JP2005212397A - 筆記具用筒状部材、射出成型用金型及び筆記具用筒状部材成型方法 - Google Patents

筆記具用筒状部材、射出成型用金型及び筆記具用筒状部材成型方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 特別な手段を設けることなく、金型の形状のみによって射出成形時のコアピンの傾きを防止し、偏肉や孔などの発生のない筆記具用筒状部材を提供する。
【解決手段】 キャビティ20内にコアピン30が挿入される射出成型用金型10に、キャビティ底面21中心のゲート25より溶融樹脂を射出して成形され、キャビティ底面21とコアピン底面31との間により形成される底部51を有する円筒状の筆記具用筒状部材50である。キャビティ底面21は、ゲート25を中心とする第1中心面22、これに対し段差を形成する第1辺縁面23及びこれらを連結する第1テーパー面24により構成される。コアピン底面31は、その軸心35を中心とする第2中心面32、これに対し前記の段差と同様の段差を形成する第2辺縁面33及びこれらを連結する第2テーパー面34により構成される。第1中心面22及び第1辺縁面23のうち後方側の方は、第2中心面32及び第2辺縁面33のうち前方側の方より後方側に位置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、筆記具用の筒状部材と、この筒状部材を射出成形により形成するための金型と、この金型によりこの筒状部材を成型する方法に関する。
筆記具は様々な部材により構成されている。通常、筆記具は、軸方向に長い円筒状に形成されることが多く、その場合、そのような円筒状の部材が必要とされる。このような円筒状の部材としては、たとえば、筆記具本体の軸筒や、インク収容管、あるいはキャップ等がある。
かかる円筒状の部材は、有底長孔状のキャビティ内にコアピンが挿入された金型を用いて、キャビティの底に設けられたゲートを通じて溶融樹脂の射出成型により形成されることが多い。ところが、このような円筒状の部材は、その外径に比して軸方向長が長いことが多い。ことに、軸筒やインク収容管のような部材については、軸方向長が外径の10倍以上であることも少なくない。したがって、溶融樹脂の射出圧力は極めて高いため、コアピンがその圧力によりぶれて、軸心に保持されないことがある。そうすると、コアピンとキャビティとの間隔が不均一となるため、成形された部材が偏肉したり、ときには側壁に孔が形成されてしまったりするという問題が生じていた。
かかる問題を解決する技術として、下記の特許文献1には、キャビティの底面から保持ピンを挿通してこの保持ピンをコアピンの底面に付勢し、キャビティ内に溶融樹脂が充満する前に、保持ピンを後退させる手段を設けた装置が開示されている。すなわち、保持ピンでコアピンがキャビティ内で傾かないように保持し、樹脂がある程度充填されたところこの保持ピンを後退させることで成型品に保持ピンの痕がつかないようにしている。
また、下記の特許文献2には、キャビティとコアピンとの間隙を検知する検知手段と、この検知手段の検知に基づいて該間隙が一定になるように変位させる変位手段とを備えた装置が開示されている。すなわち、樹脂の充填中にコアピンの位置が変動すると検知手段がこれを検知し、この検知に基づいて変位手段がコアピンの位置を微調整してキャビティとコアピンとの間隙を一定に保つこととしている。
特開平8−11171号公報(図1、図2) 特開平8−99337号公報
前記従来技術においては、いずれも、金型の形状以外にコアピンを傾けないための特別な手段を設ける必要がある。したがって、金型構造が複雑になったり、工程数増加に伴うコスト増という問題点を有している。
そこで、本発明は、特別な手段を設けることなく、金型の形状のみによって射出成形時のコアピンの傾きを防止し、偏肉や孔などの発生のない筆記具用筒状部材を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、前記第1の目的に加え、コアピンの傾き防止をより効率よく行うことを第2の目的とする。
さらに、本発明は、前記第1又は第2の目的に加え、コアピンの傾き防止効果がより発揮されるようにすることを第3の目的とする。
また、本発明は、前記第1、第2又は第3の目的に加え、筆記具用筒状部材の底面に陥没構造を与えることを第4の目的とする。
さらに、本発明は、前記第1、第2又は第3の目的に加え、筆記具用筒状部材の底面に突出構造を与えることを第5の目的とする。
(1)第1の発明
上記の課題に鑑み、本発明のうち第1の発明は、断面円形で底面を有する長孔状のキャビティ20内に同キャビティ20と軸心同一でかつ同キャビティ20より小径の円柱状のコアピン30を挿入してなる射出成型用金型10に、同キャビティ底面21の中心に設けられるゲート25より溶融樹脂を射出して成形されるとともに、同キャビティ底面21と同コアピン30の底面との間の空間により形成される底部51を有する円筒状の筆記具用筒状部材50であって、前記キャビティ底面21は、
(a)ゲート25を中心とする円形の第1中心面22、
(b)前記第1中心面22の辺縁側に位置し同第1中心面22に対し段差を形成する第1辺縁面23、及び
(c)前記第1中心面22から前記第1辺縁面23までを少なくとも縮径することなく連結する第1テーパー面24
により構成され、前記コアピン底面31は、
(d)同コアピン30の軸心35を中心とする円形の第2中心面32、
(e)前記第2中心面32の辺縁側に位置し同第2中心面32に対し前記第1中心面22と前記第1辺縁面23との段差と同様の段差を形成する第2辺縁面33、及び
(f)前記第2中心面32から前記第2辺縁面33までを少なくとも縮径することなく連結する第2テーパー面34
により構成され、前記底部51は、
(g)前記第1中心面22と前記第2中心面32との間の空間により形成される中心部52、
