の厚みがλ/4の奇数倍であること、また、前記キャビティを構成する高屈折率膜の厚みが、λ/4の奇数倍であることを好ましい態様としている。
【0016】
またさらに、本発明は上記各光学バンドパスフィルタにおいて、前記光学基板の屈折率が低屈折率膜のそれと近似していることを好ましい態様としている。
【0017】
また、本発明は、光学基板上に設けられ、高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなるキャビティと、前記キャビティ間に設けられた低屈折率膜からなる結合層とを有し、少なくとも2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上備えた光学バンドパスフィルタであって、前記各キャビティ間で中心周波数がほぼ等しくなるように結合層の厚さが調整されたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の光学バンドパスフィルタの一例を示すものであり、N段のキャビティ構成による光学バンドパスフィルタの基本構造を示す図である。キャビティ8は光学膜厚がλ/2の整数倍の低屈折率膜からなるスペーサ層2と、スペーサ層2の両側に光学膜厚がλ/4の奇数倍の高屈折率膜4と低屈折率膜5を交互に配置したミラー層6を対称に組合わせた構造で構成されている。なお、図1は本発明を分かりやすくするために表した模式図であり、そのサイズ等は実際とは異なったものとしている。
【0020】
この光学バンドパスフィルタは、光学基板1上にN個のキャビティ8を低屈折率膜からなるN−1個の結合層3を用いて連結して構成されている。
【0021】
図1に示すようにキャビティ8は、光学基板1の直上を1段目キャビティ、その上を2段目キャビティ、最終段をN段目キャビティが積層されて構成されている。また、各キャビティ8を連結するのが結合層3である。なお、N段目キャビティ8の直上には、1ないし複数層からなる入射媒質への整合層7を含んでいても良く、更に、ここでは図示しないが、光学基板1と1段目キャビティとの間には、1ないし複数層からなる光学基板1への整合層を含んでいても良い。
【0022】
キャビティ8は、少なくとも2種類以上の異なる構造を有する。ここで、異なる構造には、例えば、スペーサ層2の厚さが異なる場合、ミラー層6を構成する各層の数が異なる場合、キャビティ8を構成する各層の材料が異なる場合があるが、好ましくはスペーサ層2の厚さまたはその材料が異なる場合に関する。スペーサ層2は、λ/2の整数倍の単位で厚さを異ならせることができ、その膜厚の精度は±2%以下が好ましい。また、キャビティ8は、全てのキャビティ8が互いに異なる構造を有してもよく、また一部のキャビティ8が他のキャビティ8と異なる構造を有するようにしてもよい。
【0023】
本発明のミラー層6は、上記のように低屈折率膜からなるスペーサ層2の両側に高屈折率膜4を隣接させ、各キャビティ8の最上層及び最下層も高屈折率膜4としている。従って、各ミラー層6の片側において積層数は2n+1層(nは1以上の整数)となっている。そして結合層3には低屈折率膜を配置した形態としていて、結合層3に隣接する層には高屈折率膜4が配置されている。また、結合層3を低屈折率膜とするため、積層数を2n層とし、スペーサ層2に高屈折率膜とする形態も可能である。
【0024】
本発明のフィルタは上記の構造を基本とするが、これは従来のように高屈折率膜をスペーサ層2に用いて、2n+1層の積層形態をとると結合層3も高屈折率膜となるが、この場合にはキャビティ8の対称性が崩れるため挿入損失が発生し、狭帯域で利用される光学バンドパスフィルタには適さないことが分かっている。
【0025】
なお、本発明においてミラー層6を構成する各屈折率膜の光学膜厚はλ/4の奇数倍を基本とするが、他の特性との関係でこれらを変更することも可能である。特に整合層7と接するキャビティ8最上部の複数層について膜厚をλ/4からずらすことにより調整を図ることも可能である。
【0026】
上述の構造を基本とする光学バンドパスフィルタにおいては、一部の入射光を反射させて検出する必要があるため、1.8°から2°前後斜めより光を入射させる必要がある。このように斜めに光を入射させると、垂直に光を入射させた場合よりもさらにリップルが発生することが確認されている。本発明者等は、斜め入射に起因するリップルの発生原因は以下にあると考えた。すなわち、入射光が斜めから入射する場合においては、フィルタの特性上、中心波長は短波長側にずれてくるが、そのずれ量はキャビティ8の構造により異なるため、0度入射時には一致していた各キャビティ8の中心波長の位置関係が崩れ、これがリップルに悪影響を与えることとなる。狭帯域での使用においては、微小なずれが透過特性に大きく影響するため、斜め入射における問題も大きくなってくる。
【0027】
このような問題を低減するため、光学設計において所定角度入射光が傾いた際の中心波長の短波長側へのシフト分を求め、そのシフト分だけ予めフィルタ全体の中心波長が長波長側になるよう設定するとよい。
【0028】
しかしながら、本発明者等の検討によれば、フィルタ全体の中心波長をシフトさせただけでは、リップルの低減に改善が得られないことが明らかとなった。そして、各キャビティ8が少なくとも2種類以上の異なる構造を有することに起因して、リップルが発生していることを見出した。即ち、各キャビティ8が少なくとも2種類以上の異なる構造を有する場合には、それぞれのキャビティ3の透過中心波長と入射光の入射角度との関係が異なるため、一律にフィルタ全体の中心波長をシフトさせたとしても、斜め入射する光に対する各キャビティ8の中心波長は異なったままであり、これに起因してリップルが発生するものと考えられる。そこで、本発明では、各キャビティ8に接する結合層3の厚さを調整することにより、各キャビティ8が少なくとも2種類以上の異なる構造を有することに起因するリップルの発生を抑制した。
