JP2005206744A - 一成分系加熱硬化性エポキシド組成物 - Google Patents

一成分系加熱硬化性エポキシド組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、良好な貯蔵安定性を保持しつつ、比較的低温で短時間に硬化可能であり、特にアウトガスが少なく、耐熱性に優れた硬化物を与える一成分系加熱硬化性エポキシド組成物の提供である。
【解決手段】 本発明は、1)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を持つエポキシド;100重量部、2)一般式、
【化1】
Figure 2005206744

(式中、R1は水素原子、アルキル基、又はアリール基を示し、R2は水素原子、又はアルキル基を示し、R3は水素原子、又はアルキル基を示す。nは2又は3を表す。)で示されるアミノアルキルイミダゾール、分子内に活性水素を持つ窒素原子を2個持ち環状構造を持つアミン、尿素及び分子内に平均2個のエポキシ基を持つジエポキシドを反応させて得られる硬化剤化合物;1〜40重量部を必須成分として含む一成分系加熱硬化性エポキシド組成物に関する。
【選択図】 なし
















Description

分子内に平均1個より多くのエポキシ基を持つエポキシドは種々の硬化剤と組み合わせ、これと混合することによって常温又は加温のどちらの方法でも硬化させることができる。そして、その硬化物は多くの物質に優れた接着性を持つため、接着、塗料、注入、含浸、注型、ポッティングなどの分野に多くの実績がある。本発明はこのエポキシド関連分野に対し、取り扱いが簡便で硬化性に優れたエポキシド組成物を提供するものであり、より具体的には貯蔵安定性に優れ、比較的低温で、かつ短時間に硬化させることができ、特にアウトガスが少なく、耐熱性に優れた硬化物を与える一成分系加熱硬化性エポキシド組成物を提供するものである。
従来から使用されている大部分のエポキシド組成物は、使用直前にエポキシドと硬化剤ないし硬化促進剤を添加混合する二液タイプのものである。二液タイプエポキシド組成物は、室温あるいは低温で硬化し得る反面、使用直前に精密に計量、混合しなければならない。この計量に際して本来の決められたエポキシドと硬化剤との量に対して誤った計量を行った場合、又は、正確な計量であってもその後の混合が充分に行われない場合には、硬化物としての目的性能が不足するという問題を生じる。又、従来の二液タイプエポキシド組成物はほとんどの場合に可使時間が短いという使用上の限定があり、これにより自動機械への適用が難しいという欠点を持つ。そして、これらの欠点を解決する目的で一成分系加熱硬化性エポキシド組成物の出現が望まれている。
一成分系加熱硬化性エポキシド組成物には、室温ではエポキシドと反応しないが、加熱により反応を開始し硬化する性質を持つ硬化剤、いわゆる潜在性硬化剤が必要である。潜在性硬化剤化合物として、これまでいくつか提案されており、その代表的なものとしては、ジシアンジアミド、二塩基酸ジヒドラジド、三フッ化ホウ素アミン錯塩、グアナミン類、メラミン、イミダゾール類などが挙げられる。しかし、ジシアンジアミド、メラミン、グアナミン類をエポキシドと混合したものは貯蔵安定性に優れているが、150℃以上の高温長時間の硬化条件を必要とする欠点がある。又、これらと硬化促進剤を併用して硬化時間を短縮することも広く行われているが、硬化促進剤の添加により硬化時間は短縮するものの貯蔵安定性が著しく損なわれるという欠点が生じてしまう。一方、二塩基酸ジヒドラジドやイミダゾール類は比較的低温で硬化はするが貯蔵安定性に乏しい。三フッ化ホウ素アミン錯塩は貯蔵安定性に優れ硬化時間は短いという長所があるが、耐水性に劣り、そして金属に対する腐食性を持つなどそれぞれに欠点を持っている。このような現状に鑑み、貯蔵安定性に優れ、低温短時間で硬化し得る、その上硬化物としての性能に優れるエポキシド組成物の開発が望まれていた。
これらの改善案として、特開平3−296525号公報には、硬化剤物質として、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミン(a)、分子内に活性水素を持つ窒素原子を1あるいは2個持ち環状構造を持つアミン(b)、ジイソシアナート(c)及び分子内に平均1個より多くのエポキシ基を持つエポキシド(d)からなり、(a)、(b)及び(c)、又は、(a)、(b)、(c)及び(d)を加熱反応させてなる化合物が潜在性硬化剤として有効であることが記載されている。しかし、これらの硬化剤を使用したエポキシド組成物は、加熱の際に残留溶剤や低分子量成分に起因すると考えられるガス成分、所謂アウトガスの発生が見られる。又、硬化物は耐熱性に劣るものとなる。特開平3−177418号公報には、硬化剤物質として、(a)アミノ基を2個有するジアミン化合物、(b)N,N−ジアルキルアミノアルキルアミン、(c)分子内に平均1個より多くのエポキシ基を有するエポキシド、(d)尿素、及び必要ならば(e)モノアミン化合物を加熱反応させてなる化合物が潜在性硬化剤として有効であることが記載されている。