JP2005209482A - エレクトロメカニカルスイッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 スイッチングの応答速度の高速化が可能であり、小型化・薄型化・軽量化が図れ、基板上への他の回路構成部品との集積化も可能なエレクトロメカニカルスイッチを提供する。
【解決手段】 基板1上に対向する側壁を有する一対の支持部2・3が形成されており、これら支持部2・3間の基板1上に下部電極4および駆動用電極5が近接して配設され、支持部2・3間に、両端がそれぞれ支持部2・3上に取着されるとともに中央部が駆動用電極5に対向して駆動用電極5側に変形可能な駆動部7と、一端側が駆動部7の一端と連続して支持部2に取着され、駆動部7と分離された他端側が下部電極4に対向し駆動部7の駆動用電極5側への変形と連動して下部電極4側に移動して接触可能な接点部8とからなる上部可動電極6が掛け渡されているエレクトロメカニカルスイッチM1である。応答速度の高速化が可能で、小型化・薄型化・軽量化を図ることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エレクトロメカニカルスイッチ(マイクロ電気機械スイッチ)に関するものであり、特に静電力を利用した、静電マイクロスイッチ,静電マイクロリレー,無線装置,携帯情報端末等に利用されるエレクトロメカニカルスイッチに関するものである。
近年、電気情報通信分野における急激な進歩は、大量の情報の高速な転送を可能にする電子デバイスおよびシステムの改良に支えられている。そのような電子デバイスおよびシステムの中でも、電子信号の進路切り替え用スイッチは、すべての通信システムにおいて重要である。
現在、その電子信号の進路切り替え用スイッチには、MESFETおよびPINダイオードを含む固体スイッチが主に使用されており、高い周波数において十分な特性を有するスイッチは特に有用である。
それら固体スイッチの中で、PINダイオードはよく用いられるRFスイッチである。しかし、PINダイオードは、低インピーダンス状態に対して信号の伝送に必要なキャリアを得るために常に順方向にバイアスされなければならず、また、スイッチング特性が非線形的であったり、ブレークダウン電圧が低かったり、高い周波数において挿入損失が大きかったりするという問題点を有する。
また、それら固体スイッチに代えて、マイクロ機械スイッチが使用されることがある。従来のマイクロ機械スイッチは、通常の機械スイッチと同様に機能し、挿入損失が小さく、分離が良好で大きな電力を処理することができ、そして駆動に必要とするスイッチング電力およびスタティック電力が少ないというように利点が多い。
しかし、マイクロ機械スイッチには、小型化を進めてそのスイッチの可動部分を小さくすると、高速応答が困難となる問題点がある。このような従来のマイクロ機械スイッチの一つであるマイクロエレクトロメカニカル(MEM:マイクロ電気機械)スイッチの構成は、その例が、例えば、特許文献1あるいは特許文献2に示されている。
この特許文献1に開示されたMEMスイッチは、図4にそのMEMスイッチMM1の模式的な断面図を示すように、基板111上に形成された、アンカー構造112と、下部電極113と、開回路を形成するギャップを有する信号線114と、アンカー構造112に取り付けられ、かつ下部電極113および信号線ギャップの上に延在する片持アーム115と、片持アーム115上にアンカー構造112から離されて形成され、かつ信号線114のギャップに面して位置づけられる接触部116と、片持アーム115上に形成された上部電極117とを含み、下部電極113より上に位置づけられた片持アーム112と上部電極117との一部分は、上部電極117への電圧の選択的印加時に下部電極113の方に静電気的に引き付けることが可能なキャパシタ構造を形成するものである。
また、特許文献2には、基板上に形成されたアンカー構造、底部電極、および2つの独立した信号ラインであって、信号ラインは、開路を形成する間隙を有する信号ライン;1つの端部でアンカー構造に付着されて、底部電極方向に対し、実質的に直交方向に伸びるバネ懸架装置;バネ懸架装置のもう1つの端部に付着され、バネ懸架装置から遠隔の部分に形成される短絡片を有するマイクロプラットフォーム構造であって、短絡片は、信号ライン内の間隙に面する形で配置されるマイクロプラットフォーム構造;および信号ライン上に形成され、短絡片に面するように配置されて、短絡片上で、選択的に電圧を印加すると、静電気により、底部電極方向に引き付けられるコンデンサ構造を形成する電気接点ポスト;によって構成されるMEMスイッチが開示されている。