【0029】
具体的に結合層3の厚さについて種々検討した結果、前記結合層3のそれぞれの光学膜厚をC、透過帯域の中心波長をλとしたとき、0.10λ≦C≦0.24λである結合層3と、0.26λ≦C≦0.40λである結合層3の少なくとも2層設けることによって、狭帯域の光学バンドパスフィルタで広い透過帯域幅を確保し、かつリップルを低減することができることを見出すことができた。
【0030】
上記0.10λ≦C≦0.24λである結合層3の光学膜厚は、好ましくは0.15λ≦C≦0.24λであり、0.26λ≦C≦0.40λである結合層3の光学膜厚は、好ましくは0.26λ≦C≦0.35λである。光学膜厚が0.10λよりも小さく、または、0.40λより大きくなると、遮断帯域において透過率曲線の特異点が透過帯域の近くに現れてくるため好ましくなく、一方0.24λ〜0.26λの間ではλ/4に近づいてくるため、リップル低減の効果が得られにくくなってくる。
【0031】
なお、上記点から本発明のキャビティ8の段数は少なくとも3段以上必要であり、好ましくは3段〜20段である。
【0032】
本発明の高屈折率膜の材料としては、TaxOy、TiOx、ZnS、ZnSe、GaP、InP、Si、Ge、SiGex、SiNx、SiCx、ZrOx、NbOx、YOx、CeOx、HfOx、ZrOx、およびこれらの混合材から選ばれる少なくとも1種が、低屈折率膜の材料としてはSiOx、MgF2、AlOX、SiOxCy、SiOxNy、MgOx、およびこれらの混合材から選ばれる少なくとも1種がある。なお、各屈折率膜は同種のものを用いることが好ましいが、屈折率が近似した材料であれば、一部を他の材料からなる屈折率膜に置換することも可能である。この意味で、本発明のミラー層6は3種類上の屈折率膜にも適用することができる。
【0033】
スペーサ層2、ミラー層6、結合層3のそれぞれの材料は異なっていても良い。光学基板1としては、ガラスが主に用いられるが、透明プラスチックも使用できる。基板には対称性の点から低屈折率材料が好ましいが、そうでない場合には、基板直上に整合層7を設けるのが好ましい。
【0034】
本発明の誘電体多層薄膜フィルタは、真空成膜法で作製される。真空成膜法には、真空蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法、レーザブレイション法など各種成膜法を用いることができる。真空蒸着法を用いる場合、膜質を改善するため蒸気流の一部をイオン化するとともに基板側にバイアスを印加するイオンプレーティング法、クラスタイオンビーム法、別イオン銃を用いて基板にイオンを照射するイオンアシスト蒸着法を用いると有効である。スパッタ法としては、DC反応性スパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法などがある。また、化学的気相法としては、プラズマ重合法、光アシスト気相法、熱分解法、有機金属化学気相法などがある。なお、各屈折率膜の膜厚は膜形成時の蒸着時間等を変えることで、所望の膜厚とすることができる。
【0035】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2としては、実施の形態1における基本構造の光学バンドパスフィルタにおいて、結合層3の光学厚みをCとした時に、0.10λ≦C≦0.24λである結合層3を少なくとも1層含むものである。このような構成によっても、実施の形態1と同様に斜め入射におけるリップルの悪化を抑制することが可能となる。
【0036】
本発明においては、図1における実施の形態1と同様のミラー層6、スペーサ層2を有し、その各構造を同じくするものであるため、具体的構造については説明を省略するが、各キャビティ8間に配置する全ての結合層3の光学膜厚を0.10λ≦C≦0.25λとすることが好ましい。すなわち、結合層3の光学膜厚はいずれも0.10λ≦C≦0.25λとするが、そのうち少なくとも1層の結合層3は0.10λ≦C≦0.24λの光学膜厚とすることによりさらにリップルを改善することができる。
【0037】
なお、前記0.10λ≦C≦0.24λである結合層3の光学膜厚としては、形態1と同様の理由から0.15λ≦C≦0.24λが好ましく、前記0.10λ≦C≦0.25λである結合層3の光学膜厚としては、0.15λ≦C≦0.25λが好ましい。
【0038】
(実施の形態3)
本発明は、図2に示すように実施の形態1で説明した基本構造を有する光学バンドパスフィルタにおいて、調整可能膜群を用いてリップルを改善するものである。
【0039】
すなわち、この実施の形態では、実施の形態1と同様に、各キャビティ8は低屈折率膜からなるスペーサ層2の両側に2n層もしくは2n+1層(nは1以上の整数である)の高屈折率膜4と低屈折率膜5を交互に積層してなるミラー層6を対称に組合わせて構成されている。そして、光学基板1上にN個のキャビティ8を低屈折率膜からなるN−1個の結合層3を用いて連結して構成されている。なお、この図2も本発明を分かりやすくするために表した模式図であり、そのサイズ等は実際とは異なったものとしている。また、N段目キャビティ8の直上には、1ないし複数層からなる入射媒質への整合層7を含んでいても良く、更に、ここでは図示しないが、光学基板1と1段目キャビティ8との間には、1ないし複数層からなる光学基板1への整合層を含んでいても良い。
【0040】
