JP2005215063A - 導電性弾性ロールおよびその製法 - Google Patents

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Yukio Oyama
幸男 大山
Koji Yamaguchi
浩二 山口
Naoaki Sasakihara
直明 笹木原
Mitsuyoshi Kondo
光由 近藤
Masanori Sato
正則 佐藤
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Abstract

【課題】左右両端部からの放電不良やリークを簡単に防止することができる導電性弾性ロールおよびその製法を提供する。
【解決手段】軸体1の外周面に弾性層2が形成され、その弾性層2の外周面に被覆層3が形成されており、上記弾性層2は、左右両端部の外周側部分が体積抵抗率の高い高抵抗部分2aに形成され、それ以外の部分が低抵抗部分2bに形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機,プリンター等の電子写真機器に用いられる現像ロール,帯電ロール,転写ロール等の導電性弾性ロールおよびその製法に関するものである。
複写機,プリンター等の電子写真機器では、感光ドラムに対峙して現像ロール,帯電ロール,転写ロール等の導電性弾性ロールが設けられている。これら導電性弾性ロールは、図11に示すように、軸体11の外周面にゴム等からなる弾性層12が形成され、さらにその弾性層12の外周面に抵抗調整層や保護層等の薄い被覆層13が形成されている。
一般に、上記導電性弾性ロールの外周面の左右両端部(軸方向両端部)Aは、感光ドラムに対する放電不良やリークを防止するために、外径が両端縁に向かって徐々に小さくなるような面取り形状に形成されている。そのように形成するために、通常、被覆層13の形成に先立って、弾性層12の外周面の左右両端部Aは、面取り形状に切削加工される(特許文献1参照)。
特開平7−295331号公報
しかしながら、面取り形状に加工し、被覆層13を形成する場合には、その面取りにより形成される角部A1 で局部的に被覆層13の厚みが薄くなる。このように被覆層13の厚みに薄い部分があると、弾性層12の方が被覆層13よりも電気抵抗が通常低いため、その部分(角部A1 部分)の耐電圧性能が低くなるという問題が発生する。このような場合、その部分(角部A1 部分)に対する塗工回数を増やして、被覆層13の厚みを厚くする必要がある。ところが、このようにする場合には、作業が煩雑で工程が長くなるという難点がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、左右両端部からの放電不良やリークを簡単に防止することができる導電性弾性ロールおよびその製法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、軸体と、この軸体の外周面に形成された弾性層と、この弾性層の外周面に形成された被覆層とを有する導電性弾性ロールであって、上記弾性層の左右両端部の、少なくとも表層部分の体積抵抗率が、それらの間の中間部の体積抵抗率よりも高く設定されている導電性弾性ロールを第1の要旨とする。
また、本発明は、円筒状型とこの円筒状型の両端を閉塞するキャップ型とからなる成形金型を準備する工程と、上記円筒状型の両端を上記キャップ型で閉塞するとともに、軸体を上記円筒状型内に同軸的に位置決めする工程と、上記軸体と円筒状型とキャップ型とで囲まれる成形キャビティ内に弾性層の形成材料を充填した後、成形することにより、軸体の外周面に弾性層を形成する工程と、脱型後、その弾性層の外周面に被覆層を形成する工程とを備えた上記導電性弾性ロールの製法であって、上記弾性層の形成材料を充填する工程が、上記成形キャビティの左右両端部に、上記弾性層の左右両端部の少なくとも表層部分を形成する第1の材料を位置決めし、その状態で上記成形キャビティ内に、上記第1の材料よりも体積抵抗率が低い第2の材料を充填することにより行われる導電性弾性ロールの製法を第2の要旨とする。
