JP2005220271A - 高分子固体電解質フィルム - Google Patents

高分子固体電解質フィルム Download PDF

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康彦 芳賀
Kazuyuki Fukuda
和幸 福田
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嘉彦 富田
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Abstract

【目的】液漏れや発火の危険性がなく、薄膜化や大型化など加工性の良いという高分子化合物固体電解質の長所を失うことなく、イオン導電度を向上させた高分子固体電解質フィルムを得ることである。
【構成】カチオン性高分子化合物(A)、電解質塩(B)及び高分子化合物(C)からなり、カチオン性高分子化合物(A)が相分離してなることを特徴とする高分子固体電解質フィルム及びその製造方法に関する。更には、カチオン性高分子(A)が、微粒子からなり、高分子化合物(C)が電解質(B)を固溶化できる化合物である高分子固体電解質フィルムに関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、カチオン性高分子化合物(A)が相分離してなるイオン導電性に優れた高分子固体電解質フィルムに関する。
イオン導電体は、イオンを速く拡散させるために、電解質溶液や溶融塩のような液体状態である場合が多い為、電池やキャパシタなどには液状のイオン導電体が通常用いられている。しかし、この場合、電池内部に液体を含むため、長時間使用した場合や電池自身が何らかの理由により加熱されたり、機器の故障で過充電されたり或いは物理的に破損した場合に、電解液が漏出する危険性があった。
このため、電解液の外部への漏出を防止するため種々の試みがなされてきた。例えば電解液に高分子化合物を含有若しくは含浸させ、電解質自体をゲル状にする方法が考えられたが、比較的多くの有機溶媒を含有するため、高温域での形状安定性に不十分であり、液漏れや電池容器が圧力破壊する危険性があった。例えば、電解質にアミン成分化合物が導入されたカチオン性架橋高分子をゲル化剤として使用することが考えられた(例えば、特許文献1)が、液漏れや電池への加工性の困難さなどの問題点を根本的に回避できるものではない。
そこで、液漏れを完全に防ぐことができ且つ、薄膜化や大面積化などが容易にする為に、イオン伝導体が固体化した高分子固体電解質が考えられたが、イオンは電子と違って質量を持つため固体中を自由に移動することができず、イオン伝導性の高いものは得られなかった。1973年に、ポリエチレンオキシド(PEO)とアルカリ金属塩の錯体からなる高分子固体電解質が比較的高いイオン導電性を示すことがWrightらにより初めて報告された(非特許文献1)。これは、高分子に固有の性質であるTg以上の温度で分子鎖が液体のように動きまわるが、巨視的には架橋構造により形状を保つことができる特長を利用したものである。次いで、1979年に ArmandらによりPEOとリチウム塩の複合体はリチウム二次電池に応用できることが提案され(非特許文献2)、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどの有機溶媒にLi塩を溶解した電解質では基本的に不可能な、液漏れや引火の危険性を完全に抑えることができる材料として注目を集め、それ以来PEO系の高分子を中心に数多くの研究が行われてきた。PEOを骨格とする高分子が多く用されてきた理由の1つは、Tgの低いPEOの分子鎖が熱運動でLiイオンを動かす媒体となる能力が高いためである(非特許文献3)。
しかしながら、イオン伝導度には限界があり、現在最も高いイオン導電度を示す、柔軟なPEOを側鎖や分岐構造に導入したポリマーにおいても、高温度領域では比較的高いイオン導電度を示すが、室温では十分なイオン導電度を示すものはない。他方、PEO分子鎖の運動性を上げると強度や加工性の低下を伴う。PEO系高分子固体電解質で問題になる強度や加工性の低下を改善するために無機微粒子を複合化させる技術(特許文献2)や、無機微粒子を複合化することでイオン導電性を向上させる技術(非特許文献4)などが報告されているものの、これらの材料系においてもイオン伝導度は温度による依存性が高いことからPEOの熱運動に基づくイオンの移動メカニズムが支配的であることが推察され、強度や加工性を維持しながらイオン伝導度を向上するには限界があった。
Br.Polym.J.,7,319(1975) "Fast Ion Transport in Solids",edited by Vashishta et al Elsevier,1979,p131 化学と教育、49巻(6)、334−337(2001) Nature、394巻、456−458(1998) 特開2001−335707号公報 特開平10−340618号公報
本発明の目的は、液漏れや発火の危険性がなく、薄膜化や大型化など加工性の良いという高分子化合物の長所を失うことなく、イオン導電度を向上させることができる新規な高分子固体電解質フィルムを提供することにある。
本発明者らは、カチオン性の高分子化合物を、電解質塩を多量に含んだ高分子化合物中に均一に分散させた高分子固体電解質フィルムが上記目的にかなう材料になることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、カチオン性高分子化合物(A)、電解質塩(B)及び高分子化合物(C)からなり、カチオン性高分子化合物(A)が相分離してなることを特徴とする高分子固体電解質フィルムを提供するものである。また、そのカチオン性高分子化合物(A)が、粒径500nm以下のカチオン性高分子化合物(A)微粒子で高分子固体電解質フィルムを提供するものである。
更には、高分子化合物(C)が、電解質塩(B)を固溶化できる化合物である高分子固体電解質フィルムである。
本発明の高分子固体電解質フィルムは、カチオン性高分子化合物が相分離構造を形成することにより、高いイオン導電性が発現するので大容量の電池の使用にも適している。しかも、液漏れなどの心配が無く、薄膜化や大型化など加工性に優れている。
カチオン性高分子化合物(A)
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)は、カチオン性官能基を有する水不溶性の熱可塑性または熱硬化性の高分子化合物であり、具体的には、例えば電気泳動法を用いた分散系でのゼータ電位を示す高分子化合物である。
カチオン性高分子化合物(A)に結合されてなる、カチオン性官能基としては、代表的なものではアミノ基やイミノ基又は、飽和環或いは不飽和環中に窒素原子を含んだ複素環化合物も含まれる。この中でアミノ基又はイミノ基が好ましい。
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)は、カチオン性官能基を有する化合物の単独重合体であっても、他の化合物との共重合体であっても、高分子化合物全体としてカチオン性を有すれば良い。カチオン性官能基を有する化合物として例えば、アミノ基を有するものがあり、具体的にはアミノ基含有(メタ)アクリレート系化合物又はアミノ基含有(メタ)アクリルアミド系化合物(以下、「アミノ基含有化合物」という場合がある。)があげられる。
