以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔液体吐出ヘッド〕
図1は、本実施形態の、インクなどの液体(以下単にインクと称する)を吐出する液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)21の模式図である。同図に示すように、この液体吐出ヘッド21は、複数のヘッドチップ10a,10b,…を、ヘッドと被プリント材との相対移動方向にずらして、複数並べて構成され、全体として1つの長尺の液体吐出ヘッドとして働くようになっている。なお、図1では、分かりやすくするために、ヘッドチップを2つだけ記載しているが、本実施形態の液体吐出ヘッド21はさらに多数のヘッドチップ10を有するものであってもよく、それらの配置としては、例えば千鳥状や、階段状に配置する例があげられる。以下の説明では、このように複数のヘッドチップから構成される液体吐出ヘッドをマルチヘッドとも称する。
本発明の実施形態のマルチヘッドに用いられているヘッドチップ10を図2に部分破断状態で示す。また、図3は、このヘッドチップ10のノズル構造を示す平面図であり、図2のインク室13によって形成されるインク流路17と、吐出口16の位置関係を示している。ヘッドチップ10は、例えばSiウェハを用いて製造され、細長いインク供給口15が形成されており、Siウェハ上には、吐出口16やインク室13を形成する天板19が設けられている。
各インク供給口15には、このインク供給口15の長手方向に沿って所定間隔で配列するインク室13が当該インク供給口15を挟むように2列に形成されており、各インク室13にはエネルギー発生素子14とこのエネルギー発生素子14と対向してインクを滴として吐出するための吐出口16とが設けられている。
本実施形態では、インク供給口15を挟んで相互に平行な2列の吐出口16が相互に半ピッチずらしていわゆる千鳥状に配列されており、インク供給口15の長手方向に沿って配列する吐出口16の間隔は、見かけ上、各列の吐出口16に対応するインク室13の間隔の半分の間隔になっている。本明細書における吐出口の間隔とは吐出口の重心と重心との間隔を示す。円形の吐出口の場合は吐出口の中心と中心との間隔である。また、エネルギー発生素子14およびAlなどで形成されてエネルギー発生素子14に電力を供給する不図示の電極配線は、成膜技術によりSiウェハの表面に形成され、電極配線17の一端は、Auなどで形成されて発熱基板12の表面から突出するバンプ18に接続されている。
本実施形態におけるエネルギー発生素子14は、例えばTaN,TaSiN,Ta−Alなどで形成される発熱抵抗体層19の、Alなどで形成される電極配線によって覆われていない部分によって構成され、所定のシート抵抗値を有する。また、これらエネルギー発生素子14および電気配線は、所定の厚みのSiNで形成された不図示の保護層で覆われ、さらに電気熱変換素子14の上の保護層の表面上には、所定の厚みのTaによる不図示の耐キャビテーション層が成膜されている。
上述したインク供給口15は、発熱基板として用いられるSiウェハの結晶方位を利用し、異方性エッチングにより形成される。つまり、Siウェハの表面が<100>で、その厚さ方向に<111>の結晶方位を持つ場合、例えばKOHやテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)あるいはヒドラジンなどのアルカリ系異方性エッチング液を用い、エッチング方向に選択性を持たせて所望の深さにエッチングを行う。また、インク室13および吐出口16は、フォトリソグラフィ技術によって形成され、エネルギー発生素子14に電力を供給することによって、例えば4ピコリットルのインク滴を吐出口16から吐出させる。
なお、図1〜3などでは、エネルギー発生素子14や吐出口16は、分かりやすくするために少数しか示していないが、各ヘッドチップ10は、より多数の吐出口16を有することができる。
〔液体吐出記録装置〕
図4は、本発明における液体吐出ヘッドを適用可能な本実施形態の液体吐出記録装置(インクジェット記録装置)を模式的に示す図である。この装置は、上述したような液体吐出ヘッドを被プリント材との間で相対移動させながら、吐出口から液滴を被プリント材に着弾させて、ドットを形成することで、画像を形成する装置である。
この液体吐出記録装置40は、上述のような構成を有する液体吐出ヘッド21として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出するための液体吐出ヘッド21a,21b,21c,21dを有している。これらの液体吐出ヘッド21は、それらの各々に対応する色のインクを保持するインクカートリッジ22a,22b,22c,22dと共に、キャリッジ20に搭載されている。各インクカートリッジ22は、各液体吐出ヘッド21のインク供給口にチューブを介して接続されている。
