JP2005219724A - 車両の減速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレーキによる制動力が発生するまでの応答性を向上させることのできる車両の減速制御装置を提供する。
【解決手段】車両に制動力を生じさせる制動装置200の作動と、前記車両の変速機10を相対的に低速用の変速段又は変速比に変速する変速動作とにより減速制御を行う車両の減速制御装置であって、前記変速動作が行われることを予測する変速予測手段101,102、119、118と、前記制動装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減させる空走低減手段222と、前記変速予測手段による予測結果に基づいて、前記空走低減手段を作動させるか否かが決定される。空走低減手段を作動させることに伴う燃費の悪化を抑制しつつ、制動装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減させることが可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両の減速制御装置に関し、特に、車両に制動力を生じさせる制動装置の作動と、自動変速機を相対的に低速用の変速段又は変速比に変速する動作により、車両の減速制御を行う車両の減速制御装置に関する。
自動変速機とブレーキとを協調制御する技術としては、自動変速機をエンジンブレーキを働かせる方向にマニュアルシフトする際に、ブレーキを作動させるものが知られている。そのような自動変速機とブレーキの協調制御装置として、特許第2503426号公報(特許文献1)に開示された技術がある。
上記特許文献1には、自動変速機(A/T)においてエンジンブレーキを動作するためのマニュアルシフトの際に、変速開始時から実際にエンジンブレーキが働くまでのニュートラル状態による空走を車両のブレーキを作動して防止する技術が開示されている。
また、上記特許文献1には、以下のように記載されている。マニュアルダウンシフトの変速指令時間から所定時間又はエンジンブレーキが効きはじめる(A/Tの出力軸の負トルクが大きくなる)まで、変速の種類と車速等から求められる変速時のエンジン負トルクのピーク値に対応して、車両のブレーキを作動させる。マニュアルシフト時に車両のブレーキが変速時の負のA/T出力軸トルクに対応した制動力で作動されることから、マニュアルシフト時にエンジンブレーキの大きさに対応して、車両に制動力が加えられる。マニュアルシフトが行われた時から変速が完了する時まで、安定した制動力が車両に加えられ、マニュアルシフト時に応答性が高くかつ安定した制動力が得られる。自動変速機のニュートラル状態の間、車両のブレーキが作動されて急激にエンジンブレーキがかからないので、制動力の変動が小さくなる。
特許第2503426号公報
上記特許文献1では、マニュアルダウンシフトの際に、併せてブレーキを作動させる技術については開示されているが、そのブレーキの制御内容についての検討が不十分である。上記特許文献1の技術には、ブレーキによる制動力が発生するまでの応答性に改善の余地がある。
本発明の目的は、ブレーキによる制動力が発生するまでの応答性を向上させることのできる車両の減速制御装置を提供することである。
本発明の車両の減速制御装置は、車両に制動力を生じさせる制動装置の作動と、前記車両の変速機を相対的に低速用の変速段又は変速比に変速する変速動作とにより減速制御を行う車両の減速制御装置であって、前記変速動作が行われることを予測する変速予測手段と、前記制動装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減させる空走低減手段と、前記変速予測手段による予測結果に基づいて、前記空走低減手段を作動させるか否かが決定されることを特徴としている。
上記本発明によれば、空走低減手段を作動させることに伴う燃費の悪化を抑制しつつ、制動装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減させることが可能である。上記本発明において、前記減速制御では、前記制動装置の作動(ブレーキ制御)と前記変速動作(変速制御)とが協調して同時に又は並行して実施されることができる。
本発明の車両の減速制御装置は、車両に制動力を生じさせる制動装置の作動と、前記車両の変速機を相対的に低速用の変速段又は変速比に変速する変速動作とにより減速制御を行う車両の減速制御装置であって、運転者が前記制動装置による制動動作の応答性が相対的に高いことを指向しているか否かを検出又は推定する運転指向検出・推定手段と、前記制動装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減させる空走低減手段と、前記運転指向検出・推定手段による検出又は推定結果に基づいて、前記空走低減手段を作動させるか否かが決定されることを特徴としている。
上記本発明によれば、空走低減手段を作動させることに伴う燃費の悪化を抑制しつつ、制動装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減させることが可能である。例えば、運転者の指向がスポーツ走行指向であると判定された場合には、特に、相対的に高い可能性として変速動作が行われることが予測されるわけではなく、仮に変速動作(マニュアルシフト、変速点制御のいずれをも含む)が行われたときに、制動装置による制動動作の応答性が高いことが運転者に指向されている。
本発明の車両の減速制御装置において、前記制動装置は、油圧により制動力を発生し、前記空走低減手段の動作は、前記制動装置に供給されるための油圧を上昇させることであることを特徴としている。
空走低減手段の動作として、予め、ブレーキの油圧源用のポンプモータを駆動しておくことにより、元圧を上昇させておく。これにより、制動力を発生させるべきときには、油圧の立ち上がりを急峻にすることができ、制動動作の応答性を高め、走行性能を向上させることができる。また、空走低減手段の動作として、ポンプモータを予め駆動するとともに、ブレーキピストンに与圧を付加しておくことができる。このブレーキピストンに対する与圧の付加には、ピストン室にブレーキオイルを充満させておくことや、更に、ブレーキピストンをリターンスプリングの付勢力に抗してプレストロークさせておくことが含まれる。
本発明の車両の減速制御装置において、前記制動装置は、油圧を用いることなくモータにより制動力を発生し、前記空走低減手段の動作は、前記モータを駆動させることであることを特徴としている。
空走低減手段の動作として、予めモータを駆動させておく。これにより、制動力を発生させるべきときに、モータによる駆動トルクの立ち上がりを急峻にすることができ、制動動作の応答性を高めることができる。また、空走低減手段の動作として、予めモータに所定の駆動電流を供給することにより、リターンスプリングの付勢力に抗してブレークライニングを、車輪に一体的に設けられた部材に対して接近する向きに所定量押した状態にしておく。これにより、制動力を発生させるべきときに、制動動作の応答性を一層高めることができる。
本発明の車両の減速制御装置において、前記変速動作が行われることの予測は、車両前方のカーブの曲率及び路面勾配の少なくともいずれか一方に基づいて行われることを特徴としている。
本発明の車両の減速制御装置において、前記変速動作が行われることの予測は、車両と前記車両の前方の先行車を含む障害物との距離に基づいて行われることを特徴としている。
車両の前方の車両に対して所定の状態を保ちながら追従走行を行うべき状態であるときに、変速動作が行われることが予測される。
本発明の車両の減速制御装置において、前記変速動作が行われることの予測は、シフトスイッチがアクティブであるか否かに基づいて行われることを特徴としている。
ステアリング近傍に設けられたシフトスイッチがアクティブである場合には、変速動作が行われることが予測される。
本発明の車両の減速制御装置において、前記運転者が前記制動装置による制動動作の応答性が相対的に高いことを指向しているか否かの検出又は推定は、運転者の運転指向に基づいて行われることを特徴としている。
運転者の運転嗜好が車両操作に対する車両挙動が敏感な状態であることが検出又は推定されたときに、前記運転者が前記制動装置による制動動作の応答性が相対的に高いことを指向していることが検出又は推定される。
本発明の車両の減速制御装置において、前記運転者が前記制動装置による制動動作の応答性が相対的に高いことを指向しているか否かの検出又は推定は、シフトスイッチがアクティブであるか否かに基づいて行われることを特徴としている。
シフトスイッチがアクティブであるときに、前記運転者が前記制動装置による制動動作の応答性が相対的に高いことを指向していることが検出又は推定される。
