本発明者らは、前述の従来の問題点を改良すべく種々研究、検討した結果、キャリアコア粒子と該コア粒子表面が樹脂で被覆されてなる2重構造を形成した樹脂被覆キャリアにおいて、該キャリアコア粒子は少なくとも強磁性金属酸化物粒子とバインダー樹脂を含有する磁性体分散型キャリアコア粒子であり、かつ該バインダー樹脂がフェノール樹脂を含有しており、かつ該樹脂被覆層は少なくとも導電性微粒子を含有しており、かつ樹脂被覆層の平均層厚が0.1乃至0.8μmの範囲であるキャリアを使用することが、諸特性の改良において有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のキャリアはキャリアコア粒子が下記(i)式の形状係数SF−1及び(ii)式の形状係数SF−2を満たしていることが必須である。
105≦SF−1≦130 −−−−−−−(i)式
101≦SF−2≦120 −−−−−−(ii)式
本発明においてキャリアコア粒子のSF−1及びSF−2は以下のようにして求めた。まず、キャリ断層面を作製する。その具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にキャリア粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させる。得られた硬化物をダイヤモンドナイフを設置したミクロトームを用いてキャリア断面が出るようにしたサンプル切片を切り出す。このサンプルを走査型電子顕微鏡(FE−SEM:日立製作所製S−4500)を用いて500〜5000倍の倍率で断層形態を観察し、無作為にキャリア100個サンプリングし、その画像情報をインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(Lusex 3)に導入して解析を行い、下式より算出して得られた値をキャリアコア粒子の形状係数SF−1、SF−2と定義した。尚、キャリア樹脂被覆層とコア粒子との境界の観察にコントラストをつけるために、キャリアをエポキシ樹脂で硬化させた後、四三酸化ルテニウムや四三酸化オスミウムによる染色法を用いることもできる。
形状係数(SF−1)={(MXLNG)2/AREA}×(π/4)×100
[式中、MXLNGはキャリアコア粒子の絶対最大長を示し、AREAはキャリアコア粒子の投影面積を示す。]
形状係数(SF−2)={(PERIME)2/AREA}×(1/4π)×100
[式中、PERIMEはキャリアコア粒子の周長を示し、AREAはキャリア粒子の投影面積を示す。]
定義式から明らかなように、SF−1はキャリアコア粒子径の長径を2乗した値をキャリアコア粒子の面積で割った値にπ/4を掛け、さらに、100倍して得られる数値であり、キャリアコア粒子の形状が球に近いほど100に近い値となり、逆に細長い形状ほど100を超えた大きな値となる。換言すると、キャリアコア粒子の最大長と最小長の比率を表現するものである。SF−2はキャリアコア粒子の投影像の周囲長さを2乗した値を当該キャリアコア粒子の粒子面積で割った値に1/4πを掛け、さらに100倍して得られる数値であり、キャリアコア粒子の形状が球に近いほど100に近い値となり、周囲の形状が凹凸で複雑なものほど100を超えた大きな値となる。換言すると、キャリアコア粒子の表面性(凹凸性)を表現するものである。完全な球形であれば、SF−1=SF−2=100である。
すなわち、形状係数SF−1は球形度合いを示し、この数値が大きいと球形から徐々に不定形となる。SF−2は凹凸度合いを示し、この数値が大きいとキャリアコア粒子の表面の凹凸が顕著となる。
キャリアコア粒子の形状係数SF−1が130を超えたり、SF−2が120を超えると、樹脂被覆層が均一な状態とならず、キャリアの比抵抗にバラツキを生じたり、あるいはキャリア表面の微小領域の抵抗が均一とならないために、画像に白抜けや濃度ウスなどが生じ、高精細な画像が得られなくなる。また、樹脂被覆層のコア粒子との密着強度が低下する傾向にあるため十分な耐久性が得られなくなる。
さらに樹脂被覆後に得られたキャリアも表面が平滑な球形状にならず、キャリアの流動性が低下するため、現像剤の搬送性が不安定となり、トナーとの接触による摩擦帯電において、早期に適正な帯電量レベルにすることが出来なくなる。
本発明のキャリアの嵩密度は、3.0g/cm3以下が好ましい。好ましくは2.0g/cm3以下が良い。3.0g/cm3を超えると現像剤中のシェアが大きくなりトナーによるスペント化、あるいは樹脂被覆層の剥がれを生じやすくなる。なお、キャリアの嵩密度の測定は、JIS K5101に記載の方法に準じて行う。
次に、本発明のキャリアの製造法について述べる。
本発明のキャリアのコア粒子に用いる強磁性金属酸化物粒子としては、マグネタイト、マグヘマイト等の強磁性酸化鉄粒子、鉄以外の金属(Mn,Ni,Zn,Mg,Cu等)を一種又は二種以上含有するスピネルフェライト粒子、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト粒子、表面に酸化被膜を有する鉄や鉄合金の微粒子を用いることができる。好ましくはマグネタイト等の強磁性酸化鉄粒子又はマグネシウム及び鉄を含む磁性フェライト粒子である。前記強磁性金属酸化物粒子の粒径は、0.02〜5μmであることが望ましく、水性媒体中における分散と生成する球状複合体粒子の強度を考慮すれば、0.05〜3μmであることが好ましい。その形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。また強磁性金属酸化物粒子は飽和磁化σsが20Am2/kg以上が好ましく、30Am2/kg以上であることがより好ましい。
また、本発明のキャリアのコア粒子には前述の通り非磁性金属酸化物粒子を併用してもよく、用いられる非磁性金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ヘマタイト、ゲーサイト及びイルメナイト等を挙げることができる。本発明のキャリアの製造を容易にする上では非磁性金属酸化物粒子としては強磁性金属酸化物粒子との比重差があまりないもの、例えばヘマタイト、酸化亜鉛、酸化チタン等がより好ましい。キャリアコア粒子の製造に用いる該非磁性金属酸化物粒子の粒径は、0.05〜5μmであることが好ましく、水性媒体中における分散と生成する複合体粒子の強度を考慮すれば、0.1〜3μmであることがより好ましい。また非磁性金属酸化物粒子は、飽和磁化σsが10Am2/kg以下であることが好ましく、5Am2/kg以下であることがより好ましい。
上記の強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子の粒径測定の方法については後述する。
本発明のキャリアのコア粒子に用いられる強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子は、表面処理することなくそのまま用いることができるが、あらかじめ親油化処理をしておいてもよい。なお、親油化処理がされていない強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子を用いる場合には、懸濁安定剤として、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の親水性有機化合物やフッ化カルシウム等のフッ素化合物などを添加しておくことにより球形粒子が生成しやすくなる。
親油化処理は、強磁性金属酸化物粒子等にシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング剤等のカップリング剤を添加混合して被覆処理する方法又は界面活性剤を含む水性溶媒中に強磁性金属酸化物粒子等を分散させ、該粒子表面に界面活性剤を吸着させる方法等がある。なお、強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子は同時に親油化処理してもよく、別々に処理してもよい。また、どちらか一方にだけ親油化処理してもよい。
シラン系カップリング剤としては、疎水性基、アミノ基、エポキシ基を有するものがあり、疎水性基を有するシラン系カップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル・トリス(β−メトキシ)シラン等がある。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等がある。
エポキシ基を有するシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等がある。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等がある。
界面活性剤としては、市販の界面活性剤を使用することができ、強磁性酸化鉄粒子、非磁性金属酸化物粒子や該粒子表面に有する水酸基と結合が可能な官能基を有するものが望ましく、イオン性で言えばカチオン性、あるいはアニオン性のものが好ましい。
上記いずれの処理方法によっても本発明の目的を達成することができるが、フェノール樹脂との接着性を考慮するとアミノ基、あるいはエポキシ基を有するシラン系カップリング剤による処理が好ましい。
本発明のキャリアコア粒子は、バインダー樹脂として少なくともフェノール樹脂を含有しており、フェノール樹脂はフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られる。
本発明に用いるフェノール類としては、フェノール自体の他、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA等のアルキルフェノール類、及びベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子、臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類等のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられるが、この中でフェノールが最も好ましい。フェノール類以外のものを用いた場合には、粒子が生成し難かったり、粒子が生成したとしても不定形状であったりすることがある。
本発明に用いるアルデヒド類としては、ホルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド及びフルフラール等が挙げられるが、ホルムアルデヒドが特に好ましい。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は、1〜4が好ましく、特に好ましくは1.2〜3である。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、粒子が生成し難かったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行し難いために、生成する粒子の強度が弱かったりする傾向があり、一方、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は4よりも大きいと、反応後に水性媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