キャリッジ20は、ガイドシャフト27によって、それに沿う方向(主走査方向)に往復移動可能に支持されている。キャリッジ20には、プーリに懸架された駆動ベルト29が連結され、一方のプーリにはキャリッジモータ30が連結されており、キャリッジ20は、キャリッジモータ30を駆動することによって往復移動させられる。この移動の際に、吐出口からインク等の液体が液滴として被プリント材に吐出され、被プリント材にドットを形成する。キャリッジ20の移動経路には、液体吐出ヘッド21の駆動制御などに利用されるリニアエンコーダ28がガイドシャフト27に沿って配置されている。このように往復移動させられるキャリッジ20上の各液体吐出ヘッド21に制御信号などを供給するため、キャリッジ20にはフレキシブルケーブル23が接続されている。
この液体吐出記録装置40は、シート状の被プリント材24に画像を形成するものであり、キャリッジ20に搭載されて移動させられる液体吐出ヘッド21の、吐出口16が開口する吐出口形成面に対向する位置を通って図4の矢印方向(副走査方向)に被プリント材24を搬送する搬送機構を有している。被プリント材24としては、普通紙や高品位専用紙、OHPシート、光沢紙、光沢フィルム、ハガキ等を用いることができる。
搬送機構は、図示する排紙ローラ25の他、不図示の搬送ローラを有しており、これらは、搬送モータ26によって回転駆動される。これによって、被プリント材24は、まず、搬送ローラによって挟持されて搬送され、先端が排紙ローラ25に達すると、搬送ローラと排紙ローラ25の両方によって搬送され、最終的に不図示の排紙部に排紙される。
また、この液体吐出記録装置40は、経時的に内部のインクが増粘するなどして液体吐出ヘッド21の吐出性能が落ちないように適宜回復し、吐出不良や目詰まりが発生するのを低減するための回復ユニット32を有している。回復ユニット32は、キャリッジ20が、記録領域外に設定されたホームポジションに位置した時に、各液体吐出ヘッド22の吐出口形成面に対向して位置するキャップ31a,31b,31c,31dを有している。
記録動作が行われない時には、キャリッジ20はこのホームポジションに移動させられ、各液体吐出ヘッド22の吐出口形成面が、各キャップ31によって密閉される。これによって、インク溶剤の蒸発に起因するインクの増粘や、吐出口形成面への塵埃などの異物の付着が防止され、それによって目詰まりなどの発生が低減される。また、キャップ31には、ポンプを接続し、キャップした状態でこのポンプを作動させ、吐出口16からインクを吸引する処理を適宜行うようにしてもよい。これによって、増粘したインクなどを吸い出し、吐出性能を良好な状態に回復させることができる。また、キャップ31は、吐出口16のうち、記録動作においてインクが吐出される頻度の低いものから、吐出口形成面から離れた状態にあるキャップ31にインクを吐出する空吐出に利用してもよく、これによっても吐出性能の回復作用が得られる。また、キャップ31に隣接して、ブレードなどの拭き部材を配置し、それによって各液体吐出ヘッド21の吐出口形成面をクリーニングする構成をさらに有していてもよい。
また、ホームポジションには、インク受け部33が設けられている。インク受け部33は、各液体吐出ヘッド21が、記録動作を行う直前にインク受け部33の上方を通過する時に、インク受け部33にめがけて予備吐出を行うのに利用される。
本実施形態の液体吐出記録装置40による記録動作は、被プリント材24を搬送し、すなわち副走査しつつ、キャリッジ20を往復動作させ、この際、各液体吐出ヘッド21から、入力画像データに応じて選択的にインクを吐出させることによって実行される。各液体吐出ヘッド21の駆動は、リニアエンコーダ28の信号によってキャリッジ20の動作位置を判定し、これに応じて所定のタイミングで各ヒータ12に駆動パルス電圧を選択的に供給することによって実行される。これによって、各液体吐出ヘッド21から吐出されたインクドロップレットが飛翔して被プリント材24の所定の位置に付着し、それによって、被プリント材24上にドットが形成され、形成された各ドットによって、入力画像データに対応した画像が形成される。
なお、図4には、液体吐出ヘッド21を移動させる主走査と、被プリント材24を移動させる副走査を行うシリアル型の液体吐出記録装置40を示しているが、本実施形態の液体吐出ヘッド21は、記録に用いられる最大の被プリント材24の幅に相当する長さを有するフルライン型の構成とし、液体吐出記録装置は、液体吐出ヘッド21または被プリント材24のいずれか一方のみを移動させて被プリント材24全体への記録を行う構成としてもよい。
液体吐出記録装置40は、上述のような記録動作制御を実行する制御系を有している。図5は、このような制御系の構成の一例を示すブロック図である。
