しかしながら、近年の高速記録化の要求に伴い、以下のような問題が生じている。図8は従来の光情報記録装置の主要部の構成図、図9は図8の各部信号の波形図の一例である。これら図面に基づいて問題点を説明する。
図8に示すように、光情報記録装置101は、コントローラ(図示せず)から供給される記録クロック信号WCKと記録データ信号Wdataとから光源であるLD(レーザダイオード)102を変調し駆動する光源駆動部103と、LD102の出射光PLを光ディスク等の情報記録媒体104に照射し情報の記録を行い、情報記録媒体104からの反射光PRを受光部105で受光し受光信号変換部106で受光信号Va〜Vdに変換するPU(光ピックアップ装置)107と、記録データ信号Wdataに従い受光信号Va〜Vdのサンプル/ホールドを指示するS/H信号Smpを生成するS/H信号生成部108と、S/H信号Smpに従い受光信号Va〜Vdを所定期間だけサンプルして受光信号Sa〜Sdを生成するS/H部109と、サンプルした受光信号Sa〜Sdに従って情報記録媒体104の回転に伴う面振れやトラックの半径方向の振れ等の変動に対し常に所定の誤差内で光を照射するよう制御(フォーカスサーボ制御及びトラックサーボ制御)を行うサーボ信号演算処理を実行するサーボ信号演算処理部110とから構成される。
ここで、受光部105は図示するように四分割受光素子であり、各素子a〜dに対応して変換した受光信号をそれぞれVa〜Vdとする。また、サーボ信号演算処理部110では、例えばフォーカスサーボ制御がいわゆる非点収差法で行われる場合には、FE=(Sa+Sd)−(Sb+Sc)となるフォーカスエラー信号FEを生成し、これが所定範囲内になるようフォーカスサーボ制御を行っている。このフォーカスサーボ制御やトラックサーボ制御等のサーボ制御は公知であるので説明を省略する。
図9に示すように、(a)の記録データ信号Wdataに対し、(b)の遅延記録データ信号dWdataは光源駆動部103での信号処理時間nT分遅延した信号である(T:記録クロック信号WCKの周期)。(d)の出射光PL−iは光源駆動部103で記録データWdataに従って変調された光波形(照射光)であり、この照射光の情報記録媒体104での反射光が受光され、(e)の受光信号Va−iが生成される(受光信号Vb〜Vdも同様の波形となる)。一方、(f)のS/H信号Smpは遅延記録データ信号dWdataを基準に生成され、図示するように受光信号Va−iの光波形のスペース期間(s)のサンプルを指示するような信号を生成する(「H」:サンプル、「L」:ホールドとする)。これにより、(e)の受光信号Va−iの(s)の期間がサンプルされてSaが生成され(図示せず)、これに基づきサーボ制御が行われる。
しかしながら、これらの波形は各部における信号遅延を無視した(あるいは従来のように無視できる記録速度での)信号波形例であり、記録速度が高速になると各部における信号遅延が無視できなくなり、各部信号波形は(g)〜(h)のようになる。(g)の出射光PLは光源駆動部103及びLD102での遅延量d1だけ遅延した光波形であり、(h)の受光信号VaはPU107での光路長による遅延d2と受光部105及び受光信号変換部106での遅延量d3を加算した分だけ遅延した信号である。これらの遅延量を考慮に入れず(f)のS/H信号Smpで(h)の受信信号Vaをサンプルすると、所望のスペース期間をサンプルできず、これに基づきサーボ制御を行うと、サーボゲイン変動やサーボ信号のS/N比の悪化等が生じ、正確なサーボ制御ができなくなってしまう。すなわち、正確な記録ができなくなってしまう。これらの遅延量の合計は数nsになることもあり、例えばDVD16倍速記録時には1T=約2.4nsであり、これらの遅延量は無視できるものではない。また、これらの遅延量はデバイス毎にばらついてしまうため、装置毎に調整することができない。
一方、光情報記録装置におけるウォブル信号の生成でも、受光信号の安定した所定期間をサンプリングしてウォブル信号を生成しており、ウォブル信号のC/N比を向上させている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、前述と同様に、このウォブル信号生成にも高速記録化が進むにつれ、各部での信号遅延が無視できなくなっているため、所望の期間でサンプリングが行えなくなり、生成するウォブル信号のC/N比が悪化し、正確な回転制御やアドレス検出、記録クロック生成等ができない。また、これらの遅延量はデバイス毎にばらついてしまうため、装置毎に調整することができない。