本発明の車両の減速制御装置によれば、制動装置の応答性が向上する。
以下、本発明の車両の減速制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1から図8を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、制動装置と自動変速機の協調制御を行う車両の減速制御装置に関する。
一般的に使われるブレーキシステムにおいて、例えば車間距離制御の際の自動ブレーキとして作動するに際しては、その制御条件が成立して初めて油圧源用モータが回転を開始するため、油圧の立ち上がりが遅れ、車間距離制御が行われるべき状況で、所望の応答性が得られない可能性がある。一方、常時、モータを駆動した場合、モータの耐久性に問題が生じたり、燃費が悪化する。また、一般に使われるブレーキシステムと電子制御ブレーキシステム(ECB)に共通していえることであるが、ブレーキピストンのストロークに所定の時間(遅れ)を要することから、ブレーキの応答性に関しては、改善されるべきである。本実施形態は、ブレーキによる制動力が発生するまでの応答性を向上させることのできる車両の減速制御装置を提供することを目的とする。
本実施形態では、マニュアルダウンシフトや、変速点制御によるダウンシフトを行う時における制動装置(ブレーキ装置)と自動変速機(有段式でも無段式でもよい)との協調制御装置であって、変速の必要性が予想される場合には、ブレーキ装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減する手段を備えている。ブレーキ装置が油圧により車輪を制動するものである場合には、予め油圧を供給することでブレーキ装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減する。
上記において、マニュアルダウンシフトとは、運転者がエンジンブレーキ力の増加を望むときに手動操作により行うダウンシフトを意味する。また、変速点制御とは、車両の前方のコーナRや路面勾配を含む車両が走行する道路に関する走行道路情報や、車間距離を含む車両が走行する道路の交通に関する道路交通情報等の情報に基づく変速である。
図2において、符号10は自動変速機、40はエンジン、200はブレーキ装置である。自動変速機10は、電磁弁121a、121b、121cへの通電/非通電により油圧が制御されて5段変速が可能である。図2では、3つの電磁弁121a、121b、121cが図示されるが、電磁弁の数は3に限定されない。電磁弁121a、121b、121cは、制御回路130からの信号によって駆動される。
スロットル開度センサ114は、エンジン40の吸気通路41内に配置されたスロットルバルブ43の開度を検出する。エンジン回転数センサ116は、エンジン40の回転数を検出する。車速センサ122は、車速に比例する自動変速機10の出力軸120cの回転数を検出する。シフトポジションセンサ123は、シフトポジションを検出する。パターンセレクトスイッチ117は、変速パターンを指示する際に使用される。入力軸回転速度センサ124は、自動変速機10の入力軸(図示せず)の回転速度を検出する。
加速度センサ90は、車両の減速度(減速加速度)を検出する。マニュアルシフト判断部95は、運転者の手動操作に基づいて、運転者の手動操作によるダウンシフト(マニュアルダウンシフト)又はアップシフトの必要性を示す信号を出力する。相対車速検出・推定部97は、自車と前方の車両との相対車速を検出又は推定する。車間距離計測部101は、車両前部に搭載されたレーザーレーダーセンサ又はミリ波レーダーセンサなどのセンサを有し、先行車両との車間距離を計測する。
シフトスイッチアクティブスイッチ102は、ステアリングポストないしはステアリング上に装備されるシフトスイッチ(パドルスイッチ、ステアリングシフトスイッチ等)やシーケンシャルシフトを使用可能(アクティブ)な状態にするためのスイッチである。シフトスイッチアクティブスイッチ102は、例えば、シフトレバーをD位置で横倒しにするとオンとなり、シフトスイッチがアクティブとなって変速が可能になる。また、シーケンシャルタイプのものでは、同様にシフトレバーを横倒しにするとレバーが前後に可動するようになり、変速が可能になる。
コーナ計測・推定部119は、車両に搭載されたカーナビゲーションシステムから得られる道路形状の情報や車両の前方に搭載されたカメラの撮像画像などに基づいて、車両前方のコーナの有無と、コーナの大きさを計測又は推定する。
道路勾配計測・推定部118は、CPU131の一部として設けられることができる。道路勾配計測・推定部118は、加速度センサ90により検出された加速度に基づいて、道路勾配を計測又は推定するものであることができる。また、道路勾配計測・推定部118は、平坦路での加速度を予めROM133に記憶させておき、実際に加速度センサ90により検出した加速度と比較して道路勾配を求めるものであることができる。
運転指向推定部115は、CPU131の一部として設けられることができる。運転指向推定部115は、運転者の運転状態及び車両の走行状態に基づいて、運転者の運転指向(スポーツ走行指向か通常走行指向)を推定する。運転指向推定部115の詳細については更に後述する。ここで、スポーツ走行指向とは、動力性能を重視した指向、加速指向ないしは運転者の操作に対する車両の反応が迅速なスポーツ走行を好むことを意味する。
制御回路130は、スロットル開度センサ114、エンジン回転数センサ116、車速センサ122、シフトポジションセンサ123、加速度センサ90の各検出結果を示す信号を入力し、また、パターンセレクトスイッチ117及びシフトスイッチアクティブスイッチ102のそれぞれのスイッチング状態を示す信号を入力し、また、車間距離計測部101による計測結果を示す信号を入力し、また、マニュアルシフト判断部95からのシフトの必要性を示す信号を入力し、相対車速検出・推定部97及びコーナ計測・推定部119のそれぞれによる検出又は推定の結果を示す信号を入力し、運転指向推定部115により推定された運転者の運転指向(後述する運転指向推定値)を入力する。
制御回路130は、周知のマイクロコンピュータによって構成され、CPU131、RAM132、ROM133、入力ポート134、出力ポート135、及びコモンバス136を備えている。入力ポート134には、上述の各センサ114、116、122、123、90からの信号、上述のスイッチ102、117からの信号、車間距離計測部101、相対車速検出・推定部97、運転指向推定部115、コーナ計測・推定部119、及びマニュアルシフト判断部95のそれぞれからの信号が入力される。出力ポート135には、電磁弁駆動部138a、138b、138c、及びブレーキ制御回路230へのブレーキ制動力信号線L1が接続されている。ブレーキ制動力信号線L1では、ブレーキ制動力信号SG1が伝達される。
ROM133には、予め図1及び図6のフローチャートに示す動作(制御ステップ)が格納されているとともに、自動変速機10のギヤ段を変速するための変速マップ及び変速制御の動作(図示せず)が格納されている。制御回路130は、入力した各種制御条件に基づいて、自動変速機10の変速を行う。
ブレーキ装置200は、制御回路130からブレーキ制動力信号SG1を入力するブレーキ制御回路230によって制御されて、車両を制動する。ブレーキ装置200は、油圧制御回路220と、車両の車輪204、205、206、207に各々設けられるホイールシリンダ208、209、210、211とを備えている。各ホイールシリンダ208、209、210、211は、油圧制御回路220によって制動油圧が制御されることにより、対応する車輪204、205、206、207の制動力を制御する。油圧制御回路220は、ブレーキ制御回路230により、制御される。ブレーキスイッチ225は、ブレーキペダル(図示せず)の操作を検出する。
油圧制御回路220は、マスタシリンダ221と、ポンプモータ222と、アキュムレータ223と、リザーバタンク224とを備えている。制動時に必要となる油圧は、マスタシリンダ兼ブレーキブースタ(以下単にマスタシリンダという)221と、油圧源であるポンプモータ222及びアキュムレータ223とによって発生させる。マスタシリンダ221によって発生された油圧やアキュムレータ223に蓄圧された油圧は、ブレーキオイルを媒体として、ブレーキ配管(図示せず)を介して各車輪204、205、206、207のホイールシリンダ208、209、210、211に伝達される。ブレーキ配管内に充填されるブレーキオイルは、リザーバタンク224内に貯蔵されている。このブレーキ配管上には、複数の制御弁(図示せず)が配設されており、油圧の伝達経路を切り替えると共に、ホイールシリンダ208、209、210、211に伝達させる油圧の制御をも行っている。ポンプモータ222は、ブレーキ制御回路230からのブレーキ制御信号SG2に基づいて、バッテリ(図示せず)の電力によって駆動され、リザーバタンク224内に貯蔵されたブレーキオイルをアキュムレータ223に対して送出する。アキュムレータ223は、ポンプモータ222によって送出されたブレーキオイルを、その内部で高圧下で貯蔵する。