この制御系には、画像データ入力部41、操作部42、CPU43、RAM45、画像データ処理部46が、装置内のアドレス信号、各種データ、制御信号などを伝送するバスライン48を介して互いに接続されて設けられている。また、バスライン48には、上記の液体吐出ヘッド21、キャリッジモータ30、搬送モータ26、リニアエンコーダ28などの各動作機構や検出機構が接続されており、これらを代表して画像記録部47として記載している。
CPU43は、制御プログラム44dに基づいて所定の各種情報処理を実行し、液体吐出記録装置40全体を統括制御するものである。制御プログラム44dは、上述したような各部の動作制御のためのプログラムや、エラー処理プログラムなどを含み、ROM、FD、CD−ROM、HD、メモリカード、光磁気ディスクなどの記憶媒体44に格納されて供給される。CPU43は、この記憶媒体44からバスライン48を介して制御プログラム44を読み出して動作し、また、場合によっては、制御プログラム44dは読取装置によって読み込まれて一旦他の一時記憶部であるワーク用RAM45などに記憶され、そこからCPU43に供給される。また、記憶媒体44には、主として被プリント材の種類に関する情報である被プリント材情報44a、記録に用いるインクに関する情報であるインク情報44b、記録動作時の温度、湿度などの環境に関する情報である環境情報44cなどを適宜格納し、これらの情報を良好な記録制御のために利用してもよい。
ワーク用RAM45は、主として、各種プログラムのワークエリア、エラー処理時の一時待避エリア、および画像処理時のワークエリアなどとして用いられる。また、ワーク用RAM45は、記憶媒体44中の各種テーブルなどをコピーし、そのテーブルの内容を適宜変更して画像処理などに利用するといった用い方をしてもよい。
画像データ入力部41は、スキャナやデジタルカメラ等の画像入力機器からの画像データや、パーソナルコンピュータのハードディスク等に保存されている画像データを液体吐出記録装置40に入力する働きをする。操作部42は、操作者が各種パラメータの設定や記録動作開始の指令などの入力処理をするための各種キーを備えている。
画像データ処理部46は、画像データ入力部41から入力された画像データを、最終的に、各色のインクのドットを各ドット位置に形成するか否かを示す2値の情報からなる、吐出パターンとして用いることができるデータに変換する働きをする。このような変換は、従来から一般に用いられている手法を用いて実施することができる。
例えば、画像データ入力部41からは、多値画像データが入力される。画像データ処理部46は、この多値画像データを各液体吐出ヘッド21から吐出する各インクの色に対応するように色分解し、各色毎、各画素毎のN値の画像データに量子化し、その量子化された各画素における階調値"K"に対応する吐出パターンを作成する。例えば、8bit(256階調)で表現される多値画像データが画像データ入力部41に入力されると、画像データ処理部46において、出力する画像データの階調値が25(=24+1)値に変換される。このような、入力階調画像データのK値化処理には多値誤差拡散法を用いることができるが、これに限られることはなく、平均光学濃度保存法、ディザマトリックス法等、任意の中間調処理方法を用いることができる。そして、画像の光学濃度情報に基づいて、K値化処理を全ての画素数分繰り返すことにより、各ドット位置毎の、各色のドットを形成するか、しないかの2値の情報からなるデータが生成される。
次に、本実施形態の液体吐出記録装置40による記録動作の詳細について説明するに当たり、まず、本実施形態に対比される比較例の液体吐出記録装置による記録動作について説明する。
〔第1の比較例〕
図6は、本実施形態の第1の比較例として、全ての吐出口62が一列に並べられた長尺の液体吐出ヘッド61による記録動作を説明する図である。同図において、矢印Cは、記録動作時の液体吐出ヘッド61の、被プリント材に対する移動方向を示しており、あるいは、矢印Dで示すように被プリント材側を液体吐出ヘッド61に対して移動させてもよい。このように液体吐出ヘッド61と被プリント材とを相対移動させながら、所定の周波数で各吐出口62から選択的にインクを吐出させることによって、模式的に示す記録マトリックス65の各ドット位置にインクを選択的に付着させてドットパターンを形成する。
すなわち、番号1の吐出口62からインクを吐出することによって、記録マトリックス65の記録ライン番号1の各ドット位置、番号2の吐出口62からインクを吐出することによって、記録マトリックス65の記録ライン番号2の各画素位置にドットを形成する。この時、液体吐出ヘッド61として、例えば1280個の吐出口62を1200dpiのピッチ(約21.2μm間隔)で配列したものを用いると、記録マトリックス65の各ドット位置の間隔は約21.2μmになるが、インクドロップレットによって形成されるドットの大きさがこの間隔よりも大きい場合には、互いに隣接するドット同士は重なることになる。また、インクドロップレットによって形成されるドットの大きさがさらに大きければ、ドット位置(1,a)と(2,b)のように、互いに斜めに隣接するドットでも重なりが生じる。また、インクドロップレットが、理想的な位置(記録マトリックス65の各ドット位置の中心)に着弾しない場合にもまた、隣接するドット同士が重なることが考えられる。
