JP2005219252A - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】カラープリント等において、サテライトインク滴や跳ね返りミストによる吐出不良を低減する。
【解決手段】カラープリントのためのシアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)の吐出口列11、13、15の間にブラック(K)インクの吐出口列12、14を配設して、2次色、3次色の組み合わせで吐出を行う吐出口列11、13、15の間隔を増大させる。同時に吐出する吐出口列11、13、15の間を拡大することで、吐出時の減圧によってインクミストが液体吐出ヘッドの吐出口面に吸着され、付着・合体して不吐出を起こすのを防ぐ。
【選択図】図1
【解決手段】カラープリントのためのシアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)の吐出口列11、13、15の間にブラック(K)インクの吐出口列12、14を配設して、2次色、3次色の組み合わせで吐出を行う吐出口列11、13、15の間隔を増大させる。同時に吐出する吐出口列11、13、15の間を拡大することで、吐出時の減圧によってインクミストが液体吐出ヘッドの吐出口面に吸着され、付着・合体して不吐出を起こすのを防ぐ。
【選択図】図1
Description
本発明は、プリント媒体(被記録媒体)にインク等の液体を吐出してプリント(記録)を行うインクジェットプリンタ等の液体吐出方式の画像形成装置に搭載される液体吐出ヘッドに関するものである。
なお、本明細書において「プリント」とは、文字や図形など有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上に画像,模様,パターンなどを形成したり、または媒体の加工を行う場合をも包含する。また、「プリント媒体」とは、一般的なプリント装置で用いられる紙のみならず、布,プラスチックフィルム,金属板,ガラス,セラミックス,木材,皮革などのインクを受容可能な物をも含むものである。さらに、「液体」とは、上記「プリント」の定義と同様に広く解釈されるべきであり、プリント媒体に付与されることによって、画像,模様,パターンなどの形成またはプリント媒体の加工あるいは液体の処理(例えばプリント媒体に付与されるインク中の色材の凝固や不溶化など)に供され得る液体を含み、従ってプリントに関して用いることが可能なあらゆる液体を包含している。
近年、インターネットやデジタルカメラの普及などにより、高階調のカラー印刷に対する需要も高まってきており、これに伴って画像形成装置であるインクジェットプリンタの高性能化も進められつつある。高精細かつ高階調の高品位プリント画像を得る手段としては以下の方法が知られている。
(1) インクを吐出するための吐出口の配列間隔を狭め、解像度の向上を図る。
(2) 特定の色インクに対し、これに含まれる色剤の割合、つまり色剤の濃度が異なる複数(最低2つ)の色インクをそれぞれ吐出する複数の液体吐出ヘッド(プリントヘッド)を用意し、必要に応じて濃インクと淡インクとを選択的に重ね打ちすることにより階調性の向上を図る。
(3) 吐出口から吐出されるインク滴の大きさ、すなわちインク量を可変にすることにより階調性の向上を図る。
(2) 特定の色インクに対し、これに含まれる色剤の割合、つまり色剤の濃度が異なる複数(最低2つ)の色インクをそれぞれ吐出する複数の液体吐出ヘッド(プリントヘッド)を用意し、必要に応じて濃インクと淡インクとを選択的に重ね打ちすることにより階調性の向上を図る。
(3) 吐出口から吐出されるインク滴の大きさ、すなわちインク量を可変にすることにより階調性の向上を図る。
液体吐出ヘッドの吐出口からインクを吐出させるための吐出エネルギーとして熱エネルギーを用い、インク中に気泡を発生させてその際の発泡圧力を利用する方式のプリンタにおいては、上述した(3)の方法が比較的困難であるので、(1)や(2)の方法が特に有効であると考えられる。
しかしながら、(2)の方法を実現しようとすると、特定の色のインクに対して2つ以上の液体吐出ヘッドが必要となり、コスト高になってしまう。従って、(1)のように吐出口の配列間隔を狭め、各吐出口から吐出される個々のインク滴の大きさを小さく(例えば10ピコリットル以下)して解像度の向上を図る手法が、製造コストの上昇をほとんど伴わないことから最も望ましい簡便な方法と言えよう。
