JP2005218320A - 新規抗真菌物質fa424a(n)、fa424a(o)、fa424b、及びfa424d - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は新規化合物、それらを生産する微生物とその培養物及びそれらを生産する微生物によるそれらの製法並びにその用途に関する。更に詳しくは、本発明は新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、及びFA424D、並びにこれらを有効成分として含有する抗真菌薬に係わり、特に水生糸状菌に属する微生物を培養した培養物より抽出した新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424D及びこれらの化合物を有効成分として含有する農薬及び抗真菌薬に関する。
従来より、カンジダ属、アスペルギルス属、トリコフィートン属等の真菌類を病原体とする真菌症に対しては様々な抗真菌薬が用いられている。このような抗真菌薬としては現在アンホテリシン、ミコナゾール、グリセオフルビン等が知られている。
しかし、既存の抗真菌薬の薬剤耐性の問題等もあり、各種糸状菌に対して効果を示す抗真菌薬の開発が求められている。農薬の分野においても真菌症は経済的にも重要な病害であり上記の耐性の問題に加えて、毒性が低く環境中の残存性の低い新しい農薬が求められている。また、従来の抗真菌薬は抗真菌活性は有するものの、動物細胞等の真核細胞一般に対する細胞毒性が強い。従って、使用に際して十分な量を投与することができず、必ずしも十分な治療効果を上げることができない。このため強力な抗真菌活性を有するとともに、他の動物細胞等に対する細胞毒性の低い物質が要望されていた。
なお、水生糸状菌が産生する抗生物質については以下のような報告があるが(例えば、非特許文献1及び2参照)、これらの抗生物質は本発明の化合物とは基本骨格が異なり、細菌に対する効果はあるものの、真菌類に対してはほとんど効果が認められない。
Hyuncheolら、J. Nat. Prod. 2003年、第66巻、p.73-79
Chen Liら、J. Nat. Prod. 2003年、第66巻、p.1302-1306
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、強力な抗真菌活性を有し、動物・植物細胞に対する細胞毒性が低く、しかも、工業的大量生産の容易な新規抗真菌物質、及びこれを有効成分とする農薬及び抗真菌薬を提供することを目的とする。しかしながら、本発明によって見出された化合物は新規化合物であるため、上記非特許文献等は本発明の技術的背景となる一般的技術水準を示すものに過ぎず、本発明が解決しようとする課題と直接関連するものではない。
本発明者は上記目的を達成するため、鋭意研究を続けた結果、渓流中の落葉、落枝から新たにトリクラジウム(Tricladium)属に属する水生糸状菌を培養し、この培養物より抽出される新規化合物が強い抗真菌作用を有することを発見し本発明を完成した。即ち本発明は下記の一般式(I)又は(II)で表されることを特徴とする化合物又はその塩である。
なお、上記式(I)及び(II)において、Rは水酸基及び/又はカルボキシル基を有していてもよいビニル基又はプロピル基を示す。また、式(II)の化合物は、式(I)の化合物に一分子の水が付加したものを表し、本発明の化合物の存在状態によってこれらは相互に変換することができるから実質的には同一の化合物である。
好ましい実施形態において、上記式(I)及び(II)におけるRが、HOOC−CH=CH−、HO−CH2−CH=CH−、H3C−CH(OH)−CH2−、又はH3C−CH2−CH2−を示すそれぞれの新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、又はFA424Dである。これらの新規化合物は塩の形態であっても良い。
異なる視点において、本発明は上記化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする農薬又は抗真菌薬である。
また別の視点において、本発明は、渓流中の落葉、又は落枝から分離されうるトリクラジウム(Tricladium)属に属する水生糸状菌を培養物中で培養し、前記培養物より抽出することを特徴とする上記一般式(I)又は(II)に記載の化合物の製造方法である。
新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、及びFA424Dを含む本発明の化合物は、各種真菌類、例えば、フィトフィトーラ、アブシダ、リゾプス、トリコフィトン及びボトリシス等の糸状菌類のいずれに対しても強い抗菌活性を有する。従って、本発明の化合物は農薬及び抗真菌薬として利用する事が可能である。即ち本発明の化合物を有効成分として含有する農薬並びに真菌症治療薬として有用である。
