JP2005220095A - 新規なビアクリダン化合物およびビスアクリジニウム化合物とその製造法、およびその用途 - Google Patents

新規なビアクリダン化合物およびビスアクリジニウム化合物とその製造法、およびその用途 Download PDF

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Takanori Suzuki
孝紀 鈴木
Takashi Tsuji
孝 辻
Norihide Fujiwara
憲秀 藤原
Hidetoshi Kawai
英敏 河合
Hironori Higuchi
博紀 樋口
Akira Uda
章 右田
Kenji Ota
賢司 太田
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Abstract

【課題】
副反応が無く双安定性を有し、且つ蛍光性を直接制御することが可能であり、公害や廃棄の問題が無い電気化学的蛍光表示材料およびエレクトロクロミック材料として有用な化合物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
下記一般式(I)で表わされるビアクリダン化合物および下記一般式(II)で表わされるビスアクリジニウム化合物。
【化1】
Figure 2005220095

(式中、R1およびR2は各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ベンジル基を表わす。)
【選択図】 なし

Description

本発明は電気化学的蛍光表示材料およびエレクトロクロミック材料として、産業上極めて有用なビアクリダン化合物およびビスアクリジニウム化合物とその製造方法に関する。
熱や光、圧力、電場のような外部からの刺激に対して、UV−Vis、蛍光、旋光性、磁力等の物性値の可逆的変化が誘起される応答系分子は、機能の最適化によって分子素子へと展開できる可能性を有し、研究が盛んに行われている。エレクトロクロミズム系は、外部からの電位の変化に対応して電子スペクトルが変化する化合物の総称であり(非特許文献1参照)、発色・消色の可逆的な表示が可能な材料として調光材料や表示機能という観点からも注目され、電気化学的スイッチ等の実用化が期待されている。電気化学的スイッチの利用には可逆的なクロミズム系を構築することが不可欠であり、その為には可逆的な酸化還元対が必要となる。
エレクトロクロミズム系の代表的な例である環状viologen(非特許文献2参照)は、段階的な電子移動によってその色が大きく変化する。これはカチオンラジカル状態で長波長部に新たな吸収を生じるためである。
Figure 2005220095
一方、立体的に大きな置換基が導入された鎖状violene(非特許文献3参照)では見かけ上、中性電子とジカチオンの2つの種のみが関与する系となる。これは中間体のカチオンラジカルが、生成と同時に立体混雑を避けるようにコンフォメーション変化を起こすためであり、それにより2つ目の電子放出がより容易となって直ちにジカチオンに変化することによるものである。イオンラジカルは付加等の副反応を起こし易いため、繰り返し耐久性が要求されるエレクトロクロミズム系ではこのように2電子がほぼ同時に移動する系が望ましい。
更に、コンフォメーション変化を伴って2電子が同時に移動する系では、ある電位を境にそれより低い電位には中性分子のみが、それより高い電位にはジカチオンのみが存在する(非特許文献4、非特許文献5参照)。その境の値は中性分子の酸化電位として測定され、この場合ジカチオンの還元電位と同じ値となる。電子移動に際して構造変化のみならず、炭素−炭素結合の形成や切断が併発するような酸化還元対では、結合の形成・切断によって化学種の電子構造が完全に変化するため、中性分子の酸化電位とジカチオンの還元電位が大きくシフトすることが報告されている(非特許文献6参照)。中性電子の酸化電位とジカチオンの還元電位の値の差が大きいことは、両化学種の安定性(双安定性)が高いことを示し、これは応答系の構築に不可欠な条件である。
また、電気的な刺激により変色する材料で記録・表示材料を構成する場合、微弱な電気化学的入力に対しても高感度に応答することが好ましい。蛍光は最も高感度で検出可能な出力の一つであることから、単一分子計測にも利用されている蛍光スペクトルを出力とする系が有望と考えられる(非特許文献7、非特許文献8参照)。しかし、これらの先行技
術は殆どが酸化還元活性な遷移金属錯体に蛍光性色素が連結された化合物を用いたものであり、金属イオンの酸化状態によって蛍光消光効率が変化することをON/OFFのスイッチ機構に利用しているため、その蛍光性を直接制御できない。また遷移金属を介しているため、使用後の廃棄の問題もある。