このような小さなインク滴を吐出口から吐出させる場合、インクの加熱に伴って膜沸騰により成長する気泡を吐出口を介して大気に連通させる方式のものが、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3などで開示され、膜沸騰により成長する気泡を大気に連通させずにインク滴を吐出する旧来の非連通方式のものと区別するため、バブルスルー方式と呼称される場合がある。
膜沸騰により成長する気泡を大気に連通させずにインク滴を吐出する旧来の非連通方式による液体吐出ヘッドにおいては、吐出口から吐出されるインク滴の大きさを小さくするに連れて吐出口に連通するインク流路の通路断面積を小さくしなければならず、吐出効率が低下して吐出口から吐出されるインク滴の吐出速度が低下してしまう不具合が生ずる。インク滴の吐出速度が低下すると、その吐出方向が不安定になる上、液体吐出ヘッドの休止時に水分の蒸発に伴ってインクの増粘化が起こり、吐出状態がさらに不安定となって初期吐出不良などが発生し、信頼性の低下を招く可能性がある。
この点、気泡が大気に連通するバブルスルー方式の液体吐出ヘッドは、インク滴の大きさを吐出口の幾何学的形状のみで決定できるため、小インク滴を吐出するのに適しており、温度などの影響を受けにくく、インク滴の吐出量が旧来の非連通方式の液体吐出ヘッドと比較して非常に安定しているという利点があるため、高精細かつ高階調の高品位プリント画像を比較的容易に得ることが可能である。
特開平4−10940号公報
特開平4−10941号公報
特開平4−10742号公報
特開昭62−264957号公報
特開平9−11479号公報
高精細かつ高階調の高品位プリント画像を得るには、1つの吐出口から極めて少量のインク滴を吐出させてプリントを行うことが好ましい。この場合、プリント速度の高速化のためには吐出口からインク滴を短周期で吐出させる必要がある。しかも、液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジをプリント媒体に対して液体吐出ヘッドの駆動周波数に同期して高速で走査移動させなければならない。このような観点から、インクジェットプリンタにおいては特にバブルスルー方式のものが適していると言える。
ところが、実際に記録を実行した場合、記録信号に応答して吐出される主たるインク滴に付随して、該主たるインク滴に遅れて吐出口から飛翔する微小インクが発生する場合がある。また、主たるインク滴が記録紙等に着弾した場合、着弾によってインクが跳ね返る現象が生じ極めて微細なインク滴が記録領域中に発生する場合もある。こうした微小インクからなるインクミストが発生すると、液体吐出ヘッドの吐出口面に付着し、インクの液溜りが生じることがしばしばある。このような液溜りの発生は、吐出口からのインク滴の吐出を不安定にしたり、インクの不吐出を引き起こす等の問題の発生につながることが知られている。
従来、上記の問題を解決するために、吐出口が設けられた表面(吐出口面)に撥水処理を施すことが行われていた。この場合、撥水膜は吐出口面のほぼ全面に形成されていた。
このように吐出口面のほぼ全面に撥水膜を形成すると、吐出口の周辺部分におけるインクの滞留が少なくなり、前述したインクの不安定吐出等の問題はある程度改善される。しかし、複数色を同時に駆動させて、連続した長期間の高周波駆動で、高記録スピードかつ高デューティーで記録を実行する場合には、発生するインクミストの量が多く、吐出口面にインク滴が次第に滞留するようになる。
以下に、吐出口面に付着したインクミストがどのようにしてインク吐出状態の変化をもたらすかを簡略に説明する。
例えばインクジェットプリンタ等の液体吐出ヘッドをキャリッジと共にプリント媒体に沿って高速で走査移動させつつ、半分の吐出口からインク滴を連続的に吐出させる複数チップを同時に駆動する2次色プリントをプリント媒体に対して行う場合のインク滴の吐出状態を図9に示す。吐出口110の配列に対するヘッドの走査移動方向は、図9に示すキャリッジ移動方向である。