これらのようなMEMスイッチを始めとするMEMデバイスはまた、マイクロ波領域において十分によく動作させるために、他の制御回路と一緒に集積化することが行なわれる。例えば、単極双投スイッチ(SPDT)として動作してマイクロ波システムの中の他の部品との間で電力の信号の流れを進めるために、受動部品(抵抗器,コンデンサおよびインダクタ)および少なくとも1つの他のスイッチと一緒に、MEMスイッチが集積回路の中に配置される。
なお、これらのような形式の回路の集積化をシリコン集積回路素子で実現することを試みるときには、1つの問題点が生ずる。それは、(構成部品として電極のような部材を有する)MEMデバイスと(電極のような部材を有しないバイアス抵抗器のような)受動部品との間では、温度処理工程の条件が多様に異なることにより、電極材料の拡散による信号線路の電気抵抗の増加や、電極の密着性の劣化による電極の剥離が生じることである。
したがって、受動部品とMEMデバイスとを同時に作製することによって、MEMスイッチを集積化したデバイスを効率的に製造できるようにすることが要請されている。その中でも、より小型で高速に駆動するエレクトロメカニカルスイッチの開発は重要であり、その開発が精力的に進められており、ここ数年で性能の向上が望まれている。
特開平9−17300号公報 特開2001−143595号公報
しかしながら、従来のエレクトロメカニカルスイッチでは、上部電極および駆動用電極の間に生じる静電力が電極面内で一定であり、静電力を大きくするためには電極面積を大きくする必要があるため、構成部品の小型化にも限界があり、高速化も困難であるという問題点がある。例えば、特許文献1や特許文献2等で示されている従来の構造のエレクトロメカニカルスイッチでは、駆動用の静電力を発生させるための電極間隔が一定であるため、スイッチングの時間が静電力が小さいときには遅くなるので、応答時間を速くするためには大きな電圧を必要とするという問題点があった。
また、可動電極はその端部が基板に固定された構成であり、駆動時に固定された端部に対して可動電極全体が一体となって動くため、より高速に動くようにするには大きな駆動電圧が必要であるという問題点があった。そこで、可動電極に多数の穴を形成して、可動部分を軽量にすることによって応答時間を高速化することが試みられていたが、この場合には、可動電極に穴を形成するための工程が増加したり、可動電極の面積が減少することにより静電力が小さくなったりするという問題点があった。
従って、従来の構造のエレクトロメカニカルスイッチでは応答の高速化には限界があるため、さらなる高速の通信機器の開発を進展させるには、高速応答に対応したエレクトロメカニカルスイッチの実現が望まれている。
本発明は、以上のような従来の技術における問題点を解決すべく案出されたものであり、その目的は、スイッチングの応答速度の高速化が可能であり、しかも、小型化・薄型化・軽量化が図れ、基板上への他の回路構成部品との集積化も可能なエレクトロメカニカルスイッチを提供することにある。
本発明のエレクトロメカニカルスイッチは、基板上に対向する側壁を有する一対の支持部が形成されており、これら支持部の前記対向する側壁間の前記基板上に下部電極および駆動用電極が近接して配設され、前記支持部の前記対向する側壁間に、両端がそれぞれ前記支持部の前記側壁上に取着されるとともに前記側壁間の部位が前記駆動用電極に対向してこの駆動用電極側に変形可能な駆動部と、一端側が前記駆動部の一端と連続して前記支持部に取着され、前記駆動部と分離された他端側が前記下部電極に対向し前記駆動部の前記駆動用電極側への変形と連動して前記下部電極側に移動して接触可能な接点部とからなる上部可動電極が掛け渡されていることを特徴とするものである。
また、本発明のエレクトロメカニカルスイッチは、上記構成において、前記接点部の前記他端側の前記下部電極と接触する部位に接触部が配設されていることを特徴とするものである。
