JP2005219089A - 電動サーボプレス - Google Patents

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Abstract

【課題】サーボモータの暴走を確実に監視して、事故の発生を未然に防ぐ。
【解決手段】スライドの絶対位置を検出するリニアスケール33と、動力伝達機構におけるメインギヤもしくはメインシャフトの絶対角度を検出するエンコーダ39と、サーボモータ21の回転に合わせてパルス信号を出力し、かつそのパルス信号を検出するパルスコーダ40と、リニアスケール33、エンコーダ39およびパルスコーダ40からの各信号あるいは該各信号から算出される各算出値の相互のずれ量を監視するNC装置42を備える構成とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、特に手作業でプレス作業を行うハンドインダイの電動サーボプレスに関するものである。
電動サーボプレスは、サーボモータの回転駆動力をボールスクリュー、偏心機構(クランク機構またはエキセン機構)、リンク機構等の動力変換機構を介してスライドの上下往復動に変換して上型と下型との間でワークをプレス加工するように構成されたものである。この電動サーボプレスは、ワークの加工条件に適合した任意のスライドモーションとなるようにスライドを制御できるという優れた利点を有しており、高精度な成形加工が行えるとともに生産性の向上が図れることから、近年、クラッチブレーキを用いた従来のプレス機械に代わるものとして普及しつつある。
従来のプレス機械の駆動系においては、メインモータにてフライホイールを回転させてそのフライホイールに回転エネルギーを蓄え、この蓄えられた回転エネルギーをクラッチブレーキ装置を介してメインギヤに伝達し、スライドを上下動させるようにされている。この場合、プレスの1ショット毎に作業者が手作業にて金型内へのワークの搬入および加工後の製品の搬出を行う所謂ハンドインダイでは、安全一行程モードを用い、スライドの下死点付近でプレス作業が行われ、この下死点から所定クランク角度回転した位置にてプレス停止信号が入力されることにより、クラッチブレーキ装置のクラッチがOFFするとともにブレーキがONとなって、フライホイールからの回転動力は機械的に遮断されスライドは上死点付近で停止される。そして、このスライド停止時に材料の出し入れ等の作業が行われる(特許文献1参照)。
特開平7−290296号公報
ところで、前述の電動サーボプレスにおいては、メインギヤを回転させるための回転エネルギーが、サーボモータからタイミングベルトを介して直接伝達される機構を採用しており、従来のプレス機械のようにエネルギー源を遮断するクラッチブレーキ装置が存在しないため、上死点停止時においてもサーボモータの回転動力はスライドに伝わった状態にある。このため、例えばスライドの位置を検出する機構が断線、故障、外乱などにより実スライドの位置を誤って認識して位置制御が行われた場合に、コントローラからの間違った指令信号によりスライド位置がずれてしまう。そこで、防護柵によってプレス稼動中に金型内へ人の体が入らない自動プレスにおいては、扉あるいは窓にインタロック用センサを設け、このセンサからの信号によって、サーボモータ供給電源遮断および機械式制動をかけている。
しかし、前記サーボプレスを安全一行程モードにて前記ハンドインダイで使用したとき、作業者はプレスが上死点で停止すると思い、スライドの上昇行程でプレスの金型内に手を入れて加工製品を取り出す作業を行うことから、サーボモータが暴走した場合に、従来のオーバーラン検出(スライドが上死点をオーバーしたことの検出)だけでは、スライドの予期せぬ下降による事故の発生を未然に防ぐことができない。また、従来のサーボ制御で採られている指令値と実移動量との偏差異常をある設定レベルで検出する方法では、起動時および停止時の偏差が大きいため、やはり前述の事故を未然に防ぐ方法としては不十分である。
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、サーボモータの暴走を確実に監視して、事故の発生を未然に防ぐことのできる電動サーボプレスを提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために、第1発明による電動サーボプレスは、