カチオン性高分子化合物(A)として、共重合体とする場合には、好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル系化合物又はスチレン(以下、「共重合化合物」という場合がある。)と、前記カチオン性官能基を有する化合物とを共重合させる。更には、カチオン性高分子化合物のカチオン性を損なわない範囲でその他の共重合可能な化合物を共重合させても良い。
本発明に係るカチオン性高分子化合物を構成する化合物についてより具体的に示すが、これら化合物に限定されるものではない。
(1)アミノ基含有化合物としては、以下の種々の化合物があげられ、これら化合物を1種又は2種以上を用いることができる。
アミノ基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N、N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等のN、N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート類又はN、N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート類があげられる。
アミノ基含有(メタ)アクリルアミド系化合物としては、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N、N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド等のN、N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド類又はN、N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド類があげられる。
更には、上記化合物が一部ハロゲン化された、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化エチル基、ハロゲン化ベンジル基等の4級塩類の置換基を有するものであっても良い。特に、上記化合物中、N、N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート類、N、N−ジアルキルアミノアルキルメタクリレート類、N、N−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド類又はN、N−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド類がハロゲン化してもカチオン性の低下が少ない為、適している。
また、カチオン性高分子化合物(A)を作成する際に添加されるカチオン性を示す重合開始剤を用いた場合には、その重合開始剤に由来するカチオン性基により、カチオン性高分子化合物がカチオン性を有することもある。
(2)共重合化合物としては、具体的には以下の種々の化合物があげられ、これら化合物を1種又は2種以上を用いることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系化合物としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート等、又はこれらのメタクリル酸化合物があげられる。
また、その他の炭素原子数1乃至12のアルキルアクリレート又はメタクリレート等が挙げられる。
(3)その他、カチオン性官能基を有する化合物と共重合可能な化合物としては、以下の種々の化合物があげられ、これら化合物を1種又は2種以上を用いることができる。具体的には、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸等の不飽和カルボン酸類;
2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基含有ビニル類;
2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル類;、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド等のアミド類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;
塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、クロロプレン、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、クロロプレン、ビニルピロリドン、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、アリルメタアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、アリルメルカプタン等が挙げられる。
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)は、上記アミノ基含有化合物と、共重合化合物とを、それぞれ、1〜90重量%及び、99〜10重量%好ましくは1〜60重量及び99〜40重量%、さらに好ましくは2〜40重量%及び、98〜60重量%の割合で重合させて得られるカチオン性高分子化合物がより好ましい。その他、カチオン性官能基を有する化合物と共重合可能な化合物はカチオン性高分子化合物のカチオン性を損なわない範囲で、必要に応じて0〜30重量%の割合で重合させても良い。
アミノ基含有化合物が90重量%を超えたり或いは共重合体化合物が10重量%未満では、カチオン性高分子化合物(A)の親水性が高まることに伴って吸湿性が高くなる或いは乾燥処理が困難になるなどの問題が生じる虞がある。アミノ基含有化合物が1重量%未満或いは共重合体化合物が98重量%を超えると、十分なイオン導電向上能が発現されない虞がある。
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)は、上記の方法に限らず、他の高分子化合物に上記カチオン性を有する化合物をグラフト重合等により付加或いは変性させたものであっても良い。有する化合物としては、共重合させる高分子化合物としては、(メタ)アクリル系ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体)、スチレン−(メタ)アクリル系ポリマー(例えば、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルの(共)重合体)、MBR系ポリマー(メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体)、SBR系ポリマー(スチレン−ブタジエン共重合体)、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、EVA系ポリマー(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、メラミン系ポリマー、尿素系ポリマーまたはオレフィン系ポリマー等があげられ公知の方法で重合して得られる高分子化合物であっても良い。
