JP2005221535A - マイクロレンズシート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
基材とマイクロレンズが強固に密着したマイクロレンズシート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係るマイクロレンズシートは、基材11と、当該基材11上に設けられた硬化した光硬化性組成物(A)層12と、当該光硬化性組成物(A)層12上に複数配列されたマイクロレンズ21とを有するマイクロレンズシート22であって、光硬化性組成物(A)は、表面自由エネルギーが30mN/m以上である光硬化性樹脂組成物(a)100質量部と表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.01〜10質量部とからなる組成物である。
【選択図】 図4
基材とマイクロレンズが強固に密着したマイクロレンズシート及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係るマイクロレンズシートは、基材11と、当該基材11上に設けられた硬化した光硬化性組成物(A)層12と、当該光硬化性組成物(A)層12上に複数配列されたマイクロレンズ21とを有するマイクロレンズシート22であって、光硬化性組成物(A)は、表面自由エネルギーが30mN/m以上である光硬化性樹脂組成物(a)100質量部と表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.01〜10質量部とからなる組成物である。
【選択図】 図4
Description
本発明は、リアプロジェクションテレビ用スクリーンや液晶ディスプレイなどに用いられるマイクロレンズシート及びその製造方法に関する。
マイクロレンズシートは液晶ディスプレイの開口率改善素子やリアプロジェクションテレビの表示視野を拡大するためのスクリーンとして使用されている。また、光ファイバの嵌合に使用する例もある。このマイクロレンズシートのマイクロレンズについて、従来から、以下の(1)〜(3)のような様々な製造方法が提案されている。
(1)選択的イオン交換法:ガラス基板を金属薄膜でパターニングした後、イオン交換を行うことにより屈折率分布マイクロレンズを作製する方法(非特許文献1)
(2)感光性樹脂溶融法:感光性樹脂をパターニングした後、それを加熱して溶融させることにより球面形状を作製する方法(非特許文献2)
(3)電子ビーム描画法:電子ビームを走査し、直接マイクロレンズを描画する方法
しかし、上に挙げたいずれの方法においても、簡便にマイクロレンズを製造することが困難であり、製造コストに難点があった。
(1)選択的イオン交換法:ガラス基板を金属薄膜でパターニングした後、イオン交換を行うことにより屈折率分布マイクロレンズを作製する方法(非特許文献1)
(2)感光性樹脂溶融法:感光性樹脂をパターニングした後、それを加熱して溶融させることにより球面形状を作製する方法(非特許文献2)
(3)電子ビーム描画法:電子ビームを走査し、直接マイクロレンズを描画する方法
しかし、上に挙げたいずれの方法においても、簡便にマイクロレンズを製造することが困難であり、製造コストに難点があった。
このような種々の製造方法に対して、特許文献1には、濡れ性可変層を用いてマイクロレンズを簡便に製造する方法が提案されている。この製造方法においては、光触媒を含む濡れ性可変層を基材に塗布した後、エネルギー照射によって濡れ性可変層の濡れ性を変化させる。この濡れ性の良い領域にのみ、マイクロレンズ形成用塗料を選択的に付着することにより、マイクロレンズを形成する。
しかしながら、この方法はエネルギー照射により濡れ性を変化させた後のマイクロレンズ形成工程を暗所で行わなければならない。そのため、このマイクロレンズ形成工程における作業性が悪く、さらにはマイクロレンズ形成用塗料と濡れ性の良好な部分との密着性が悪いなどの課題が生じる。
J. Appl. Phys. 20(4)51〜54(1981) Proc. Microlens Arrays Teddington p23〜34(1991) 特開2001−141906号公報
J. Appl. Phys. 20(4)51〜54(1981) Proc. Microlens Arrays Teddington p23〜34(1991)
このように、従来のマイクロレンズの製造方法では、濡れ性可変層を用いることによって簡便にマイクロレンズを製造することができるが、マイクロレンズ形成用塗料と濡れ性可変層との間の密着性が悪いという問題点があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、基材とマイクロレンズが強固に密着したマイクロレンズシート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、基材とマイクロレンズが強固に密着したマイクロレンズシート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るマイクロレンズシートは、基材と、当該基材上に設けられた光硬化性組成物(A)の硬化物よりなる層と、当該光硬化性組成物(A)よりなる層上に複数配列されたマイクロレンズとを有するマイクロレンズシートであって、前記光硬化性組成物(A)は、表面自由エネルギーが30mN/m以上である光硬化性樹脂組成物(a)100質量部と表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.01〜10質量部とからなる組成物である。
さらに、前記マイクロレンズの非形成部における前記光硬化性組成物(A)の硬化物の表面自由エネルギーを25mN/m以下としても良い。
また、前記マイクロレンズを前記光硬化性樹脂組成物(a)から構成することができる。
このような構成において、マイクロレンズを形成する樹脂と光硬化性樹脂組成物(a)を同時に硬化させることができるので、基材とマイクロレンズとを強固に密着させることができる。
このような構成において、マイクロレンズを形成する樹脂と光硬化性樹脂組成物(a)を同時に硬化させることができるので、基材とマイクロレンズとを強固に密着させることができる。