新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、及びFA424Dを含む本発明の化合物は農薬として使用することができる。また、経口、非経口で投与する真菌症治療薬として使用することもできる。
新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dを含む本発明の化合物を生産する生産菌としては、例えばトリクラジウム属に属し抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dを生産する能力を有する微生物が使用され、例えばトリクラジウム スプレンデンス AJ117567(Tricladium splendens AJ117567)(FERM P-19644)が挙げられる。本菌はアレウロ型分生子を形成する水生不完全糸状菌に属しており、渓流中の落葉、落枝から分離したものである。
神奈川県箱根にて採集された渓流中の落葉を水につけた。水面をピペットでとり、LCA培地上(ブドウ糖1g/l、KH2PO40.1g/l、MgSO4・7H2O 0.2g/l、KCl0.2g/l、NaNO32g/l、酵母エキス0.2g/l、寒天15g/l、pH6.5)に載せた。顕微鏡で分生子を確認後、単胞子分離を行なった。2日後顕微鏡下で胞子の発芽の確認を行なった。その後、室温で培養した。以下に、このようにして分離されたAJ117567株の菌学的性質を記す。
(a)各種寒天培地に於ける生育形態
LCA寒天培地上での生育は遅く、20℃、14日間でコロニー径は25mmである。コロニー表面は白色フェルト状で、裏面は白色を呈する。培地中への色素の浸出や油滴の生成は認められない。
LCA寒天培地上での生育は遅く、20℃、14日間でコロニー径は25mmである。コロニー表面は白色フェルト状で、裏面は白色を呈する。培地中への色素の浸出や油滴の生成は認められない。
バレイショ・ブドウ糖寒天培地上での生育は遅く、20℃、14日間でコロニー径は26mmである。コロニー表面は灰色フェルト状で、裏面は暗い黄緑色を呈する。培地中への色素の浸出や油滴の生成は認められない。
麦芽エキス寒天培地上での生育は遅く、20℃、14日間でコロニー径は26mmである。コロニー表面は灰色フェルト状で、裏面は暗い黄緑を呈する。培地中への色素の浸出や油滴の生成は認められない。
オートミール寒天培地上での生育は遅く、25℃、14日間でコロニー径は28mmである。コロニー表面は灰色フェルト状で、裏面は暗い黄緑を呈する。培地中への色素の浸出や油滴の生成は認められない。これら培地上で分生子は形成されない。培養菌体の一部を水中に浸すことにより分生子形成が見られた。
(b)形態的性状
培養菌体の一部を水中に浸すことにより得られた分生子は、アレウロ型分生子、無色、多細胞、主軸と2側枝よりなるテトラポット型である。主軸はゆるく湾曲、長紡錘形、サイズは(70〜130)×6μm前後である。2側枝は、隣接した別々の細胞から、主軸の凸面に間隔をおいて生じる。くびれにより主軸に付着し、サイズは(30〜80)×5μm前後である。
培養菌体の一部を水中に浸すことにより得られた分生子は、アレウロ型分生子、無色、多細胞、主軸と2側枝よりなるテトラポット型である。主軸はゆるく湾曲、長紡錘形、サイズは(70〜130)×6μm前後である。2側枝は、隣接した別々の細胞から、主軸の凸面に間隔をおいて生じる。くびれにより主軸に付着し、サイズは(30〜80)×5μm前後である。
生育温度は、10〜28℃であり、至適生育温度は15〜20℃である。また生育pHは3〜10である。
以上の菌学的性質から、本菌は、「菌類図鑑」(1978、講談社(日本)、宇田川俊一、椿啓介 他6名著)に従い、不完全菌亜門、不完全糸状菌綱、Tricladium splendens AJ117567 (トリクラジウム スプレンデンス AJ117567)株と命名した。本菌株は、平成16年1月22日、独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(〒305−8566茨城県つくば市東1−1−1中央第6)に寄託され、FERM P−19644の受託番号が付与されている。
このような新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、及びFA424Dを含む本発明の化合物の生産菌は一般的な微生物の培養方法を用いて培養することが可能である。培養に用いられる培地としては、本発明の化合物生産菌が利用できる栄養源を含有するものが利用できる。例えば炭素源としてグルコースやシュークロースやデキストリンやスターチ等が用いられ、窒素源としては大豆粉、綿実粕、菜種油粕、酵母エキス、コーンスティープリカーなどの各種タンパク質やアミノ酸混合物などが適している。また培地は必要に応じて、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機塩を含有することが可能である。培地のpHは5から9で培養することができるが、特にpH7付近で培養することが好ましい。また生産物の収量を上げる目的で培地中に各種の吸着樹脂を添加して培養することも可能である。
