JP2005195731A - 光学バンドパスフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】
光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域が平坦でリップルが抑制された良好な特性を実現するフィルタ構造を提供すること。
【解決手段】
本発明にかかる光学バンドパスフィルタは、光学基板1上にキャビティ8をN段備え、キャビティ8は高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜4、5をスペーサ層2の両側に交互に配置している。このとき、透過帯域の中心波長をλとしたときに、スペーサ層2の厚みがλ/2の整数倍である。各キャビティ8間に低屈折率膜からなる結合層3を有する。光学基板1の屈折率は低屈折率層5よりも高く、かつ、高屈折率層4より低くした。さらに、光学基板1の直上の層を高屈折率層4とし、光学基板1から数えて3〜N−2段目のスペーサ層2の厚さは2種類からなり、奇数段目に位置するスペーサ層2の膜厚が偶数段目に位置するスペーサ層2よりも0.5λ以上厚くした。
【選択図】 図1
光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域が平坦でリップルが抑制された良好な特性を実現するフィルタ構造を提供すること。
【解決手段】
本発明にかかる光学バンドパスフィルタは、光学基板1上にキャビティ8をN段備え、キャビティ8は高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜4、5をスペーサ層2の両側に交互に配置している。このとき、透過帯域の中心波長をλとしたときに、スペーサ層2の厚みがλ/2の整数倍である。各キャビティ8間に低屈折率膜からなる結合層3を有する。光学基板1の屈折率は低屈折率層5よりも高く、かつ、高屈折率層4より低くした。さらに、光学基板1の直上の層を高屈折率層4とし、光学基板1から数えて3〜N−2段目のスペーサ層2の厚さは2種類からなり、奇数段目に位置するスペーサ層2の膜厚が偶数段目に位置するスペーサ層2よりも0.5λ以上厚くした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、誘電体多層膜からなる光学バンドパスフィルタにおいて、良好な透過帯域の特性を実現できるマルチキャビティフィルタの構造に関する。
光通信等に用いられる誘電体多層膜からなる光学バンドパスフィルタは、例えば、下記非特許文献1のp.288に記載されている全誘電体ファブリーペローエタロンを多重に結合した構成をとる。その構造は、図2に示すように光学基板31上に光学路長がλ/2の整数倍のスペーサ層32の両側に光学路長がλ/4の屈折率の異なる層34、35を交互に積層したミラー層36を重ねた構造のキャビティ38を基本構造とし、このキャビティ38間に結合層33を配置し、これを複数段重ねたものからなる。
ここで、スペーサ層32の上下のミラー層36において、各屈折率膜は対称になるように配置されているため、スペーサ層32を高屈折率膜とする場合には、それに隣接する層は低屈折率膜を、スペーサ層32を低屈折率膜とする場合には、それに隣接する層は高屈折率膜を用いて積層している。またミラー層36の構成としては、隣接する層を含めて高屈折率膜と低屈折率膜の対とするか、ミラー層36に隣接する層は一層分多めに配置して残りの層について対とした、積層数2n層もしくは2n+1層(nは1以上の整数であり、各屈折率膜を意味する)としているため、前記スペーサ層32の屈折率膜の種類と合わせて、膜構造としては4種の形態が考えられる。そして、フィルタの最上層には1ないし複数層からなる入射媒質への整合層37を配置している。