しかし、これらの硬化剤を使用したエポキシド組成物も、加熱の際に低分子量成分に起因すると考えられるアウトガスの発生が見られる。又、硬化物は耐熱性に劣るものとなる。特開平6−184274号公報には、硬化剤物質としてアミノアルキルイミダゾール(a)、分子内に活性水素を持つ窒素原子を1あるいは2個持ち環状構造を持つアミン(b)、ジイソシアナート(c)及び分子内に平均1個より多くのエポキシ基を持つエポキシド(d)からなり、(a)、(b)、(c)及び(d)を加熱反応させてなる化合物が潜在性硬化剤として有効であり、耐熱性に優れた硬化物を与えることが記載されている。しかし、これらの硬化剤を使用したエポキシド組成物も、加熱の際に残留溶剤や低分子量成分に起因すると考えられるアウトガスの発生が見られる。
特開平3−296525号公報 特開平3−177418号公報 特開平6−184274号公報
従って、本発明の目的は、良好な貯蔵安定性を保持しつつ、比較的低温すなわち80〜120℃で短時間に硬化可能であり、特にアウトガスが少なく、耐熱性に優れた硬化物を与える一成分系加熱硬化性エポキシド組成物を提供することである。
すなわち、本発明は分子内に平均1個より多くのエポキシ基を持つエポキシド(A)と、一般式、
Figure 2005206744
(式中、R1は水素原子、アルキル基、又はアリール基を示し、R2は水素原子、又はアルキル基を示し、R3は水素原子、又はアルキル基を示す。nは2又は3を表す。)で示されるアミノアルキルイミダゾール(a)、分子内に活性水素を持つ窒素原子を2個持ち環状構造を持つアミン(b)、尿素(c)及び分子内に平均2個のエポキシ基を持つジエポキシド(d)からなり、(a)、(b)、(c)及び(d)を加熱反応させてなる硬化剤化合物(B)とを必須成分として含有する一成分系加熱硬化性エポキシド組成物に関するものであり、より詳しくは貯蔵安定性に優れ、比較的低温で、かつ短時間に硬化させることができ、特にアウトガスが少なく、耐熱性に優れた硬化物を与える一成分系加熱硬化性エポキシド組成物に関するものである。
本発明の必須成分の一つであるエポキシドは、分子内に平均1個より多くのエポキシ基を持つエポキシド類であり、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、カテコール、レゾルシン、クレゾールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ベンゾフェノン、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、ハイドロキノン、トリフェニルメタン、テトラフェニルエタン、ビキシレノールなどの多価フェノールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテル、又はグリセリン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル、あるいはp−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル、あるいはフタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸のようなポリカルボン酸から得られるポリグリシジルエステル、あるいはアミノフェノール、アミノアルキルフェノールから得られるグリシジルアミノグリシジルエーテル、あるいはアミノ安息香酸から得られるグリシジルアミノグリシジルエステル、あるいはアニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどから得られるグリシジルアミン、さらにはエポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレート、あるいはブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル、スチレンオキサイドなどに代表されるモノエポキシド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合したものでも良い。
本発明のもう一つの必須成分である硬化剤化合物は、アミノアルキルイミダゾール(a)、分子内に活性水素を持つ窒素原子を2個持ち環状構造を持つアミン(b)、尿素(c)及び分子内に平均2個のエポキシ基を持つジエポキシド(d)からなり、(a)、(b)、(c)及び(d)を加熱反応させることによって得ることができる。
ここで用いられるアミノアルキルイミダゾールは次式で表されるものである。
Figure 2005206744
(式中、R1は水素原子、アルキル基、又はアリール基を示し、R2は水素原子、又はアルキル基を示し、R3は水素原子、又はアルキル基を示す。nは2又は3を表す。)