図8は液体吐出ヘッドの構成を示すもので、吐出口面に複数列の吐出口110を有し、図示しないインク供給口とインク流路形成部材を備えた記録素子基板101はプレート102に保持され、基板上に設けられた電気配線を配線板103と接続することで、この配線板103に設けられた電気接続部が記録装置の電気接続部と接続した際に、駆動信号などを記録装置から受け取ることができる。この液体吐出ヘッドは、上述したインク流路形成部材にK、C、M、Yのインクを供給するためのインクタンク151〜154を保持するタンクホルダ150を備えている。
画像データがハイデューティの場合には、2次色を形成する各チップの、各吐出口110に対応する吐出エネルギー発生部(図示せず)が高い駆動周波数で駆動される。このため、図9に示すように、吐出口110からプリント媒体Pに向けて吐出するインク滴200の運動に伴い、その周囲に介在する粘性を持った空気もインク滴200の運動に引きずられて移動する。この結果、記録素子基板101の吐出口110が開口する吐出口面近傍がプリント媒体Pの周囲よりも減圧傾向となり、周囲の空気が減圧領域へ気流となって流れ、その流れの影響によって、特にプリント媒体Pの近傍のインク滴200に付随して吐出されるサテライトミスト(図示せず)や、矢印Rで示すようにインク滴200がプリント媒体Pに着弾して生じる跳ね返りミストの主滴よりも小さな液滴群が、記録素子基板側に引き寄せられることが判明した。
このような現象の下で、ハイデューティプリントを複数回のキャリッジの走査移動によって行った場合に、記録素子基板101の吐出口面にミストが付着した様子を図10に模式的に示す。
図10の(b)は1次色のみの場合、図10の(a)は2次色の場合のミスト付着図であり、特に、2次色の場合は、(a)に示すように、チップ間の領域において両側に、インク滴が高周波数で吐出されているので、1次色の場合に比べてさらに減圧傾向になり、サテライトミストや、跳ね返りミストが記録素子基板101に到達しやすい。
液体吐出ヘッドの吐出口面のほぼ全面に撥水処理を行った構成では、インクミスト滴は吐出口から離れた領域に次第に多く付着する傾向にあることが発明者等の検討の結果わかった。例えば、吐出口から約500μmから1mm程度離れた領域では直径が300μmから500μm程度に大型に成長したインクミスト集合体が多数存在する。撥水領域では水(インク)に対する接触角が大きいために流動性が大きく、水に対する接触角が80度を越えると一層顕著なものとなる。このように大型に成長したインクミストは、特に、液体吐出ヘッド自体をプリントがなされる領域を往復走査させる装置構成の場合、往復動から生ずる慣性力をきっかけとしてあるいは自重によって容易に移動しはじめ、ついに吐出口に到達することになり、このように成長したインクミストは部分的に対応する1〜数ノズルの吐出口に引き込まれ不吐出を発生させる現象を生じた。
この問題を解決する方法として、吐出口面のクリ−ニングの頻度を上げて、例えば1ページ単位から1行単位で行う方法が考えられる。しかしながら、クリーニング回数を上げると記録スピードの低下を引き起こしてしまうという問題がある。
このような不具合は、吐出口の配列間隔を狭く設定し、1回の駆動操作によって10ピコリットル以下の少量のインク滴を高周期で吐出できるバブルスルー方式のインクジェットプリンタにおいて特に顕著に現れる。
本発明は、上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、吐出口から吐出されるサテライトインク滴や跳ね返りミストの吐出口近傍での付着・合体を抑制し、2次色プリント等において濡れ不吐による白筋の発生等を回避して安定した高品位なプリントを実現できる液体吐出ヘッドを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、本発明の液体吐出ヘッドは、液流路と、被記録媒体に前記液流路の液体を吐出するための吐出手段と、前記液体に吐出エネルギーを発生させるための吐出エネルギー発生手段とを備えており、前記吐出手段が、互に平行に配設され、所定の組み合わせで同期的に液体を吐出する複数の第1の吐出口列と、前記複数の第1の吐出口列の間に配設され、前記第1の吐出口列とは別のタイミングで液体を吐出する第2の吐出口列を有することを特徴とする。
液体がインクであるとよい。
第1の吐出口列がブラック以外のインクを吐出する吐出口列であり、第2の吐出口列がブラックのインクを吐出する吐出口列であるとよい。