近年、近・中距離の伝送を低コストで行う通信方式として、透過帯域の幅を広くすることによりレーザ光源の温度管理を不要としたCWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing)方式が注目されている。CWDM方式において使用するフィルタは、透過帯域幅が10nm以上と広く、透過帯域から阻止帯域への急峻な遷移幅を実現するために6以上のキャビティを積層したバンドパスフィルタが使用される。
このようなバンドパスフィルタを設計する場合、透過帯域は広いものの、6キャビティ以上という高次のバンドパスフィルタとなるため、リップルが発生しやすくなり、良好な透過帯域特性を実現できる膜構成は大きな制約を受ける。更に、透過帯域幅が10nm以上と広いため、その制約の中でバンド幅を広げようと膜構成を変更するとバンド幅の変化が大きくなるために、要求されるバンド幅のフィルタの設計が難しい場合が発生していた。
H.A.Macleod著、小倉繁太郎等訳「光学薄膜」1989年11月30日、日刊工業新聞社発行、p.288
H.A.Macleod著、小倉繁太郎等訳「光学薄膜」1989年11月30日、日刊工業新聞社発行、p.288
光学バンドパスフィルタを設計する場合、バンド幅の調整は主にスペーサ層の膜厚を変更することにより行うが、その膜厚は通常0.5λの整数倍単位という離散的な値で変化させることしかできない。一方6キャビティ以上のバンドパスフィルタにおいては、リップルが抑制された良好な透過特性を実現するスペーサ層の組み合わせには大きな制約がある。従ってバンド幅の調整単位も離散的な値をとることになるため、要求されたバンド幅のフィルタの設計が難しい場合が発生する。
従来、6段以上のキャビティを有するバンドパスフィルタのキャビティ数をNとしたとき、3〜N−2段目キャビティのスペーサ層には同じ膜厚を使用することが多かった。一部のスペーサ層の膜厚を0.5λ増減させるとバンド幅を少し変化させることはできるが、多くの場合透過帯域の特性は大きく劣化してしまうため、良好な透過帯域の特性を有するフィルタのバンド幅の調整は難しく、透過帯域の特性の劣化が少ないスペーサ層の組み合わせを試行錯誤で調べていた。
膜の屈折率を自由に制御することが可能ならバンド幅の調整は可能ではあるが、一方で安定した品質のフィルタを継続的に提供するためには、フィルタ製造時の成膜条件は一定に保つ必要があるため、膜の屈折率を自由に制御することは難しい。
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、光学基板の直上の層が高屈折率層の場合において、3〜N−2段目のキャビティの隣接するスペーサ層の膜厚を異なる組み合わせとしても透過帯域の特性の劣化が少ないフィルタ構造を提供することにより、光学バンドパスフィルタのバンド幅の設計の自由度を高めることにある。
本発明は、光学基板上にキャビティをN段備え、前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、前記各キャビティ間に低屈折率膜からなる結合層を有する光学バンドパスフィルタにおいて、前記光学基板の屈折率は低屈折率層よりも高く、かつ、高屈折率層より低く、前記光学基板の直上の層は高屈折率層であり、前記光学基板から数えて3〜N−2段目のスペーサ層の厚さは2種類からなり、前記3〜N−2段目のスペーサ層において奇数段目に位置するスペーサ層の膜厚が偶数段目に位置するスペーサ層の膜厚よりも0.5λ以上厚いことを特徴とするものである。
好適な実施の形態において、上記Nは7以上の奇数であり、特に、光学基板から数えて2段目のスペーサ層の膜厚とN−1段目のスペーサ層の膜厚が等しいことが望まれる。
また、Nは6以上の偶数であり、特に、光学基板から数えてN−1段目のスペーサ層の膜厚を2段目のスペーサ層の膜厚よりも0.5λ以上厚くしてもよい。
さらに、上述の光学バンドパスフィルタにおいて、前記結合層の厚さをCとし、PおよびQを0以上の整数としたとき、少なくとも2層の前記結合層の厚さが0.1λ+0.5・P≦C≦0.24λ+0.5・P、または、0.26λ+0.5・Q≦C≦0.4λ+0.5・Qであることが好ましい。