本発明のエレクトロメカニカルスイッチによれば、基板上に対向する側壁を有する一対の支持部が形成されており、これら支持部の対向する側壁間の基板上に下部電極および駆動用電極が近接して配設され、これら支持部の対向する側壁間に、両端がそれぞれ支持部の側壁上に取着されるとともに側壁間の部位が駆動用電極に対向してこの駆動用電極側に変形可能な駆動部と、一端側が駆動部の一端と連続して支持部に取着され、駆動部と分離された他端側が下部電極に対向し駆動部の駆動用電極側への変形と連動して下部電極側に移動して接触可能な接点部とからなる上部可動電極が掛け渡されていることから、両端がそれぞれ支持部の側壁上に取着されている駆動部が静電力で駆動用電極側に変形すると、接点部の一端側が駆動部の一端と連続して支持部に取着されているために、駆動部と分離された接点部の他端側も下部電極側に連動して変形することとなるので、上部可動電極のうち両端がそれぞれ支持部の側壁上に取着された駆動部を駆動用電極側に移動させるための小さな印加電圧によっても、駆動部から分離された接点部の他端側が下方に動きはじめ、接点部は一端側の小さな動きに伴って他端側が下方に大きく移動することになる。その結果、上部可動電極に印加する電圧を小さくしながら、駆動部と連動して下部電極に接点部を確実に接触させることができる。
また、駆動部と接点部とが分離された構造を有する上部可動電極を支持部間に掛け渡して配設したことにより、基板上に設けた上部可動電極の軽量化が図れることとなり、支持部間に掛け渡した駆動部を変形させるときに小さな印加電圧で必要な静電力を発生させることができるので、作製工程を大幅に変更することなくスイッチングの応答速度の高速化が可能となる。また、基板の表面を加工して支持部と駆動用電極および下部電極の配設領域とを形成することにより、基板に構成部品の一部を集積化させることができ、小型化・薄型化・軽量化を図ることができる。したがって、本発明のエレクトロメカニカルスイッチによれば、小さな印加電圧で必要とする静電力が得られ、応答速度を高速にできることによって、より高速の伝送システム,通信機器に対応したエレクトロメカニカルスイッチを提供することができる。
また、本発明のエレクトロメカニカルスイッチによれば、接点部の他端側の下部電極と接触する部位に接触部が配設されているときには、基板側である下方に移動して信号線路の役割を有する下部電極と接触し、信号を伝達するオン状態にしたり、上方に移動して信号線路から離れてオフ状態にしたりする接点部の他端側が下部電極と接触する領域の大きさを接触部によって小さくすることができるので、小さな印加電圧で必要とする静電力が得られ、応答速度を高速にできると同時に、接触部での帯電を少なくすることができ、信頼性の高い、より高速の伝送システム,通信機器に対応したエレクトロメカニカルスイッチを提供することができる。
以下に、本発明のエレクトロメカニカルスイッチについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明のエレクトロメカニカルスイッチの実施の形態の一例であるエレクトロメカニカルスイッチM1を示す模式的な平面図であり、図2はそのオフ時のA−A’線断面図であり、図3はそのオフ時のA−A’線断面図である。これらの図において、1は基板、2および3は対向する側壁を有する一対の支持部、4および5はそれぞれ支持部2・3間の基板1上に配設された下部電極および駆動用電極、6は上部可動電極、7は上部可動電極6の駆動部、8は上部可動電極6の接点部、9は上部可動電極6の接点部8に配設された接触部である。
本発明のエレクトロメカニカルスイッチM1は、図1および図2に示すように、基板1上に対向する側壁を有する一対の支持部2・3が形成されており、これら支持部2・3の対向する側壁間の基板1上に下部電極4および駆動用電極5が近接して配設され、支持部2・3の対向する側壁間に、両端がそれぞれ支持部2・3の側壁上に取着されるとともに側壁間の部位が駆動用電極5に対向してこの駆動用電極5側に変形可能な駆動部7と、一端側が駆動部7の一端と連続して支持部2に取着され、駆動部7と分離された他端側が下部電極4に対向し駆動部7の駆動用電極5側への変形と連動して下部電極4側に移動して接触可能な接点部8とからなる上部可動電極6が掛け渡されていることを特徴とするものである。このような本発明のエレクトロメカニカルスイッチM1は、オフ時には、図2に示すように、上部可動電極6は支持部2・3の側壁の上端間に例えば水平に掛け渡されており、支持部2・3間の基板1の上面に配置された下部電極4および駆動用電極5とは電気的に絶縁された状態でこれらと対向している。ここで、上部可動電極6の駆動部7は駆動用電極5と対向し、接点部8は下部電極4と対向するように配置されている。