このアミノアルキルイミダゾールの例としては、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−アミノエチル)−2−エチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−エチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−フェニルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−ヘプタデシルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2,4−ジメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2,5−ジメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−エチル−5−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−4−メチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−5−メチル−2−ウンデシルイミダゾールなどを挙げることができる。これらの中で、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾールが特に好ましい。
分子内に活性水素を持つ窒素原子を2個持ち環状構造を持つアミンとしては、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、フェニレンジアミン、トルイレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジンなどのポリアミン類を挙げることができる。これらの中で、イソホロンジアミンが特に好ましい。
本発明を構成する硬化剤の原料成分としてのエポキシドとしては、前述した本発明の必須成分の一つであるエポキシドを使用することができ、これらはポリエポキシドからなる。これらの中で、エポキシ当量約190のビスフェノールAタイプジエポキシド、エポキシ当量約175のビスフェノールFタイプジエポキシドが特に好ましい。
本発明の硬化剤化合物は基本的には次のように合成される。分子内に活性水素を持つ窒素原子を2個持ち環状構造を持つアミン(b)と分子内に平均2個のエポキシ基を持つジエポキシド(d)の付加反応を50〜150℃、好ましくは80〜130℃で1〜3時間行った後、アミノアルキルイミダゾール(a)及び尿素(c)を加え、脱アンモニア反応を150〜240℃、好ましくは160〜220℃で1〜5時間行うことにより得られる。これらによる生成物は固体で任意の粒度に粉砕することができる。
アミノアルキルイミダゾール(a)、分子内に活性水素を持つ窒素原子を2個持ち環状構造を持つアミン(b)、尿素(c)及び分子内に平均2個のエポキシ基を持つジエポキシド(d)の原料よりなる硬化剤(B)の場合、(a)1モルに対する(b)の割合は、0.4モル≦(b)≦12.0モルで、好ましくは0.5モル≦(b)≦10.0モルである。0.4モルより少なくても又12.0モルより多くても貯蔵安定性に劣るものとなる。(c)の割合は、(a)及び(b)中の活性水素を持つ窒素原子1個に対し、0.1モル≦(c)≦0.6モルで、好ましくは0.2モル≦(c)≦0.5モルである。0.1モルより少ない使用量では貯蔵安定性に劣るものとなる。0.6モルより多い使用量では生成物の分子量が大きくなり、ついにはゲル化する。(d)の割合は、(a)及び(b)中の活性水素を持つ窒素原子1個に対し、0.01当量≦(d)≦0.6当量で、好ましくは0.02当量≦(d)≦0.5当量である。0.01当量より少ない使用量では低温硬化性が不十分であり、0.6当量より多い使用量では生成物の分子量が大きくなり、ついにはゲル化する。又、(a)及び(b)中の活性水素を持つ窒素原子1個に対する(c)の−NH2基の数と(d)のエポキシ基の数の合計は、0.8≦(c)の−NH2基+(b)のエポキシ基≦1.4となる範囲である。0.8より少ない場合は貯蔵安定性に劣るものとなる。1.4より多い場合は分子量が大きくなり、ついにはゲル化する。
本発明は基本的にエポキシドに硬化剤化合物の粉状物を混合分散させることによって得ることができる。エポキシドが液状である場合には、硬化剤化合物とを所定の比率で配合した後、乳鉢様器具を用いて更に充分な混合分散を行うことは好ましく、又エポキシドが固体である場合には、予め細かく粉砕されたものを用い、硬化剤化合物とを充分に混合することが好ましい。
エポキシドに対する硬化剤化合物の配合量は、エポキシドの種類、特にそのエポキシドが持つエポキシ基の濃度によって異なり、エポキシド100部に対して1〜40部の範囲にある。
本発明の一成分系加熱硬化性エポキシド組成物には、例えば酸無水物、ジシアンジアミド、二塩基酸ジヒドラジド、グアナミン類、メラミン、イミダゾール類等の従来から潜在性硬化剤として知られている種々の硬化剤化合物と併用することも可能である。又、本発明による一成分系加熱硬化性エポキシド組成物には、必要に応じてその他の添加物を添加しても良い。このような添加物の例としては、アルミナ、シリカ、珪石粉、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、セメントなどの無機質材料粉末、石綿、ガラス繊維、合成繊維、雲母、金属粉など、更には各種の揺変性付与剤及びこれらに類する物が挙げられる。又、本発明の組成物には、必要に応じて他の希釈剤、難燃剤等を添加しても良い。