すなわち、本発明の導電性弾性ロールは、弾性層の左右両端部の、少なくとも表層部分の体積抵抗率が、それらの間の中間部の体積抵抗率よりも高く設定されていることにより、導電性弾性ロール内を流れる電流は、体積抵抗率が高い左右両端部の表層部分に流れ難くなっている。このため、左右両端部からの放電不良やリークを防止することができる。したがって、従来、上記放電不良やリークを防止するために、外径が両端縁に向かって徐々に小さくなるよう、弾性層の外周面の左右両端部を面取り形状に切削加工していたが、その必要がなくなる。また、上記面取り形状にし、その角部で被覆層の厚みが局部的に薄くなったとしても、左右両端部の表層部分には電流が流れ難くなっているため、上記放電不良やリークは起こらない。したがって、角部に対する被覆部材の塗工回数を増やす必要もなくなり、作業が簡素化される。
また、本発明の導電性弾性ロールの製法では、弾性層の形成材料を充填する工程が、成形キャビティの左右両端部に、上記弾性層の左右両端部の少なくとも表層部分を形成する第1の材料を位置決めし、その状態で上記成形キャビティ内に、上記第1の材料よりも体積抵抗率が低い第2の材料を充填することにより行われる。このため、第2の材料が充満してくると、上記第1の材料が成形キャビティの左右両端部に押されるよう自動的に位置決めされる。その結果、本発明の上記導電性弾性ロールを精度よく作製することができる。
本発明の導電性弾性ロールは、弾性層の左右両端部の、少なくとも表層部分の体積抵抗率が、それらの間の中間部の体積抵抗率よりも高く設定されているため、導電性弾性ロール内を流れる電流は、体積抵抗率が高い左右両端部の表層部分に流れ難くなり、左右両端部からの放電不良やリークを防止することができる。これにより、上記放電不良やリークを防止するために従来行っていた対策(弾性層の面取り加工や被覆層形成材料の塗工回数の増加)を施すことなく簡単に、上記放電不良やリークを防止することができる。
特に、上記弾性層の左右両端部の、少なくとも表層部分の硬度が、それらの間の中間部の硬度よりも低く設定されている場合には、導電性弾性ロールが感光ドラムと当接した際に、導電性弾性ロールの左右両端部が中間部よりも変形し易くなっているため、その左右両端部にかかる接触圧力が緩和され、その左右両端部の耐摩耗性が向上する。
また、本発明の導電性弾性ロールの製法によれば、弾性層の形成材料を充填する工程が、成形キャビティの左右両端部に、上記弾性層の左右両端部の少なくとも表層部分を形成する第1の材料を位置決めし、その状態で上記成形キャビティ内に、上記第1の材料よりも体積抵抗率が低い第2の材料を充填することにより行われるため、上記弾性層の左右両端部の、少なくとも表層部分の体積抵抗率が、それらの間の中間部の体積抵抗率よりも高く設定されている、本発明の上記導電性弾性ロールを作製することができる。
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
図1は、本発明の導電性弾性ロールの一実施の形態を示している。図1では、それの一端側を図示している。なお、他端側も同様である。この導電性弾性ロールは、軸体1の外周面に弾性層2が形成され、その弾性層2の外周面に被覆層3が形成されており、上記弾性層2は、左右両端部の表層部分の方がそれ以外の部分よりも、体積抵抗率が高く設定されている。また、この実施の形態では、体積抵抗率が高い上記弾性層2の左右両端部の表層部分(以下、「高抵抗部分2a」という)が面取りされており、その面取り部分にも上記被覆層3が形成されている。
このようにすることにより、導電性弾性ロール内を流れる電流は、左右両端部の上記高抵抗部分2aに流れ難くなり、左右両端部からの放電不良やリークが防止される。このように、左右両端部の上記高抵抗部分2aに電流が流れ難くしているため、面取りにより形成される角部A1 で局部的に被覆層3の厚みが薄くなったとしても、その部分に電流が回り込むことがなく、上記放電不良やリークは防止される。したがって、被覆層3の厚みが薄い部分を厚くするために塗工回数を増やす必要がない。