"アカウンツ オブ ケミカル リサーチ(Accounts of Chemical Reseach)"、1998年 31巻 p.405 "アンゲバンテ ヘミィ インターナショナル エディション イン イングリッシュ(Angewante Chemie International Edition in English)"、1978年 17巻 p.875 "ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(The Journal of Organic Chemistry)" 、2000年 65巻 5514頁 日本化学会誌、1986年 p.268 "テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Letters)" 、1986年 27巻 p.925 "ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサエティ ケミカル コミュニケーションズ Journal of the Chemical Society, Chemical Communications)"、2001年 p.1574 "コーディネーション ケミストリー レビューズ(Coodination Chemistry Reviews)"、1998年 170巻 p.31−46 "ケミカル ソサエティ レビューズ(Chemical Society Reviews)"、2002年 31巻 p.116−127
従って本発明の目的は、副反応が無く双安定性を有し、且つ蛍光性を直接制御することが可能であり、公害や廃棄の問題が無い電気化学的蛍光表示材料およびエレクトロクロミック材料として有用な化合物、およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、エレクトロクロミック化合物を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、従来の遷移金属錯体を用いる方法ではなく、酸化還元活性部位がそのまま蛍光性発色団になる系として新規なビアクリダン化合物およびビスアクリジニウム化合物がその能力を有することを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)下記一般式(I)で表わされるビアクリダン化合物および下記一般式(II)で表わ
されるビスアクリジニウム化合物。
Figure 2005220095
式中、R1およびR2は各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ベンジル基を表わす。
(2)ビフェニルまたはジハロゲノビフェニルをリチオ化し、下記一般式(III)で表わ
されるアクリドン化合物を反応させた後脱保護し、次いでプロトン化、アルキル化、アリール化、またはベンジル化を行って前記一般式(II)で表わされるビスアクリジニウム化合物を合成し、更に還元して前記一般式(I)で表わされるビアクリダン化合物を得ることを特徴とする上記(1)のビアクリダン化合物およびビスアクリジニウム化合物の製造方法。
Figure 2005220095
式中、R3は保護基を表わす。
(3)上記(1)のビアクリダン化合物およびビスアクリジニウム化合物からなる電気化学的蛍光表示材料およびエレクトロクロミック材料。
本発明により、双安定性に優れ、蛍光性を直接制御することができ、電気化学的蛍光表示材料およびエレクトロクロミック材料として有用なビアクリダン化合物およびビスアクリジニウム化合物を提供することが可能である。
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明の電気化学的スイッチの機構を、以下に示す。
Figure 2005220095
本発明のビアクリダン化合物(I)は本来無色・無蛍光であるが、電解酸化を行うことによって得られるビスアクリジニウム化合物(II)はUV−Visスペクトルおよび蛍光スペクトルが変化して有色および強い蛍光発光能を有する。逆にビスアクリジニウム化合物(II)からは電解還元を行うことにより、元の無色・無蛍光のビアクリダン化合物(I)が得られる。これらの相互変換は炭素−炭素結合の形成と切断を伴って起こるため、この系には高い電気化学的双安定性が付与されており、更に中間体であるカチオンラジカル種は非常に短時間でジカチオンに変化するため副反応は起こらない。
本発明の一般式(I)、(II)で表される化合物において、R1、R2は具体的には水
素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等の直鎖、分岐または環状の炭素数1〜20個のアルキル基;フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル等の6〜10員の単環式または多環式アリール基;ベンジル基を表わす。好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、ベンジル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基である。
上記のR1、R2で表わされる基は更に置換基を有していてもよく、反応に関与しないものであれば特に限定されない。置換基として具体的にはメチル、エチル、tert−ブチル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の直鎖、分岐、又は環状のアルキル基;ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネニル、ドデセニル、テトラデセニル、オクタデセニル等のアルケニル基;フェニル、ナフチル等のアリール基;ヒドロキシ、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、テトラデシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ、ナフチルオキシ等)、カルボニルオキシ(アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)等のオキシ基;チオール、アルキルチオ(