JP2005211799A - アルカリイオン整水器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極およびイオン交換膜の寿命を延ばし、使用開始当初の整水能力を長期間維持することができるアルカリイオン整水器を提供する。
【解決手段】 イオン交換膜16の両側の空間12a及び12bにそれぞれ導入された水道水からアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成する電解槽12と、その電解槽12内に水道水を供給する水道水供給路11aと、上記電解槽12からアルカリイオン水を吐水するアルカリイオン水吐水路11bと、上記電解槽12から酸性イオン水を排出する酸性イオン水排出路11cとを具備するアルカリイオン整水器において、一対の電極17a、17bに印加する電圧の極性を反転させると共に、上記電解槽12内の12a及び12bの空間と、上記アルカリイオン水吐水路11b及び上記酸性イオン水排出路11cとを相互に接続する接続流路を接続状態が反転するように切り替える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水道から供給される水道水を電離してアルカリイオン水及び酸性イオン水を供給可能なアルカリイオン整水器に関し、特に、電解槽内においてアルカリイオン水と酸性イオン水とを分離生成するタイプのアルカリイオン整水器に関する。
水道水からアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成するアルカリイオン整水器としては、正負の電極間にイオン交換膜を介在させ、水の電気分解作用を利用して、アルカリイオン水と酸性イオン水とに分離生成するものがある。また、このようなアルカリイオン整水器としては、水道のカラン(蛇口)から取水し、専用吐水口からアルカリイオン水、酸性イオン水を吐水する、シンク上へ本体を設置するタイプのものや、取水、吐水を行う専用のカランを設け、アンダーシンク内へ本体を設置する、いわゆるビルトインタイプのものがあるが、これは取水及び吐水を行う専用のカランを有し、水道のカランとは別の専用吐水口からアルカリイオン水を吐水するものである。
このビルトインタイプのアルカリイオン整水器(例えば、特許文献1参照)は、利用者がアルカリイオン整水器へ接続された原水管の水栓を開くことによって原水管から水道水が通水されて電解槽に供給され、この電解槽でアルカリ水と酸性水とが生成される。そして、電解槽で生成されたアルカリ水が吐水管を経て吐水されると共に、酸性水が酸性水吐出管を経て排水される。また、利用者が水栓を閉じることによって原水管からの通水が停止されることによってアルカリ水の吐水が停止する。
このようなアルカリイオン整水器では、電極へ印加する電圧の極性が常に固定されていた。この場合、アルカリイオン水が生成される陰極側の電極には、原水に含まれるカルシウムなどのスケール(以下、不純物ともいう)が付着するため、長期間使い続けるとそのスケールにより電極が覆われてしまい、次第に水道水が電気分解されなくなることにより、アルカリイオン整水器の整水性能の低下を引き起こしていた。また、正負の電極間に介在されたイオン交換膜にも同様なスケールが付着するため、イオン交換膜の寿命の低下をも引き起こしていた。
このような電極に不純物が付着することを防止する技術として、電極の極性を反転させるものが提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献2では、不純物が析出するにつれ電気抵抗が増大してきた時に電極を反転させる方法を採っているため、電極の摩耗が早いという欠点があった。また、特許文献3では、電解槽を偶数個並列接続する構成を採っているため、コストが高くなると共に複雑な接続構成を要するという欠点があった。
また、不純物を除去するような電解槽内の洗浄を目的とした一時的な電極の反転では、電極にかかる負担やその摩耗が一方に偏ってしまうため、バランスよく各機能の性能が維持できず、使用開始当初の整水能力も長期間維持させることが困難であった。
特開平10−192858号公報 特開平05−50065号公報 特開平07−290061号公報
本発明はこのような事情に鑑み、電極及びイオン交換膜の寿命を延ばし、使用開始当初の整水能力を長期間維持することができるアルカリイオン整水器を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、イオン交換膜を有すると共に当該イオン交換膜の両側の第1及び第2の空間にそれぞれ導入された水道水からアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成する電解槽と、該電解槽内に水道水を供給する水道水供給路と、前記電解槽からアルカリイオン水を吐水するアルカリイオン水吐水路と、前記電解槽から酸性イオン水を排出する酸性イオン水排出路とを具備し、前記イオン交換膜の両側の前記第1及び第2の空間に設けられた一対の電極に印加される電圧の極性に応じて前記第1及び第2の空間でそれぞれアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成するアルカリイオン整水器において、前記一対の電極に印加する電圧の極性を反転させると共に、前記電解槽の前記第1及び第2の空間と、前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路とを相互に接続する接続流路を接続状態が反転するように切り替える反転手段を具備することを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第1の態様では、電極に印加する電圧極性の反転に伴って、電解槽内のアルカリイオン水が生成される空間からアルカリイオン水が吐水されるまでの接続流路及び電解槽内の酸性イオン水が生成される空間から酸性イオン水が排出されるまでの接続流路の接続状態を相互に反転させているため、電極に印加する電圧極性を反転しても通常のようにアルカリイオン水を利用することができる。