また、本発明に係るマイクロレンズシートをリアプロジェクションスクリーンや液晶ディスプレイに好適に使用することができる。
本発明に係るマイクロレンズシートの製造方法は、基材上に複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズシートを製造する方法であって、当該基材上に、表面自由エネルギーが30mN/m以上である光硬化性樹脂組成物(a)100質量部と表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.01〜10質量部とからなる光硬化性組成物(A)層を塗工する工程と、当該塗工された光硬化性組成物(A)を、前記化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態でパターン露光し、前記光硬化性組成物(A)を選択的に硬化させる工程と、当該選択的に硬化した光硬化性組成物(A)上にマイクロレンズ形成用樹脂を塗布する工程を備えたものである。
さらに、本発明に係るマイクロレンズシートの製造方法は、前記選択的に硬化させる工程と前記マイクロレンズ形成用樹脂を塗布する工程との間に、前記光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態で全面露光し、前記選択的に硬化させる工程において未硬化である当該光硬化性組成物(A)の未硬化部分を硬化させる工程を備えたものである。
さらにまた、本発明に係るマイクロレンズシートの製造方法は、前記選択的に硬化させる工程において未硬化である当該光硬化性組成物(A)の未硬化部分と、当該未硬化部分上に塗布された前記マイクロレンズ形成用樹脂とを硬化する工程を備えたものである。これによって、マイクロレンズを形成する樹脂と光硬化性樹脂組成物(a)を同工程において硬化させることができるので、基材とマイクロレンズとをより強固に密着させることができる。
他方、本発明に係るマイクロレンズシートの製造方法は、基材上に複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズシートを製造する方法であって、当該基材上に、表面自由エネルギーが30mN/m以上である光硬化性樹脂組成物(a)100質量部と表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.01〜10質量部とからなる光硬化性組成物(A)層を塗工する工程と、当該塗工された光硬化性組成物(A)を、前記光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態でパターン露光し、前記光硬化性組成物(A)を選択的に硬化させる工程と、当該選択的に硬化した光硬化性組成物(A)上にマイクロレンズ形成用樹脂を塗布する工程を備えたものである。
さらに、本発明に係るマイクロレンズシートの製造方法は、前記選択的に硬化させる工程と前記マイクロレンズ形成用樹脂を塗布する工程との間に、前記化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態で全面露光し、前記選択的に硬化させる工程において未硬化である当該光硬化性組成物(A)の未硬化部分を硬化させる工程を備えたものである。
好適には、前記化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質は、大気であり、前記光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーよりも高い表面自由エネルギーを有する媒質は、水である。
このような構成において、表面自由エネルギーが高い性質を示す領域と低い領域を示す領域を成することができるため、その濡れ性の違いによって、マイクロレンズ形成用樹脂を選択的に濡らすことができる。それゆえ、マイクロレンズ形成用樹脂を表面張力によってレンズ状に簡便に形成することができ、マイクロレンズシートのレンズを簡便に形成することができる。
本発明によれば、基材とマイクロレンズが強固に密着したマイクロレンズシート及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照して説明する。
<発明の実施の形態1>
本実施形態においては、マイクロレンズシートの製造方法について説明した後、このマイクロレンズシートの製造において用いられる各種部材・材料について説明する。
まず、図1乃至図4を用いて、本発明のマイクロレンズシートの製造方法について説明する。
<発明の実施の形態1>
本実施形態においては、マイクロレンズシートの製造方法について説明した後、このマイクロレンズシートの製造において用いられる各種部材・材料について説明する。
まず、図1乃至図4を用いて、本発明のマイクロレンズシートの製造方法について説明する。
図1の断面模式図に、マイクロレンズシートの製造方法における一工程が示されている。図1に示すように、基材11の表面に、光硬化性組成物(A)を塗工し、光硬化性組成物(A)層12を形成する。この光硬化性組成物(A)は、後述するように、光硬化性樹脂組成物(a)と化合物(b)との組成物から構成されている。この塗工された光硬化性組成物(A)層12のパターン露光は、その化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質13と接触した状態で行われる。
このパターン露光は、図1に示すように、フォトマスク14を介して光照射すれば良い。パターン露光で光照射されたパターン露光領域15は、化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質13と接触した状態で硬化している。そのため、表面自由エネルギーが低い性質を示すことになる。また、このパターン露光領域15以外の未露光領域16は、パターン露光されないので、硬化していない状態である。
図2の上面図に、パターン露光で用いられるフォトマスク14の一例が示されている。この場合のフォトマスク14として、図2に示すような開口部17および遮光部18を有するパターンとすることができる。また、図2に示されたフォトマスク14においては、均一の大きさの遮光部18がハニカム状に配列されているが、大きさが不均一であっても良いし、他の配列もしくは無秩序に配置されても良い。さらに、遮光部18の大きさとその間隔を最適化することにより、最密充填されたマイクロレンズシートを作製することも可能である。