生産菌は10℃〜28℃で培養することができるが、特に15℃から20℃で培養することが最も望ましい。培養時間は通常10日〜40日であるが、培養条件により適宜変更することが可能である。
培養により生成される本発明の化合物、例えば、新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、及びFA424Dは、主として培養物中に蓄積される。この生産菌の培養液から新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、及びFA424Dを得るためには微生物の代謝産物を採集するのに通常用いられる方法を用いることが可能である。例えば新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、及びFA424Dと培養物中に含まれる他の物質との溶解度を利用する方法、イオン結合力との差を利用する方法、吸着親和力の差を利用する方法、分子量の差を利用する方法等を単独であるいは適宜組み合わせて、または反復して使用することができる。具体的には例えば新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424D生産菌の培養物及び菌体の抽出液をゲルろ過クロマトグラフィ−、吸着クロマトグラフィ−、液体クロマトグラフィ−等を組み合わせて用いて精製することにより新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424D及びその他の活性成分を含む画分が得られる。この画分を減圧濃縮して得られる固形物をさらに高速液体クロマトグラフィ−を用いて展開して精製することにより、新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dを得ることができる。
このようにして得られた新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dは以下のような理化学的性質を有する。
White powder
Melting point: 99 - 102℃
IR (KBr): 3600-2400 (br), 3422, 2932, 2864, 1823, 1767, 1751, 1682, 1642, 1438, 1419, 1389, 1286, 1218, 1194, 1142, 986, 919, 894, 857 cm-1
UV (Dioxane) λmax 308 (ε 11200) nm.
ESIMS (positive):
found m/z 273.0771 [M+Na]+, calcd for C13H14O5Na 273.0734
1H-NMR (l3, 600 MHz): δ 7.10 (dt, J=15.6, 6.8 Hz, 1H), 7.06 (dt, J=16.0, 6.8 1H), 6.26 (d, J=15.6 Hz, 1H), 5.86 (dt, J=16.0, 1.4 Hz, 1H), 2.31 (m, 4H), 2.12 (s, 3H), 1.71 (quintet, J=7.6 Hz, 2H).
13C-NMR (CDCl3, 150 MHz): δ 171.9 (s), 167.0 (s), 165.3 (s), 151.7 (d), 147.1 (d), 137.7 (s), 136.4 (s), 122.1 (d), 118.7 (d), 34.4 (t), 32.4 (t), 27.4 (t), 10.1 (q).
Yellow oil
IR (film): 3374 (br), 2930, 2866, 1850, 1818, 1772, 1653, 1457, 1389, 1278, 1136, 971, 923, 731, 669, 568 cm-1
UV (Dioxane): λmax 309 (ε13800) nm
HRESIMS (positive):
found m/z 259.0956 [M+Na]+, calcd for C13H16O4Na 259.0941
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz): δ 7.12 (dt, J=16.0, 7.5 Hz,1H), 6.24 (d, J=16.0 Hz,1H), 5.68 (m, 2H), 4.11 (m, 2H), 2.31 (q, J=7.4 Hz, 2H), 2.11 (s, 3H), 2.11 (m, 2H), 1.61 (quintet, J=7.5 Hz, 2H).
