JP2011172383A - 高分子アクチュエーター及びその製造方法 - Google Patents

高分子アクチュエーター及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 応答速度や屈曲量の向上だけでなく、ねじれのような複雑な動きや複合的な動きを可能にするとともに、これら動きの制御が容易な高分子アクチュエーターを提供する。
【解決手段】 イオン伝導性高分子膜(S1)の両面を導電性材料(Sa)で被覆したイオン伝導性高分子複合体を有する高分子アクチュエーター(2)であって、少なくとも一軸方向に延伸したイオン伝導性高分子膜(S1)を有するものとした。イオン伝導性高分子膜複合体(S1,Sa)の駆動面(P)を、前記イオン伝導性高分子膜(S1)の延伸軸と交叉する方向に設定してもよい。
【選択図】 図4

Description

本発明は、イオン伝導性高分子膜の両面に電極を形成し、この電極に電圧を印加することで前記イオン伝導性高分子膜を変形させる高分子アクチュエーター及びその製造方法に関する。
イオン伝導性高分子膜の両面を導電性材料で被覆した複合体の一側に電圧を印加すると、イオン伝導性高分子膜の内部でイオンが移動して、イオン伝導性高分子膜が変形する。高分子アクチュエーターは、このようなイオン伝導性高分子膜の性質を利用した駆動体で、例えば人工筋肉の駆動体として用いることで、生物に近いスムースでノイズの無い動きを得ることができることから、近年、自立歩行型ロボットや癒し形ロボット玩具等への応用が期待されている(例えば特許文献1,2,3参照)。
特開2007−329334号公報 特開2009−5436号公報 特開2007−244103号公報(請求項の記載参照)
このような期待から、この種の高分子アクチュエーターにおいては、応答速度の向上だけでなく、より生体の筋肉に近い動きを実現させたり、ねじれのような複雑な動きや、屈曲とねじれの複合的な動き(これらを総称して、「変形」と記載する)を実現させたり、変形量や応答速度を制御可能にすることへの要求が高まってきている。
本発明は、このような要求に応えるべくなされたもので、応答速度や屈曲量の向上だけでなく、ねじれのような複雑な動きや複合的な動きを可能にするとともに、これら動きの制御が容易な高分子アクチュエーター及びその製造方法の提供を目的とする。
高分子アクチュエーターの変形原理は、親水性ドメインが積極的に関与したイオン移動と水分子の移動であることが知られている。本発明の発明者は、この親水性ドメインの構造に着目し、親水性ドメインの構造に変化を与えることで、アクチュエーターの運動性に変化を起こすことができると推定した。この推定の下、本発明の発明者が鋭意研究を行った結果、イオン伝導性高分子膜に用いられるような高分子電解質材料は、延伸により強制的に分子配向させることができることから、高分子電解質材料を構成する疎水場を延伸により配向させれば、その近傍に凝集している親水性ドメインの構造に大きな影響を与えることができると予想して本発明に想到した。
具体的に、請求項1に記載の高分子アクチュエーターは、イオン伝導性高分子膜の両面を導電性材料で被覆したイオン伝導性高分子複合体を有する高分子アクチュエーターであって、少なくとも一軸方向に延伸した前記イオン伝導性高分子膜を有する構成としてある。
延伸の軸数は、一軸に限らず、異なる方向の二軸以上でもよい。
本発明において前記イオン伝導性高分子膜複合体の駆動面は、延伸軸と同じ方向としてもよいし、請求項2に記載するように、交叉する方向であってもよい。複数の延伸軸を有する場合は、少なくとも一つの延伸軸と交叉する方向に設定してもよい。
ここで、この明細書において「駆動面」とは、変形方向を含む平面を意味し、延伸軸を含む平面が変形方向を含む平面と平行であれば「駆動面と同方向」であり、両平面が交叉するのであれば「駆動面と交叉する方向」である。また、交叉の角度は直角に限らず40度等の他の角度であってもよい。