また、ROPCは、具体的には試し書きを行う際、反射光量変化を示す検出信号を書き込んだ記録パワーと対応づけて保持しておき、試し書き後再生信号の対称性等から最適パワーを算出すると同時にそれと対応づけられた反射光量変化を示す検出信号を制御目標値とし、逐次LD記録パワーを制御するというものである(例えば、特許文献3参照)。このとき、反射光量変化は図10に示すようにして検出される。(a)の光ディスクに照射する光波形により、(b)の記録マークが形成される。この時、反射光量を受光した受光信号は(c)のようになる。つまり記録マークの形成によりディスクの反射率が低下し、受光信号はマークの後端部で低くなる。この時、例えば過剰な記録パワーで記録を行ったとすると、図10の破線のように記録マークが膨張し、マークの後端部での受光信号は低下してしまう。よって、(d)のサンプル信号により、マーク後端部での受光信号をサンプリングすると、この値Vdetが反射光量の変化を示すようになり、これによりLDの記録パワー制御を行えば、ROPC制御ができるようになる。
しかしながら、前述のように高速記録化が進むにつれ受光信号の遅延が無視できなくなると、所望の期間でサンプリングが行えなくなり、誤ったパワー制御がなされてしまい、ついては正確な記録ができなくなってしまう。また、これらの遅延量はデバイス毎にばらついてしまうため、装置毎に調整することができない。
上述したいくつかの問題の他にも、発光指令信号に対して受光信号に遅延や遅延のバラツキがあると、適正な期間でのサンプリングができなくなり、誤った値を検出したり、検出結果のS/N比が悪化したりして、様々な問題が生じるおそれがある。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、発光指令信号に対して受光信号に遅延や遅延のバラツキがあっても、正確にサーボ制御や回転制御、記録パワー制御等の所定の制御を行うことができる光情報記録装置を提供することである。
請求項1記載の発明は、発光指令信号に基づいた光源からの出射光を情報記録媒体へ照射して情報の記録を行い、前記情報記録媒体からの反射光を受光して生成される受光信号をサンプル制御信号に基づいて所定期間サンプリングし、そのサンプリングした信号に従って所定の制御を行う光情報記録装置において、前記発光指令信号に対する前記受光信号の遅延量に応じて前記サンプル制御信号を所定量遅延させるようにしたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光情報記録装置において、前記発光指令信号に対する前記受光信号の遅延量と前記サンプル制御信号の遅延量とがほぼ等しくなるように前記サンプル制御信号の遅延量を調整するようにしたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の光情報記録装置において、前記発光指令信号に対する前記受光信号の遅延量が受光信号によって異なる場合、各々の受光信号の遅延量に相当する分だけ遅延させた複数の前記サンプル制御信号を生成するようにしたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の光情報記録装置において、予め前記サンプル制御信号の遅延量を変化させながら、逐次前記受光信号のサンプリング期間の平均値を検出し、その検出結果に従って前記サンプル制御信号の遅延量を調整するようにしたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、発光指令信号に基づいた光源からの出射光を情報記録媒体へ照射して情報の記録を行い、前記情報記録媒体からの反射光を受光して生成される受光信号を複数のサンプル制御信号に基づいて複数の異なる所定期間サンプリングし、そのサンプリングした複数の信号に従って所定の制御を行う光情報記録装置において、前記発光指令信号に対する前記受光信号の遅延量に応じて複数の前記サンプル制御信号を所定量遅延させるようにしたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の光情報記録装置において、前記発光指令信号に対する前記受光信号の遅延量と前記サンプル制御信号の遅延量とがほぼ等しくなるように複数の前記サンプル制御信号の遅延量を調整するようにしたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