また、電極の極性を反転させることにより電極が交互に使用されるため、電極に不純物が付着することが防止されると共に、バランスよく電極を消耗させることができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記接続流路は、前記第1及び第2の空間の何れか一方と前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路の何れか一方とを連結する第1の流路と、この第1の流路に設けられた第1の吐出弁と、前記第1及び第2の空間の他方と前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路の他方とを連結する第2の流路と、この第2の流路に設けられた第2の吐出弁と、前記第1の流路の前記第1の吐出弁の上流側を前記第2の流路の前記第2の吐出弁の下流側へ連通させる第3の流路と、この第3の流路に設けられた第3の吐出弁と、前記第2の流路の前記第2の吐出弁の上流側を前記第1の流路の前記第1の吐出弁の下流側へ連通させる第4の流路と、この第4の流路に設けられた第4の吐出弁とを具備し、前記反転手段は、前記電極に対する電圧極性の反転に連動させて、前記第1及び第2の吐水弁の開時に前記第3及び第4の吐出弁を閉にする第1の切替状態と、前記第1及び第2の吐水弁の閉時に前記第3及び第4の吐出弁を開にする第2の切替状態とを反転させることを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第2の態様では、電極に対する電圧極性の反転に連動して、アルカリイオン水及び酸性イオン水を通過させる接続流路が反転されるように、第1の流路に設けられた第1の吐出弁及び第2の流路に設けられた第2の吐出弁が開かれている時は、第3の流路に設けられた第3の吐出弁及び第4の流路に設けられた第4の吐出弁が閉じられるように、第1の流路に設けられた第1の吐出弁及び第2の流路に設けられた第2の吐出弁が閉じられている時は、第3の流路に設けられた第3の吐出弁及び第4の流路に設けられた第4の吐出弁が開かれるように、第1及び第2の吐出弁と第3及び第4の吐水弁との開閉状態を相互に切り替えている。これにより、電極の反転に関わらず、電解槽内で生成されたアルカリイオン水を通常の吐水口から吐水させ、また電解槽内で生成された酸性イオン水を通常の排出口から排出させることができる。
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記接続流路は、前記第1及び第2の空間からの2系統の流路と前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路への2系統の流路とを接続する2入力2出力の切替手段を含み、この前記第1及び第2の空間の何れか一方と前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路の何れか一方とを連結すると共に他方同士を連結する第1の切替状態と、前記第1及び第2の空間のそれぞれを前記第1の切替状態とは異なる他方へ連結する第2の切替状態とを具備し、前記反転手段は、前記電極に対する電圧極性の反転に連動させて、前記切替手段の第1の切替状態と前記第2の切替状態とを反転させることを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第3の態様では、電極に対する電圧極性の反転に連動して、2入力2出力の切替手段が、アルカリイオン水及び酸性イオン水を通過させる接続流路が反転されるように、接続流路を相互に切り替えている。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記アルカリイオン水の吐水を停止する際、前記電解槽への電圧印加を停止した後、前記電解槽の少なくとも酸性イオン水側の水を水道水と置換するようにしたことを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第4の態様では、アルカリイオン水の吐水が停止すると、電解槽内の少なくとも酸性イオン水側にある水だけが水道水に置換される。このため、電極を反転した際に、電解槽内に残された酸性イオン水を外部に排出させることができ、これにより、電極を反転したことにより、アルカリイオン水の吐水口から誤って酸性イオン水が排出されることを防止することができる。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記電解槽の少なくとも前記イオン交換膜に対向する領域の一部を可撓膜によって形成すると共に当該電解槽を整水器本体内に配置し、前記電解槽内に供給する水道水を前記電解槽と前記整水器本体との間の空間にも供給して、前記電解槽を水道水中に保持するようにしたことを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第5の態様では、電解槽内で生じる水圧差が電解槽の一部を構成する可撓膜が変形することで実質的に吸収されるため、イオン交換膜が変形することによる破損が防止される。したがって、電解槽に供給する水道水の水圧を上昇させることができ、アルカリイオン水の吐水量を増加させることができる。
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記空間の前記電解槽とは接触しない領域の少なくとも一部に空気が残留している空気部を有することを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第6の態様では、空気部を設けておくことで、可撓膜が変形しやすくなり、電解槽内で生じる水圧差がより確実に吸収される。
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記電解槽の全面が前記可撓膜で構成されていることを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第7の態様では、電解槽内で生じる水圧差が、可撓膜が変形することで確実に吸収される。
本発明の第8の態様は、第1〜7の何れかの態様において、前記可撓膜がプラスチックシートからなることを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第8の態様では、可撓膜を所定材料で形成することで、電解槽内の水圧差を確実に吸収することができる。
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様において、前記整水器本体内には、複数の前記電解槽が、隣接する電解槽と接触することなく保持されていることを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第9の態様では、複数の電解槽を設けることによりアルカリイオン水の流量を増加させることができる。
本発明の第10の態様は、第1〜9の何れかの態様において、前記酸性イオン水排出路を開閉する電磁バルブと、前記電解槽で生成されたアルカリイオン水又は酸性イオン水の流量を検出する流量スイッチとをさらに設け、該スイッチの信号に応じて前記電磁バルブを制御するようにしたことを特徴とするアルカリイオン整水器にある。
かかる第10の態様では、電解槽内の圧力差の発生を比較的小さく抑えることができる。
本発明のアルカリイオン整水器によれば、電極に印加する電圧極性の反転に連動させて流路を反転させているため、電極を反転しない状態と反転した状態とを交互に使用させることができる。したがって、通常の使用方法に比べて各機能をバランスよく維持することができ、電極及びイオン交換膜の寿命を延命させると共に、使用開始当初の整水能力を長期間に亘り維持させることが可能となる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明の構成は以下の説明に限定されない。