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ヘプチルチオ、デシルチオ、ヘキサデシルチオ等)、アリールチオ(フェニルチオ、ナフチルチオ等)のチオ基;ホルミル、カルボキシル、アルキルカルボニル(アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソバレリル、ピバロイル、ラウロイル、ミリストイル等)、アリールカルボニル(ベンゾイル、ナフトイル等)、アルコキシカルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル(フェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、カルバモイル(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N,N−ジフェニルカルバモイル、N−メチル−N−フェニルカルバモイル等)等のカルボニル基;臭素、塩素、ヨウ素、フッ素等のハロゲン原子が挙げられるが、必ずしもこれに限定されない。これらの中で好ましくは炭素数1〜20個のアルキル基、オキシ基、カルボニル基であり、より好ましくはヒドロキシ基、炭素数1〜12個のアルコキシ基、フェノキシ基である。
また、これらの置換基は更に置換基を有していてもよく、例えばアルキル、ビニル、フェニル、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式(III)で表される化合物において、R3は具体的にはメチル基、トリフェニル
メチル基、tert−ブチル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジル基、ホルミル基、トリフルオロアセチル基、フタロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、トシル基等が挙げられる。これらの中で好ましくは2−メトキシエトキシメチル基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基であり、より好ましくは2−メトキシエトキシメチル基である。
次に、本発明の一般式(I)および一般式(II)で表される化合物の製造方法を詳しく
述べる。
まず本発明の製造方法の一態様を詳述するが、本発明の範囲は決してこれに限定されるものではない。
まず原料のビフェニルまたはジハロゲノビフェニルをリチオ化し、続いて一般式(III
)で表わされるアクリドン化合物と反応させた後に脱保護して一般式(IV)で表わされる化合物を得、次いでアルキル化剤、アリール化剤、ベンジル化剤若しくはプロトン化剤を反応することにより本発明のビスアクリジニウム化合物(II)が得られ、更に還元することにより本発明のビアクリダン化合物(I)を合成することができる。
Figure 2005220095
式中、R1〜R3は前記と同じ意味を有する。Xは水素原子、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子を表わす。
本発明において、反応溶媒は反応に不活性な溶媒ならばいずれも使用することができ、例えば以下のものが挙げられる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、ジフェニルメタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族炭化水素化合物類;ピリジン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等のアルカン類、及びパーフルオロアルカン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、石油エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化アルカン類等、極性、非極性溶媒を問わずいずれも利用し得る。好ましくはTHF、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジメトキシエタン、アセトニトリルであり、より好ましくはTHF、ジクロロメタン、ジクロロエタン、アセトニトリルである。これらの溶媒は単独または2種以上の溶媒を混合して用いることができ、混合使用の際の混合比は任意に定めることができる。溶媒の使用量は基質化合物に対し、通常0.1〜100倍重量の範囲内で用いられ、好ましくは0.5〜50倍重量、より好ましくは1〜30倍重量である。
まず本発明の合成法の第一工程であるリチオ化について述べる。
出発物質であるビフェニルおよびジハロゲノビフェニルは市販されており容易に入手可能である。またジハロゲノビフェニルは公知の方法、例えば“J.Organomet.Chem.,228(1982)p.107”に記載の方法でビフェニルをハロゲン化して調製することも可能である。
リチオ化は、従来行われている一般的なハロゲン−リチウム交換反応、例えば“実験化学講座(第4版)、丸善刊、25巻、p.9−51”に記載の方法で容易に導くことができる。