本発明においては、前記結合層3に隣接する前後各2層の前記高屈折率膜4と前記低屈折率膜5を調整可能膜群10とし、このうち少なくとも1層の光学膜厚Dが0.10λ≦D≦0.24λまたは0.26λ≦D≦0.40λとし、この調整可能膜群を1組以上配置することにより、リップルを低減するものである。
【0041】
リップルには実施の形態1で示したキャビティ8の中心波長のシフトのほかに、キャビティ単独で評価したときの透過帯域の半値幅及び透過率の変化が影響すると推定している。従って、結合層3の厚さを変更すると、中心波長がシフトする以外に、これらの半値幅や透過率も変化する。この形態においては、リップルを最適化するように中心波長の他に前記半値幅や透過率についても調整できるようにするものであり、上記調整可能膜群10にこの機能を持たせるため、その厚みを変更している。なお、本発明において結合層3の厚みを変更する実施の形態1あるいは2と組合わせることも可能である。
上記調整機能を持たせる層は結合層3に隣接した少なくとも前後各2層である必要があるが、3層以上を調整可能膜群とすることも可能である。
【0042】
(実施の形態4)
実施の形態1〜3は、結合層および調整可能膜群の一部または全部は0.10λ〜0.24λまたは0.26λ〜0.40λの範囲の膜厚となっているが、これらの膜は本発明で使用する膜よりλ/2もしくはλ/2の整数倍だけ厚い膜を使用しても同様の効果を得ることができる。
すなわち、実施の形態1において結合層の光学膜厚Cは、0.10λ+0.50λ・P≦C≦0.24λ+0.50λ・P(Pは0以上の整数である)である結合層と、0.26λ+0.50λ・Q≦C≦0.40+0.50λ・Q(Qは0以上の整数である)である結合層の少なくとも2層設けることによって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
同様に、実施の形態2において結合層の光学膜厚Cは、全ての結合層の膜厚を0.10λ+0.50λ・P≦C≦0.25λ+0.50λ・P(Pは0以上の整数である)とし、そのうちの少なくとも1層を0.10λ+0.50λ・Q≦C≦0.24+0.50λ・Q(Qは0以上の整数である)の光学膜厚とすることで、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3においては、調整可能膜群の少なくとも1層の光学膜厚Dを、0.10λ+0.50λ・P≦C≦0.24λ+0.50λ・P(Pは0以上の整数である)または、0.26λ+0.50λ・Q≦C≦0.40+0.50λ・Q(Qは0以上の整数である)とし、この調整膜群を1組以上配置することで、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
ただし、PまたはQを6以上の値とすると、遮断帯域において透過率曲線の特異点が透過帯域の近くに現れてくるため好ましくなく、また費用・成膜時間はP=Q=0のとき最小となるため、P=Q=0とするのが良い。
【0043】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明では設定した入射角度においてバンドパスフィルタの透過帯域の中心波長が1550nmとなるようにした。光学設計には、Thin Film Center社のEssential MacleoTM等の改良法による自動設計機能を有する市販の光学薄膜設計プログラムを利用して行った。なお、Hは光学膜厚λ/4の高屈折率膜、Lは光学膜厚λ/4の低屈折率膜を示す。実施例および比較例で説明するフィルタに用いる材料の屈折率には、H=2.1、L=1.445、空気=1、基板=1.5を用いた。
【0044】
(実施例1)
構造式1は、5段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
構造式1:基板/(HL)^6H2L H(LH)^6L(HL)^6H6L H(LH)^6L(HL)^6H8L H(LH)^6L(HL)^6H6L H(LH)^6L(HL)^6H2L H(LH)^6L
【0045】
上記構造の光学バンドパスフィルタにおいて、入射角5度での中心波長を1550nmにするため、入射角度0度では、中心波長は1552.5nmとした。このうち1段目〜4段目までの結合層と、5段目キャビティ最上部と空気への整合層を膜厚変更可能な層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各結合層の厚みの調整方法として、目標特性を1549.3〜1550.7nmの波長範囲において透過率100%とした。その結果、表1の実施例1に示す各結合層の膜厚を得た。表1に示すように、各結合層の厚みは基板側から順に0.801L(0.200λ)、1.148L(0.287λ)、0.878L(0.219λ)及び1.072L(0.268λ)である。なお、この時の高屈折率膜である5段目キャビティ最上部の膜厚は0.935Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.499Lであった。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性を図4の太線で示す。
【0046】
(比較例1)
実施例1において、全ての結合層をλ/4で固定し、5段目キャビティ最上部と空気への整合層に対して膜厚の調整を実施した。この時の高屈折率膜である5段目キャビティ最上部の膜厚は1.004Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.486Lであった。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性を図4の細線で示す。
【0047】
【表1】
【0048】