サーボモータの回転駆動力を動力伝達機構を介してスライドの上下往復動に変換してワークを加工する電動サーボプレスにおいて、
前記スライドの絶対位置を検出する位置検出手段と、前記動力伝達機構におけるメインギヤもしくはメインシャフトの絶対角度を検出する角度検出手段と、前記位置検出手段および角度検出手段からの各信号あるいは該各信号から算出される各算出値の相互のずれ量を監視する監視手段を備えることを特徴とするものである。
また、第2発明による電動サーボプレスは、
サーボモータの回転駆動力を動力伝達機構を介してスライドの上下往復動に変換してワークを加工する電動サーボプレスにおいて、
前記スライドの絶対位置を検出する位置検出手段と、前記動力伝達機構におけるメインギヤもしくはメインシャフトの絶対角度を検出する角度検出手段と、前記サーボモータの回転に合わせて出力されるパルス信号を検出するパルス検出手段と、前記位置検出手段、角度検出手段およびパルス検出手段からの各信号あるいは該各信号から算出される各算出値の相互のずれ量を監視する監視手段を備えることを特徴とするものである。
第1発明においては、位置検出手段からの検出信号によってスライドの絶対位置が検出されるとともに、メインギヤもしくはメインシャフトの絶対角度を検出する角度検出手段からの検出信号に基づきスライド位置が検出される。したがって、例えばスライドの絶対位置を検出する位置検出手段が故障したり、外れていたりして、スライドの現在位置を示す検出値が実際のものとずれている場合、あるいはコントローラ内の現時点のダイハイト値が実際値から急に他の値に置き換わった場合等において、メインギヤおよびメインシャフトが予期せぬ不自然な回転をしたときに、その異常状態を速やかに検出することができ、これによって事故の発生を未然に防ぐことができる。
また、スライド位置を時間で微分すればスライド速度が求められ、メインシャフトの絶対角度を時間で微分すればメインシャフトの角速度が求まるので、メインシャフトの絶対角度に対するそれらスライド速度およびメインシャフト角速度の値をデータテーブル等に記憶させておけば、これらスライド速度もしくはメインシャフト角速度からも異常状態を検出することが可能である。
また、第2発明においては、前記位置検出手段および角度検出手段からの検出信号に加えて、サーボモータの回転に合わせて出力されるパルス信号を検出するパルス検出手段からの検出信号に基づきスライド位置が検出されるので、3重の検出手段によってプレスの異常検出をより確実に行うことができる。
次に、本発明による電動サーボプレスの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る電動サーボプレスの側面部分断面図が示され、図2には、同電動サーボプレスの背面部分断面図が示されている。本実施形態の電動サーボプレス1は、作業者が手作業にてスライドの下にある金型内へのワークの搬入と加工後の製品の搬出を行う所謂ハンドインダイに適用した例に関するものである。
本実施形態において、電動サーボプレス1は、本体フレーム2と、この本体フレーム2の略中央部に上下動自在に支承されるスライド3と、このスライド3に対向してベッド4上に取り付けられるボルスタ5を備えている。スライド3の下面には上型(図示せず)が装着され、ボルスタ5の上面には下型(図示せず)が装着され、この上型と下型との間でワークがプレス成形される。スライド3の上部に形成された穴内には、ダイハイト調整用のねじ軸7の本体部が抜け止めされた状態でその軸心周りに回動自在に挿入されている。また、ねじ軸7のねじ部7aはスライド3から上方へ向けて露出し、このねじ軸7の上方に配されるプランジャ11の下部の雌ねじ部に螺合している。
前記ねじ軸7の本体部外周にはウォームギヤ8のウォームホイール8aが装着され、このウォームホイール8aに螺合されるウォームギヤ8のウォーム8bは、スライド3の背面部に装着されるインダクションモータ9の出力軸にギヤ9aを介して連結されている。なお、このインダクションモータ9は軸方向長さを短くしてフラット形状に、コンパクトに構成されている。