(h)前記第1辺縁面23と前記第2辺縁面33との間の空間により形成される辺縁部53、及び
(i)前記第1テーパー面24と前記第2テーパー面34との間の空間により形成され前記中心部52から前記辺縁部53までを少なくとも縮径することなく連結するテーパー部54
により構成されるとともに、前記コアピン30が前記キャビティ20に挿入される方向を前方と定義し、かつ、同コアピン30が同キャビティ20から抜去される方向を後方と定義したとき、前記中心部52の前方側の面及び前記辺縁部53の前方側の面のうち後方側に位置する方の面は、前記中心部52の後方側の面及び前記辺縁部53の後方側の面のうち前方側に位置する方の面より、後方側に位置することを特徴とする。
ここで、「筆記具用筒状部材50」とは、筆記具を構成する円筒状の部材をいい、たとえば、筆記具本体の軸筒や、インク収容管、あるいはキャップ等がある。
すなわち、上記の筆記具用筒状部材50は、断面円形で底面を有する長孔状のキャビティ20内に同キャビティ20と軸心同一でかつ同キャビティ20より小径の円柱状のコアピン30を挿入してなるとともに、同キャビティ底面21の中心に設けられるゲート25より溶融樹脂を射出して成形されるとともに、同キャビティ底面21と同コアピン30の底面との間の空間により形成される底部51を有する円筒状の筆記具用筒状部材50を成形するための射出成型用金型10であって、前記キャビティ底面21は、
(a)ゲート25を中心とする円形の第1中心面22、
(b)前記第1中心面22の辺縁側に位置し同第1中心面22に対し段差を形成する第1辺縁面23、及び
(c)前記第1中心面22から前記第1辺縁面23までを少なくとも縮径することなく連結する第1テーパー面24
により構成され、前記コアピン底面31は、
(d)同コアピン30の軸心35を中心とする円形の第2中心面32、
(e)前記第2中心面32の辺縁側に位置し同第2中心面32に対し前記第1中心面22と前記第1辺縁面23との段差と同様の段差を形成する第2辺縁面33、及び
(f)前記第2中心面32から前記第2辺縁面33までを少なくとも縮径することなく連結する第2テーパー面34
により構成されるとともに、前記コアピン30が前記キャビティ20に挿入される方向を前方と定義し、かつ、同コアピン30が同キャビティ20から抜去される方向を後方と定義したとき、前記第1中心面22及び前記第1辺縁面23のうち後方側に位置する方の面は、前記第2中心面32及び前記第2辺縁面33のうち前方側に位置する方の面より、後方側に位置することを特徴とする。
ここで、「第1辺縁面23」が「第1中心面22」に対し「段差」を形成するとは、第1中心面22と第1辺縁面23との間に高低差があり、一方が前方寄りに位置し、また他方が後方寄りに位置する、ということを意味する。
また、「第2辺縁面33」が「第2中心面32」に対し、第1中心面22と第1辺縁面23との段差と「同様の段差」を形成するとは、第2中心面32と第2辺縁面33との間に、第1中心面22と第2辺縁面33との間の高低差と同様の高低差がある、ということを意味する。すなわち、第1中心面22が第1辺縁面23より前方側にある場合には、第2中心面32は第2辺縁面33より前方側にあり、第1中心面22が第1辺縁面23より後方側にある場合には、第2中心面32は第2辺縁面33より後方側にあることになる。ここで、「同様の」とは、第2中心面32と第2辺縁面33との前後関係のみが第1中心面22と第1辺縁面23との前後関係と同様であることを意味し、それ以上の、たとえば両者の距離、面積又は角度等までも同様であることは必ずしも要しない。
そして、第1中心面22が第1辺縁面23より後方側にある場合には、第2中心面32は第2辺縁面33より後方側に位置することになる。言い換えると、キャビティ底面21において第1中心面22が第1辺縁面23より後方へ突出している場合には、コアピン底面31において第2中心面32が第2辺縁面33より、この突出部分に対応して後方へ陥没していることになる。この場合に、前記射出成形用金型で形成される筆記具用筒状部材50の底部51においては、「中心部52の前方側の面」の方が「辺縁部53の前方側の面」よりも後方側に位置する。また、「中心部52の後方側の面」よりも「辺縁部53の後方側の面」の方が前方側に位置する。そして、「中心部52の前方側の面」は、「辺縁部53の後方側の面」よりも後方側に位置することになる。
一方、第1辺縁面23が第1中心面22より後方側にある場合には、第2辺縁面33は第2中心面32より後方側に位置することになる。言い換えると、キャビティ底面21において第1中心面22が第1辺縁面23より前方へ陥没している場合には、コアピン底面31において第2中心面32が第2辺縁面33より、この陥没部分に対応して前方へ突出していることになる。この場合に、前記射出成型用金型10で形成される筆記具用筒状部材50の底部51においては、「中心部52の前方側の面」よりも「辺縁部53の前方側の面」の方が後方側に位置する。また、「中心部52の後方側の面」の方が「辺縁部53の後方側の面」よりも前方側に位置する。そして、「辺縁部53の前方側の面」は、「中心部52の後方側の面」よりも後方側に位置することとなる。
また、テーパー部54が、中心部52から辺縁部53までを「少なくとも縮径することなく」連結している、ということは、中心部52から辺縁部53まで漸次大径となっているか、又は、同一径となっているかのいずれかであることを意味している。このことは、第1テーパー面24及び第2テーパー面34についても同様である。
そして、上記射出成型用金型10に、前記ゲート25より溶融樹脂を射出することで、前記キャビティ底面21と前記コアピン底面31との間の空間により形成される底部51を有する円筒状の筆記具用筒状部材50が成形されることとなる。