より詳しく説明すると、上記弾性層2において、左右両端部の高抵抗部分2aとそれ以外の部分(以下、「低抵抗部分2b」という)との形成材料2a1 ,2b1 (図3〜図8参照)は、後で説明するように、従来から弾性層2の形成材料として用いられていたものが用いられる。なかでも、高抵抗部分2aと低抵抗部分2bとのなじみがよくなる観点から、両者の主材料は同種類であることが好ましい。そして、両者の体積抵抗率の高低差の設定は、上記形成材料2a1 ,2b1 に含有させる導電剤等の量を調整することにより行うことができる(導電剤等の量を少なくするにつれて、体積抵抗率は高くなる)。その体積抵抗率の高低差は、少しでもあればよいが、上記放電不良やリークの防止をより確実にする観点から、1.5桁以上であることが好ましく、より好ましくは2桁以上である。なお、高抵抗部分2aおよび低抵抗部分2bの各体積抵抗率の測定は、例えば、それぞれの成形材料を用いて弾性層2の成形条件(温度や時間)で所定厚み(5〜10mm程度)のシートをそれぞれ作製し、各シートの体積抵抗率を測定することにより行うことができる。
さらに、上記高抵抗部分2aが形成される範囲は、その部分に電流が流れ難くなっていることから、通常、感光ドラムにおける現像領域の外に対応する部分に設定される。
なお、体積抵抗率の高低差の設定は、上記のように、主材料を同一にして導電剤等の量を調節して行う外、主材料自体を体積抵抗率の異なるものを用いて行ってもよい。
つぎに、本発明の導電性弾性ロールの形成材料について説明する。
上記軸体1,弾性層2,および被覆層3としては、通常に用いられているものが用いられ、特に限定されるものではない。
すなわち、上記軸体1は、中実でも中空でもよく、その形成材料としては、例えば、鉄,鉄にめっきを施したもの,ステンレス,アルミニウム等があげられる。そして、上記軸体1の外周面には、必要に応じて、接着剤やプライマー等を塗布してもよい。さらに、上記接着剤やプライマー等は、必要に応じて、導電化してもよい。
上記弾性層2の高抵抗部分2aおよび低抵抗部分2bの形成材料としては、下記の主材料に、カーボンブラックや金属粉等の導電剤が含有されているものが用いられる。すなわち、その主材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、シリコーンゴム,ポリウレタン系エラストマー,エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM),スチレン−ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR),水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR),クロロプレンゴム(CR)等があげられ、通常、それ自体もしくは溶剤により、液状で使用される。なかでも、低硬度でへたりが少ないという点から、シリコーンゴムを用いることが好ましい。また、必要に応じて、シリコーンオイル,加硫剤,加硫促進剤,滑剤,助剤等を適宜に添加してもよい。そして、上記弾性層2の厚みは、特に限定されないが、通常、0.5〜5mm程度に設定される。
上記被覆層3の形成材料としては、下記の主材料に前記導電剤が含有されているものが用いられる。すなわち、その主材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(水素化ニトリルゴム:H−NBR),アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム:NBR),ポリウレタン系エラストマー,クロロプレンゴム(CR),天然ゴム,ブタジエンゴム(BR),アクリルゴム(ACM),イソプレンゴム(IR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR),ヒドリンゴム(ECO,CO),ウレタンゴム,フッ素ゴム等があげられ、通常、液状で使用される。なかでも、接着性およびコーティング液の安定性の点から、H−NBRが特に好ましい。そして、上記被覆層3は、単層でもよいし、材料が異なるようにして複数層からなるものにしてもよく、各層の厚みは、特に限定されないが、通常、3〜50μm程度に設定される。