前記プランジャ11の上部は、第1リンク12aの下端部とピン11aを介して回動自在に連結される一方、本体フレーム2には第2リンク12bの上端部が回動自在に連結され、これら第1リンク12aの上端部と第2リンク12bの下端部との間には、三軸リンク13の一側に設けられる2つの連結孔がそれぞれピン14a,14bを介して回動自在に連結されている。また、三軸リンク13の他側の連結孔は、スライド駆動部20の偏心軸28に回動自在に連結されている。こうして、前記第1リンク12a、第2リンク12bおよび三軸リンク13によってトグルリンク機構が構成されている。
前記本体フレーム2の側部にはスライド3を駆動するためのサーボモータ21がその軸心をプレス左右方向に向けて取り付けられるとともに、このサーボモータ21の上方にその軸心をプレス左右方向に向けて中間軸24が回動自在に配され、サーボモータ21の出力軸に取り付けられる第1プーリ22aと、中間軸24に取り付けられる第2プーリー22bとの間にはタイミングベルト23が巻装されている。また、前記中間軸24の上方には駆動軸27が回動自在に支承され、この駆動軸27の一端側に設けられるギヤ26が中間軸24に取り付けられるギヤ25と噛合されている。そして、前記駆動軸27の軸心方向中央部には前記偏心軸28が設けられており、この偏心軸28の外周部の偏心位置に前記三軸リンク13の他側が回動自在に連結されている。
前記スライド3内には前記ねじ軸7の下端面部との間に密閉された油室6が形成されており、この油室6はスライド3内に形成されている油路6aを経由して、油室6内への操作油の給排を切換える切換弁16に接続されている。この切換弁16を通して油室6内に供給された操作油は、プレス加工時にはその油室6内に密封され、その油室6内の油を介して加圧時の押圧力をスライド3に伝達するようになっている。なお、スライド3に過負荷が加わり、油室6内の油圧が所定値を越えると図示されないリリーフ弁を介して油はタンク内へ戻され、スライド3が所定量クッションし、スライド3および金型が破損しないようになっている。
また、前記スライド3の背面部には、上下2箇所から本体フレーム2の側面部に向けて一対のブラケット31,31が突設されており、これらブラケット31,31間に位置検出ロッド32が取り付けられている。この位置検出ロッド32には位置検出用のスケール部が設けられるとともに、リニアスケール(位置センサ)33の本体部が上下動自在に嵌挿されている。このリニアスケール33は、本体フレーム2の側面部に設けられている補助フレーム34に固定されている。ここで、補助フレーム34は、上下方向に縦長形状に形成され、下端部がボルト35により本体フレーム2の側面部に取り付けられ、上部が図示されない上下方向の長孔内に挿入されたボルト36により上下方向に摺動自在に支持され、かつ側部が前後一対の支持部材37,37により当接、支持されている。
このように補助フレーム34は、下側(上側であっても良い)のみが本体フレーム2に固定され、上側が上下動自在に支持される構造とされているので、本体フレーム2の温度変化による伸縮の影響を受けないようになっている。これにより、前記リニアスケール33は、本体フレーム2の温度変化による伸縮の影響を受けずに、スライド位置およびダイハイトを正確に検出することが可能である。
前述のように、スライド3の位置検出は、このスライド3の絶対位置を検出する位置検出器としてのリニアスケール33により行われるほか、前記駆動軸27に取り付けられるメインギヤ38の絶対角度を検出するエンコーダ(角度検出器)39により行われる。ここで、エンコーダ39は、防振装置を介してプレス本体に取り付けられている。この場合、振動によってエンコーダ39の出力信号に雑音が入りにくくするため、回転方向の変位に対しては固く、軸間のズレに対してはある程度柔らかい特性を持った特殊なカップリングが用いられる。
図3に示される本実施形態の電動サーボプレスの制御ブロック図において、作業者が起動スイッチ41を操作すると、スライド起動信号がNC装置(コントローラ)42に入力される。このNC装置42は、所要の演算処理を実行する中央処理装置(CPU)42aと、入力回路42bと、記憶回路42cと、出力回路42dと、フィードバック回路(FB回路)42e等を備え、前記スライド起動信号が入力回路42bを通して入力されると、記憶回路42cに予め設定されているスライドモーションデータに基づき、速度指令(サーボモータ21の回転を指令する電圧指令)およびサーボON指令(サーボモータ21の制御を有効にする指令)が出力回路42dからサーボアンプ43に出力される。そして、サーボアンプ43は、動力供給電源44から供給される電力を、前記速度指令に応じた駆動電力信号に変換してサーボモータ21に出力する。また、サーボアンプ43には、サーボモータ21に内蔵されたパルスコーダ40からのパルス信号がフィードバックされ、サーボアンプ43は、このパルス信号から算出されるモータ回転速度と、前記速度指令との偏差が小さくなるようにサーボモータ21を制御する。