シアン、イエロー、マゼンタのインクをそれぞれ吐出する3色の第1の吐出口列が配列されており、各色の第1の吐出口列の間にブラックのインクを吐出する第2の吐出口列が配設されているとよい。
第2の吐出口列の吐出口ピッチが第1の吐出口列の吐出口ピッチと異なるとよい。
隣接する第1の吐出口列の間に複数の第2の吐出口列が配設されているとよい。
複数の第2の吐出口列が設けられており、それぞれ濃度または材質の異なるインクを吐出するように構成されていてもよい。
複数の第2の吐出口列が設けられており、それぞれの吐出量が異なるように構成されていてもよい。
2次色・3次色で用いられるインク等液体を吐出する第1の吐出口列の間に、1次色でしか使用されない液体を吐出する第2の吐出口列を少なくとも1列配置する構成としたため、2次色・3次色プリントの場合でも、2次色・3次色で用いられる第1の吐出口列の間に充分な間隔を確保できる。その結果、液体の吐出運動による気流の影響がほとんどなくなり、液体吐出ヘッドの吐出口面に付着するミスト滴の量を減少させることができ、ミスト滴が合体して増大し、吐出口を塞いで不吐出となるのを防止できる。
図1に示すように、図示しない被記録媒体(プリント媒体)にインク等液体を吐出させるためのエネルギーを発生する複数の吐出エネルギー発生手段である記録素子列と、前記記録素子列と対応して前記インクを吐出する吐出手段である吐出口列11〜15を具備し、複数種のインクを前記吐出口列11〜15から吐出して記録を行う記録素子基板1を有する液体吐出ヘッドにおいて、C、Y、Mの各色インクの2次色・3次色による組み合わせでカラー画像を形成する際に、第1の吐出口列であるシアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)の色インクの吐出口列11、13、15が、隣り合って配列されず、吐出口列11、13の間と、吐出口列13、15の間に、それぞれ、1次色ブラック(K)でのみ用いられる第2の吐出口列12、14が配列されている。
そして、1次色でのみ用いられるブラックインクを吐出する吐出口列12、14は、それぞれ吐出口配列方向にずらして2列1組で配列されている。
1次色でのみ用いられるブラックインクを吐出する複数の第2の吐出口列から吐出されるインクの吐出量や濃度等は、それぞれ異なるものであってもよい。
図1の(a)に示すように吐出口10を有する記録素子基板1は、同図の(b)に示すように、吐出エネルギー発生素子としての発熱抵抗素子2を含む基板3と、吐出口10および液流路を形成するオリフィスプレート4とを備えている。
基板3は、本実施例では面方位<100>のシリコン単結晶で形成され、その上面すなわちオリフィスプレート4との接続面に、発熱抵抗素子2およびこの発熱抵抗素子2を駆動するための電力を供給するアルミ等の電気配線が形成されている。また、異方性エッチングにより形成された貫通口が5つ設けられ、それぞれ後述する吐出口列11〜15にインクを提供するためのインク供給口5を形成している。
なお、本実施例では、面方位<100>のシリコン基板を使用しているが、面方位<110>のシリコン基板を用いても良く、この基板によると、エッチングによりインク供給口を形成する際に、基板3に対して垂直にエッチングが進行するために、厚み方向でその断面形状の変化の少ないインク供給口を容易に得ることができる。従って、基板サイズは、基板面上のパターンにより決定されることとなり、より一層ヘッドの小型化を行うことができる。また、上述の構成はエッチングを行うことで容易に形成できるが、サンドブラストやレーザー加工など他の方法によって形成してもよい。
基板3上に設けられるオリフィスプレート4は、本実施例では感光性エポキシ樹脂で形成され、例えば特許文献4などに記載されるような工程により、各発熱抵抗素子2に対応して、吐出口10および液流路が形成されている。
ここで、前述の異方性エッチングを特許文献5に記載されているように、シリコン基板上に酸化シリコン膜あるいは窒化シリコン膜を形成した後、貫通口および吐出口と液流路とを備えたオリフィスプレートを形成し、インク供給口部の酸化シリコン膜あるいは窒化シリコン膜を除去することは、安価で精密な液体吐出ヘッドを作成することが出来るので望ましい。