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るアルカリイオン整水器の概略断面図である。
図示するように、本発明のアルカリイオン整水器10は、外枠を構成する整水器本体11内部で、水道水が電離されてアルカリイオン水と酸性イオン水とが生成される電解槽12が保持されている。また、整水器本体11には、原水管110Aに接続されて原水管110Aからの水道水を内部に導入する水道水供給路11aを有する水道水供給パイプ13と、電解槽12内で生成されたアルカリイオン水を吐水するアルカリイオン水吐水路11bを有するアルカリイオン水吐水パイプ14と、電解槽12内で生成された酸性イオン水を排出する酸性イオン水排出路11cを有する酸性イオン水排出パイプ15とを具備する。
具体的には、整水器本体11の水道水供給路11aを有する水道水供給パイプ13が電解槽12の下端部側に接続され、また、電解槽12の上端部側には、アルカリイオン水吐水路11bを有するアルカリイオン水吐水パイプ14と、酸性イオン水を排出する酸性イオン水排出路11cを有する酸性イオン水排出パイプ15とが、後述する連結パイプを介してそれぞれ接続されている。そして、これらの各パイプ13、14、15が整水器本体11に固定されることで、電解槽12が整水器本体11内に保持されている。
電解槽12内には、イオン交換膜16が固定されており、このイオン交換膜16によって電解槽12内が2つの空間12a、12bに区画されている。また、電解槽12内のイオン交換膜16に対向する領域には、一対の電極17a、17bが設けられており、各電極17a、17bは、図示しない制御部に接続されている。
また、アルカリイオン整水器10のアルカリイオン水吐水パイプ14は、蛇口100側の水道管110Bに接続され、酸性イオン水排出パイプ15は、排出口120と接続されている。さらに、蛇口100には、水栓101が設けられており、この水栓101が開閉されることにより、アルカリイオン水が利用される。
ここで、電解槽12内で生成されたアルカリイオン水は、アルカリイオン水吐水パイプ14を経て提供され、一方、電解槽12内で生成された酸性イオン水は、酸性イオン水排出パイプ15を経て排出されるが、アルカリイオン水吐水パイプ14は空間12bへ、酸性イオン水排出パイプ15は空間12aへ、それぞれ、第1及び第2の連結パイプ14A及び15Aを介して接続されている。また、第1の連結パイプ14Aには、その上流側から分岐して第2の連結パイプ15Aへ連通する第3の連結パイプ14Bが設けられ、第2の連結パイプ15Aには、その上流側から分岐して第1の連結パイプ14Aへ連通する第4の連結パイプ15Bが設けられている。
また、これら第1〜第4の連結パイプ14A、14B、15A、及び15Bの途中には、電磁バルブ31、32、33、及び34がそれぞれ設けられており、蛇口100又は排出口120に繋がる流路は、これら各電磁バルブ31〜34の開閉動作によって制御されている。
具体的には、電磁バルブ31は、第1の連結パイプ14A上の第3の連結パイプ14Bの分岐部より下流側で第4の連結パイプ15Bの連通部より上流側に設けられている。また、電磁バルブ32は、第2の連結パイプ15A上の第4の連結パイプ15Bの分岐部より下流側で第3の連結パイプ14Bの連通部より上流側に設けられている。また、電磁バルブ33は、第3の連結パイプ14B上に設けられ、電磁バルブ34は、第4の連結パイプ15B上に設けられる。
さらに、酸性イオン水排出パイプ15の排出口120側には、電磁バルブ30が設けられており、酸性イオン水の排出は、この電磁バルブ30の開閉によって制御されている。
また、アルカリイオン水吐水パイプ14と水道管110Bとの接続部分には、流量スイッチ40が設けられており、この流量スイッチ40からの信号に基づいて、電解槽12内の電極17a、17b間に所定の電圧が印加されると共に、電磁バルブ30が開閉されるようになっている。このような流量スイッチ40及び電磁バルブ30の制御、あるいは電解槽12内の電極に供給する電圧の制御等は、図示しない制御部によって制御されている。
ここで、電極17a、17bは、水栓101が閉じられると、印加する電圧の極性(+、−)が反転するように制御される。すなわち、アルカリイオン水の吐水が停止される毎に、電極の+と−が切り替わることになる。
また、各電磁バルブ31〜34、及び電磁バルブ30は、図示しない制御部が電気的な信号に基づいてその開閉動作が制御できるものであればよく、特にその構成は問わない。
このうち、各電磁バルブ31〜34は、電極17a、17bに印加する電圧の極性が反転された際に、それに連動して接続流路も反転するように開閉される。すなわち、例えば、図1において電極17aに+の電圧、電極17bに−の電圧が印加されている状態では、電磁バルブ31及び32が開、電磁バルブ33及び34が閉となっており、+電極が備わる空間12aで生成された酸性イオン水は第2の連結パイプ15Aを介して酸性イオン水排出パイプ15を経て排出口120から排出され、−電極が備わる空間12bで生成されたアルカリイオン水は第1の連結パイプ14Aを介してアルカリイオン水吐水パイプ14を経て蛇口100から吐水される。ここで、アルカリイオン水の吐水が停止されると、電極17a、17bの極性が反転され、電極17aに−の電圧、電極17bに+の電圧が印加されると共に、アルカリイオン水と酸性イオン水とが生成される空間12a、12bが反転され、空間12aではアルカリイオン水が、空間12bでは酸性イオン水が生成されるようになるため、それに連動してアルカリイオン水吐水パイプ14及び酸性イオン水排出パイプ15への接続流路も、電磁バルブ31〜34を開閉して切り替えるようにする。すなわち、電磁バルブ31及び32を閉、電磁バルブ33及び34を開とし、空間12bが第3の連結パイプ14Bを介して酸性イオン水排出パイプ15へ接続される一方、空間12aが第4の連結パイプ15Bを介してアルカリイオン水吐水パイプ14へ接続されるようにする。これにより、電極17a、17bの極性が反転されても連動して接続流路も反転されるため、アルカリイオン水が蛇口100から吐水され、また酸性イオン水が排出口120から排出されるようになっている。
次に、上述のような構成からなるアルカリイオン整水器10の動作について図2及び図3を用いて説明する。なお、図2は、本発明の実施形態1に係る制御系の一例を示すブロック図であり、図3は、本発明の実施形態1に係る電極及び電磁バルブの動作例を示す図である。図2は、図1の制御系を示しており、その構成及び機能は同様とし、図3は、図2におけるアルカリイオン水の利用インターバル毎の切替状態を示している。
図示するように、本実施形態では、制御部50が主体となって、電極17a、17bへの電圧の印加を含む電源系、流量スイッチ40、電磁バルブ31〜34、及び電磁バルブ30が制御される。そして、反転手段60は、電極17a、17bに印加する電圧の極性を反転させると共に、電解槽12内の何れかの空間12a、12bから蛇口100に至るまでの接続流路又は電解槽12内の何れかの空間12a、12bから排出口120に至るまでの接続流路をそれぞれ反転させる機能を備えている。このような制御部50としては、入力信号又は出力信号に基づいてその周辺機器の全体あるいは一部の動作を制御することが可能な機能を持つものであれば、その構成は問わない。例えば、制御部50として、一般的なマイクロプロセッサ及びメモリなどを具備する制御装置などが挙げられる。このような制御部50及び反転手段60の制御により、アルカリイオン整水器10が動作してアルカリイオン水が提供されることになる。
