JP2005214459A - 熱交換器用偏平チューブ、これを用いた熱交換器、及び熱交換器用偏平チューブの成形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 熱交換器の外形寸法の小型化を図り、また、部品の共通化を図ることが可能な熱交換器用偏平チューブを提供する。また、このような偏平チューブを用いた熱交換器や偏平チューブの製造方法を提供する。
【解決手段】 両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部13,14の近傍がねじられると共に開口端部13,14がヘッダパイプ2,3,4の中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔7,8,12に挿入される偏平チューブ5,6において、偏平チューブ5,6の開口端部13,14を該偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設け、このオフセット量を偏平チューブ5,6の側縁に開口端部13,14を一致させる量とする。これにより、熱交換器の外形寸法の小型化を図り、また、部品の共通化を図れる。
【選択図】 図2
【解決手段】 両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部13,14の近傍がねじられると共に開口端部13,14がヘッダパイプ2,3,4の中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔7,8,12に挿入される偏平チューブ5,6において、偏平チューブ5,6の開口端部13,14を該偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設け、このオフセット量を偏平チューブ5,6の側縁に開口端部13,14を一致させる量とする。これにより、熱交換器の外形寸法の小型化を図り、また、部品の共通化を図れる。
【選択図】 図2
Description
この発明は、両端が開口されて内部に通路を有する偏平管状に形成され、開口端部がヘッダパイプに形成されたチューブ挿入孔に挿入される熱交換器用偏平チューブ、特に、開口端部の近傍がねじられた熱交換器用偏平チューブと、これを用いた熱交換器、及び、前記熱交換器用偏平チューブの成形方法に関する。
ヘッダバイプとこのヘッダバイプに挿入接合される偏平チューブとを備えた高圧仕様の熱交換器にあっては、耐圧強度を確保するためにヘッダバイプの径を極力小さくする必要がある。このため、ヘッダバイプに挿入接合される偏平チューブは、その開口端部の近傍が略90度にねじられて開口端部をヘッダバイプの長手方向に合わせ、ヘッダバイプの周面に軸方向に沿って延びるチューブ挿入孔を形成し、このチューブ挿入孔に偏平チューブの開口端部を挿入接合するようにした構成が考えられている(特許文献1)。また、このような構成において、開口部分を偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットさせる構成も考えられている(特許文献2参照)。
特表2002−521644号公報
欧州特許公報EP0845648A2
しかしながら、上述の構成において、偏平チューブのねじられた開口端部のオフセット量が不十分であると、ヘッダバイプが隣接して設けられ、なお且つ、偏平チューブが並設される熱交換器においては、開口端部をヘッダバイプのチューブ挿入孔に挿入するためには、並設される偏平チューブを離して設けなければならず、このため、熱交換器の熱交換部分の寸法が大きくなる。また、逆に開口端部のオフセット量が大きくなり過ぎると、隣接されるヘッダバイプの間隔を大きくしなければならなくなり、同様に外形寸法が大きくなるという不都合が生じる。
また、熱交換器の外形寸法を調節するために開口端部のオフセット量をその都度変更するようにすれば、部品の共通化が図れず、製造工程や組付け工程が煩雑になる不都合がある。さらに、このような偏平チューブを成形するためには、開口端部をねじると共にオフセットさせる成形工程が必要となるので、量産に適した成形方法を確立することが急務な課題となる。
そこで、この発明においては、熱交換器の外形寸法の小型化を図り、また、部品の共通化を図ることが可能な熱交換器用偏平チューブを提供すること、また、このような偏平チューブを用いた熱交換器を提供すること、さらに量産に適した偏平チューブの成形方法を提供することを主たる課題としている。
