JP2005217367A - Led光源の環境温度制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 LEDの環境温度を所望の温度に設定するにあたり、エネルギー消費の面でヒーターの設定を適切に行うことができるLED光源の環境温度制御システムを提供すること。
【解決手段】 写真フィルムに形成された画像を読み取るためのLED光源の環境温度制御システムであって、LEDが使用される環境温度を設定するためのヒーター18と、LEDが使用される環境温度を冷却するための冷却用ファン4,5と、LEDの消費電力を検出する検出手段28と、この検出手段28による検出結果に基づいて、ヒーター18の発熱レベルを4段階に設定するヒーター設定手段27bと、環境温度が設定温度となるように冷却用ファン4,5を制御する温度制御手段27aとを設けた。
【選択図】図8

Description

本発明は、写真フィルムに形成された画像を読み取るためのLED光源の環境温度制御システムに関するものである。
かかるLED光源は、例えば、写真処理装置において写真プリントを作成する場合に用いられる。すなわち、 写真プリントを作成するための画像データを取得するために、現像済み写真フィルム(ネガフィルム及びポジフィルム)に形成されているコマ画像を読み取るスキャナーが用いられる。スキャナーは、写真フィルムの画像形成面を挟んで、一方側に読み取り用光源を配置し、他方側に読み取りセンサー(例えば、CCDラインセンサー)を配置する。かかる読み取り用光源として、ハロゲンランプに代えてLED(発光ダイオード)光源を使用したものが知られている(例えば、下記特許文献1,2)。特許文献2では、赤色光、緑色光、青色光を夫々照射するLEDチップ群を設け、これらをダイクロックミラーや集光レンズからなる光学系により、写真フィルムに導くようにしている。
LEDの場合は、ハロゲンランプの場合と異なり、厳格な温度制御が必要とされる。その理由は、LEDは環境温度により波長と光量が変化するという特性があり、これらの特性の変化に伴い画質にも影響を与えるからである。そこで、温度制御を行うために、ヒーターや冷却手段(冷却用ファン等)が用いられる。ヒーターを使用することで、所望の環境温度になるように雰囲気温度を上昇させる。また、所望の環境温度以上になった場合に冷却手段を作動させて温度を低下させるように制御している。
上記のようにヒーターを用いて環境温度の設定を行う場合には、次に示す課題が存在する。環境温度を設定する場合には、LED自身も発熱するので、これを考慮した環境温度制御システムが要求される。LEDから発せられる光量は、経時変化により変化するものであり、また、同じ写真フィルムでもネガフィルムとポジフィルムとでは、ベース色が異なるため、LEDの発光量を変える必要がある。従って、ヒーターにより加熱する場合には、常に同じ発熱レベルとすることは、効率が良いとはいえない。すなわち、 必要以上にヒーターを発熱させている可能性もありうるからであり、これは無駄なエネルギーを消費していることにもなる。
特開11−254744号公報 特開2001−45225号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、LEDの環境温度を所望の温度に設定するにあたり、エネルギー消費の面でヒーターの設定を適切に行うことができるLED光源の環境温度制御システムを提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係るLED光源の環境温度制御システムは、
写真フィルムに形成された画像を読み取るためのLED光源の環境温度制御システムであって、
LEDが使用される環境温度を設定するためのヒーターと、
LEDが使用される環境温度を冷却するための冷却手段と、
LEDの消費電力を検出する検出手段と、
この検出手段による検出結果に基づいて、ヒーターの発熱レベルを設定するヒーター設定手段と、
環境温度が設定温度となるように冷却手段を制御する温度制御手段とを設けたことを特徴とするものである。
この構成による環境温度制御システムの作用・効果を説明する。環境温度を設定するためのヒーターと、環境温度を冷却するための冷却手段が設けられている。また、LEDの消費電力を検出する検出手段も設けられている。ヒーターの発熱レベルは、検出された消費電力の大きさに基づいて設定される。例えば、消費電力が大きいときはLED自身の発熱量も相対的に大きくなっていると考えられるので、ヒーターによる発熱レベルは小さく設定することが好ましい。逆に、LEDの消費電力が小さければ、ヒーターによる発熱レベルは相対的に大きくなるように設定する。このように、ヒーター設定手段LEDの消費電力に基づいてヒーターの発熱レベルを設定するようにしたので、効率良くヒーターを作動させることができる。その結果、LEDの環境温度を所望の温度に設定するにあたり、エネルギー消費の面でヒーターの設定を適切に行うことができる。