本発明で用いるリチウム試薬は種々市販されており、入手することが可能である。具体的には、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、メトキシメチルリチウム、エトキシメチルリチウム等のアルキルリチウム;ビニルリチウム、アリルリチウム、プロペニルリチウム、ブテニルリチウム等のアルケニルリチウム;エチニルリチウム、ブチニルリチウム、ペンチニルリチウム、ヘキシニルリチウム等のアルキニルリチウム;ベンジルリチウム、フェニルエチルリチウム等のアラルキルリチウム;フェニルリチウム、ナフチルリチウム等のアリールリチウム;2−チエニルリチウム、4−ピリジルリチウム、2−キノリルリチウム等のヘテロ環リチウム;トリ(n−ブチル)マグネシウムリチウム、トリメチルマグネシウムリチウム等のアルキルリチウムマグネシウムコンプレックス等が挙げられる。この中で好ましくは、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、iso−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、ビニルリチウム、アリルリチウム、メトキシメチルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、2−チエニルリチウム、トリ(n−ブチル)マグネシウムリチウムであり、より好ましくはn−ブチルリチウムである。
リチウム試薬の使用量はジハロゲノビフェニル1モルに対し、通常1.5〜10モル、好ましくは1.8〜8.0モル、より好ましくは2.0〜6.0モルである。
リチオ化の反応温度は0〜−90℃であり、好ましくは−20〜−85℃、より好ましくは−30〜−80℃である。反応時間は通常24時間以内で終了し、多くの場合10分〜2時間で原料の消失が確認される。
ジリチオ化後、続いてアクリドン化合物(III)との反応を行う。用いるアクリドン化
合物は市販されている9(10H)−アクリドンに保護基を導入したものであり、保護基の導入は従来用いられている方法、例えば“有機合成実験法ハンドブック、丸善刊、1990年、p.383−420”等に記載の方法によって容易に導くことができる。
用いるアクリドン化合物の使用量はジハロゲノビフェニル1モルに対し、1.8〜8.0モル、好ましくは2.0〜6.0モル、より好ましくは2.5〜5.0モルである。
ジリチオ化ビフェニルとアクリドン化合物との反応温度は−10〜60℃、好ましくは0〜50℃、より好ましくは10〜40℃である。これらの反応は通常48時間以内で原料の消失が確認される。また本反応は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
ジリチオ化合物とアクリドン化合物との反応終了後、得られた中間体は取り出して精製してもよいし、取り出さずそのまま一貫法で次の脱保護工程に用いることも可能である。
脱保護は用いる保護基によって条件が種々異なるが、従来用いられている方法、例えば“有機合成実験法ハンドブック、丸善刊、1990年、p.383−420”等に記載の方法によって容易に行うことができる。脱保護工程における反応温度は通常−20〜200℃の範囲内で行われるが、好ましくは0〜150℃、より好ましくは15〜100℃の範囲である。また反応時間は通常1〜24時間である。
反応終了後、溶媒を減圧濃縮して、晶析やカラム精製することにより、中間体(III)
を得ることができる。
次にビスアクリジニウム化合物(II)の製造方法について説明する。
本発明で用いるアルキル化剤は多種市販されていて容易に入手可能であり、そのまま用いることができる。具体的には塩化エチル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル等のハロゲン化アルキル類;メチル硫酸、エチル硫酸、プロピル硫酸、ブチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸、ジブチル硫酸等の硫酸エステル類;ベンゼンスルホン酸メチルエステル、ベンゼンスルホン酸エチルエステル、ベンゼンスルホン酸プロピルエステル、ベンゼンスルホン酸ブチルエステル、p−トルエンスルホン酸メチルエステル、p−トルエンスルホン酸エチルエステル、p−トルエンスルホン酸プロピルエステル、p−トルエンスルホン酸ブチルエステル、p−トルエンスルホン酸ペンチルエステル、p−トルエンスルホン酸ヘキシルエステル、p−トルエンスルホン酸ヘプチルエステル、p−トルエンスルホン酸オクチルエステル、p−トルエンスルホン酸オクタデシルエステル、p−トルエンスルホン酸−2−メチルブチルエステル、p−トルエンスルホン酸−2−メトキシエチルエステル、メタンスルホン酸メチルエステル、メタンスルホン酸エチルエステル、メタンスルホン酸プロピルエステル、メタンスルホン酸ブチルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸エチルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸プロピルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸ブチルエステル等のスルホン酸エステル類;亜硫酸ジメチル、亜硫酸ジエチル、亜硫酸ジプロピル、亜硫酸ジブチル等の亜硫酸エステル類;リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリス(2−クロロエチル)、リン酸トリス(2−クロロ−1−メチルエチル)、リン酸ジエチル、リン酸ジプロピル、リン酸ジブチル等のリン酸エ