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)のガラス転移温度は、通常、−50℃以上150℃以下の範囲にある。ガラス転移温度が低すぎるとカチオン性高分子化合物(A)が凝集しやすくなり、高すぎると延伸等加工した際にカチオン性高分子化合物(A)の高分子鎖が変形したりして、カチオン性高分子化合物(A)が、高分子固体電解質フィルム中で均一な分散状態とはならない虞がある。
カチオン性高分子化合物(A)の微粒子
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)は、予め粒子状にしておいても良い。カチオン性高分子化合物(A)を微粒子にしておくことにより、高分子固体電解質フィルム中にカチオン性高分子化合物(A)を容易に且つ効率良く相分離させることができる。かかるカチオン性高分子化合物(A)の微粒子は、前記カチオン性高分子(A)の高分子鎖が、絡み合ったものであって、鎖中のカチオン性基が微粒子の外表面に存在するように球状になったものである。カチオン性高分子化合物(A)の微粒子の形状は、カチオン性基が粒子表面をほぼ均一に存在してイオンバランスをとる為、通常は球形または楕円形である。但し、カチオン性高分子化合物の種類や条件等によっては、相分離構造をとりながら、立方体状、柱状、板状、円錐状、多角錐状、ラメラ状、シリンダー状又は不定形状など種々の形状をとることもできる。
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)の微粒子の平均粒子径は500nm以下であり、好ましくは250〜20nmの範囲にある。本発明の高分子固体電解質フィルムを製造する際に、カチオン性高分子化合物(A)の微粒子を同一重量用いる場合、カチオン性高分子化合物(A)の微粒子の粒径が小さいほど粒子の単位体積当りの表面積が大きくなり、且つ、粒子数が増加する。表面積が大きいほどカチオン性高分子化合物(A)の微粒子の外表面に形成される界面の表面積が増加し、高イオン伝導が可能となる。また微粒子数が増大するほど微粒子間距離が短くなり、微粒子間でのイオンの移動が容易になる。したがって、カチオン性高分子化合物(A)の微粒子は粒子径が小さく、粒子数が多い方がイオン導電性は向上するので好ましい。平均粒子径が500nmを超えると十分なイオン導電性が発現しない虞がある。
本発明に係るのカチオン性高分子化合物(A)の微粒子は、微粒子同士が複数個結合して、数珠状又はネットワーク状であっても良い。カチオン性高分子化合物(A)の微粒子は、多数凝集して見かけ上一つの塊状になった二次粒子や、高分子固体電解質フィルム中で一つの構造体となる場合は、高いイオン導電性を発現できない虞があるので好ましくない。その為、本発明の高分子固体電解質フィルムを製造する際には、高分子化合物(C)とカチオン性高分子化合物(A)の微粒子との組合せを適宜選択することが好ましい。またカチオン性高分子化合物(A)の微粒子は微粒子同士、数珠状のもの同士又は微粒子と数珠状のものが適当な距離を有し、ほぼ均一に分散した状態であることが好ましい。
カチオン性高分子化合物(A)の微粒子の製造方法
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)の微粒子は、種々公知の乳化重合法、あるいは機械乳化重合法で製造することができる。カチオン性高分子化合物(A)の微粒子は重合した液中で分散し、高分子分散体となる。重合方法として具体的には、例えば乳化重合法としては、分散剤と重合開始剤の存在下で、各種化合物を一度に仕込み重合する方法と化合物を連続的に供給しながら重合する方法とがある。本発明に係るカチオン性高分子(A)の微粒子の重合は通常30〜90℃で行うのが好ましい。
<分散剤>
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)の微粒子の重合に使用される分散剤としては、カチオン性又はノニオン性の界面活性剤、カチオン系又はノニオン系の水溶性高分子化合物が挙げられる。具体的には以下の分散剤があげられるがこれに限定されるものではなく、また必要に応じて1種又は2種以上を選択できる。
カチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、アルキルアミングアニジンポリオキシエタノール、アルキルピコリニウムクロライド等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、tert−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙る。
カチオン系水溶性高分子化合物としては、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、カチオン化ポリメタクリルアミド、ポリアミドポリウレア、ポリエチレンイミン、アリルアミン又はその塩の共重合体、エピクロルヒドリン−ジアルキルアミン付加重合体、ジアリルアルキルアミン又はその塩の重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩の重合体、ジアリルアミン又はその塩と二酸化イオウとの共重合体、ジリルジアルキルアンモニウム塩−二酸化イオウ共重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩とジアリルアミン、その塩又はその誘導体との共重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩の重合体、ジアリルジアルキルアンモニウム塩−アクリルアミド共重合体、アミン−カルボン酸共重合体等が挙げられる。
ノニオン系水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール又はその誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体;ポリビニルピロリドン又は酢酸ビニルを共重合させたポリビニルピロリドン等のポリビニルピロリドン誘導体;その誘導体カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリルアミド又はその誘導体;ポリメタクリルアミド又はその誘導体;ゼラチン、カゼイン等が挙げらる。
本発明に係る分散剤の使用量は特に制限されないが、通常、カチオン性高分子化合物(A)を共重合させる化合物の全重量を基準として0.02〜20重量%であるのが好ましい。
<重合開始剤>
本発明に係るカチオン性高分子化合物(A)の微粒子の重合に使用される重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤が使用できる。具体的には、以下の化合物があげられるがこれに限定されるものではなく、また必要に応じて1種又は2種以上を選択できる。