そして、オン時には、図3に示すように、上部可動電極6の駆動部7と駆動用電極5との間に電圧を印加することによって上部可動電極6は駆動部7が静電気的に駆動用電極5に引き付けられて支持部2・3間の基板1の上面に向かって変形し、それに伴って上部可動電極6の接点部8の他端側が下部電極4に向かって移動し、接点部8の他端側が下部電極4と接触して電気的に接続される。
このとき、本発明のエレクトロメカニカルスイッチM1によれば、支持部2・3の側壁上に上部可動電極6の駆動部7の両端が取着されて掛け渡されて、この駆動部7の側壁間の部位が基板1の上面の駆動用電極5側に変形可能な状態で駆動用電極5と対向しており、上部可動電極6の接点部8が、一端側が駆動部7の一端と連続して支持部2に取着され、駆動部7と分離されて下部電極4に対向して配置されている他端側が、駆動部7の駆動用電極5側への変形と連動して下部電極4側に移動して下部電極4と接触可能なものとされていることから、上部可動電極6の駆動部7と対向する駆動用電極5との間に電圧を印加して静電力を発生させて、両端が支持された駆動部7を先に駆動用電極5側の下方へ変形させ、それと連動させて駆動部7と分離された接点部8の他端側を下部電極4側へ移動させるので、必要とする静電力を得るための上部可動電極6および駆動用電極5の面積を小さくすることができ、上部可動電極6の接点部8が下部電極4側へ移動する速度を高速化することができる。
また、本発明のエレクトロメカニカルスイッチM1は、基板1上に対向する側壁を有する一対の支持部2・3を形成し、これら支持部2・3間の基板1上に下部電極4および駆動用電極5を近接させて配設し、これら支持部2・3の側壁上に、前述のような駆動部7と接点部8とからなる上部可動電極6を掛け渡すことによって構成されているので、作製工程には大幅な変更や困難さを伴うことがなく、小型化・薄型化・軽量化にも有利なものである。従って、本発明のエレクトロメカニカルスイッチM1によれば、高速で動作させることが必要なMEMスイッチに好適なものとなり、高速大容量の情報伝送システム機器に対応できるものとなる。
さらに、本発明のマイクロエレクトロメカニカルスイッチM1によれば、接点部8の他端側の下部電極4と接触する部位に接触部9が配設されているときには、基板1側である下方に接点部8が移動するのに伴い信号線路の役割を担う下部電極4と接触し信号を伝達するオン状態にしたり、上方に接点部8が移動するのに伴い信号線路の役割を担う下部電極4から離れてオフ状態にしたりする接点部8の他端側が下部電極4と接触する領域の大きさを、接触部9によって小さくすることができるので、小さな印加電圧で必要とする静電力が得られ、応答速度を高速にできると同時に、接触部9によっ帯電を少なくすることができ、信頼性の高い、より高速の伝送システム,通信機器に対応したエレクトロメカニカルスイッチM1とすることができる。
本発明のエレクトロメカニカルスイッチM1において、基板1は、電気信号伝達時の損失が小さい方がよいため、シリコン,ガラス,アルミナ,ジルコニア等から成る絶縁体基板を用いるのが望ましい。また、基板1の寸法は、例えば長さが1.5mm以下、幅が1mm以下、厚みが1mm以下で、支持部2・3,下部電極4,駆動用電極5および上部可動電極6によりスイッチを形成するための領域が得られる寸法であることが好ましい。
基板1の上面に形成された一対の支持部2・3は、基板1上に基板1と同様の絶縁材料から成る支持部2・3をそれぞれ接合することによって形成してもよく、基板1の上面を加工することによって形成してもよい。これら支持部2・3は、電気信号伝達時の信号の漏洩が小さい方がよいため、シリコン,ガラス,アルミナ,ジルコニア等の絶縁体から成るものが望ましい。また、その寸法は、例えば長さが10μm以下、幅が260μm以下、高さが3μm以下で、対向する側壁の間隔は駆動用電極5および下部電極4を形成するための領域が得られる間隔であることが望ましく、例えば710μm以下が好ましい。