ステル類;亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリプロピル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジラウリル等の亜リン酸エステル類;炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジブチル等の炭酸エステル類;ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル等のホウ酸エステル類;オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト蟻酸プロピル、オルト蟻酸ブチル、オルト酢酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルト蟻酸ジエチルフェニル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラブチル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラプロピル、オルトチタン酸テトラブチル等のオルト酸エステル類が挙げられる。好ましくは、硫酸エステ
ル類、スルホン酸エステルであり、その中でもトリフルオロメタンスルホン酸エステル類が好ましい。アルキル化剤の使用量は、中間体(III)1モルに対し、1.5〜10.0
モル、好ましくは1.8〜8.0モル、より好ましくは2.0〜6.0モルである。
本発明で用いるアリール化剤は多種市販されていて容易に入手可能であり、そのまま用いることができる。具体的には、臭化フェニル、ヨウ化フェニル、臭化ナフチル、ヨウ化ナフチル等のハロゲン化アリール類等が挙げられる。アリール化剤の使用量は、中間体(III)1モルに対し、1.5〜10.0モル、好ましくは1.8〜9.0モル、より好まし
くは2.0〜8.0モルである。
本発明で用いるベンジル化剤も多種市販されていて容易に入手可能であり、そのまま用いることができる。具体的には、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ベンジル等のハロゲン化ベンジル類;ベンゼンスルホン酸ベンジルエステル、p−トルエンスルホン酸ベンジルエステル、メタンスルホン酸ベンジルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸ベンジルエステル等のスルホン酸エステル類;亜硫酸ジベンジル;亜リン酸ジベンジル;リン酸トリベンジル、リン酸ジベンジル等のリン酸エステル類;炭酸ジベンジル;ホウ酸ジベンジル、ホウ酸トリベンジル等のホウ酸エステル類;オルト蟻酸ベンジル、オルト酢酸トリベンジル、オルトプロピオン酸トリベンジル、オルトケイ酸テトラベンジル、オルトチタン酸テトラベンジル等のオルト酸エステル類等が挙げられる。好ましくは、ハロゲン化ベンジル類、スルホン酸エステル類であり、その中でもハロゲン化ベンジル類が好ましい。
ベンジル化剤の使用量は中間体(III)1モルに対し、1.5〜10.0モル、好ましく
は1.8〜8.0モル、より好ましくは2.0〜6.0モルである。
本発明で用いるプロトン化剤も多種市販されていて容易に入手可能であり、そのまま用いることができる。具体的には、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素およびその水溶液;硫酸、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸等の無機酸; メタンスルホン
酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類;トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸類;トリエチルオキソニウム塩等のオキソニウム塩が挙げられる。好ましくは無機酸、スルホン酸類、オキソニウム塩であり、より好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸、トリエチルオキソニウム塩である。プロトン化剤の使用量は中間体(III)1モルに対し、1.0〜8.0モル、好ましくは1.5〜6.0モル、より好ましく
は2.0〜4.0モルである。
本工程の反応温度は上記反応試薬の種類によって異なるが、通常−10〜180℃、好ましくは0〜150℃、より好ましくは10〜120℃である。また、これらの反応は通常20時間以内で原料の消失が確認される。
次に還元工程について説明する。
用いる還元剤は従来還元に用いられている金属および金属化合物が好ましい。具体的には、リチウム、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム、スズ、アルミニウム等の金属およびそれらの合金、およびアマルガム;塩化スズ、三塩化チタン、ヨウ化サマリウム等の金属化合物が挙げられる。これらの中で好ましくはリチウム、亜鉛、ヨウ化サマリウム、マグネシウムであり、より好ましくは亜鉛である。
還元剤の使用量は、ビスアクリジニウム化合物1モルに対し1〜20モルであり、好ましくは2〜16モル、より好ましくは3〜12モルである。還元工程の反応温度は、用いる還元剤によるが、通常−10〜60℃、好ましくは0〜50℃、より好ましくは10〜40℃である。反応時間は用いる還元剤にもよるが、通常24時間以内で終了し、多くの場合10分〜12時間で原料の消失が確認される。
また、この工程では還元剤を用いた還元反応の他、定電流電解還元反応、定電圧電解還
元反応のいずれも用いることが可能である。これらは公知の方法であり、例えば“新実験化学講座、丸善刊、1977年、p.311−332”に記載の装置・操作で還元反応を行うことができる。