本発明に用いる塩基性触媒としては、通常のレゾール樹脂製造に使用されているもの、例えば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミン等のアルキルアミンが挙げられる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は、0.02〜0.3が好ましい。
本発明においては、本発明の効果を損なわない程度に、フェノール樹脂に合わせて他の樹脂をバインダー樹脂として用いることができる。
本発明においてキャリアコア粒子の製造は、水性媒体中で行われるが、この場合の水仕込み量は、強磁性金属酸化物粒子が原料全体に占める割合である全固形分濃度が30〜95質量%になるようにすることが好ましく、特に60〜90質量%となるようにすることが好ましい。
反応は、まず、フェノール類、ホルマリン類、水、アンモニア水及び強磁性金属酸化物粒子を反応釜中に仕込み、十分に攪拌した後、塩基性触媒を加えて攪拌しながら昇温させ、反応温度を70〜90℃に調整しながら、フェノール樹脂を硬化させる。この時、球形度の高いキャリアコア粒子を得るためにゆるやかに昇温させることが望ましい。昇温速度は、好ましくは0.5〜1.5℃/分、より好ましくは0.8〜1.2℃/分である。
硬化後の反応物を40℃以下に冷却し、得られた水分散液を濾過、遠心分離等の常法に従って固液を分離した後、洗浄して乾燥することにより、強磁性金属酸化物粒子とフェノール樹脂をバインダー樹脂として結合してなるキャリアコア粒子が得られる。本発明のキャリアのキャリアコア粒子の製造方法は、連続法、バッチ法のいずれでも行うことができるが、通常はバッチ法で行われる。
本発明のキャリアは、上記キャリアコア粒子の表面に1種又は2種以上の樹脂よりなる被覆層を有している。樹脂被覆量はキャリアコア粒子に対して、1.5〜10質量%、好ましくは2.0〜5.0質量%である。被覆する樹脂量が1.5質量%未満の場合には、本発明の特徴であるキャリアの樹脂被覆層の層厚が0.1μm以上の均一な膜厚とならず、現像剤の帯電の環境安定性が得られなくなる。特に高温高湿下での放置によって現像剤の帯電量が低下する傾向にある。また、10質量%を超える場合には、コーティングに際し、キャリアの合一等が生じ易くなるとともに、キャリア表面に凹凸が生じやくなり、樹脂被覆層の層厚が0.8μm以上になり、バルク及び局所的なキャリア抵抗の変動が大きくなり、現像に際して本発明のキャリアの効果である画像の白抜けに対する効果が得られにくくなるとともに、現像剤の帯電の環境安定性が低下する傾向にある。また、キャリアの樹脂被覆層の平滑さが損われるため、耐久によって被覆樹脂の削れやすくなり、トナーへの帯電付与の安定性が低下する傾向にある。
樹脂被覆の方法としては、被覆樹脂を溶媒中に溶解もしくは懸濁せしめた後、導電性微粒子を添加、分散させた後、この溶液を被覆樹脂溶液として、キャリアコア粒子を流動させながら多流体ノズルを用いて霧化してスプレーすることによって塗布する方法や上記の樹脂被覆溶液とキャリアコア粒子を混合、攪拌しながら加熱して、徐々に溶媒を揮発させてキャリアコア粒子の表面に被覆膜を形成させる方法、あるいはあらかじめ導電性微粒子と被覆樹脂とを混合、分散させた後、乾燥し、この樹脂を粉砕して、導電性微粒子を含有する粉体を作製した後、この粉体とキャリアコア粒子とをミキサーなどで混合、攪拌しながら加熱して樹脂粉体を溶融させつつ徐々にキャリアコア粒子表面に固着させて樹脂被覆層を形成させるような方法を挙げることができる。
本発明のキャリアの樹脂被覆方法は上記のいずれも適用できるが、本発明のキャリアは樹脂被覆層の平均層厚が0.1〜0.8μmの均一な厚膜である点を考慮すると、コートに際しコア粒子同士が造粒しにくい方法、たとえば、流動床で被覆樹脂溶液をスプレーしながらコート膜を形成させる方法やコア粒子を攪拌しながら被覆樹脂溶液を徐々に加えながら、加熱し、溶媒を徐々に揮発させてコート膜を次第に厚くしていく被覆方法が好ましい。
本発明のキャリアにおいて樹脂被覆層中には導電性微粒子を含有させる。導電性微粒子を含有させることで、本発明のキャリアのように樹脂被覆層が厚くてもキャリアの比抵抗を適当な値に制御できるため、白抜けや掃き寄せなどのない良好な画像を得ることが可能となる。
本発明に用いられる導電性微粒子としては金属酸化物あるいはカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの種類としては、公知のものが使用できる。例えばファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられる。
また、導電性の金属酸化物としては酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等及びそれらの混合物が挙げられる。
上記のカーボンブラック及び金属酸化物の平均粒径は0.01〜3μm、好ましくは0.05〜2.0μm程度が適当である。0.01μm未満では被覆樹脂中に均一に分散させるのが困難であり、2.0μm超では樹脂被覆層から脱離し易くなるだけでなく、添加による抵抗制御の効果が十分に得にくくなる。
カーボンブラック及び金属酸化物の粒径の測定は、日立製作所(株)製の透過型電子顕微鏡H−7500により5千〜20万倍に拡大した写真画像を用い、ランダムに粒径0.01μm以上の粒子を300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex 3により水平方向フェレ径をもってカーボンブラック粒径及び金属酸化物粒径として測定し、平均化処理して個数平均粒径を算出する。
上記導電性微粒子の導電性は106Ω・cm以下であることが好ましい。導電性が106Ω・cm超えると、キャリア被覆樹脂中に含有させた場合に所望の値にキャリアの抵抗を制御するためには多量に含有する必要が生じ、被覆樹脂が脆くなることで削れや剥れなどの弊害を生じる。
本発明においてキャリア樹脂被覆層中のカーボンブラック又は金属酸化物の分散粒径は以下のようにして求めた。その具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にキャリア粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させる。得られた硬化物をダイヤモンドナイフを設置したミクロトームを用い100nm以下の薄片状のサンプルに切り出す。薄片状のサンプルを透過電子顕微鏡(H−7500:日立製作所製)で5千〜20万倍の倍率で断層形態を観察し、無作為に100個のキャリアをサンプリングして樹脂被覆層中の導電性微粒子について分散状態の画像情報をインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(Lusex 3)に導入して導電性微粒子の凝集物の水平方向フェレ径の平均値を求めて、平均分散粒径を算出した。尚、キャリア樹脂被覆層とコア粒子との境界の観察にコントラストをつけ、樹脂被覆層中の導電性微粒子の像を明確にするために、キャリアをエポキシ樹脂で硬化させた後、四三酸化ルテニウムや四三酸化オスミウムによる染色法を用いることもできる。
上記の導電性微粒子は被覆樹脂と適当な比率で混合、分散された後に、キャリアコア粒子のコーティングに用いられる。被覆樹脂中に導電性微粒子を分散させる方法としては溶媒に被覆樹脂を溶解させた後、導電性微粒子を添加し、一般的な分散装置を用いて行うことができる。分散装置としては、例えば、サンドミル、ボールミル、アトライター、アイガーモーターミル、ホモミキサー、超音波ホモジナイザーなどを挙げることができる。
カーボンブラックの量は、被覆樹脂量に対し3.0〜30.0質量%程度が好ましい。カーボンブラックの含有量が3.0質量%未満の場合には、樹脂中にカーボンブラックを十分に分散させたところで所望の抵抗値を得ることが困難となる。また、カーボンブラック含有量が30.0質量%を超える場合には、現像機内で現像剤同士の摩擦やあるいは現像器の現像剤層厚規制ブレードなどの部材とのストレスにより樹脂被覆層が削れ、カーボンブラックが脱離することにより画像汚れなどの問題を引き起こす。
また、導電性微粒子としての金属酸化物を用いる場合は被覆樹脂に対して5.0〜60質量%含有させることが好ましい。金属酸化物の含有量が5.0質量%未満の場合には、樹脂中に十分に分散させたところで所望の抵抗値を得ることが困難となる。また、含有量が60質量%超過の場合には、樹脂中に占める体積が大きくなるため樹脂が脆くなり、耐久により樹脂被覆層が削れてトナーに適切な帯電を付与できなくなり、耐久性が不十分になる。
本発明においてキャリア樹脂被覆層の層厚は以下のようにして求めた。その具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にキャリア粒子を十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させる。得られた硬化物をダイヤモンドナイフを設置したミクロトームを用いキャリアの断面が出るように切片を切り出す。本発明の磁性体分散型キャリアの場合はクライオスタットで−100℃以下に設定して薄片状のサンプルの切片を切り出すことが好ましい。キャリア断面を有するサンプル切片を走査型電子顕微鏡(FE−SEM:日立製作所製S−4500)で断層形態を観察し、無作為に100個のキャリアをサンプリングし、2万〜10万倍の倍率の写真画像情報をインターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(Luzex 3)に導入してコア粒子と被覆層についてコア粒子表面から被覆層の最表面への最短の距離を10箇所について求めて平均値を算出し、キャリア樹脂被覆層厚とした。尚、キャリア樹脂被覆層とコア粒子との境界の観察にコントラストをつけるために、キャリアをエポキシ樹脂で硬化させた後、もしくはミクロトームでキャリア断面のサンプル切片を作製した後、四三酸化ルテニウムや四三酸化オスミウムによる染色法を用いることもできる。
キャリア表面の被覆樹脂としてはトナー材料により異なるが、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のどちらも用いることができる。
ここで、使用される熱可塑性樹脂としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、フッ素系樹脂を挙げることができる。
上記の中で耐表面汚染性や耐摩耗性に優れる点で特にフッ素系樹脂やフッ素系共重合体が特に好ましく用いられる。フッ素系樹脂として、具体的にはフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体を挙げることができる。また、フッ素系共重合体としては、例えば、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(10:90〜90:10)が例示される。