つぎに、上記導電性弾性ロールの製造方法について説明する。まず、軸体1の外周面に弾性層2を形成するための成形金型を準備する。この成形金型は、図2に示すように、円筒状型4と、この円筒状型4の左右両端を閉塞する2個のキャップ型5とからなっている(図2では、一端側を図示。他端側も同様。)。上記キャップ型5は、上記円筒状型4に取り付けた状態で上記円筒状型4の端部開口を蓋する円板状の蓋部5aと、上記円筒状型4の端部開口に嵌挿する略円柱状の嵌合部5bとを有している。そして、この嵌合部5bの内側端面に、軸体1を同軸的に支持するため、軸体1の端部を嵌合する軸体支持穴部5cが形成されている。この軸体支持穴部5cの内周面には、図2および図3に示すように、軸方向に注入路6bが形成され、その外側端部は注入路6aと連絡している。すなわち、注入路6aは、キャップ型5の外表面の中心から内部に向かって延び、上記軸体支持穴部5cの端面で、複数(図2では4本)の溝からなる注入路6bと連結している。
このような成形金型を準備した後、まず、図3に示すように、両キャップ型5の嵌合部5bの内側端面に、弾性層2(図1参照)の高抵抗部分2aの形成材料(第1の液状ゴム材料)2a1 を、軸体支持穴部5cに沿って略ドーナツ状に盛り付ける。このとき、上記注入路6bの出口は、上記高抵抗部分2aの形成材料2a1 でやむなく塞がれる。その後の工程は、従来と同様にして行われる。すなわち、図4に示すように、まず、上記円筒状型4に軸体1を挿入し、その円筒状型4の左右両端開口をそれぞれ上記キャップ型5で閉塞する。このとき、軸体1の左右両端部はそれぞれキャップ型5に形成された軸体支持穴部5cに嵌合し、軸体1が同軸的に位置決めされる。それと同時に、上記高抵抗部分2a(図1参照)の形成材料2a1 は、成形キャビティ(上記成形金型内の、軸体1と円筒状型4とキャップ型5とで囲まれる空間)内の左右両端部の所定の位置に位置決めされる。また、この状態では、図示のように、上記注入路6bの長手方向に沿う開口面が、軸体1の外周面で塞がれ孔状路に形成される。
ついで、図5に示すように、弾性層2(図1参照)の低抵抗部分2bの形成材料(第2の液状ゴム材料)2b1 を、左右の両キャップ型5に形成された上記注入路6a,6bから圧入する。このとき、その圧入圧力で、注入路6bの出口を塞いでいた形成材料2a1 の部分が吹き飛ばされ、上記低抵抗部分2bの形成材料2b1 が成形キャビティ内に充填される。そして、上記低抵抗部分2bの形成材料2b1 が充填されるに従い、それに押されて上記高抵抗部分2aの形成材料2a1 は徐々に外側に、かつ拡がって移動し、上記低抵抗部分2bの形成材料2b1 が成形キャビティ内に充満すると、図6に示すように、上記高抵抗部分2aの形成材料2a1 が成形キャビティの左右両端部の適正位置〔弾性層2の表層部分の位置〕に位置決めされる。
そして、その状態で全体をオーブン内に入れて加熱成形した後、キャップ型5を外し、軸体1の外周に弾性層2が形成されたロール体を円筒状型4から取り出す。つぎに、そのロール体の弾性層2の左右両端部の高抵抗部分2aを面取りした後、ロールコーティング法,スプレーコーティング法,ディッピング法等により、弾性層2の外周面に被覆層3を塗工等で形成する。このようにして、図1に示す導電性弾性ロールを作製することができる。