これら支持部2・3の対向する側壁は、上部可動電極6と駆動用電極5との間の距離が一定となるように構成したいので、互いに平行な平面とされていることが好ましい。また、支持部2・3間の基板1の上面は、上部可動電極6と駆動用電極5との間の距離が一定となり、かつ上部可動電極6と駆動用電極5との間の静電力がその空間内で一様になるようにしたいので、上部可動電極6と平行な平面とされていることが好ましい。
支持部2・3間の基板1上に配設された下部電極4は、上部可動電極6との間に電圧を印加することによって上部可動電極6を静電気的に下部電極4に引き付ける働きをし、基板1との密着性を高め、かつ信号線路として機能して信号伝達時の漏洩が少なくなるようにするものであり、基板1に密着し、上部可動電極6との間で静電力を発生させることができる材料から成るものが好ましい。具体的には、Au,Al,Cu等を用いることが望ましい。また、下部電極4の構成としては、下層側からTi/Pt/Au、Cr/Au等の積層構造であり、寸法は例えば長さが300μm以下、幅が100μm以下、各層の厚みは前者であれば0.1μm/0.2μm/0.5μm、後者であれば0.5μm/1μmとすることが好ましい。
なお、本発明では下部電極4は信号を伝送する働きを担っており、上部可動電極6との間に静電力は必ずしも生じさせなくてもよい。また、ここでは信号線路と下部電極4とが同一の例を示しているが、信号を伝送する働きをする信号線路を下部電極4上に配設し、あるいは側方に配設して接続してもよい。
支持部2・3間の基板1上に下部電極4に近接させて配設された駆動用電極5は、上部可動電極6との間に電圧を印加して静電力を発生させ、上部可動電極6を駆動するものであり、基板1の上面との密着性が高く、上部可動電極6との間で静電力を発生させることができることが望ましい。その形成材料としては、Au,Cr,Al等を用いるとよい。また、駆動用電極5の構成としては、例えば下層側からTi/Pt/Au、Cr/Au等の積層構造とし、寸法は例えば長さが300μm以下、幅が100μm以下、各層の厚みを前者であれば0.1μm/0.2μm/0.5μm、後者であれば0.5μm/1μmが好ましい。
支持部2・3の対向する側壁間に掛け渡され、両端がそれぞれ支持部2・3の側壁上に取着されるとともに側壁間の部位が駆動用電極5に対向してこの駆動用電極5側に変形可能の駆動部7と、一端側が駆動部7の一端と連続して支持部2に取着され、駆動部と分離された他端側が下部電極4に対向し駆動部7の駆動用電極5側への変形と連動して下部電極4側に移動して下部電極4に接触可能な上部可動電極6は、駆動部7が駆動用電極5との間での静電力により駆動され、接点部8がそれに連動して基板1側である下方に移動して信号線路の役割を担う下部電極4と接触し信号を伝達するオン状態にしたり、上方に移動して信号線路の役割を担う下部電極4から離れてオフ状態にしたりするものであり、静電力に対する駆動の応答が速いことが望ましく、Au,Cr,Al,Ni等から成るものを用いるとよい。また、上部可動電極6は内部応力による反りを低減するために多層構造にすることが好ましく、その構成として例えば下層側からSiO/Cr/Auとし、寸法は長さが750μm以下、幅が300μm以下、各層の厚みは0.2μm/0.2μm/0.3μmとするとよい。
また、接点部8の他端側の下部電極4と接触する部位に配設された接触部9は、基板1側である下方に接点部8の他端側が移動して信号線路の役割を担う下部電極4と接触し信号を伝達するオン状態にしたり、上方に接点部8の他端側が移動して信号線路の役割を担う下部電極4から離れてオフ状態にしたりするのに伴って、下部電極4と接触したり離れたりするものである。この接触部9の材料としては、信号伝送時の損失が少ないことが望ましく、具体的にはAu,Cr,Al,Pt等が好ましい。また、その寸法は例えば長さが75μm以下、幅が75μm以下、厚みが2μm以下程度としておくことが好ましい。なお、接触部9の形状は必ずしも図示したような円形状である必要はなく、電気的な接触を実現できれば、矩形状等の他の形状でも構わない。