の光情報記録装置において、予め複数の前記サンプル制御信号のうちの一つの遅延量を変化させながら、逐次前記受光信号のサンプリング期間の平均値を検出し、その検出結果に従って前記サンプル制御信号の遅延量を調整し、その遅延量と同じだけ他の前記サンプル制御信号を遅延させるようにしたことを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の光情報記録装置において、前記所定の制御として、フォーカスサーボ制御又はトラックサーボ制御を行うことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の光情報記録装置において、前記所定の制御として、前記情報記録媒体にプリフォーマットされたウォブルからウォブル信号を生成し、前記情報記録媒体の回転の制御を行うことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか一記載の光情報記録装置において、前記所定の制御として、前記情報記録媒体の記録マークの形成状況を検出し、前記光源の出力パワーの制御を行うことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、受光信号が遅延し、受光信号を適正な期間でサンプルできなくなってしまうような場合にも、サンプル制御信号を遅延調整して装置の遅延量と同等とすることができるので、高速記録時にも適正な期間でのサンプルが可能となり、種々の動作制御を精度良く行えるようになる。
請求項2記載の発明によれば、受光信号の遅延量が装置毎にばらつくような場合にもサンプル制御信号を自動的に遅延調整して受光信号の遅延量と同等とすることができるので、より高精度に制御ができるようになる。
請求項3記載の発明によれば、受光信号の遅延量が受光信号により異なっていても、各受光信号に対するサンプル制御信号を各々調整することができるので、種々の動作制御を精度良く行えるようになる。
請求項4記載の発明によれば、予めサンプル制御信号の遅延量を変化させながら、逐次受光信号のサンプリング期間の平均値を検出し、該検出結果に従って遅延量を調整することによって、請求項2又は3記載の発明の効果を簡便に得ることができる。
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様な効果を奏する。
請求項6記載の発明によれば、複数のサンプル制御信号の遅延量を制御することによって、種々の動作制御を精度良く行えるようになる。
請求項7記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加え、遅延調整時間を短縮することができる。
請求項8記載の発明によれば、受光信号が遅延し、受光信号を適正な期間でサンプルできなくなってしまうような場合にも、サンプル制御信号を遅延調整して装置の遅延量と同等とすることができるので、高速記録時にも適正な期間でのサンプルが可能となり、精度が高いサーボ制御ができるようになる。
請求項9記載の発明によれば、受光信号が遅延し、受光信号を適正な期間でサンプルできなくなってしまうような場合にも、サンプル制御信号を遅延調整して装置の遅延量と同等とすることができるので、高速記録時にも適正な期間でのサンプルが可能となり、ウォブル信号のS/N比を向上させることができ、正確な回転制御、アドレス検出、精度の良い記録クロック生成が可能となる。
請求項10記載の発明によれば、受光信号が遅延し、受光信号を適正な期間でサンプルできなくなってしまうような場合にも、サンプル制御信号を遅延調整して装置の遅延量と同等とすることができるので、高速記録時にも適正な期間でのサンプルが可能となり、正確な記録パワー制御ができるようになる。
本発明の第一の実施の形態を図1なしい図4に基づいて説明する。図1は本実施の形態の光情報記録装置の概略構成を示す構成図、図2は本実施の形態の光情報記録装置の主要部を示す構成図、図3は図2の各部信号の一例を示す波形図である。
光情報記録装置1は、情報記録媒体2を回転駆動するためのスピンドルモータ3、PU(光ピックアップ装置)4、光源駆動部5、モータドライバ6、再生信号処理部7、サーボ信号演算処理部8、バッファRAM9、バッファマネージャ10、インターフェース11、CPU12a、ROM12b及びRAM12c等を備えて構成されている。なお、図1中に示す矢印は代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