まず、アルカリイオン整水器10には、水道水が原水管110Aに接続される水道水供給路11aから電解槽12内に常に所定の圧力で供給されている。そして、利用者が蛇口100部分に設けられた水栓101を開くと、電解槽12内で生成されたアルカリイオン水が第1の連結パイプ14A及びアルカリイオン水吐出パイプ14を介して蛇口100から所定の流量で供給され始める。また同時に、アルカリイオン水吐水パイプ14と水道管110Bとの間に設けられた流量スイッチ40が、アルカリイオン水が流れ始めたことを検出し、この流量スイッチ40からの信号に基づいて、電解槽12内の電極17a、17b間には所定の電圧が印加される。さらに、酸性イオン水排出パイプ15に設けられた電磁バルブ30が開放されて排出口120から酸性イオン水が排出される。すなわち、水栓101が停止されると、制御部50は、流量スイッチ40が検出したアルカリイオン水の
吐水の開始を示す信号を取得して、電極17a、17b間に所定の電圧を印加すると共に、電磁バルブ30を開放し排出口120から酸性イオン水を排出させるように制御する。
なお、上述した状態は、図3の“第1の切替状態”に示すように、電極17aには+電圧が印加され、電極17bには−電圧が印加され、電磁バルブ31及び32は開放され、電磁バルブ33及び34は閉じられている状態である。すなわち、第1の連結パイプ14Aと第2の連結パイプ15Aが開放された状態(以下、「第1の切替状態」とする)である。
ここで、水道水供給路11aを介して電解槽12の下端部側から電解槽12内に供給された水道水は、イオン交換膜16で区切られた両側の空間12a、12bにそれぞれ流れ込む。そして、両電極17a、17b間には所定の電圧が印加されているため、電解槽12内、すなわち、イオン交換膜16と電極17a、17bとの間を通過する際に、水道水は水素イオンHと水酸イオンOHとに電離し、水素イオンHがイオン交換膜16を介して一方の空間に集まることで、アルカリイオン水と酸性イオン水とが生成される。すなわち、2つの空間のうちの−電極(陰極)17b側の空間12bでは、イオン交換膜16を通過して水素イオンHが集まり、水道水(2HO)は、電子(2e-)によりH+2OH-に整水され、アルカリイオン水が生成される。一方、+電極(陽極)17a側の空間12aでは、水道水(2HO)は、O+4H+4e-に整水され、酸性イオン水が生成される。このように水道水は、この電解槽12を通過する際に連続的に電離され、これにより生成されたアルカリイオン水がアルカリイオン水吐水路11bを経て蛇口100から吐水されると共に、酸性イオン水が酸性イオン水排出路11cを経て排出口120から排出される。
ここで、利用者が水栓101を閉めることでアルカリイオン水の吐水が停止されると共に、アルカリイオン水吐水路11b内の流れが停止した際、電解槽12内への各電極17a、17bに印加する電圧の極性が反転されると共に、電解槽12から接続されるアルカリイオン水吐水パイプ14及び酸性イオン水排出パイプ15までの接続流路が反転されるように電磁バルブ31〜34の開閉動作が制御される。すなわち、制御部50が、流量スイッチ40が検出したアルカリイオン水の吐水の停止を示す信号を取得すると、反転手段60は、図3の“第2の切替状態”に示すように、電極17aを−電極とし、電極17bを+電極とするように印加する電圧の極性を反転させると共に、電磁バルブ33及び34を開放し、電磁バルブ31及び32を閉じるようにアルカリイオン水と酸性イオン水とが通過する流路をそれぞれ反転させる。すなわち、第3の連結パイプ14Bと第4の連結パイプ15Bとが開放された状態(以下、「第2の切替状態」とする)となり、極性の反転に連動して、接続流路も第1の切替状態から第2の切替状態に反転されることになる。これにより、再び電解槽12内に水道水が導入された際には、空間12aでアルカリイオン水が生成され、空間12bで酸性イオン水が生成されることになり、これに伴って、アルカリイオン水は第2の連結パイプ15A及び第4の連結パイプ15Bを介してアルカリイオン水吐水パイプ14を経て蛇口100から吐水され、酸性イオン水は第1の連結パイプ14A及び第3の連結パイプ14Bを介して酸性イオン水排出パイプ15を経て排出口120から排出されることになる。
また、制御部50は、流量スイッチ40が検出したアルカリイオン水の吐水の停止を示す信号を取得し、電圧の極性及び各流路が反転されたことを確認した後、電極17a、17bに対する電圧印加を停止すると共に、電磁バルブ30に対し酸性イオン水の排出を停止するように指示信号を送出する。これにより、酸性イオン水の排出も停止される。
このとき、電解槽12内の空間12a、12bには、電極17a、17bの極性が変わったことにより薄まった状態のアルカリイオン水と酸性イオン水とからなる電解水が各々停留する。このような電解水は、再び水栓101が開けられアルカリイオン水が利用される際に、捨て水として放出する必要がある。本実施形態では、アルカリイオン水の吐水が停止された後の電解槽12内に残された電解水の取り扱いについて特に限定しないが、例えば、電解槽12内の少なくとも酸性イオン水側(ここでは、空間12a)の電解水を水道水に置換することが好ましい。この場合、制御部50は、電解槽12内に残された酸性イオン水が排出されるまで、電磁バルブ30を開放しておくように制御すればよい。そして、例えば、酸性イオン水排出パイプ15の排出口120側に流量スイッチを設けておいて排出量が所定量になるまでを積算し、所定値に達した際に電磁バルブ30を閉じるように制御してもよい。これにより、電極17a、17bの極性及び接続流路が反転されたことで、次の利用時に誤って電解槽12内の酸性イオン水が蛇口100から排出してしまうことを防止することができる。
ここで、各電極17a、17bの極性及び接続流路は、上述したように第2の切替状態となっているため、再び利用者が水栓101を開くと、電解槽12内の空間12aで生成されたアルカリイオン水が第2の連結パイプ15A及び第4の連結パイプ15Bを介してアルカリイオン水吐水パイプ14を経て蛇口100から所定の流量で供給され始める。また同時に、酸性イオン水排出パイプ15に設けられた電磁バルブ30が開放されて、電解槽12内の空間12bで生成された酸性イオン水が第1の連結パイプ14A及び第3の連結パイプ14Bを介して酸性イオン水排出パイプ15を経て排出口120から排出される。
