JP2005214708A - 到来方向及び位置の推定方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、複数のサイトに複数個ずつ配置されたブランチに共通の送信端から波動信号が到来する方向またはこの送信端の位置を推定する方法に関し、これらのブランチの全てを有効に活用することによって、精度および効率を高めることを目的とする。
【解決手段】 複数のサイトに個別に設置された複数のブランチに共通の送信端から到来した波動信号の集合を示すベクトルを求め、これらの複数のブランチ毎に、実際にその送信端から到来した波動信号の位相に付帯し、かつこれらのブランチの配置とこの送信端が位置し得る個々の方向とに対して定まる誤差を是正する処理を上述したベクトルに施すことによって補正ベクトルを求め、送信端が位置し得る方向の内、これらの複数のブランチの全てに送信端から到来すべき波動信号の集合を示す補正モードベクトルと、補正ベクトルとの相関が最大となる方向として、送信端の方位を推定することによって構成される。
【選択図】 図1
Description
また、このようなアルゴリズムに基づいて上記の到来方向を推定する装置は、後述する非特許文献1に掲載され、例えば、図4に示す空中線系として構成される。
ここに、図4に示す空中線系は、下記の要素から構成される。
・ 複数Mのサイト10-1〜10-Mにそれぞれ配置されたアレーアンテナ11-1〜11-M(複数Nのアンテナ素子12-11〜12-1N、…、12-M1〜12-MNの列としてそれぞれ構成され、これらのアンテナ素子12-11〜12-1N、…、12-M1〜12-MNは、何れのアレーアンテナ11-1〜11-Mにおいても共通の間隔dで直線状に配置される。)
・ これらのサイト10-1〜10-Mにおいて、アンテナ素子12-11〜12-1N、…、12-M1〜12-MNの給電点にそれぞれ接続された信号処理回路13-1〜13-M
以下、アレーアンテナ11-1〜11-Mに共通の事項にかかわる記述では、添え番号「1」から「M」の何れにも該当し得ることを意味する添え文字「c」を該当する符号に付与する。
r=[a a・ejφ … a・ej(N-1)φ]T ・・・(1)
信号処理回路13-cは、例えば、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)アルゴリズムに基づいて下記の処理を行うことによって、上記の到来方向を推定する。
・ この到来方向がとり得る範囲(ここでは、簡単のため、マイナス90度ないしプラス90度の何れかに等しい方位角θで表されると仮定する。)を規定の精度(例えば、1度毎)でスキャンする。
・ そのスキャンの下で適宜仮定される方位角θの方向からアンテナ素子12-c1 〜12-cN に到来するべき到来波の方向ベクトル(これらの到来波を示すモードベクトルの全ての成分の振幅成分が「1」に正規化されることによって得られる。)a(θ)と、アレーアンテナ11-cに到来している到来波の数Lと、このアレーアンテナ11-cのアンテナ素子の数K(=N)とに併せて、上述したベクトルrに含まれる熱雑音の成分の固有値EN(≡[eL+1,…,eK])に対して下式(2) で示されるMUSICスペクトラムPMU(θ)を一括して求める。
・ このようにして求められたMUSICスペクトラムPMU(θ)が最大となる方位角θで示される方位を到来方向として推定する。
「アレーアンテナによる適応信号処理」、第173ページないし第268ページ、科学技術出版社 http://www.mobile.ss.titech.ac.jp/mobile/seminar/ohp-011015_hungchin.pdf http://www.cybernet.co.jp/matlab/support/3vent/conf97/tsuji.pdf http://maxwell.elcom.nitech.ac.jp/~kikuma/source.html
本発明は、ハードウエアの構成が複雑化することなく、多様な異なる位置に個別に設置されたブランチの全てを有効に活用することによって、これらのブランチに到来した波動信号の送信端の方位または位置を求めることができる到来方向及び位置の推定方法を提供することを目的とする。