図3の断面模式図に、パターン露光後の一工程が示されている。パターン露光によって得られた基材11の全面露光を光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質19と接触した状態で行う。この全面露光によって、図3に示すように、光硬化性樹脂組成物(a)の未露光領域16が硬化し、全面露光領域20が形成される。
図4の断面模式図に、全面露光後の一工程が示されている。図4に示すように、光硬化性組成物(A)層12上に、マイクロレンズ形成用樹脂210を塗布し、マイクロレンズ21を形成する。このとき、光硬化性組成物(A)層12のパターン露光領域15は、化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質13と接触した状態で硬化したので、表面自由エネルギーが低い性質を示す。そのため、このパターン露光領域15上のマイクロレンズ形成用樹脂210は弾かれる。
他方、光硬化性組成物(A)層12の全面露光領域20は、光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質19と接触した状態で硬化したので、表面自由エネルギーが高い性質を示す。そのため、この全面露光領域20のマイクロレンズ形成用樹脂210は濡れ、マイクロレンズ形成用樹脂210自身の表面張力によりレンズ状となる。また、その形状は、マイクロレンズ形成用樹脂210の表面自由エネルギーや塗布量に依存するため、所望のマイクロレンズ形状になるように条件を最適化すれば良い。
その後、表面張力によってレンズ状となったマイクロレンズ形成用樹脂210は、未硬化状態であるので、所定の方法で硬化される。これによってマイクロレンズ21が形成され、マイクロレンズシート22が得られる。
その後、表面張力によってレンズ状となったマイクロレンズ形成用樹脂210は、未硬化状態であるので、所定の方法で硬化される。これによってマイクロレンズ21が形成され、マイクロレンズシート22が得られる。
このような方法により、マイクロレンズシートを作製することは可能であり、基材11とマイクロレンズ形成用樹脂210とは強固に密着している。ただし、さらに強固な接着が必要な場合、上記の方法において、「光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質19と接触した状態で全面露光を行い、光硬化性樹脂組成物(a)の未硬化部分である未露光領域16を硬化する」工程を次のように変更すれば良い。
具体的には、光硬化性組成物(A)層12に未露光領域16が残された状態で、光硬化性組成物(A)層12上にマイクロレンズ形成用樹脂210を塗布する。これにより、パターン露光領域15が化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質13中で硬化したので、このパターン露光領域15のマイクロレンズ形成用樹脂210は弾かれる。それとともに、マイクロレンズ形成用樹脂210は、未硬化部分である未露光領域16の光硬化性組成物(A)にのみ付着する。後述するように、本発明による表面改質現象は可逆的であり、未硬化の光硬化性組成物(A)は、接触する媒質13,19の表面自由エネルギーに応じて相転移を起こす。そのため、このマイクロレンズ形成用樹脂210を未露光領域16にのみ選択的に付着させることができる。
したがって、未露光領域16の光硬化性組成物(A)が未硬化であるから、マイクロレンズ形成用樹脂210と光硬化性組成物(A)とはともに未硬化状態である。これら両者を所定の方法で同時に硬化することにより、マイクロレンズ形成用樹脂210と光硬化性組成物(A)とは強固に接着することができる。特に、マイクロレンズ形成用樹脂210に光硬化性樹脂組成物(a)を用いることにより、これら両者を同時に光硬化することが可能であり、かつ化学的な共有結合が形成されるため強固に接着することができる。
次に、本発明で用いられる基材11、光硬化性組成物(A)、媒質13,19、マイクロレンズ形成用樹脂210について順に説明する。
本発明で用いられる基材11は、光学的に透明であれば材質はどんなものでも良い。その一例として、プラスチック材料ではアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、トリ酢酸セルロース樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、ガラスを基材11として用いることも可能である。
本発明で用いられる基材11は、光学的に透明であれば材質はどんなものでも良い。その一例として、プラスチック材料ではアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、トリ酢酸セルロース樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、ガラスを基材11として用いることも可能である。
本発明においては、上記の光硬化性組成物(A)として、後述する光硬化性樹脂組成物(a)および表面自由エネルギーが低い化合物(b)からなる組成物が用いられる。本願の課題を解決するために用いる光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーは、30mN/m以上であり、好ましくは40mN/m以上である。また、化合物(b)の表面自由エネルギーは、25mN/m以下であり、好ましくは20mN/m以下である。また、本願の課題を解決するためには、光硬化性樹脂組成物(a)100質量部に対し、化合物(b)0.01〜10質量部を混合することが好ましい。
本発明者らは、光硬化性樹脂組成物(a)および化合物(b)よりなる光硬化性組成物(A)層12に、表面自由エネルギーが低い媒質13中で光を照射して光硬化性組成物(A)を硬化することにより、表面自由エネルギーが低い表面を得ることができる現象を見出した。さらに、本発明者らは、この光硬化性組成物(A)層12に、表面自由エネルギーが高い媒質19中で光を照射して硬化することにより、表面自由エネルギーが高い表面を得ることができる現象を見出した。また、未硬化の状態においては、光硬化性組成物(A)の表面自由エネルギーは、接触している媒質13,19に依存することも見出した。ここで照射する光としては、可視光、紫外線等が挙げられるが、光硬化性組成物(A)の硬化に有利な高いエネルギーを持つ紫外線が好ましい。