上記課題を達成するために、本発明に係る熱交換器用偏平チューブは、両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられると共に前記開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入される構成において、前記偏平チューブの開口端部を該偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設け、このオフセット量を前記偏平チューブの側縁に前記開口端部を一致させる量にしたことを特徴としている(請求項1)。
したがって、2つの偏平チューブを並設した場合において、ヘッダバイプが隣接される構成においては、オフセットした開口端部を外側に向けて2つの偏平チューブを並設することで開口端部間の距離を確保することが可能となり、また、開口端部が離れすぎない状態にできるので、ヘッダバイプを近接させて併設することが可能となる。また、共通のヘッダバイプに2つの偏平チューブを並設して接続する場合においても、オフセットした開口端部を内側に向けて偏平チューブを並設することで開口端部同士を近接させることができ、共通のヘッダバイプの径を最小限に抑えることが可能となる。
尚、両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられると共に開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入される熱交換器用偏平チューブにおいて、偏平チューブの開口端部を該偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設けた上で、偏平チューブの長手方向に沿ったねじり部分の寸法を偏平チューブの巾の1.0倍以上、且つ、1.3倍以下の範囲に設定することが耐久性を確保しつつ、熱交換性能を維持する上で好ましい(請求項2)。
そして、熱交換器としては、ヘッダパイプと、両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部が前記ヘッダパイプに形成されたチューブ挿入孔に挿入される偏平チューブと、隣り合う偏平チューブ間に介在されるフィンとを有して構成されるものにおいて、チューブ挿入孔を前記ヘッダパイプの中心線に沿って延びる長孔として形成し、これに合わせて偏平チューブの開口端部の近傍がねじられると共に開口端部を前記偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設け、このオフセット量を前記偏平チューブの側縁に開口端部を一致させる量にしたことで、小型化を図ることが可能となる(請求項3)。
より具体的には、ヘッダパイプは、第1のヘッダパイプとこれと対向して設けられる中継用ヘッダパイプと、第1のヘッダパイプに隣接して設けられ、中継用ヘッダバイプと対向して設けられる第2のヘッダパイプとを有して構成され、前記偏平チューブは、第1のヘッダパイプと中継用ヘッダバイプとを連通するように設けられる複数の第1の偏平チューブと、中継用ヘッダバイプと第2のヘッダパイプとを連通するように設けられる複数の第2の偏平チューブとを有して構成され、前記第1の偏平チューブは、前記第1のヘッダパイプのチューブ挿入孔に挿入される開口端部を前記第2の偏平チューブから遠ざかる側縁にオフセットして設け、前記中継用ヘッダバイプのチューブ挿入孔に挿入される開口端部を前記第2の偏平チューブに近接する側縁にオフセットして設け、前記第2の偏平チューブは、前記第2のヘッダパイプのチューブ挿入孔に挿入される開口端部を前記第1の偏平チューブから遠ざかる側縁にオフセットして設け、前記中継用ヘッダバイプのチューブ挿入孔に挿入される開口端部を前記第1の偏平チューブに近接する側縁にオフセットして設けるとよい(請求項4)。このような構成とすることで、対交流の熱交換器を小型にすることが可能となる。
また、この発明にかかる熱交換器用偏平チューブの製造方法は、両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられて開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入されると共に偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設けられている熱交換器用偏平チューブの成型方法にかかり、偏平チューブの開口端部とこれに対して所定距離離れた部位とをチャック部材で挟み込み、開口端部を挟んだチャック部材を偏平チューブの長手方向と同方向の軸回りに回転させつつオフセット方向にスライドさせるようにしてもよい(請求項5)。