PU4は、光源であるLD(レーザダイオード)13と、このLD13から出射される出射光PLを情報記録媒体2の記録面に導くとともに記録面で反射された反射光PRを所定の受光位置まで導く対物レンズ等を含む光学系(図示せず)、受光位置に配置されて反射光PRを受光する受光部14、及び、駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ、シークモータ等(何れも図示せず))等を含んで構成されている。受光部14からは、受光量に応じた受光信号が再生信号処理部7に出力される。
サーボ信号演算処理部8では、フォーカスエラー信号FEに基づいてPU4のフォーカシングアクチュエータを制御する制御信号を生成するとともに、トラックエラー信号TEに基づいてPU4のトラッキングアクチュエータを制御する制御信号を生成する。これらの制御信号はサーボ信号演算処理部8からモータドライバ6に出力される。
モータドライバ6では、サーボ信号演算処理部8からの制御信号に基づいてPU4のフォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータを駆動する。また、モータドライバ6では、CPU12aの指示に基づいて、例えば、情報記録媒体2の線速度が一定となるようにスピンドルモータ3を制御する。さらに、モータドライバ6では、CPU12aの指示に基づいて、PU4用のシークモータを駆動し、PU4を情報記録媒体2の目標トラックに向けて半径方向に移動させる。
インターフェース11は、外部装置となるホストとの双方向の通信インターフェースであり、ATAPI及びSCSI等の標準インターフェースに準拠している。
CPU12aは、ROM12b、RAM12cと共に光情報記録装置1が備えるマイクロコンピュータ(コンピュータ)を構成している。記憶媒体としても機能するROM12bには、CPU12aにより解読可能なコードで記述された制御プログラムを含むプログラムが格納されている。CPU12aは、ROM12bに格納されているプログラムに従って上述の各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM12cに保存する。なお、光情報記録装置1の電源が投入されると、ROM12bに格納されているプログラムは、CPU12aのメインメモリ(図示せず)にロード(インストール)される。
次いで、光情報記録装置1の主要部の構成について詳しく説明すると、図2に示すように、光情報記録装置1は、コントローラ(図示せず)から供給される記録クロック信号WCKと記録データ信号Wdataとから光源であるLD13を変調し駆動する光源駆動部5と、LD13の出射光PLを情報記録媒体2に照射し情報の記録を行い、情報記録媒体2からの反射光PRを受光部14で受光し受光信号変換部15で受光信号Va〜Vdに変換するPU4と、記録データ信号Wdataに従い受光信号Va〜Vdのサンプル/ホールドを指示するサンプル制御信号であるS/H(サンプルホールド)信号Smp1を生成するS/H信号生成部16と、S/H信号Smp1を所定量遅延させてS/H信号Smp2をS/H部17に供給する遅延調整部18と、S/H信号Smp2に従い受光信号Va〜Vdを所定期間サンプルしてそれぞれ受光信号Sa〜Sdを生成するS/H部17と、サンプルした受光信号Sa〜Sdに従って所定の制御、例えば情報記録媒体2の回転に伴う面振れやトラックの半径方向の振れ等の変動に対し常に所定の誤差内で光を照射するような制御(フォーカスサーボ制御及びトラックサーボ制御)を行うサーボ信号演算処理を実行するサーボ信号演算処理部8と、を備えている。
なお、S/H信号生成部16、S/H部17及び遅延調整部18は再生信号処理部7(図1参照)に組み込まれている。また、遅延調整部18が、S/H信号Smp1を所定量遅延させる遅延調整手段として機能する。ここでは、遅延調整部18は、LD13への発光指令信号に対する受光信号Va〜Vdの遅延量に応じてS/H信号Smp1を所定量遅延させる。