これらのフッ素系樹脂は単独で使用し得るほか、他の樹脂、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の他の樹脂と組合せて用いることができる。
本発明のキャリアの被覆樹脂としての特に好ましい様態としてはフッ素系樹脂又はフッ素系共重合体とスチレン系樹脂の組合せであり、組合せ比率は、好ましくは90:10〜20:80、より好ましくは70:30〜30:70の比率で混合した樹脂である。
尚、上記のスチレン系共重合体としてはスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(20:80〜80:20)、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(20〜60:5〜30:10〜50)が例示される。
またかかる硬化性樹脂としては、具体的には例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、具体的には例えば無水マレイン酸−テレフタル酸−多価アルコールの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。上述した樹脂は、単独でも使用できるがそれぞれを混合して使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤などを混合し硬化させて使用することもできる。この中で耐摩耗性、耐表面汚染性の優れるケイ素原子上にメチル基が導入されているタイプのシリコーン樹脂が特に好ましく用いられる。
また被覆樹脂中に、他の樹脂粒子あるいは無機化合物粒子等を含有させても良い。樹脂粒子や無機化合物粒子を被覆樹脂中に含有させることで、現像性を向上させたり、あるいはトナーの帯電量を制御したり、キャリアの耐久性を向上させるなどの機能を持たせることが可能となる。樹脂粒子を選択する場合、コートに際してコート溶液の有機溶媒に溶解したり膨潤しないものが好ましく、特に熱硬化性樹脂などの架橋性の樹脂が好ましく用いられる。
樹脂粒子としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などが挙げられる。この中でも、構成成分として窒素元素を有するメラミン樹脂やベンゾグアナミン樹脂などがトナーに負帯電性を付与できる点で好ましい。また、無機化合物粒子としてはシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化セリウムなどを挙げることができる。これらの無機化合物粒子は表面をシランカップリング剤やチタンカップリング剤で処理して用いることもできる。
樹脂粒子あるいは無機化合物粒子の添加量は被覆樹脂に対して0.5〜20質量%が好ましい。0.5質量%未満では添加効果がなく、また20質量%以上では樹脂層からの脱離を生じやすく、またコートに際して、コート溶液の粘性が上がり過ぎてスプレーノズルが詰まったり、コートムラが生じやすい。また、窒素元素を有する樹脂粒子の場合はトナーへの帯電付与性が高くなり過ぎるなどの弊害を生じる。樹脂粒子あるいは無機化合物粒子の平均粒径は0.05〜2μmであることが好ましい。0.05μm未満では被覆樹脂への均一な分散が難しく、添加量を増やしても添加効果が表れにくい。また、2μm以上ではコート層からの脱離が起きやすく、キャリアの耐久性に問題が生じる。
更に、樹脂を被覆する前に反応性のカップリング剤等の他の材料で表面改質しておくことがより好ましい。表面改質を行うことにより、樹脂層とキャリア芯材粒子との密着性を向上させ、より優れた耐久性が得られるようになる。
本発明のキャリアコア粒子に対する反応性カップリング剤としては、下記のカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、疎水性基、アミノ基、エポキシ基を有するものがあり、疎水性基を有するシラン系カップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル・トリス(β−メトキシ)シラン等がある。
アミノ基を有するシラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等がある。
エポキシ基を有するシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン等がある。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等がある。
このなかでも、キャリアコア粒子表面との親和性及び負帯電性のトナーを使用する際の負帯電性付与性を更に高めるには、使用する反応性カップリング剤がアミノシランカップリング剤であることが良く、1級アミノ基を有するものが特に好ましい。
本発明において、トナーとキャリアとを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、好ましくは4〜13質量%にすると良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満の場合には、画像濃度が低くなり、15質量%を超える場合にはカブリや機内飛散を増加せしめ、現像剤の耐用寿命を短める。
本発明に使用されるトナーの結着樹脂としては、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンといったスチレン誘導体の重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類、ジフェノール類から選択される単量体を構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂が挙げられる。架橋したスチレン系樹脂および架橋したポリエステル樹脂等の架橋樹脂でも良い。
スチレン−アクリル系共重合体に使用されるスチレンと重合可能な単量体としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドといったエチレン性2重結合を有するアクリル酸エステル類;マレイン酸、マレイン酸ブチルといったマレイン酸のハーフエステル、およびジエステル類;酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルといったビニルエステル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンといったビニルケトン類を挙げることができる。
架橋剤としては、主として不飽和結合を2個以上有する化合物を挙げることができる。例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートといった不飽和結合を2個以上有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;および不飽和結合を3個以上有する化合物が挙げられる。これらは単独若しくは混合して使用することができる。上述の架橋剤は、結着樹脂を形成するためのモノマーを基準にして、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%で使用するのが好適である。
本発明に用いられるトナー用の結着樹脂の中で、特に負帯電能の高いポリエステル系樹脂を用いることが好ましい。すなわち、ポリエステル系樹脂は、定着性にすぐれ、カラートナーに適しており、かつ負帯電能が強く安定した帯電が得られる。本発明に用いられるトナーの結着樹脂として特に、次式
(式中Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x、yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
で代表されるビスフェノール誘導体もしくは置換体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸またはその酸無水物またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など)とを共縮重合したポリエステル樹脂がシャープな溶融特性を有するのでより好ましい。
特に、OHPフィルムでの光透過性の点で、90℃における見掛粘度が5×103〜5×105Pa・s、好ましくは7.5×103〜2×105Pa・s、より好ましくは104〜105Pa・sであり、100℃における見掛粘度は103〜5×104Pa・s、好ましくは103〜3×104Pa・s、より好ましくは103〜2×104Pa・sであることにより、光透過性良好なカラーOHPフィルムが得られ、フルカラートナーとしても定着性、混色性及び耐高温オフセット性に良好な結果が得られる。90℃における見掛粘度P1と100℃における見掛粘度P2との差の絶対値が2×104<|P1−P2|<4×105の範囲にあるのが特に好ましい。
加圧定着方式を用いるトナーの場合には、圧力定着トナー用結着樹脂を使用する。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィン及び他のワックス類を挙げることができる。
本発明に使用されるトナーには、荷電制御剤をトナーに配合して使用しても良い。荷電制御剤の添加によって現像システムに応じた最適の帯電量とすることができる。正荷電制御剤としてはニグロシン、及び脂肪酸金属塩誘導体、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフロロボレートといった4級アンモニウム塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドといったジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートが挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。上述した荷電制御剤のうち特に、ニグロシン系化合物、4級アンモニウム塩が好適である。
負荷電制御剤としては、有機金属錯体、キレート化合物が挙げられる。アセチルアセトンの金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、サリチル酸系金属錯体(モノアルキル置換体、ジアルキル置換体を包含する)、またはそれらの塩が好ましく、特にはサリチル酸系金属塩が好適である。例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジターシャルブチルサリチルの酸クロム、アルミニウム、ジルコニウム塩または錯体を挙げることができる。
荷電制御剤はトナーに添加する際には、トナーの結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、より好ましくは0.2〜10質量部で使用されることが好適である。特にカラー画像形成に使用される場合には無色若しくは淡色の荷電制御剤を使用することが好ましい。
本発明で使用されるトナーに添加することができる着色剤としては、従来知られている染料及び顔料等を使用することができる。