また、熱交換器用偏平チューブの成形方法としては、両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられて前記開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入されると共に前記偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設けられる熱交換器用偏平チューブの成型方法において、前記偏平チューブの開口端部とこれに対して所定距離離れた部位とをチャック部材で挟み込み、前記開口端部を挟んだチャック部材を挟み込む方向にスライドさせ、しかる後に前記偏平チューブの長手方向中心線を軸にして回転させるようにしても(請求項6)、偏平チューブの開口端部に対して所定距離離れた部位をチャック部材で挟み込み、その後開口端部を他のチャック部材によって挟み込む方向に変位させつつ挟み込み、しかる後に開口端部を挟んだチャック部材を偏平チューブの長手方向中心線を軸にして回転させるようにしても(請求項7)、さらには、偏平チューブの開口端部とこれに対して所定距離離れた部位とをチャック部材で挟み込み、開口端部を挟んだチャック部材を偏平チューブの長手方向と同方向の軸回りに回転させ、しかる後にオフセット方向にスライドさせるようにしてもよい(請求項8)。
ここで、偏平チューブの開口端部を挟み込んだチャック部材は、偏平チューブの長手方向と同方向の軸回りに回転させる際に、開口端部から所定距離離れた部位を挟み込むチャック部材に近接させてねじり部を小さく形成するようにしても(請求項9)、偏平チューブの開口端部に対して所定距離離れた部位に設けられるチャック部材と偏平チューブとの間に所定のクリアランスを設けるようにしても(請求項10)、偏平チューブの開口端部位に対して所定距離離れた部位を、チャック部材に代えて対をなすローラで挟み込むようにしてもよい(請求項11)。
また、偏平チューブの開口端部位を挟み込むチャック部材とこれに対して所定距離離れた部位に設けられるチャック部材とは互いに対向する側の挟み込み部分の角部にR状の面取りを施し、偏平チューブにチャック部材が食い込むことを防ぐようにしてもよい(請求項12)。この場合、面取り半径Rは、偏平チューブの板厚tに対して、R≧0.5tとなるように設定するとよい(請求項13)。
以上述べたように、この発明においては、両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられると共に開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入される熱交換器用偏平チューブにおいて、偏平チューブの開口端部を該偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設け、このオフセット量を偏平チューブの側縁に開口端部を一致させる量としたので、熱交換器の外形寸法を小さくすることが可能となり、また、部品の共通化を図ることが可能となるので、製造工程や組付け工程の煩雑さを回避することが可能となる。
また、偏平チューブのねじられた開口端部を偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設け、ねじり巾を前記偏平チューブの巾の1.0倍以上、且つ、1.3倍以下の範囲に設定することで、ねじり部分の耐久性を確保しつつ、フィンが設けられない無駄な領域を減らすことが可能となる。
上述した偏平チューブを成型するには、開口端部の近傍を偏平チューブの長手方向と同方向の軸回りにねじると共に、開口端部を偏平チューブの長手方向の中心軸に対してオフセットする必要があるが、これらの工程を2つのチャック部材を用いて行うにあたり、偏平チューブの開口端部とこれに対して所定距離離れた部位とをチャック部材で挟み込み、開口端部を挟んだチャック部材を偏平チューブの長手方向と同方向の軸回りに回転させつつオフセット方向にスライドさせるようにすれば、材料の変形が最短距離で行われ、変形量に対して有利となる。
また、偏平チューブの開口端部とこれに対して所定距離離れた部位とをチャック部材で挟み込み、開口端部を挟んだチャック部材をオフセット方向にスライドさせ、しかる後に偏平チューブの長手方向中心線を軸にして回転させる場合、偏平チューブの開口端部に対して所定距離離れた部位をチャック部材で挟み込み、その後開口端部を他のチャック部材によってオフセット方向に変位させつつ挟み込み、しかる後に前記開口端部を挟んだチャック部材を前記偏平チューブの長手方向中心線を軸にして回転させる場合、又は、偏平チューブの開口端部とこれに対して所定距離離れた部位とをチャック部材で挟み込み、開口端部を挟んだチャック部材を偏平チューブの長手方向を軸にして回転させ、しかる後にオフセット方向にスライドさせるようにする場合には、チャック部材の動きをシンプルにすることが可能となり、機構を単純にすることが可能となる。