具体例としては、過酸化水素;過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−フェニルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(4−クロロフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス〔2−(N−アリルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)〕プロピオンアミド]]、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物等のアゾ化合物があげられる。
あるいは前記化合物との組み合わせによるレドックス開始剤等が挙げられる。例えば、鉄イオン等の金属イオン、ナトリウムスルホキシレート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸又はロンガリット等が挙げられる。
開始剤の使用量は、共重合させる化合物の全重量を基準として0.1〜5重量%である。
本発明のカチオン性高分子化合物(A)の微粒子の製造には、目的を損なわない範囲範囲で、必要に応じて添加剤を使用することができ、例えば、分子量調節剤等が使用できる。分子量調節剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、アリルスルフォン酸、メタアリルスルフォン酸又はこれらのソーダ塩等のアリル化合物などがあげられる。
カチオン性高分子化合物(A)微粒子分散体
本発明の高分子固体電解質フィルムは、カチオン性高分子化合物(A)、電解質塩(B)及び高分子化合物(C)を混合して製造しうるが、前記記載の方法で、カチオン性高分子化合物(A)の微粒子を予め水又は水系溶媒に均一分散させてカチオン性高分子化合物(A)微粒子分散体を用いることが好ましい。カチオン性高分子化合物(A)微粒子分散体は、カチオン性高分子化合物(A)を乳化重合する際に使用した分散液又は重合開始剤をそのまま含んでいても良いし、種々公知の方法で除去して良い。
カチオン性高分子化合物(A)微粒子分散体の溶媒は、公知のものを種々選択できるが、具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、アセトンメチルエチルケトン、シクロペンタノン、スルホラン等があげられる。高分子分散体のpHは、7以下、好ましくは5以下、更に好ましくは2以下にすると、カチオン性高分子化合物微粒子(A)のカチオン性を安定にするのに適している。溶媒は高分子固体電解質フィルムにする際の乾燥工程で蒸発するものが好ましい。
電解質塩(B)
本発明に係る電解質塩(B)は、電解質塩として通常使用されるものを用いることができるが、高分子固体電解質中での解離定数が大きいことが望ましい。具体的には、LiCFSO、LiN(CFSO、LiPF、LiClO、LiI、LiBF、LiSCN、LiAsF、LiCl、NaCFSO、NaPF、NaClO、NaI、NaBF、NaAsF、KCFSO、KPF、KIなどのアルカリ金属塩、(CH)4NBFなどの4級アンモニウム塩、(CHPBFなどの4級ホスホニウム塩、その他AgClOなどの金属塩が例示される。
高分子化合物(C)
本発明に係る高分子化合物(C)は、電解質塩(B)と相溶するもの、好ましくは、高濃度に固溶化できるものであれば特に限定されない。かかる高分子化合物(C)としては、具体的には、ポリエーテル系高分子化合物、ポリビニルアルコール系高分子化合物、ポリエステル系高分子化合物、ポリカーボネート系高分子化合物、ポリイミン系高分子化合物、ポリスルフィド系高分子化合物があげられる。これらの高分子化合物は単独であってもあるいは2種以上の混合物であっても良い。
ポリエーテル系高分子化合物の例としては、オキシエチレン、オキシプロピレン又は、オキシテトラテトラメチレンの単独重合体あるいは共重合体で且つ、化合物末端基がメトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基になっているものが挙げられる。また、ポリビニル、ポリホスファゼン又は、ポリシロキサン主鎖にポリエーテルセグメントの側鎖をもつ櫛型高分子で、且つ、ポリエーテル成分が重量比で50%以上含まれる公知の高分子化合物も含まれる。分子量は固体電解質として形状を保持できる大きさであれば特に問題はなく、5万以上好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上のものが使用される。
ポリビニルアルコール系高分子化合物としては、ケン化度が50%以上、重合度が500〜3000の範囲にあるものから選ばれる。ケン化度が80〜90%の部分ケン化ポリビニルアルコールはカチオン性高分子化合物(A)を良好に分散するので好ましい。また、カルボキシル(塩)基、スルホン酸(塩)基、チオール基、シラノール基、アミノ基などの官能基をもつ変性ポリビニルアルコールであっても良い。カチオン性またはノニオン性のポリビニルアルコールを用いるとカチオン性高分子化合物(A)の分子又は微粒子の分散状態を良好にできるため好ましい。アニオン性のポリビニルアルコールはアニオン化度、分子量又は混合・複合化する際の濃度は、カチオン性高分子化合物(A)の分子或いは微粒子の凝集を引き起こす虞があるのでそれら条件を適宜選択するのが好ましい。
ポリエステル系高分子化合物としては、ポリ−β−プロピオラクトンのような脂肪族のポリエステルが例示される。
ポリカーボネート系高分子化合物としては、ビスフェノール類とホスゲンとの反応により生成するもの、あるいはビスフェノール類とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応により合成されるもので、電解質が分離することなく相溶することができるものから選ばれる。
ポリイミン系高分子化合物としては、ポリエチレンイミンおよびその誘導体が例示される。
ポリスルフィド系高分子化合物としては、ポリアルキレンスルフィドが例示される。
その他のポリマーとしては、ポリN−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドなどがあげられる。
これらの高分子化合物(C)の中でも、ポリエーテル系高分子化合物及びポリビニルアルコール系高分子化合物等の水溶性高分子化合物が、本発明の高分子固体電解質フィルムを後述の製造方法で容易に得られるので好ましい。
高分子固体電解質フィルム
本発明の高分子固体電解質フィルムは、カチオン性高分子化合物(A)、電解質塩(B)及び高分子化合物(C)とからなり、カチオン性高分子化合物(A)が、高分子固体電解質中で相分離している。本発明の高分子固体電解質フィルムは、好ましくは、電解質塩(B)と高分子化合物(C)とが固溶化している。より好ましくは、カチオン性高分子化合物(A)が、高分子固体電解質フィルム中でナノメートルサイズ、カチオン性高分子化合物(A)が微粒子である場合には粒径500nm以下、特に好ましくは250〜20nmで均一に分散した状態で相分離している。
本発明の高分子固体電解質フィルムは、カチオン性高分子化合物(A)中のカチオン性基が高分子化合物(C)との界面を形成することで相分離している。カチオン性高分子化合物(A)が相分離した界面では、カチオン性高分子化合物(A)の表面と電解質塩(B)の表面とからなる界面でアニオンとの相互作用が向上するため、カチオンがフリーイオンとなってイオンが移動しやすくなっているものと考えられる。また、カチオン性高分子化合物(A)を、例えば上記範囲の微粒子状にして、ナノサイズで均一に分散させると、界面の比率が飛躍的に増大する結果、界面の効果が強調されて大きなイオン導電性が発現するものと考えられる。