この表面改質現象は、以下の機構により発現しているものと推測される。光硬化性樹脂組成物(a)および化合物(b)からなる組成物と媒質13,19との界面がエネルギー的に安定となるのは、両者の表面自由エネルギーの差が最小となる時である。この光硬化性組成物(A)中の化合物(b)の表面自由エネルギーは、光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーよりも低い。そのため、表面自由エネルギーが低い媒質13に光硬化性組成物(A)が接触した状態では、化合物(b)が界面に存在することにより、組成物と媒質13との界面はエネルギー的に安定状態となる。
これに対して、表面自由エネルギーが高い媒質19に光硬化性組成物(A)が接触した状態では、化合物(b)が界面に存在するよりも、光硬化性樹脂組成物(a)が界面に存在した方が、組成物と媒質19との界面はエネルギー的に安定となる。そのため、この状態においては、化合物(b)は界面に存在しなくなる。つまり、光硬化性樹脂組成物(a)が未硬化状態であれば、媒質13,19の違いにより相転移を起こすことになる。したがって、表面自由エネルギーが異なる媒質13,19中で光硬化性組成物(A)層12に光を照射し、界面での状態を固定化することにより表面自由エネルギーが異なる表面を得ることができる。
さらに、光硬化性組成物(A)が未硬化状態では、上記の相転移は可逆であるため、この光硬化性組成物(A)を表面自由エネルギーが高い領域と低い領域とに表面改質する場合、選択的に表面自由エネルギーの高い領域に改質した後、残りを表面自由エネルギーの低い領域に改質することも可能である。また、逆に、選択的に表面自由エネルギーが低い領域に改質した後、残りを表面自由エネルギーの高い領域に改質することも可能である。
本発明において用いられる表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)としては、ポリジメチルシロキサン等のシリコーンオイル、このシリコーンオイルの側鎖または末端がアミノ基、エポキシ基等で変性された変性シリコーンオイル、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等の含けい素(高分子)化合物;フルオロアルキルシラン類、フルオロアルキル基等を有する高分子化合物等の含フッ素(高分子)化合物;上記化合物を成分として含有するブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体などが挙げられるが、上記化合物に限定されるものではない。
本発明に用いられる光硬化性樹脂組成物(a)は、重合性の単量体および所望に応じて光重合開始剤等の他の成分(ただし、上記の表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)は除く)を含む。この含まれる重合性の単量体は、光重合可能な化合物であり、表面自由エネルギーが30mN/m以上であり、かつ分子内に少なくとも1個のエチレン系二重結合を有する光重合可能なエチレン系不飽和化合物を一般的に使用することができるが、必要に応じて、さらに、光カチオン重合可能なエポキシ系またはオキセタン系の化合物等を加えても良い。
本発明を実施するに際して用い得る光重合可能なエチレン系不飽和化合物としては(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能性(メタ)アクリレート系モノマー;N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカプロラクタム、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸アリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニル系モノマー、および1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能性(メタ)アクリレートモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルシアヌレート、トリ(メタ)アクリロイルイソシヌアレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,3,5−トリ(メタ)アクリロイルヘキサヒドロ−s−ヒドラジン等の多官能性(メタ)アクリレートモノマーなどが挙げられ、これらの内の1種以上が用いられる。なお、上記化合物の名称中、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」の総称であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」の総称であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」と「メタクリロイル」の総称である。
さらに、必要に応じて光硬化性樹脂組成物(a)に光重合開始剤を加えても良い。光重合開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントフルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,4−ジエチルチオキサントン、カンファーキノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
また、場合によっては、光硬化性組成物(A)の希釈剤として、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン、酢酸エチル、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼンなどの有機溶剤を使用しても良い。