さらに、偏平チューブの開口端部位を挟み込むチャック部材は、偏平チューブの開口端部を挟み込んだチャック部材は、開口端部を偏平チューブの長手方向と同方向の軸回りに回転させる際に、開口端部から所定距離離れた部位を挟み込むチャック部材に近接させるようにすることで、材料の伸び量を小さくでき、材料が伸びてちぎれる不都合を低減することが可能となる。また、熱交換しないねじり部分の小さくして熱交換器のフィンの取り付け面積を大きく確保することができ、熱交換面積を大きくすることが可能となる。
偏平チューブの開口端部位に対して所定距離離れた部位に設けられるチャック部に偏平チューブとの間に所定のクリアランスが設けたり、チャック部に代えて対をなすローラで偏平チューブを挟み込むようにすれば、ねじり部分の伸びを偏平チューブ全体で吸収することが可能となる。
また、偏平チューブの開口端部位を挟み込むチャック部材とこれに対して所定距離離れた部位を挟み込むチャック部材の互いに対向する側の挟み込み部分の角部をR状に面取りすることで、偏平チューブにチャック部材が食い込むことを防ぎ、ねじり部の損傷を避けることが可能となる。
以下、この発明の最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
図1及び図2において、熱交換器1は、CO2 冷媒などの高圧冷媒が封入される冷凍サイクル用の熱交換器として用いられるもので、隣接して並設された第1及び第2のヘッダパイプ2,3と、これら第1及び第2のヘッダパイプ2,3と対向して設けられる中継用ヘッダパイプ4とを有し、第1のヘッダパイプ2と中継用ヘッダバイプ4とは複数の第1の偏平チューブ5によって連通され、第2のヘッダパイプ3と中継用ヘッダバイプ4とは複数の第2の偏平チューブ6によって連通されている。
第1及び第2のヘッダパイプ2,3は、断面円形状のパイプ構成部材2a,3aの側面に形成されたスリット部4、5にチューブ取付プレート2b、3bを嵌合して筒状に形成されているもので、長手方向両端がパイプ構成部材2a,3aの切り欠き6を介して挿入される蓋体2c、3cによって閉塞されている。それぞれのチューブ取付プレート2b、3bには、図1(c)にも示されるように、長手方向に沿って延設された長孔からなるチューブ挿入孔7,8が一列に整列して複数形成されている。
これに対して、中継用ヘッダパイプ4は、同じく、断面円形状のパイプ構成部材4aの側面に形成されたスリット部9にチューブ取付プレート4bを嵌合してパイプ状に形成され、長手方向両端がパイプ構成部材4aの切り欠き10から挿入される蓋体4cによって閉塞されているもので、パイプ構成部材4aの径は第1及び第2のヘッダパイプ2,3の径よりも大きく形成され、また、チューブ取付プレート4bの横幅も、第1及び第2のヘッダパイプ2,3のチューブ取付プレート2b,3bの横幅よりも大きく形成されている。そして、チューブ取付プレート4bには、図1(d)にも示されるように、長手方向に沿って延設された長孔からなるチューブ挿入孔12が二列に整列して複数形成されている。
第1の偏平チューブ5と第2の偏平チューブ6は、両端が開口されて内部に流体通路が形成され、図3に示されるように、長手方向両側の開口端部13,14の近傍が長手方向と同方向の軸回りに略90度ねじられている。また、開口端部13,14は、偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットした位置にして設けられ、このオフセット量を偏平チューブ5,6の側縁に開口端部を一致させる量としている。さらに、偏平チューブ5,6の長手方向の一方の開口端部は、他方の開口端部と反対側にオフセットされており、偏平チューブの中心に対して点対称に形成されている。
そして、第1の偏平チューブ5は、第1のヘッダパイプ2のチューブ挿入孔7に一方の開口端部13を挿入し、この挿入される開口端部13を第2の偏平チューブ6から遠ざかる側縁にオフセットさせ、また、中継用ヘッダバイプ4のチューブ挿入孔12に他方の開口端部14を挿入し、この挿入される開口端部14を第2の偏平チューブ6に近接する側縁にオフセットさせている。また、第2の偏平チューブ6は、第2のヘッダパイプ3のチューブ挿入孔8に一方の開口端部14を挿入し、この挿入される開口端部14を第1の偏平チューブ5から遠ざかる側縁にオフセットさせ、また、中継用ヘッダバイプ4のチューブ挿入孔12に他方の開口端部13を挿入し、この挿入される開口端部13を第1の偏平チューブ5に近接する側縁にオフセットさせている。