すなわち、キャビティ底面21に設けられたゲート25を通じて溶融樹脂を射出する際に、射出された溶融樹脂は、まずキャビティ底面21の第1中心面22とコアピン底面31の第2中心面32との間の空間(以下、「中心空間42」と称する。)に溜まり、キャビティ底面21の第1テーパー面24とコアピン底面31の第2テーパー面34との間の空間(以下、「テーパー空間44」と称する。)を経て、キャビティ底面21の第1辺縁面23とコアピン底面31の第2辺縁面33との間の空間(以下、「辺縁空間43」と称する。)を通って円筒状空間の全体へ回ることになる。
ここで、前記第1中心面22及び前記第1辺縁面23のうち後方側に位置する方の面は、前記第2中心面32及び前記第2辺縁面33のうち前方側に位置する方の面より、後方側に位置することから、溶融樹脂の流れは、中心空間42から一端屈曲してテーパー空間44に至り、さらにもう一回屈曲して辺縁空間43へ至ることになる。この2回の流れの屈曲による流動ベクトルの変化は、コアピン底面31の全周において均等に生じるため、コアピン30が軸心35を保つように作用することになる。
すなわち、円筒状の筆記具用筒状部材50の底部51形状を、その中心部52の前方側の面及び前記辺縁部53の前方側の面のうち後方側に位置する方の面が、前記中心部52の後方側の面及び前記辺縁部53の後方側の面のうち前方側に位置する方の面より、後方側に位置するように設計することで、前記構成の射出成型用金型10を用いて形成することが可能となる。そして、特別な手段を設けることなく、金型の形状のみによって射出成形時のコアピン30の傾きを防止し、偏肉や孔などの発生のない筆記具用筒状部材50を提供することが可能となっている。
(2)第2の発明
本発明のうち第2の発明は、前記第1の発明の特徴に加え、前記中心部52の肉厚をA及び前記テーパー部54の肉厚をBとした場合、
A>B
なる関係を満たすことを特徴とする。
筆記具用筒状部材50において上記の関係を満たすためには、前記射出成型用金型10において、第1中心面22と第2中心面32との距離をAとし、かつ、第1テーパー面24と第2テーパー面34との距離をBとした場合に上記の関係を満たす必要がある。
このように形成することにより、前記テーパー空間44における溶融樹脂の圧力が、前記中心空間42における圧力よりも高くなるので、溶融樹脂の流動方向のベクトルの変化がより顕著に表れ、コアピン30の軸心保持効果もより高まることとなる。
また、ここで、前記AB間の関係を満たすとともに、Bを0.1mm以上0.4mm以下とすることが望ましい。このようにすれば、上記コアピン30の軸心保持効果がさらに高まることとなる。なお、Bが0.1mm未満の場合には、筆記具用筒状部材50としての強度に問題が生じる。また、Bが0.4mmを上回る場合には、前記テーパー空間44における溶融樹脂の圧力上昇が少なくなるため、上記の軸心保持効果の上昇はさほど期待できない。なお、筆記具用筒状部材50においてBの値を上記範囲内とするためには、前記射出成型用金型10において、第1テーパー面24と第2テーパー面34との距離を上記Bの範囲内とする必要がある。
さらに、ここで、前記AB間の関係を満たし、望ましくは上記Bの数値範囲を満たした上で、前記円筒の側面の肉厚をCとした場合、
C/B≧1.7
なる関係を満たすことが望ましい。なお、筆記具用筒状部材50においてこの関係を満たすためには、前記射出成型用金型において、キャビティ20内側面とコアピン30外側面との距離をCとして、かつ、第1テーパー面24と第2テーパー面34との距離をBとした場合に上記の関係を満たす必要がある。すなわち、CがBの1.7倍以上(望ましくは2倍以上)である場合には、前記テーパー空間で上昇した圧力が、キャビティ20内側面とコアピン30外側面との間の空間において急速に開放されるため、溶融樹脂が同空間内をスムーズに満たすこととなる。これとともに、万一コアピン30が傾いた場合であっても、スムーズに流れる溶融樹脂によってこの傾きは速やかに是正されることとなる。一方、CがBの1.7倍未満である場合には、キャビティ20内側面とコアピン30外側面との間の空間における溶融樹脂の流れが悪くなり、一端コアピン30が傾いた場合にはこれを是正する効果がさほど発揮されないこととなる。
(3)第3の発明
本発明のうち第3の発明は、前記第1又は第2の発明の特徴に加え、前記円筒の軸心35方向と前記テーパー部54とがなす角をθとした場合、
0°≦θ≦45°
なる関係を満たすことを特徴とする。
すなわち、前記中心部から
筆記具用筒状部材50において上記の関係を満たすためには、前記射出成型用金型10において、コアピン30の軸心35方向と第1テーパー面24又は第2テーパー面34とがなす角が上記関係を満たす必要がある。ここで、筆記具用筒状部材50の離型性からは、θが1°以上であることが望ましいが、θが0°以上1°未満の場合であっても、射出成型用金型10の形状及び筆記具用筒状部材50の材料等の条件を適切に選択することにより、筆記具用筒状部材50の離型は可能である。なお、本発明においては、テーパー部は、中心部から辺縁部にかけて少なくとも縮径することはない、すなわち、漸次大径となるか、又は径は不変であるかのいずれかであることから、このθが負の数となることはない。一方、θが45°を上回る場合には、溶融樹脂の流動方向のベクトル変化があまり顕著に表れないため、コアピン30の保持効果が発揮されない。
よって、コアピン30の保持効果を考慮すると、θが上記範囲にあることが望ましい。
(4)第4の発明
本発明のうち第4の発明は、前記第1、第2又は第3の発明の特徴に加え、前記中心部52は、前記辺縁部53より後方側に位置することを特徴とする。
上記の筆記具用筒状部材50を形成するためには、射出成型用金型10において、キャビティ底面21の第1中心面22を第1辺縁面23より後方型に位置させるとともに、コアピン底面31の第2中心面32を第2辺縁面33より後方側に位置させる必要がある。
上記のように構成することで、筆記具用筒状部材50の底面に後方への陥没構造を形成することが可能となる。