図4において本発明の実施例1と比較例1の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例1と比較して膜厚が0.10λ≦C≦0.24λである結合層と、0.26λ≦C≦0.40λである結合層をそれぞれ2層有する実施例1の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られていることが分かる。
【0049】
(実施例2)
構造式2は、4段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
構造式2:基板/(HL)^7H2L H(LH)^7L((HL)^7H6L H(LH)^7L)^2(HL)^7H2L H(LH)^7L
【0050】
実施例1と同様にして、入射角度2度で中心波長が1550nmとするため、入射角0度での中心波長を1550.47nmとした。このうち1段目と3段目の結合層と、4段目のキャビティ最上部と空気への整合層を膜厚変更可能な層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各結合層の厚みの調整方法として、目標特性を波長範囲1549.69〜1550.31nmにおいて透過率100%とした。その結果、表2の実施例2に示す各結合層の膜厚を得た。表2に示すように各結合層の厚みは、基板側から順に、0.801L(0.200λ)、L(0.250λ)及び0.795L(0.199λ)である。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は1.397Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.274Lであった。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのp偏光の分光特性は図8の太線で示す。
【0051】
(比較例2−1)
実施例2において、全ての結合層をλ/4で固定し、4段目キャビティ最上部と空気への整合層に対して膜厚の調整を実施した。この時のキャビティ最上部と整合層の厚みは高屈折率膜が1.184H、低屈折率膜が1.363Lであった。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのp偏光の分光特性を図5の細線で示す。
【0052】
(比較例2−2)
実施例2において、フィルタ各結合層の膜厚を、各キャビティを単独で設計した場合の中心波長を入射角2度で1550nmに修正されるように結合層の膜厚を調整し、それを連結したフィルタとした。この結果を表2に示す。表2に示すように各結合層の厚みは、基板側から順に、1.207L(0.302λ)、1.237L(0.309λ)、及び1.237L(0.309λ)である。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚はHであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.237Lであった。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのp偏光の分光特性は図5の破線で示す。
【0053】
【表2】
【0054】
図5において本発明の実施例2と比較例2−1の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例2−1と比較して膜厚が0.10λ≦C≦0.24λである結合層3層を有する実施例2の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られていることが分かる。また、結合層の膜厚をλ/4より厚くすることにより各キャビティの中心波長を補正した構造である比較例2−2は、リップルの改善に効果が見られないことが分かる。
【0055】
(実施例3)
構造式3は、9段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
構造式3:基板/(HL)^52H(LH)^5L(HL)^5H4 LH(LH)^5L((HL)^5H6L H(LH)^5L)^5(HL)^5H4L H(LH)^5L(HL)^52H(LH)^5L
【0056】
入射角度は0度、中心波長は1550nmとした。このうち1段目、2段目、7段目、8段目の調整可能膜群のうちの8層と、9段目キャビティ最上部と空気への整合層の計10層を膜厚変更可能な調整層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各調整可能膜群の厚みの調整方法として、目標特性を波長範囲1548.2〜1551.8nmにおいて透過率100%とした。その結果、表3の実施例3に示す各膜厚を得た。各段の結合層については下線を施している。表3に示すように調整可能膜群のうちの選択した8層の厚みは、基板側から順に1.073L(0.268λ)、0.845H(0.211λ)、1.088H(0.272λ)、0.980L(0.245λ)、1.144L(0.286λ)、0.794H(0.198λ)、1.014H(0.253λ)及び1.119H(0.280λ)である。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は0.973Hであり、低屈折率膜である整合層の膜厚は1.444Lであった。そのときの透過帯域の分光特性は図6の太線に示す。
【0057】
(比較例3)
