JP2005206943A - 焼付硬化性と耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:2%以下、Mn:0.01〜3%、P:0.2%以下、Al:0.001〜0.1%、N:0.003〜0.020%を含有し、残部が実質的にFeからなり、ベイナイト単相あるいはベイナイトと第2相との混合組織を有し、かつ固溶N量が0.003〜0.010%であることを特徴とする焼付硬化性、耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板。また、上記高張力熱延鋼板は、上記成分からなる鋼を、加熱温度:1000℃〜1300℃で加熱し、粗圧延後、最終スタンド圧下率:10%以上、最終仕上げ圧延終了温度FDT:(Ar3+10℃)以上で仕上げ圧延を行い、次いで、冷却速度:30℃/sec以上で冷却し、巻取り温度:600〜350℃で巻き取ることにより得られる。
【選択図】図2
Description
を含有し、sol.Al:0.008wt%以下とし、熱延後の巻取り温度を制御することにより固溶C、固溶Nを適量残存させた焼付硬化性熱延鋼板か開示され、その効果として加工−塗装焼付処理後に疲労限が上昇することが記載されている。
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.12%を越えて含有すると溶接性が劣化する。以上より、Cは0.01%以上0.12%以下とする。
Siは、固溶強化により鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度に応じ含有量を調整する。しかし、2%を超えて含有すると加工性が劣化する。このため、Siは2%以下とする。なお、強度確保の観点からは、Siは0.003%以上含有するのが望ましい。
Mnは、鋼の強度を増加させるとともに、Sによる熱間脆性を防止する元素であり、本発明では積極的に含有させる。このように所望の強度を確保し、熱間脆性を防止するためには0.01%以上の含有を必要とする。しかし、3%を超えて含有すると加工性が劣化する。以上より、Mnは、0.01%以上3%以下とする。
Pは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度を確保するために0.005%以上含有させるのが望ましい。しかし、0.2%を超えて含有すると溶接性が劣化し、またPが粒界に偏析し粒界割れを発生させる恐れがある。このため、Pは0.2%以下とする。
Alは、脱酸材として作用し、鋼の脱酸のためには0.001%以上の含有を必要とする。一方、0.1%を超えて含有すると表面性状が劣化する。以上より、Alは0.001%以上0.1%以下とする。
Nは、本発明では重要な元素であり、鋼板中に固溶して加工−塗装焼付処理後の降伏強さ、引張り強さを増加すなわち焼付硬化性を向上させるのに有効に作用する。このためには、鋼板中に固溶Nとして0.003%以上、好ましくは0.005%以上残存させる必要があり、Nは0.003%以上、好ましくは0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.020%を越えて含有すると成形性が劣化する。以上より、Nは0.003%以上0.020%以下とする。
(1)組織試験
熱延鋼板の圧延方向と直角な断面について、鏡面研磨後にナイタール等の腐食液にてエッチングを行い、光学顕微鏡による組織観察にて熱延鋼板の組織(主相、その他第2相)を同定した。高倍率での検討を要する場合は、SEM(走査電子顕微鏡)を用いた。また化学分析により熱延鋼板中のN量とAlNとして存在するN量を測定した。熱延鋼板中の固溶N量は[(熱延鋼板中のN量)−(AlNとして存在するN量)]の値を用いた。
(2)引張り試験
熱延鋼板からJIS13B号引張り試験片を採取し、歪速度10−3/secで引張り試験を実施し、降伏点YS、引張り強さTS、伸びElを測定した。
(3)焼付硬化性試験
熱延鋼板からJIS13B号引張り試験片を採取し、鋼板No.1〜9には10%の引張り予歪を、鋼板No.10〜16には5%の引張り予歪をそれぞれ付加した後、一旦除荷し、170℃×20minの塗装焼付処理相当の熱処理を施し、ついで引張り試験を再度行って引張り強さTSBHを測定した。塗装焼付処理相当の熱所技後の引張り強さTSBHと熱延ままの引張り強さTSの差ΔTS=TSBH−TSを求め、ΔTSを加工−塗装焼付処理による引張り強さの増加量とした。
(4)常温時効性試験
熱延鋼板から試料を採取し、50℃×400hrの時効処理を施した後JIS13B号引張り試験片を採取し、引張り試験を実施し、伸びElAを測定した。熱延ままの鋼板の伸びElとの差、Δel=ElA−ELで常温時効性の評価を行った。
(5)平均結晶粒径の測定方法
熱延鋼板から試料を採取し、観察面を鏡面に研磨後、ナイタール等の粒界を顕在化させる腐食液にてエッチングした。そのエッチング面を光学顕微鏡もしくはSEM(走査電子顕微鏡)にて400倍程度の倍率で撮影し、その写真・画像を画像処理ソフトを用い平均粒径を求めた。また撮影位置は、断面観察の場合、顕微鏡より板厚1/4位置を確認し、撮影した。平面観察の場合、板厚1/4を研磨後、エッチングし、撮影に供した。
Claims (8)
- 質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:2%以下、Mn:0.01〜3%、P:0.2%以下、Al:0.001〜0.1%、N:0.003〜0.020%を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、ベイナイト単相あるいはベイナイトと第2相との混合組織を有し、かつ固溶N量が0.003〜0.010%であることを特徴とする焼付硬化性、耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板。
- さらに、質量%で、Mo:0.01〜1.0%、Nb:0.001〜0.5%、Ti:0.001〜0.5%、B:0.0003〜0.005%、Cr:0.1〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の焼付硬化性、耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板。
- 前記ベイナイトの平均結晶粒径が8μm以下であり、かつ前記固溶N量が0.005〜0.010%であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼付硬化性、耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板。
- 前記混合組織における第2相の体積率が3〜30%であり、かつ前記第2相は、パーライト、フェライト、マルテンサイト、残留オーステナイトのうち1種または2種以上からなる組織であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の焼付硬化性、耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板。
- 前記混合組織における第2相は、パーライトおよび/またはマルテンサイトの体積率が70%以上であり、かつ第2相の平均結晶粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の焼付硬化性、耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の高張力熱延鋼板の表面に、メッキ層を形成させたことを特徴とする焼付硬化性、耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板。
- 請求項1または2に記載の組成を有する鋼を、加熱温度:1000℃〜1300℃で加熱し、粗圧延後、最終スタンド圧下率:10%以上、最終仕上げ圧延終了温度FDT:(Ar3+10℃)以上で仕上げ圧延を行い、次いで、冷却速度:30℃/sec以上で冷却し、巻取り温度:600〜350℃で巻き取ることを特徴とする焼付硬化性、耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板の製造方法。
- 請求項1または2に記載の組成を有する鋼を、加熱温度:1000℃〜1300℃で加熱し、粗圧延後、最終スタンド圧下率:10%以上、最終仕上げ圧延終了温度FDT:(Ar3+10℃)以上で仕上げ圧延を行い、次いで、冷却速度:190℃/sec以上で(FDT−200℃)以下まで冷却し、巻取り温度:600〜350℃で巻き取ることを特徴とする焼付硬化性、耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板の製造方法。
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