(5)第5の発明
本発明のうち第5の発明は、前記第1、第2又は第3の発明の特徴に加え、前記中心部52は、前記辺縁部53より前方側に位置することを特徴とする
上記の筆記具用筒状部材50を形成するためには、射出成型用金型10において、キャビティ底面21の第1辺縁面23を第1中心面22より後方側に位置させるとともに、コアピン底面31の第2辺縁面33を第2中心面32より後方側に位置させる必要がある。
上記のように構成することで、筆記具用筒状部材50の底面に前方への突出構造を形成することが可能となる。
(6)その他
なお、前記第1から第5までの発明は、筆記具用筒状部材50の外径をD及び全長をLとした場合、
L≧10D
なる関係を満たすような長軸方向に細長い形状の筆記具用筒状部材50を形成する場合により効果的である。すなわち、かかる場合にはコアピン30も長くなるため、射出圧でより偏芯しやすいからである。このようにするためには、キャビティ20の全長を上記Lにし、また、内径を上記Dとするように射出成型用金型10を形成すればよい。
また、前記第1から第5までの発明は、溶融樹脂がポリプロピレンのように比較的軟質で成型品が曲がりやすいような場合により効果的である。
本発明は上記のように構成されているので、以下に記す効果を奏する。
すなわち、本発明のうち第1の発明の説明によると、特別な手段を設けることなく、金型の形状のみによって射出成形時のコアピンの傾きを防止し、偏肉や孔などの発生のない筆記具用筒状部材を提供することが可能となる。
また、本発明のうち第2の発明の説明によると、前記第1の発明の効果に加え、コアピンの傾き防止をより効率よく行うことが可能となる。
さらに、本発明のうち第3の発明の説明によると、前記第1又は第2の発明の効果に加え、コアピンの傾き防止効果がより発揮されることとなる。
また、本発明のうち第4の発明の説明によると、前記第1、第2又は第3の発明の効果に加え、筆記具用筒状部材の底面に陥没構造を与えることが可能となる。
さらに、本発明のうち第5の発明の説明によると、前記第1、第2又は第3の発明の効果に加え、筆記具用筒状部材の底面に突出構造を与えることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
(1)第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る射出成型用金型10を正面断面図で模式的に示したものである。
本実施の形態に係る射出成型用金型10は、キャビティプレート11と、コアピン30とを有する。以下、図1に従い、コアピン30がキャビティ20内に挿入される方向(図面では上方)を「前方」とし、キャビティ20内から抜去される方向(図面では下方)を「後方」とする。
キャビティプレート11には、成型品である筆記具用筒状部材50の外形を形成する、有底円筒状の長孔であるキャビティ20が穿たれている。このキャビティ20の全長(L)は、内径(D)より大きくなるように形成されている。また、キャビティプレート11の前方面には、このキャビティ20に溶融樹脂を導くランナー溝13が設けられている。さらに、このキャビティプレート11の前方には、このランナー溝13を覆うランナープレート14が設けられている。このランナープレート14を貫通して、ランナー溝13内へアンダーカット部分を突き出しているランナー保持ピン15が設けられている。このランナー溝13は、キャビティ底面21中心に設けられるゲート25によって、キャビティ20と連絡している。
コアピン30は、成型品である筆記具用筒状部材50の内径を形成する円筒状に形成されている。コアピン30の前方端にあるコアピン底面31は、キャビティ底面21と対向している。また、コアピン30の後方端は、コアプレート12により固定されている。このコアプレート12は、コアピン30をキャビティ20内に挿入する際には前進し、またキャビティ20内から抜去する際には後退するように形成されている。
コアピン30がキャビティ20内に挿入されている状態においては、キャビティ20とコアピン30との間にキャビティ空間40が形成される。このキャビティ空間40が、筆記具用筒状部材50を形成する部分となる。
また、コアプレート12の前方には、コアプレート12に対し前進可能に形成されている突き出しプレート16が設けられている。この突き出しプレート16は、コアピン30がキャビティ20内に挿入されている状態では、キャビティプレート11とコアプレート12との間に挟まれている。
図2は、図1のゲート25近傍の部分を拡大して示したものである。
キャビティ底面21は、ゲート25を中心とする円形の第1中心面22と、この第1中心面22の辺縁側に位置する第1辺縁面23と、この第1中心面22からこの第1辺縁面23までを少なくとも縮径することなく連結する第1テーパー面24とにより構成されている。この第1テーパー面24がコアピン30の軸心35方向となす角(θ)は、0°以上45°以下に形成されている。第1中心面22と第1辺縁面23とは、前者がより後方側に、また、後者がより前方側にそれぞれ位置することで、互いに段差を形成している。すなわち、キャビティ底面21においては、第1中心面22が後方へ突出するように形成されている。
一方、コアピン30前方端のコアピン底面31は、コアピン30の軸心35を中心とする円形の第2中心面32と、この第2中心面32の辺縁側に位置する第2辺縁面33と、この第2中心面32からこの第2辺縁面33までを少なくとも縮径することなく連結する第2テーパー面34とにより構成されている。この第2テーパー面34がコアピン30の軸心35方向となす角は、上記の第1テーパー面24と同様に形成されている。第2中心面32と第2辺縁面33とは、前者がより後方側に、また、後者がより前方側にそれぞれ位置することで、互いに段差を形成している。すなわち、コアピン底面31においては、第2中心面32が後方へ陥没するように形成されている。