反応終了後、得られたビアグリダン化合物(I)を精製する方法としては、再結晶、シ
リカゲルを用いたカラム精製や各クロマトグラフィーによる精製、減圧蒸留等が挙げられる。これらの方法を単独又は2つ以上組み合わせて精製を行うことにより、目的物を高純度で得ることが可能である。
上記に記載した方法の他、本発明のビアクリダン化合物は別法でも合成することが可能である。その一例として、合成方法の一態様を詳述するが、本発明の範囲は決してこれに限定されるものではない。
Figure 2005220095
式中、R1、R2は前記と同じ意味を有する。Yはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子を表わす。
上記の方法では、ジハロゲノビフェニルにGrignard反応を行い、次にアクリジニウム塩(V)を反応させて中間体であるロイコ塩基(VI)へ導き、これを酸化すること
により、ビスアクリジニウム化合物(II)を得る。この後前記の方法と同様に還元することによって本発明のビアクリダン化合物(I)を合成できる。
上記の合成法におけるGrignard反応は、公知の方法、例えば“実験化学講座(第4版)、丸善刊、1991年、p.59−70”に記載の方法で行うことが出来る。用いるマグネシウムの使用量は、原料であるジハロゲノビフェニル1モルに対し、2.0〜20モル、好ましくは3.0〜16モル、より好ましくは4.0〜12モルである。反応温度は0〜120℃であり、好ましくは10〜100℃、より好ましくは20〜80℃である。反応時間は通常48時間以内で終了する。また、本反応は、窒素、アルゴン、ヘ
リウム等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
Grignard反応の後続いてアクリジニウム塩(V)との反応を行う。
本法で用いるアクリジニウム塩(V)は、市販されているアクリジンにアルキル化剤や
アリール化剤、ベンジル化剤、プロトン化剤を反応させることにより容易に合成することができる。
用いるアクリジニウム塩の使用量はジハロゲノビフェニル1モルに対し、2.0〜8.0モル、好ましくは2.2〜6.0モル、より好ましくは2.8〜5.0モルの範囲である。反応温度は20〜−90℃であり、好ましくは−20〜−85℃、より好ましくは−30〜−80℃である。反応時間は通常24時間以内で終了し、多くの場合1〜20時間で原料の消失が確認される。また本反応は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
得られたロイコ塩基(VI)は次に酸化反応に供される。ここで用いる酸化剤としては、具体的にはニトロソニウム四フッ化ホウ素塩、ニトロニウム四フッ化ホウ素塩、ハロゲン類(ヨウ素、臭素、塩素等)、アミニウム塩類(トリス(p−ブロモフェニル)アミニウム ヘキサクロロアンチモン酸塩、トリス(2,4−ジブロモフェニル)アミニウム ヘキサクロロアンチモン酸塩等)、キノン類(クロラニル、o−クロラニル、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ)等)が挙げられる。これらの中で好ましくはニトロニウム四フッ化ホウ素塩、アミニウム塩類、DDQであり、より好ましくはニトロニウム四フッ化ホウ素塩である。酸化剤の使用量はロイコ塩基1モルに対し、1.0〜10.0モル、好ましくは1.5〜8.0モル、より好ましくは1.8〜6.0モルの範囲である。本反応の反応温度は酸化剤の種類によって異なるが、通常−10〜60℃、好ましくは0〜50℃、より好ましくは10〜40℃である。また、これらの反応は通常24時間以内で原料の消失が確認される。
また、この工程では酸化剤を用いた酸化反応の他、定電流電解酸化反応、定電圧電解酸化反応のいずれでも用いることが可能である。これらは公知の方法であり、例えば“新実験化学講座、丸善刊、1991年、p.540−546”や“有機電解合成、鳥井滋著、講談社刊、1981年”に記載の装置・操作で酸化反応を行うことができる。
こうして得られたビスアクリジニウム化合物(II)に、更に先に記載した還元反応を行うことによりビアクリダン化合物(I)を合成することができる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
9,9’−(ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(アクリジン)の合成
2,2’−ジヨードビフェニル1.29g(3.17mmol)の無水THF20ml溶液に、アルゴン雰囲気下−78℃にてn−ブチルリチウムのヘキサン溶液5ml(7.90mmol)を滴下して30分間攪拌し、2,2’−ジリチオビフェニルの溶液を調整した。ここへ、同じくアルゴン雰囲気下−78℃にて10−(2−メトキシエトキシメチル)アクリドン2.85g(10.1mmol)の無水THF150ml懸濁液を加え、ゆっくりと昇温後室温で38時間攪拌した。2M塩酸30mlを加えて室温で攪拌後、炭酸カリウムで溶液を塩基性とした。クロロホルム100mlで抽出し、これを計4回行った。有機相を水、および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色結晶として目的物700.2mg(収率44%)を得た。 融点250℃(分解)
NMR (300MHz,CDCl ,60℃, δ ppm):7.89(br.d,4H