尚、本発明において耐光性の悪いC.I.Disperse Y164;C.I.Solvent Y77及びC.I.Solvent Y93の如き着色剤は、推奨できないものである。
マゼンタトナー用着色顔料としてはC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207.209、238、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料が挙げられる。
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、及び下記式(I)で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20などが挙げられる。
イエロー用着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162等があり、顔料と染料を併用することも好ましい。
また、ブラックトナーについてはカーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒等を用いることができるが、それ以外にも上述の顔料を組合わせてブラックトナーに用いることができる。例えば、ジスアゾ系イエロー顔料、モノアゾ系レッド顔料及び銅フタロシアニン系ブルー顔料等の顔料を1:1.5〜2.5:0.5〜1.5の配合割合にて用いてブラックトナーとするのが好ましい。
上記着色剤の添加量としては、結着樹脂に対して0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜20質量%が良い。さらにはOHPフィルム上のトナー定着画像の透過性を考慮すると12質量%以下で使用されるのが好ましく、通常0.5〜9質量%であるのが最も好適である。
トナーは、さらに熱ロール定着時の離型性を向上させる目的でポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックスなどのワックス成分を添加しても良い。
本発明に使用されるトナーにはシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーンといった微粉末が外添されていることが好適である。トナーに対して上述した微粉末を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に微粉末が存在することになり、現像剤の流動性が向上され、さらに現像剤の寿命も向上させることになる。上述した微粉末の平均粒径は0.2μm以下であることが好ましい。平均粒径が0.2μmを超えると流動性向上の効果が少なくなり、現像,転写時に画質を低下させてしまう場合がある。これら微粉末の平均粒径の測定は微粉末を透過電子顕微鏡(H−800、日立製作所製)で観察し、視野中の3万乃至20万倍に拡大した300個の0.01μm以上の粒子を抽出し、平均化処理して個数平均粒径を算出する。その値をもって微粉末の平均粒径とする。
これら微粉末の表面積としては、BET法による窒素吸着によった比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好である。かかる微粉末の添加量は、トナー100質量部に対して0.1〜20質量部で使用することが好適である。BET比表面積は、湯浅アイオニクス(株)製、全自動ガス吸着量測定装置:オートソーブ1を使用し、吸着ガスに窒素を用い、BET多点法により求める。なお、サンプルの前処理としては、温度50℃で10時間の脱気を行う。
本発明に用いられトナーが粉砕法によるトナーの場合、その製造方法としては上述のようなポリエステル系樹脂、あるいはビニル系又は非ビニル系の熱可塑性樹脂、着色剤、荷電制御剤、その他の添加剤をヘンシェルミキサーのような混合機により十分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーといった熱混練機を用いて溶融,混練して樹脂類を十分に混合して、その中に顔料若しくは染料を分散させ、これを冷却後、粉砕、分級操作を行ってトナー粒子を得ることができる。
このときの混練には、公知の加熱混練機を用いて行うことができ、具体的には、三本ロール型、一軸スクリュー型、二軸スクリュー型、バンバリーミキサー型が挙げられる。
また、トナーの粉砕装置としては、例えばマイクロナイザー、ウルマックス、ジェット−o−マイザー、KTM(クリプトン)、ターボミル、I式ジェット・ミルが挙げられる。前記の粉砕工程の後に、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)を採用することも可能である。
分級方法として好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いる。この装置を用いることにより、本発明で規定している粒度分布を有するトナーを効率的に製造できる。
さらに該トナー粒子はそのままで使用することもできるが、必要に応じた種類及び量の微粉末が外添される。外添に用いられる微粉末としては、上述のシリカ、アルミナ、酸化チタンなどが好ましく、このような微粉末の外添処理は、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用して行うことができる。
このようにして得られたトナーはキャリアと混合されて二成分系現像剤とされる。二成分系現像剤を形成する場合、現像プロセスにも依存するが現像剤中のトナーの割合が1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%の範囲であることが好適である。二成分系現像剤のトナーの摩擦帯電量としては−5〜−100(mC/kg)の範囲であることが好適であり、最も好ましくは−5〜−60(mC/kg)である。トナーの摩擦帯電量の測定条件は後述する。
また、本発明において、重合トナーを用いることができる。重合トナーの製造方法は、例えば、特公昭56−13945号公報に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法;例えば、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報及び特開昭59−61842号公報に記載されている懸濁重合法を用いて直接トナー粒子を生成する方法;単量体には可溶で得られる重合体が不要な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合法又は水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法;予め1次極性乳化重合粒子を作った後、反対電荷を有する極性粒子を加え会合させるヘテロ凝集法を用いトナーを製造する方法;を用いることが可能である。
この中でも、重合性モノマー、着色剤及びワックスを少なくとも含むモノマー組成物を直接重合してトナー粒子を生成する方法が好ましい。
しかしながら、分散重合法においては、得られるトナーは極めてシャープな粒度分布を示すが、使用する材料の選択が狭いことや有機溶剤の利用が廃溶剤の処理や溶剤の引火性に関する観点から製造装置が複雑で煩雑化しやすい。従って、重合性モノマー、着色剤及びワックスを少なくとも含むモノマー組成物を水系媒体中で直接重合してトナー粒子を生成する方法がより好ましい。しかしながら、ソープフリー重合に代表される乳化重合法は、トナーの粒度分布が比較的揃うため有効であるが、使用した乳化剤や開始剤末端がトナー粒子表面に存在した時に環境特性を悪化させやすい。
従って、本発明においては比較的容易に粒度分布がシャープな微粒子トナーが得られる常圧下での、または、加圧下での懸濁重合法が特に好ましい。さらに、一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂シード重合方法も本発明に好適に利用することができる。
本発明に用いられる重合トナーの好ましい形態としては、透過電子顕微鏡(TEM)を用いたトナーの断層面測定法で特にワックスが、外殻樹脂層で内包化されたものである。定着性の観点から多量のワックストナーに含有せしめる必要性から、ワックスを外殻樹脂層で内包化せしめることがトナーの保存性や流動性の点で好ましい。内包化せしめない場合のトナーは、ワックスの分散が均一にできず結果的に粒度分布が広くなり、かつ、装着へのトナー融着も発生しやすい。ワックスを内包化せしめる具体的な方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体よりワックスの方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることでワックスを外殻樹脂層で被覆した所謂コア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散剤の種類や添加量を変える方法;機械的装置条件、例えば、ローターの周速、バス回数、撹拌羽根形状の如き撹拌条件又は、容器形状又は、水溶液中での固形分濃度を制御することにより所定の本発明のトナーを得ることができる。
本発明においてトナーの断層面を測定する具体的な方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ得られた硬化物を四三酸化ルテニウムにより、又は必要により四三酸化オスミウムを併用することにより、染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナーの断層形態を測定した。本発明においては、用いるワックスと外殻樹脂層を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。
本発明のトナー製造方法に直接重合方法を用いる場合においては、以下の如き製造方法によって具体的にトナーを製造することが可能である。単量体中にワックス、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機の如き分散機によって均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー、ホモジナイザーの如き撹拌機により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、好ましくは50〜90℃の温度に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去することが良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒と使用するのが好ましい。
重合法を用い直接トナーを得る時には、重合性単量体としては、スチレン、o(m−,p−)−メチルスチレン、m(p−)−エチルスチレン等の如きスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミドの如きエン系単量体が好ましく用いられる。
本発明において用いるトナーにコア/シェル構造を形成せしめるためには、極性樹脂を併用することが好ましい。本発明に使用できる極性重合体及び極性共重合体の如き極性樹脂を以下に例示する。