基板3およびオリフィスプレート4とを有する記録素子基板1は、発熱抵抗素子2によって印加される熱エネルギーによる膜沸騰によって生じる気泡の圧力を利用して、吐出口10よりインクを吐出して記録を行うものである。記録素子基板1は、図8に示した従来例と同様に、基板上に設けられた電気配線を図示しない配線板と接続することで、この配線板に設けられた電気的接続部が記録装置の電気接続部と接続した際に、駆動信号などを記録装置から受け取ることができる。またこの記録素子基板1を備えた液体吐出ヘッドは、各インク供給口5にK、C、M、Yの各色インクを供給するためのインクタンクを備えている。
液体吐出ヘッドを用いたカラーインクジェットプリンタは、近年、高精細かつ高階調の高品位プリント画像が求められ、1つの吐出口から極めて少量のインク滴を吐出させてプリントを行うことが好ましい。この場合、プリント速度の高速化のためには吐出口からインク滴を短周期で吐出させる必要がある。しかも、液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジをプリント媒体に対して液体吐出ヘッドの駆動周波数に同期して高速で走査移動させなければならない。
ところが、実際に記録を実行した場合、記録信号に応答して吐出される主たるインク滴に付随して、該主たるインク滴に遅れて吐出口から飛翔する微小インクが発生する場合がある。また、主たるインク滴が記録紙に着弾した場合、着弾の際にインクが跳ね返る現象が生じ極めて微細なインク滴が記録領域中に発生する場合もある。特に、複数の色を同時に吐出させる2次色・3次色プリント時に、連続した長期間の高周波駆動で、高記録スピードかつ高デューティーで記録を実行する場合には、こうしたインクミストが多く、吐出口からプリント媒体に向けて吐出するインク滴の運動に伴い、その周囲に介在する粘性を持った空気もインク滴の運動に引きずられて移動する。この結果、液体吐出ヘッドの吐出口が開口する吐出口面近傍がプリント媒体の周囲よりも減圧傾向となり、周囲の空気が減圧領域へ気流となって流れ、その流れの影響によって、特にプリント媒体近傍のインク滴に付随して吐出されるインクミストや、インク滴が記録紙に着弾して跳ね返ることによって生じる小さな液滴群が、記録素子基板側に引き寄せられ、吐出口面にインクが次第に滞留し、液溜りが生じることがしばしばある。こうした液溜りの発生は、吐出口からのインク滴の吐出を不安定にしたり、不吐出を引き起こした。
そこで、本実施例では、図1の(a)に示すように、記録素子基板1上に、フルカラー画像を形成するに当って用いられる、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクの内、2次色・3次色で用いられるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)をそれぞれ吐出する吐出口列11、13、15の間に、1次色でしか使用されないブラック(K)インクを吐出する吐出口列12、14を配置する。このとき、インク滴の吐出量は5plで、各吐出口列11〜15においては、吐出口ピッチが600dpiで形成された奇数側、偶数側の吐出口が長手方向に互いに1200dpiずらして2列に配置される。
上記の構成をとることにより、例えば、シアン(C)とイエロー(Y)の2次色でグリーンを形成したときも、図2に示すように、シアン(C)の吐出口列11とイエロー(Y)の吐出口列13の間に、ブラック(K)の吐出口列12による充分な間隔が設けられており、インク滴の運動による気流の影響がほとんどなくなるため、吐出不良の原因となるインクの液溜りの発生を防ぐことが出来る。また、ブラック(K)は1次色のみで用いられるため、上述のような現象で液溜りが発生することはない。
また、このとき、ブラック(K)インクを吐出する吐出口列は、シアン(C)とイエロー(Y)間とイエロー(Y)とマゼンタ(M)間にそれぞれ配列されるため、例えば、白黒の文字だけのモノクロ印刷では、従来より印刷スピードを上げることが可能となる。
さらに、図3に示すように、ブラック(K)インクを吐出する吐出口列32、34のそれぞれの奇数側の列が長手方向に互いに2400dpiずらして配置され、偶数側も同様に2400dpiずらして配置される構成にすれば、極めて高解像度な画像形成が可能である。