ここで、受光部14は図示するように四分割受光素子であり、各素子a〜dに対応して変換した受光信号をそれぞれVa〜Vdとする。このとき、ゲイン調整やオフセット調整を行っても良い。また、フォーカスサーボ制御は非点収差法により、トラックサーボ制御はプッシュプル法により行うものとし、サーボ信号演算処理部8では、フォーカスエラー信号FE=(Sa+Sd)−(Sb+Sc)及びトラックエラー信号TE=(Sa+Sb)−(Sc+Sd)を生成し、これらのサーボエラー信号FE及びトラックエラー信号TEが所定の誤差範囲内になるようにサーボ制御を行う。このようなサーボ信号演算処理部8は公知のものを用いればよく、本発明はサーボ演算処理方法に依るものではない。光情報記録装置1は、サーボ制御によって、例えば、LD13から出射された出射光を情報記録媒体2上に集光する対物レンズ(図示せず)を移動させることで、光束を情報記録媒体2の記録面に収束させ、さらに、光束を情報記録媒体2のトラック上に正確に位置付ける。
図3に示すように、(a)の記録データ信号Wdataに対し、(b)の遅延記録データ信号dWdata(光源駆動部5の内部信号であり、図2では図示せず)は光源駆動部5での信号処理時間nT分遅延した信号である(T:記録クロック信号WCKの周期)。(d)の出射光PL−iは光源駆動部5で記録データWdataに従って変調された光波形(照射光)であり、この照射光の情報記録媒体2での反射光が受光され、(e)の受光信号Va−iが生成される(受光信号Vb〜Vdも同様の波形となる)。ここで、(d)及び(e)の信号波形は各部での遅延量を無視した理想的な波形を例示している。
一方、(f)のS/H信号Smp1は遅延記録データ信号dWdataを基準に生成され、図示するように受光信号Va−iの光波形のスペース期間(s)のサンプルを指示するような信号を生成する(「H」:サンプル、「L」:ホールドとする)。
(g)は各部での信号遅延を考慮した場合の受光信号Vaであり、光源駆動部5及びLD13での遅延量d1、PU7での光路長による遅延d2及び受光部14及び受光信号変換部15での遅延量d3を加算した分Δだけ遅延しているものとする。Vb〜Vdについても同量の遅延が生じる。
また、(h)のS/H信号Smp2は遅延調整部18によりS/H信号Smp1を遅延量δだけ遅延させた信号であり、S/H信号生成部16での遅延量をd5とすると、δ=Δ−d5となるようにδを調整すれば、遅延記録データdWdataに対する受光信号Va〜VdとS/H信号Smp2の遅延量が等しくなり、S/H部17にて所望の正確な期間サンプリングが行えるようになり、正確なサーボ制御ができるようになる。
次に、遅延調整部18の詳細構成と遅延調整方法について説明する。
図2に示すように、遅延調整部18は、S/H信号Smp1を遅延制御信号Dlyに従って所定量δ遅延させたSmp2信号を供給する遅延部21と、S/H信号Smp2(S/H制御信号)がサンプルの期間(「H」の期間)の受光信号Vaの平均値(遅延検出信号Vdc)を検出するための遅延検出部22と、遅延検出部22の出力する検出結果から遅延量δを制御する遅延制御部23とから構成される。
また、より詳細に遅延検出部22は、受光信号Vaと遅延検出信号Vdcとの差分に比例した電流を供給する増幅器31と、S/H信号Smp2が「H」の期間オンとなり「L」の期間オフとなるスイッチ32と、コンデンサ33とからなっている。このため、スイッチ32がオンの期間は増幅器31の出力電流によりコンデンサ33に充放電され、オフの期間はその値をホールドしておくことにより、S/H信号Smp2が「H」の期間の受光信号Vaの平均値を検出できる。
図4は遅延調整方法を説明するための信号波形図である。遅延調整は電源投入時や記録や再生動作を行っていないアイドル時等に行うものとし、通常動作時には遅延調整時に求めた遅延量を保持しておく。
遅延調整を簡便に行うため、遅延調整時には所定データの繰返しとなる記録データ信号Wdataとし、発光波形も記録データとほぼ同一となるようにする(遅延を無視して図示している)。また、(e)のS/H信号Smp1は遅延記録データ信号dWdataの反転信号となるようにする。すると、(f)の受光信号Vaは遅延量ΔだけdWdataから遅れ検出される。そこで、遅延制御部23により遅延量δを変化させていくと、(g)のS/H信号Smp2は、δ=Δ,δ<Δ,δ>Δのそれぞれの場合で、図4(a)〜(c)のようになり、遅延検出信号Vdcはそれぞれ図5に示したようになる。図5は遅延量δと遅延検出信号Vdcとの関係の一例を示す説明図である。従って、遅延検出信号Vdcがほぼ最小となるように遅延量δを調整すれば、δ≒Δとなるように調整することができる。