また、他の製法により上記導電性弾性ロールを作製してもよい。すなわち、上記の成形金型を準備した後、まず、上記と同様にして、上記円筒状型4に軸体1を挿入し、円筒状型4の左右両端開口をそれぞれ上記キャップ型5で閉塞することにより、軸体1を同軸的に位置決めする。ついで、図7に示すように、弾性層2の高抵抗部分2aの形成材料(第1の液状ゴム材料)2a1 を所定量、両キャップ型5に形成された上記注入路6aから注入する。これにより、上記高抵抗部分2aの形成材料2a1 は、成形キャビティの左右両端部に位置決めされる。このとき、上記高抵抗部分2aの形成材料2a1 は、重力により垂れるため、全体を軸体1と同軸的にゆっくり回転させることが好ましい。この回転により、上記高抵抗部分2aの形成材料2a1 がキャップ型5の内面や円筒状型4の内周面に付着するようになる。したがって、つぎの低抵抗部分2bの形成材料(第2の液状ゴム材料)2b1 の圧入の際に、その圧入圧力で、上記高抵抗部分2aの形成材料2a1 が吹き飛ばされることなく、成形キャビティの左右両端部に位置決め保持される。それ以降は、上記の製法と同様にして行い、図8を経て目的とする導電性弾性ロールを作製することができる。
なお、上記導電性弾性ロールの製法は、上記に限定されるものではない。例えば、上記成形金型の円筒状型として、その周側壁に注入孔を穿孔形成したものを準備し、上記のように、高抵抗部分2aの形成材料2a1 を成形キャビティの左右両端部に位置決めした後、上記円筒状型の注入孔から上記低抵抗部分2bの形成材料2b1 を注入するようにしてもよい(図示せず)。
さらに他の製法としては、高抵抗部分2aを予め別部材として略ドーナツ状のものを作製しておき、それをキャップ型5の内面に、上記軸体1と同軸的に配設し、それらキャップ型5で円筒状型4の左右両端開口をそれぞれ閉塞した後、上記低抵抗部分2bの形成材料2b1 を注入するようにしてもよい(図示せず)。この製法でも、上記と同様に、左右両端部からの放電不良やリークが防止される。
図9は、本発明の導電性弾性ロールの他の実施の形態を示している。この実施の形態の導電性弾性ロールは、体積抵抗率が高い上記弾性層2の左右両端部の高抵抗部分2aが面取りされていないものである。それ以外の部分は、上記実施の形態と同様であり、同様の部分には、同じ符号を付している。
この実施の形態でも、導電性弾性ロール内を流れる電流は、左右両端部の上記高抵抗部分2aに流れ難くなり、左右両端部からの放電不良やリークが防止される。したがって、上記放電不良やリークを防止するために従来行っていた面取り加工の必要がない。
なお、上記各実施の形態において、弾性層2の高抵抗部分2aと低抵抗部分2bとの硬度については、特に限定されないが、左右両端部の高抵抗部分2aの硬度の方が低いことが好ましい。それは、つぎの理由による。すなわち、上記弾性層2の形成において、脱型後は、一般に、残留応力(収縮応力)により、弾性層2の左右両端近傍が拡径する傾向にある。また、左右両端角部を面取りした場合も、その切断面は張力が消失し、拡径する傾向にある。このため、導電性弾性ロールの両端近傍では、拡径部と感光ドラムとの接触圧力が高くなり、両端近傍の摩耗の原因となる。このような現象は、導電性弾性ロールの軸体1の両端部にかかる荷重により、導電性弾性ロール全体がアーチ状に撓んで、アーチの両端近傍が感光ドラムと高い接触圧力で当接する場合も起こり得る。そこで、このように接触圧力が高くなる場合には、弾性層2の左右両端部の高抵抗部分2aの硬度を低くすると、上記両端近傍の高い接触圧力が緩和され、両端近傍の摩耗を防止することができるようになる。具体的には、低抵抗部分2bの硬度がJIS−A硬度10〜50度程度の範囲に設定され、高抵抗部分2aの硬度はそれよりもJIS−A硬度3〜20度程度低く設定されることが好ましい。高抵抗部分2aと低抵抗部分2bとで硬度が異なるように設定する方法としては、形成材料2a1 ,2b1 の主材料の種類を変えることが行われる。
また、上記各実施の形態では、円筒状型4として、直円筒のものを用いているが、それに限らない。すなわち、ここで、上記円筒状型4としては、弾性層2を、軸方向の中央が大径で両端に向かって徐々に小径となるクラウン形状、それとは逆の逆クラウン形状に形成するため、内部がそれらに対応する型面形状に形成されているものが用いられる。
つぎに、実施例について従来例と併せて説明する。
〔実施例1〕
図1に示す導電性弾性ロール〔面取り(C1:45°×1mm)有り〕を、図2に示す成形金型を用いて作製した。すなわち、軸体として直径8mmの鉄製の中実円柱状のものを準備した。弾性層は、厚み4mm、軸方向の長さ250mmに形成し、その形成材料として下記のものを準備した。また、被覆層は、厚み10μmに形成し、その形成材料として下記のものを準備した。