13C-NMR(CDCl3,150 MHz): δ 166.4 (s),164.6 (s), 147.3 (d), 137.2 (s), 135.2 (s), 132.0 (d), 129.9 (d), 117.5 (d), 63.6 (t), 33.8 (t), 31.7 (t), 27.9 (t), 9.3 (q).
FA424B
Yellow Oil
IR (film): 3567, 3420 (br), 2933, 2860, 1845, 1821, 1771, 1720, 1652, 1457, 1389, 1277, 1135, 972, 925, 731, 668, 568 cm-1.
UV (Dioxane) λ max 309 (ε 5100) nm.
[α]D 27 -0.4 (c 0.78, CHCl3).
HRESIMS (positive):
found m/z 261.1119 [M+Na]+, calcd for C13H18O4Na 261.1097.
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz): δ 7.12 (dt, J=15.6, 7.2 Hz, 1H), 6.24 (d, J=15.6 Hz, 1H), 3.81 (m, 1H), 2.31 (q, J=7.2 Hz, 2H), 2.11 (s, 3H), 1.52 (m, 2H), 1.47 (m, 3H), 1.39 (m, 1H), 1.20 (d, J=6.6 Hz, 3H).
13C-NMR (CDCl3, 150 MHz): δ 166.4 (s), 164.6 (s), 147.6 (d), 137.2 (s), 135.1 (s), 117.3 (d), 68.0 (d), 39.0 (t), 34.4 (t), 28.5 (t), 25.4 (t), 23.6 (q), 9.3 (q).
Yellow oil
IR (film): 2930, 2858, 1860, 1820, 1767, 1653, 1457, 1390, 1276, 1137, 972, 924, 730, 568 cm-1.
UV (Dioxane): λmax 310 (ε10200)nm
HRESIMS (positive):
found m/z 223.1304 [M+H]+, calcd for C13H19O3 223.1329
1H-NMR (CDCl3, 600 MHz): δ 7.12 (dt, J=15.6, 7.2 Hz, 1H), 6.23 (dt, J=15.6, 1.5 Hz, 1H), 2.28 (q, J=7.2 Hz, 1H), 2.11 (s, 3H), 1.49 (quintet, J=7.2 Hz, 2H), 1.32 (m, 6H), 0.89 (t, J=7.2 Hz, 3H).
13C-NMR (CDCl3, 150 MHz): δ 166.4 (s), 164.6 (s), 148.0 (d), 137.3 (s), 134.9 (s), 117.1 (d), 34.4 (t), 31.6 (t), 28.9 (t), 28.4 (t), 22.5 (t), 14.0 (q), 9.3 (q).
本発明の化合物を農薬として使用する場合は以下のような形態で使用することができ、通常、製剤分野で慣用される補助剤と一緒に使用される。本発明の化合物は公知の方法で、例えば乳剤原液、噴霧可能なペースト、噴霧または希釈可能な溶液、希釈乳剤、水和剤、水溶剤、粉剤、粒剤、フロアブル剤、ドライフロアブル剤、燻煙剤、燻蒸剤、そして例えばポリマー物質によるカプセル剤に製剤される。
添加剤および担体としては、固形剤を目的とする場合は、大豆粉、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石膏、タルク、ベントナイト、クレイ等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物が使用される。
液体の剤型を目的とする場合は、植物油、鉱物油、ケロシン、キシレンおよびトルエンのような芳香族炭化水素、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、メチルイソブチルケトンおよびアセトンのようなケトン類、トリクロルエチレン、水等を溶剤として使用する。これらの製剤において、均一なかつ安定な形態を取るために必要ならば界面活性剤を添加することもできる。このようにして得られた水和剤、乳剤、水溶液、フロアブル剤、ドライフロアブル剤は水で所定の濃度に希釈して懸濁液あるいは乳濁液として、粉剤、粒剤はそのまま、土壌または植物に散布する方法で使用される。