請求項3に記載するように、異なる複数軸方向に前記イオン伝導性高分子膜を延伸する場合において、少なくとも一つの軸の延伸量を、他の軸の延伸量と異なるものとしてもよい。
このように各軸の延伸量を異ならせることで、変形の形態や変形量を自在に調整することが可能になる。
前記イオン伝導性高分子膜に付与する延伸量の目安としては、請求項4に記載するように、前記イオン伝導性高分子膜材料の応力ひずみ線図における降伏強さから破断までの間を挙げることができる。
上記の高分子アクチュエーターは、請求項5〜9に記載の製造方法によって製造することができる。すなわち、請求項5に記載の方法は、イオン伝導性高分子膜の両面を導電性材料で被覆したイオン伝導性高分子複合体を有する高分子アクチュエーターの製造方法であって、イオン伝導性高分子膜材料を少なくとも一軸方向に延伸する工程と、延伸させた状態を維持させつつ前記イオン伝導性高分子膜材料の両面に導電性材料を被覆し、前記イオン伝導性高分子膜材料の両面に電極を形成する工程とを有する方法である。
本発明の方法においては、延伸させる軸の数は一つでもよいし、方向の異なる複数であってもよい。また、請求項6に記載するように、少なくとも一つの前記延伸軸が前記イオン伝導性高分子膜複合体の駆動面と交叉するように、前記イオン伝導性高分子膜材料からイオン伝導性高分子膜を取り出すようにしてもよい。
また、請求項7に記載するように、前記イオン伝導性高分子膜材料を延伸させた状態でメッキ液の中に漬け、前記導電性材料を前記イオン伝導性高分子膜材料の両面にメッキするようにしてもよい。また、請求項8に記載するように、
複数軸の方向に延伸を行う場合は、請求項8に記載するように少なくとも一つの軸の延伸量を他の軸の延伸量と異なるようにしてもよい。また、請求項9に記載するように、少なくとも一軸方向の延伸量を、前記イオン伝導性高分子膜材料の応力ひずみ線図における降伏強さから破断までの間に位置するようにしてもよい。
本発明に従ってイオン伝導性高分子膜材料を延伸し、このイオン伝導性高分子膜材料から取り出したイオン伝導性高分子膜を使って高分子アクチュエーターを作成し実験を行ったところ、延伸軸と駆動面との関係により、変形量の差が確認できた。このように、本発明では、延伸軸の方向,軸数,各延伸軸の延伸量及び駆動面との関係を種々組み合わせることで、変形量や変形形態,応答速度等を、高分子アクチュエーターの使用目的に応じて自在に調整することが可能になる。
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[イオン伝導性高分子膜材料]
本発明のイオン伝導性高分子膜を得るための材料であるイオン伝導性高分子膜材料としては、疎水場と親水性ドメイン構造とを併せ持つ構造であり、かつ、変形可能な柔軟性を有し、加水分解性が少なく、大気中で安定な高分子化合物を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系ポリマー;ポリスチレン;ポリイミド;ポリパラフェニレンオキサイド、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリパラフェニレンスルフィド等のポリアリーレン類(芳香族系ポリマー)等に、スルホン酸基(−SO3H)、カルボキシル基(−COOH)、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基等を導入したもの;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系のポリマー;含フッ素系のポリマーの骨格にスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホニウム基、アンモニウム基、ピリジニウム基等を導入したパーフルオロスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマー、パーフルオロリン酸ポリマー、ポリブダジエン系化合物;エラストマーやゲルなどのポリウレタン系化合物;シリコーン系化合物;ポリ塩化ビニル;ポリエチレンテレフタレート;ナイロン;ポリアリレート等、4級窒素カチオンを有するアイオネン類を挙げることができる。