本発明によれば、光学バンドパスフィルタにおいて、透過帯域が平坦でリップルが抑制された良好な特性を実現するフィルタ構造を提供することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明では、特に光学基板の直上の層が高屈折率層である。
(実施の形態1)
図1は本発明の光学バンドパスフィルタの一例を示すものであり、N段のキャビティ構成による光学バンドパスフィルタの基本構造を示す図である。キャビティ8は光学膜厚がλ/2の整数倍の低屈折率膜からなるスペーサ層2と、スペーサ層2の両側に光学膜厚がλ/4の奇数倍の高層折率膜4と低屈折率膜5を交互に配置したミラー層6を対称に組み合わせた構造で構成されている。なお、図1は本発明を分かりやすくするために表した模式図であり、そのサイズ等は実際とは異なったものとしている。
(実施の形態1)
図1は本発明の光学バンドパスフィルタの一例を示すものであり、N段のキャビティ構成による光学バンドパスフィルタの基本構造を示す図である。キャビティ8は光学膜厚がλ/2の整数倍の低屈折率膜からなるスペーサ層2と、スペーサ層2の両側に光学膜厚がλ/4の奇数倍の高層折率膜4と低屈折率膜5を交互に配置したミラー層6を対称に組み合わせた構造で構成されている。なお、図1は本発明を分かりやすくするために表した模式図であり、そのサイズ等は実際とは異なったものとしている。
この光学バンドパスフィルタは、光学基板1上にN個のキャビティ8を低屈折率膜からなるN−1個の結合層3を用いて連結して構成されている。
図1に示すようにキャビティ8は、光学基板1の直上を1段目キャビティ、その上を2段目キャビティ、最終段をN段目キャビティが積層されて構成されている。また、各キャビティ8を連結するのが結合層3である。なお、N段目キャビティ8の直上には、1ないし複数層からなる入射媒質への整合層7を含んでいても良い。
キャビティ8は、少なくとも2種類以上の異なる構造を有する。ここで、異なる構造には、例えば、スペーサ層2の厚さが異なる場合、ミラー層6を構成する各層の数が異なる場合、キャビティ8を構成する各層の材料が異なる場合があるが、好ましくはスペーサ層2の厚さまたはその材料が異なる場合に関する。スペーサ層2は、λ/2の整数倍の単位で厚さを異ならせることができ、その膜厚の精度は±2%以下が好ましい。また、キャビティ8は、全てのキャビティ8が互いに異なる構造を有してもよく、また一部のキャビティ8が他のキャビティ8と異なる構造を有するようにしてもよい。
本発明のミラー層6は、上記のように低屈折率膜からなるスペーサ層2の両側に高屈折率膜4を隣接させ、各キャビティ8の最上層及び最下層も高屈折率膜4としている。従って、最下層のキャビティ8の基板に接する層は高屈折率膜となっていて、各ミラー層6の片側において積層数は2m+1層(mは1以上の整数)となっている。そして結合層3には低屈折率膜を配置した形態としていて、結合層3に隣接する層には高屈折率膜4が配置されている。また、結合層3を低屈折率膜とするため、ミラー層6の積層数を2m層とし、スペーサ層2に高屈折率膜とする形態も可能である。
本発明のフィルタは上記の構造を基本とするが、これは従来のように高屈折率膜をスペーサ層2に用いて、2m+1層の積層形態をとると結合層3も高屈折率膜となるが、この場合にはキャビティ8の対称性が崩れるため挿入損失が発生し、狭帯域で利用される光学バンドパスフィルタには適さないことが分かっている。
なお、本発明においてミラー層6を構成する各屈折率膜の光学膜厚はλ/4の奇数倍を基本とするが、他の特性との関係でこれらを変更することも可能である。特に整合層7と接するキャビティ8最上部の複数層について膜厚をλ/4からずらすことにより調整を図ることも可能である。
上述の構造を基本とする光学バンドパスフィルタにおいて、6キャビティ以上を積層した構成においては、3〜N−2段目のキャビティのスペーサ層を同じ厚さにすると良好な透過帯域の特性が得られると考えられている。これは、3〜N−2段目のキャビティのアドミッタンスをできるだけ一定に保っておくと、良好な透過帯域の特性が得られやすいのではないかとの推定に基づくものである。