このように構成された本発明のエレクトロメカニカルスイッチM1は、両端がそれぞれ支持部2・3の側壁上に取着されている駆動部8が静電力で駆動用電極5側に変形すると、接点部8の一端側が駆動部7の一端と連続して支持部2に取着されているために駆動部7と分離された接点部8の他端側も下部電極4側に連動して大きな動きで移動することとなるので、上部可動電極6の変形動作を高速化することができ、作製工程に大幅な変更や困難さを伴うことなく、小型化・薄型化・軽量化にも有利なものであるので、高速で動作させることが必要なMEMスイッチに好適なものであり、高速大容量の情報伝送システム機器に対応できるものである。
そして、このような本発明のマイクロエレクトロメカニカルスイッチM1は、携帯電話のような通信装置や半導体テスター等の測定装置内の電気信号伝達系に使用され、信号伝達のオン時の減衰が小さくでき、また信号伝達のオフ時の信号漏洩を抑制することができるため、高速応答が可能で、かつ動作の安定した装置となる。
次に、本発明のマイクロエレクトロメカニカルスイッチの製造方法について、図1〜図3に示したマイクロエレクトロメカニカルスイッチM1を例に説明する。
図1に示すような本発明のエレクトロメカニカルスイッチM1は、基板1に例えばシリコンウェハを用い、その基板1上に中空構造を形成するための支持部2・3となる絶縁材料をスピンコート法等により塗布する。
次に、基板1上に下部電極4および駆動用電極5を配設するための領域を形成するために、その絶縁材料上にレジスト膜をスピンコート法等により塗布し、例えばガラス表面にCr薄膜でパターンが作製されたフォトマスクを用いて、そのパターンに従ってフォトリソグラフィを行なって、基板1上に対向する側壁を有する一対の支持部2・3を形成するための開口部をレジスト膜に形成する。
その次に、レジスト膜の開口部内の絶縁材料をアセトン,IPA,ブタノール等の有機溶剤を用いたウエットエッチング、もしくはCF,C,Ar,O等の半導体製造用ガスを用いたドライエッチングにて基板1の上面まで除去することによって、絶縁材料から成る支持部2・3を形成する。
次に、それら支持部2・3の対向する側壁間の基板1の上面に下部電極4および駆動用電極5を近接させて配設する。これらの電極は、例えばTi/Pt/Auの積層構造とし、各層の膜厚を0.1μm/0.2μm/0.5μmとして形成すればよい。これら下部電極4および駆動用電極5を作製するには、例えば、Cu,Ti,Cr,Au等の金属薄膜を電子ビーム蒸着法,抵抗加熱蒸着法,スパッタリング法等の真空成膜法を用いて前記の積層構造で基板1の上面に被着する。次に、その上にスピンコート法等によってレジスト膜を塗布し、例えばガラス表面にCr薄膜でパターンが作製されたフォトマスクを用いて、そのパターンに従ってフォトリソグラフィを行なって、下部電極4および駆動用電極5を形成する。
その次に、基板1と支持部2・3と上部可動電極6とからなる中空構造を形成するために、支持部2・3間の下部電極4および駆動用電極5が配設された基板1上に犠牲層材料としてレジストをスプレー塗布法等で支持部2・3と同じ高さに充填する。次に、この犠牲層材料上にスパッタリング法等によってSiO,Cr,Auの薄膜を順に成膜して積層し、この積層膜を例えばガラス表面にCr薄膜でパターンが作製されたフォトマスクを用いてフォトリソグラフィを行ない、支持部2・3の対向する側壁間に掛け渡され、両端がそれぞれ支持部2・3の側壁上に取着されるとともに側壁間の部位が駆動用電極5に対向してこの駆動用電極5側に変形可能の駆動部7と、一端側が駆動部7の一端と連続して支持部2に取着され、駆動部と分離された他端側が下部電極4に対向し駆動部7の駆動用電極5側への変形と連動して下部電極4側に移動して下部電極4に接触可能な上部可動電極6を形成する。
この上部可動電極6としては、例えば、SiO/Cr/Auの積層構造とし、各層の膜厚を0.2μm/0.2μm/0.3μmとして形成すればよい。
この後、犠牲層材料をエッチングして支持部2・3間の基板1上から除去することによって、基板1と支持部2・3と上部可動電極6とからなる中空構造を形成する。犠牲層材料のエッチングは、犠牲層材料にスピンコートで表面に塗布して凹部を充填することで犠牲層を形成できる代表的なレジストである東京応化工業株式会社製TSMR−8900を用いた場合であれば、アセトン,IPA,ブタノール等の有機溶剤を用いて行ない、連続工程で乾燥させるとよい。このとき、乾燥時にエッチング液の表面張力で上部可動電極6が基板1側に引っ張られて下部電極4または駆動用電極5に接触して付着しないよう、表面張力を緩和するためには、超臨界乾燥を行なうことが好ましい。また、犠牲層材料にTEOS(テトラメトキシゲルマニウム)を用いたCVD(化学的気相堆積)にて形成されたSiOを用いた場合であれば、CF,C,Ar,O等の半導体製造用ガスを用いたドライエッチングにて犠牲層材料をエッチング除去して中空構造を形成すればよい。