本発明に係るヒーター設定手段は、画像を読み取る処理を行わない待機モードにおいて、発熱レベルが最大となるようにヒーターを設定することが好ましい。
待機モードにおいても、環境温度を所望の状態に設定しておく必要がある。待機モードでは、LEDを点灯させていない状態(LEDによる発熱がない状態)であるから、ヒーターの発熱レベルが最大となるように設定することが好ましい。これにより、効率良く環境温度の設定を行うことができる。
本発明に係る発熱レベルは、発熱レベルは、レベルの大きい順に複数段階のレベルに切り替えられるように制御可能であり、最小レベルではヒーターをオフにすることが好ましい。
このように発熱レベルを段階的に設定することで、消費電力の大きさに応じた適切なヒーターによる加熱を行うことができる。また、発熱レベルとしてヒーターをオフにするレベルを設けておくことで、無駄なエネルギーを消費させないようにすることができる。
本発明の構成として、LEDから発せられる光量を測定する光量測定手段を備え、この測定結果に基づいて、ネガフィルムを読み取る場合の発熱レベルと、ポジフィルムを読み取る場合の発熱レベルを設定することが好ましい。
既に説明したように、ネガフィルムとポジフィルムとでは画像を読み取る場合のLEDの発熱量が異なるので、それぞれ個別に設定するようにする好ましい。そこで、光量測定手段を設けてLEDから発せられる光量を測定する。この時の光量に基づいて、ネガフィルムとポジフィルムについての発熱量を設定することができる。
本発明に係るLED光源の環境温度制御システム好適な実施形態を図面を用いて説明する。 図1は、LED光源装置が用いられる写真処理システムの構成を示す概念図である。
<写真処理システムの構成>
現像済みの写真フィルム(写真フィルムやポジフィルム)からコマ画像を読み取るためのスキャナーSが設けられており、このスキャナーSにLED光源装置1が組み込まれている。LED光源装置1の詳細は後述するが、青・緑・赤の各色光を発光するLEDチップが組み込まれたLED基板11,21,31を備えており、その照射光は光学系により対象物である写真フィルムFに導かれる。図示はしないが、写真フィルムFは、フィルムキャリアと呼ばれる搬送ユニットにセットされ、スキャニング時には、所定の搬送速度で搬送される。
写真フィルムFのフィルム面を挟んで、下方側にLED光源装置1が配置され、上方側に画像読み取り用のCCDラインセンサー7が配置される。写真フィルムFとCCDラインセンサー7の間には結像レンズ8が設けられる。CCDラインセンサー7により読み取られた画像信号 (画像データ) は、A/D変換部110においてA/D変換され、画像メモリ111に一旦記憶される。画像処理部112では、階調補正、色・ 濃度の補正等の種々の画像処理が行われる。
次に、画像データを用いて写真プリントを作成するプリンタプロセッサー部PRを説明する。画像処理が行われた画像データは、露光エンジン102に転送される。露光エンジン102は、画像データに基づいて露光光を走査することで、写真感光材料であるペーパーPの乳剤面に画像を焼付露光する。露光エンジン102は、PLZTエンジン、レーザーエンジン、CRTエンジン等の適宜の構造のエンジンを用いることができる。ペーパーPは、ロールの形態でペーパーマガジンM1,M2に収容されており、いずれか1つのペーパーマガジンM1,M2からペーパーPが引き出されるように構成されている。ペーパーカッター100は、引き出された長尺状のペーパーPをプリントサイズにカットする。カットされたペーパーPは、搬送機構101により露光エンジン102の位置まで搬送される。露光エンジン102により画像が焼付露光されたペーパーPは、搬送ローラ群103により現像処理部104に送り込まれる。このように、ペーパーPが搬送される搬送経路に沿って、搬送ローラ等の搬送機構が設けられている。現像処理部104は、公知の現像処理を行い、乾燥処理部105で乾燥処理が施された後、プリント排出部106から写真プリントとして排出される。
<LED光源装置の構成>