なお、上記のイオン伝導性高分子膜材料から取り出したイオン伝導性高分子膜は、含水状態で電圧を印加することにより変形する性質を有するが、大気中での動作ではその含水量で変形量に影響がでることが知られているため、イオン伝導性高分子膜内部の水分子をイオン液体で置換してもよい。
また、疎水場と親水性ドメイン構造とを併せ持つ構造であれば、イオン伝導性高分子膜材料は上記に限られず、誘電性材料、例えばポリフッ化ビニリデンのようなものであってもよい。ポリフッ化ビニリデン膜からなるイオン伝導性高分子膜にイオン液体を含浸させれば、電界下、膜内の物質(イオン液体のイオン)の移動により、イオン伝導性高分子膜は変形を生ずることができる。
さらに、イオン伝導性高分子膜材料として導電性高分子を用いてもよい。このような高分子としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン等が挙げられる。この場合も、フィルム12内部のドーパント(イオン)の移動で、フィルム12は変形することが知られている。
さらに、イオン伝導性高分子膜材料として、ゾル・ゲル法などで得られる高分子構造をもつ金属酸化物も用いることができる。このような金属酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、マンガン、ニッケル、コバルト、五酸化バナジウム系の金属酸化物を用いることができる。さらには、イオン伝導性高分子膜材料として、カーボン粉末をバインダー(好ましくはイオン伝導性高分子膜と相溶性高い材料)と混ぜたり、単独使用で接合した導電膜材料も用いることができる。このようなカーボンとしては、例えば、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、カーボンチューブ、グラファイト等を挙げることができる。カーボンブラックとしては、例えば、チャネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。中でも、上記カーボン粉末は、カーボンナノチューブ、ファーネスブラックまたはアセチレンブラックであることが特に好ましい。これにより、より好適に電気伝導性を付与することができ、アクチュエーターとして応用することができる。
本発明に好適に用いることのできる市販のイオン伝導性高分子膜材料としては、例えば、高疎水性のパーフルオロエチレン構造(疎水場)と高親水性のスルホン酸基構造(親水性ドメイン構造)とを併せ持つ高分子電解質であるデュポン社製のナフィオン(「NAFION」は登録商標)117を挙げることができる。
[電極]
電極の材料(導電性材料)としては、白金,金その他の貴金属さらに卑金属や半導体を用いることができる。イオン伝導性高分子膜材料の両面への電極の形成には、メッキ法(無電解メッキ法)や蒸着法、スパッタリング法の他、金属箔や導電性布帛,シートメタル等で形成された導電体を接着剤や加熱プレス法で接着する方法等、公知の手段を用いることができる。
なお、本発明では、イオン伝導性高分子膜材料を少なくとも一軸方向に延伸させ、延伸させた後の形状を両面に形成した電極で維持させるため、形状維持の範囲内で電極の肉厚は一定以上であるのが好ましい。
例えば、イオン伝導性高分子膜材料としてナフィオン117を用い、1.5倍延伸後にここからの幅4mm、長さ22mm、肉厚200μmのイオン伝導性高分子膜の試験片を切り出した場合において、電極の材料として白金を用いる場合の電極の一般的な肉厚は、1μm〜20μm程度である。
[製造方法の説明]
[延伸機]
図1に延伸機の概略構成を平面図で示す。