油圧制御回路220は、ブレーキ制御信号SG2に基づいて、各制動装置208、209、210、211に供給する制動油圧を制御することで、ブレーキ制御を行う。ブレーキ制御信号SG2は、ブレーキ制動力信号SG1に基づいて、ブレーキ制御回路230により生成される。ブレーキ制動力信号SG1は、自動変速機10の制御回路130から出力され、ブレーキ制御回路230に入力される。ブレーキ制御の際に車両に与えられるブレーキ力は、ブレーキ制動力信号SG1に含まれる各種データに基づいてブレーキ制御回路230により生成される、ブレーキ制御信号SG2によって定められる。
ブレーキ制御回路230は、周知のマイクロコンピュータによって構成され、CPU231、RAM232、ROM233、入力ポート234、出力ポート235、及びコモンバス236を備えている。出力ポート235には、油圧制御回路220が接続されている。ROM233には、ブレーキ制動力信号SG1に含まれる各種データに基づいて、ブレーキ制御信号SG2を生成する際の動作が格納されている。ブレーキ制御回路230は、入力した各制御条件に基づいて、ブレーキ装置200の制御(ブレーキ制御)を行う。
次に、運転指向推定部115の詳細について説明する。
運転指向推定部115は、複数種類の運転操作関連変数のいずれかの算出毎にその運転操作関連変数が入力されて推定演算が起動されるニューラルネットワークNNを備え、そのニューラルネットワークNNの出力に基づいて車両の運転指向を推定する。
例えば図8に示すように、運転指向推定部115は、信号読込手段96と、前処理手段98と、運転指向推定手段100とを備えている。信号読込手段96は、前記各センサ114、122、116、124、225、123などからの検出信号を比較的短い所定の周期で読み込む。前処理手段98は、信号読込手段96により逐次読み込まれた信号から、運転指向を反映する運転操作に密接に関連する複数種類の運転操作関連変数、すなわち車両発進時の出力操作量(アクセルペダル操作量)すなわち車両発進時のスロットル弁開度TAST、加速操作時の出力操作量の最大変化率すなわちスロットル弁開度の最大変化率ACCMAX 、車両の制動操作時の最大減速度GNMAX、車両の惰行走行時間TCOAST 、車速一定走行時間TVCONST、所定区間内において各センサから入力された信号の区間最大値、運転開始以後における最大車速Vmax などをそれぞれ算出する運転操作関連変数算出手段である。運転指向推定手段100は、前処理手段98により運転操作関連変数が算出される毎にその運転操作関連変数が許可されて運転指向推定演算を行うニューラルネットワークNNを備え、そのニューラルネットワークNNの出力である運転指向推定値を出力する。
図8の前処理手段98には、車両発進時の出力操作量すなわち車両発進時のスロットル弁開度TASTを算出する発進時出力操作量算出手段98a、加速操作時における出力操作量の最大変化率すなわちスロットル弁開度の最大変化率ACCMAX を算出する加速操作時出力操作量最大変化率算出手段98b、車両の制動操作時の最大減速度GNMAXを算出する制動時最大減速度算出手段98c、車両の惰行走行時間TCOAST を算出する惰行走行時間算出手段98d、車速一定走行時間TVCONSTを算出する車速一定走行時間算出手段98e、例えば3秒程度の所定区間内における各センサからの入力信号のうちの最大値を周期的に算出する入力信号区間最大値算出手段98f、運転開始以後における最大車速Vmax を算出する最大車速算出手段98gなどがそれぞれ備えられている。
上記入力信号区間最大値算出手段98fにおいて算出される所定区間内の入力信号のうちの最大値としては、スロットル弁開度TAmaxt、車速Vmaxt、エンジン回転速度NEmaxt 、前後加速度NOGBW maxt (減速のときは負の値)或いは減速度GNMAXt (絶対値)が用いられる。前後加速度NOGBW maxt 或いは減速度GNMAXt は、例えば車速V(NOUT )の変化率から求められる。
図8の運転指向推定手段100に備えられたニューラルネットワークNNは、コンピュータプログラムによるソフトウエアにより、或いは電子的素子の結合から成るハードウエアにより生体の神経細胞群をモデル化して構成され得るものであり、例えば図8の運転指向推定手段100のブロック内に例示されるように構成される。
図8において、ニューラルネットワークNNは、r個の神経細胞要素(ニューロン)Xi (X1 〜Xr )から構成された入力層と、s個の神経細胞要素Yj (Y1 〜Ys )から構成された中間層と、t個の神経細胞要素Zk (Z1 〜Zt )から構成された出力層とから構成された3層構造の階層型である。そして、上記入力層から出力層へ向かって神経細胞要素の状態を伝達するために、結合係数(重み)WXij を有して上記r個の神経細胞要素Xi とs個の神経細胞要素Yj とをそれぞれ結合する伝達要素DXij と、結合係数(重み)WYjk を有してs個の神経細胞要素Yj とt個の神経細胞要素Zk とをそれぞれ結合する伝達要素DYjk が設けられている。
上記ニューラルネットワークNNは、その結合係数(重み)WXij 、結合係数(重み)WYjk を所謂誤差逆伝搬学習アルゴリズムによって学習させられたパターン連想型のシステムである。その学習は、前記運転操作関連変数の値と運転指向とを対応させる走行実験によって予め完了させられているので、車両組み立て時では、上記結合係数(重み)WXij 、結合係数(重み)WYjk は固定値が与えられている。
上記の学習に際しては、複数の運転者についてそれぞれスポーツ走行指向、通常走行(ノーマル)指向の運転が例えば高速道路、郊外道路、山岳道路、市街道路などの種々の道路において実施され、そのときの運転指向を教師信号とし、教師信号とセンサ信号を前処理したn個の指標(入力信号)とがニューラルネットワークNNに入力させられる。なお、上記教師信号は運転指向を0から1までの値に数値化し、例えば通常走行指向を0、スポーツ走行指向を1とする。また、上記入力信号は−1から+1までの間あるいは0から1までの間の値に正規化して用いられる。
次に、自動変速機10の構成を図3に示す。図3おいて、内燃機関にて構成されている走行用駆動源としてのエンジン40の出力は、入力クラッチ12、流体式動力伝達装置としてのトルクコンバータ14を経て自動変速機10に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達される。入力クラッチ12とトルクコンバータ14との間には、電動モータおよび発電機として機能する第1モータジェネレータMG1が配設されている。
トルクコンバータ14は、入力クラッチ12に連結されたポンプ翼車20と、自動変速機10の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、それらポンプ翼車20およびタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ26と、一方向クラッチ28によって一方向の回転が阻止されているステータ翼車30とを備えている。
自動変速機10は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速部32と、後進変速段および前進4段の切り換えが可能な第2変速部34とを備えている。第1変速部32は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置36と、サンギヤS0とキャリアK0との間に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング38間に設けられたブレーキB0とを備えている。
第2変速部34は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置40と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置42と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置44とを備えている。
サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸120cに連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3および中間軸48に一体的に連結されている。そして、リングギヤR0と中間軸48との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2とリングギヤR0との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング38に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング38との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸22と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられる。
キャリアK1とハウジング38との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング38との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられる。
以上のように構成された自動変速機10では、例えば図4に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異なる前進5段(1st〜5th)の変速段の何れかに切り換えられる。図4において「○」は係合で、空欄は解放を表し、「◎」はエンジンブレーキ時の係合を表し、「△」は動力伝達に関与しない係合を表している。前記クラッチC0〜C2、およびブレーキB0〜B4は何れも油圧アクチュエータによって係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
次に、図1及び図5を参照して、本実施形態の動作について説明する。
図1は、本実施形態の制御フローを示すフローチャートである。
図5は、本実施形態を説明するためのタイムチャートである。図5には、自動変速機10の入力回転速度、アクセル開度、モータ駆動指令、ブレーキ圧、ブレーキ制御量、クラッチトルク、車両に作用する減速加速度(G)が示されている。
[ステップS1]
図1に示すように、ステップS1では、制御回路130により、自動変速機10とブレーキ装置200の協調制御が実施中であるか、又はレーダークルーズコントロール等ポンプモータ222の駆動を必要とする他の制御を実施中であるか否かが判定される。ステップS1の判定の結果、実施中であると判定された場合には、ステップS6が行われる。一方、実施中であると判定されない場合には、ステップS2が行われる。
[ステップS2]
ステップS2では、制御回路130により、変速点制御のうち、車両の前方のコーナRや路面勾配を含む車両が走行する道路に関する走行道路情報に基づく変速の前提条件が成立したか否かが判定される。制御回路130は、コーナ計測・推定部119から入力した、車両前方のコーナの有無とコーナの大きさの計測又は推定結果を示す信号、及び、道路勾配計測・推定部118から入力した道路勾配の計測又は推測結果を示す信号に基づいて、上記ステップS2の判定を行う。
ステップS2の判定の結果、走行道路情報に基づく変速点制御による変速の前提条件が成立していれば、ステップS6が実行される。一方、その前提条件が成立していない場合には、ステップS3が実行される。
ここで、変速点制御の前提条件とは、変速点制御がスタンバイ状態になるための条件であり、アクセルが全閉である(運転者に減速の意図がある場合)という変速点制御の開始条件(トリガ条件)が成立すれば、変速点制御による変速が実行される条件をいう。コーナR(コーナの半径)に関する変速点制御の前提条件は、例えば、「前方のコーナR、コーナまでの距離及び現在の車速との関係で、現在の車速で減速を開始したときに、そのコーナを推奨車速でコーナリングできるか否か(フットブレーキが必要か否か)」であってもよい。コーナRや路面勾配に関する変速点制御の前提条件としては、変速点制御の公知の基準が適用可能である。
変速点制御の前提条件が成立しただけでは、変速点制御による変速は実行されない。上記変速点制御の前提条件が成立した状態において、アクセルが全閉となり変速点制御の開始条件が成立して初めて、変速点制御による変速が実行される(後述するステップS4についても同様)。
[ステップS3]
ステップS3では、制御回路130により、運転者の運転指向がスポーツ走行指向(パワー走行指向)か否かが判定される。制御回路130は、運転指向推定部115により推定された運転者の運転指向(運転指向推定値)に基づいて、運転者の運転指向がスポーツ走行指向か否かを判定する。
ステップS3の判定の結果、運転者の運転指向がスポーツ走行指向であると判定されれば、ステップS6が実行される。一方、運転者の運転指向がスポーツ走行指向であると判定されない場合には、ステップS4が実行される。
[ステップS4]
ステップS4では、制御回路130により、変速点制御のうち、車間距離を含む車両が走行する道路の交通に関する道路交通情報等の情報に基づく変速の前提条件が成立したか否かが判定される。制御回路130は、車間距離計測部101から入力した車間距離を示す信号に基づいて、自車と前方の車両との車間距離が所定値以下であるか否かを判定し、その判定結果に従って、上記ステップS4の判定を行う。
ステップS4の判定の結果、道路交通情報等の情報に基づく変速点制御による変速の前提条件が成立していれば、ステップS6が実行される。一方、その前提条件が成立していない場合には、ステップS5が実行される。
[ステップS5]
ステップS5では、制御回路130により、シフトスイッチがアクティブであるか否かが判定される。制御回路130は、シフトスイッチアクティブスイッチ102のスイッチング状態に基づいて、シフトスイッチがアクティブであるか否かを判定する。
ステップS5の判定の結果、シフトスイッチがアクティブであると判定された場合には、ステップS6が実行される。一方、シフトスイッチがアクティブであると判定されない場合には、ステップS7が実行される。
[ステップS6]
ステップS6では、ポンプモータ222の駆動指令が出力される。その駆動指令に応答して、ポンプモータ222が駆動される。それ以前からポンプモータ222が駆動されている場合には、そのままの状態とされる。ポンプモータ222が駆動されることにより、リザーバタンク224内に貯蔵されたブレーキオイルがアキュムレータ223に対して送出され、アキュムレータ223の油圧が上昇する。これにより、アキュムレータ223に貯蔵されたブレーキオイルの元圧が上昇する。この油圧の状態は、車間距離制御(レーダークルーズコントロール)が開始されている状態(車間距離に応じて迅速に自動ブレーキが作用する状態)に対応する。以下に、ステップS6が行われる場合毎に分けてその意義を説明する。
まず、ステップS2及びステップS4の判定の結果として、ステップS6が行われる場合について説明する。
上記のように、変速点制御が行われる場合には、変速点制御の前提条件のみならず開始条件が成立している必要があるが、本実施形態では、変速点制御の前提条件が成立した時点(ステップS2−Y、ステップS4−Y)で、ポンプモータ222を駆動する(ステップS6)。後述するように、本実施形態では、変速点制御が行われる際には、ブレーキ装置200と自動変速機10の協調制御が行われ、変速点制御の実施と共にブレーキ装置200による制動が行われる。本実施形態では、ステップS6により、変速点制御の前提条件が成立した時点でポンプモータ222を予め駆動しておくことで、変速点制御の開始条件も成立した時点で行われる、そのブレーキ装置200による制動動作の応答性を高めることができる。即ち、変速点制御の開始条件が成立してからポンプモータ222を駆動し始めると、油圧の立ち上がりが遅れ、ブレーキ装置200による制動力が発生するまでに比較的大きな遅れが生じ、ブレーキ装置200による制動動作の応答性が十分でない場合がある。本実施形態では、これを解消しようとするものである。本実施形態では、変速点制御の前提条件が成立した時点(ステップS2−Y、ステップS4−Y)で、変速点制御による変速が行われる可能性が相対的に高いと予測して、ポンプモータ222を駆動するものである。
また、後述するように、本実施形態では、マニュアルシフトが行われる際には、ブレーキ装置200と自動変速機10の協調制御が行われ、マニュアルシフトの実施と共にブレーキ装置200による制動が行われる。この場合、マニュアルシフトが行われてからポンプモータ222を駆動し始めると、油圧の立ち上がりが遅れ、ブレーキ装置200による制動力が発生するまでに比較的大きな遅れが生じ、ブレーキ装置200による制動動作の応答性が十分でない場合がある。本実施形態では、可能な限り、これを解消しようとするものである。
マニュアルシフトの場合には、運転者の意思通りに迅速に車両に減速度を作用させるべく、ブレーキ装置200による制動動作には、高い応答性が要求される。これに対し、マニュアルシフトは、変速点制御と異なり、運転者の自由意思により行われるため、いつ実施されるのかが分からない(常時、ポンプモータ222を駆動させると燃費の悪化につながることは前述の通りである)。