そして、再び利用者が水栓101を閉めることで、制御部50が、流量スイッチ40が検出したアルカリイオン水の吐水の停止を示す信号を取得すると、反転手段60は、極性を反転させると共に、接続流路を第2の切替状態から第1の切替状態へと反転させる。すなわち、電極17aが+電極となり、電極17bが−電極となるように極性が反転されると共に、電磁バルブ31及び32が開放され、電磁バルブ33及び34が閉じられるように制御される。これにより、再び電解槽12内に水道水が導入された際には、空間12bでアルカリイオン水が生成され、空間12aで酸性イオン水が生成されることになり、これに伴って、アルカリイオン水は電磁バルブ31が備わる第1の連結パイプ14Aを経て蛇口100から吐水され、酸性イオン水は電磁バルブ32が備わる第2の連結パイプ15Aを経て排出口120から排出されることになる。
このように本実施形態では、アルカリイオン水の利用インターバル毎に、各電極17a、17bに印加する電圧の極性の反転、アルカリイオン水及び酸性イオン水の接続流路の反転が繰り返され、電極17a、17b、電解槽12内の空間12a、12b、電磁バルブ31〜34などの各機能が交互に使用される。これにより、本実施形態では、電極17a、17b及びイオン交換膜16の寿命が、一方の機能を連続して使用する場合に比べて2倍に延びると考えられている。
このように本実施形態のアルカリイオン整水器10では、各電極17a、17bに印加する電圧の極性の反転に連動して、アルカリイオン水吐水パイプ14及び酸性イオン水排出パイプ15に至るまでの接続流路を反転させているため、電極17a、17bを反転したままの状態であっても通常のようにアルカリイオン水を利用することができると共に、各機能を同じような時間間隔で交互に使用させることができる。これにより、電極17a、17b及びイオン交換膜16の一方に不純物が付着すること、また各機能の消耗や動作負担が一方に偏ることがなくなるため、バランスよく各機能の性能を維持することができると共に、使用当初の整水能力を長期に亘り維持することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではなく、次のような様々な変形が可能である。
上述した実施形態では、アルカリイオン水の吐水が停止された際、電解槽12内に残された酸性イオン水のみを水道水に置換するようにしているが、例えば、酸性イオン水やアルカリイオン水に関係なく電解槽12内に残された全ての電解水を水道水に置換するようにしてもよい。これにより、電解槽12内の電極17a、17bやイオン交換膜16を一旦水道水にさらすことができ、不純物が付着する原因となる酸を一掃することができる。
また、上述した実施形態では、アルカリイオン水の吐水が停止された際に、極性及び接続流路を反転していたが、これに限定されず、例えば、頻繁に停止する時などは予め時間を決めておき、所定時間毎に反転させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、極性及び接続流路を同じタイミングで反転させていたが、これに限定されず、例えば、水栓101が停止した際に、極性のみを反転させておき、再び水栓101が開けられた際に、接続流路を反転させるように制御してもよい。すなわち、極性の反転と接続流路の反転は実質的な使用状態で連動していればよく、時間的なタイミングが一致する必要はなく、各々の反転のタイミングは適宜制御するようにすればよい。
また、例えば、酸性イオン水排出パイプ15に酸性イオン水の排出量を検出する流量スイッチ(以下、流量スイッチ40aとする;図示せず)を設け、これにより、制御部50は、流量スイッチ40aが検出した実際の酸性イオン水の排出量を取得して、電磁バルブ30の開閉の度合いを調整しながら制御してもよい。
また、流量スイッチ40及び40aが検出した信号は、必ずしも制御部50が取得する必要はなく、流量スイッチ40及び40aが信号を検出した際に、制御部50に通知するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、アルカリイオン整水器10の外部に制御部50が設置されているが、これに限定されず、アルカリイオン整水器10の内部に設けるようにしてもよい。
一方、アルカリイオン水及び酸性イオン水の接続流路を反転させる構成も上述したものに限定されるものではなく、例えば、図4に示すような2入力2出力の切替弁を用いて流路を切り替えるように構成してもよい。なお、図4において、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付してある。
図4に示すように、切替弁300は、2つの入力口301、302と2つの出力口303、304とを有しており、2つの入力口301及び302には、上述した第1及び第2の連結パイプ14A及び15Aをそれぞれ接続する一方、2つの出力口303及び304には、アルカリイオン水吐出パイプ14及び酸性イオン水排出パイプ15を接続するようにして用いるものであり、上述した第3及び第4の連結パイプ14B及び15B、並びに電磁バルブ31〜34は省略することができる。
切替弁300は、位置決め回転することにより2つ入力口301及び302と、2つの出力口303及び304との接続状態を反転することができる切替流路311〜314を有する回転弁310を具備し、回転弁310の回転位置により、図4に示す2つの接続状態を実現する。すなわち、入力口301と出力口303とが流路311を介して連結すると共に入力口302と出力口304とが流路312を介して連結する状態(以下、「切替状態1」とする)と、入力口301と出力口304とが流路313を介して連結すると共に入力口302と出力口303とが流路314を介して連結する状態(以下、「切替状態2」とする)とが切り替えられるようになっている。例えば、本実施形態では、図4(a)が切替状態1であり、図3の第1の切替状態に相当し、図4(b)が切替状態2であり、図3の第2の切替状態に相当する。このような切替弁300としては、電気的に駆動されることで流体の方向を他の方向に切り替えることができる機能を持つものであれば、回転弁310に限定されるものではなく、その構成は問わない。
この切替弁300は、電極17a、17bの電圧極性が反転されると、それに連動してアルカリイオン水と酸性イオン水の流路が切り替わるように切替状態1と切替状態2とを反転させる。すなわち、電極17a、17bの極性が反転される毎に、切替状態1と切替状態2とが交互に入れ替わる。これにより、電極17a、17bの極性が反転されても、上述した実施形態と同様に、アルカリイオン水を蛇口100から吐水させ、また酸性イオン水を排出口120から排出させることができる。
したがって、このような切替弁300を実施形態1に適用しても同様に、各機能を同じ
ような時間間隔で交互に使用させることができ、バランスよく各機能の性能を維持させることができる。
《実施形態2》
本発明は、上述した実施形態1に係るアルカリイオン整水器に限定されるものではなく、例えば、図5及び図6に示すようなアルカリイオン整水器を構成してもよい。図5は、本発明の実施形態2に係るアルカリイオン整水器の断面図であり、図6は、アルカリイオン整水器の概略構成を示す図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明については省略する。