本発明の高分子固体電解質フィルムは、好ましくは高分子化合物(C)中にカチオン性高分子化合物(A)の分子又は微粒子が凝集することなく均一に分散した相分離構造をとるが、カチオン性高分子化合物(A)の分子が複数結合したり、カチオン性高分子化合物(A)が微粒子である場合には、微粒子同士が複数個結合して数珠状又はネットワーク状となることがある。これは、カチオン性高分子化合物(A)のカチオン化度やTg、分子化合物(A)が微粒子である場合にはその粒径、および高分子化合物(C)の分子量、イオン性又はTgなどの組合せによっては微粒子同士が結合するものであり、イオン導電性が更に向上する場合がある。
本発明の高分子固体電解質フィルムにおける、カチオン性高分子化合物(A)、電解質塩(B)及び高分子化合物(C)の割合は、高分子化合物(C)や電解質塩(B)の種類により異なるが、通常、カチオン性高分子化合物(A)の量は、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜75重量%の範囲である。電解質塩(B)の量は、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%である。
カチオン性高分子高分子(A)が微粒子である場合には、その割合は、電解質塩(B)又は高分子化合物(C)の種類により異なるが、高分子固体電解質フィルムの強度に問題がなく、カチオン性高分子化合物(A)の微粒子がマクロに凝集することがないように適宜選択することができる。高分子固体電解質フィルム中のカチオン性高分子化合物(A)の微粒子の量は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%であり、電解質塩(B)の量は、好ましくは50〜10重量%、より好ましくは40〜15重量%である。通常は、電解質塩(B)の濃度が高くなる程イオンキャリヤ量が増えるため電導度が向上するが、高分子化合物(C)によっては電解質塩(B)が高分子化合物(C)の架橋点として作用して高分子鎖の柔軟性を失わせるためにイオン伝導度が低下する虞がある。
高分子固体電解質フィルムの製造方法
本発明の高分子固体電解質フィルムは、カチオン性高分子化合物(A)、電解質塩(B)及び高分子化合物(C)を均一に溶融混練後、押出し成形してフィルム状にすることで、冷却時にカチオン性高分子化合物(A)が相分離することにより得ることができる。カチオン性高分子化合物として微粒子を用いた場合には、
カチオン性高分子化合物(A)の微粒子を形成させた水溶液と、電解質塩(B)及び高分子化合物(C)とを混合して均一なカチオン性高分子化合物(A)微粒子分散体を得た後、フィルム状に流延して乾燥する方法がカチオン性高分子化合物(A)の微粒子を容易に相分離させることができるので好ましい。カチオン性高分子化合物(A)微粒子分散体、好ましくは水性分散体を用いる場合には、高分子化合物(C)として水溶性高分子または水に分散可能なものを用いるのが好ましく、高分子化合物(C)と電解質塩(B)についても相溶あるいは均一に分散できる溶媒、特に水溶性の溶媒に予め混合しておくのが好ましい。
高分子化合物(C)と電解質塩(B)とを相溶する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、アセトンメチルエチルケトン、シクロペンタノン、スルホランがあげられる。これらの溶媒は1種又は2種以上を混合した混合溶媒であっても良い。
混合は任意の順序で行うことができるが、好ましい順序としては、カチオン性高分子化合物(A)微粒子分散体と高分子化合物(C)溶液とを添加混合して均質な混合液とした後に、電解質塩(B)溶液を添加する方法が例示できる。かかる順序で混合することにより、高分子化合物(C)がカチオン性高分子化合物(A)微粒子の保護コロイドとなってカチオン性高分子化合物(A)微粒子の分散状態を安定化し、電解質塩(B)溶液を添加した際のイオン強度増加に伴う粒子間の凝集作用が抑制できる可能性があるためである。混合は、高分子化合物(C)および電解質塩(B)が溶解でき、且つカチオン性高分子(A)微粒子の安定性に問題のない温度条件下で行うのが好ましい。また、一度に全量を混合しても、複数回に分けて混合しても、滴下により徐々に添加して混合しても良く、バッチ式で攪拌下で混合してもラインミキサー中で混合しても良い。
本発明の高分子固体電解質フィルムは、混合液から通常フィルムを成形する方法により成形できる。例えば、押出成形法、キャスト法、或いは混合液を一旦ペレット状や粉末状に加工した後にホットプレス法などでフィルム状にすることもできるが、キャスト法で作成するのが好ましい。
キャスト法を用いた場合は、ガラス、石英、金属、セラミックス、プラスチック又はゴム等からなる基板、ロール又はベルト等の上に混合液を塗布・製膜する。これを必要に応じて加熱、減圧、送気、赤外線照射あるいはマイクロ波照射等の処理を行って溶剤を蒸発させるために乾燥をする。塗布方法は特に制限はなく、流し塗り法、浸漬法又はスプレー法等があり、バーコーター、スピンコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター又はスプレーコーター等の公知の塗工機を使用できる。これらの方法による高分子固体電解質フィルムの乾燥前の厚みは概ね1μm〜10mmであることが好ましく、塗布法の選択により任意に厚みを設定できる。乾燥は、溶媒或いはカチオン性高分子化合物(A)の種類にもよるが、0〜200℃程度の温度で、常圧あるいは減圧下に行うのが好ましい。乾燥温度が高すぎると、乾燥過程でカチオン性高分子化合物(A)又はカチオン性高分子化合物(A)微粒子がマクロ凝集を起こして均質な構造にはならず強度に問題が生じたりあるいは十分なイオン導電率が発現しないなどの問題が生じる虞がある。一方乾燥温度が低すぎると生産性に問題が生じるため好ましくない。乾燥は、乾燥空気あるいは乾燥窒素を流通させて乾燥時間を短縮することができる。得られた高分子固体電解質フィルムを基板剥がして使用する場合には、プラスチック製の基材を用いると離型性が良好であるが、その他の基材を用いる場合にも必要に応じて各素材に公知の離型剤を予め塗布するとよい。本発明の高分子固体電解質フィルムを作成する過程では、水の混入を極力避けるために、乾燥雰囲気下に実施されることが望ましい。
高分子固体電解質フィルムの延伸
本発明の高分子固体電解質フィルムは、そのままでも高いイオン電導度を示すが、延伸することによりその性能が向上する。その理由は必ずしも明確にはなっていないが、延伸により薄膜化されたフィルム中のカチオン性高分子化合物(A)の分子間距離が近接することが理由の1つと考えられ、カチオン性高分子化合物(A)が微粒子である場合には粒子間が近接するためと考えられる。本発明に係る延伸は、種々公知の方法をとることができ、一軸延伸、二軸延伸、多軸延伸等の何れでも良い。延伸条件は延伸する高分子固体電解質フィルムの組成により適宜種々選択できるが、通常は概ね40℃〜200℃の温度範囲で行なわれるが、いわゆる冷延伸を行ったり、必要に応じて不活性ガス雰囲気下で行っても良い。延伸倍率は、適宜選択できるが、2〜10倍、好ましくは2〜6倍程度である。