そして、コアピン30がキャビティ20に挿入されている状態においては、第1中心面22と第2中心面32との間の空間(中心空間42)と、第1辺縁面23と第2辺縁面33との間の空間(辺縁空間43)とは、第1テーパー面24と第2テーパー面34との間の空間(テーパー空間44)で連結されている。また、第1中心面22と第2中心面32との距離(A)は、第1テーパー面24と第2テーパー面34との距離(B)よりも大きい。これにより、テーパー空間44の厚さは中心空間42の厚さよりも薄くなっている。また、テーパー空間44の厚さ(B)は、0.1mm以上0.4mm以下に形成されている。さらに、キャビティ20内側面とコアピン30階側面との間の距離(C)は、距離Bの1.7倍以上(望ましくは2倍以上)に形成されている。
さて、この射出成形用金型10に、ゲート25付近の射出圧400kg重/cm2(39.2MPa)程度で溶融樹脂が射出されると、溶融樹脂は、最初に中心空間42に溜まるが、すぐに周縁のテーパー空間44へ至る。ここで、テーパー空間44の厚さ(B)は中心空間42の厚さ(A)より薄いため、溶融樹脂の圧力は上昇することになる。また、溶融樹脂の流れの方向は、ゲート25を通過する時点では後方へ向かっているが、テーパー空間44で前方へ転じることになる。この流れの方向の転換と圧力の上昇は、コアピン底面31においてテーパー空間44の全周で均等に起こるため、結果としてコアピン30を軸心35に保持する力として働くこととなる。これによって、コアピン30の傾きは防止され、キャビティ空間40は一定に保たれるため、成型品が偏肉したり孔が開いたりと行ったことが防止されると考えられる。
そして、溶融樹脂は辺縁空間43を通って、さらに後方の空間を満たしていく。このとき、前記キャビティ20内側面とコアピン30階側面との間の距離(C)は、テーパー空間44の厚さ(B)の1.7倍以上であるため、テーパー空間44で上昇した溶融樹脂の圧力はここで急激に開放される。この作用も、コアピン30の軸心保持に寄与することとなっている。溶融樹脂がキャビティ空間40に充填された状態を示すのが図3である。ここで、溶融樹脂は特に種類は問わないが、ポリプロピレンのような比較的軟質なものであっても、上述の金型構造により、コアピン30の軸心保持効果は十分に発揮されることとなっている。
充填された溶融樹脂が冷却して固化すると、ランナー溝13を満たす樹脂は、ランナー60を形成する。そして、キャビティ空間40を満たす樹脂は、筆記具用筒状部材50を形成する。この状態でコアプレート12を後退させると、筆記具用筒状部材50はコアピン30とともにキャビティ20から抜去される。しかる後に、突き出しプレート16を前進させると、筆記具用筒状部材50は前方に押し出され、コアピン30から取り外される。一方、ランナープレート14を前進させると、ランナー60はランナー保持ピン15とともに前進し、キャビティプレート11から取り外される。
図1に示す前記射出成形用金型を用いた射出成形により形成された筆記具用筒状部材50を、一部断面の正面図で示したのが図4である。この筆記具用筒状部材50は、キャビティ底面21とコアピン底面31との間の空間に由来する底部51を有する円筒形状に形成されている。
この底部51は、前記の中心空間42(第1中心面22と第2中心面32との間の空間)に由来する中心部52と、前記のテーパー空間44(第1テーパー面24と第2テーパー面34との間の空間)に由来するテーパー部54と、前記の辺縁空間43(第1辺縁面23と第2辺縁面33との間の空間)に由来する辺縁部53とで構成されている。そして、中心部52は辺縁部53より後方へ陥没している。
また、この底部51においては、前記の射出成形用金型の構造に由来して、以下の関係が成立している。
第1に、中心部52の前方面(図中では上方の面)及び辺縁部53の前方面のうち、後方寄りの方(すなわち、中心部52の前方面)は、中心部52の後方面(図中では下方の面)及び辺縁部53の後方面のうち、前方寄りの方(すなわち、辺縁部53の後方面)よりも後方側に位置することとなっている。これにより、中心部52と辺縁部53とがテーパー部54により明瞭に画されることとなっている。
第2に、中心部52の肉厚(A)は、テーパー部54の肉厚(B)より大きくなっている。
第3に、このテーパー部54の肉厚(B)は0.1mm以上0.4mm以下となっている。
第4に、側面部の肉厚(C)は、テーパー部54の肉厚(B)の1.7倍以上となっている。
第5に、テーパー部54と軸心35方向とがなす角(θ)は0°以上45度以下となっている。
以上の関係が成立するため、筆記具用筒状部材50は、偏肉がなく、また、側面に孔が形成されるようなことがない。
この筆記具用筒状部材50は、図5に示すような加圧式ボールペン70の外軸71として使用される。すなわち、インク74を収容するインク収容管73の先端(図中では下方)には、継ぎ手部材76を介してボールペンチップ75が装着されている。このインク収容管73は、後端(図中では上方)に底部51を有する内軸77に後端から挿入され、内部に2気圧の窒素ガスを充填しつつ連結部材で先端部分が密閉され、リフィル72が形成される。このリフィル72先端にカバー部材78が装着され、さらに後端方向から本実施形態に係る筆記具用筒状部材50による外軸71が装着されることで、加圧式ボールペン70が形成される。
(2)第2の実施の形態
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る射出成型用金型10のうち、ゲート25近傍の部分を拡大して示したものである。なお、ゲート25近傍部分以外の金型構造は、前記図1に示す第1の実施の形態と同様であるので、記載は省略する。