そして、第1の偏平チューブ5間、及び、第2の偏平チューブ6間には、両側の開口端部近傍に形成されるねじり部15,16を除いた平坦部分にコルゲート状のフィン17が介在され、両側の偏平チューブにあっては、平坦部分にフィン17を介して断面コ字状のサイドプレート18が設けられている。尚、第1の偏平チューブ5間に介在されるフィンと第2の偏平チューブ6間に介在されるフィンとは、別々であっても、一体的に形成されるものであってもよい。
したがって、第1のヘッダパイプ2に流入された流体は、第1の偏平チューブ5に分配して流入され、フィン17間を通過する空気と熱交換した後に中継ヘッダパイプ4に集められる。その後、中継ヘッダパイプ4内でUターンして第2の偏平チューブ6に分配して流入され、フィン17間を通過する空気とさらに熱交換した後に第2のヘッダパイプ3に集められ、この第2のヘッダパイプ3から流出される。よって、冷媒の流れを第1の偏平チューブ5と第2の偏平チューブ6とで対向流にすることができ、また、風を第2の偏平チューブ6側から通過させることで、偏平チューブを流れる冷媒の順序と空気の流れを対向流にすることができる。
また、偏平チューブ5,6の開口端部13,14は、偏平チューブ5,6の側縁に一致させるようにオフセットされているので(第1及び第2のヘッダパイプ2,3側にあっては外側の側縁に一致させるようにオフセットされ、中継用ヘッダパイプ4側にあっては内側の側縁に一致させるようにオフセットされているので)、第1及び第2のヘッダパイプ2,3にあっては、離さなくても偏平チューブ5.6の開口端部13.14をチューブ挿入孔に挿入できるので、隣接させることが可能となり、また、中継用ヘッダパイプ4にあっては、第1及び第2の偏平チューブ5,6の開口端部13,14を十分に近接させることができるので、径を小さくすることが可能となる。したがって、対向流の熱交換器を小型化させることが可能となり、また、第1及び第2の偏平チューブは、同一の偏平チューブを用いることが可能となるので、部品の共通化が図れ、製造工程や組付け工程が煩雑になることを回避することができ、量産に適したものとなる。
ところで、上述した偏平チューブの開口端部近傍のねじりと、開口端部のオフセットとを実現するためには、量産に適した成形方法を確立する必要があり、次のような各成形方法を利用するとよい。
図4に第1の成形方法が示され、ここで示される成形方法は、所定の寸法に切断された偏平チューブ(5又は6)に対して、図4(a)に示されるように、開口端部(13又は14)とこれに対して所定距離離れた部位20との2箇所を第1及び第2のチャック部材21,22で挟み込み、図4(b)に示されるように、開口端部(13又は14)を挟み込んだ第1のチャック部材21を偏平チューブ5,6の長手方向と同方向の軸回りに回転させつつオフセット方向にスライドさせ、図4(c)に示される状態、即ち、開口端部(13又は14)の近傍を約90度ねじると共に、開口端部(13又は14)を偏平チューブ(5又は6)の側縁に一致させた状態を形成する。ねじる工程とオフセットさせる工程は同時進行で行われ、各工程の動きのスピードはそれぞれの動きが同時にスタートし、同時に終了する様に調節される。
したがって、このような成形方法によれば、偏平チューブ(5又は6)の開口端部(13又は14)の近傍においてねじりによる変形とオフセットによる変形が同時に行われるので、ねじり部(15又は16)での材料の変形が最短距離で行われることになり、変形量に無駄がなくなる。
図5に第2の成形方法が示され、ここで示される成形方法は、所定の寸法に切断された偏平チューブ(5又は6)に対して、図5(a)に示されるように、開口端部(13又は14)とこれに対して所定距離離れた部位20との2箇所を第1及び第2のチャック部材21,22で挟み込み、図5(b)に示されるように、開口端部(13又は14)を挟んだ第1のチャック部材21を挟み込む方向にスライドさせ、しかる後に、図5(c)に示されるように、偏平チューブ(5又は6)の長手方向の中心線を軸にして回転させ、図5(d)に示される状態、即ち、開口端部(13又は14)の近傍を約90度ねじると共に、開口端部(13又は14)を偏平チューブ(5又は6)の側縁に一致させた状態を形成する。
したがって、このような成形方法によれば、第1のチャック部材21をスライドさせた後にも偏平チューブ(5又は6)の長手方向の中心線を軸にして回転させるようにしたので、チャック部材21の運動をシンプルにでき、機構を単純にすることが可能となる。