極性樹脂としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如き含窒素単量体の重合体もしくは含窒素単量体とスチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;アクリロニトリルの如きニトリル系単量体;塩化ビニルの如き含ハロゲン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸の如き不飽和カルボン酸;不飽和二塩基酸;不飽和二塩基酸無水物;ニトロ系単量体の重合体もしくはそれとスチレン系単量体との共重合体;ポリエステル;エポキシ樹脂;が挙げられる。より好ましいものとして、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル及びアゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン及びトリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンの如き過酸化物系開始剤;過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤;過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウムの如き過硫酸塩;過酸化水素;が使用される。これらは単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
重合開始剤は重合性単量体100質量部に対して0.5〜20質量部の添加量が好ましい。
本発明では分子量をコントロールするために、公知の架橋剤、連鎖移動剤を添加しても良く、好ましい添加量としては重合性単量体100質量部に対して0.001〜15質量部である。
本発明において用いられるトナーが乳化重合、分散重合、懸濁重合、シード重合、ヘテロ凝集法を用いる重合法によって製造されるトナーである場合、製造の際に用いられる分散媒には、適当な無機化合物又は有機化合物の安定化剤を使用することが好ましい。無機化合物の安定化剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。有機化合物の安定化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−eu−メタクリル酸)共重合体やノニオン系或はイオン系界面活性剤が挙げられる。
乳化重合法及びヘテロ凝集法を用いる場合には、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が安定化剤として使用される。これらの安定化剤は重合性単量体100質量部に対して0.2〜30質量部を使用することが好ましい。
これら安定化剤の中で、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい粒子を得るために、分散媒中にて無機化合物の安定化剤を生成させても良い。
これら安定化剤の微細な分散の為に、重合性単量体100質量部に対して0.001〜0.1質量部の界面活性剤を使用してもよい。この界面活性剤は上記分散安定化剤の安定化作用を促進する為のものである。この界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが挙げられる。
本発明に用いられる重合法トナーに用いられる着色剤としては、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、前記着色剤を好ましくは表面改質、たとえば重合阻害のない疎水化処理を施したほうが良い。特に染料系やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、これら染料の存在下に重合性単量体をあらかじめ重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添加するカーボンブラックについては、上記染料と同様の処理のほか、ポリオルガノシロキサンの如きカーボンブラックの表面官能基と反応する物質で処理を行っても良い。
さらにトナーのワックスの融点は結着樹脂のガラス転移温度よりも高く、その温度差は、好ましくは100℃以下、より好ましくは75℃以下、さらに好ましくは50℃以下であることが良い。
この温度差が100℃を超える場合には、低温定着性が低下してしまう。さらにこの温度差は、近すぎる場合には、トナーの保存性と耐高温オフセット性との両立できる温度領域が狭くなることから、好ましくは2℃以上であることが良い。結着樹脂のガラス転移温度は、好ましくは40℃乃至90℃より、好ましくは50乃至85℃であることが良い。
結着樹脂のガラス転移温度が40℃未満の場合には、トナーの保存性が低下し、かつ流動性が悪化し、良好な画像が得られない。結着樹脂のガラス転移温度が90℃を超える場合には、低温定着性に劣るのに加え、フルカラートランスペアレンシーの透過性が悪化してしまう。とりわけ、ハーフトーン部がくすみ、彩度のない投影画像になりやすい。
本発明において、結着樹脂のガラス転移点(Tg)は示差熱分析装置(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツスルメンツジャパン社製)を用い、ASTM D3418‐82に準じて測定する。例えば、下記の条件で測定することができる。
試料:5〜20mg、好ましくは10mg
温度曲線:昇温I (20℃→200℃、昇温速度10℃/min.)
降温I (200℃→10℃、降温速度10℃/min.)
昇温II(10℃→200℃、昇温速度10℃/min.)
昇温IIで測定されるTgを測定値とする。
測定法:試料をアルミパン中にいれ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。吸熱ピークが出る前と出た後のべースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点をガラス転移点Tgとした。
以下に各物性の測定方法を記載する。
キャリア粒径の測定方法を記載する。
本発明のキャリアの粒径は、走査型電子顕微鏡(100〜5000倍)によりランダムに粒径1μm以上のキャリア粒子300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもってキャリア粒径として測定し、個数平均粒径を算出する。この条件で測定した個数基準の粒度分布より個数平均粒径の1/2倍径累積分布以下の累積割合を求め、1/2倍径累積分布以下の累積値を計算する。
本発明のキャリアのかさ密度は、パウダーテスター(ホソカワミクロン製)を用い、目開き75μmの篩を、振幅1mmで振動させ通過させた状態でかさ密度A(g/cm3)を測定した。
本発明のキャリア又はキャリアコア粒子の比抵抗測定は、図1に示す測定装置を用いて行う。セルEに、キャリア又はキャリアコア粒子を充填し、充填されたキャリア又はキャリアコア粒子に接するように電極21及び22を配し、該電極間に電圧を印加し、そのとき流れる電流を測定することにより比抵抗値を求める。上記測定方法においては、磁性キャリア又はキャリアコア粒子が粉末であるために充填率に変化が生じ、それに伴い、比抵抗値が変化する場合があり、注意を要する。比抵抗値の測定条件は、充填されたキャリア又はキャリアコア粒子と電極との接触面積S=約2.3cm2、厚みd=約2mm、上部電極22の荷重180g(1.76N)、印加電圧100Vとする。
本発明のキャリアの真比重は、マルチボリウム密度計(マイクロメリティクス製)で測定した値で示した。
本発明のキャリアのコア粒子に用いられる強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子の粒径の測定方法を以下に記載する。強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子の個数平均粒径は、日立製作所(株)製走査型電子顕微鏡S−4500により5000〜20000倍に拡大した写真画像を用い、ランダムに粒径0.01μm以上の粒子を300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもって強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子の粒径として測定し、平均化処理して個数平均粒径を算出する。
本発明のキャリアのコア粒子に用いられる強磁性金属酸化物微粒子及び磁性金属酸化物微粒子の比抵抗測定はキャリア比抵抗の方法に準ずる。図1のセルEに、強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子を充填し、充填された強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子に接するように電極21及び22を配し、該電極間に電圧を印加し、そのとき流れる電流を測定することにより比抵抗を求める。強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子の充填に際して電極が試料に対して均一に接触するように上部電極21を左右に回転させつつ充填を行う。上記測定方法において比抵抗の測定条件は、充填強磁性金属酸化物粒子及び非磁性金属酸化物粒子と電極との接触面積S=約2.3cm2,厚みd=約2mm、上部電極22の荷重180g(1.76N)、印加電圧100Vとする。
本発明で使用するキャリアの磁気特性は、理研電子(株)社製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定する。キャリア粉体の磁気特性値は1キロエルステッドの外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求める。キャリアは体積約0.07cm3の円筒状のプラスチック容器に十分密になるようにパッキングした状態に作製する。この状態で磁化モーメントを測定し、実際の試料を入れたときの実際の質量を測定して、磁化の強さ(Am2/kg)を求める。
トナー粒径の測定の具体例を示す。本発明に用いるトナーの重量平均粒径および個数平均粒径は、コールターカウンターを使用して測定する。電解質溶液100〜150mlに界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)0.1〜5ml添加し、これに測定試料を2〜20mg添加する。試料を懸濁した電界液を超音波分散器で1〜3分間分散処理して、前述したコールターカウンターマルチサイザーにより17μmまたは100μm等の適宜トナーサイズに合わせたアパーチャーを用いて体積を基準として0.3〜40μmの粒度分布等を測定するものとする。この条件で測定した個数平均粒径、重量平均粒径をコンピュータ処理により求め、さらに個数基準の粒度分布より個数平均粒径の1/2倍径累積分布以下の累積割合を計算し、1/2倍径累積分布以下の累積値を求める。同様に体積基準の粒度分布より重量平均粒径の2倍径累積分布以上の累積割合を計算し、2倍径累積分布以上の累積値を求める。