一方、スライド3の絶対位置を検出するリニアスケール33からのフィードバック信号は、NC装置42内のフィードバック回路42eを介して入力される。NC装置42は、このフィードバック信号に基づき、スライドモーションデータから算出される目標位置にスライド3を位置決めする。
さらに、メインギヤ38の絶対角度を検出するエンコーダ39からのメインギヤ38の角度検出信号がNC装置42内のフィードバック回路42eを介して入力される。なお、駆動系のガタ、プレスフレームの偏ったたわみおよびエンコーダ39自身の分解能の限界等のため、前記エンコーダ39のみではスライド3の絶対位置を精度良く求めることができないので、前述のように、NC装置42へのフィードバック信号としてリニアスケール33からの信号が用いられている。
また、非常停止回路45が設けられ、この非常停止回路45に、図示されない非常停止釦からの停止信号、NC装置42からの異常検出信号、サーボアンプ43からの異常検出信号等が入力される。非常停止回路45は、これら停止信号、異常検出信号等の信号が全て"異常なし"の状態のときに、動力供給電源44とサーボアンプ43および機械式(無励磁式)ブレーキ(制動手段)46との間にそれぞれ介挿される第1の常開接点47aおよび第2の常開接点47bを閉作動させる開閉器48に制御信号を出力する。ここで、前記機械式ブレーキ46は、図1、図2には明示されていないが、サーボモータ21の出力軸を外方から挟持して拘束することによってその出力軸を停止させる機能を有するものである。
ところで、前記リニアスケール33からの出力信号はスライド3の絶対位置を示す信号であるため、上死点と下死点との間のどの位置に現在スライド3が位置しているのかを知るためには、現在のダイハイト(スライド3の下死点時のボルスタ5上面からスライド3下面までの距離)を知る必要がある。この現在のダイハイトは次のようにして求められる。すなわち、まず基準ダイハイト(出荷時にプレスメーカ側で設定される。)時のリニアスケール33の値を設定する。次いで、ダイハイト調整用モータを適宜回転させ、使用する金型に合ったダイハイトに設定する。このとき、スライド調整用モータの回転をスライド調整用エンコーダで検出し、現在のダイハイトが基準ダイハイトからどれだけ離れているかを算出することによって現在のダイハイトを求める。
なお、前記基準ダイハイトは定期的に補正することができる。その補正方法は、スライド3の位置を所定の時間間隔でリニアスケール33により測定し、上死点時あるいは下死点時のリニアスケール33の検出値を求め、上死点時には、検出値からスライドストローク分を引いた値を、また下死点時には検出値そのものからそれぞれボルスタ5上面位置を引いた値を実際のダイハイトとするのである。
上述の構成よりなる電動サーボプレス1による安全一行程モードにおいては、スライド3の上死点停止時に、作業者がワークを手作業で金型内に搬入し、起動スイッチ41を押すと、NC装置42では、予め設定されているスライドモーションデータに基づく目標位置と、リニアスケール33から入力される現在位置との偏差に基づいてスライド3を位置決めし、またサーボアンプ43では、パルスコーダ40のパルス信号から算出されるモータ回転速度と、前記スライドモーションデータに基づきNC装置42から出力される速度指令との偏差が小さくなるようにサーボモータ21を制御する。こうして、スライド3は所定の速度で上死点から下死点まで移動されてその下死点近傍でワークを加工した後、上死点まで連続で上昇してその上死点で停止される。
NC装置42からの速度指令に反して、サーボモータ21が暴走し、フィードバック信号が所定の閾値を越えた場合には、即座にNC装置42の出力回路42dから異常検出信号が非常停止回路45に出力される。これにより、開閉器48が作動されて、動力供給電源44とサーボアンプ43との間に介挿される第1の常開接点47aが開作動されるとともに、動力供給電源44と機械式ブレーキ46との間に介挿される第2の常開接点47bが開作動される。この結果、サーボモータ21への供給電源が遮断されるとともに、このサーボモータ21の出力軸に機械的に制動がかけられる。