本発明のエレクトロマイクロスイッチの作製例として、以上のようにして、上部可動電極6がSiO/Cr/Auの積層構造で、各層の膜厚が0.2μm/0.1μm/0.4μmであり、全長が290μm(変形可能な駆動部7の長さが240μm),全幅が150μm(変形可能な駆動部7の幅が75μm)のエレクトロメカニカルスイッチM1を作製した。これについて、上部可動電極6と駆動用電極5との間に電圧を印加し、上部可動電極6の変位量が前記電極間の間隔と同一の値になるまでの電圧印加時間を評価したところ、駆動電圧50Vにて上部可動電極6の応答時間がおよそ6μsecになり、良好な応答特性が得られた。
図5に、以上のようにして作製した本発明のマイクロエレクトロメカニカルスイッチM1の作製例と、図4に示したMEMスイッチMM1による比較例とについての、駆動電圧印加時間と上部可動電極6または片持アーム115の変位量との関係の評価結果を線図で示す。図5において、横軸は駆動電圧印加時間(単位:sec)を、縦軸は変位量(単位:m)を表し、実線の特性曲線は作製例についての関係を、点線の特性曲線は比較例についての関係を示している。なお、駆動電圧の大きさは50Vとした。
図5に示す結果より分かるように、比較例では電極間の間隔と同一変位量の移動を行なうために要する時間が7.28μsecであったのに対して、作製例では電極間の間隔と同一変位量の移動を行なうために要する時間は5.81μsecであり、スイッチング時間が1.47μsecも短縮でき、応答特性が高速化できていた。これは、通信システムの電気信号伝達系に使用することで信号伝達のオン時の減衰を低減し、かつ信号伝達のオフ時の信号漏洩を抑制でき、より高速の応答で動作の安定した信号伝送システムが構築できる有利な結果であった。
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、本発明において基板1や支持部2・3として用いる絶縁材料や犠牲層材料、あるいは下部電極4,駆動用電極5,上部可動電極6の電極材料には、それぞれ例示した材料を用いることが望ましいが、特にそれらに限定されるものではない。
本発明のエレクトロメカニカルスイッチの実施の形態の一例を模式的に示す平面図である。 図1に示す本発明のエレクトロメカニカルスイッチの実施の形態の一例におけるオフ時のA−A’線断面図である。 図1に示す本発明のエレクトロメカニカルスイッチの実施の形態の一例におけるオン時のA−A’線断面図である。 従来のエレクトロメカニカルスイッチの例(オフ時)を模式的に示す断面図である。 本発明および従来のエレクトロメカニカルスイッチにおける駆動電圧印加時間と変位量との関係を示す線図である。
符号の説明
1:基板
2、3:支持部
4:下部電極
5:駆動用電極
6:上部可動電極
7:駆動部
8:接点部
9:接触部
M1:本発明のエレクトロメカニカルスイッチ

Claims (2)

  1. 基板上に対向する側壁を有する一対の支持部が形成されており、これら支持部の前記対向する側壁間の前記基板上に下部電極および駆動用電極が近接して配設され、前記支持部の前記対向する側壁間に、両端がそれぞれ前記支持部の前記側壁上に取着されるとともに前記側壁間の部位が前記駆動用電極に対向して該駆動用電極側に変形可能な駆動部と、一端側が前記駆動部の一端と連続して前記支持部に取着され、前記駆動部と分離された他端側が前記下部電極に対向し前記駆動部の前記駆動用電極側への変形と連動して前記下部電極側に移動して接触可能な接点部とからなる上部可動電極が掛け渡されていることを特徴とするエレクトロメカニカルスイッチ。
  2. 前記接点部の前記他端側の前記下部電極と接触する部位に接触部が配設されていることを特徴とする請求項1記載のエレクトロメカニカルスイッチ。
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