次に、LED光源装置の構成を説明する。図2は、光学系の主要部を示す斜視図である。図3は、LED光源装置の構成を示す副走査方向に沿った垂直断面図である。図4は、図3に示すLED光源装置の正面図(矢視A)である。図5は、図3に示すLED光源装置の主走査方向に沿った垂直断面図である。
図3に示すように、LED光源装置1は、光源としてLEDチップを使用するものであり、青色(第1波長域)の光を出力する青色LEDチップが実装される青色LED基板(第1LED基板) 11と、緑色(第2波長域)の光を出力する緑色LEDチップが実装される緑色LED基板21と、赤及び赤外 (第3波長域)の光を出力する赤色LEDチップが実装される赤色LED基板31とが設けられている。LEDは、ハロゲンランプに比べて発熱量が少なく、光源装置の大きさも小型化できるという利点を有する。また、ハロゲンランプの場合は、調光フィルターを必要としていたが、LED光源の場合は、各色のLEDの出力を調整できるので、調光フィルターが不要になるという利点も有する。
青色LED基板11と緑色LED基板21とは、同じ水平面に配置されている。赤色LED基板31は、垂直面に配置されている。これら各LEDチップから照射されるLED光を対象物たる写真フィルムFに導く光学系を説明する。光学系を支持するために樹脂成型されたフレーム3が用いられる。
まず、第1ダイクロックミラー44と第2ダイクロックミラー45が45゜傾斜した状態でフレーム3に対して接着等により固定される。第1ダイクロックミラー44は、青色LED光を透過させると共に、赤色・緑色LED光を反射させる。第2ダイクロックミラー45は、緑色LED光を反射させて第1ダイクロックミラー44の方向に導くと共に、赤色LED光を透過させる。各LED基板11,21,31と、第1・第2ダイクロックミラー44,45の間には、集光レンズ41,42,43が配置されている。
第1ダイクロックミラー44の上方にはNDフィルター80及び結像レンズ46が配置されている。NDフィルター80は、LEDチップの光量チェックのために設けられており、光路内に挿入・光路からの退避ができるように構成されている。写真フィルムの画像を読み取るときには、NDフィルター80は不要であり光路外に退避している。集光レンズ46は、各LEDチップから出力されたLED光を写真フィルムのフィルム面に対して集光させるように作用する。また、集光レンズ46と写真フィルムFの間には、ディフューザー(不図示)が設けられ、光を均一に拡散させる。集光レンズ46のすぐ上には、カバー板48が設けられ、このカバー板48はネジ49によりフレーム3に結合される。カバー板48には、主走査方向に沿って矩形の開口部48aが形成され、光が出力されるエリアを規定する。
図3において、写真フィルムFは左右方向(副走査方向)に搬送される。また、各LED基板11,21,31や集光レンズ41,42,43やダイクロックミラー44,45は主走査方向に沿った長手状に形成される (図2参照) 。CCDラインセンサー7も、主走査方向に沿ったライン状にCCDチップが配置されている。
<ヒートシンクの構成>
次に、ヒートシンクについて説明する。ヒートシンクは、LEDチップにより発生する熱を逃がすために設けられる。LEDは、環境温度によって、波長や光量等の特性が変化するため、温度制御を行う必要がある。温度を上昇させる手段としてヒーターを用い、温度を下げる手段としてヒートシンク及びファン(冷却手段に相当)を設けている。ヒートシンクとしては、一体型ヒートシンク2(すなわち、 ヒートシンクは1つ)を用いている。これにより、各LEDチップを均等に冷却させるようにしている。
LEDチップを冷却するために、各LED基板11,21,31のLED実装面とは反対側の基板裏面をヒートシンク2に密着させるようにしている。ヒートシンク2には、水平面である第1取り付け面2aと、垂直面である第2取り付け面2bが形成されている。第1取り付け面2aには、青色LED基板11と緑色LED基板21の基板裏面が密着される。また、第2取り付け面2bには、赤色LED基板31の基板裏面が密着される。
図4や図5に示すように、ヒートシンク2には、主走査方向に沿って多数のフィン2fが形成されている。これにより、表面積を増やし、放熱効率を高めている。また、図3に示すように、ヒートシンク2を挟むように、第1ファン4と第2ファン5とが設けられている。第1ファン4は、エア吹き付け用であり、第2ファン5は、エア吐き出し用である。第1・第2ファン4,5とも主走査方向のほぼ中央部に位置し、フィン2fに対して副走査方向(LEDチップの実装方向に対して垂直な方向) から送風作用を行う。これにより、冷却効率を高めている。ヒートシンク2の材料としては、特定の材料に限定されるものではないが、例えば、菱化マックス (株) 製のDMS合金が好ましい。ヒートシンク2は、ダイカスト鋳造により製造できる。