実施例3において、全ての結合層および調整可能膜をλ/4で固定し、9段目キャビティ最上部と空気への整合層に対して膜厚の調整を実施した。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は1.299Hであり、低屈折率膜である整合層の膜厚は1.375Lであった。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのp偏光の分光特性を図6の細線で示す
【0058】
【表3】
【0059】
図6において本発明の実施例3と比較例3の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例3と比較して実施例3の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られていることが分かる。
【0060】
また、各段における調整可能膜群の計4層のうち任意の層を選択できるが、3層以上の層を指定すると遮断帯域幅が広くなりやすくなるため各段の調整可能膜群は2層以内にとどめておいた方が遮断帯域幅の広がりを抑制しやすい。また、本実施例では調整可能膜群として第1段目、第2段目、第7段目、第8段目を選択しているが、これ以外の段を指定していても良い。
【0061】
(実施例4)
構造式4は、7段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
設計構造式4:基板/(HL)^36H(LH)^3L(HL)^44H(LH)^4L((HL)^46H(LH)^4L)^3(HL)^44H(LH)^4L(HL)^36H(LH)^3L
【0062】
実施例1と同様にして、入射角度15度で中心波長を1550nmとするため、入射角0度での中心波長を1565.22nmとした。このうち1段目、2段目、5段目、6段目の結合層および各段の調整可能膜群のうちの8層および、7段目キャビティ最上部と空気への整合層について膜厚の調整層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各調整調整層の厚みの調整方法として、目標特性を1544.5〜1555.5nmの波長範囲において透過率100%とした。その結果、表4の実施例4に示す各調整層の膜厚を得た。各段の結合層については下線を施している。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は1.185Hであり、低屈折率膜である整合層の膜厚は1.315Lであった。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性を図7の太線で示す。表4に示すように結合層及び調整可能膜群のうちの選択した8層の厚みは、0.928L(0.232λ)、1.176H(0.294λ)、0.969L(0.242λ)、0.996L(0.249λ)、1.032L(0.258λ)、0.957L(0.239λ)、1.134H(0.284λ)及び1.018H(0.254λ)であった。
【0063】
【表4】
【0064】
(比較例4)
実施例4において、全ての結合層および調整可能膜をλ/4で固定し、7段目キャビティ最上部と空気への整合層に対して膜厚の調整を実施し、その結果、表4の比較例4に示す膜厚を得た。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性は図7の細線に示す。
【0065】
図7において本発明の実施例4と比較例4の透過帯域の分光特性を比較すると、結合層の光学膜厚を0.1λ≦C≦0.24λとし、調整可能膜群の各光学膜厚を0.1λ≦D≦0.24λまたは0.26λ≦D≦0.4λとして調整した実施例4は、比較例4と比較して、実施例4の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られている。
【0066】
(実施例5)
構造式5は、6段のキャビティからなるバンドパスフィルタの構造式である。
構造式5:基板/(HL)^8H2L H(LH)^8L(HL)^8H8L H(LH)^8L((HL)^8H10L H(LH)^8L)^2(HL)^8H8L H(LH)^8L(HL)^8H2L H(LH)^8 L
【0067】
実施例1と同様にして入射角度2度において中心波長を1550nmとするため、0度での中心波長を1550.41nmとした。このうち全ての結合層および、6段目キャビティの最上部と空気への整合層について膜厚の調整可能な層として選択し、前記以外のミラー層を構成する各膜についてはその膜厚をλ/4に設定した。選択した各調整調整層の厚みの調整方法として、波長範囲1549.865〜1550.135nmにおいて透過率100%とした。その結果表5の実施例5に示す膜厚を得た。なお、この時の高屈折率膜であるキャビティ最上部の膜厚は1.426Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは、1.263Lであった。そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性は図8の太線に示す。表5に示すように、各結合層の厚みは、基板側から順に、0.806L(0.201λ)、1.160L(0.290λ)、0.827L(0.207λ)、1.176L(0.294λ)及び0.786L(0.196λ)である。
【0068】
【表5】
【0069】
(比較例5)
実施例5において、全ての結合層をλ/4で固定し、空気への整合層2層に対して自動設計機能を利用し膜厚の調整を実施し、その結果、表5の比較例5に示す膜厚を得た。なお、この時の高屈折率膜である6段目キャビティの最上部の膜厚は1.080Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.387Lであった。また、そのときの透過帯域でのp偏光の分光特性は図8の細線の特性となった。