本発明で用いられる表面自由エネルギーが低い媒質13としては、大気;ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスなどが挙げられる。また、表面自由エネルギーが高い媒質19としては、水;グリセリン等の高級アルコール類などが挙げられるが、それぞれこれらに限定されるものではない。特に本発明では、表面自由エネルギーが低い媒質19として大気を、表面自由エネルギーが高い媒質19として水を用いることが可能であるため、本発明は、コスト面や環境面から有意である。
本発明で用いられるマイクロレンズ形成用樹脂210としては熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いることができるが、作業効率の面から光硬化性樹脂を用いることが好ましい。さらに、マイクロレンズ形成用樹脂210として、光硬化性組成物(A)中の光硬化性樹脂組成物(a)と同様の成分であることがより好ましい。これにより基材11上の光硬化性組成物(A)とマイクロレンズ形成用樹脂210とが強固に密着することが可能となる。
なお、本発明における表面自由エネルギーの値は、温度20℃、相対湿度50%の条件における値であり、下記方法により測定される。この測定方法について、図7及び図8を参照して説明する。
液体の表面自由エネルギーの測定方法としては種々の方法があるが、本明細書ではウィルヘルミー法による温度20℃、相対湿度50%における測定値を表面自由エネルギーとして用いている。図7は、液体の表面自由エネルギーを測定する方法の一例を示し、特にウィルヘルミー法による測定原理を説明するための図である。
液体の表面自由エネルギーの測定方法としては種々の方法があるが、本明細書ではウィルヘルミー法による温度20℃、相対湿度50%における測定値を表面自由エネルギーとして用いている。図7は、液体の表面自由エネルギーを測定する方法の一例を示し、特にウィルヘルミー法による測定原理を説明するための図である。
図7に示すように、天秤51の一方に板52を吊るしてその一端が測定液体53に浸るようにし、他方に適当な荷重54をのせて天秤51をつりあわせる。このとき、板52は、重力と浮力以外に下向きに測定液体53からの力を受ける。これら力の平衡状態について、下記式(1)が成り立つ。
液体表面から受ける力は、表面張力(=液体の表面自由エネルギー)に相当するため、液体表面から受ける力を測定することによって、液体の表面自由エネルギーが得られる。なお、板52の材質として白金、ガラスなどが使用されるが、これらの表面自由エネルギーは不変であるので、測定液体53に浸蝕されない材質であれば良い。本明細書の測定においては、板52として白金を用いている。
固体の表面自由エネルギーは、直接測定することができないが、表面自由エネルギーが既知である数種類の液体を用いて求めることができる。図8は、固体の表面自由エネルギーを測定する方法の一例について説明するための図である。
固体表面上の液滴は、図8に示すような断面形状を有しており、図8中の接触角は、固体61表面上の液体62の表面と固体61表面との交点において、液体62に引いた接線と固体61表面との液体62を含む側のなす角である。このとき、この角の値をθとすると、交点における平衡条件により、下記式(2)(Youngの式)が成り立っている。
固体表面上の液滴は、図8に示すような断面形状を有しており、図8中の接触角は、固体61表面上の液体62の表面と固体61表面との交点において、液体62に引いた接線と固体61表面との液体62を含む側のなす角である。このとき、この角の値をθとすると、交点における平衡条件により、下記式(2)(Youngの式)が成り立っている。
ここで、γSは固体61の表面自由エネルギー、γLは液体62の表面自由エネルギー、γSLは固体61/液体62の界面自由エネルギーを表す。
したがって、温度20℃、相対湿度50%の条件下において、異なる表面自由エネルギーを持つ3種類以上の液体の固体表面上での接触角の値θを求めれば、式(2)および式(3)よりなる3元の方程式を解くことによりγS a、γS bおよびγS cが算出できる。そして、固体の表面自由エネルギーγSは、これらγS a、γS b、γS cの和として求められる。
以上のように、本発明のマイクロレンズシートの製造方法によれば、化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態で硬化したパターン露光領域15は、表面自由エネルギーが低い性質を示している。それとともに、光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態で硬化した全面露光領域20は、表面自由エネルギーが高い性質を示している。そのため、マイクロレンズ形成用樹脂は、パターン露光領域15においてははじかれ、全面露光領域20においては選択的に濡れる。これにより、マイクロレンズ形成用樹脂を選択的に濡らすことができるので、マイクロレンズ形成用樹脂を表面張力によって簡便にレンズ状に形成することができ、マイクロレンズシートを簡便に製造することができる。
さらに、マイクロレンズ形成用樹脂210に光硬化性樹脂組成物(a)を用いる場合には、マイクロレンズ形成用樹脂210と全面露光領域20とを同時に硬化することができる。これによって、マイクロレンズシートを簡便に製造することができるとともに、光硬化性組成物(A)層12とマイクロレンズ21とを密着性を向上させることが可能となる。
また、本発明によれば、リアプロジェクションテレビ用スクリーンや液晶ディスプレイなどに用いられるマイクロレンズシートを簡便に製造することができる。またさらに、マイクロレンズと基材が強固に接着しているマイクロレンズを製造することができる。
<発明の実施の形態2>
発明の実施の形態1においては、フォトマスク14として図2に示されたパターンを使用していたが、逆パターンのフォトマスクを使用することもできる。本実施形態においては、この場合について説明する。ここで、上記実施形態と同じ部材には、同じ符号を付し、その説明を省略している。
発明の実施の形態1においては、フォトマスク14として図2に示されたパターンを使用していたが、逆パターンのフォトマスクを使用することもできる。本実施形態においては、この場合について説明する。ここで、上記実施形態と同じ部材には、同じ符号を付し、その説明を省略している。