<基板(ヒーター)構成>
次に、LED基板の構成を図6、図7により説明する。なお、3つあるLED基板は、全て同じ構成である。LED基板11は、主走査方向に沿った矩形形状をしている。LED基板11の幅方向中央に、主走査方向に沿って多数のLEDチップ12が実装されている。LEDチップ12の両隣には、反射部材13が設けられ、LEDからの照射光を前方に向けて反射させる。また、反射部材13の更に外側には、立壁部14が設けられている。立壁部14の内側には、配線パターン (不図示) が形成されており、LEDチップ12と配線パターンとはボンディングワイヤー15で接続される。そして、立壁部14の内側の全域は、光透過性のモールド16に埋められる。
LEDチップに隣接して、多数のヒーター18が主走査方向に沿って配置されている。また、LEDの環境温度を検出するためのサーミスタ17が設けられている。LEDの環境温度を所定範囲に設定できるように、サーミスタ17で環境温度をモニターし、ヒーター18やファン4,5に対する制御を行うように構成されている。
LED基板11の長手方向中央部には、略U字状の切り欠き11aが形成されている。また、幅方向両側には、合計4箇所のネジ結合のための孔11dが形成されている。さらに、LED基板11を位置決めして取り付けるための2つの基準孔11b,11cが形成されている。一方の基準孔11bは円形であり、他方の基準孔11cは長円形である。
上記のヒーター18に関して詳しく説明する。ヒーター18はLEDチップの配列方向(主走査方向)に沿って、多数のチップ抵抗器18aを備えている。これらのチップ抵抗器18aは等しい抵抗値を有し、等しいサイズのものが使用される。これらチップ抵抗器に通電した際に発生する熱をLED基板11に伝え、このLED基板11からの熱をLEDに伝えることで各LEDチップ12を最適な温度に設定するようにしている。なお、ヒーターとしては、チップ抵抗器18aではなく、通電により発熱するシート状のヒーター等の他のタイプのものを使用することもできる。
具体的に説明すると、LED基板11は、熱伝導率が高いアルミニウム製の基材11Aの表面に対してセラミック材料でなる絶縁層11Bを形成し、この上面に対して銅薄膜や金薄膜でなるプリント配線11Cを形成し、このプリント配線11Cの上面に絶縁性の樹脂でなるレジスト膜11Dを形成したものである。更に、このLED基板11には矩形の立壁部14と一体形成して反射部材13をLEDアレイの形成方向(主走査方向)と並行する姿勢で、LEDチップ12の近傍位置に固定している。なお、LED基板11としてはアルミニウム以外に、銅板や金属合金を使用することが可能である。また、反射部材13には、LEDチップ12と対向する側に対して傾斜姿勢の反射面13aが形成され、この反射面13aでLEDチップ12からの照射光をLED基板11と直交する方向に反射させるように機能するものであり、前記立壁部14と反射部材13とは耐熱性に優れた液晶性によって形成されている。
プリント配線11Cは、LEDチップ12に電力を供給する発光配線部50と、チップ抵抗器18aに電力を供給する加熱配線部51と、温度センサーであるサーミスタ17からの信号を取り出す計測配線部52とを備えている。LEDチップ12は、複数個のチップ状のLEDを電気的に直列に接続したものを1発光単位として、複数単位備えたものであり、夫々のLEDチップ12を支持する部位に対してプリント配線と同じ素材で支持部53を形成している。
前記発光配線部50には、LEDチップ12の1発光単位に対して電力を供給する電力端子50aと、LEDチップ12の配列方向に独立して形成された中継端子50bとが形成されている。また、加熱配線部51には、チップ抵抗器18aの両端の電極とをハンダ60により接続する端子51aを形成している。
この構成により以下の工程に従ってLED基板11が製造される。前述したようなプリント配線11C、レジスト膜11Dが形成されたLED基板11を、適宜の方法で実装用のテーブル等に支持した後に、立壁部14と共に反射部材13をLED基板11に接着固定し、LEDチップ12をダイボンディングによりLED基板11の支持部53に対して設定された間隔で直線状に支持固定する。
次に、LEDチップ12のパッド部と電力端子50aとの間にボンディングワイヤー15を形成する。そして、加熱配線部51に形成された一対の端子51aの間にチップ抵抗器18aを配置し、夫々の端子51aとチップ抵抗器18aの電極とをハンダ60で固定する。