このようにすれば、装置の各部で信号が遅延し、受光信号を適正な期間でサンプルできなくなってしまうような場合にも、さらにはその遅延量が装置毎にばらつくような場合にもS/H信号を自動的に遅延調整して装置の遅延量と同等とすることができるので、高速記録時にも適正な期間でのサンプルが可能となり、精度が高いサーボ制御ができるようになる。
なお、遅延調整時のS/H信号Smp1は遅延記録データ信号dWdataと同一波形の信号としても良い。その場合は遅延検出信号Vdcがほぼ最大となる遅延量δが最適値となる。
本発明の第二の実施の形態を図6に基づいて説明する。図6は本実施の形態の光情報記録装置の主要部を示す構成図である。本実施の光情報記録装置は基本的に第一の実施の形態の光情報記録装置の構成と同じある(他の実施の形態も同様とする)。図1及び図2と同一符号のブロックは前述と同様の動作・機能を果たすので詳細な説明は省略する。なお、ここでは、情報記録媒体2は、ウォブルがプリフォーマットされている媒体である。
ウォブル信号演算処理部41は、S/H部17により所定期間サンプルされた受光信号Sa〜Sdにより、プッシュプル信号PP=(Sa+Sb)−(Sc+Sd)を生成し、このプッシュプル信号PPからウォブル周波数成分を抽出し、ウォブル信号WBLを生成する。このとき、前述と同様にしてS/H部17へのS/H信号Smp2は遅延調整部18により遅延量δが適正に調整されている。
このようにすれば、装置の各部で信号が遅延し、受光信号を適正な期間でサンプルできなくなってしまうような場合にも、さらにはその遅延量が装置毎にばらつくような場合にもS/H信号を自動的に遅延調整して装置の遅延量と同等とすることができるので、高速記録時にも適正な期間でサンプリングが可能となり、ウォブル信号WBLのS/N比の劣化を防止することができる。よって正確な回転制御、アドレス検出、精度が高い記録クロック生成が可能となる。
本発明の第三の実施の形態を図7及び図8に基づいて説明する。図7は本実施の形態の光情報記録装置の主要部を示す構成図、図8は図7の各部信号の一例を示す波形図である。なお、図1及び図2と同一符号のブロックは前述と同様の動作・機能を果たすので詳細な説明は省略する。
加算アンプ51は、受光信号Va〜Vdを加算して受光再生信号RFを生成するものである、S/H部52は受光再生信号RFをS/H信号Smp2に従ってサンプルホールドし、ROPC検出信Srfを出力する。この時、前述と同様にしてS/H信号Smp2は遅延調整部18により遅延量δが適正に調整されている。LDパワー制御部53は、ROPC検出信Srfに従い記録パワー制御信号Spwrを生成し、光源駆動部5に供給する。光源駆動部5ではこの記録パワー制御信号Spwrに従って記録パワーを設定する。
図8に示すように、光源駆動部5では、遅延記録データ信号dWdataに対し、(d)のような光波形でLD13を変調する。これにより、受光再生信号RFは(e)のようになり、記録パワーに応じて後端部のレベルが変化する。ここで、(d)及び(e)は遅延を無視して図示している。(f)のSmp1は、この受光再生信号RFの後端部でのレベルを検出するためのS/H信号であり、S/H信号生成部16で生成する。ここでは、検出の容易な所定マーク長以上のマークで検出するようにS/H信号Smp1を生成している。(g)は各部での信号遅延を考慮した場合の受光再生信号RFであり、光源駆動部5及びLD13での遅延量d1、PU7での光路長による遅延d2、受光部14及び受光信号変換部15での遅延量d3及び加算アンプ51での遅延量d4を加算した分Δだけ遅延しているものとする。
また、(h)のSmp2は遅延調整部18によりSmp1を遅延量δだけ遅延させた信号であり、S/H信号生成部16での遅延量をd5とすると、δ=Δ−d5となるようにδを調整すれば、遅延記録データdWdataに対する受光再生信号RFとS/H信号Smp2の遅延量が等しくなり、S/H部52にて所望の正確な期間サンプリングが行えるようになり、正確な記録パワー制御ができるようになる。
上述した実施形態の他にも、受光信号を所定期間サンプリングして装置の制御を行う場合には、同様にしてS/H信号(サンプルホールド信号)の遅延調整を行うことにより、本発明の効果が得られる。また、受光信号を複数の所定期間サンプリングして装置の制御を行う場合には、1つのS/H信号に対して上述の遅延調整を行い、他のS/H信号は同量の遅延をさせるようにすれば良い。このようにすれば、遅延調整時間を短縮することができる。また、複数の受光信号の遅延量が異なる場合には、各々遅延調整を行うようにすれば、より高精度な制御を実現することができる。