ここで、変速点制御の前提条件が成立した場合(ステップS2−Y、ステップS4−Y)には、前方のコーナRが所定値よりも小さかったり、路面勾配が所定値よりも大きかったり、車間距離が所定値以下である等の状況からして、運転者自らが車両に減速度が作用することを望んでマニュアルシフトが行われる可能性が高い状況である。マニュアルシフトが行われた場合には、その時点又はアクセルオフ(アクセルが全閉)の時点で、自動変速機10の変速とブレーキ装置200による協調制御の開始条件が成立する。上記のように、マニュアルシフトが行われた場合には、その時点で制御開始条件が成立してから、又はアクセルオフによる制御開始条件が成立してから、その自動変速機10の変速と共に協調制御が行われるブレーキ装置200による制動動作が応答性良く行われる必要がある。
本実施形態では、運転者によるマニュアルシフトが行われ易い状況でもある、変速点制御の前提条件が成立した場合(ステップS2−Y、ステップS4−Y)に、ポンプモータ222を駆動するので(ステップS6)、マニュアルシフトが行われた場合には、その自動変速機10の変速と共に協調制御が行われるブレーキ装置200による制動動作が応答性良く行われることができる。即ち、ステップS2及びステップS4では、運転者によるマニュアルシフトの予測を兼ねている。特に、ステップS4の追従制御自体がマニュアルシフトを誘発する可能性の高い条件を前提条件としている(簡単に述べると衝突時間が小)ため、たとえ、追従制御側で高応答を必要としないとしても、上記可能性を考えて、予めポンプモータ222を駆動しておく(ステップS6)。
次に、ステップS3の判定の結果、ステップS6が行われる場合について説明する。
運転者の運転指向がスポーツ走行指向であるときには、アクセルオフやマニュアルシフトに対する迅速な応答が要求される。即ち、スポーツ走行指向であると判定された場合には、運転者の運転指向が通常走行指向である場合に比べて、運転者によるマニュアルシフトが行われた時の自動変速機10の変速と共に協調制御が行われるブレーキ装置200による制動が、より応答性良く行われる必要がある。同様に、運転者の運転指向がスポーツ走行指向であると判定された場合には、運転者の運転指向が通常走行指向である場合に比べて、変速点制御が行われる際に、アクセルオフ動作に対して、ブレーキ装置200による制動動作の応答性が高いことが望まれる。本実施形態では、スポーツ走行指向であると判定された時点でポンプモータ222を駆動する(ステップS6)ので、上記の要請に対応することができる。この場合、燃費の点では不利であるが、スポーツ走行指向であるときには、応答性やドライバビリティが優先される。
次に、ステップS5の判定の結果、ステップS6が行われる場合について説明する。
上記ステップS3と同様に、ステアリングシフトやパドルシフトが選択されたときにも速いシフト応答(シフト〜減速度発生まで)が要求されるため、予めポンプモータ222を駆動しておく(ステップS6)。シフトスイッチがアクティブである場合には、運転者がシフトスイッチを操作してマニュアルシフトを実施し易い状況にある(マニュアルシフトの予測)。しかも、運転者がシフトスイッチを操作して行うマニュアルシフトは、シフトレバーを用いて行うマニュアルシフトよりも、運転者は、その自動変速機10の変速と共に協調制御が行われるブレーキ装置200による制動が応答性良く行われることを求めている場合が多い。本実施形態では、シフトスイッチがアクティブである場合には、ブレーキ装置200による制動が応答性良く行われるべく、ポンプモータ222を駆動させる(ステップS6)。
図5を参照して、ブレーキ装置200と自動変速機10の協調制御の際のブレーキ装置200による制動動作について説明する。
図5においては、t0の時点において、ステップS2〜S5のいずれかがYesと判定されて、符号409に示すように、ポンプモータ222の駆動指令が出力される(ステップS6)。その駆動指令に応答して、t0の時点において、ポンプモータ222が駆動されることにより、アキュムレータ223に貯蔵されたブレーキオイルの元圧が上昇する(図5のモータ駆動指令の実線参照)。したがって、アクセルが全閉とされて、変速点制御の開始条件が成立する時点(又は、マニュアルシフトが行われた時点、マニュアルシフトの開始条件が成立する時点)t1では、ポンプモータ222からの吐出量は十分である。
そのため、変速点制御の開始条件が成立した時点(又は、マニュアルシフトが行われた時点、マニュアルシフトの開始条件が成立する時点)t1において、油圧制御回路220の制御弁の開閉状態が増圧状態に切り替えられると、ホイールシリンダ208、209、210、211のブレーキピストンのストロークが迅速に行われ、符号410に示すようにブレーキ圧が急峻に立ち上がり、t1の時点後、早期(ta秒後)に制動力が発生する。これにより、符号403に示すように、車両に減速度が作用する時期も早くなる。
一方、図5の符号410の近傍の破線に示すように、変速点制御の開始条件が成立した時点(又は、マニュアルシフトが行われた時点、マニュアルシフトの開始条件が成立する時点)t1にてポンプモータ222の駆動指令が出力され、ポンプモータ222が駆動された場合には、ポンプモータ222からの吐出量を増大させながら、ホイールシリンダ208、209、210、211のブレーキピストンのストロークが行われるため、ブレーキ圧の立ち上がりが遅れ(符号410の近傍の破線参照)、制動力が発生する時期が遅れる(t1の時点後、tb秒後、符号406の近傍の破線参照)。これにより、符号403の近傍の破線に示すように、車両に減速度が作用する時期も遅れる。
[ステップS7]
ステップS7では、ポンプモータ222が停止される。図5では、符号409に示すように、t5の時点でポンプモータ222が停止される。それ以前からポンプモータ222が停止している場合には、そのままの状態である。
マニュアルシフト時に特に、ブレーキ装置200による制動動作の高い応答性が要求されるのは、スポーツ走行指向と判定された場合や追従制御による走行が行われるときである。変速点制御の際に特に、ブレーキ装置200による制動動作の高い応答性が要求されるのは、前方のコーナRが小さい場合であってアクセルオフが判断された後である。特にこれらの状況において高い応答性が要求されるのは、制御開始が判断されてから可及的速やかに減速Gを車両に作用させて、車両に減速Gが作用する前に舵が切られて車両が不安定になるのを防止するためである。制御前提条件が成立した時点で既にポンプモータ222を駆動しているので、制御開始条件であるマニュアルシフト時やアクセルオフによる変速点制御の開始時には、モータ回転数は既に高く、十分な吐出量が得られているため、高い応答性が得られる。
本実施形態では、ポンプモータ222を常時駆動させると、燃費の悪化や耐久性の悪化につながるため、上記のように、ブレーキ装置200による制動の高い応答性が要求される場合にのみポンプモータ222を駆動させることとしている。
次に、図5及び図6を参照して、上述した自動変速機10とブレーキ装置200の協調制御について説明する。
[ステップSA1]
図6に示すように、ステップSA1では、スロットル開度センサ114の検出結果に基づいて、制御回路130により、アクセル(スロットル開度)が全閉か否かが判定される。アクセルが全閉である場合(ステップSA1−Y)に、シフトが行われた時にはエンジンブレーキが望まれるシフトであると判断されて、ステップSA2以降に規定される本実施形態のブレーキ制御に進む。図5では、符号401に示すように、t1の時点でアクセル開度が全閉になっている。
一方、ステップSA1の判定の結果、アクセルが全閉であるとは判定されない場合(ステップSA1−N)には、本実施形態のブレーキ制御を終了する旨の指令が出力される(ステップSA12)。ここで、ブレーキ制御が実行されていない場合には、そのままの状態が継続される。次いで、ステップSA13にて、フラグFが0にリセットされた後、本制御フローはリセットされる。
[ステップSA2]
ステップSA2では、制御回路130により、フラグFがチェックされる。本制御フローの最初は、フラグFは0であるので、ステップSA3に進む。一方、フラグFが1である場合には、ステップSA8に進む。
[ステップSA3]
ステップSA3では、制御回路130により、シフト判断(指令)の有無が判定される。ここでは、マニュアルシフト判断部95若しくは、車間距離計測部101、相対車速検出・推定部97、コーナ計測・推定部119、又は道路勾配計測・推定部118から、自動変速機10の変速段を相対的に低速側に変速(ダウンシフト)する必要性を示す信号が出力されているか否かが判定される。即ち、マニュアルシフト又は変速点制御によりダウンシフトする必要性を示す信号が出力されているか否かが判定される。