したがって、送信端の方位の推定は、これらの複数のサイトに個別に設置された複数のブランチが単一の「ブランチの集合」として機能することによって、安価に実現され、しかも、その推定の基準となる個々のサイトの位置やブランチの配置の多様な設定が可能となる。
したがって、送信端の方位の推定は、精度が低下することなく効率的に実現され、しかも、その推定に要する処理および記憶領域その他の資源の削減が図られる。
したがって、送信端の位置の推定は、これらの複数のサイトに個別に設置された複数のブランチが単一の「ブランチの集合」として機能することによって、安価に実現され、しかも、その推定の基準となる個々のサイトの位置やブランチの配置の多様な設定が可能となる。
したがって、送信端の位置の推定は、精度が低下することなく効率的に実現され、しかも、その推定に要する処理および記憶領域その他の資源の削減が図られる。
請求項2に記載の発明では、精度が低下することなく送信端の方位の推定が効率的に実現され、しかも、その推定に要する処理および記憶領域その他の資源の削減が図られる。
請求項4に記載の発明では、精度が低下することなく送信端の位置の推定が効率的に実現され、しかも、その推定に要する処理および記憶領域その他の資源の削減が図られる。
以下に示す各実施形態の特徴は信号処理回路13-cによって行われる処理の手順にあり、これらの実施形態のハードウエアの構成は基本的に図4に示す従来例と同じである。
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一および第二の実施形態の動作フローチャートである。
信号処理回路13-cの主記憶の特定の記憶領域には、図2に示すように、サイト10-1〜10-M(アレーアンテナ11-1〜11-M)に到来波が到来し得る方向を示す方位角θ(ここでは、マイナス90度ないしプラス90度の範囲を±1度の精度で示すと仮定する。)に個別に対応した面を有し、これらの面に、「サイト10-1〜10-M(アレーアンテナ11-1〜11-M)に対応し、かつ下記の2つのフィールドから構成されるレコード」の列を含む位相補正レジスタ13R-cが予め配置される。
・ 対応するサイト(アレーアンテナ)を示すユニークな識別子(ここでは、該当するサイトまたはアレーアンテナの符号に付加された添え番号に等しいと仮定する。)が予め格納された「識別子」フィールド
・ 該当する面に対応した方位角の方向から対応するサイト(アレーアンテナ)に到来波が到来した場合に、他のサイト(アレーアンテナ)に到来したその到来波がこれらのサイトで非同期にサンプリングされるためにこの到来波の位相に付帯し、かつ補正されるべき誤差(以下、「位相補正値」という。)φc が予め格納された「位相補正値」フィールド
なお、このような位相補正値は、サイト10-1〜10-M(アレーアンテナ11-1〜11-M)の地理的な配置(置局条件)と、上述した方位角がとり得る個々の値とに基づいて一義的に定まり、かつ予め算出される。
r=[a1 a1・ejφ1 … a1・ej(N-1)φ1
・・・aM aM・ejφM … aM・ej(N-1)φM]T ・・・(3)
また、サイト10-1〜10-Mでは、アレーアンテナ11-1〜11-Mにそれぞれ到来した到来波が非同期にサンプリングされるために、これらのアレーアンテナ11-1〜11-Mに個別にN個ずつ備えられたアンテナ素子12-11〜12-1N、…、12-M1 〜12-MN にこの到来波が到来すべき方向を示す方向ベクトルaも、これらのアンテナ素子12-11 〜12-1N 、…、12-M1〜12-MN毎に異なり、かつ上式(3) と準じた下式(4) で示される。
a=[α1 α1・ejφ1 … α1・ej(N-1)φ1
・・・αM αM・ejφM … αM・ej(N-1)φM]T ・・・(4)
ここに、φ1〜φMは、位相補正レジスタ13R-cの「位相補正値」フィールドの値として与えられる位相補正値である。
さらに、これらの信号処理回路13-1〜13-Mの内、特定の信号処理回路13-Sは、例えば、図示されない通信リンクを介して他の全ての信号処理回路によって非同期にサンプリングされた到来波の振幅および位相を収集し(図1(1))、これらの振幅および位相と、自局で同様にサンプリングされた到来波の振幅および位相との集合として、上式(3) に相当するベクトルract を取得する(図1(2))。