キャビティ底面21は、ゲート25を中心とする円形の第1中心面22と、この第1中心面22の辺縁側に位置する第1辺縁面23と、この第1中心面22からこの第1辺縁面23までを少なくとも縮径することなく連結する第1テーパー面24とにより構成されている。この第1テーパー面24がコアピン30の軸心35方向となす角(θ)は、0°以上45°以下に形成されている。第1中心面22と第1辺縁面23とは、前者がより前方側に、また、後者がより後方側にそれぞれ位置することで、互いに段差を形成している。すなわち、キャビティ底面21においては、第1中心面22が前方へ陥没するように形成されている。
一方、コアピン30前方端のコアピン底面31は、コアピン30の軸心35を中心とする円形の第2中心面32と、この第2中心面32の辺縁側に位置する第2辺縁面33と、この第2中心面32からこの第2辺縁面33までを少なくとも縮径することなく連結する第2テーパー面34とにより構成されている。この第2テーパー面34がコアピン30の軸心35方向となす角は、上記の第1テーパー面24と同様に形成されている。第2中心面32と第2辺縁面33とは、前者がより前方側に、また、後者がより後方側にそれぞれ位置することで、互いに段差を形成している。すなわち、コアピン底面31においては、第2中心面32が前方へ突出するように形成されている。
そして、コアピン30がキャビティ20に挿入されている状態においては、第1中心面22と第2中心面32との間の空間(中心空間42)と、第1辺縁面23と第2辺縁面33との間の空間(辺縁空間43)とは、第1テーパー面24と第2テーパー面34との間の空間(テーパー空間44)で連結されている。また、第1中心面22と第2中心面32との距離(A)は、第1テーパー面24と第2テーパー面34との距離(B)よりも大きい。これにより、テーパー空間44の厚さは中心空間42の厚さよりも薄くなっている。また、テーパー空間44の厚さ(B)は、0.1mm以上0.4mm以下に形成されている。さらに、キャビティ20内側面とコアピン30階側面との間の距離(C)は、距離Bの1.7倍以上(望ましくは2倍以上)に形成されている。
さて、この射出成形用金型10に、ゲート25付近の射出圧400kg重/cm2(39.2MPa)程度で溶融樹脂が射出されると、溶融樹脂は、最初に中心空間42に溜まるが、すぐに周縁のテーパー空間44へ至る。ここで、テーパー空間44の厚さ(B)は中心空間42の厚さ(A)より薄いため、溶融樹脂の圧力は上昇することになる。また、溶融樹脂の流れの方向は、ゲート25を通過する時点では後方へ向かっているが、テーパー空間44でやや辺縁方向へ転じることになる。この流れの方向の転換と圧力の上昇は、テーパー空間44の全周で均等に起こるため、結果としてコアピン30を軸心35に保持する力として働くこととなる。これによって、コアピン30の傾きは防止され、キャビティ空間40は一定に保たれるため、成型品が偏肉したり孔が開いたりといったことが防止されると考えられる。
そして、溶融樹脂は辺縁空間43を通って、さらに後方の空間を満たしていく。このとき、前記キャビティ20内側面とコアピン30階側面との間の距離(C)は、テーパー空間44の厚さ(B)の1.7倍以上であるため、テーパー空間44で上昇した溶融樹脂の圧力はここで急激に開放される。この作用も、コアピン30の軸心保持に寄与することとなっている。ここで、溶融樹脂は特に種類は問わないが、ポリプロピレンのような比較的軟質なものであっても、上述の金型構造により、コアピン30の軸心保持効果は十分に発揮されることとなっている。
充填された溶融樹脂が冷却して固化した後、射出成型用金型10からの筆記具用筒状部材50の取り外しについては、前記第1の実施の形態(図3)と同様である。
図6に示す前記射出成形用金型を用いた射出成形により形成された筆記具用筒状部材50を、一部断面の正面図で示したのが図7である。この筆記具用筒状部材50は、キャビティ底面21とコアピン底面31との間の空間に由来する底部51を有する円筒形状に形成されている。
この底部51は、前記の中心空間42(第1中心面22と第2中心面32との間の空間)に由来する中心部52と、前記のテーパー空間44(第1テーパー面24と第2テーパー面34との間の空間)に由来するテーパー部54と、前記の辺縁空間43(第1辺縁面23と第2辺縁面33との間の空間)に由来する辺縁部53とで構成されている。そして、中心部52は辺縁部53より前方へ突出している。
また、この底部51においては、前記の射出成形用金型の構造に由来して、以下の関係が成立している。
第1に、中心部52の前方面(図中では上方の面)及び辺縁部53の前方面のうち、後方寄りの方(すなわち、辺縁部53の前方面)は、中心部52の後方面(図中では下方の面)及び辺縁部53の後方面のうち、前方寄りの方(すなわち、中心部52の後方面)よりも後方側に位置することとなっている。これにより、中心部52と辺縁部53とがテーパー部54により明瞭に画されることとなっている。
第2に、中心部52の肉厚(A)は、テーパー部54の肉厚(B)より大きくなっている。
第3に、このテーパー部54の肉厚(B)は0.1mm以上0.4mm以下となっている。
第4に、側面部の肉厚(C)は、テーパー部54の肉厚(B)の1.7倍以上となっている。
第5に、テーパー部54と軸心35方向とがなす角(θ)は0°以上45度以下となっている。
以上の関係が成立するため、筆記具用筒状部材50は、偏肉がなく、また、側面に孔が形成されるようなことがない。
以下、本発明を実施例と比較例との対比で説明する。
なお、以下の実施例及び比較例においては、前記第1の実施の形態による射出成型用金型10によって、ポリプロピレンを溶融樹脂として用いた射出成形により形成された筆記具用筒状部材50により本発明の効果を検証している。ちなみに、前記第2の実施の形態による場合も、下記と同様の効果を奏することが判明している。
まず、前記θ(図2参照)を30°に固定し、前記L(図1参照)を81.6mmに、また、前記D(図1参照)を7.7mmとしてL/D=10.6とした条件で、下記表1のように前記A、B及びC(図2参照)の値を各々設定した実施例及び比較例に係る射出成型用金型10を製作し、これにより筆記具用筒状部材50を成形した。