【0070】
本実施例は図8に示すように50GHzの狭帯域の光学バンドパスフィルタであり、図8において本発明の実施例5と比較例5の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例5と比較して実施例5の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、良好な透過帯域特性が得られている。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、3つ以上のキャビティであって、少なくとも2種類以上の構造を有するキャビティを重ねた光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域が平坦でリップルが抑制された良好な特性を実現するフィルタ構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタを示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタを示す断面図である。
【図3】従来の光学バンドパスフィルタを示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態における光学バンドパスフィルタの透過帯域での分光特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1、31 光学基板
2、32 スペーサ層
3、33 結合層
4、34 高屈折率膜
5、35 低屈折率膜
6、36 ミラー層
7、37 整合層
8、38 キャビティ
10 調整可能膜群
Claims (9)
- 光学基板上に少なくとも2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上備えた光学バンドパスフィルタであって、
前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、
透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、
前記各キャビティ間には低屈折率膜からなる結合層を有し、
前記各キャビティ間の結合層のそれぞれの光学膜厚をCとしたとき、0.10λ≦C≦0.24λである結合層と、0.26λ≦C≦0.40λである結合層の少なくとも2層含むことを特徴とする光学バンドパスフィルタ。 - 光学基板上に少なくとも2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上有する光学バンドパスフィルタであって、
前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、
透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、
前記各キャビティ間には低屈折率膜からなる結合層を有し、
前記各キャビティ間の結合層のそれぞれの光学膜厚をCとしたとき、少なくとも1層が0.10λ≦C≦0.24λであることを特徴とする光学バンドパスフィルタ。 - 請求項2記載の光学バンドパスフィルタにおいて、全ての結合層の光学膜厚が0.10λ≦C≦0.25λであることを特徴とする請求項2記載の光学バンドパスフィルタ。
- 光学基板上に少なくとも2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上有する光学バンドパスフィルタであって、
前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、
透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、
前記各キャビティ間には低屈折率膜からなる結合層を有し、
前記結合層に隣接する前後各2層の前記高屈折率膜と前記低屈折率膜からなる調整可能膜群のうち少なくとも1層の光学膜厚Dが0.10λ≦D≦0.24λまたは0.26λ≦D≦0.40λであり、
前記調整可能膜群を少なくとも1組備えることを特徴とする光学バンドパスフィルタ。 - 光学膜厚が0.10λ≦C≦0.24λまたは0.26λ≦C≦0.40λである結合層を少なくとも1層含むことを特徴とする請求項4記載の光学バンドパスフィルタ。
- 前記キャビティを構成する各低屈折率膜の厚みが、λ/4の奇数倍であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の光学バンドフィルタ。
- 前記キャビティを構成する各高屈折率膜の厚みが、λ/4の奇数倍であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の光学バンドフィルタ。
- 前記光学基板の屈折率が低屈折率膜のそれと近似していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学バンドフィルタ。
- 光学基板上に設けられ、高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなるキャビティと、前記キャビティ間に設けられた低屈折率膜からなる結合層とを有し、少なくとも2種類以上の異なる構造を有するキャビティを3段以上備えた光学バンドパスフィルタであって、
前記各キャビティ間で中心周波数がほぼ等しくなるように結合層の厚さが調整された光学バンドパスフィルタ。
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