図5では、t1の時点でステップSA3の判定が行われる。ステップSA3の判断の結果、マニュアルシフト判断部95若しくは、車間距離計測部101、相対車速検出・推定部97、コーナ計測・推定部119、又は道路勾配計測・推定部118から、ダウンシフトする必要性を示す信号が出力されていると判定された場合(ステップSA3−Y)には、ステップSA4に進む。一方、そのように判定されない場合(ステップSA3−N)には、本制御フローは、リセットされる。
なお、上記ステップSA1では、アクセルの全閉操作が、t1の時点で行われた例について説明したが、ステップSA3が行われる時期t1よりも以前に行われていればよい。図5の例では、マニュアルシフト判断部95若しくは、車間距離計測部101、相対車速検出・推定部97、コーナ計測・推定部119、又は道路勾配計測・推定部118から出力されたダウンシフトする必要性を示す信号に関して、制御回路130では、t1の時点において、ダウンシフトする必要性有りと判定された場合が示されている。後述するように、制御回路130は、上記t1の時点におけるダウンシフトする必要性有りとの判定結果に基づいて、同じくt1の時点にて、ダウンシフト指令を出力する(ステップSA6)。
[ステップSA4]
ステップSA4では、制御回路130により、最大目標減速度Gtが求められる。ここで、最大目標減速度Gtは、変速の種類(例えば4速→3速、3速→2速のように、変速前の変速段と変速後の変速段の組合わせ)と車速から決まる最大減速度(後述)と同じ(又は付近)となるように決定される。図5において、符号402で示す破線は、自動変速機10の出力軸120cの負トルク(制動力、エンジンブレーキ)に対応した減速加速度を示しており、変速の種類と車速によって決まる。
自動変速機10の変速により車両に作用する減速度402の最大値(上記最大減速度)402maxと概ね同じとなるように、最大目標減速度Gtが決定される。自動変速機10の変速による減速度402の最大値402maxは、予めROM133に格納された最大減速度マップが参照されて決定される。その最大減速度マップには、最大減速度402maxの値が変速の種類と車速に基づく値として定められている。ステップSA4の次に、ステップSA5が行われる。
[ステップSA5]
ステップSA5では、制御回路130により、目標減速度403の勾配αが決定される。勾配αの決定に際しては、まず、ダウンシフト指令が出力されてから(後述のように、ステップSA6にてt1の時点に出力される)、変速が実際に(実質的に)開始(t3)されるまでの時間tdに基づいて、その変速開始時点t3までに車両に実際に作用する減速度(以下、車両の実減速度という)が最大目標減速度Gtに到達するように目標減速度403の初期の勾配最小値が決定される。上記において、ダウンシフト指令が出力された時点t1から実際に変速が開始される時点t3までの時間tdは、変速の種類に基づいて決定される。
図7において、符号404で示す二点鎖線が上記初期の目標減速度の勾配最小値に対応している。また、予め、目標減速度403として設定可能な勾配には、減速に伴うショックが大きくならないように、かつ、車両に不安定現象が発生したときにその対応(不安定現象の回避)が可能なように、勾配上限値と下限値が設定されている。図7の符号405で示す二点鎖線が上記の勾配上限値に対応している。
なお、車両の不安定現象とは、車両に減速加速度(ブレーキ制御によるもの及び/又は変速によるエンジンブレーキによるもの)が作用している時に、路面の摩擦係数μの変化やステアリング操作を含む何らかの理由により、例えばタイヤのグリップ度が減少したり、滑ったり、挙動が不安定になるなど、車両が不安定な状態になることを意味する。
ステップSA5において、目標減速度403の勾配αは、図7に示すように、勾配最小値404よりも大きく、勾配上限値405よりも小さな勾配となるように設定される。
目標減速度403の初期の勾配αは、車両の初期の減速度の変化を滑らかにしたり、車両の不安定現象の回避のために、最適な減速度の変化態様を設定する意義を有する。勾配αは、アクセル戻し速度(図5のΔAo参照)や、路面μ検出・推定部(図示せず)によって検出又は推定される路面の摩擦係数μ等に基づいて決定されることができる。また、勾配αは、マニュアルシフトの場合と変速点制御によるシフトの場合とで変更されることができる。
上記ステップSA4及びSA5により、本実施形態における目標減速度403の大部分(図5の太線で示す)が決定される。即ち、図5に示すように、目標減速度403は、ステップSA4及びSA5にて求められた勾配αにて最大目標減速度Gtに達するように設定され、その後は、自動変速機10の変速が終了する時点t5まで目標減速度403が、最大目標減速度Gtに維持される。自動変速機10の変速により生じる最大減速度402max(≒最大目標減速度Gt)までの減速度を、短時間で減速ショックを抑制しつつ、応答性の良いブレーキで実現するためである。応答性の良いブレーキで初期の減速度を実現することで、車両に不安定現象が生じた時に、その対応を速やかに行うことができる。自動変速機10の変速が終了した時点t5よりも後の目標減速度403の設定については後述する。ステップSA5の次に、ステップSA6が行われる。
[ステップSA6]
ステップSA6では、制御回路130のCPU131から電磁弁駆動部138a〜138cにダウンシフト指令(変速指令)が出力される。ダウンシフト指令に応答して、電磁弁駆動部138a〜138cは、電磁弁121a〜121cを通電又は非通電にする。これにより、自動変速機10では、ダウンシフト指令に指示される変速が実行される。ダウンシフト指令は、ダウンシフトする必要性有りとt1の時点で制御回路130により判断されると(ステップSA3−Y)、それと同時(t1の時点)に出力される。
図5に示すように、t1の時点にダウンシフト指令が出力される(ステップSA6)と、その時点から変速の種類に基づいて決定される上記時間tdが経過した後のt3の時点で、自動変速機10の変速が実際に開始されて、クラッチトルク408が上昇し始めるとともに、自動変速機10の変速による減速度402が上昇し始める。ステップSA6の次に、ステップSA7が実行される。
[ステップSA7]
ステップSA7では、ブレーキのフィードバック制御がブレーキ制御回路230により実行される。符号406に示すように、ブレーキのフィードバック制御は、ダウンシフト指令が出力された時点t1にて開始される。この場合、本実施形態では、上記のように、t0の時点でポンプモータ222が駆動されており、t1の時点では、ポンプモータ222からの吐出量は十分である。そのため、t1の時点においてブレーキのフィードバック制御が開始され、油圧制御回路220の制御弁の開閉状態が切り替えられると、ホイールシリンダ208、209、210、211のブレーキピストンのストロークが迅速に行われ、早期(ta秒後)にブレーキによる制動力406が発生する。これにより、車両に減速度が作用する時期も早くなる。
ブレーキのフィードバック制御においては、t1の時点から目標減速度403を示す信号がブレーキ制動力信号SG1として制御回路130からブレーキ制動力信号線L1を介してブレーキ制御回路230に出力される。ブレーキ制御回路230は、制御回路130から入力したブレーキ制動力信号SG1に基づいて、ブレーキ制御信号SG2を生成し、そのブレーキ制御信号SG2を油圧制御回路220に出力する。
油圧制御回路220は、ブレーキ制御信号SG2に基づいて、ホイールシリンダ208、209、210、211に供給する油圧を制御することで、ブレーキ制御信号SG2に含まれる指示通りのブレーキ力(ブレーキ制御量406)を発生させる。
ステップSA7のブレーキ装置200のフィードバック制御において、目標値は目標減速度403であり、制御量は車両の実減速度であり、制御対象はブレーキ(ホイールシリンダ208、209、210、211)であり、操作量はブレーキ制御量406であり、外乱は主として自動変速機10の変速による減速度402である。車両の実減速度は、加速度センサ90により検出される。
即ち、ブレーキ装置200では、車両の実減速度が目標減速度403となるように、ブレーキ制動力(ブレーキ制御量406)が制御される。即ち、ブレーキ制御量406は、車両に目標減速度403を生じさせるに際して、自動変速機10の変速による減速度402では不足する分の減速度を生じさせるように設定される。
図5の例では、ダウンシフト指令が出力された時点t1から自動変速機10の変速が実際に開始される時点t3までは、自動変速機10による減速度402はゼロであるため、ブレーキで目標減速度403の全ての減速度が生じさせるような、ブレーキ制御量406とされている。t3の時点から自動変速機10の変速が開始され、自動変速機10による減速度402が増加するに伴って、ブレーキ制御量406は減少する。
[ステップSA8]