なお、評価基準は、偏肉及び側面の孔が全く見られないものをa、偏肉がわずかに認められるが実用上及び外観上問題がないものをb、偏肉がこのbより著しいものの孔は形成されないものをc、側面に孔が形成され実用上支障を来す程度のものをd、並びに、満足に成形ができないものをeとした。
Figure 2005212397
上記表1に示す結果によると、A>Bを満たし、Bの値が0.1mm以上0.4mm以下であって、かつ、C/Bの値が1.7以上であった実施例1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22及び23は、いずれも偏肉及び側面の孔が全くみられないか、又は実用上問題ない程度の偏肉がみられたにとどまり、満足の行く結果を得た。また、A>Bを満たし、かつ、Bの値が0.1mm以上0.4mm以下であるものの、C/Bの値が1.7未満であった場合でも、偏肉及び側面の孔が全くみられないか(実施例3、9及び18)、実用上問題ない程度の偏肉がみられたか(実施例6、12及び21)、又は偏肉は認められても孔は形成されないか(実施例15及び24)のいずれかであり、おおむね満足のいく結果を得た。さらに、A>Bを満たすもののBの値が0.4mmを超える実施例25から27までは、C/Bの値が1.7以上の場合には偏肉は全くみられないか、又は実用上問題ない程度の偏肉がみられ(実施例25及び26)、C/Bの値が1.7以上でも偏肉は認められても孔は形成されず(実施例27)、これもおおむね満足のいく結果であった。
一方、Bの値がA以上である比較例4から9まで及び13から15までは、C/Bの値にかかわらず、側面に孔が形成され実用に堪えるものではなかった。なお、A>Bを満たすもののBの値が0.1mm未満である比較例1から3まで、10から12まで及び16から18までについては、溶融樹脂がテーパー空間44を通過することができず、満足に成形することが不可能であった。
上記結果から、A>Bを満たし、かつ、Bの値が0.1mm以上0.4mm以下であれば(実施例1から24まで)、少なくとも側面に孔が形成されることのない筆記具用筒状部材50が得られることとなった。とりわけ、C/Bの値が1.7以上であれば(実施例1、2、4、5、7、8、10、11、13、14、16、17、19、20、22及び23)、偏肉は全くみられないか、みられたとしてもわずかであり、満足のいく結果となった。また、Bの値が0.4mmを超えていても、A>Bを満たしていれば、少なくとも側面に孔が形成されることのない筆記具用筒状部材50が得られることとなった。
次に、上記の実施例のうちから実施例19(A=0.8mm,B=0.2mm,C=0.40mm)を選び、前記θを下記表2のように各々設定した実施例及び比較例に係る射出成型用金型10を製作し、これにより筆記具用筒状部材50を成形した。
なお、評価基準は、前記表1の場合と同様とした。
Figure 2005212397
上記表2に示す結果によると、θが45°以下である実施例28から31までは、偏肉及び側面の孔が全く見られなかった。
一方、θが45℃を超える比較例8は、偏肉がわずかに認められた。
よって、上記結果から、θの値は45°以下が望ましいことが認められた。
本発明の第1の実施の形態に係る射出成型用金型を正面断面図で模式的に示したものである。 図1のゲート近傍の部分を拡大して示したものである。 図1の射出成型用金型に溶融樹脂が充填された状態を示したものである。 本発明の第1の実施の形態に係る筆記具用筒状部材を一部断面正面図で示したものである。 本発明の第1の実施の形態に係る筆記具用筒状部材が使用された加圧式ボールペンを正面断面図で示したものである。 本発明の第2の実施の形態に係る射出成型用金型のゲート近傍の部分を拡大して正面断面図で模式的に示したものである。 本発明の第2の実施の形態に係る筆記具用筒状部材を一部断面正面図で示したものである。
符号の説明
10 射出成型用金型 11 キャビティプレート
12 コアプレート 13 ランナー溝
14 ランナープレート 15 ランナー保持ピン
16 突き出しプレート
20 キャビティ 21 キャビティ底面
22 第1中心面 23 第1辺縁面
24 第1テーパー面 25 ゲート
30 コアピン 31 コアピン底面
32 第2中心面 33 第2辺縁面
34 第2テーパー面 35 軸心
40 キャビティ空間 42 中心空間
43 辺縁空間 44 テーパー空間
50 筆記具用筒状部材 51 底部
52 中心部 53 辺縁部
54 テーパー部
60 ランナー
70 加圧式ボールペン 71 外軸
72 リフィル 73 インク収容管
74 インク 75 ボールペンチップ
76 継ぎ手部材 77 内軸
78 カバー部材

Claims (9)

  1. 断面円形で底面を有する長孔状のキャビティ内に同キャビティと軸心同一でかつ同キャビティより小径の円柱状のコアピンを挿入してなる射出成型用金型に、同キャビティ底面の中心に設けられるゲートより溶融樹脂を射出して成形されるとともに、同キャビティ底面と同コアピンの底面との間の空間により形成される底部を有する円筒状の筆記具用筒状部材であって、
    前記キャビティ底面は、
    (a)ゲートを中心とする円形の第1中心面、
    (b)前記第1中心面の辺縁側に位置し同第1中心面に対し段差を形成する第1辺縁面、及び
    (c)前記第1中心面から前記第1辺縁面までを少なくとも縮径することなく連結する第1テーパー面
    により構成され、
    前記コアピン底面は、
    (d)同コアピンの軸心を中心とする円形の第2中心面、
    (e)前記第2中心面の辺縁側に位置し同第2中心面に対し前記第1中心面と前記第1辺縁面との段差と同様の段差を形成する第2辺縁面、及び