本発明の一成分系加熱硬化性エポキシド組成物は、貯蔵安定性に優れ、比較的低温で、かつ短時間に硬化させることができ、特にアウトガスが少なく、耐熱性に優れた硬化物を与える。
以下に硬化剤化合物における発明を実施するための最良の形態と、本発明の実施例とを、比較例と共に示すが、本発明はそれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
硬化剤化合物製造例1
温度計、還流冷却器、攪拌装置、窒素流入装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコに、イソホロンジアミン289.0g(1.7モル)を仕込んだ。窒素を流入させながら100℃に加熱した。この温度を保ち、かき混ぜながら、滴下ロートに入れたエピクロン830(大日本インキ化学工業社製ビスフェノールFタイプエポキシド、エポキシ当量約175)52.5g(0.3当量)を滴下した。終了後、120℃で2時間この状態を保ち反応を完結させた。次に、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール250.0g(2.0モル)及び尿素162.0g(2.7モル)を加え、この混合物をかき混ぜながら徐々に200℃まで加熱し、この温度を2時間保持した。得られた生成物は褐色透明で粉砕の容易な固体であった。ここで得られた硬化剤化合物をAとする。
硬化剤化合物製造例2
温度計、還流冷却器、攪拌装置、窒素流入装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコにイソホロンジアミン187.0g(1.1モル)を仕込んだ。窒素を流入させながら100℃に加熱した。この温度を保ち、かき混ぜながら、滴下ロートに入れたエピクロン830、140.0g(0.8当量)を滴下した。終了後、120℃で2時間この状態を保ち反応を完結させた。次に、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール250.0g(2.0モル)及び尿素126.0g(2.1モル)を加え、この混合物をかき混ぜながら徐々に200℃まで加熱し、この温度で2時間保持した。得られた生成物は褐色透明で粉砕の容易な固体であった。ここで得られた硬化剤化合物をBとする。
硬化剤化合物製造例3
温度計、還流冷却器、攪拌装置、窒素流入装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコにイソホロンジアミン187.0g(1.1モル)を仕込んだ。窒素を流入させながら100℃に加熱した。この温度を保ち、かき混ぜながら、滴下ロートに入れたエピクロン830、175.0g(1.0当量)を滴下した。終了後120℃で2時間この状態を保ち反応を完結させた。次に、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール187.5g(1.5モル)及び尿素90.0g(1.5モル)を加え、この混合物を窒素気流下でかき混ぜながら徐々に200℃まで加熱し、この温度を2時間保持した。得られた反応生成物は、褐色透明で粉砕の容易な固体であった。ここで得られた硬化剤化合物をCとする。
硬化剤化合物製造例4
温度計、還流冷却器、攪拌装置、窒素流入装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコにイソホロンジアミン187.0g(1.1モル)を仕込んだ。窒素を流入させながら100℃に加熱した。この温度を保ち、かき混ぜながら、滴下ロートに入れたアラルダイトAER−260(旭チバ社製ビスフェノールAタイプエポキシド、エポキシ当量約190)190.0g(1.0当量)を滴下した。終了後120℃で2時間この温度を保ち反応を完結させた。次に、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール187.5g(1.5モル)及び尿素90.0g(1.5モル)を加え、この混合物を窒素気流下でかき混ぜながら徐々に200℃まで加熱し、この温度を2時間保持した。得られた反応生成物は、褐色透明で粉砕の容易な固体であった。ここで得られた硬化剤化合物をDとする。
硬化剤化合物製造例5
温度計、還流冷却器、攪拌装置、窒素流入装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコにイソホロンジアミン2040.0g(12.0モル)を仕込んだ。窒素を流入させながら100℃に加熱した。この温度を保ち、かき混ぜながら、滴下ロートに入れたエピクロン830、2100.0g(12.0当量)を滴下した。終了後120℃で2時間この温度を保ち反応を完結させた。次に、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール187.5g(1.5モル)及び尿素312.0g(5.2モル)を加え、この混合物を窒素気流下でかき混ぜながら徐々に200℃まで加熱し、この温度を2時間保持した。得られた反応生成物は、褐色透明で粉砕の容易な固体であった。ここで得られた硬化剤化合物をEとする。