・ 位相補正レジスタ13R-cの面の内、該当する方位角θに対応した面にサイト10-1〜10-M毎に予め格納された「位相補正値」フィールドの値ψ1〜ψMを求め(図1(3))、これらの値ψ1〜ψMに対して上式(4) の右辺および下式(5) で示される方向ベクトルaact と補正行列Qとを特定する(図1(4)、(5))。
ract′=ract・Q ・・・(6)
aact′=aact・Q ・・・(7)
・ これらの補正ベクトルract′ および補正方向ベクトルaact′ と、アレーアンテナ11-cに到来している到来波の数Lと、アンテナ素子の数K(=N)とに併せて、補正ベクトルract′ に含まれる熱雑音の成分の固有値EN′(≡[eL+1,…,eK])に対して下式(8) で示されるMUSICスペクトラムPMU(θ)を求める(図1(7))。
なお、本実施形態では、補正方向ベクトルaact′ は、上式(6) に示すように、既述の方向ベクトルaact と補正行列Qとの積として求められている。
[第二の実施形態]
以下、図2および図4を参照して本発明の第二の実施形態の動作を説明する。
上述した補正ベクトルr′の相関行列RXX(=r′・r′H)は、既述の補正行列Qと、ベクトルrとに対して、一般に、下式(9) で表わされる。
RXX=(Qr)(Qr)H=Q(rrH)QH=QRXX0QH ・・・(9)
(ただし、RXX0 はベクトルrの相関行列)
また、このような相関行列RXX0 は、補正行列Qの如何にかかわらず成立する恒等式QQH=QHQ=1がこの式(9) に適用されることによって、上式(9) で示される相関行列RXXに対して、下式(10)で表わされる。
RXX0 =QHRXXQ ・・・(10)
さらに、上式(10)は、相関行列RXX0 の固有ベクトルの1つであるu0 が両辺に乗じられることによって、下式(11)に変形可能である。
RXX0u0=QHRXXQu0=λ0u0 ・・・(11)
また、上式(11)の第二の辺および第三の辺のみから構成される等式は、下式(12)に変形可能である。
RXX(Qu0)=λ0(Qu0) ・・・(12)
したがって、相関行列RXXの固有ベクトルuは、上式(12)の括弧内の項Qu0 に該当する。
|(Qa)H(Qu0)|2=0 ・・・(13)
また、上式(13)は、下式(14)に変形可能であり、さらに、上記の恒等式が適用されることによって下式(15)に等価となる。
|aHQHQu0|2=0 ・・・(14)
|aHu0|2=0 ・・・(15)
すなわち、方位角θは、補正行列Qが適用されることなく、かつ補正ベクトルr′および補正方向ベクトルa′に代えてそれぞれ既述のベクトルrおよび方向ベクトルaが適用されることによって、同様に求められる。
・ 補正行列Qを特定する処理(図1(4))
・ 上式(6)、(7)で示される補正ベクトルract′ および補正方向ベクトルaact′ を求める処理(図1(6))
[第三の実施形態]
図3は、本発明の第三の実施形態の動作フローチャートである。
以下、図2ないし図4を参照して本発明の第三の実施形態の動作を説明する。
本実施形態では、位相補正レジスタ13R-cは、図2に括弧書きされるように、サイト10-1〜10-M(アレーアンテナ11-1〜11-M)に到来波が到来し得る方向を示す方位角θではなく、その到来波の送信端が位置し得る異なる地点の座標(ここでは、直交座標として与えられると仮定する。)毎に対応した面を有する。
また、この「位相補正値」フィールドに予め格納される位相補正値は、サイト10-1〜10-M(アレーアンテナ11-1〜11-M)の地理的な配置(置局条件)と上述した座標の仮定値とに基づいて一義的に定まり、かつ予め算出される。
・ MUSICスペクトラムPMU(θ)については、到来波の到来方向がとり得る方位角ではなく、その到来波の送信端が位置し得る地点の座標を上述した位相補正レジスタ13R-cの面に対応した座標に順次設定し、その位相補正レジスタ13R-cの該当する面を適宜参照することによって、個々の面(座標)毎に順次求める(図3(A))。
・ このようにして全ての面(座標)に対応したMUSICスペクトラムPMU(θ)が求められると、これらの座標の内、求められたMUSICスペクトラムPMU(θ)の値の降順に対応するL(既述の到来波の数に等しい。)個の座標で個別に示される地点を既述の送信端の位置として推定する(図3(B))。