このようにドットが重なる場合、従来のシリアルタイプの記録装置において、インターレース記録やマルチパス記録を行う場合には、隣接するドットが一部重なった形状は、図7(a)に示すように、単独で形成された場合と同じ形状になる。これに対して、比較例の液体吐出ヘッド61を用い、1パスで記録を行った場合、隣接するドットが協働して、図7(c)に示すように楕円形のドットを形成したり、斜めに隣接するドット同士でも、図7(b)に示すように、重なり部でドットの形状が変化してひょうたん状のドットが形成されたり、理想的なドット形状からずれる場合がある。
これは、インターレース記録やマルチパス記録時には、互いに隣接するドット位置にインクドロップレットが着弾する時間にある程度の差があるのに対して、本比較例では、ドット位置(1,a)と(2,a)間などでは、着弾時間がほぼ同時であり、ドット位置(1,a)と(1,b)間、あるいはドット位置(1,a)と(2,b)間などでは、ヒータの駆動周期分、例えば、駆動周波数を10kHzとすれば、0.1msecしか着弾時間に差がないことに起因するものと推察される。すなわち、インクドロップレットが着弾した後、それが被プリント材に吸収される前に、隣接するドット位置にインクドロップレットが着弾することによって、被プリント材上でインクドロップレット同士が合体し、そのために望ましいドット形状が損なわれてしまうものと解釈される。言い換えれば、インクドロップレットの被プリント材への吸収速度が、記録速度に追いつけなくなっている。したがって、このような傾向は、ヒータの駆動周波数を高くして、記録速度を速くすればするほど顕著になると考えられる。
このように、本発明者らは、上述したような、インクの、被プリント材への吸収時間を考慮し、互いに隣接するドット位置にドットを形成する場合、できるだけ、インクが被プリント材に吸収される時間以上の差を置いてドットを形成するようにすることが、高速記録において高い画像品位を得る上で有効であるということを見出した。
ここで、インクの被プリント材への吸収挙動を測定し、吸収時間を求める点について詳説する。
当業者には比較的に一般的な測定方法として、J−TAPPIに規定される「ブリスト法」が挙げられる。この方法によると、インクが被プリント材表面に接触してから極短時間内の被プリント材内へのインクの浸透速度を吸収速度係数として求めることができ、すなわち単位容量あたりのインクが被プリント材の単位面積の領域で被プリント材内へ吸収される時間を求めることができる。この方法によって、BJF850(キヤノン株式会社製)で用いられているインク(BCI5C:キヤノン株式会社製)が、プロフォトペーパー(PR101:キヤノン株式会社製)、インクジェット電子写真両用普通紙(PBPAPER:キヤノン株式会社製)、インクジェット用高品位専用紙(HR101:キヤノン株式会社)へ吸収される時間を測定すると、表1に示す結果が得られる。
この際、プロフォトペーパーPR101は、インクの吸収層が空隙型であり、このため、インク吸収層にインクドロップレットが吸収されるまでの時間が比較的長くなっている。そして、このプロフォトペーパーに上記のインクによってドットを形成する場合、互いに隣接する位置へのインクドロップレットの着弾時間差を、付着させるインクドロップレットの量を10ml/平方メートルとすれば8msec、20ml/平方メートルとすれば28msec以上にすれば、上記のような形成ドットの変形を低減できる。
〔第2の比較例〕
次に、第2の比較例の液体吐出ヘッド70を図8に示す。
この液体吐出ヘッド70は、本実施形態と同様に複数のヘッドチップ75a,75b,…を並べて構成したマルチヘッドである。図では、分かりやすくするために、2つのヘッドチップ75のみを示しているが、液体吐出ヘッド70は、より多数のヘッドチップ75を並べて構成したものであってもよい。
図8において、吐出口列に対して垂直な方向が、液体吐出ヘッド70の主走査方向、あるいはフルライン型の液体吐出ヘッド70を用いる場合の液体吐出ヘッド70と被プリント材の相対移動方向(以下「主走査方向」)である。ヘッドチップ75は、主走査方向に交互にずれて主走査方向に直交する方向に並べて配置されている。液体吐出ヘッド70全体では主走査方向に直交する方向に平行に等間隔で延びる吐出口ライン71,72,73,74上に位置している。