    (f)前記第2中心面から前記第2辺縁面までを少なくとも縮径することなく連結する第2テーパー面
    により構成され、
    前記底部は、
    (g)前記第1中心面と前記第2中心面との間の空間により形成される中心部、
    (h)前記第1辺縁面と前記第2辺縁面との間の空間により形成される辺縁部、及び
    (i)前記第1テーパー面と前記第2テーパー面との間の空間により形成され前記中心部から前記辺縁部までを少なくとも縮径することなく連結するテーパー部
    により構成されるとともに、
    前記コアピンが前記キャビティに挿入される方向を前方と定義し、かつ、同コアピンが同キャビティから抜去される方向を後方と定義したとき、前記中心部の前方側の面及び前記辺縁部の前方側の面のうち後方側に位置する方の面は、前記中心部の後方側の面及び前記辺縁部の後方側の面のうち前方側に位置する方の面より、後方側に位置することを特徴とする筆記具用筒状部材。
  2. 前記中心部の肉厚をA及び前記テーパー部の肉厚をBとした場合、
    A>B
    なる関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の筆記具用筒状部材。
  3. 前記Bは、0.1mm以上0.4mm以下であることを特徴とする請求項2記載の筆記具用筒状部材。
  4. 前記円筒の側面の肉厚をCとした場合、
    C/B≧1.7
    なる関係を満たすことを特徴とする請求項2又は3記載の筆記具用筒状部材。
  5. 前記円筒の軸心方向と前記テーパー部とがなす角をθとした場合、
    0°≦θ≦45°
    なる関係を満たすことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の筆記具用筒状部材。
  6. 前記中心部は、前記辺縁部より後方側に位置することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の筆記具用筒状部材。
  7. 前記中心部は、前記辺縁部より前方側に位置することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の筆記具用筒状部材。
  8. 断面円形で底面を有する長孔状のキャビティ内に同キャビティと軸心同一でかつ同キャビティより小径の円柱状のコアピンを挿入してなるとともに、同キャビティ底面の中心に設けられるゲートより溶融樹脂を射出して成形されるとともに、同キャビティ底面と同コアピンの底面との間の空間により形成される底部を有する円筒状の筆記具用筒状部材を成形するための射出成型用金型であって、
    前記キャビティ底面は、
    (a)ゲートを中心とする円形の第1中心面、
    (b)前記第1中心面の辺縁側に位置し同第1中心面に対し段差を形成する第1辺縁面、及び
    (c)前記第1中心面から前記第1辺縁面までを少なくとも縮径することなく連結する第1テーパー面
    により構成され、
    前記コアピン底面は、
    (d)同コアピンの軸心を中心とする円形の第2中心面、
    (e)前記第2中心面の辺縁側に位置し同第2中心面に対し前記第1中心面と前記第1辺縁面との段差と同様の段差を形成する第2辺縁面、及び
    (f)前記第2中心面から前記第2辺縁面までを少なくとも縮径することなく連結する第2テーパー面
    により構成されるとともに、
    前記コアピンが前記キャビティに挿入される方向を前方と定義し、かつ、同コアピンが同キャビティから抜去される方向を後方と定義したとき、前記第1中心面及び前記第1辺縁面のうち後方側に位置する方の面は、前記第2中心面及び前記第2辺縁面のうち前方側に位置する方の面より、後方側に位置することを特徴とする射出成型用金型。
  9. 断面円形で底面を有する長孔状のキャビティ内に同キャビティと軸心同一でかつ同キャビティより小径の円柱状のコアピンを挿入してなる射出成型用金型であって、
    前記キャビティ底面は、
    (a)同底面の中心に設けられるゲートを中心とする円形の第1中心面、
    (b)前記第1中心面の辺縁側に位置し同第1中心面に対し段差を形成する第1辺縁面、及び
    (c)前記第1中心面から前記第1辺縁面までを少なくとも縮径することなく連結する第1テーパー面
    により構成され、
    前記コアピンが前記キャビティ底面と対向するコアピン底面は、
    (d)同コアピンの軸心を中心とする円形の第2中心面、
    (e)前記第2中心面の辺縁側に位置し同第2中心面に対し前記第1中心面と前記第1辺縁面との段差と同様の段差を形成する第2辺縁面、及び
    (f)前記第2中心面から前記第2辺縁面までを少なくとも縮径することなく連結する第2テーパー面
    により構成されるとともに、
    前記コアピンが前記キャビティに挿入される方向を前方と定義し、かつ、同コアピンが同キャビティから抜去される方向を後方と定義したとき、前記第1中心面及び前記第1辺縁面のうち後方側に位置する方の面は、前記第2中心面及び前記第2辺縁面のうち前方側に位置する方の面より、後方側に位置する射出成型用金型に、
    前記ゲートより溶融樹脂を射出して、前記キャビティ底面と前記コアピン底面との間の空間により形成される底部を有する円筒状の筆記具用筒状部材を成形することを特徴とする筆記具用筒状部材成型方法。
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JP2015168252A (ja) * 2014-03-11 2015-09-28 三菱鉛筆株式会社 筆記具用筒状部材
JP2016000495A (ja) * 2014-06-12 2016-01-07 株式会社トキワ 射出成形用金型及び筒状部材成形方法

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