図示するように、アルカリイオン整水器10Aは、外枠を構成する整水器本体11Aと、整水器本体11A内に設けられて内部で水道水を電離する複数の電解槽12Aとを具備する。
各電解槽12A内には、それぞれイオン交換膜16が固定されており、このイオン交換膜16によって電解槽12A内が2つの空間12a、12bに区切られている。また、電解槽12A内のイオン交換膜16に対向する領域には、一対の電極17a、17bがそれぞれ設けられており、各電極17a、17bは、整水器本体11Aに設けられた端子部18と接続配線19によって接続されている。本実施形態では、これらの各電極17a、17bは、例えば、メッシュ状のプラスチックシート等からなりイオン交換膜16と同等の大きさを有する固定部材20の一方の面にそれぞれ取り付けられている。そして、これらの固定部材20が、各空間12a、12bにイオン交換膜16を挟持するように配置されることで、イオン交換膜16に対向する領域に電極17a、17bが設けられている。
このような電解槽12Aの少なくともイオン交換膜16に対向する領域の一部、本実施形態では、電解槽12A全体が所定の柔軟性を有する可撓膜によって形成されている。例えば、本実施形態では、電解槽12Aが、厚さが0.3mm程度のプラスチックシートによって形成されている。
また、このような複数の電解槽12Aが保持された整水器本体11A内、すなわち、各電解槽12Aと整水器本体11Aとの間の空間には水道水が供給され、整水器本体11A内に貯まった水道水(貯留水)21中に各電解槽12Aが保持されている。また、整水器本体11A内には、電解槽12Aに接触しない領域の一部、例えば、本実施形態では、酸性イオン水排出パイプ15Aの上部に空気が残留している空気部22が存在する。このように内部に水道水が供給される整水器本体11Aは、水道水の水圧に耐えられる程度の剛性を有する材料、例えば、ステンレス鋼等で形成する必要がある。
また、貯留水21は、本実施形態では、整水器本体11Aの水道水供給路11aからの水道水が電解槽12Aと共に整水器本体11A内に供給されたものである。すなわち、水道水供給パイプ13の先端部に、整水器本体11A内に連通する微小な連通孔23が設けられており、この連通孔23を介して整水器本体11A内に水道水(貯留水21)が供給されている。そして、本実施形態では、酸性イオン水排出パイプ15Aの先端部にも、整水器本体11A内に連通する微小な連通孔24が設けられており、貯留水21はこの連通孔24を介して酸性イオン水排出パイプ15Aに排出されるようになっている。このため、本実施形態では、整水器本体11A内の酸性イオン水排出パイプ15Aの上部、すなわち、連通孔24の上部側は、空気が残留している空気部22となっている。
なお、本実施形態では、連通孔24を介して貯留水21を酸性イオン水と共に外部に排出するようにしたが、勿論、貯留水21を外部に排出する貯留水排出口を整水器本体11Aに設け、酸性イオン水とは別に外部に排出するようにしてもよい。
このようなアルカリイオン整水器10Aは、上述した実施形態1と同様に、水道水供給パイプ13が、原水側の水道管110Aに接続され、アルカリイオン水吐水パイプ14が、蛇口100側の水道管110Bに接続され、酸性イオン水排出パイプ15が、排出口120に接続される。
さらに、上述した実施形態1と同様に、アルカリイオン水吐水パイプ14は空間12bへ、酸性イオン水排出パイプ15は空間12aへ、それぞれ、第1及び第2の連結パイプ14A及び15Aを介して接続されており、第1の連結パイプ14Aには、その上流側から分岐して第2の連結パイプ15Aへ連通する第3の連結パイプ14Bが設けられ、第2の連結パイプ15Aには、その上流側から分岐して第1の連結パイプ14Aへ連通する第4の連結パイプ15Bが設けられている。
これら第1〜第4の連結パイプ14A、14B、15A、及び15Bの途中には、上述した実施形態1と同様に、電磁バルブ31〜34が設けられており、蛇口100又は排出口120に繋がる流路は、これら各電磁バルブ31〜34の開閉によって制御されている。すなわち、電磁バルブ31は、第1の連結パイプ14A上の第3の連結パイプ14Bの分岐部より下流側で第4の連結パイプ15Bの連通部より上流側に設けられ、電磁バルブ32は、第2の連結パイプ15A上の第4の連結パイプ15Bの分岐部より下流側で第3の連結パイプ14Bの連通部より上流側に設けられる。また、電磁バルブ33は、第3の連結パイプ14B上に設けられ、電磁バルブ34は、第4の連結パイプ15B上に設けられる。
また、酸性イオン水排出パイプ15の排出口120側には、上述した実施形態1と同様に、電磁バルブ30が設けられており、酸性イオン水の排出量はこの電磁バルブ30の開閉によって制御されている。そして、アルカリイオン水排出パイプ14と水道管110Bとの接続部分には、流量スイッチ40が設けられており、この流量スイッチ40からの信号に基づいて電磁バルブ30が開閉されるようになっている。
これら流量スイッチ40及び電磁バルブ30〜34の制御、あるいは電解槽12内の電極17a、17bに供給する電圧の制御等は、図示しない制御部によって制御されている。そして、この図示しない制御部は、上述した実施形態1と同様に、水栓101が閉じられると、電極17a、17bに印加する電圧の極性が反転するように制御すると共に、それに連動して電解槽12から水道管110B又は排出口120に繋がる流路が反転するように電磁バルブ31〜34の開閉動作を制御する。
また、アルカリイオン水吐水パイプ14と接続される蛇口100には、水栓101が設けられており、この水栓101が開閉されることによってアルカリイオン水が利用される。
ここで、水栓101の開閉によりアルカリイオン水吐水パイプ14内の流れが発生又は停止する時刻と、流量スイッチ40がそれを感知して電磁バルブ30が開閉される時刻とは、若干のタイムラグが存在する。このタイムラグによって生じる流水の慣性作用により、電解槽12A内のアルカリイオン水側の空間12bと酸性イオン水側の空間12aとの内部圧力に差が生じてしまう。イオン交換膜16は、例えば、膜厚が12μm程度であるため、この圧力差によってイオン交換膜16が変形して破損する虞がある。
しかしながら、本実施形態では電解槽12Aが可撓膜で形成されているため、例えば、水栓101を開ける際に2つの空間12a、12bに圧力差が生じたとしても、電解槽12A自体が内側に変形することでこの圧力差が吸収されるため、イオン交換膜16の変形による破損を防止することができる。なお、水栓101を閉じた際には、電解槽12A自体が外側に変形することで内部の圧力差が吸収される。
また、電解槽12A内には、上述したように、その内面の電極17a、17bとイオン交換膜16との間に挟持されるように固定部材20が設けられている。すなわち、これらの固定部材20によってイオン交換膜16が挟持されている。したがって、これらの固定部材20によってもイオン交換膜16の変形が抑えられ、電解槽12Aの内部圧力差によるイオン交換膜16の破損をより確実に防止することができる。なお、本実施形態では、電解槽12A全体が可撓膜で形成されているが、勿論、電解槽12A内の圧力差を吸収できれば、可撓膜からなる可撓部を電解槽12Aのイオン交換膜16に対向する領域の一部に設けるようにしてもよい。