図8の下部には、液体吐出ヘッド70によって、被プリント材の主走査方向に直交する方向に並んだドットを形成する際の、時系列の形成ドットのパターンを示している。すなわち、この液体吐出ヘッド70によって主走査方向に直交する方向に並んだドットを形成する場合、まず、時間aで吐出口ライン71上の吐出口76から吐出された液滴(インクドロップレット)によってドットが形成される。この際、各吐出口列の吐出口76のピッチは、形成ドットのピッチの2倍であるため、被プリント材上に形成される各ドットは、ほぼ独立し、ほとんど重なることはない。同様に、時間bで吐出口ライン72、時間cで吐出口ライン73、時間dで吐出口ライン74に位置する吐出口76から吐出されたインクドロップレットによってドットが形成される。図8においては、分かりやすくするために、各時間に形成されるドット33に斜線を付し、それより前の時間に形成されたドット34を白丸で示している。
この際、時間a―b,b−c,c−dの間隔tは、吐出口ラインの間隔(吐出口列の間隔)をL、記録速度、すなわち主走査時の液体吐出ヘッド70と被プリント材との相対速度をFとすれば、
t=L/F … (1)
となる。
例えば、各ノズル内のヒータの駆動周波数を10kHzとし、主走査方向の記録密度(記録マトリックス解像度)を各吐出口76の密度と同一として1200dpi(したがって、記録マトリックスの各ドットの領域は約20μm四方)とすると、記録速度Fは0.2mm/msecとなる。そして、10ml/平方メートルのインクドロップレットを被プリント材としてのプロフォトペーパー(PR101)に着弾させてドットを形成する場合、インクドロップレットの吸収時間Tは、表1から8msecであるので、時間a,b,c,dの間隔tをこの吸収時間とすることができる、吐出口ラインの間隔Lprは、(1)式より、1.6mm(約80ドット分に相当)となる。また、20ml/平方メートルのインクドロップレットを被プリント材としてのプロフォトペーパー(PR101)に着弾させてドットを形成する場合、インクドロップレットの吸収時間Tは28msecであるので、時間a,b,c,dの間隔tをこの吸収時間とすることができる、吐出口ラインの間隔Lprは、5.6mm(約265ドット分に相当)となる。
本比較例の液体吐出ヘッド70では、吐出口ライン71,72,73,74の間隔を、記録動作時に、隣接するドットでインクドロップレットが被プリント材に吸収された後にドットを形成できる距離Lprに近くなるように設定している。すなわち、各ヘッドチップの2列の吐出口列間の間隔EをLprに近い値にする。さらに、主走査方向にずれたヘッドチップ75(例えば75aと75b)の、両者の吐出口列の互いに隣接するもの同士の間隔Fも、距離Lprに近くなるように配置している。このようにすることによって、主走査方向に直交する方向に互いに隣接して一部重なって形成されるドット間で、楕円形やひょうたん形のドットが形成されるのを抑えることができる。
上記のLpr値の意味するところは、繰り返し説明するが、単位面積中に一定量のインクを引き伸ばすように接触させた際に、被プリント材内にインクが吸収される時間を基に、このインクが吸収される時間経過後に、隣接する吐出口76からのインクが被プリント材上に着弾するようにするために必要な吐出口ライン71,72,73,74間の間隔である。そのため、記録動作にあたって、各吐出口76から吐出するインク量によって、このLpr値も異なってくる。通常、全色分の総吐出インク量を、Lprを算出するのに用いることが好ましいが、各色間の距離が十分離れる場合などは、各色単位での吐出インク量を、Lprを算出するのに用いてもよい。
また、このLprを算出するために用いる吸収時間Kは、上記では「ブリスト法」により求める例を示したが、吸収速度を規定する他の測定手法を用いたり、目視により吸収したかどうかを判断して求めたりしてもよい。また、互いに隣接するドット位置に着弾時間差を変化させてドットを形成し、これによって形成されるドットの形状を観察して、吸収時間を推定してもよい。すなわち、インクドロップレットが被プリント材に吸収される前に、互いに隣接するドット位置にインクドロップレットが着弾し、インクドロップレットの合体が生じた場合、ドット形状は、前述のように、例えば、図7(b)に示すように、ひょうたん形になったり、図7(c)に示すようい楕円形になったりすることがある。このことから、インクドロップレットが被プリント材に吸収される時間を推定することができる。
図8の比較例の構成によれば、主走査方向に直交する方向に互いに隣接したドット位置に着弾したインクドロップレット同士が、被プリント材に吸収される前に合体してドット形状が乱れるのを抑え、画像品位の向上を図ることができる。