,J=7.5Hz),7.78(dd,2H,J=7.5,1.5Hz),7.49(ddd,4H,J=7.5,7.5,1.5Hz),7.47(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.5Hz),7.23(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.5Hz),6.94(br.dd,4H,J=7.5,7.5Hz),6.8−6.6(br,2H)
<実施例2>
9,9’−(ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(10−メチルアクリジニウム) トリフルオロメタンスルホン酸塩(II−1)の合成
実施例1で得られた9,9’−(ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(アクリジン)104mg(205μmol)を、アルゴン雰囲気下0℃で無水ジクロロメタン5mlに溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸メチル68.2mg(420μmol)の無水ジクロロメタン5ml溶液を加えて室温で17.5時間攪拌した。無水エーテルを加えて濾別し、黄色固体として目的物121mg(収率71%)を得た。 融点 235−280℃(分解)
NMR (300MHz,CDCN, δ ppm):8.35−8.00(br.,12
H),8.05(dd,2H,J=7.5,1.5Hz),7.74(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.5Hz),7.50−7.40(br.,4H),7.47(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.5Hz),6.93(dd,2H,J=7.5,1.5Hz),4.59(s,6H)
<実施例3>
ジスピロ[(10−メチルアクリダン)−9,9’(9’H,10’H)−フェナントレ
ン−10’,9”−(10”−メチルアクリダン)] (I−1)の合成
実施例2で得られた9,9’−(ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(10−メチルアクリジニウム) トリフルオロメタンスルホン酸塩170mg(140μmol)を、アルゴン雰囲気下無水THF20mlとトリエチルアミン6mlの混合溶媒に懸濁し、亜鉛末90mgを添加した。30分間攪拌を行った後水で希釈し、ジクロロメタン50ml×3回で抽出した。有機相を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水炭酸カリウムで乾燥し、溶媒を留去して得た残留物をクロマトグラフィーで精製し、無色結晶として目的物45mg(収率60%)を得た。 融点238−240℃
NMR (300MHz,CDCl , δ ppm):8.12(dd,2H,J=7.5
,1.0Hz),7.38(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.0Hz),7.13(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.0Hz),7.02(dd,2H,J=7.5,1.0Hz),7.00−6.94(m,4H),6.49(d,4H,J=8.0Hz),6.38−6.34(m,8H),2.74(s,6H)
<実施例4>
9,9’−(ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(10−ペンチルアクリジニウム) トリフルオロメタンスルホン酸塩の合成
実施例1で得られた9,9’−(ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(アクリジン)73mg(150μmol)をアルゴン雰囲気下無水ジクロロエタン7mlに溶解し、60℃で加熱攪拌した。ここにトリフルオロメタンスルホン酸ペンチル194mg(880μmol)の無水ジクロロエタン3ml溶液を加え、60℃で20時間加熱撹拌した。放冷後、無水エーテルを加えて生じた黄色沈殿を瀘別して、黄色固体として目的物57mg(収率40%)を得た。 融点 110−140℃(分解)
NMR (300MHz,CDCN , δ ppm):8.35−8.00(br.,12
H),8.04(dd,2H,J=7.5,1.5Hz),7.72(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.5Hz),7.50−7.40(br,4H),7.46(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.5Hz),6.88(dd,2H,J=7.5,1
.5Hz),5.07−4.93(br,4H),2.10−1.95(m,4H),1.75−1.65(m,4H),1.00(t,6H,J=7.2Hz)
<実施例5>
ジスピロ[(10−ペンチルアクリダン)−9,9’(9’H,10’H)−フェナント
レン−10’,9”−(10”−ペンチルアクリダン)]の合成
実施例4で得られた9,9’−(ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(10−ペンチルアクリジニウム) トリフルオロメタンスルホン酸塩52mg(79.8μmol)を、実施例3と同様の方法で還元し、目的物47mg(収率90%)を得た。融点 254−255℃