以下に、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の例において示す部及び%は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。
[カチオン化度の測定方法]:
固形分濃度を1%に調整した試料エマルションを、粒子表面電荷量測定装置(PCDメーター;独・ミューテック社製 Model PCD 03 pH)を用い、コロイド滴定用1/400Nポリビニル硫酸カリウム溶液(和光純薬工業(株)製)により滴定して求めた。
[平均粒子径の測定方法]:光散乱測定により測定した。
[ガラス転移温度の測定方法]: JIS K 7121に基づきDSC曲線から求めた。
[カチオン性高分子化合物分散体(A−1)]
予め、スチレン90部、n−ブチルアクリレート10部、脱イオン水50部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を混合して乳化混合物を用意した。
反応容器に 脱イオン水180部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を反応容器に入れて、窒素気流下で70℃迄昇温後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.6部を添加し、これに前記用意した乳化混合物を4時間かけて滴下した。これを70℃で4時間保持して重合をした後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3部を添加し、さらに70℃で6時間保持して重合を完結させ、脱イオン水で不揮発分を30%に調整した。
かかる一連の操作により、カチオン化度+60μeq/g、pH5、平均粒子径73nm及びガラス転移温度が100.0℃のカチオン性高分子化合物の微粒子が水に分散したスチレン・n−ブチルアクリレート共重合体に2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)が付加したカチオン性高分子化合物分散体(A−1)を得た。
[カチオン性高分子化合物分散体(A−2)]
予め、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド4部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を脱イオン水50部に溶解した後、塩酸によりpHを3に調整し、その中にスチレン94部及びn−ブチルアクリレート2部を滴下して乳化混合物を用意した。
反応容器に、脱イオン水180部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を入れて、窒素気流下で70℃迄昇温後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.6部を添加し、これに前記用意した乳化混合物を4時間かけて滴下した。これを70℃で4時間保持して重合した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3部を添加し、さらに70℃で6時間保持して重合を完結させ、脱イオン水で不揮発分を30%に調整した。
かかる一連の操作により、カチオン化度+170μeq/g、pH4.1、平均粒子径93nm及びガラス転移温度が100.3℃のN、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・スチレン・n−ブチルアクリレート共重合体からなるカチオン性高分子化合物の微粒子が水に分散したカチオン性高分子化合物分散体(A−2)を得た。
[カチオン性高分子化合物分散体(A−3)]
予め、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド8部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を脱イオン水50部に溶解した後、塩酸によりpHを3に調整し、その中にスチレン89部及びn−ブチルアクリレート3部を滴下して乳化混合物を用意した。
反応容器に、脱イオン水180部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を入れて、窒素気流下で70℃迄昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.6部を添加し、これに前記用意した乳化混合物を4時間かけて滴下し、これを70℃で4時間保持して重合した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3部を添加し、さらに70℃で6時間保持して重合を完結させ、脱イオン水で不揮発分を30%に調整した。
かかる一連の操作により、カチオン化度+270μeq/g、pH4.3、平均粒子径109nm及びガラス転移温度が99.6℃のN、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・スチレン・n−ブチルアクリレート共重合体からなるカチオン性高分子化合物の微粒子が水に分散したカチオン性高分子化合物分散体(A−3)を得た。
[カチオン性高分子分散体(A−4)]
予め、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド8部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を脱イオン水50部に溶解した後、塩酸によりpHを3に調整し、その中にスチレン57部及びn−ブチルアクリレート35部を滴下して乳化混合物を用意した。
反応容器に、脱イオン水180部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を入れて、窒素気流下で70℃迄昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.6部を添加し、これに前記用意した乳化混合物を4時間かけて滴下し、これを70℃で4時間保持して重合した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3部を添加し、さらに70℃で6時間保持して重合を完結させ、脱イオン水で不揮発分を30%に調整した。
かかる一連の操作により、カチオン化度+420μeq/g、pH4.2、平均粒子径112nm及びガラス転移温度が30.7℃のN、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・スチレン・n−ブチルアクリレート共重合体からなるカチオン性高分子化合物の微粒子が水に分散したカチオン性高分子化合物分散体(A−4)を得た。
[カチオン性高分子化合物分散体(A−5)]
予め、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド8部及びラウリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を脱イオン水50部に溶解した後、塩酸によりpHを3に調整し、その中にスチレン24部及びn−ブチルアクリレート68部を滴下して乳化混合物を用意した。