本発明の化合物を含む農薬中の有効成分含有量および施用量は、剤型や、施用の対象とするダニまたは病原菌の種類、それらの予想される発生時期および期間等の条件に応じて、広範囲に変えることができる。例えば、FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dを含む農薬中のFA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424D含有量は0.01〜50%(重量)、好ましくは0.1〜10%(重量)であるが、場合によってはFA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dのみでもよい。さらに、施用時にこれを水等で希釈する場合、例えば殺ダニ剤もしくは殺菌剤として施用する際の濃度は0.001〜0.5%(重量)、好ましくは0.01〜0.05%(重量)が望ましい。また、FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dの施用量は、1回10aあたり10〜5000g、好ましくは100〜500gが望ましい。しかしながら特別の場合は、これらの範囲を越えるか、または下回ることが可能である。例えば、他の農薬等と混合して施用し、共力効果等が認められる場合には、さらに低薬量で使用できる。
本発明の化合物を医薬品、例えば、真菌感染症治療用の抗真菌薬として使用するには、種々の投与形態に合わせて、本発明化合物を公知の医薬品担体と組み合わせて製剤化すれば良い。このような投与形態としては皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、座薬等による非経口投与あるいは錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等による経口投与の全身投与の他、軟膏剤、ローション剤、膣座薬等の局所投与の形態を例示することができる。投与量は医薬品の投与方法によるが、10000μM/kg/日〜0.01μM/kg/日、望ましくは1000μM/kg/日〜1.0μM/kg/日である。
また本発明の化合物は、薬理学的に許容される塩として調製することができ、また薬剤上必要な、賦形剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、酸化防止剤、香料等を用いて調製することが可能である。
次に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はもちろん、これらの方法に限定されるものではなく、培養器の種類、培養条件、採取、精製、試験方法等は大幅に変え得るものであることは言うまでもない。
1.新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dの製造;
ディフコ製麦芽エキス寒天培地中にトリクラジウム スプレンデンス AJ117567(Tricladium splendens AJ117567)(FERM P-19644)を接種し、20℃で20日間培養を行った。一方、1リッター容のルー型フラスコ4瓶を準備し、各ルー型フラスコに対しフレーク状オートミール(日本食品製造合資株式会社製)を20g張り込み、これに下記組成の液体培地28mlを添加後、定法どおり過熱滅菌処理を施し抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424D生産用固体培地を調製した。
ディフコ製麦芽エキス寒天培地中にトリクラジウム スプレンデンス AJ117567(Tricladium splendens AJ117567)(FERM P-19644)を接種し、20℃で20日間培養を行った。一方、1リッター容のルー型フラスコ4瓶を準備し、各ルー型フラスコに対しフレーク状オートミール(日本食品製造合資株式会社製)を20g張り込み、これに下記組成の液体培地28mlを添加後、定法どおり過熱滅菌処理を施し抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424D生産用固体培地を調製した。
液体培地組成 g/l
グルコース 2
フルクトース 5
シュークロース 8
NZアミン(和光純薬工業株式会社) 2
MgSO4・4H2O 0.5
KCl 0.5
ZnSO4・7H2O 0.5
KH2PO4 1
(pH 6.0)
グルコース 2
フルクトース 5
シュークロース 8
NZアミン(和光純薬工業株式会社) 2
MgSO4・4H2O 0.5
KCl 0.5
ZnSO4・7H2O 0.5
KH2PO4 1
(pH 6.0)
次に、20℃で20日間培養を行なって得られた麦芽エキス寒天培地からアガーピースを種菌として切り出し、これを上記ルー型フラスコ培地に接種し、20℃、14日間ルー型フラスコを用いた固体静置培養を行った。
上記固体培養物ルー型培養瓶4本分をアセトン抽出した(125ml×4)。抽出液を濃縮した水懸濁液(30ml)を1N塩酸でpH3に調整し酢酸エチルで抽出(3×30ml)した。酢酸エチル層90mlを純水(3×90ml)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを添加、一晩脱水した。酢酸エチル層(470mg)をメタノールに溶解しODSカラム(ジーエルサイエンス製中圧カラム(300mm×15mm id)にのせ,CH3CN:H2O=30:70〜100:0までステップワイズで溶出し、Phytophythora capsici NBRC8386に対する活性画分を取り濃縮した。