NMR (300MHz,CDCl , δ ppm):8.11(br.,d,2H,J=7.5Hz),7.36(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.0Hz),7.13(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.0Hz),7.11(dd,2H,J=7.5,1.0Hz),7.00−6.94(m,4H),6.46(d,4H,J=8.0Hz),6.31−6.20(m,8H),3.02(m,4H),1.70−1.55(m,4H),1.46−1.30(m,8H),0.96(t,6H,J=7.0Hz)
<実施例6>
9,9’−(ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(10−アクリジニウム) ヘキサクロロアンチモン酸塩の合成
実施例1で得られた9,9’−(ビフェニル−2,2’−ジイル)ビス(アクリジン)36mg(70μmol)をアルゴン雰囲気下無水ジクロロメタン10mlに溶解した。トリエチルオキソニウム ヘキサクロロアンチモン酸塩の無水ジクロロメタン5ml溶液を0℃で添加し、室温で25時間撹拌した。放冷後、無水エーテルを加えて生じた黄色沈殿を瀘別して、黄色固体として目的物77mg(収率92%)を得た。 融点 265−285℃(分解)
NMR (300MHz,CD3CN , δ ppm):8.30−7.90(br.,12H),8.17(dd,2H,J=7.5,1.5Hz),7.85(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.5Hz),7.50−7.40(br,4H),7.55(ddd,2H,J=7.5,7.5,1.5Hz),7.00(dd,2H,J=7.5,1.5Hz),5.51(s,2H)
<実施例7>
ジスピロ[(10−メチルアクリダン)−9,9’(9’H,10’H)−フェナントレ
ン−10’,9”−(10”−メチルアクリダン)](I−1)の電気化学的応答
実施例3で合成したビアクリダン化合物(I−1)を無水アセトニトリルに溶解して
2.15×10−5mol・dm−3の溶液を調製し、電解質として0.05mol・dm−3のテトラエチルアンモニウム過塩素酸塩の共存下、白金電極を用いて電解酸化を行った。30μAの定電流を作用させて2分毎にそのUV−Visスペクトルを測定した。そのスペクトルの変化を図1に示す。ここで各々の線は各時間に於けるスペクトルを表わし、時間の経過とともに矢印の方向に変化が観測された。
また、別途このビアクリダン化合物を無水アセトニトリルに溶解して7.43×10−6mol・dm−3の溶液を調製し、上記と同様に電解質として0.05mol・dm−3のテトラエチルアンモニウム過塩素酸塩の共存下、白金電極を用いて電解酸化を行った。25μAの定電流を作用させて2分毎にその蛍光スペクトルを測定した。そのスペクトルの変化を図2に示す。ここで各々の線は各時間に於けるスペクトルを表わし、時間の経過とともに強度の増大が観測された。
更にサイクリックボルタンメトリー法を用いて各化学種の酸化電位を測定した。これらの結果を表1に示す。
該ビアクリダン化合物の分子スイッチの機構を、以下に示す。
Figure 2005220095
Figure 2005220095
上記の結果から、以下のことが明らかである。ビスアクリジニウム化合物(II−1)にのみ可視光吸収(λmax438、464nm)および蛍光発光(λem519nm、Φ=0.3−0.4)が観測されており、これは化合物(I−1)とビスアクリジニウム化合物(II−1)との電気化学的変換に際し、UV−Visおよび蛍光スペクトルに大きな変化が見られたことを示している。しかもこの系においては、10−6mol程度の希薄溶液を用いた場合でも蛍光スペクトルの劇的な変化が問題なく観測された。これらのデータは、本発明の化合物が電気化学的蛍光スイッチとしての優れた機能を有していることを示すものである。
実施例7におけるUV−Visスペクトルの変化を示す図である。 実施例7における蛍光スペクトルの変化を示す図である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表わされるビアクリダン化合物および下記一般式(II)で表わされる
    ビスアクリジニウム化合物。
    Figure 2005220095
    式中、R1およびR2は各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、ベンジル基を表わす。
  2. ビフェニルまたはジハロゲノビフェニルをリチオ化し、下記一般式(III)で表わされる
    アクリドン化合物を反応させた後脱保護し、次いでプロトン化、アルキル化、アリール化、またはベンジル化を行って前記一般式(II)で表わされるビスアクリジニウム化合物を合成し、更に還元して前記一般式(I)で表わされるビアクリダン化合物を得ることを特
    徴とする請求項1に記載のビアクリダン化合物およびビスアクリジニウム化合物の製造方法。
    Figure 2005220095
    式中、R3は保護基を表わす。
  3. 請求項1記載のビアクリダン化合物およびビスアクリジニウム化合物からなる電気化学的蛍光表示材料およびエレクトロクロミック材料。
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