また、リニアスケール33からの検出値とNC装置42からのモーション指令値との差が予め設定される所定の閾値を越えた場合も、駆動系の不具合として検知され、前述と同様にして即座にサーボモータ21への供給電源が遮断されるとともに、このサーボモータ21の出力軸に機械的に制動がかけられる。
さらに、本実施形態のシステムにおいては、前記パルスコーダ40からの検出値、リニアスケール33からの検出値およびエンコーダ39からの検出値をNC装置42(本発明の「監視手段」に相当する。)にて常時平行監視することによって、サーボモータ21の暴走の危険性を回避するようにされている。
前記メインギヤ38の絶対角度を検出するエンコーダ39によれば、スライド3が上死点と下死点の間のどの位置にあるのかを知ることができる。すなわち、メインギヤ38の絶対角度と下死点からのスライド3の位置との関係をデータテーブルもしくは式の形で記憶させておけば、スライド3の絶対位置を検出するリニアスケール33が故障したり、外れていたりして、スライド3の現在位置を示す検出値が実際のものとずれている場合であっても、あるいはNC装置42内の現時点のダイハイト値が実際値から急に他の値に置き換わった場合であっても、メインギヤ38が予期せぬ不自然な回転をすることになり、その異常状態を速やかに検出することができる。
また、スライド位置を時間で微分すればスライド速度が求められ、メインギヤ38の絶対角度を時間で微分すればメインギヤ38の角速度が求まるので、メインギヤ38の絶対角度に対するそれらスライド速度およびメインギヤ角速度の値をデータテーブルもしくは式で記憶させておけば、これらスライド速度もしくはメインギヤ角速度からも異常状態を検出することができる。
さらに、振動等によって、エンコーダ39自身が故障したり、エンコーダ39の取付部に設けられるカップリングが破損した場合には、エンコーダ39の出力から得られるスライド位置およびスライド速度が、リニアスケール33の出力から得られるスライド位置およびスライド速度と著しく異なることになり、それによって異常状態を検出することができる。この場合、エンコーダ39とリニアスケール33のいずれが異常であるかは、それぞれの出力信号の履歴に不自然な変化があるか否かによって判断される。
なお、サーボモータ21に内蔵されているパルスコーダ40からのパルス信号は、通常前述のように、サーボアンプ43に入力され、このパルス信号から算出されるモータ回転速度と、指令速度との偏差が小さくなるようにサーボモータ21を制御している。
このパルス信号を、さらにサーボアンプ43からNC装置42に転送する。このパルス信号は、サーボモータ21の出力軸が所定の角度回転するたびに1パルス発生するようになっている。サーボモータ21の出力軸は動力伝達機構と、ギヤやタイミングベルト等を介して機械的に連結されているので、1パルス当たりのプレス角度が求まる。また、上死点のような所定のプレス角度に相当するタイミングでパルス数をリセットすれば、パルス数をパルスカウンタで数えることにより、現在どのプレス角度にいるかを算出することができる。
そこで、エンコーダ39により求めたプレス角度の絶対値と、パルスコーダ40からのパルス信号から算出したプレス角度の絶対値とを常時比較することで、エンコーダ39およびパルスコーダ40双方の異常が検出できるとともに、電動サーボプレスの暴走が容易に検知でき、重大事故の発生を未然に防ぐことができる。
また、1パルス当たりプレス角度が何度動くかが求まることから、1パルス当たりプレス角度の変化量を常時監視することでも、容易にエンコーダ39およびパルスコーダ40双方の異常、並びに電動サーボプレスの暴走を検知することができる。この場合、パルスを検出するだけですみ、パルスカウンタでパルス数を数えたり、パルス数をリセットする必要はない。
さらに、パルスコーダ40からのパルス信号から算出したメインギヤの角速度と、エンコーダ39から求めたメインギヤの角速度とを常時比較することによっても、エンコーダ39およびパルスコーダ40双方の異常、並びに電動サーボプレスの暴走を検知することができる。