図5の上面図に、このフォトマスクの一例が示されている。図5に示されたフォトマスク31は、フォトマスク14の逆パターンであり、その開口部32、遮光部33がフォトマスク14の開口部17、遮光部18と逆になったものである。
図6の断面工程図に、このフォトマスク31を用いた場合の一工程が示されている。この場合、図6に示すように、基材11の表面に上述した光硬化性組成物(A)を塗工し、光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質34と接触した状態でフォトマスク31を介してパターン露光を行う。
図6の断面工程図に、このフォトマスク31を用いた場合の一工程が示されている。この場合、図6に示すように、基材11の表面に上述した光硬化性組成物(A)を塗工し、光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質34と接触した状態でフォトマスク31を介してパターン露光を行う。
パターン露光領域35は、光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質34と接触した状態で硬化している。そのため、パターン露光領域35は、表面自由エネルギーが高い性質を示すことになる。また、このパターン露光領域35以外の未露光領域36は、パターン露光されないので、硬化していない状態である。
この得られた基材11を、光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質(図示せず)と接触した状態で全面露光し、光硬化性樹脂組成物(a)の未露光領域36を硬化すれば良い(図示しない)。さらに、マイクロレンズ形成用樹脂210を塗布することにより、上記と同様ようにマイクロレンズシート22を作製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明について具体的に説明する。
<実施例1>
日本化薬株式会社製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA)60質量部、東亞合成株式会社製イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(アロニックスM−315)40質量部、日本化薬株式会社製2,4−ジエチルチオキサントン1質量部、チバスペシャリティケミカルズ株式会社製2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュア907)3質量部の割合で混合して、光硬化性樹脂組成物(a)を調製した。この光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーは、ウィルヘルミー法により測定したところ、42.6mN/mであった。
<実施例1>
日本化薬株式会社製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA)60質量部、東亞合成株式会社製イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(アロニックスM−315)40質量部、日本化薬株式会社製2,4−ジエチルチオキサントン1質量部、チバスペシャリティケミカルズ株式会社製2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュア907)3質量部の割合で混合して、光硬化性樹脂組成物(a)を調製した。この光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーは、ウィルヘルミー法により測定したところ、42.6mN/mであった。
この光硬化性樹脂組成物(a)に、表面自由エネルギーが低い化合物(b)として、信越化学工業株式会社製アミノ変性シリコーンオイル(KF857)を0.5質量部添加して光硬化性組成物(A)とした。添加した化合物(b)のウィルヘルミー法による表面自由エネルギーの測定値は、20.7mN/mである。この光硬化性組成物(A)は、粘度が高く、塗工性の面を考慮すると取り扱いにくい。そのため、光硬化性組成物(A)の濃度が5%となるようにトルエンで希釈した。
希釈した光硬化性組成物(A)をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにバーコーターで0.02mm塗工した後、トルエンを揮発させる。これによって、PETフィルム上に、均一に厚さ0.001mmの光硬化性組成物(A)が塗工されたフィルムを得ることができた。
得られたフィルムを二分割し、一方は大気中、他方は水中において高圧水銀ランプで紫外線照射した。得られたフィルムの表面について協和界面科学(株)製接触角計を用いて各種溶剤との接触角を測定した。その結果を表1に示す。
得られたフィルムを二分割し、一方は大気中、他方は水中において高圧水銀ランプで紫外線照射した。得られたフィルムの表面について協和界面科学(株)製接触角計を用いて各種溶剤との接触角を測定した。その結果を表1に示す。
表1の結果から、大気中で硬化した場合と水中で硬化した場合の表面自由エネルギーを算出すると、それぞれ21.5mN/mおよび40.2mN/mである。この結果から、水中で硬化させることにより、大気中で硬化させたときとは異なった表面自由エネルギーの表面が得られたことがわかる。
マイクロレンズシート22に用いる基材11として、東洋紡績株式会社製の厚さ0.25mmポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4300)を使用した。このポリエチレンテレフタレートフィルムにトルエンで希釈した光硬化性組成物(A)をマイクログラビアコーターで厚さ0.02mmとなるよう塗工し、120℃で5分間の乾燥でトルエンを揮発させた。これによって、光硬化性組成物(A)の塗工厚さを0.001mmとすることができ、厚さ0.001mmの光硬化性組成物(A)層12を形成することができる。
この状態で、光硬化性組成物(A)12が形成された基材11である上記ポリエチレンテレフタレートフィルムを大気中で、フォトマスク14を介して高圧水銀ランプにより平行な紫外光を照射した。なお、用いたフォトマスク14は、直径0.1mmの円状遮光パターン(開口部17)が中心間隔0.15mmで六方配列されているものである。