図6に第3の成形方法が示され、ここで示される成形方法は、所定の寸法に切断された偏平チューブ(5又は6)に対して、図6(a)に示されるように、開口端部(13又は14)に対して所定距離離れた部位20を第2のチャック部材22で挟み込み、図6(b)に示されるように、第1のチャック部材21の挟み込む力を利用して開口端部(13又は14)を第1のチャック部21で挟み込む方向へ変位させつつ挟み込み、しかる後に図6(c)に示されるように、第1のチャック部材21を偏平チューブ(5又は6)の長手方向の中心線を軸にして回転させ、図6(d)に示される状態、即ち、開口端部(13又は14)の近傍を約90度ねじると共に、開口端部(13又は14)を偏平チューブ(5又は6)の側縁に一致させる状態を形成する。
したがって、このような成形方法によれば、第1のチャック部材21で開口端部(13又は14)を挟み込む力を利用して変位させ、その後第1のチャック部材21を偏平チューブ(5又は6)の長手方向の中心線を軸にして回転させてオフセット状態を形成するようにしたので、チャック部材21,22の運動をよりシンプルにすることができ、機構を単純にすることが可能となる。
図7に第4の成形方法が示され、ここで示される成形方法は、所定の寸法に切断された偏平チューブ(5又は6)に対して、図7(a)に示されるように、開口端部(13又は14)とこれに対して所定距離離れた部位20との2箇所を第1及び第2のチャック部材21,22で挟み込み、図7(b)に示されるように、開口端部(13又は14)を挟み込む第1のチャック部材21を偏平チューブ(5又は6)の長手方向の中心線を軸として回転させ、しかる後に、図7(c)に示されるように、第1のチャック部材21をオフセット方向にスライドさせ、図7(d)に示される状態、即ち、開口端部(13又は14)の近傍を約90度ねじると共に、開口端部(13又は14)を偏平チューブ(5又は6)の側縁に一致させる状態を形成する。
したがって、このような成形方法によれば、第1のチャック部材21を偏平チューブ(5又は6)の長手方向の中心線を軸にして回転させた後にスライドさせるようにしたので、チャック部材21,22の運動をシンプルにでき、機構を単純にすることが可能となる。
図8に第5の成形方法が示され、ここで示される成形方法は、所定の寸法に切断された偏平チューブ(5又は6)に対して、図8(a)に示されるように、開口端部(13又は14)とこれに対して所定距離離れた部位20との2箇所を第1及び第2のチャック部材21,22で挟み込み、図8(b)に示されるように、開口端部(13又は14)を挟み込む第1のチャック部材21を偏平チューブ(5又は6)の長手方向と同方向の軸回りに回転させつつオフセット方向にスライドさせ、さらに、そのような動作をさせながら第1チャック部材21を第2のチャック部材22に近接させ、図8(c)に示される状態、即ち、開口端部(13又は14)の近傍を約90度ねじると共に、開口端部(13又は14)を偏平チューブ(5又は6)の側縁に一致させた状態を形成する。ねじる工程とオフセットさせる工程は同時進行で行われ、各工程の動きのスピードはそれぞれの動きが同時にスタートし、同時に終了する様に調節される。
したがって、このような成形方法によれば、材料の伸び量を小さくでき、材料が伸びてちぎれる不都合を低減することが可能となる。また、熱交換しないねじり部15,16の大きさ(ねじれ幅L)を小さくできるので、熱交換器1のフィン17の取り付け面積を大きく確保することが可能となり、熱交換面積を大きくすることが可能となる。
尚、開口端部13,14を偏平チューブ5,6の長手方向と同方向の軸回りにねじる際に、第1のチャック部材21を第2のチャック部材22へ近接させる工程は、前述したいずれの構成で採用するようにしてもよい。
また、上述の構成において、第2のチャック部材22は、偏平チューブ5,6の開口端部13,14に対して所定距離離れた部位20を挟みつける構成であったが、図9に示されるように、第2のチャック部材22と偏平チューブ5,6との間に所定のクリアランス30を設けるようにしても、また、図10に示されるように、第2のチャック部材22に代えて対をなすローラ31で挟み込むようにしてもよい。
このような構成によれば、開口端部13,14から所定距離離れた部位20がチャックうで挟みつけられないので、偏平チューブ5,6のねじりやオフセットに伴う伸び量を偏平チューブ全体で吸収することが可能となり、材料の伸びによる肉痩せやチャック部での破断を避けることが可能となる。
さらに、上述したチャック部21,22は、ねじり部15,16を形成する側の挟み込み部分の角部を、図11に示されるように、R状に面取りすることが好ましい。ここで、面取りの半径Rは、偏平チューブの板厚tに対して、R≧0.5tとなるように設定するとよい。ねじり幅が大きくなると面取り半径は小さくしてもチャック部の食い込みは生じないが、ねじり幅(偏平チューブの長手方向に沿ったねじり部分の寸法)L(図3で示す)が小さくなると面取り半径を大きくしないと、チャック部21,22の食い込みが生じ、チャック部の破断や亀裂が生じる。そこで、図12に示されるように、面取半径を小さくしていくと、ねじり幅Lを大きくせざるを得なくなる限界が存在するが、上述のような範囲で面取りの半径Rを設定することでねじり部15,16の破断や亀裂の発生を防ぐことが可能となる。