また、プレス角度に対するスライド位置は、ダイハイトが求まれば一義的に定まることから、パルスコーダ40からのパルス信号から算出したプレス角度の絶対値からさらにスライド位置の絶対値を算出し、リニアスケール33からのスライド位置の絶対値と常時比較することで、リニアスケール33およびパルスコーダ40双方の異常が検出できるとともに、電動サーボプレスの暴走が検知でき、重大事故の発生を未然に防ぐことができる。
さらに、プレス角度に対する、1パルス当たりのスライド位置の変化量が求まることから、1パルス当たりのスライド位置の変化量を常時監視することでも、容易にリニアスケール33およびパルスコーダ40双方の異常、並びに電動サーボプレスの暴走を検知することができる。この場合、ダイハイトが既知である必要はない。
以上のように、本実施形態の電動サーボプレス1によれば、パルスコーダ40、リニアスケール33およびエンコーダ39からの各検出値をNC装置42によって常時平行監視するように構成されており、これら各検出器の検出値にずれが生じている場合に異常状態が検知され、この異常時にプレスが非常停止されるので、例えば位置検出機構の断線、故障、外乱などに基づくスライド3の暴走によって思わぬ事故が発生するのを未然に防ぐことができる。
本実施形態においては、パルスコーダ40、リニアスケール33およびエンコーダ39の3種類の検出器を設けたものについて説明したが、リニアスケール33とエンコーダ39の2種類の検出器のみを設けた場合にも、所要の目的を達成することができる。
本実施形態においては、メインシャフトに固着されたメインギヤ38の絶対角度をエンコーダ39によって検出するものについて説明したが、メインシャフトの端部からそのメインシャフトの回転を引き出してエンコーダによって検出するようにすることもできる。一方、メインシャフトを固定し、このメインシャフトにメインギヤを回転自在に支承するタイプのプレスでは、メインギヤから中間ギヤ等を介して回転を引き出すことが必要となる。また、中間シャフトから回転を取り出し、中間ギヤ等を介してメインギヤと同じ回転に変換した後、エンコーダで検出する方法もある。この方法によれば、メインギヤとメインピニオン間のバックラッシュの影響が入ってしまうという欠点がある反面、加工振動による雑音がエンコーダの信号に入りにくいという利点がある。
本実施形態においては、安全一行程モードにおけるハンドインダイに適用した例について説明したが、本発明の技術思想は、他の運転モードあるいは他の使用方法で用いた場合に対しても適用できるのは言うまでもない。
本発明の一実施形態に係る電動サーボプレスの側面部分断面図 本実施形態に係る電動サーボプレスの背面部分断面図 本実施形態の電動サーボプレスの制御ブロック図
符号の説明
1 電動サーボプレス
3 スライド
5 ボルスタ
7 ねじ軸
11 プランジャ
13 三軸リンク
21 サーボモータ
27 駆動軸
33 リニアスケール
39 エンコーダ
40 パルスコーダ
42 NC装置
43 サーボアンプ
44 動力供給電源
45 非常停止回路
46 機械式ブレーキ
47a,47b 常開接点
48 開閉器

Claims (2)

  1. サーボモータの回転駆動力を動力伝達機構を介してスライドの上下往復動に変換してワークを加工する電動サーボプレスにおいて、
    前記スライドの絶対位置を検出する位置検出手段と、前記動力伝達機構におけるメインギヤもしくはメインシャフトの絶対角度を検出する角度検出手段と、前記位置検出手段および角度検出手段からの各信号あるいは該各信号から算出される各算出値の相互のずれ量を監視する監視手段を備えることを特徴とする電動サーボプレス。
  2. サーボモータの回転駆動力を動力伝達機構を介してスライドの上下往復動に変換してワークを加工する電動サーボプレスにおいて、
    前記スライドの絶対位置を検出する位置検出手段と、前記動力伝達機構におけるメインギヤもしくはメインシャフトの絶対角度を検出する角度検出手段と、前記サーボモータの回転に合わせて出力されるパルス信号を検出するパルス検出手段と、前記位置検出手段、角度検出手段およびパルス検出手段からの各信号あるいは該各信号から算出される各算出値の相互のずれ量を監視する監視手段を備えることを特徴とする電動サーボプレス。
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