また、電解槽12Aの変形によって2つの空間12a、12bの圧力差を吸収するためには、電解槽12Aは、比較的高い柔軟性を有する必要があり、例えば、イオン交換膜16よりも柔軟性を有することが好ましい。この条件を満たすために、電解槽12Aは、比較的膜厚の薄いプラスチックフィルムからなる可撓膜で形成されている。このため、電解槽12Aは、それ自体では水道水供給パイプ13を介して電解槽12A内に供給される水道水の圧力、例えば、1〜6kg/cm程度の圧力に耐えられず破壊されてしまう虞がある。
しかしながら、本実施形態では、水道水供給パイプ13を介して電解槽12A内に水道水が供給される際、水道水供給パイプ13の先端部の連通孔23から整水器本体11A内にも水道水が供給され、整水器本体11A内に貯まった貯留水21内に各電解槽12Aが保持されている。このため、整水器本体11A内の貯留水21の圧力は、電解槽12A内に供給された水道水と略同一の圧力に保持され、電解槽12Aの外面にも、その内面と略同一の水圧がかかる。したがって、電解槽12A内に供給される水道水によって電解槽12Aの内面に比較的高い圧力がかかった場合でも、電解層12Aの外面にも略同一の圧力がかかることになり、電解槽12A自体も水圧の変化に伴う変形によって破損することはない。
また、本実施形態では、貯留水21は、酸性イオン水排出パイプ15Aに設けられた連通孔24から酸性イオン水と共に外部に排出されるようになっている。すなわち、整水器本体11A内には水道水が満充填されておらず、連通孔24の上部側には空気が残留している空気部22が存在する。このため、上述した電解槽12A内の圧力差に伴う電解槽12Aの変形が貯留水21によって妨げられることがなく、イオン交換膜16の破損を防止することができる。
すなわち、上述したように電解槽12A内の圧力差により電解槽12Aが変形した場合、整水器本体11A内の容積が変化する。このとき、貯留水21自体は実質的に容積変化しないため、整水器本体11A内に貯留水が満充填されていると、貯留水21によって電解槽12Aの変形が妨げられる。しかしながら、本実施形態では、整水器本体11A内に空気部22が存在し、電解槽12Aが変形した場合にこの空気部22が容積変化するため、電解槽12Aの変形が妨げられることがない。したがって、整水器本体11A内に空気部22を設けておくことで、イオン交換膜16の破損をより確実に防止することができる。
なお、このような空気部22の容積は、特に限定されないが、整水器本体11A内の容積の20〜30%程度の大きさであることが好ましい。
このように本実施形態のアルカリイオン整水器10Aでは、水道水を比較的高い水圧で供給してもイオン交換膜16及び電解槽12Aが破損することがないため、所定数の電解槽12Aを並設することで、水道水と同等の流量、例えば、一般家庭用では20〜30(L/分)程度、業務用では100(L/分)程度の流量でアルカリイオン水を利用者に供給することができる。
したがって、このようなアルカリイオン整水器10Aによって生成したアルカリイオン水を電気温水器等の給湯器に供給して温水として利用者に提供することもでき、アルカリイオン水を、例えば、入浴やシャワーに利用することができる。なお、アルカリイオン整水器から給湯器にアルカリイオン水を供給する場合、給湯器に供給されるアルカリイオン水の水圧が若干低下する。このため、例えば、図7に示すように、酸性イオン水排出パイプ15A内にこの排出流路の一部を遮断する流量調整部材80を設けることにより、給湯器に供給されるアルカリイオン水の水圧を調整するようにしてもよい。
以上のようにアルカリイオン水を比較的高い水圧で供給することができる本実施形態のアルカリイオン整水器10Aであっても同様に、各電極17a、17bに印加する電圧の極性の反転に連動して、アルカリイオン水吐水パイプ14及び酸性イオン水排出パイプ15に至るまでの接続流路を反転させることができるため、電極17a、17bを反転したままの状態であっても通常のようにアルカリイオン水を利用することができると共に、各機能を同じような時間間隔で交互に使用させることができる。
また、本実施形態においても、図2に示すような制御系がそのまま適用できることは言うまでもない。
また、本実施形態のアルカリイオン水と酸性イオン水の接続流路を反転させる構成には、上述した実施形態1と同様に、4つの電磁バルブ31〜34を用いているが、図4に示すような切替弁300を用いた変形形態をそのまま適用することができる。
一方、電解槽の構造も上述したものに限定されるものではなく、例えば、図8に示すような電解槽12Bを用いたアルカリイオン整水器を構成してもよい。なお、図8において、上述した実施形態2と同様の部材には同一の符号を付してある。
図8に示すように、電解槽12Bには、イオン交換膜16と、イオン交換膜16に対向するように、一対の電極17a、17bが設けられている。また、電解槽12Bは、上述した実施形態2と同様に、全体が所定の柔軟性を有する可撓膜によって形成されている。
各電極17a、17bのそれぞれは、電解槽12Bの内面に設けられた4つの固定部材20Aによって固定されている。この固定部材20Aは、電解槽12Bの内面と電極17a、17bとの間に設けられて、例えば、1mmの隙間を形成する円筒形状を有するスペーサ20aと、スペーサ20aとの間で電極17a、17bを挟持する円筒形状を有するスリーブ20bと、スペーサ20a及びスリーブ20bを挿通して一端が電解槽12Bに固定されたリベット20cとで構成されている。
また、イオン交換膜16は、電極17aを保持するスリーブ20bと電極17bを保持するスリーブ20bとの間で挟持されている。すなわち、イオン交換膜16は、各電極17a、17bを固定するスリーブ20bによって4箇所で挟持されている。このとき、各電極17a、17bとイオン交換膜16間は、例えば、それぞれ3mmの隙間となるように構成すればよい。
上述した実施形態2では、メッシュ状の固定部材20によってイオン交換膜16を挟持していた。しかしながら、本発明の実施は、電解槽の構造及び電解槽内のイオン交換膜を挟持する固定部材又はその固定方法には限定されず、例えば、上述した4つの固定部材20Aを用いることによっても同様にイオン交換膜16の破損を防止することができる。
したがって、このような電解槽12Bを上述した実施形態2のアルカリイオン整水器10Aに適用した場合であっても、水栓101を開閉して圧力差が生じた際に、電解槽12Bの可撓膜によってその圧力差を吸収することができ、イオン交換膜16が圧力差により破損することを防止することができる。
また、例えば、上述した実施形態2では、酸性イオン水は利用することなく配水管に流すようにしたが、例えば、専用タンク等に貯留することにより酸性イオン水も利用できるようにすることもできる。なお、このような場合には、酸性イオン水とは別に貯留水を外部に排出するようにすることが望ましい。