しかし、本比較例によって形成された画質を詳細に観察すると、主走査方向に直交する方向で、部分的に光学濃度むらが生じ、スジ状に高光学濃度の部分が生じることが分かった。これについて、本発明者らが検討したところ、ドットが重なる部分の光学濃度は、重なるドット間でのインクドロップレットの着弾時間差によって変化することを見出した。このことについて以下に説明する。
図9は、互いに隣接して重なる部分を有するドットを形成した場合の光学濃度分布を示している。同図から分かるように、光学濃度は、重複した部分で最も高く、周辺にいくにしたがって徐々に低くなっている。
次に、図10は、この最大光学濃度(Max O.D)の着弾時間差による変化を測定した結果を示している。図10から、約50msの着弾時間差までは、着弾時間差の変化と共に急峻に最大光学濃度が変化し、それ以上の着弾時間差をおいた場合、最大光学濃度はある一定の値に落ち着く事がわかる。なお、この結果は、BJF850(キヤノン株式会社製)にインクとしてBCI5C(キヤノン株式会社製)を用いて、プロフォトペーパー(PR101:キヤノン株式会社製)に、着弾時間差を変化させて記録を行い、充分時間を置いた後、光学濃度を測定して得たものである。
光学濃度は対物レンズ50倍の顕微鏡に取り付けられたCCDカメラにより10um四方領域の入力データを測定することにより求めた。
そこで、図8の液体吐出ヘッド70によるドットの形成パターンを見ると、互いに隣接するドットは、ほとんどのものについて、例えば、時間aで形成されたドットに隣接するドットは時間bで形成され、時間bで形成されたドットに隣接するドットは時間cで形成され、すなわち、着弾時間差が時間a−b間とc−d間で等しくなっている。しかし、図8においてb−c間は、a−b間およびc−d間に比べ長く、αで示すドットについてのみ着弾時間差が異なっていることが分かる。すなわち、αで示すドットは、他の隣接ドット間の着弾時間差に対して、長い着弾時間差があることが分かる。このため、高光学濃度の記録を行うと、ドットαの部分が、他の部分と光学濃度が異なり、スジ状に見えてしまうものと考えられる。
このように、隣接ドット間の着弾時間差のために光学濃度むらが発生するのは、図12に示すような液体吐出ヘッド80を用いる場合でも同様である。図12に示す液体吐出ヘッド80では、各ヘッドチップ81には、吐出口82が1列だけ、ヘッドと被プリント媒体の相対的な移動方向に対して垂直に吐出口列が形成されている。この場合、各ヘッドチップ81から吐出するインクドロップレットを、互いに隣接するドット位置に着弾させる際の着弾時間差と、主走査方向の位置がずれたヘッドチップ81aまたは81cと81bとから吐出するインクドロップレットを、互いに隣接するドット位置に着弾させる際の着弾時間差とが異なるため、形成画像において、主走査方向に直交する方向に光学濃度むらが生じる場合がある。
上述の比較例の構成においては、被プリント材上で主走査方向に直交する方向において隣接して重なって形成されるドットの着弾時間差が部分的に異なり、着弾時間差による光学濃度の違い(図10参照)によって、形成された画像にスジが生じることがわかった。
そこで、以下の実施形態においては、主走査方向に垂直な方向に隣接して一部重なって形成されるドット同士の光学濃度の値の差を少なくすることで、高画質な画像を得る方法を説明する。つまり、各ヘッドチップから吐出するインクドロップレットを、互いに隣接するドット位置に着弾させる際の着弾時間差と、主走査方向の位置がずれたヘッドチップから吐出するインクドロップレットを、互いに隣接するドット位置に着弾させる際の着弾時間差を、ほぼ同じ光学濃度になるような着弾時間差に調整する方法を説明する。
〔実施形態1〕
本実施形態の液体吐出ヘッド21の場合について説明する。
本実施形態の液体吐出ヘッド21は、図1−Aに示すように、ヘッドチップ10a,10b,…が、ヘッドと被プリント材の相対移動方向である、ヘッドの主走査方向にずれて、主走査方向に直交する方向に並べて配置されている。液体吐出ヘッド21全体として、吐出口16が平行に延びる吐出口ライン1,2,3,4上に位置しているのは比較例2と同様である。本実施形態では、同一のヘッドチップ内における2列の吐出口列の間隔と、互いに隣接するヘッドチップ10aと10b間で互いに隣接する吐出口列の間隔は、ともに間隔Aであり等しい。
この間隔Aは、前述のように、記録動作時に、主走査方向に直交する方向に互いに隣接し一部重なるドット位置で、前に着弾したインクドロップレットが被プリント材に吸収された後に後のインクドロップレットが着弾する時間差に対応する距離Lprに近くなるように設定するのが好ましい。それによって、主走査方向に直交する方向に互いに隣接するドット間で、インクドロップレットが被プリント材上で合体し、ドット形状が乱れるのを低減し、形成画像の品位を高くすることができる。この構成は、前述のPR101のように、インクの吸収層が空隙型である被プリント材では、普通紙や、高品位専用紙よりもインク吸収時間が長くなりがちであるため、このような被プリント材を用いる場合に特に有効である。