ステップSA8では、制御回路130により、自動変速機10の変速が終了する前(又はその付近)か否かが判定される。その判定は、自動変速機10の回転メンバーの回転速度に基づいて行われ(図5の入力回転速度参照)、ここでは、以下の関係式が成立するか否かにより判定される。
No*If−Nin≦ΔNin
ここで、Noは、自動変速機10の出力軸120cの回転速度、Ninは入力軸回転速度(タービン回転速度等)、Ifは変速後のギヤ比、ΔNinは定数値である。制御回路130は、自動変速機10の入力軸回転速度(タービン翼車の回転速度等)Ninを検出する検出部(図示せず)から、その検出結果を入力している。
ステップSA8の上記関係式が成立しない場合には、自動変速機10の変速が終了する段階ではないと判断され、ステップSA14にてフラグFが1に設定された後に、本制御フローがリセットされる。その後、ステップSA1→ステップSA2→ステップSA8にて、上記関係式の成立を待つ。この間、アクセル開度が全閉以外となったときには、ステップSA12に進み、本実施形態のブレーキ制御は終了する。
一方、ステップSA8の上記関係式が成立した場合には、ステップSA9に進む。図5では、t5の時点(の直前)で変速が終了し、上記関係式が成立する。図5に示すように、t5の時点では、自動変速機10の変速により車両に作用する減速加速度402がその最大値402max(≒最大目標減速度Gt)に到達し、自動変速機10の変速が終了したことが示されている。
[ステップSA9]
ステップSA9では、上記ステップSA7にて開始されたブレーキのフィードバック制御が終了する。ステップSA9以降において、制御回路130は、ブレーキ制御回路230に出力するブレーキ制動力信号SG1に、ブレーキのフィードバック制御に対応する信号を含めないこととする。
即ち、ブレーキのフィードバック制御は、自動変速機10の変速の終了まで行われる。図5に示すように、ブレーキ制御量406は、自動変速機10の変速が終了したt5の時点でゼロになっている。t5の時点で自動変速機10の変速が終了したときに、自動変速機10により生じる減速加速度402は、その最大値402maxに達する。そのt5の時点では、自動変速機10により生じる減速加速度402の最大値402maxと概ね同じになるように設定(ステップSA4)された目標減速度403の最大目標減速度Gtを達成するには、自動変速機10により生じる減速加速度402のみで足り、ブレーキ制御量406はゼロでよい。ステップSA9の次に、ステップSA10が行われる。
[ステップSA10]
ステップSA10では、制御回路130は、ブレーキ制御回路230に出力するブレーキ制動力信号SG1を介して、ブレーキに変速イナーシャ分のブレーキトルク(減速加速度)を出力させ、その後、漸次減少させる。変速イナーシャは、自動変速機10の変速が終了した後の図5のt5とt6の間からt7の時期にかけて発生している。変速イナーシャ(イナーシャトルク)は、自動変速機10の変速が終了した時点(t5)の自動変速機10の回転メンバーの回転速度の時間微分値とイナーシャ値から決まる。
図5において、ステップSA10は、t5からt7の間に実行されている。変速に伴うショックを最小限に抑えるべく、制御回路130において、t5の時点以降の目標減速度403は、t5の後は緩やかな勾配になるように設定される。その目標減速度403の緩やかな勾配は、自動変速機10のシフトダウンによって得られる最終減速度Geに到達するまで延びる。目標減速度403の設定は、最終減速度Geに到達したところで終了する。その時点において、シフトダウンにより望まれたエンジンブレーキである最終減速度Geが車両の実減速度として車両に作用しているため、その時点からは、本実施形態のブレーキ制御が不要であるためである。
ステップSA10では、ブレーキ制御回路230において入力したブレーキ制動力信号SG1に基づいて生成されたブレーキ制御信号SG2に応答して、油圧制御回路220により、変速イナーシャ分のブレーキ制御量406が与えられた後、目標減速度403の勾配に対応するように、ブレーキ制御量406が漸次減少される。ステップSA10の次にステップSA11が行われる。
[ステップSA11]
ステップSA11において、制御回路130により、フラグFが0にクリアされた後に、本制御フローがリセットされる。
本実施形態の協調制御によれば、図5の目標減速度403に示されるような理想的な減速過渡特性が得られる。減速度が駆動輪から被駆動輪に滑らかに移行する。その後も自動変速機10のシフトダウンによって得られる最終減速度Geに滑らかに移行する。更に上記の理想的な減速過渡特性について述べると、次のようになる。
即ち、ステップSA3(t1)にてダウンシフトの必要性が確認(判断)されると、その確認と同時(t1)に開始されるブレーキ制御(ステップSA7)により、車両の実減速度は、そのダウンシフトの必要性の確認から直ちに、勾配αにて大きな減速ショックを発生することなく、かつ、車両不安定現象の発生時にも対応可能な範囲で漸次上昇し、変速が開始される時点(t3)よりも以前に、変速による減速度402の最大値402max(≒最大目標減速度Gt)まで上昇する。また、車両の実減速度は、変速終期(t5以降)の大きな変速ショックも発生することなく、変速によって得られる最終減速度Geまで漸次下降する。
上記のように、本実施形態では、車両の実減速度が、速やかに、即ち、ダウンシフトの必要性が確認された時点(t1)から直ちに上昇し始め、変速が開始される時点(t3)よりも以前(t2)に、変速による減速度402の最大値402max(≒最大目標減速度Gt)まで漸次上昇する。その後は、変速が終了する時点(t5)まで、車両の実減速度は、最大目標減速度Gtに維持される。
上記のような車両の実減速度の時間的推移から、車両に不安定現象が生じるとすれば、車両の実減速度が最大目標減速度Gtまで上昇している間(t1からt2)又は、遅くとも車両の実減速度が最大目標減速度Gtに到達した直後の変速が開始される前(t3)までに生じる可能性が高い。この車両の不安定現象の発生可能性が高い時期に、作動しているのはブレーキのみである(実質的な変速を開始していない自動変速機10は作動していない)。自動変速機に比べて、ブレーキは応答性が良好であることから、ブレーキを制御することにより、車両に不安定現象が発生した場合であってもその対応を迅速かつ容易にとることができる。
即ち、車両の不安定現象の発生に対応して、ブレーキ制動力(ブレーキ制御量406)をゼロにしたり低下させたりする動作を、迅速かつ容易に制御性良く行うことができる。これに対し、自動変速機の変速が開始された後に車両の不安定現象が発生した場合には、その時点で変速をキャンセルしたとしても、実際に変速がキャンセルされるまでに時間がかかってしまう。
また、車両に不安定現象が生じる可能性が高い上述の時期(t1からt2又はt1からt3)は、自動変速機10の変速は開始されておらず、自動変速機10のクラッチやブレーキ等の摩擦係合装置の係合がなされていないため、車両の不安定現象の発生に対応して、自動変速機10の変速がキャンセルされても何ら問題が生じない。
次に、本実施形態の第1変形例を説明する。第1変形例では、図1の上記ステップS6の内容のみを変更し、それ以外は、上記実施形態と共通であるため、以下では、その変更点のみを説明することとする。
上記実施形態では、ステップS6において、ポンプモータ222の駆動を行ったが、本変形例では、ステップS6において、ポンプモータ222を駆動するとともに、ホイールシリンダ208、209、210、211のブレーキピストンに与圧を付加しておく。ここで、ブレーキピストンに対する与圧(低圧)の付加とは、例えば、油圧制御回路220の制御弁の開閉状態を制御して、ホイールシリンダ208、209、210、211のピストン室(ホイールシリンダの油圧シリンダ、図示せず)にブレーキオイルを充満させておく(ピストン室・ピストン回路のデッドスペースにもブレーキオイルを満たしておく)ことであることができる。この状態では、ホイールシリンダ208、209、210、211のブレーキピストンのストロークがより一層迅速に行われる(ストローク時間は上記ta秒よりも短縮される)ため、ブレーキ装置200による制動動作の応答性を一層高めることができる。
次に、本実施形態の第2変形例を説明する。
第2変形例では、上記第1変形例と同様に、図1の上記ステップS6の内容のみを変更し、それ以外は、上記実施形態と共通であるため、以下では、その変更点のみを説明することとする。