以下に本発明で使用したトナーの摩擦帯電量の測定方法を示す。現像剤担持体上からサンプリングした二成分系現像剤を、底部に635メッシュ(目開き20μm)の導電性スクリーンを装着した金属性の容器にいれ、吸引機で吸引し、吸引前後の質量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を33.3(kPa)とする。この方法によって、トナーの摩擦帯電量を下記式を用いて算出する。
Q(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
(式中、W1は吸引前の質量であり、W2は吸引後の質量であり、Cはコ
ンデンサーの容量、Vはコンデンサーに蓄積された電位である。)
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例によって制限されるものではない。
<キャリアの製造例>
(キャリアA)
フェノール 9.0質量部
ホルマリン溶液 13.5質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
親油化処理されたマグネタイト 84.0質量部
(粒径0.24μm、比抵抗5.1×105Ω・cm)
ここで用いたマグネタイトの親油化は、マグネタイトの質量に対して0.5質量%のシランカップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサーを用いて100℃,0.5時間の条件で混合撹拌して処理することによって行った。
上記材料と塩基性触媒として28%アンモニア水2.0質量部、さらに水11質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、5時間反応・硬化させ重合を行った。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(0.67kPa以下)、180℃で乾燥して、マグネタイトとフェノール樹脂をバインダー樹脂として結合した球状のキャリアコア粒子を得た。得られたコア粒子の比抵抗は、1.9×108Ω・cm、個数平均粒径28.2μmであった。
得られたコア粒子の表面にカーボンブラックを分散させた熱硬化性シリコーン樹脂を以下の方法でコートした。シリコーン樹脂固形分に対して10質量%となるようにカーボンブラック(東海カーボン社製:トーカブラック#5500、平均粒径0.025μm、比抵抗4.3×10-1Ω・cm)を添加し、トルエン溶媒を用いて10質量%の溶液に希釈した後、サンドミルで30分間分散処理を行い、キャリアコート溶液を作製した。このコート溶液を加熱しつつ、剪断力を加えながら徐々に溶媒を揮発させるコート装置を用いてキャリアコア粒子へコート量が3.0質量%になるようにコートを行った。コートに際してはコート溶液を加える量を多くし過ぎると樹脂を介してコア粒子の凝集が起きやすく、また、処理温度を上げすぎた場合、トルエン溶媒がすぐに揮発してしまい、キャリアのコートムラやコア粒子の凝集が起こり易い。従って、処理温度を上げ過ぎないようにしながら、コート溶液を徐々に加え、コート層がある程度硬化したところで、次のコート溶液を加えて、少しづつコート層に厚みをもたせた。
得られたキャリア粒子をオーブンを用いて180℃で2時間キュアし、その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いてコートキャリアの分級を行ない、200メッシュ以下の粒子をキャリアとした。
得られたキャリアの個数平均粒径は28.4μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.35μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。
また、キャリアの比抵抗を測定したところ、3.5×109Ω・cmであり、磁気力を測定したところ、58Am2/kgであった。
(キャリアB)
キャリアAで用いたキャリアコア粒子の表面にカーボンブラックを分散させた樹脂混合物〔フッ素系樹脂(重合組成モル比(%);フッ化ビニリデン:テトラフルオロエチレン=90:10)とスチレン系樹脂(重合組成モル比(%);スチレン:メチルメタクリレート=70:30)の混合物(樹脂混合質量比;フッ素系樹脂:スチレン系樹脂=10:90)〕を以下の方法でコートした。上記樹脂混合物固形分に対して10質量%となるようにカーボンブラック(東海カーボン社製:トーカブラック#5500、平均粒径0.025μm、比抵抗4.3×10-1Ω・cm)を添加し、トルエン溶媒を用いて10質量%の溶液に希釈した後、サンドミルで30分間分散処理を行い、キャリアコート溶液を作製した。
キャリアコア粒子をエアーにより浮遊流動させながらコート溶液をスプレーノズルより噴霧してコートする装置を用いてキャリアコア粒子へコート量が2.0質量%になるようにコートを行った。コート装置の槽内の温度を上げすぎた場合、コート樹脂が軟化して粘着性を帯びるため、キャリアコア粒子の凝集が起こり易い。従って、処理温度を上げ過ぎないようにして徐々にコート層を厚くした。
得られたキャリア粒子を上記コート装置内で流動させながら120℃で1時間乾燥し、その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いてコートキャリアの分級を行ない、200メッシュ以下の粒子をキャリアとした。
得られたキャリアの個数平均粒径は28.8μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.22μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、1.6×109Ω・cmであり、飽和磁化を測定したところ、58Am2/kgであった。
(キャリアC)
キャリアAにおいてカーボンブラックの代わりにTiO2(KV400:チタン工業社製)15質量%を用いること以外は全てキャリアAと同様にしてコートキャリアCを作製した。得られたキャリアの個数平均粒径は28.2μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.36μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、6.5×109Ω・cmであり、飽和磁化を測定したところ、58Am2/kgであった。
(キャリアD)
キャリアBにおいてカーボンブラックの代わりに酸化亜鉛(23−K:ハクスイテック株式会社製、80Ω・cm)10質量%を用いること以外は全てキャリアBと同様にしてコートキャリアDを作製した。得られたキャリアの個数平均粒径は28.3μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いを測定したところ、平均0.23μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、8.6×109Ω・cmであり、飽和磁化を測定したところ、58Am2/kgであった。
(キャリアE)
キャリアBにおいてカーボンブラックの代わりに酸化スズ(S−1:三菱マテリアル社製8.9×105Ω・cm)15質量%を用いること以外は全てキャリアBと同様にしてコートキャリアEを作製した。得られたキャリアの個数平均粒径は28.0μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.24μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、1.2×1010Ω・cmであり、飽和磁化を測定したところ、58Am2/kgであった。
(キャリアF)
キャリアAにおいて導電性微粒子がカーボンブラック5質量%と酸化チタン(ET500W:石原産業社製、4.0Ω・cm)10質量%を用いること以外は全てキャリアAと同様にしてコートキャリアFを作製した。得られたキャリアの個数平均粒径は28.6μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.37μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、7.1×109Ω・cmであり、飽和磁化を測定したところ、58Am2/kgであった。
(キャリアG)
キャリアAにおいて被覆樹脂中にカーボンブラック10質量%の他に架橋メラミン樹脂粒子(平均0.3μm)5質量%添加すること以外は全てキャリアAと同様にしてコートキャリアGを作製した。得られたキャリアの個数平均粒径は28.9μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.42μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、7.8×109Ω・cmであり、飽和磁化を測定したところ、58Am2/kgであった。
(キャリアH)
フェノール 9.0質量部
ホルマリン溶液 13.5質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
親油化処理されたマグネタイト 84.0質量部
(粒径0.30μm、比抵抗5.3×105Ω・cm)
ここで用いたマグネタイトの親油化は、マグネタイトの質量に対して0.5質量%のシランカップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサーを用いて100℃,0.5時間の条件で混合撹拌して処理することによって行った。
上記材料と塩基性触媒として28%アンモニア水2.0質量部、さらに水11質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、5時間反応・硬化させ重合を行った。その後、30℃まで冷却し、100質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、180℃で乾燥して、マグネタイトとフェノール樹脂をバインダー樹脂として結合した球状のキャリアコア粒子を得た。得られたコア粒子の比抵抗は、2.3×108Ω・cm、平均粒径28.0μmであった。
得られたコア粒子の表面にキャリアAと同様にしてコートを行ない、コートキャリアHを得た。得られたキャリアの個数平均粒径は28.3μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.33μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=128、SF−2=118であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、2.2×109Ω・cmであり、磁気力を測定したところ、59Am2/kgであった。
(キャリアI)
キャリアGでキャリアコア粒子に用いる親油化処理されたマグネタイトとして粒径0.20μm、比抵抗5.0×105Ω・cmのものをキャリアGのマグネタイトと同様の親油化処理を行なったもの用いること以外は全てキャリアGと同様にしてキャリアコア粒子を作製した。得られたキャリアコア粒子の比抵抗は、2.3×108Ω・cm、平均粒径28.6μmであった。