以下、記録に関与する吐出口の配置について説明を行う。各ヘッドチップ内の吐出口列群(6a、6b)は、複数の吐出口16が一定の間隔で配列する吐出口列5を2つ持っている。この吐出口列群を有するヘッドチップ(10a、10b)が、ヘッドを被プリント材に対して相対的に移動させる方向(主走査方向)にずれて複数配置されている。図1においてはヘッドチップを2つしか配置していないが、千鳥状や、階段状に3つ以上配置しても本発明は適用可能である。
図1―Aの下部には、図8と同様に、本実施形態の液体吐出ヘッド21を用いて、主走査方向に直交する方向に並んだドットを形成する際の、時系列の形成ドットのパターンを示している。図8と同様に、時間aで吐出口ライン1上の吐出口から吐出された液滴によってドットが形成される。時間bで吐出口ライン2、時間cで吐出口ライン3、時間dで吐出口ライン4に位置する吐出口からの液滴によってドットが形成される。各時間に形成されるドット31に斜線を付し、それより前の時間に形成されたドット32を白丸で示している。
この際、本実施形態では、時間aとb、cとdの間隔は、記録動作時に、各ヘッドチップ10の2列の吐出口列の間隔Aだけ液体吐出ヘッド21と被プリント材24が相対移動する時間に相当し、一方、時間bとcの間隔もまた、互いに隣接するヘッドチップ10aと10b間で互いに隣接する吐出口列の間隔Aだけ液体吐出ヘッド21と被プリント材24が相対移動する時間に相当している。
つまり、同一のヘッドチップ内(吐出口列群内)の吐出口の、前記隣接するドットのそれぞれを形成する吐出口の移動方向に関する間隔A(ライン1と2の間隔、ライン3と4の間隔)と、隣接するヘッドチップ(吐出口列群)にそれぞれ属し、隣接するドットのそれぞれを形成する吐出口の前記移動方向に関する間隔A(ライン2と3の間隔)と、が、等しくなっている。
この結果、同一のヘッドチップ内に属する吐出口によって形成されるドットの重なり部の光学濃度と、隣接するヘッドチップにそれぞれ属する吐出口によって形成されるドットの重なり部の光学濃度と、が等しくなり、形成画像におけるつなぎ部の光学濃度むらを大きく低減することができるのである。
〔実施形態2〕
また、もうひとつの本発明の適用例を図1Bに示す。実施形態1と同様の部分は説明を省略する。本実施形態では、同一のヘッドチップ内(吐出口列群内)の吐出口の、前記隣接するドットのそれぞれを形成する吐出口の移動方向に関する間隔A(ライン1と2の間隔、ライン3と4の間隔)と、隣接するヘッドチップ(吐出口列群)にそれぞれ属し、隣接するドットのそれぞれを形成する吐出口の前記移動方向に関する間隔B(ライン2と3の間隔)と、が異なっている。この間隔AとBは、同一のヘッドチップ内に属する吐出口によって形成されるドットの重なり部の光学濃度と、隣接するヘッドチップにそれぞれ属する吐出口によって形成されるドットの重なり部の光学濃度と、が等しくなるような時間差に相当する距離に設定されている。すなわち、図10に示すように、ドットの重なり部の最大光学濃度は、着弾時間差を変化させた際、着弾時間差が50msec程度になるまでは、着弾時間差の増加と共に大きくなり、着弾時間差が十分に長くなると、一定の値、図10に示す例では0.8程度になる。そこで、ドットの重なり部の最大光学濃度の変化の、最初の立ち上がりのところで、最大光学濃度が0.8程度となる着弾時間差xと、最大光学濃度が安定して0.8程度となる着弾時間差yとでは、どちらの着弾時間差を置いた場合でも、ドットの重なり部の最大光学濃度は同様になる。このことから、本実施形態では、間隔Aを記録動作時に液体吐出ヘッド21と被プリント材24が時間xの間に相対的に移動する距離にし、間隔Bを時間yの間に相対的に移動する距離に設定している。
本発明者らの検討においてはODの差異を2%以下程度にすることで、光学濃度の差による画像のムラの低減を確認することができた。本発明における光学濃度が等しい時間差とは、上述の光学濃度の差違が2%以下の範囲を意味する。
この構成によれば、主走査方向に直交する方向に隣り合った画素位置間でのインクドロップレットの着弾時間差は、時間aとb、cとdの間隔である時間差x、または時間bとcの間隔である時間差yとなり、いずれの着弾時間差の場合にも、ドットの重なり部の最大光学濃度は同じになる。したがって、この構成により、形成画像における光学濃度むらを低減することができる。この際、各ヘッドチップ10の2列の吐出口列の間隔Aに比べて、互いに隣接するヘッドチップ10aと10b間で互いに隣接する吐出口列の間隔Bは、ヘッドチップ10の配置を調整するものであるので間隔Bを間隔Aに比べて長くとることによって、製造が容易になる。