第2変形例では、上記第1変形例に代えて、ブレーキピストンに対する与圧の付加として、例えば、油圧制御回路220の制御弁の開閉状態を制御して、ホイールシリンダ208、209、210、211のブレーキピストンをリターンスプリング(図示せず)による付勢力に抗して、少しストローク(プレストローク)させて待機状態にしておく。この場合、ホイールシリンダ208、209、210、211のブレーキパッド(摩擦板)がディスク(車輪に一体的に設けられた部材)に当たらない程度とする。この状態では、ブレーキ装置200による制動動作の応答性を一層高めることができる。この場合を図9に示す。図9に示すように、t0の時点で、ブレーキ圧として与圧が与えられてブレーキピストンがプレストロークされる。t1の後のストローク時間は上記ta秒よりも短縮され、tc秒後となる。
次に、本実施形態の第3変形例を説明する。
第3変形例では、上記第1変形例と同様に、図1の上記ステップS1及びS6の内容のみを変更し、それ以外は、上記実施形態と共通であるため、以下では、その変更点のみを説明することとする。
第3変形例では、ブレーキシステムとして、電動メカニカルブレーキ(EMB)が用いられる。電動メカニカルブレーキでは、油圧を使用せずに、モータが直接ブレーキ力を発生する。例えば、特開2000−71974号公報に開示された構成が適用可能である。同公報には、電動モータは駆動電流の増加に従って増加する駆動トルクを発生し、その駆動トルクにより、ブレーキシューによるブレーキライニングを車輪と一体的に設けられた回転部材に押し付ける力(制動力)が大きくなり、車輪に付与される制動力も大きくなる旨が開示されている。
第3変形例のステップS1では、自動変速機10とブレーキ装置200の協調制御が実施中であるか、又はレーダークルーズコントロール等、ブレーキ力を直接発生するモータ(上記ポンプモータ222に代えて)の駆動を必要とする他の制御を実施中であるか否かが判定される。また、第3変形例のステップS6では、上記ポンプモータ222に代えて、ブレーキ力を直接発生するモータを駆動する。これにより、制動動作が行われるべきときに、モータが発生する駆動トルクの立ち上がりが急峻となり、制動動作の応答性を高めることができる。
第3変形例のステップS6では、またさらに、モータに所定の駆動電流を供給することにより、モータに所定の駆動トルクを発生させ、これにより、ブレーキライニングと車輪に一体的に設けられた回転部材との距離を、リターンスプリングによる付勢力に抗して(通常状態よりも)相対的に小さくしておくことができる。これにより、制動動作が行われるべきときに、一層、制動動作の応答性を高めることができる。
なお、上記実施形態及びその変形例においては、変速機として、有段の自動変速機10を用いた例について説明したが、CVTにも適用することが可能である。また、上記においては、車両が減速される量を示す減速度として、減速加速度(G)を用いたが、減速トルクをベースに制御を行うことも可能である。
本発明の車両の減速制御装置の一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の車両の減速制御装置の一実施形態の概略構成図である。 本発明の車両の減速制御装置の一実施形態における自動変速機を示すスケルトン図である。 本発明の車両の減速制御装置の一実施形態における自動変速機の作動表を示す図である。 本発明の車両の減速制御装置の一実施形態の動作を示すタイムチャートである。 本発明の車両の減速制御装置の一実施形態の他の制御内容を示すフローチャートである。 本発明の車両の減速制御装置の一実施形態の目標減速度の勾配を説明するための説明図である。 本発明の車両の減速制御装置の一実施形態の運転指向推定部を説明するための説明図である。 本発明の車両の減速制御装置の一実施形態の変形例の動作を示すタイムチャートである。
符号の説明
10 自動変速機
40 エンジン
90 加速度センサ
95 マニュアルシフト判断部
101 車間距離計測部
102 シフトスイッチアクティブスイッチ
114 スロットル開度センサ
115 運転指向推定部
116 エンジン回転数センサ
118 道路勾配計測・推定部
119 コーナ計測・推定部
120c 出力軸
121a〜121c 電磁弁
122 車速センサ
123 シフトポジションセンサ
130 制御回路
131 CPU
133 ROM
138a〜138c 電磁弁駆動部
200 ブレーキ装置
220 油圧制御回路
221 マスタシリンダ
222 ポンプモータ
223 アキュムレータ
224 リザーバタンク
225 ブレーキスイッチ
230 ブレーキ制御回路
401 アクセル開度
402 自動変速機の変速による減速度
402max 自動変速機の変速による減速度の最大値
403 目標減速度
404 目標減速度の勾配最小値
405 勾配上限値
406 ブレーキ制御量
408 クラッチトルク
409 モータ駆動指令
410 ブレーキ圧
L1 ブレーキ制動力信号線
Gt 最大目標減速度
SG1 ブレーキ制動力信号
SG2 ブレーキ制御信号
ta 変速指令が出力されてからブレーキの制動力が発生するまでの時間
tc 変速指令が出力されてからブレーキの制動力が発生するまでの時間
td ダウンシフト指令から変速が開始されるまでの時間

Claims (9)

  1. 車両に制動力を生じさせる制動装置の作動と、前記車両の変速機を相対的に低速用の変速段又は変速比に変速する変速動作とにより減速制御を行う車両の減速制御装置であって、
    前記変速動作が行われることを予測する変速予測手段と、
    前記制動装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減させる空走低減手段と、
    前記変速予測手段による予測結果に基づいて、前記空走低減手段を作動させるか否かが決定される
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  2. 車両に制動力を生じさせる制動装置の作動と、前記車両の変速機を相対的に低速用の変速段又は変速比に変速する変速動作とにより減速制御を行う車両の減速制御装置であって、
    運転者が前記制動装置による制動動作の応答性が相対的に高いことを指向しているか否かを検出又は推定する運転指向検出・推定手段と、
    前記制動装置が実際に制動力を発生するまでの空走状態を低減させる空走低減手段と、
    前記運転指向検出・推定手段による検出又は推定結果に基づいて、前記空走低減手段を作動させるか否かが決定される
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両の減速制御装置において、
    前記制動装置は、油圧により制動力を発生し、
    前記空走低減手段の動作は、前記制動装置に供給されるための油圧を上昇させることである
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  4. 請求項1または2に記載の車両の減速制御装置において、
    前記制動装置は、油圧を用いることなくモータにより制動力を発生し、
    前記空走低減手段の動作は、前記モータを駆動させることである
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  5. 請求項1、3及び4のいずれか1項に記載の車両の減速制御装置において、
    前記変速動作が行われることの予測は、車両前方のカーブの曲率及び路面勾配の少なくともいずれか一方に基づいて行われる
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  6. 請求項1、3、4及び5のいずれか1項に記載の車両の減速制御装置において、
    前記変速動作が行われることの予測は、車両と前記車両の前方の先行車を含む障害物との距離に基づいて行われる
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  7. 請求項1、3、4、5及び6のいずれか1項に記載の車両の減速制御装置において、
    前記変速動作が行われることの予測は、シフトスイッチがアクティブであるか否かに基づいて行われる
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  8. 請求項2記載の車両の減速制御装置において、
    前記運転者が前記制動装置による制動動作の応答性が相対的に高いことを指向しているか否かの検出又は推定は、運転者の運転指向に基づいて行われる
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  9. 請求項2記載の車両の減速制御装置において、
    前記運転者が前記制動装置による制動動作の応答性が相対的に高いことを指向しているか否かの検出又は推定は、シフトスイッチがアクティブであるか否かに基づいて行われる
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
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