一方、上記光学バンドパスフィルタの第3および第4キャビティのスペーサ層のアドミッタンス図を描くと図3に示すように第4キャビティのスペーサ層2の直径が奇数段目よりも大きくなっている。
このように、光学基板1の直上に成膜する膜がλ/4の高屈折率膜であり、光学基板1の屈折率が低屈折率膜5よりも高く高屈折率膜4より低い場合には、同じ層数のミラー層6を積層しても、偶数段目キャビティのスペーサ層2の方が奇数段目と比較してアドミッタンス図の軌跡の直径は大きくなっていることがわかる。そこで本発明者らは、アドミッタンス図の直径が大きい方が単独のバンドパスフィルタとして使用した場合バンド幅を狭くすることができるので偶数段目のスペーサ層2を奇数段目よりも0.5λ薄い構成としても両者の実効的なアドミッタンスの差を小さく抑えることができるため、3〜N−2段目のキャビティのアドミッタンスの変化を小さく保つことが可能となり、透過帯域の特性の劣化を抑えることができるのではないかと考えた。
具体的に各キャビティのスペーサ層2の厚さについて種々の検討を行った結果、光学基板1から数えて3〜N−2段目のスペーサ層2の厚さを2種類とし、偶数段目に位置するスペーサ層2の膜厚を奇数段目に位置するスペーサ層2よりも0.5λ以上薄くした。即ち、奇数段目に位置するスペーサ層2の膜厚を偶数段目に位置するスペーサ層2よりも0.5λ以上厚くした。なお、スペーサ層2の厚さは、λ/2の整数倍であるので、その差もλ/2の整数倍となり、0.5λ以上が好ましく、基板と低屈折率膜の屈折率差を考慮すると4λ以下とするのがよく、0.5λ以上2λ以下がより好ましい。
さらに、Nが7以上の奇数である場合には、光学基板1から数えて2段目のスペーサ層2の膜厚とN−1段目のスペーサ層の膜厚を等しくすると、さらに良好な通過帯域の特性が得られた。また、Nが6以上の偶数である場合には、光学基板1から数えてN−1段目のスペーサ層2の膜厚を2段目のスペーサ層2の膜厚よりも0.5λ以上厚くすることにより、良好な通過帯域の特性が得られた。
さらに、結合層3の厚さをCとし、PおよびQを0以上の整数としたとき、少なくとも2層の結合層3の厚さが0.1λ+0.5・P≦C≦0.24λ+0.5・P、または、0.26λ+0.5・Q≦C≦0.4λ+0.5・Qであることが好ましいことが判明した。また、前記結合層3と隣接するキャビティの高屈折率層の厚さを同様の範囲で調整することがさらに好ましい。
なお、光学基板1と低屈折率膜5の屈折率差が大きいときは、アドミッタンス図において偶数段目と奇数段目のスペーサ層の軌跡の直径の差は大きくなるため、スペーサ層2の厚さの差は0.5λより大きくした方がよい。
本発明においては、キャビティ8の段数は少なくとも6段以上必要であり、好ましくは6段〜20段である。より好ましくは6段〜13段である。
本発明の高屈折率膜の材料としては、TaxOy、TiOx、ZnS、ZnSe、GaP、InP、Si、Ge、SiGex、SiNx、SiCx、ZrOx、NbOx、YOx、CeOx、HfOx、ZrOx、およびこれらの混合材から選ばれる少なくとも1種が、低屈折率膜の材料としてはSiOx、MgF2、AlOx、SiOxCy、SiOxNy、MgOx、およびこれらの混合材から選ばれる少なくとも1種がある。なお、各屈折率膜は同種のものを用いることが好ましいが、屈折率が近似した材料であれば、一部を他の材料からなる屈折率膜に置換することも可能である。この意味で、本発明のミラー層6は3種類上の屈折率膜にも適用することができる。
スペーサ層2、ミラー層6、結合層3のそれぞれの材料は異なっていても良い。光学基板1としては、ガラスが主に用いられるが、透明プラスチックも使用できる。光学基板1には対称性の点から低屈折率材料が好ましい。