また、上述した実施形態2では、複数の電解槽12Aが、整水器本体11A内に所定の間隔で並設されるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、隣接する各電解槽12Aの間に間隔を空けずに、外周面が接触するように並設するようにしてもよい。このように隣接する各電解槽12Aに間隔を空けずに、並設するようにしても、接触していない可撓膜によって電解槽12A内の圧力差の吸収を行わせることができると共に、小型化することができる。
本発明は、電極に電圧を印加して水の電気分解作用によりアルカリイオン水と酸性イオン水を分離生成する装置などに適用可能である。
本発明の実施形態1に係るアルカリイオン整水器の概略断面図である。 本発明の実施形態1に係る制御系の一例を示すブロック図である。 本発明の実施形態1に係る電極及び電磁バルブの動作例を示す図である。 本発明の実施形態1に係るアルカリイオン整水器の変形構成例を示す図である。 本発明の実施形態2に係るアルカリイオン整水器の断面図である。 本発明の実施形態2に係るアルカリイオン整水器の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態2に係るアルカリイオン整水器の変形例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る電解槽の変形構成例を示す断面図である。
符号の説明
10、10A アルカリイオン整水器
11、11A 整水器本体
12、12A、12B 電解槽
13 水道水供給パイプ
14、 アルカリイオン水吐水パイプ
15、 酸性イオン水排出パイプ
14A、14B、15A、15B 連結パイプ
16 イオン交換膜
17a、17b 電極
20、20A 固定部材
30、31、32、33、34 電磁バルブ
40 流量スイッチ
50 制御部
60 反転手段
300 切替弁

Claims (10)

  1. イオン交換膜を有すると共に当該イオン交換膜の両側の第1及び第2の空間にそれぞれ導入された水道水からアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成する電解槽と、該電解槽内に水道水を供給する水道水供給路と、前記電解槽からアルカリイオン水を吐水するアルカリイオン水吐水路と、前記電解槽から酸性イオン水を排出する酸性イオン水排出路とを具備し、前記イオン交換膜の両側の前記第1及び第2の空間に設けられた一対の電極に印加される電圧の極性に応じて前記第1及び第2の空間でそれぞれアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成するアルカリイオン整水器において、
    前記一対の電極に印加する電圧の極性を反転させると共に、前記電解槽の前記第1及び第2の空間と、前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路とを相互に接続する接続流路を接続状態が反転するように切り替える反転手段を具備することを特徴とするアルカリイオン整水器。
  2. 請求項1において、前記接続流路は、前記第1及び第2の空間の何れか一方と前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路の何れか一方とを連結する第1の流路と、この第1の流路に設けられた第1の吐出弁と、前記第1及び第2の空間の他方と前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路の他方とを連結する第2の流路と、この第2の流路に設けられた第2の吐出弁と、前記第1の流路の前記第1の吐出弁の上流側を前記第2の流路の前記第2の吐出弁の下流側へ連通させる第3の流路と、この第3の流路に設けられた第3の吐出弁と、前記第2の流路の前記第2の吐出弁の上流側を前記第1の流路の前記第1の吐出弁の下流側へ連通させる第4の流路と、この第4の流路に設けられた第4の吐出弁とを具備し、前記反転手段は、前記電極に対する電圧極性の反転に連動させて、前記第1及び第2の吐水弁の開時に前記第3及び第4の吐出弁を閉にする第1の切替状態と、前記第1及び第2の吐水弁の閉時に前記第3及び第4の吐出弁を開にする第2の切替状態とを反転させることを特徴とするアルカリイオン整水器。
  3. 請求項1において、前記接続流路は、前記第1及び第2の空間からの2系統の流路と前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路への2系統の流路とを接続する2入力2出力の切替手段を含み、この前記第1及び第2の空間の何れか一方と前記アルカリイオン水吐水路及び前記酸性イオン水排出路の何れか一方とを連結すると共に他方同士を連結する第1の切替状態と、前記第1及び第2の空間のそれぞれを前記第1の切替状態とは異なる他方へ連結する第2の切替状態とを具備し、前記反転手段は、前記電極に対する電圧極性の反転に連動させて、前記切替手段の第1の切替状態と前記第2の切替状態とを反転させることを特徴とするアルカリイオン整水器。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記アルカリイオン水の吐水を停止する際、前記電解槽への電圧印加を停止した後、前記電解槽の少なくとも酸性イオン水側の水を水道水と置換するようにしたことを特徴とするアルカリイオン整水器。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、前記電解槽の少なくとも前記イオン交換膜に対向する領域の一部を可撓膜によって形成すると共に当該電解槽を整水器本体内に配置し、前記電解槽内に供給する水道水を前記電解槽と前記整水器本体との間の空間にも供給して、前記電解槽を水道水中に保持するようにしたことを特徴とするアルカリイオン整水器。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、前記空間の前記電解槽とは接触しない領域の少なくとも一部に空気が残留している空気部を有することを特徴とするアルカリイオン整水器。
  7. 請求項1〜6の何れかにおいて、前記電解槽の全面が前記可撓膜で構成されていることを特徴とするアルカリイオン整水器。
  8. 請求項1〜7の何れかにおいて、前記可撓膜がプラスチックシートからなることを特徴とするアルカリイオン整水器。
  9. 請求項1〜8の何れかにおいて、前記整水器本体内には、複数の前記電解槽が、隣接する電解槽と接触することなく保持されていることを特徴とするアルカリイオン整水器。
  10. 請求項1〜9の何れかにおいて、前記酸性イオン水排出路を開閉する電磁バルブと、前記電解槽で生成されたアルカリイオン水又は酸性イオン水の流量を検出する流量スイッチとをさらに設け、該スイッチの信号に応じて前記電磁バルブを制御するようにしたことを特徴とするアルカリイオン整水器。
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