比較用硬化剤化合物製造例1
温度計、還流冷却器、攪拌装置、窒素流入装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコに、イソホロンジアミン68.0g(0.4モル)、ベンジルアミン149.8g(1.4モル)、イソブタノール570.3g及びキシレン570.3gを仕込んだ。窒素を流入させながら100℃に加熱した。この温度を保ち、かき混ぜながら、滴下ロートに入れたアラルダイトAER−260、380.0g(2.0当量)を滴下した。終了後、100℃で2時間この状態を保ち反応を完結させた。次に、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール187.5g(1.5モル)を加え、100℃で激しくかき混ぜながら、滴下ロートに入れたイソホロンジイソシアナート355.2g(1.6モル)を滴下した。終了後、イソブタノール及びキシレンの混合溶媒を還流させながら遊離イソシアナートが確認されなくなるまで反応を行った。その後、200℃まで加熱し、最後に減圧操作によりイソブタノール及びキシレンを除去した。得られた生成物は淡黄色透明で粉砕の容易な固体であった。ここで得られた硬化剤化合物をFとする。
比較用硬化剤化合物製造例2
温度計、還流冷却器、攪拌装置、窒素流入装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコに、イソホロンジアミン187.0g(1.1モル)、イソブタノール526.9g及びキシレン526.9gを仕込んだ。窒素を流入させながら100℃に加熱した。この温度を保ち、かき混ぜながらアラルダイトAER−260、114.0g(0.6当量)及びフェニルグリシジルエーテル210.0g(1.4当量)の混合物を滴下した。終了後、100℃で2時間この状態を保ち反応を完結させた。次に、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール187.5g(1.5モル)を加え、100℃で激しくかき混ぜながら、滴下ロートに入れたイソホロンジイソシアナート355.2g(1.6モル)を滴下した。終了後、イソブタノール及びキシレンの混合溶媒を還流させながら遊離イソシアナートが確認されなくなるまで反応を行った。その後、200℃まで加熱し、最後に減圧操作によりイソブタノール及びキシレンを除去した。得られた生成物は淡黄色透明で粉砕の容易な固体であった。ここで得られた硬化剤化合物をGとする。
比較用硬化剤化合物製造例3
温度計、還流冷却器、攪拌装置、窒素流入装置及び滴下ロートを備えた四ツ口フラスコに、イソホロンジアミン187.0g(1.1モル)、イソブタノール448.8g及びキシレン448.8gを仕込んだ。窒素を流入させながら100℃に加熱した。この温度を保ち、かき混ぜながらアラルダイトAER−260、190.0g(1.0当量)を滴下した。終了後、100℃で2時間この状態を保ち反応を完結させた。次に、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール187.5g(1.5モル)を加え、100℃で激しくかき混ぜながら、滴下ロートに入れたイソホロンジイソシアナート333.0g(1.5モル)を滴下した。この場合、滴下直後から不溶物が生成しゲル状となったため、滴下操作を中止した。従って、硬化剤化合物を製造することはできなかった。
硬化剤化合物製造例1で得られた硬化剤化合物Aを微粉砕し、アラルダイトAER−260を100重量部、アエロジル300(日本アエロジル社製 微粒子状シリカ)を1重量部に対して所定量添加分散させ、これらの組成物について硬化性、耐熱性、貯蔵安定性及びアウトガスを試験した。
実施例1と同様の手順で試験をしたが硬化剤化合物製造例2で得られた硬化剤化合物Bを用いて行った。
実施例1と同様の手順で試験をしたが硬化剤化合物製造例3で得られた硬化剤化合物Cを用いて行った。
実施例1と同様の手順で試験をしたが硬化剤化合物製造例4で得られた硬化剤化合物Dを用いて行った。
実施例1と同様の手順で試験をしたが硬化剤化合物製造例5で得られた硬化剤化合物Eを用いて行った。
比較例1及び2
比較用硬化剤化合物製造例1及び2で得られた硬化剤化合物F及びGを微粉砕し、アラルダイトAER−260を100重量部、アエロジル300を1重量部に対して所定量添加分散させ、これらの組成物について硬化性、耐熱性、貯蔵安定性及びアウトガスを試験した。
比較例3
アラルダイトAER−260を100重量部、アエロジル300を1重量部に対して1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール(略称Hとする)を5重量部添加混合し、この組成物について硬化性、耐熱性及び貯蔵安定性を試験した。