反応容器に、脱イオン水180部及びラウリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を入れて、窒素気流下で70℃迄昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.6部を添加し、これに用意した乳化混合物を4時間かけて滴下し、これを70℃で4時間保持して重合した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3部を添加し、さらに70℃で6時間保持して重合を完結させ、脱イオン水で不揮発分を30%に調整した。
かかる一連の操作により、カチオン化度+570μeq/g、pH4.2、平均粒子径123nm及びガラス転移温度が−20.1℃のN、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・スチレン・n−ブチルアクリレート共重合体からなるカチオン性高分子化合物の微粒子が水に分散したカチオン性高分子化合物分散体(A−5)を得た。
[カチオン性高分子化合物分散体(A−6)]
予め、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド16部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を脱イオン水50部に溶解した後、塩酸によりpHを3に調整し、その中にスチレン22部及びn−ブチルアクリレート62部を滴下して乳化混合物を用意した。
反応容器に、脱イオン水180部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を入れて、窒素気流下で70℃迄昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.6部を添加し、これに用意した乳化混合物を4時間かけて滴下し、これを70℃で4時間保持して重合した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3部を添加し、さらに70℃で6時間保持して重合を完結させ、脱イオン水で不揮発分を30%に調整した。
かかる一連の操作により、カチオン化度+1034μeq/g、pH3.9、平均粒子径239nm及びガラス転移温度が58.9℃のN、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・スチレン・n−ブチルアクリレート共重合体からなるカチオン性高分子化合物の微粒子が水に分散した(A−6)を得た。
[カチオン性高分子化合物分散体(A−7)]
予め、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライド4級化物16部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を脱イオン水50部に溶解した後、スチレン24部及びn−ブチルアクリレート68部を滴下して乳化混合物を用意した。
反応容器に、脱イオン水180部及びステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.5部を入れて、窒素気流下で70℃迄昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.6部を添加し、これに用意した乳化混合物を4時間かけて滴下し、これを70℃で4時間保持して重合した後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.3部を添加し、さらに70℃で6時間保持して重合を完結させ、脱イオン水で不揮発分を30%に調整した。
かかる一連の操作により、カチオン化度+403μeq/g、pH4.2、平均粒子径109nm及びガラス転移温度が−21.0℃のN、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド・スチレン・n−ブチルアクリレート共重合体からなるカチオン性高分子化合物の微粒子が水に分散したカチオン性高分子化合物分散体(A−7)を得た。
[実施例1]
予め蒸留水に溶解しておいた部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA 217C;クラレ社製、ケン化度87.0〜89.0モル%、重合度 1700)の水溶液(濃度10.35%)32.98g 、蒸留水85.89g及び前記カチオン性高分子化合物分散体(A−1)4.88gを室温下で攪拌しながらこの順に添加して、分離や凝集の無い均質な混合溶とした。次いで混合液に、電解質塩として10%LiN(CFSO水溶液 26.25gを加え、室温で良く攪拌して混合した。カチオン性高分子化合物分散体(A−1)、電解質塩及びPVAの固形重量比は、それぞれ19.5:35.0:45.5である。
次いでこの混合液を直径90mmのシャーレに入れ、水平台上にのせて乾燥窒素気流下で数日間放置後、60℃の送風乾燥機中で5時間乾燥し、更に60℃の真空乾燥機中で4時間乾燥することによって、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルムを得た。
得られた高分子固体電解質フィルムの一部を、100℃のオーブン中に入れた延伸機にセットし、15分間加熱後、速度4mm/minで3.5倍に延伸し、高分子電解質延伸フィルムを得た。
[実施例2〜5]
実施例1で用いたカチオン性高分子化合物分散体(A−1)に代えて、前記方法で得たカチオン性高分子化合物分散体(A−2)〜(A−5)を用いる以外は実施例1と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[実施例6]
実施例1で用いた部分ケン化ポリビニルアルコール水溶液に代えて、部分ケン化アニオン性ポリビニルアルコール(PVA KL−318;クラレ社製、ケン化度 85.0〜90.0モル%、重合度1800)水溶液(濃度9.44%)36.13g及び蒸留水82.74gを、更にカチオン性高分子化合物分散体(A−1)に代えて、前記方法で得られたカチオン性高分子化合物分散体(A−2)を4.88g用いた以外は実施例1と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[実施例7〜8]
実施例6で用いたカチオン性高分子化合物分散体(A−2)に代えて、前記方法で得たカチオン性高分子化合物分散体(A−3)及び(A−4)を用いる以外は、実施例6と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[実施例9]
実施例1で用いた部分ケン化ポリビニルアルコール水溶液に代えて、部分ケン化カチオン性ポリビニルアルコール(PVA C−318;クラレ社製、ケン化度 84.0〜86.0モル%、重合度1800)水溶液(濃度9.19%)37.12g 及び蒸留水81.75gを用いた以外は実施例1と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルムを及び高分子固体電解質延伸フィルム得た。