本発明の誘電体多層薄膜フィルタは、真空成膜法で作製される。真空成膜法には、真空蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法、レーザブレイション法など各種成膜法を用いることができる。真空蒸着法を用いる場合、膜質を改善するため蒸気流の一部をイオン化するとともに基板側にバイアスを印加するイオンプレーティング法、クラスタイオンビーム法、別イオン銃を用いて基板にイオンを照射するイオンアシスト蒸着法を用いると有効である。スパッタ法としては、DC反応性スパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法などがある。また、化学的気相法としては、プラズマ重合法、光アシスト気相法、熱分解法、有機金属化学気相法などがある。なお、各屈折率膜の膜厚は膜形成時の蒸着時間等を変えることで、所望の膜厚とすることができる。
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明では設定した入射角度においてバンドパスフィルタの透過帯域の中心波長が1550nmとなるようにした。なお、Hは光学膜原λ/4の高屈折率膜、Lは光学膜厚λ/4の低屈折率膜を示す。実施例および比較例で説明するフィルタに用いる材料の屈折率には、H=2.1、L=1.445、空気=1、基板=1.5を用いた。
(実施例1)
構造式1は、基板直上に高屈折率膜を配置した7段のキャビティからなるバンドパスフィルタの基本となる構造式である。
構造式1は、基板直上に高屈折率膜を配置した7段のキャビティからなるバンドパスフィルタの基本となる構造式である。
構造式1:基板/(HL)^5 2H (LH)^5 L (HL)^5 6H (LH)^5 L ((HL)^5 8H (LH)^5 L)^3 (HL)^5 6H (LH)^5 L (HL)^5 2H (LH)^5 L
入射角5度での中心波長を1550nmにするため、入射角度0度では、中心波長は1551.6nmとした。上記構造の光学バンドパスフィルタにおいて、バンド幅を狭くするために3〜5段目キャビティのスペーサ層を10Hと8Hの組み合わせに変更し、リップルを低減するために整合層を調整した結果、構造式2を得た。
構造式2:基板/(HL)^5 2H (LH)^5 L (HL)^5 6H (LH)^5 L (HL)^5 10H (LH)^5 L (HL)^5 8H (LH)^5 L (HL)^5 10H (LH)^5 L (HL)^5 6H (LH)^5 L (HL)^5 2H (LH)^5 0.422H 1.288L
表1に示すように、構造式2の各スペーサ層の厚みは基板側から順に2H、6H、10H、8H、10H、6H、2Hである。そのときの透過帯域でのP偏光の分光特性を図4の太線で示す。
(比較例1)
実施例1において、4・5段目キャビティのスペーサ層をそれぞれ10H・8Hに変更し、各キャビティのスペーサ層の膜厚を表1に示す値とした。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのP偏光の分光特性を図4の細線で示す。
実施例1において、4・5段目キャビティのスペーサ層をそれぞれ10H・8Hに変更し、各キャビティのスペーサ層の膜厚を表1に示す値とした。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのP偏光の分光特性を図4の細線で示す。
図4において本発明の実施例1と比較例1の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例1と比較して3〜5段目キャビティのスペーサ層の膜厚に奇数段目を10H、偶数段目を8Hとし、2・6段目のスペーサ層を同じ膜厚にした実施例1の方が、明らかに良好な透過帯域特性が得られていることが分かる。
(実施例2)
構造式3は、基板直上に高屈折率膜を配置した8段のキャビティからなるバンドパスフィルタの基本となる構造式である。
構造式3は、基板直上に高屈折率膜を配置した8段のキャビティからなるバンドパスフィルタの基本となる構造式である。
構造式3:基板/(HL)^3 H 2L H(LH)^3 L (HL)^3 H 6L H (LH)^3 L ((HL)^3 H 8L H (LH)^3 L)^4 (HL)^3 H 6L H (LH)^3 L (HL)^2 H 8L H (LH)^2 L