なお、上述した各実施形態では、到来波が到来した方向を示す方位角θまたはその到来波の送信端が位置する地点の座標を推定する処理は、これらの方位角θまたは座標のとり得る全ての値に対応したMUSICスペクトラムが一括して求められた後に、これらの求められたMUSICスペクトラムの内、値が最大であるMUSICスペクトラムに対応する方位角または座標を得る処理として実現されている。
さらに、上述した各実施形態では、複数の10-1〜10-Mにそれぞれ備えられたアレーアンテナ11-1〜11-Mに到来する到来波について、その到来波が到来する方向を示す方位角θまたはこの到来波の送信端の位置を示す座標が推定されている。
また、上述した各実施形態には、MUSICアルゴリズムが適用されている。
しかし、アンテナ素子12-11〜12-1N、…、12-M1〜12-MNは、「これらのアンテナ素子12-11〜12-1N、…、12-M1〜12-MNの配置や位相補正レジスタ13R-cの内容」のように、既述の処理の過程で参照される演算対象が所望の精度で得られる限り、アレーアンテナの素子としてではなく、個別のアンテナとして備えられなくてもよい。
しかし、これらのアンテナ素子12-11〜12-1N、…、12-M1〜12-MNは、アレーアンテナの素子として備えられる場合であっても、所定の間隔dで仮想的な直線(あるいは平面)上に配置されなくてもよく、所望の精度による既述の補正行列Qの定義が確実に達成される限り、どのように配置されてもよい。
しかし、本発明は、このような場合に限定されず、所望の到来波の送信端の方向や位置が「三次元空間における方向や位置」として推定されるべき場合であっても、既述の演算の対象となるベクトルや行列が所望の精度で与えられる限り、同様に適用可能である。
11 アレーアンテナ
12 アンテナ素子
13 信号処理回路
13R 位相補正レジスタ
Claims (4)
- 複数のサイトに個別に設置された複数のブランチに共通の送信端から到来した波動信号の集合を示すベクトルを求め、
前記複数のサイトに個別に設置された複数のブランチ毎に、実際に前記送信端から到来した波動信号の位相に付帯し、かつこれらのブランチの配置と前記送信端が位置し得る個々の方向とに対して定まる誤差を是正する処理を前記ベクトルに施すことによって補正ベクトルを求め、
前記送信端が位置し得る方向の内、前記複数のブランチの全てに前記送信端から到来すべき波動信号の集合を示す補正モードベクトルと、前記補正ベクトルとの相関が最大となる方向として、前記送信端の方位を推定する
ことを特徴とする到来方向推定方法。 - 複数のサイトに個別に設置された複数のブランチに共通の送信端から到来した波動信号の集合を示すベクトルを求め、
前記送信端が位置し得る方向の内、前記複数のサイト毎に前記複数のブランチに前記送信端から到来すべき波動信号の組み合わせを示すモードベクトルと、前記ベクトルとの相関が最大となる方向として、前記送信端の方位を推定する
ことを特徴とする到来方向推定方法。 - 複数のサイトに個別に設置された複数のブランチに、共通の送信端から到来した波動信号の集合を示すベクトルを求め、
前記複数のサイトに個別に設置された複数のブランチ毎に、実際に前記送信端から到来した波動信号の位相に付帯し、かつこれらのブランチの配置と前記送信端が位置し得る個々の位置とに対して定まる誤差を是正する処理を前記ベクトルに施すことによって補正ベクトルを求め、
前記送信端が位置し得る位置の内、前記複数のブランチの全てに前記送信端から到来すべき波動信号の集合を示す補正モードベクトルと、前記補正ベクトルとの相関が最大となる位置として、前記送信端の位置を推定する
ことを特徴とする位置推定方法。 - 複数のサイトに個別に設置された複数のブランチに共通の送信端から到来した波動信号の集合を示すベクトルを求め、
前記送信端が位置し得る位置の内、前記複数のサイト毎に個別に設置された複数のブランチに個別に前記送信端から到来すべき波動信号の組み合わせを示すモードベクトルと、前記ベクトルとの相関が最大となる位置として、前記送信端の位置を推定する
ことを特徴とする位置推定方法。
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