続いて、得られたポリエチレンテレフタレートフィルム(基材11)を水中に浸漬したまま光硬化性組成物(A)の塗工面側から高圧水銀ランプにより紫外光を照射した。
さらに、得られたポリエチレンテレフタレートフィルム(基材11)に形成された光硬化性組成物(A)層12上に、光硬化性組成物(A)に使用した光硬化性樹脂組成物(a)をマイクロレンズ形成用樹脂210としてディップコーティングした。その後、高圧水銀ランプにより紫外線を照射することにより、マイクロレンズ形成用樹脂210を硬化した。その結果、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に直径0.1mmのマイクロレンズ21が中心間隔0.15mmで六方配列された。
さらに、得られたポリエチレンテレフタレートフィルム(基材11)に形成された光硬化性組成物(A)層12上に、光硬化性組成物(A)に使用した光硬化性樹脂組成物(a)をマイクロレンズ形成用樹脂210としてディップコーティングした。その後、高圧水銀ランプにより紫外線を照射することにより、マイクロレンズ形成用樹脂210を硬化した。その結果、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に直径0.1mmのマイクロレンズ21が中心間隔0.15mmで六方配列された。
マイクロレンズ21が形成された上記マイクロレンズシート22の出射面側、つまりポリエチレンテレフタレートフィルム表面側の出射光が透過しない部分にマトリクス状の遮光パターンを付与した。遮光パターンの付与には、特開2003−75608号公報に開示された方法を用いた。具体的には、ポリエチレンテレフタレートフィルム表面側に光硬化性組成物(A)を塗付し、マイクロレンズ21側より紫外線を窒素雰囲気下で照射する。その後、集光部の光硬化性組成物(A)を選択的に硬化させ、このマイクロレンズの非集光部に黒色インクを塗付した。
得られた遮光パターン付きマイクロレンズシート22を液晶方式プロジェクションテレビにスクリーンとして設置したところ、良好な映像を観察することが可能であった。
得られた遮光パターン付きマイクロレンズシート22を液晶方式プロジェクションテレビにスクリーンとして設置したところ、良好な映像を観察することが可能であった。
<実施例2>
日本化薬株式会社製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA)60質量部、東亞合成株式会社製イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(アロニックスM−315)40質量部、日本化薬株式会社製2,4−ジエチルチオキサントン1質量部、チバスペシャリティケミカルズ株式会社製2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュア907)3質量部の割合で混合して光硬化性樹脂組成物(a)を調製した。この光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーは、ウィルヘルミー法により測定したところ、42.6mN/mであった。
日本化薬株式会社製ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA)60質量部、東亞合成株式会社製イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(アロニックスM−315)40質量部、日本化薬株式会社製2,4−ジエチルチオキサントン1質量部、チバスペシャリティケミカルズ株式会社製2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュア907)3質量部の割合で混合して光硬化性樹脂組成物(a)を調製した。この光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーは、ウィルヘルミー法により測定したところ、42.6mN/mであった。
この光硬化性樹脂組成物(a)に、表面自由エネルギーが低い化合物(b)として、信越化学工業株式会社製アミノ変性シリコーンオイル(KF857)を0.5質量部添加し光硬化性組成物(A)とした。添加した化合物(b)のウィルヘルミー法による表面自由エネルギーの測定値は、20.7mN/mである。この光硬化性組成物(A)は、粘度が高く、塗工性の面を考慮すると取り扱いにくい。そのため、光硬化性組成物(A)の濃度が5%となるようにトルエンで希釈した。
マイクロレンズシート22に用いる基材11として、東洋紡績株式会社製の厚さ0.25mmポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4300)を使用した。このポリエチレンテレフタレートフィルムに、トルエンで希釈した光硬化性組成物(A)をマイクログラビアコーターで厚さ0.02mmとなるよう塗工し、120℃で5分間の乾燥でトルエンを揮発させた。これによって、光硬化性組成物(A)の塗工厚さを0.001mmとすることができ、厚さ0.001mmの光硬化性組成物(A)層12を形成することができる。
この状態で、光硬化性組成物(A)12が形成された基材11である上記ポリエチレンテレフタレートフィルムを大気中で、フォトマスク14を介して高圧水銀ランプにより平行な紫外光を照射した。なお、用いたフォトマスク14は、直径0.15mmの円状遮光パターンが中心間隔0.16mmで六方配列されているものである。
続いて、得られたポリエチレンテレフタレートフィルム(基材11)に形成された光硬化性組成物(A)層12上に、光硬化性組成物(A)に使用した光硬化性樹脂組成物(a)をマイクロレンズ形成用樹脂210としてグラビアコーティングした。その後、高圧水銀ランプにより紫外線を照射することにより、マイクロレンズ形成用樹脂210を硬化した。
その結果、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に直径0.15mmのマイクロレンズ21が中心間隔0.16mmで六方配列された。形成されたマイクロレンズ21は、基材11と強固に接着しているため、マイクロレンズ21を指で強くこすっても剥離することはなかった。