入射角2度での中心波長を1550nmにするため、入射角度0度では、中心波長は1551.37nmとした。上記構造の光学バンドパスフィルタにおいて、バンド幅を狭くするために3〜6段目キャビティのスペーサ層を10Lと8Lの組み合わせに、7段目のスペーサ層を8Lに変更し、整合層を調整した結果、構造式4を得た。
構造式4:基板/(HL)^3 H 2L H (LH)^3 L (HL)^3 H 6L H (LH)^3 L ((HL)^3 H 10L H (LH)^3 L (HL)^3 H 8L H (LH)^3 L)^2 (HL)^3 H 8L H (LH)^3 L (HL)^2 H 8L H (LH)^2 0.245H 1.485L
表2に示すように、構造式4の各スペーサ層の厚みは基板側から順に2L、6L、10L、8L、10L、8L、8L、8Lである。そのときの透過帯域でのP偏光の分光特性を図5の太線で示す。
(比較例2−1)
実施例2において、4・5段目キャビティのスペーサ層をそれぞれ10L・8Lに変更し、各キャビティのスペーサ層の膜厚を表2に示す値とした。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのP偏光の分光特性を図5の細線で示す。
実施例2において、4・5段目キャビティのスペーサ層をそれぞれ10L・8Lに変更し、各キャビティのスペーサ層の膜厚を表2に示す値とした。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのP偏光の分光特性を図5の細線で示す。
(比較例2−2)
実施例2において、3〜6段目キャビティのスペーサ層をそれぞれ8L・10L・8L・10Lに変更し、各キャビティのスペーサ層の膜厚を表2に示す値とした。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのP偏光の分光特性を図5の点線で示す。
実施例2において、3〜6段目キャビティのスペーサ層をそれぞれ8L・10L・8L・10Lに変更し、各キャビティのスペーサ層の膜厚を表2に示す値とした。この光学バンドパスフィルタの透過帯域でのP偏光の分光特性を図5の点線で示す。
図5において本発明の実施例2と比較例2の透過帯域の分光特性を比較すると、比較例2−1、2−2と比較して3〜6段目キャビティのスペーサ層の膜厚に奇数段目を10L、偶数段目を8Lとし、2段目のスペーサ層が5段目より2L(0.5λ)薄くした実施例2の方が、明らかに良好な透過帯域特性が得られていることが分かる。
(実施例3)
実施例1において、入射角5度、中心波長1551.75nmとし、全ての結合層と7段目キャビティの最上層、空気への整合層の8層を膜厚変更可能な調整層として選択し、選択した各層の初期膜厚を基板側から順に、3λ/4、λ/4、λ/4、λ/4、λ/4、λ/4、λ/4、λ/4に設定し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各結合層の厚みの調整方法として、目標特性を1548〜1552nmの波長範囲において透過率100%とし、Essential Macleod等の改良法による自動設計機能を有する市販の光学薄膜設計プログラムで膜厚を調整した。その結果、表3に示す各膜厚を得た。表3に示すように、各結合層の膜厚は基板側から順に3.046L(0.762λ)、0.938L(0.234λ)、0.980L(0.245λ)、0.971L(0.243λ)、0.950L(0.237λ)及び1.040L(0.260λ)である。なお、この時の高屈折率膜である7段目キャビティの最上部の膜厚は1.377Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.267Lであった。その時のp偏光の分光特性を図6に示す。