得られたコア粒子の表面にキャリアAと同様にしてコートを行ない、コートキャリアIを得た。得られたキャリアの個数平均粒径は28.9μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.35μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=107、SF−2=102であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、2.0×109Ω・cmであり、磁気力を測定したところ、57Am2/kgであった。
(キャリアJ)
キャリアBでコート量を7質量%とすること以外はすべてキャリアBと同様にしてキャリアコートを行い、コートキャリアJを得た。得られたキャリアの個数平均粒径は30.2μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.76μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、8.6×109Ω・cmであり、磁気力を測定したところ、58Am2/kgであった。
(キャリアK)
キャリアBでコート量を1.5質量%とすること以外はすべてキャリアBと同様にしてキャリアコートを行い、コートキャリアKを得た。得られたキャリアの個数平均粒径は28.1μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.15μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、4.9×108Ω・cmであり、磁気力を測定したところ、58Am2/kgであった。
(キャリアL)
フェノール 9.0質量部
ホルマリン溶液 13.5質量部
(ホルムアルデヒド約40%、メタノール約10%、残りは水)
親油化処理されたマグネタイト 58.8質量部
(0.24μm、比抵抗5.1×105Ω・cm)
親油化処理されたヘマタイト 25.2質量部
(個数平均粒径0.60μm、比抵抗7.8×109Ω・cm)
ここで用いたマグネタイトの親油化は、マグネタイトの質量に対して0.5質量%のシランカップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサーを用いて100℃,0.5時間の条件で混合撹拌して処理することによって行った。また、ここで用いたヘマタイトの親油化は、ヘマタイトの質量に対して0.2質量%のシランカップリング剤(γ−アミノプロピルエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサーを用いて100℃,0.5時間の条件で混合撹拌して処理することによって行った。
上記材料を用いて、加える水の量を10質量部とすること以外はキャリアAと同様にして重合を行い、マグネタイトとヘマタイトとをフェノール樹脂をバインダー樹脂として結合した球状のキャリアコア粒子を得た。得られたコア粒子の比抵抗は、2.5×1011Ω・cmであった。また、平均粒径は28.2μmであった。
得られたコア粒子の表面に、キャリアBと同様にしてカーボンブラックを分散させた樹脂混合物をコートしコートキャリアLを得た。
得られたコートキャリア粒子の個数平均粒径は28.2μmであった。また、このキャリア粒子をミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察後、画像処理によってキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均層厚0.20μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=105、SF−2=112であった。
また、キャリアの比抵抗を測定したところ、3.5×1012Ωcmであった。また、キャリアの磁気力を測定した結果、41Am2/kgであった。
(キャリアM)
Fe2O3 26.4質量部
CuO 12.0質量部
ZnO 52.7質量部
になるように秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。
これを仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、さらにスプレードライヤーにより造粒を行った。これを焼結し、さらに分級してキャリアコア粒子を得た。得られたキャリアコア粒子の比抵抗は3.2×109Ω・cmであった。このキャリアコア粒子に、キャリアAで用いた熱硬化性シリコーン樹脂にカーボンブラックを添加しないこと以外は全てキャリアAと同様にしてコートを行い、コートキャリアMを得た。得られたキャリアの個数平均粒径は28.3μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察後、画像処理によってキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均層厚0.51μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=109、SF−2=125であった。また、キャリアの比抵抗を測定したところ、5.8×1013Ωcmであった。また、キャリアの磁気力を測定した結果、56Am2/kgであった。
(キャリアN)
キャリアMで用いたキャリアコア粒子を用いること以外は全てキャリアAと同様にしてキャリアNを得た。得られたキャリアの個数平均粒径は28.0μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.50μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=109、SF−2=125であった。
また、キャリアの比抵抗を測定したところ、2.1×109Ω・cmであり、磁気力を測定したところ、56Am2/kgであった。
(キャリアO)
キャリアAでコート量を0.5質量%とすること以外は全てキャリアAと同様にしてキャリアNを得た。得られたキャリアの個数平均粒径は27.9μmであった。また、このキャリアをミクロトームを用いて切断し、断面をFE−SEM観察した後、Luzex3を用いて画像処理を行いキャリア樹脂被覆層の層厚を測定したところ、平均0.05μmであった。また、キャリアコア粒子の形状係数を測定したところ、SF−1=106、SF−2=108であった。
また、キャリアの比抵抗を測定したところ、2.3×108Ω・cmであり、磁気力を測定したところ、58Am2/kgであった。
なお、それぞれのキャリアの諸物性を表1に示す。
<トナーの製造例>
(シアントナーNo.1)
高速撹拌装置TK−ホモミキサーを備えた2リットル用四つ口フラスコ中に、イオン交換水700質量部と0.1モル/リットル−Na3PO4水溶液430質量部を添加し回転数を12000回転に調整し、60℃に加温せしめた。ここに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液66質量部を徐々に添加し、微小な難水溶性分散剤Ca3(PO4)2を含む分散媒系を調製した。
一方、分散質系は、
スチレン単量体 160質量部
n−ブチルアクリレート単量体 32質量部
銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3) 11質量部
飽和ポリエステル 8質量部
(テレフタル酸−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA;
酸価15,ピーク分子量6000)
サリチル酸金属化合物 2質量部
パラフィンワックス(極大ピーク値59.4℃) 60質量部
上記混合物をアトライターを用いて3時間分散させた後、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を添加した分散物を調製した。
これを上記分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後高速撹拌器からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変え、内温を80℃に昇温させ50回転で重合を10時間継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散剤を除去せしめた。更に洗浄し乾燥を行ない、シアン色の重合粒子を得た。コールターカウンターで測定したシアン色の重合粒子の重量平均粒径は、6.0μmであった。得られたシアン色の重合粒子100質量部に、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した酸化チタンを2質量部外添し、200メッシュ(目開き75μm)の篩を通した後、流動性に優れたシアントナーNo.1を得た。この時、トナーの重量平均粒径(D4)は6.1μmであり、個数平均粒径(D1)が4.6μmであり、個数平均粒径の1/2倍径以下の分布累積値が8.1個数%であり、重量平均粒径の2倍径以上の分布累積値が0体積%であった。
(マゼンタトナーNo.2)
銅フタロシアニン顔料のかわりにキナクリドン顔料(C.I.Pigment Red122)を使用することを除いてトナーの製造例、シアントナーNo.1と同様にしてマゼンタ色の重合粒子(トナー粒子)を得た。得られた重合粒子(トナー粒子)100質量部に対して、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した酸化チタンを2質量部外添してマゼンタトナーNo.2を得た。得られたトナーの物性を表2に示す。
(イエロートナーNo.3)
銅フタロシアニン顔料のかわりにC.I.Pigment Yellow180を使用することを除いてトナーの製造例、シアントナーNo.1と同様にしてイエロー色の重合粒子(トナー粒子)を得た。得られた重合粒子(トナー粒子)100質量部に対して、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した酸化チタンを2質量部外添してイエロートナーNo.3を得た。得られたトナーの物性を表2に示す。
(ブラックトナーNo.4)
銅フタロシアニン顔料のかわりにカーボンブラックを使用することを除いてトナーの製造例、シアントナーNo.1と同様にしてブラック色の重合粒子(トナー粒子)を得た。得られた重合粒子(トナー粒子)100質量部に対して、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処した酸化チタンを2質量部外添してブラックトナーNo.4を得た。得られたトナーの物性を表2に示す。
(シアントナーNo.5)
プロポキシ化ビスフェノールとフマル酸を
縮合して得られたポリエステル樹脂 100質量部
銅フタロシアニン顔料 5質量部
ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物 4質量部