延伸機1は、メッキ液を貯留するメッキ液貯留槽11aを備えた本体11と、メッキ液貯留槽11a内の一端側に固定されイオン伝導性高分子膜材料Sの一端をクランプする固定クランパ12と、この固定クランパ12に対峙して設けられイオン伝導性高分子膜材料Sの他端をクランプした状態で固定クランパ12に対して離間方向に移動自在な可動クランパ13と、この可動クランパ13の螺旋孔に螺入された螺旋軸14と、メッキ液貯留槽11aから外部に突出する螺旋軸14の一端に設けられ、螺旋軸14を回転させるハンドル15とを有している。メッキ液貯留槽11a内に、可動クランパ13の進退移動を案内する図示しないガイドを設けてもよい。
固定クランパ12及び可動クランパ13は、二つのプレートをボルトで締め付けることで前記両プレート間に位置させたイオン伝導性高分子膜材料Sの一端及び他端を挟持するものである。
延伸機1を構成する本体11,固定クランパ12,可動クランパ13及び螺旋軸14は、耐薬品性に優れるステンレス等で形成するとよい。
[延伸操作及び延伸の割合]
延伸は、イオン伝導性高分子膜材料Sの両端を固定クランパ12及び可動クランパ13にクランプさせ、ハンドル15を回転させることによる螺旋軸14の回転により、可動クランパ13を固定クランパ12から離間させる方向に移動させることで行う。なお、延伸に先立って、イオン伝導性高分子膜材料Sにはメッキ前処理を施しておく。
延伸の割合は、イオン伝導性高分子膜材料の応力ひずみ線図における降伏強さから破断までの間に位置するものとするのがよい。図2は、一般的な樹脂の応力ひずみ線図であるが、I点までは応力とひずみは比例関係にあり、弾性限度であるI点からは塑性変形がはじまり、II点で強度が極大に達する。そして、II点からは冷延伸が始まり、III点までネッキングを起こした後、延伸してIV点で破断する。
本発明におけるイオン伝導性高分子膜材料の延伸の割合は、II点〜IV点までの間、好ましくはIII点〜IV点までの間で選択するのがよい。具体的な延伸の割合は、イオン伝導性高分子膜材料Sの種類によって異なるが、例えば上記のナフィオン117の場合は、ネッキングから破断まで(III点〜IV点まで)が、1.5倍〜2,2倍程度であるので、この範囲内で延伸の割合を選択するとよい。
[メッキ及びイオン伝導性高分子膜の取り出し]
延伸機1による延伸終了後、固定クランパ12及び可動クランパ13にイオン伝導性高分子膜材料Sをクランプさせたままの状態で、延伸機1のメッキ液貯留槽11a内に無電解メッキ液を供給し、イオン伝導性高分子膜材料Sの両面に白金等の導電性金属を付着させ、電極を形成する。イオン伝導性高分子膜材料Sに施すメッキの肉厚は通常の高分子アクチュエーターを形成する際のもので良く、白金である場合には上記したように概ね1μm〜20μm程度が目安である。
電極形成後に、イオン伝導性高分子膜材料Sを延伸機1から取り出し、イオン伝導性高分子膜を切り出す。イオン伝導性高分子膜材料Sはその両面に電極が形成されているので、固定クランパ12及び可動クランパ13によるクランプを解除しても、それほど大きな寸法の戻りは生じない。
図3に示すように、この実施形態では、イオン伝導性高分子膜材料Sから長方形の二種類のイオン伝導性高分子膜を切り出すものとする。図3では、延伸方向と長手方向とが一致するイオン伝導性高分子膜を符号S1で示し、延伸方向と長手方向が直交するイオン伝導性高分子膜を符号S2で示す。このようにして切り出されたイオン伝導性高分子膜S1,S2とその両面に形成された電極とでイオン伝導性高分子膜複合体が構成される。
[アクチュエーターの組立]
図4に、イオン伝導性高分子膜S1を用いて作成した高分子アクチュエーターの概略を斜視図で示す。
図4において、(a)は電圧印加前を、(b)は電圧印加後を示している。なお、高分子アクチュエーター2は、両面に電極Sa,Sbを形成したイオン伝導性高分子膜S1を主構成要素とし、電極Sa,Sbに導線21,22を介して電源の正極と負極に接続して構成される。符号23は、高分子アクチュエーター2の一端を支持する非導電性の支持部材である。