実施例1において、入射角5度、中心波長1551.75nmとし、全ての結合層と7段目キャビティの最上層、空気への整合層の8層を膜厚変更可能な調整層として選択し、選択した各層の初期膜厚を基板側から順に、3λ/4、λ/4、λ/4、λ/4、λ/4、λ/4、λ/4、λ/4に設定し、前記以外のミラー層を構成する各膜の膜厚をλ/4に設定した。選択した各結合層の厚みの調整方法として、目標特性を1548〜1552nmの波長範囲において透過率100%とし、Essential Macleod等の改良法による自動設計機能を有する市販の光学薄膜設計プログラムで膜厚を調整した。その結果、表3に示す各膜厚を得た。表3に示すように、各結合層の膜厚は基板側から順に3.046L(0.762λ)、0.938L(0.234λ)、0.980L(0.245λ)、0.971L(0.243λ)、0.950L(0.237λ)及び1.040L(0.260λ)である。なお、この時の高屈折率膜である7段目キャビティの最上部の膜厚は1.377Hであり、低屈折率膜である整合層の厚みは1.267Lであった。その時のp偏光の分光特性を図6に示す。
図1の太線である実施例1と比較して、結合層に0.1λ+0.5・P≦C≦0.24λ+0.5・P、または、0.26λ+0.5・Q≦C≦0.4λ+0.5・Qとなる層を2層以上含む実施例5の方が明らかに透過帯域のリップルが低減されており、実施例1より更に良好な透過帯域特性が得られていることが分かる。
1、31 光学基板
2、32 スペーサ層
3、33 結合層
4、34 高屈折率膜
5、35 低屈折率膜
6、36 ミラー層
7、37 整合層
8、38 キャビティ
2、32 スペーサ層
3、33 結合層
4、34 高屈折率膜
5、35 低屈折率膜
6、36 ミラー層
7、37 整合層
8、38 キャビティ
Claims (6)
- 光学基板上にキャビティをN段備え、
前記キャビティは高屈折率と低屈折率の屈折率の異なる光学薄膜をスペーサ層の両側に交互に配置してなり、
透過帯域の中心波長をλとしたときに、前記スペーサ層の厚みがλ/2の整数倍であり、
前記各キャビティ間に低屈折率膜からなる結合層を有する光学バンドパスフィルタにおいて、
前記光学基板の屈折率は低屈折率層よりも高く、かつ、高屈折率層より低く、
前記光学基板の直上の層は高屈折率層であり、
前記光学基板から数えて3〜N−2段目のスペーサ層の厚さは2種類からなり、前記3〜N−2段目のスペーサ層において奇数段目に位置するスペーサ層の膜厚が偶数段目に位置するスペーサ層の膜厚よりも0.5λ以上厚いことを特徴とする光学バンドパスフィルタ。 - Nは7以上の奇数であることを特徴とする請求項1記載の光学バンドパスフィルタ。
- 前記光学基板から数えて2段目のスペーサ層の膜厚とN−1段目のスペーサ層の膜厚が等しいことを特徴とする請求項2記載の光学バンドパスフィルタ。
- Nは6以上の偶数であることを特徴とする請求項1記載の光学バンドパスフィルタ。
- 前記光学基板から数えてN−1段目のスペーサ層の膜厚が2段目のスペーサ層の膜厚よりも0.5λ以上厚いことを特徴とする請求項4記載の光学バンドパスフィルタ。
- 請求項1乃至5いずれかに記載の光学バンドパスフィルタにおいて、
前記結合層の厚さをCとし、PおよびQを0以上の整数としたとき、少なくとも2層の前記結合層の厚さが0.1λ+0.5・P≦C≦0.24λ+0.5・P、または、0.26λ+0.5・Q≦C≦0.4λ+0.5・Qであることを特徴とする光学バンドパスフィルタ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004000193A JP2005195731A (ja) | 2004-01-05 | 2004-01-05 | 光学バンドパスフィルタ |
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- 2004-01-05 JP JP2004000193A patent/JP2005195731A/ja not_active Withdrawn
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