これらをヘンシェルミキサーで十分予備混合を行った後、溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粒径約1〜2mm程度に粗粉砕した。次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。更に、得られた微粉砕物をエルボウジェット分級機を用いて分級し、負帯電性のシアン色の微粉体を得た。
上記微粉体100質量部と、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した酸化チタン微粉体(平均粒径0.02μm)0.8質量部とをヘンシェルミキサーにより混合して、シアントナーNo.5を調製した。得られたトナーの物性を表2に示す。
(マゼンタトナーNo.6)
銅フタロシアニン顔料のかわりにC.I.Pigment Red122を使用することを除いてトナーの製造例のシアントナーNo.5と同様にしてマゼンタ色の微粉体を得た。上記微粉体100質量部と、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した酸化チタン微粉体(平均粒径0.02μm)0.8質量部とをヘンシェルミキサーにより混合して、マゼンタトナーNo.6を調製した。得られたトナーの物性を表2に示す。
(イエロートナーNo.7)
銅フタロシアニン顔料のかわりにC.I.Pigment Yellow177を使用することを除いてトナーの製造例のシアントナーNo.5と同様にしてイエロー色の微粉体を得た。上記微粉体100質量部と、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した酸化チタン微粉体(平均粒径0.02μm)0.8質量部とをヘンシェルミキサーにより混合して、イエロートナーNo.7を調製した。得られたトナーの物性を表2に示す。
(ブラックトナーNo.8)
銅フタロシアニン顔料のかわりにカーボンブラックを使用することを除いてトナーの製造例のシアントナーNo.5と同様にしてブラック色の微粉体を得た。上記微粉体100質量部と、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した酸化チタン微粉体(平均粒径0.02μm)0.8質量部とをヘンシェルミキサーにより混合して、ブラックトナーNo.8を調製した。得られたトナーの物性を表2に示す。
(ブラックトナーNo.9)
ブラックトナーNo.8において、分級条件を変えること以外は全て同様にしてブラックトナー9を得た。この時、トナーの重量平均粒径(D4)は8.2μmであり、個数平均粒径(D1)が5.8μmであり、個数平均粒径の1/2倍径以下の分布累積値が18個数%であり、重量平均粒径の2倍径以上の分布累積値が3.8体積%であった。得られたトナーの物性を表2に示す。
(ブラックトナーNo.10)
ブラックトナーNo.8において、分級条件を変えること以外は全て同様にしてブラックトナー10を得た。この時、トナーの重量平均粒径(D4)は8.5μmであり、個数平均粒径(D1)が6.6μmであり、個数平均粒径の1/2倍径以下の分布累積値が23個数%であり、重量平均粒径の2倍径以上の分布累積値が11.3体積%であった。
上記トナーNo.1〜10の物性を表2に示す。
<実施例1>
上記のトナーNo.1〜4(マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック)をそれぞれ上記のキャリアAとトナー濃度8質量%となるように混合し、4色のフルカラー二成分系現像剤を得た。初期の各トナーの摩擦帯電量は−31.5±1.5(mC/kg)であった。
この現像剤を、キヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC−800(プロセススピード200mm/secに改造したもの)に、図2に示す構成の現像器を用いてフルカラー画像の複写を行った。
この現像部周辺の模式図を図2に示し、これをもって説明する。
ここで、1は矢印方向に回転し、表面にSe,CdS,アモルファスシリコンあるいは有機光導電体の如き感光層を有し、図示していない帯電器、露光装置によって表面に静電潜像を形成させる感光体ドラムである。2は現像剤担持体である現像スリーブである。3は、現像スリーブ2の内部に固定して設けられ複数のN,S磁極を周方向に有するマグネットローラ(磁気ロール)であり、この現像スリーブ2とマグネットローラ3により現像剤を担持し、現像スリーブ2は固定したマグネットローラ3に対して図の矢印方向に回転し、現像剤を搬送する。
マグネットローラ3のN,S磁極は、適当な磁束密度に磁化されており、その磁力によって現像剤よりなる磁気ブラシを形成する。4は磁気ブラシの高さ・量を規制するための規制体であり、5は現像装置のハウジングである。11,12は現像剤を循環させる供給ローラ、6は仕切り板、7は現像剤回収口であり、8は現像領域である。
装置内に補給されたトナーは、矢印方向に回転する供給ローラ11,12によりキャリアと十分撹拌混合されて摩擦帯電が行われると共に、現像スリーブ2に送られる。現像スリーブ2と感光体ドラム1の表面距離を所定の間隔(例えば0.6mm)に設定し、感光体ドラム1の静電潜像を現像する場合、現像スリーブ2の表面に形成された磁気ブラシは、現像スリーブ2の回転に伴って磁束密度の変化により振動しながら現像スリーブ2と共に移動し、現像領域8の間隙を円滑に通過しながら、トナーにより静電潜像を現像する。このとき、現像を好適に行うべく、現像スリーブ2と感光体ドラム1の基体との間にバイアス電圧を印加してもよい。
現像領域8においてトナー成分を消費した現像剤は、キャリアの濃度が高くなった状態でさらに搬送され、再びトナー濃度の高い現像剤と混合される。
上記のような構成の現像器を備えたフルカラー複写機(CLC−800)で複写試験を行なったところ、初期において原稿に極めて忠実な色調のフルカラー画像が得られ、6万枚耐久試験後においてもカブリが0.9%と良好であり、画像濃度、色調の変化のない、初期と同等の良好な画像が得られた。また。画像上のハーフトーン部とベタ部境界での白抜けや掃き寄せを見たところ、初期から6万枚までわずかに認められたが、実用上問題のない良好なレベルであった。
また、低温低湿下(15℃/10%RH)、高温高湿下(32.5℃/85%RH)の各環境下で帯電量測定を行ったが、きわめて環境依存性の少ないものとなり、その環境による帯電量はH/H:−30.2(mC/kg)であり、L/L:−39.2(mC/kg)であり、H/Hに対するL/Lの帯電量の比率は1.30と環境変動が少なく良好であった。また、各環境下で初期の複写画像評価を行なったところ、いずれの環境下でも原稿に忠実なフルカラー画像が得られ、色調や濃度の変動も認められなかった。
結果を表3に示す。
<実施例2〜15>
表1に示すキャリア及び表2に示すトナーを用いて、トナーとキャリアの組合せを表3に示すようにすること以外は、実施例1と同様に評価を行なって、表3に示す結果を得た。
<比較例1>
キャリアMとトナーNo.1〜4(マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック)をそれぞれトナー濃度8質量%となるように混合し、4色のフルカラー二成分系現像剤を得た。初期の各トナーの摩擦帯電量は−52.5±1.5(mC/kg)であった。
この現像剤を、キヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC−800(プロセススピード200mm/secに改造したもの)に用いて実施例1と同様にしてフルカラー画像の複写試験を行なったところ、初期において2.0%のカブリが認められ、また画像濃度が1.45とやや薄いフルカラー画像が得られた。6万枚耐久試験後においてはカブリが4.2%とかなり悪化しており、画像濃度を測定したところ1.68と初期に比べ高くなっていた。また。画像上のハーフトーン部とベタ部境界での白抜けや掃き寄せを見たところ、初期から目立ち、実用上問題のあるレベルであったが、6万枚でさらに悪化していた。
また、低温低湿下(15℃/10%RH)、高温高湿下(32.5℃/85%RH)の各環境下で帯電量測定を行ったが、それぞれの環境による帯電量はH/H:−49.3(mC/kg)であり、L/L:−69.9(mC/kg)であり、H/Hに対するL/Lの帯電量の比率は1.41とやや環境変動が認められた。また、各環境下で初期の複写画像評価を行なったところ、H/H環境下ではフルカラー画像の濃度がやや低く、またL/L環境下では更に画像濃度が低い画像が得られた。またH/H及びL/Lのいずれの環境下でも白抜けがかなり悪いレベルであった。
<比較例2〜5>
表1に示すキャリア及び表2に示すトナーを用いて、トナーとキャリアの組合せを表3に示すようにすること以外は、実施例1と同様に評価を行なって、表3に示す結果を得た。
本実施例及び比較例の結果を表3に示す。
表3中の評価方法、基準は次の通りである。
(1)画像濃度:
画像濃度はSPIフィルターを装着したマクベス社製マクベスカラーチェッカーRD−1255を使用して、普通紙上に形成された画像の相対濃度として測定した。フルカラーの場合、M(マゼンタ)、C(シアン)、Y(イエロー)、B(ブラック)それぞれのベタ画像を測定した。
(2)ライン再現性:
1ライン5スペースの画像サンプルを出力し、得られる画像について、1ラインエッジの画像を観察し、ライン画像外に定着されたトナー粒子の数を数えた。このライン画像外のトナー粒子の数に基づき、以下の5段階の評価を与えた。
A:0〜3個 :(非常に良好)
B:4〜6個 :(良好)
C:7〜10個:(実用上問題なし)
D:11〜15個:(実用上やや難有り)
E:15個以上(実用上難有り)
(3)白抜け
転写紙の搬送方向に対して、ハーフトーン横帯(30H 幅10mm)とベタ黒横帯(FFH 幅10mm)を交互に並べたチャートを出力する。その画像をスキャナで読みとり、二値化処理を行う。二値化画像の搬送方向におけるあるラインの輝度分布(256階調)をとり、そのときのハーフトーンの輝度に接線を引き、ベタ部輝度と交わるまでのハーフトーン部後端の接線からずれた輝度の領域(面積:輝度数の和)をもって、白抜け度とする。
A:50以下 殆ど目立たず、非常に良好である。
B:51乃至150 良好である。
C:151乃至300 白抜けはあるが、実用上問題ないレベルである。
D:301乃至600 白抜けが目立ち、問題である。
E:601以上 非常に目立つ。
(4)カブリ
画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)を東京電色株式会社製デンシトメータTC−6MCによって測定した。一方、普通紙上にベタ白画像を画出しし、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。カブリ(%)は下記式
fog(%)=Dr(%)−Ds(%)
から算出する。
A:1.0(%)未満
B:1.0〜1.5(%)未満
C:1.5〜2.0(%)未満
D:2.0〜3.0(%)未満
E:3.0(%)以上