また、偏平チューブ5,6の開口端部近傍のねじり部15,16は、ねじり幅(偏平チューブの長手方向に沿ったねじり部分の寸法)L(図3で示す)を、チューブ幅Wに対して、1.0倍以上、1.3倍以下(1.0W≦L≦1.3W)の範囲で設定することが好ましい。Lが1.0Wより小さくなると材料の伸びが大きくなり曲げ部分の破断や亀裂が生じやすくなり、チューブ内部の流体が洩れる恐れが大きくなる(図13参照)。このため、漏れのリスクを無くすためにチューブ幅Wの1.0倍以上とする必要がある。また、ねじり幅があまり大きくなると、フィンを取り付けことができない領域が大きくなるので、熱交換に寄与しない無駄な面積が大きくなる。このため、熱交換能力が低下する許容し得る限界を考慮すると、上述した範囲に設定することで、漏れリスクをなくし、熱交換能力の影響を許容範囲に抑えることが可能となる。
1 熱交換器
2 第1のヘッダパイプ
3 第2のヘッダパイプ
4 中継用ヘッダパイプ
5,6 偏平チューブ
13,14 開口端部
15,16 ねじり部
17 フィン
2 第1のヘッダパイプ
3 第2のヘッダパイプ
4 中継用ヘッダパイプ
5,6 偏平チューブ
13,14 開口端部
15,16 ねじり部
17 フィン
Claims (13)
- 両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられると共に前記開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入される熱交換器用偏平チューブにおいて、
前記偏平チューブの開口端部を該偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設け、このオフセット量を前記偏平チューブの側縁に前記開口端部を一致させる量にしたことを特徴とする熱交換器用偏平チューブ。 - 両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられると共に前記開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入される熱交換器用偏平チューブにおいて、
前記偏平チューブの開口端部を該偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設け、前記偏平チューブの長手方向に沿ったねじり部分の寸法を前記偏平チューブの巾の1.0倍以上、且つ、1.3倍以下の範囲に設定したことを特徴とする熱交換器用偏平チューブ。 - ヘッダパイプと、両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部が前記ヘッダパイプに形成されたチューブ挿入孔に挿入される偏平チューブと、隣り合う偏平チューブ間に介在されるフィンとを有して構成される熱交換器において、
前記チューブ挿入孔が前記ヘッダパイプの中心線に沿って延びる長孔として形成され、これに合わせて前記偏平チューブの開口端部の近傍がねじられると共に前記開口端部が前記偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設けられ、このオフセット量を前記偏平チューブの側縁に開口端部を一致させる量にしたことを特徴とする熱交換器。 - 前記ヘッダパイプは、第1のヘッダパイプとこれと対向して設けられる中継用ヘッダパイプと、前記第1のヘッダパイプに隣接して設けられ、前記中継用ヘッダバイプと対向して設けられる第2のヘッダパイプとを有して構成され、
前記偏平チューブは、前記第1のヘッダパイプと前記中継用ヘッダバイプとを連通するように設けられる複数の第1の偏平チューブと、前記中継用ヘッダバイプと前記第2のヘッダパイプとを連通するように設けられる複数の第2の偏平チューブとを有して構成され、
前記第1の偏平チューブは、前記第1のヘッダパイプのチューブ挿入孔に挿入される開口端部を前記第2の偏平チューブから遠ざかる側縁にオフセットして設け、前記中継用ヘッダバイプのチューブ挿入孔に挿入される開口端部を前記第2の偏平チューブに近接する側縁にオフセットして設け、