〔弾性層の高抵抗部分の形成材料〕
液状シリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1940−30A/B:導電剤無配合)100重量部に対して、導電剤配合の液状シリコーンゴム(信越化学工業社製、X−34−264A/B)43重量部をプラネタリーミキサーを用いて混練することにより、弾性層の高抵抗部分の形成材料を調製した。また、この形成材料を用いて下記の成形条件(190℃×30分間)で、厚み5mmのシート材を作製し、そのシート材の体積抵抗率を測定した。その結果、その体積抵抗率は、1.0×109 Ω・cmであった。
〔弾性層の低抵抗部分の形成材料〕
導電剤配合の液状シリコーンゴム(信越化学工業社製、X−34−264A/B)を弾性層の低抵抗部分の形成材料に用いた。また、この形成材料を用いて下記の成形条件(190℃×30分間)で、厚み5mmのシート材を作製し、そのシート材の体積抵抗率を測定した。その結果、その体積抵抗率は、1.0×105 Ω・cmであった。
〔被覆層の形成材料〕
H−NBR(ゼットポール0020、日本ゼオン社製)100重量部に対して、ステアリン酸0.5重量部,亜鉛華(ZnO)5重量部,カーボンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)15重量部,加硫促進剤(BZ)1重量部,加硫促進剤(CZ)2重量部,硫黄1重量部をボールミルを用いて混練した後、MEK400重量部を加えて混合,攪拌することにより、被覆層の形成材料を調製した。
〔ロール体の作製〕
上記実施の形態と同様にして、まず、上記成形金型の両キャップ型の嵌合部の内側端面に、弾性層の高抵抗部分の形成材料をそれぞれ0.9gずつ略ドーナツ状に盛り付ける。そして、上記成形金型の円筒状型に軸体を挿入し、その円筒状型の左右両端開口をそれぞれ上記キャップ型で閉塞することにより、上記軸体を同軸的に位置決めする。ついで、弾性層の低抵抗部分の形成材料を、両キャップ型に形成された上記注入路から圧入し、成形キャビティ内に充填する。これにより、上記高抵抗部分の形成材料を成形キャビティの左右両端部の適正位置に位置決めする。そして、この状態でオーブン内に入れて加熱成形(190℃×30分間)し、脱型後、弾性層の外周面の左右両端縁を面取りした。このようにして、軸体の外周面に弾性層が形成されたロール体を得た。このロール体の高抵抗部分は、外周面においては、弾性層の左右両端面からそれぞれ8mmまでの範囲に形成されており、両端面においては、弾性層の外周面から平均厚み(深み)2.6mmに形成されていた。
〔被覆層の形成〕
上記ロール体の外周面に、被覆層の形成材料をロールコーティング法により塗工した後、乾燥させ、被覆層を形成した。これにより、図1に示す導電性弾性ロールを得た。
〔実施例2〕
図9に示す導電性弾性ロール(面取り無し)を作製した。このものは、上記実施例1において、面取りをしなかったものである。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
〔従来例1〕
図11に示す導電性弾性ロール〔面取り(C1:45°×1mm)有り〕を作製した。このものは、上記実施例1において、弾性層を低抵抗部分の形成材料のみで形成した。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
〔耐電圧性能の評価〕
このようにして得られた実施例1,2および従来例1の導電性弾性ロールR1 の耐電圧性能を知るために、つぎのようなことを行った。すなわち、図10に示すように、金属製ロールR2 (直径30mmで、その直径30mm部分の軸方向の長さが導電性弾性ロールR1 の弾性層のそれよりも長い)の外周面に、上記導電性弾性ロールR1 を平行に当接させ、その導電性弾性ロールR1 の軸体1(実施例1,2),軸体11(従来例1)の両端部にそれぞれ7Nの荷重Lを上記金属製ロールR2 の軸体21の方向にかけた。この状態で、金属製ロールR2 を回転させる(30rpm)ことにより上記導電性弾性ロールR1 を従動させながら、耐久試験機(菊水社製、Tos5051)Mを使用して導電性弾性ロールR1 の軸体1,11と上記金属製ロールR2 の軸体21との間に直流電圧を印加した。そして、被覆層が破壊したときの電圧(耐電圧)を測定した。その結果を下記の表1に併せて表記した。