電極Sa,Sbに電圧を印加すると、高分子アクチュエーター2が(a)の初期状態から(b)の屈曲状態に変形する。図示の例で「駆動面」は、屈曲(変形)方向を示す矢印Xを含む平面Pである。イオン伝導性高分子膜S1の延伸方向は(a)の矢印Zで示す方向であるから、駆動面Pと延伸方向(矢印Zの方向)とは交叉(図示の例の場合は直交)している。
なお、図4(c)は、比較実験用に作成した高分子アクチュエーター2′で、駆動面Pに対して平行な面内に延伸方向(矢印Yで示す方向)を有するイオン伝導性高分子膜S2を使用している。
[実施例]
本発明の発明者は、以下の条件で実験を行った。
実施例1:図4(a)の高分子アクチュエーター2を用いて実験を行った。
(1)イオン伝導性高分子膜
材質:ナフィオン117
寸法:幅4mm、長さ22mm、肉厚200μm
(2)電極
材質:白金
形成方法:無電解メッキ法
(3)延伸
割合:2倍
延伸軸と駆動面との関係:直交方向
(4)電圧
印加電圧:−0.8V〜+0.8V
印加条件:40秒間隔で電圧を−0.8Vと+0.8Vとの間で切り換え
(5)計測結果
以上の条件で屈曲量を計測したところ、図5(a)の計測結果を得た。
屈曲量は最大で±1.8mm程度であった。
比較例:図4(c)の高分子アクチュエーター2′を用いて実験を行った。延伸方向が駆動面に対して平行である以外は実施例と同じとした。その結果、図5(b)の計測結果を得た。屈曲量は最大で±1.0mm程度であった。
以上より、延伸軸の方向の違いにより約1.8倍の屈曲量の変化を認めることができた。
このように、延伸方向と駆動面との関係を適宜に選択することで、高分子アクチュエーターの変形量の変化を確認できた。
本発明では、延伸方向と駆動面との関係の他、延伸の割合や延伸軸の数を適宜に組み合わせることで、高分子アクチュエーターの変形量や変形の形態を調整することが可能になる。
例えば、図6は、延伸軸の数を直交する二つとし、この二つの延伸軸の方向と駆動面との関係を各々略45度に選択したイオン伝導性高分子膜材料Sの例であるが、このようなイオン伝導性高分子膜S3を用いて高分子アクチュエーターを形成することで、捩れと屈曲の複合的な変形を得ることができる。
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の説明に限定されない。
例えば、延伸軸の数は一軸や二軸に限らず、三軸以上であってもよい。複数軸方向に延伸を行う場合は、一軸ごとに段階的に行ってもよいし、複数軸を同時に行ってもよい。
また、例えば、図7に示すように、一つのイオン伝導性高分子膜材料Sの前半分をZ軸方向(図4(a)参照)に延伸し、後半分をY軸方向(図4(c)参照)に延伸して、単一のイオン伝導性高分子膜S4の部分ごとに、方向の異なる二軸以上の延伸軸を含ませるようにしてもよい。また、一部に延伸されていない部分を含んでいてもよい。
さらに、上記の説明では、両面に電極を形成したイオン伝導性高分子膜材料Sから、一定の大きさのイオン伝導性高分子膜S1〜S4を切り出すものとして説明したが、イオン伝導性高分子膜材料Sをそのままイオン伝導性高分子膜S1〜S4として使用することも可能である。この場合は、イオン伝導性高分子膜材料Sを予め設定した寸法に形成し、無電解メッキ法等でこのイオン伝導性高分子膜材料Sの両面に電極を形成した後、周囲の導線性材料を除去するか、前記周囲にシールドを施し、当該部分に導電性金属がメッキされないようにすればよい。
本発明の高分子アクチュエーターは、大気中・水中等広範な環境下で小型・軽量な駆動全般に有用であり、電子・メカトロニクス・機械部品製造や、ロボット・玩具製造、医療・福祉器具関連、触覚等のセンサ開発などの分野で利用が可能である。