<制御システムの構成>
次に環境温度制御システムの構成を図8により説明する。図8に示すように、複数のLEDチップ12に対して電力を供給する発光制御手段としての発光制御回路22と、チップ抵抗器18aに対して電力を供給する発熱制御手段としての発熱制御回路23と、冷却用ファン4,5のモータ4M,5Mに対して電力を供給するファン制御回路24と、サーミスタ17に対して電力を供給すると共にサーミスタ17から得られた電圧信号をデジタル信号化するサーミスタ駆動回路25とを備えている。これら発光制御回路22、発熱制御回路23、ファン制御回路24、サーミスタ駆動回路25はコントローラ27からの制御信号により制御され、サーミスタ駆動回路25はコントローラ27に対してデジタル信号化された電圧信号(温度を表わすデータ)をフィードバックする。
検出手段28は、LEDの消費電力を検出する機能を有し、LEDに流れる電流を検出することで消費電力を検出することができる。各LEDチップを流れる総電流量から消費電力を求めることができる。すなわち、 消費電力と電流量とは一定の関係にあるからである。検出された電流値(消費電力データ)はコントローラ27に送られる。光量センサー29は、LEDから発せられる光量を測定する光量測定手段として機能する。光量センサー29は、公知の光センサーにより構成することができ、その配置箇所としてはLED光源装置1のLED光軸上の適宜の場所に配置することができる。例えば、写真フィルムが搬送される搬送面の近傍に配置することができる。あるいは、CCDラインセンサー7を光量センサーとして用いることもできる。この場合は、特別に光量センサーを設ける必要はない。
発光制御回路22と発熱制御回路23とは、PWM方式の電力制御回路を備えており、デューティー比の設定により必要とする電力を供給する状態と、電力を遮断する状態とを切り替え自在に構成され、ファン制御回路24はファン4,5のモータ4M,5Mに対して電力を供給する状態と遮断する状態とに切り換えられるよう電力トランジスタやリレーを備えて構成され、サーミスタ駆動回路25はサーミスタ17により得られる電圧信号をデジタル信号に変換して出力するよう、入力側が高インピーダンスとなる増幅器とA/D変換器とを備えて構成される。また、コントローラ27は、サーミスタ17から得られた電圧信号から温度を検出し、ファン制御回路24に対して制御信号を出力する温度制御手段27aの機能を備えている。温度制御手段27aは、例えば、コンピュータプログラムにより構成することができる。
コントローラ27は、ヒーター設定手段27bの機能を備えており、検出手段28により検出された消費電力や光量センサー29により検出されたLEDの光量データに基づいて、ヒーター18の発熱レベルを設定することができる。
既に説明したようにLEDは環境温度が変わると光量や波長が変化するため、その環境温度を厳格に制御する必要がある。本発明においては、環境温度が45℃±1℃となるように制御される。環境温度の制御は、写真フィルムの画像の読み取りを行っている間(処理モード)のみならず、読み取りを行っていない待機状態(待機モード)においても行われる。すなわち、 待機モードと処理モードとのかかわらず環境温度は45℃±1℃となるように制御される。これにより、写真フィルムの画像読み取りの開始を行おうとするときに環境温度が適切な状態に設定されているので、無駄な待ち時間を要することなく直ちに画像読み取りを開始することができる。
また、ヒーター18による加熱を行う場合に常に同じ発熱レベルでヒーター18を駆動するのではなく、本実施形態では発熱レベルの高い順に第1レベル、第2レベル、第3レベル、第4レベルの4段階に設定できるように構成している。第1レベルは発熱レベルが最も高いレベルであり、これは待機モードの時に設定されるレベルである。待機モードでは、写真フィルムの画像読み取りを行わないのでLEDは消灯した状態である。従って、LED自身による発熱は生じないので、ヒーター18による発熱レベルは最も高い第1レベルに設定される。
写真フィルムの画像読み取りを行うとき(処理モードのとき)は、第2レベル(中レベル)、第3レベル(小レベル)、第4レベル(ヒーターオフ)のいずれかに設定される。この発熱レベルと写真フィルムの画像読み取りを行う場合の消費電力範囲を図9により説明する。LEDの消費電力(W数)とヒーター18の発熱レベルとの関係が示されている。ポジフィルムとネガフィルムとを比較した場合、フィルムベースの濃度の違いから、LEDの消費電力は相対的にポジフィルムの方がネガフィルムよりも小さくなる。これはネガフィルムの方がフィルムベースの色が濃いためネガフィルムの方がより明るい状態にLEDを点灯させる必要があるからである。