本実施例によれば、上述のように、吐出口から吐出されるサテライトインク滴や跳ね返りミスト等の吐出口近傍での付着・合体を抑制し、2次色プリント等を形成した場合の濡れ不吐による白筋の発生を防ぐことが出来る。さらに、ブラックインクの吐出口列を複数列有するので、モノクロ印刷のスピードアップが可能となる。
図4は実施例2による液体吐出ヘッドの吐出口面を示す平面図である。なお、記録素子基板1、吐出口10、シアン(C)インクの吐出口列11、イエロー(Y)インクの吐出口列13およびマゼンタ(M)インクの吐出口列15については実施例1と同様であるから同一符号で表わし説明は省略する。
本実施例は、実施例1と同様の配置でフルカラー画像を形成する液体吐出ヘッドにおいて、1次色でしか用いないブラック(K)インクを複数種の吐出量で吐出するものであり、一方のブラックインクの吐出口列32を5pl(吐出量大)で、もう一方のブラックインクの吐出口列34を2pl(吐出量小)で吐出させる。これによって、モノクロ印刷時の階調性を上げることが可能となる。このとき、ブラックインクの吐出口列32、34に供給するインクは、同一のインクタンクから供給する方が、コストダウンとなり、かつ、ヘッドの小型化も出来るので、望ましい。
本実施例によれば、実施例1と同様に、吐出口から吐出されるサテライトインク滴や跳ね返りミストの吐出口近傍での付着・合体を抑制し、2次色プリント等を形成した場合でも濡れ不吐による白筋の発生を防ぐことが出来る。さらに、ブラックインクを複数種の吐出量で吐出することにより、モノクロ印刷時の階調性を上げることが可能となる。
図5は実施例3による液体吐出ヘッドの吐出口面を示す平面図である。なお、記録素子基板1、吐出口10、シアン(C)インクの吐出口列11、イエロー(Y)インクの吐出口列13およびマゼンタ(M)インクの吐出口列15については実施例1と同様であるから同一符号で表わし説明は省略する。
本実施例は、実施例1の配置でフルカラー画像を形成する液体吐出ヘッドにおいて、1次色でしか用いないブラック(K)インクの吐出口列42、44から吐出されるインク濃度がそれぞれ異なるものであり、一方のブラックインクの吐出口列42には濃度の高いブラック(K)インクを、もう一方の吐出口列44のブラックインクには濃度の低いブラック(LBK)インクを使用するものである。
また、図6に示すように、一方のブラックインクの吐出口列54には染料ブラック(染料BK)インクを、もう一方のブラックインクの吐出口列52には顔料ブラック(顔料BK)インクを使用してもよい。
本実施例によれば、実施例1と同様に、吐出口から吐出されるサテライトインク滴や跳ね返りミストの吐出口近傍での付着・合体を抑制し、2次色プリント等を形成した場合でも濡れ不吐による白筋の発生を防ぐことが出来る。さらに、複数種の濃度の異なるブラックインクを吐出することにより、実施例2と同様に、モノクロ印刷時の階調性を上げることが可能となる。
図7は実施例4による液体吐出ヘッドの吐出口面を示す平面図である。なお、記録素子基板1、吐出口10、シアン(C)インクの吐出口列11、イエロー(Y)インクの吐出口列13およびマゼンタ(M)インクの吐出口列15については実施例1と同様であるから同一符号で表わし説明は省略する。
本実施例は、2次色・3次色で用いられるマゼンタ(M)、イエロー(Y)を吐出する吐出口列13、15の間に、1次色でしか使用されないブラック(K)インクを吐出する吐出口列64を複数列有するものである。このとき、複数のブラック(K)インクの吐出口列64は、実施例1〜3と同様に、異なる色調や濃度、もしくは、吐出量が異なるものであっても構わず、その組み合わせであってもよい。さらに、それぞれのインクを吐出する吐出口列は、長手方向にずらして配列されるものであってもよい。
本実施例によれば、実施例1と同様に、吐出口から吐出されるサテライトインク滴や跳ね返りミストの吐出口近傍での付着・合体を抑制し、2次色プリント等を形成した場合でも濡れ不吐による白筋の発生を防ぐことが出来る。さらに、ブラックインクの吐出口列を複数列有するので、モノクロ印刷のスピードアップが可能となる。
本実施例は、例えば、ブラックインクとシアンインクを組み合わせて、形成されるブラックインクの濃度をより上げたいといった時のように、ブラックインクとその他の色のインクを組み合わせて、画像を形成する記録モードも有するときのもので、前述の実施例1〜4と同様に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)を吐出する吐出口列の間に、ブラックインク(K)を吐出する吐出口列を有するものである。