得られたマイクロレンズシート22を液晶ディスプレイの前面に装着したところ、垂直方向および水平方向に視野角の拡大された画像を観察することができた。
得られたマイクロレンズシート22を液晶ディスプレイの前面に装着したところ、垂直方向および水平方向に視野角の拡大された画像を観察することができた。
11 基材、12 光硬化性組成物(A)層、13 表面自由エネルギーが低い媒質、
14 フォトマスク、15 パターン露光領域、16 未露光領域、17 開口部、
18 遮光部、19 表面自由エネルギーが高い媒質、20 全面露光領域、
21 マイクロレンズ、210 マイクロレンズ形成用樹脂、
22 マイクロレンズシート、
31 フォトマスク、32 開口部、33 遮光部、
34 表面自由エネルギーが高い媒質、35 パターン露光領域、36 未露光領域、
14 フォトマスク、15 パターン露光領域、16 未露光領域、17 開口部、
18 遮光部、19 表面自由エネルギーが高い媒質、20 全面露光領域、
21 マイクロレンズ、210 マイクロレンズ形成用樹脂、
22 マイクロレンズシート、
31 フォトマスク、32 開口部、33 遮光部、
34 表面自由エネルギーが高い媒質、35 パターン露光領域、36 未露光領域、
Claims (10)
- 基材と、
当該基材上に設けられた光硬化性組成物(A)の硬化物よりなる層と、
当該光硬化性組成物(A)よりなる層上に複数配列されたマイクロレンズとを有するマイクロレンズシートであって、
前記光硬化性組成物(A)は、表面自由エネルギーが30mN/m以上である光硬化性樹脂組成物(a)100質量部と表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.01〜10質量部とからなる組成物であるマイクロレンズシート。 - 前記マイクロレンズの非形成部における前記光硬化性組成物(A)の硬化物の表面自由エネルギーは、25mN/m以下であることを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズシート。
- 前記マイクロレンズは、前記光硬化性樹脂組成物(a)から構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロレンズシート。
- 基材上に複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズシートを製造する方法であって、
当該基材上に、表面自由エネルギーが30mN/m以上である光硬化性樹脂組成物(a)100質量部と表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.01〜10質量部とからなる光硬化性組成物(A)層を塗工する工程と、
当該塗工された光硬化性組成物(A)を、前記化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態でパターン露光し、前記光硬化性組成物(A)を選択的に硬化させる工程と、
当該選択的に硬化した光硬化性組成物(A)上にマイクロレンズ形成用樹脂を塗布する工程を備えたマイクロレンズシートの製造方法。 - 前記選択的に硬化させる工程と前記マイクロレンズ形成用樹脂を塗布する工程との間に、前記光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態で全面露光し、前記選択的に硬化させる工程において未硬化である当該光硬化性組成物(A)の未硬化部分を硬化させる工程を、さらに備えたことを特徴とする請求項4記載のマイクロレンズシートの製造方法。
- 前記選択的に硬化させる工程において未硬化である当該光硬化性組成物(A)の未硬化部分と、当該未硬化部分上に塗布された前記マイクロレンズ形成用樹脂とを硬化する工程を、さらに備えたことを特徴とする請求項4記載のマイクロレンズシートの製造方法。
- 基材上に複数のマイクロレンズが配列されたマイクロレンズシートを製造する方法であって、
当該基材上に、表面自由エネルギーが30mN/m以上である光硬化性樹脂組成物(a)100質量部と表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.01〜10質量部とからなる光硬化性組成物(A)層を塗工する工程と、
当該塗工された光硬化性組成物(A)を、前記光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーより高い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態でパターン露光し、前記光硬化性組成物(A)を選択的に硬化させる工程と、
当該選択的に硬化した光硬化性組成物(A)上にマイクロレンズ形成用樹脂を塗布する工程を備えたマイクロレンズシートの製造方法。 - 前記選択的に硬化させる工程と前記マイクロレンズ形成用樹脂を塗布する工程との間に、前記化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質と接触した状態で全面露光し、前記選択的に硬化させる工程において未硬化である当該光硬化性組成物(A)の未硬化部分を硬化させる工程を、さらに備えたことを特徴とする請求項7記載のマイクロレンズシートの製造方法。
- 前記化合物(b)の表面自由エネルギーより低い表面自由エネルギーを有する媒質は、大気であることを特徴とする請求項4又は8項に記載のマイクロレンズシートの製造方法。
- 前記光硬化性樹脂組成物(a)の表面自由エネルギーよりも高い表面自由エネルギーを有する媒質は、水であることを特徴とする請求項5又は7記載のマイクロレンズシートの製造方法。
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JP2004026479A JP2005221535A (ja) | 2004-02-03 | 2004-02-03 | マイクロレンズシート及びその製造方法 |
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