図9に示すように、ポジフィルムの場合はLEDの消費電力は3.3W〜9.6Wの間であり、ネガフィルムの場合は消費電力は3.9W〜10.3Wの間である。また、第2レベルのヒーターの設定範囲は、消費電力が3.3W〜6Wであり、この6Wは切り替えポイントとなる数値である。第3レベルのヒーターの設定範囲は、消費電力が6W〜8.5Wであり、8.5Wは切り換えポイントとなる数値である。第4レベル(ヒーターオフ)の範囲は、消費電力が8.5W〜10.3Wの間である。なお、ヒーター18の発熱レベルの切り換えはチップ抵抗器18aに供給する電力の大きさにより設定することができる。図9からも分かるように、ネガフィルムとポジフィルムの発熱レベルは異なることもあるし、同じときもあり、これは消費電力の大きさに依存する。
なお、以下説明する起動ルーチンと光源制御ルーチンを実行するための各プログラムが格納されている。
<起動ルーチン>
ネガフィルムやポジフィルムの画像読み取りを行う場合のヒーター18の発熱レベルを設定するタイミングについては種々考えられるが、本実施形態では次のように行う。写真処理システムの電源をオンにした後でシステムのセットアップを行うようにしている。セットアップとは、写真処理を行うために、各動作部の設定を行う作業であり、その中にヒーターの発熱レベルの設定が含まれる。その作業手順(起動ルーチン)を図10のフローチャートにより説明する。
電源をオンにすると(#1)、すべてのLED基板11,21,31に取り付けられているチップ抵抗器18aに対して最大の電力を投入すると共に、すべてのLEDチップ12に対しても最大の電力を投入する。次に、検出手段28に機能に基づきLEDの電流(消費電力)を検出する(#3)。また光量センサー29によりLEDの光量を検出する(#4)。なお、光量を検出する際には写真フィルムは用いないで測定を行う。これらのデータに基づいてコントローラ27のヒーター設定手段27bは、ネガフィルムを読み取る場合の発熱レベルの設定とポジフィルムを読み取る場合の発熱レベルの設定を行う(#5)。光量検出を行う際には写真フィルムを用いてはいないが、光路に写真フィルムを挿入しない状態での光量レベルと、ネガフィルムやポジフィルムを光路に挿入した場合の光量レベルは、おおよその比率が決まっているので、写真フィルムを用いずに光量検出を行っても問題はない。
一方、ステップ#2の後、サーミスタ17により環境温度の測定を行う(#6)。温度制御手段27aにより環境温度が目標温度(45℃)に到達したか否かを判断する(#7)。この段階では、チップ抵抗器18aによる発熱とLEDチップ自身による発熱により環境温度が急速に上昇していく。目標温度に到達すると、LEDへの電力を遮断する(#8)。以後は、待機モードへ移行する(#9)。待機モードでは、チップ抵抗器18aによる発熱と冷却用ファン4,5の制御により環境温度を目標温度に保持するように制御を行う。
<光源制御ルーチン>
次に光源制御ルーチンにおける手順を図11のフローチャートにより説明する。光源制御ルーチンでは、処理モードに対応して電力制御を行う処理を実行する(#20)。処理モードとしては、既に述べてきたようにネガフィルム・スキャンモード、ポジフィルム・スキャンモード、待機モードとがある。待機モードでは、ヒーター18の発熱レベルは第1レベル、即ち、最大電力を供給するレベルに設定される。ネガフィルムやポジフィルムのスキャンモードの場合には、図10のステップ#5にて設定された発熱レベルに基づいて、ヒーター18の発熱レベルが設定される。
ステップ#21では、温度測定がサーミスタ17により行われ、目標温度45℃±1℃となるように制御される。この目標温度は、処理モードの違いにかかわらず同じである。まず、高温側のしきい値を超えたか否かを判断する(#22)。高温側のしきい値としては45.5℃が設定されている。このしきい値を超えると環境温度が高すぎるということになるので、ファン4,5を駆動する(#23)。なお、すでにファン4,5が駆動状態であれば、その駆動状態を継続する。ステップ#22で高温側のしきい値を超えていなければ、ステップ#24で低温側のしきい値を超えたか否かを判断する。低温側のしきい値としては44.5℃が設定されている。低温側のしきい値を下回った場合は、ファン4,5の駆動を停止する(#25)。なお、すでにファン4,5が停止状態であれば、その停止状態を継続する。