このとき、ブラックインクを吐出する吐出口列とその他の色を吐出する吐出口列は必ず隣り合っており、さらに、ブラックインクと組み合わせて使用される色インクの打ち込み量は少量であり、ブラックインクの濃度が高いため、ブラックインクと色インクを組み合わせて画像を形成したとしても、インク滴の運動による気流の影響はほとんどなく、インク滴が合体して増大して、吐出口を塞いで吐出不良となるおそれはない。また、このとき、ブラックインクの吐出口列は、実施例1〜4と同様に、吐出量や濃度が異なる、もしくは、複数列の吐出口列をその他の吐出口列の間に有するものであっても構わず、その組み合わせであってもよい。さらに、それぞれのインクを吐出する吐出口列は、長手方向にずらして配列されるものであってもよい。
本実施例によれば実施例1と同様に、吐出口から吐出されるサテライトインク滴や跳ね返りミストの吐出口近傍での付着・合体を抑制し、2次色プリント等を形成した場合でも濡れ不吐による白筋の発生を防ぐことが出来る。
なお、上述の各実施例では、インクジェット記録分野で最もよく用いられるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクを例に説明したが、それぞれの淡インクなどの他色のインクを含んでもよい。また、1次色でしか用いないインクをブラックとしたが、その他の色であっても構わず、複数種のインクの組み合わせであっても構わない。また、上記実施例における液体吐出ヘッドは、発熱抵抗素子の発熱によってインクを吐出し、被記録媒体にインクを付着させることで記録を行うものであるが、圧電素子によってインクを吐出する方式等であってもよい。
1 記録素子基板
2 発熱抵抗素子
4 オリフィスプレート
5 インク供給口
10 吐出口
11、13、15 第1の吐出口列
12、14、22、24、32、34、42、44、52、54、62、64 第2の吐出口列
2 発熱抵抗素子
4 オリフィスプレート
5 インク供給口
10 吐出口
11、13、15 第1の吐出口列
12、14、22、24、32、34、42、44、52、54、62、64 第2の吐出口列
Claims (8)
- 液流路と、被記録媒体に前記液流路の液体を吐出するための吐出手段と、前記液体に吐出エネルギーを発生させるための吐出エネルギー発生手段とを備えており、前記吐出手段が、互に平行に配設され、所定の組み合わせで同期的に液体を吐出する複数の第1の吐出口列と、前記複数の第1の吐出口列の間に配設され、前記第1の吐出口列とは別のタイミングで液体を吐出する第2の吐出口列を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
- 液体がインクであることを特徴とする請求項1記載の液体吐出ヘッド。
- 第1の吐出口列がブラック以外のインクを吐出する吐出口列であり、第2の吐出口列がブラックのインクを吐出する吐出口列であることを特徴とする請求項2記載の液体吐出ヘッド。
- シアン、イエロー、マゼンタのインクをそれぞれ吐出する3色の第1の吐出口列が配列されており、各色の第1の吐出口列の間にブラックのインクを吐出する第2の吐出口列が配設されていることを特徴とする請求項2または3記載の液体吐出ヘッド。
- 第2の吐出口列の吐出口ピッチが第1の吐出口列の吐出口ピッチと異なることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の液体吐出ヘッド。
- 隣接する第1の吐出口列の間に複数の第2の吐出口列が配設されていることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の液体吐出ヘッド。
- 複数の第2の吐出口列が設けられており、それぞれ濃度または材質の異なるインクを吐出するように構成されていることを特徴とする請求項2ないし6いずれか1項記載の液体吐出ヘッド。
- 複数の第2の吐出口列が設けられており、それぞれの吐出量が異なるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の液体吐出ヘッド。
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