CH3CN:H2O=30:70の溶離液で溶出した活性画分をHPLC(資生堂製CAPCELLPAK C18 UG120 250×15mm id、CH3CN:H2O=40:60、8.0ml/min、210nm)で溶出した。得られたクロマトグラムを図1に示す。図1に示すリテンションタイム17.7分に活性ピークを有する活性画分を分取、濃縮した後凍結乾燥してFA424A(N)4mgを取得した。同様に、リテンションタイム19.6分に活性ピークを有する活性画分からFA424A(O)11mg,リテンションタイム21.5分に活性ピークを有する活性画分からFA424B12mgを取得した。一方、ODSカラム(ジーエルサイエンス製中圧カラム(300mm×15mm id)CH3CN:H2O=80:20から溶出した活性画分をHPLC(資生堂製CAPCELLPAK C18 UG120 250×15mm id、CH3CN:H2O=70:30、8.0mL/min、210nm)で分離した。得られたクロマトグラムを図2に示す。図2に示すリテンションタイム14.6分の活性画分を分取、濃縮した後、凍結乾燥してFA424D8mgを取得した。
2.抗真菌活性試験
新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dの抗真菌活性を常法のペーパーディスク法を用いて求めた。
新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dを少量のメタノ−ルで溶解した後、検定培地(グリセロール;2%、ペプトン(ディフコ社);0.5%、酵母エキス(ディフコ社);0.5%、燐酸カリウム;25mM、pH=6.5)で等倍希釈系列を作製した。その溶液に表1記載の各々の被検菌を接種(約104個胞子/ml)し、25℃で2日間培養して、生育阻害の認められない最小濃度(MIC)を求めた。
新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dの抗真菌活性を常法のペーパーディスク法を用いて求めた。
新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dを少量のメタノ−ルで溶解した後、検定培地(グリセロール;2%、ペプトン(ディフコ社);0.5%、酵母エキス(ディフコ社);0.5%、燐酸カリウム;25mM、pH=6.5)で等倍希釈系列を作製した。その溶液に表1記載の各々の被検菌を接種(約104個胞子/ml)し、25℃で2日間培養して、生育阻害の認められない最小濃度(MIC)を求めた。
結果を表1に示す。
表1から明らかなように新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dは優れた抗真菌活性を有することがわかった。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば抗真菌効果に優れた新規抗真菌物質FA424A(N)、FA424A(O)、FA424B、FA424Dが提供される。またこれらの新規抗真菌物質を製造するための本発明の方法は、通常の微生物培養法を用いることができ、抽出、精製にも特別の方法を用いないので工業的な大量生産が可能である。従って、医薬、製薬産業上極めて有用である。
Claims (7)
- 前記式(I)及び(II)において、RがHOOC−CH=CH−を示す請求項1に記載の化合物又はその塩。
- 前記式(I)及び(II)において、RがHO−CH2−CH=CH−を示す請求項1に記載の化合物又はその塩。
- 前記式(I)及び(II)において、RがH3C−CH(OH)−CH2−を示す請求項1に記載の化合物又はその塩。
- 前記式(I)及び(II)において、RがH3C−CH2−CH2−を示す請求項1に記載の化合物又はその塩。
- 請求項1〜5何れか一項に記載の化合物又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有することを特徴とする農薬又は抗真菌薬。
- 渓流中の落葉、又は落枝から分離されうるトリクラジウム(Tricladium)属に属する水生糸状菌を培養物中で培養し、前記培養物より抽出することを特徴とする請求項1〜5何れか一項に記載の化合物の製造方法。
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WO2007039749A2 (en) * | 2005-10-06 | 2007-04-12 | Aston University | Antibacterial pyrrols |
CN107083335A (zh) * | 2017-04-25 | 2017-08-22 | 鲁东大学 | 一株dse真菌及蓝莓组培苗快速菌根化的方法 |
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2004
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107083335B (zh) * | 2017-04-25 | 2020-05-26 | 鲁东大学 | 一株dse真菌及蓝莓组培苗快速菌根化的方法 |
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