以上のように、LEDチップ12に供給される電力による発熱と、ヒーター18に供給される電力による発熱とを総合した発熱量を各処理モードにおいて略等しくなるように設定し、いずれの処理モードに切り換わった場合もLED基板11,21,31の温度をできるだけ変動させないようにして、ファン4,5を駆動する頻度を低減している。これにより、無駄なエネルギー消費を抑制することができる。特に、LEDの消費電力に基づいて発熱レベルを設定するようにしているので、環境温度の設定を安定的に制御することができる。
<別実施形態>
(1)実施形態ではサーミスタにより温度を計測しているが、特願2003−52630に開示される温度測定手段を用いても良い。すなわち、 温度センサーとしてLEDチップを用いる方法であり、これを他のLEDチップと隣接する位置に同じLED基板上に配置する。このセンサー用LEDチップに流れる電流を抵抗器により電圧に変換し、この電圧信号を取り出せるように構成する。この抵抗器は、他のLEDチップに対して接続される抵抗器と等しい抵抗値のものが使用される。従って、センサー用LEDと他のLEDとは、等しい電流が流れるように設定される。センサー用LEDチップが発熱するとその抵抗値が変動するため、前述した抵抗器に流れる電流も変動する。この原理により温度を計測することが可能である。
(2)冷却手段として冷却用ファンを用いる構成を説明したが、これに限定されるものではなく、他のタイプの冷却手段を用いても良い。例えば、ペルチェ素子による冷却を行っても良い。冷却するに際して、チップ抵抗器へ供給する電力を低下させるように制御する手段を設け、これを冷却手段としてもよい。
(3)発熱レベルの設定としては、本実施形態では4段階に設定しているが、これに限定されるものではない。設定段階は、適宜決めることができる。また、設定が無段階になるようにしても良い。また、発熱レベルの設定タイミングは、セットアップの時に限定されるものではなく、これ以外の適宜のタイミングで行っても良い。
LED光源装置が用いられる写真処理システムの構成を示す概念図 光学系の主要部を示す斜視図 LED光源装置の構成を副走査方向に沿って切断した垂直断面図 図3に示すLED光源装置の正面図(矢視A) 図3に示すLED光源装置の主走査方向に沿って切断した垂直断面図 LED基板の平面図 LED基板の中央縦断面図 LED光源装置の制御ブロック構成を示す図 ヒーターの発熱レベルを説明する図 起動ルーチンにおける手順を示すフローチャート 光源制御ルーチンにおける手順を示すフローチャート
符号の説明
1 LED光源装置
4,5 冷却用ファン
7 CCDラインセンサー
11,21,31 LED基板
12 LEDチップ
17 サーミスタ
18 ヒーター
18a チップ抵抗器
22 発光制御回路
23 発熱制御回路
24 ファン制御回路
25 サーミスタ駆動回路
27 コントローラ
27a 温度制御手段
27b ヒーター設定手段
28 検出手段
29 光量センサー(光量測定手段)
S スキャナー
F 写真フィルム

Claims (4)

  1. 写真フィルムに形成された画像を読み取るためのLED光源の環境温度制御システムであって、
    LEDが使用される環境温度を設定するためのヒーターと、
    LEDが使用される環境温度を冷却するための冷却手段と、
    LEDの消費電力を検出する検出手段と、
    この検出手段による検出結果に基づいて、ヒーターの発熱レベルを設定するヒーター設定手段と、
    環境温度が設定温度となるように冷却手段を制御する温度制御手段とを設けたことを特徴とするLED光源の環境温度制御システム。
  2. ヒーター設定手段は、画像を読み取る処理を行わない待機モードにおいて、発熱レベルが最大となるようにヒーターを設定することを特徴とする請求項1に記載のLED光源の環境温度制御システム。
  3. 発熱レベルは、レベルの大きい順に複数段階のレベルに切り替えられるように制御可能であり、最小レベルではヒーターをオフにすることを特徴とする請求項1又は2に記載のLED光源の環境温度制御システム。
  4. LEDから発せられる光量を測定する光量測定手段を備え、この測定結果に基づいて、ネガフィルムを読み取る場合の発熱レベルと、ポジフィルムを読み取る場合の発熱レベルを設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のLED光源の環境温度制御システム。
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