以上説明したように、本実施形態では、液体吐出ヘッド21を複数のヘッドチップ10から形成している。したがって、比較的短いヘッドチップ10を用いて、比較的長尺の液体吐出ヘッド21を形成することができ、この際、比較的短いヘッドチップ10は、長尺の、特に、被プリント材24の幅に相当する長さを有するフルライン型のヘッドを1つの基体上に形成しようとした場合におけるように、製造や管理に困難を生じることはなく、低コスト・高歩留まりで、高性能、高信頼性のものを製造し、使用することができ、したがって、液体吐出ヘッド21全体として見ても、長尺な構成としても高性能で信頼性の高いものとすることができる。
〔実施形態3〕
実施形態3の液体吐出ヘッドを図11に示す。実施形態1と同様の部分は説明を省略する。
図11に示す液体吐出ヘッド21では、各ヘッドチップ10a、10bには、吐出口列5がそれぞれ1列だけ形成され、主走査方向に対して、吐出口列5が傾いて配置されている。この為、主走査方向の先頭にある吐出口から順番に液体が吐出される為、隣接する吐出口で形成されるドットは時間差をもって形成される。また、このヘッドチップは、上述の実施形態と同様に、主走査方向に対してずれて複数配置されている。さらに、隣接する吐出口の間隔が狭い為、隣接する吐出口で形成されるドットはお互い一部重なり合って形成される。
主走査方向に垂直な方向に隣接して一部重なって形成されるドット同士の光学濃度の値の差を少なくする為には、同一のヘッドチップ内の吐出口の、隣接するドットのそれぞれを形成する吐出口の主走査方向に関する間隔Aと、隣接するヘッドチップにそれぞれ属し、隣接するドットのそれぞれを形成する吐出口の前記移動方向に関する間隔Bとを、調整すればよい。
AとBとが同一間隔の時は実施形態1と同様であり、AとBとが異なる場合には、実施形態2と同様であるため説明は省略する。
また、上述の各実施形態においては、吐出口列群を有する小型のヘッドチップをずらして配置することで全体として長尺ヘッドとしたが、もともと長尺形状の基体に複数の吐出口群を形成した長尺チップを用いても構わない。
〔液体吐出方式〕
上述の実施形態においては、液体吐出記録方式(インクジェット記録方式)の中でも、エネルギー発生素子として、ヒータを用い、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記録を行う液体吐出方式の液体吐出ヘッド21を用いた構成を示した。
この代表的な構成や原理については、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一体一で対応した液体(インク)内の気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、特許文献3、特許文献4に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の特許文献5に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行うことが出来る。
液体吐出ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示する特許文献6、特許文献7を用いた構成も用いることができる。
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特許文献8や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する特許文献9に基いた構成としてもよい。すなわち、液体吐出ヘッドの形態がどのようなものであっても、記録を確実に効率よく行うことができる。
液体吐出ヘッドとしては、装置本体に固定された液体吐出ヘッドでも、装置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在の液体吐出ヘッドでも用いることができる。また、液体吐出ヘッドに一体的にインクタンクを設けたカートリッジタイプの液体吐出ヘッドを用いてもよい。
このようなエネルギー発生素子として発熱素子(ヒータ)を使用したバブルジェット(BJ)方式の液体吐出ヘッドは、多数のノズル群を比較的簡易にかつ低コストで実現でき、好ましいものであるが、本発明の液体吐出記録装置に用いることができる液体吐出ヘッドは、これに限られることはない。例えば、インク滴を連続噴射し粒子化するコンティニュアス型の場合には荷電制御型、発散制御型等、また、必要に応じてインク滴を吐出するオンデマンド型の場合には、ピエゾ振動素子の機械的振動によりオリフィスからインク滴を吐出する圧力制御方式等でも適用可能である。
また、本発明の液体吐出記録装置の構成として、上述のような、液体吐出ヘッドの回復手段、さらに他の予備的な補助手段等を付加することは本発明の効果を一層安定したものとすることができるので、好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出手段を挙げることができる。