延伸機の概略構成を説明する平面図である。 一般的な樹脂の応力ひずみ線図である。 延伸処理及びメッキ処理が終わったイオン伝導性高分子膜材料からイオン伝導性高分子膜を切り出す様子を説明する図である。 イオン伝導性高分子膜を用いて作成した高分子アクチュエーターの概略構成を示す斜視図で、(a)は電圧印加前を、(b)は電圧印加後を示し、(c)は(a)の高分子アクチュエーターとは別に比較実験用に作成した高分子アクチュエーターの概略斜視図である。 本発明の高分子アクチュエーター効果を説明するための計測結果のグラフである。 本発明の他の実施形態にかかり、延伸軸の数を二つとした場合のイオン伝導性高分子膜材料及びそこから切り出すイオン伝導性高分子膜の平面図である。 本発明のさらに他の実施形態にかかり、部分ごとに方向の異なる二軸以上の延伸軸を含ませるようにしたイオン伝導性高分子膜の平面図である。
1:延伸機
11:本体
11a:メッキ液貯留槽
12:固定クランパ
13:可動クランパ
14:螺旋軸
15:ハンドル
2,2′:高分子アクチュエーター
21,22:導線
23:支持部材
S:イオン伝導性高分子膜材料
S1,S2,S3,S4:イオン伝導性高分子膜
Sa,Sb:電極

Claims (9)

  1. イオン伝導性高分子膜の両面を導電性材料で被覆したイオン伝導性高分子複合体を有する高分子アクチュエーターであって、
    少なくとも一軸方向に延伸した前記イオン伝導性高分子膜を有すること、
    を特徴とする高分子アクチュエーター。
  2. 請求項1に記載の高分子アクチュエーターにおいて、
    前記イオン伝導性高分子膜複合体の駆動面が、前記イオン伝導性高分子膜の少なくとも一つの延伸軸と交叉する方向に設定されていること、
    を特徴とする高分子アクチュエーター。
  3. 異なる複数軸方向に前記イオン伝導性高分子膜を延伸する場合において、少なくとも一つの軸の延伸量を、他の軸の延伸量と異なるものとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の高分子アクチュエーター。
  4. 少なくとも一軸方向の延伸量が、前記イオン伝導性高分子膜材料の応力ひずみ線図における降伏強さから破断までの間に位置するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子アクチュエーター。
  5. イオン伝導性高分子膜の両面を導電性材料で被覆したイオン伝導性高分子複合体を有する高分子アクチュエーターの製造方法であって、
    イオン伝導性高分子膜材料を少なくとも一軸方向に延伸する工程と、
    延伸させた状態を維持させつつ前記イオン伝導性高分子膜材料の両面に導電性材料を被覆し、前記イオン伝導性高分子膜材料の両面に電極を形成する工程と、
    を有することを特徴とする高分子アクチュエーターの製造方法。
  6. 請求項5に記載の高分子アクチュエーターの製造方法において、
    少なくとも一つの前記延伸軸が前記イオン伝導性高分子膜複合体の駆動面と交叉するように、前記イオン伝導性高分子膜材料からイオン伝導性高分子膜を取り出す工程を有することを特徴とする高分子アクチュエーターの製造方法。
  7. 前記イオン伝導性高分子膜材料を延伸させた状態でメッキ液の中に漬け、前記導電性材料を前記イオン伝導性高分子膜材料の両面にメッキすることを特徴とする請求項5又は6に記載の高分子アクチュエーターの製造方法。
  8. 異なる複数軸方向に前記イオン伝導性高分子膜を延伸する場合において、少なくとも一つの軸の延伸量を、他の軸の延伸量と異なるものとしたことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の高分子アクチュエーター。
  9. 少なくとも一軸方向の延伸量を、前記イオン伝導性高分子膜材料の応力ひずみ線図における降伏強さから破断までの間に位置するものとしたことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の高分子アクチュエーターの製造方法。
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