上記表1の結果より、実施例1,2の導電性弾性ロールの耐電圧が0.7kV、従来例1のそれが0.3kVであったことから、実施例1,2の導電性弾性ロールは、耐電圧性能が高く、従来例1の導電性弾性ロールは、耐電圧性能が低いことがわかる。なお、破壊した被覆層の位置は、実施例1,2では、高抵抗部分と低抵抗部分との境目であり、従来例1では、面取りの角部(図11の角部A1 )であった。
本発明の導電性弾性ロールの一実施の形態を示す要部断面図である。 上記導電性弾性ロールの作製に用いる金型を示す説明図である。 上記導電性弾性ロールの製法を示す説明図である。 上記製法を示す説明図である。 上記製法を示す説明図である。 上記製法を示す説明図である。 上記導電性弾性ロールの他の製法を示す説明図である。 上記他の製法を示す説明図である。 本発明の導電性弾性ロールの他の実施の形態を示す要部断面図である。 導電性弾性ロールの耐電圧を測定する方法を示す説明図である。 従来の導電性弾性ロールを示す要部断面図である。
符号の説明
1 軸体
2 弾性層
2a 高抵抗部分
2b 低抵抗部分
3 被覆層

Claims (6)

  1. 軸体と、この軸体の外周面に形成された弾性層と、この弾性層の外周面に形成された被覆層とを有する導電性弾性ロールであって、上記弾性層の左右両端部の、少なくとも表層部分の体積抵抗率が、それらの間の中間部の体積抵抗率よりも高く設定されていることを特徴とする導電性弾性ロール。
  2. 上記弾性層の左右両端部の、少なくとも表層部分の体積抵抗率が高く設定されていることが、上記左右両端部を、体積抵抗率の高い別部材で構成することにより実現されている請求項1記載の導電性弾性ロール。
  3. 上記弾性層の左右両端部の、少なくとも表層部分の硬度が、それらの間の中間部の硬度よりも低く設定されている請求項1または2記載の導電性弾性ロール。
  4. 円筒状型とこの円筒状型の両端を閉塞するキャップ型とからなる成形金型を準備する工程と、上記円筒状型の両端を上記キャップ型で閉塞するとともに、軸体を上記円筒状型内に同軸的に位置決めする工程と、上記軸体と円筒状型とキャップ型とで囲まれる成形キャビティ内に弾性層の形成材料を充填した後、成形することにより、軸体の外周面に弾性層を形成する工程と、脱型後、その弾性層の外周面に被覆層を形成する工程とを備えた、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性弾性ロールの製法であって、上記弾性層の形成材料を充填する工程が、上記成形キャビティの左右両端部に、上記弾性層の左右両端部の少なくとも表層部分を形成する第1の材料を位置決めし、その状態で上記成形キャビティ内に、上記第1の材料よりも体積抵抗率が低い第2の材料を充填することにより行われることを特徴とする導電性弾性ロールの製法。
  5. 上記成形キャビティの左右両端部に対する第1の材料の位置決めが、上記キャップ型による円筒状型の閉塞に先立って、上記キャップ型の内面に上記第1の材料を上記軸体と同軸的に環状に配設することにより行われる請求項4記載の導電性弾性ロールの製法。
  6. 上記成形キャビティの左右両端部に対する第1の材料の位置決めが、上記キャップ型として、上記成形金型の外側から上記軸体の左右両端部の外周面部分に対応する位置まで延びる注入路が形成されたものを用い、上記キャップ型による円筒状型の閉塞後に、上記キャップ型に形成した注入路から、上記第1の材料を注入することにより行われる請求項4記載の導電性弾性ロールの製法。
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