[実施例10〜15]
実施例6で用いたカチオン性高分子化合物分散体(A−1)に代えて、前記方法で得たカチオン性高分子化合物分散体(A−2)〜(A−7)を各々用いた以外は、実施例9と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[実施例16]
予め蒸留水に溶解しておいた部分ケン化アニオン性ポリビニルアルコール(PVA KL−318;クラレ社製、ケン化度 85.0〜90.0モル%、重合度1800)水溶液(濃度9.44%)25.81g、蒸留水89.82g及び前記カチオン性高分子化合物(A−2)8.13gを室温下で攪拌しながらこの順に添加して、分離や凝集のない均質一な混合溶液とした。次いで、混合液に電解質塩として10%LiN(CFSO水溶液26.25gを加え、室温で良く攪拌して混合した。カチオン性高分子化合物分散体(A−2)、電解質塩及びPVAの固形重量比は、それぞれ32.5:35.0:32.5である。
次いで、実施例1と同様の操作を行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[実施例17〜18]
実施例16で用いたカチオン性高分子化合物分散体(A−2)に代えて、前記方法で得たカチオン性高分子化合物分散体(A−3)及び(A−4)を各々用いる以外は、実施例16と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[実施例19]
実施例16で用いた部分ケン化カチオン性ポリビニルアルコール水溶液に代えて、部分ケン化カチオン性ポリビニルアルコール(PVA C−318;クラレ社製、ケン化度 84.0〜86.0モル%、重合度1800)水溶液(濃度9.19%)26.51g及び蒸留水89.11gを、カチオン性高分子化合物分散体(A−2)に代えて、前記方法で得たカチオン性高分子化合物分散体(A−1)8.13gを各々用いる以外は実施例16と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[実施例20〜23]
実施例19で用いたカチオン性高分子化合物分散体(A−2)に代えて、前記方法で得たカチオン性高分子化合物分散体(A−2)〜(A−5)を用いる以外は、実施例19と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[比較例1]
予め蒸留水に溶解しておいた部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA 217C;(株)クラレ社製、ケン化度87.0〜89.0モル%、重合度1700)水溶液(濃度10.35%)94.20g、蒸留水3.30g及び電解質塩として10%LiN(CFSO水溶液 52.50gを加え、室温で良く攪拌して混合し、た。電解質塩とPVAの固形重量比は、それぞれ35.0:65.0である。
次いで、実施例1と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[比較例2]
比較例1で用いた部分ケン化アニオン性ポリビニルアルコール水溶液に代えて、部分ケン化アニオン性ポリビニルアルコール(PVA KL−318;クラレ社製、ケン化度85.0〜90.0モル%、重合度1800)水溶液(濃度9.44%)103.28gを用いる以外は、比較例1と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[比較例3]
比較例1で用いた部分ケン化アニオン性ポリビニルアルコール水溶液に代えて、部分ケン化カチオン性ポリビニルアルコール(PVA C−318;クラレ社製、ケン化度 84.0〜86.0モル%、重合度1800)水溶液(濃度9.19%)106.09gを用いる以外は、比較例1と同様に行い、透明で柔軟な高分子固体電解質フィルム及び高分子固体電解質延伸フィルムを得た。
[イオン電導度測定]
得られた高分子固体電解質延伸フィルムの両面に、電極として金を同心円状に真空蒸着した。その同心円の一番外側のリング状部分を一方の電極としてアースをつないで表面電流による影響を受けないようにした。また同心円の一番内側の円形部分をも一方の電極とし、両電極間に交流を印加して、交流インピーダンス法を用いて電極間の抵抗値を測定し、コール・コールプロットの実数インピーダンス切片から、イオン伝導度を計算値として求めた。測定は電極を室温で真空に保持して行った。結果を表1に示す。
[透過型電子顕微鏡観察]
実施例16で得られた、延伸前の高分子固体電解質フィルムを超薄切片法で処理して断面を酸化ルテニウムで染色後、透過型電子顕微鏡で観察した。その写真を図1に示す。カチオン性高分子化合の微粒子は、単独で存在したり、微粒子同士がつながって数珠状又はネットワーク状の構造を形成して存在しており、且つ、全体として高分子固体電解質フィルム中に均質に分散していることがわかる。
実施例16で得られた高分子固体電解質フィルムが相分離構造をもつことを示す透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (9)

  1. カチオン性高分子化合物(A)、電解質塩(B)及び高分子化合物(C)からなり、カチオン性高分子化合物(A)が相分離してなることを特徴とする高分子固体電解質フィルム。
  2. カチオン性高分子化合物(A)が粒径500nm以下の微粒子状に相分離してなる請求項1記載の高分子固体電解質フィルム。
  3. 粒径500nm以下のカチオン性高分子化合物(A)微粒子が、数珠状に繋がって相分離してなる請求項2記載の高分子固体電解質フィルム。
  4. 電解質塩(B)が、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩から選ばれる1種以上の塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子固体電解質フィルム。
  5. 高分子化合物(C)が、電解質塩(B)を固溶化できる化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の高分子固体電解質フィルム。
  6. 高分子化合物(C)が、ポリエーテル系高分子化合物、ポリビニルアルコール系高分子化合物、ポリエステル系高分子化合物、ポリカーボネート系高分子化合物、ポリイミン系高分子化合物、ポリスルフィド系高分子化合物から選ばれる1種以上である請求項5記載の高分子固体電解質フィルム。
  7. 電解質塩(B)がリチウム塩である、請求項4記載の高分子固体電解質フィルム。
  8. 高分子電解質フィルムが延伸されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の高分子固体電解質フィルム。
  9. カチオン性高分子化合物(A)分散体、電解質塩(B)及び高分子化合物(C)水溶液を均一に混合した後、当該混合物をフィルム状に流延し、乾燥することを特徴とする高分子固体電解質フィルムの製造方法。
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