前記第2の偏平チューブは、前記第2のヘッダパイプのチューブ挿入孔に挿入される開口端部を前記第1の偏平チューブから遠ざかる側縁にオフセットして設け、前記中継用ヘッダバイプのチューブ挿入孔に挿入される開口端部を前記第1の偏平チューブに近接する側縁にオフセットして設けたことを特徴とする請求項3記載の熱交換器。 - 両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられて前記開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入されると共に前記偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設けられている熱交換器用偏平チューブの成型方法において、
前記偏平チューブの開口端部とこれに対して所定距離離れた部位とをチャック部材で挟み込み、前記開口端部を挟んだチャック部材を前記偏平チューブの長手方向と同方向の軸回りに回転させつつオフセット方向にスライドさせるようにしたことを特徴とする熱交換器用偏平チューブの成形方法。 - 両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられて前記開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入されると共に前記偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設けられている熱交換器用偏平チューブの成型方法において、
前記偏平チューブの開口端部とこれに対して所定距離離れた部位とをチャック部材で挟み込み、前記開口端部を挟んだチャック部材を挟み込む方向にスライドさせ、しかる後に前記偏平チューブの長手方向中心線を軸にして回転させることを特徴とする熱交換器用偏平チューブの成形方法。 - 両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられて前記開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入されると共に前記偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設けられている熱交換器用偏平チューブの成型方法において、
前記偏平チューブの開口端部に対して所定距離離れた部位をチャック部材で挟み込み、その後前記開口端部を他のチャック部材によって挟み込む方向に変位させつつ挟み込み、しかる後に前記開口端部を挟んだチャック部材を前記偏平チューブの長手方向中心線を軸にして回転させるようにしたことを特徴とする熱交換器用偏平チューブの成形方法。 - 両端が開口されて内部に流体通路を有する偏平管状に形成され、開口端部の近傍がねじられて前記開口端部がヘッダパイプの中心線に沿って延設されたチューブ挿入孔に挿入されると共に前記偏平チューブの長手方向中心線に対してオフセットして設けられている熱交換器用偏平チューブの成型方法において、
前記偏平チューブの開口端部とこれに対して所定距離離れた部位とをチャック部材で挟み込み、前記開口端部を挟んだチャック部材を前記偏平チューブの長手方向と同方向の軸回りに回転させ、しかる後にオフセット方向にスライドさせるようにしたことを特徴とする熱交換器用偏平チューブの成形方法。 - 前記偏平チューブの開口端部を挟み込んだチャック部材は、前記偏平チューブの長手方向と同方向の軸回りに回転させる際に、前記開口端部から所定距離離れた部位を挟み込むチャック部材に近接させるようにしたことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の熱交換器用偏平チューブの成形方法。
- 前記偏平チューブの開口端部に対して所定距離離れた部位に設けられるチャック部材は前記偏平チューブとの間に所定のクリアランスが設けられていることを特徴とする請求項5〜9記載のいずれかに記載の熱交換器用偏平チューブの成形方法。
- 偏平チューブの開口端部位に対して所定距離離れた部位は、前記チャック部材に代えて対をなすローラで挟み込むようにしたことを特徴とする請求項5〜9記載のいずれかに記載の熱交換器用偏平チューブの成形方法。
- 前記偏平チューブの開口端部位を挟み込むチャック部材とこれに対して所定距離離れた部位に設けられるチャック部材とは互いに対向する側の挟み込み部分の角部にR状の面取りが施されていることを特徴とする請求項5〜9記載のいずれかに記載の熱交換器用偏平チューブの成形方法。
- 前記面取り半径Rは、前記偏平チューブの板厚tに対して、R≧0.5tとなるように設定されていることを特徴とする請求項12記載の熱交換器用偏平チューブの成形方法。
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