1.硬化性の評価
設定した各温度における試料約2gのゲル化時間を、ゲルタイムテスター(安田精機製作所製)により測定した。
2.耐熱性の評価
DSC(セイコー電子工業製)により、昇温速度5℃/分で250℃まで昇温硬化させたものを、再度5℃/分で昇温して、得られたDSC曲線からガラス転移点を求めた。
3.貯蔵安定性
40℃の恒温槽に保存した場合の粘度変化を調べた。粘度測定は25℃で行い、初期粘度の2倍に達する日数を調べた。
4.アウトガスの評価
150℃で1時間加熱後のアウトガスを、GC/MS(日本電子製)のヘッドスペース法により測定した。
硬化性、耐熱性及び貯蔵安定性の試験結果を表1に示し、アウトガスの試験結果を図1に示す。
表 1
硬化剤化合物 ゲル化時間(分) ガラス転移点 貯蔵安定性
略称 重量部 120℃ 100℃ 80℃ (℃) (日)
実施例1 A 10 2.8 6.1 60< 151.9 30<
15 2.6 5.1 60< 146.0 22
実施例2 B 10 2.5 4.6 18.5 150.8 30<
15 2.2 3.9 14.1 138.8 21
実施例3 C 10 2.5 4.6 17.7 151.6 30<
15 2.3 3.8 13.1 145.4 30<
実施例4 D 15 2.3 3.9 15.1 151.4 30<
20 1.9 3.5 12.4 140.7 30<
実施例5 E 30 3.0 4.3 8.3 153.6 30<
40 2.3 3.8 10.6 148.2 30<
比較例1 F 15 2.6 5.0 20.6 153.4 30<
20 2.4 4.3 18.5 150.0 30<
比較例2 G 15 3.0 5.0 23.0 148.3 30<
20 2.4 4.5 20.3 141.3 30<
比較例3 H 5 2.4 4.0 21.8 148.0 <1
結果
図1のアウトガス測定結果は、実施例1〜5(図中A−10〜F−40:但しアルファベットは硬化剤化合物の種類、右の数値はその組成物中の割合を示す)と比較して、比較例1及び2(図中F−15〜G−20)は、残留溶剤のイソブタノール(図の横軸の保持時間(R.T.)が6:20)、キシレン(10:40〜11:40)及びベンジルアミン由来(14:00)のピーク等、多くのアウトガス成分が観察された。又、硬化剤化合物製造例4に対応した比較用硬化剤化合物製造例3では、イソホロンジアミンとアラルダイトAER−260の付加物に1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾールを加えた後、イソホロンジイソシアナートを滴下反応させると、分子量調節材料としてモノアミン及び/又はモノエポキシドがないため、急激に高分子量化が進み、溶剤に不溶となった。従って、硬化剤化合物製造例4と同様の硬化剤化合物は製造できないことが判った。
以上の説明により、本発明は貯蔵安定性に優れ、比較的低温で、かつ短時間に硬化させることができ、特にアウトガスが少なく、耐熱性に優れた硬化物を与える一成分系加熱硬化性エポキシド組成物を提供し得るものであることは明らかである。
本発明の一成分系加熱硬化性エポキシド組成物は、その硬化物が多くの物質に対し優れた接着性を持つため、接着、塗料、注入、含浸、注型、ポッティングなどの分野に於いて利用出来る。
図1は150℃で1時間加熱後のアウトガスを、GC/MS(日本電子製)のヘッドスペース法により測定して得られたチャートによる、アウトガス測定結果のグラフである。

Claims (3)

  1. 分子内に平均1個より多くのエポキシ基を持つエポキシド(A)と、一般式、
    Figure 2005206744
    (式中、R1は水素原子、アルキル基、又はアリール基を示し、R2は水素原子、又はアルキル基を示し、R3は水素原子、又はアルキル基を示す。nは2又は3を表す。)で示されるアミノアルキルイミダゾール(a)、分子内に活性水素を持つ窒素原子を2個持ち環状構造を持つアミン(b)、尿素(c)及び分子内に平均2個のエポキシ基を持つジエポキシド(d)からなり、(a)、(b)、(c)及び(d)を加熱反応させてなる硬化剤化合物(B)とを必須成分として含有する一成分系加熱硬化性エポキシド組成物。
  2. 該硬化剤化合物(B)が、分子内に活性水素を持つ窒素原子を2個持ち環状構造を持つアミン(b)と分子内に平均2個のエポキシ基を持つジエポキシド(d)の付加反応を50〜150℃で1〜3時間行った後、アミノアルキルイミダゾール(a)及び尿素(c)を加え、脱アンモニア反応を150〜240℃で1〜5時間行うことにより得られたものである請求項1に記載の一成分系加熱硬化性エポキシド組成物。
  3. 硬化剤化合物(B)を製造するのに反応させた(a)、(b)、(c)及び(d)の割合について、(a)1モルに対する(b)の割合が0.4モル≦(b)≦12.0モルであり、(a)及び(b)中の活性水素を持つ窒素原子1個に対して(c)の割合が0.1モル≦(c)≦0.6モルであり、(a)及び(b)中の活性水素を持つ窒素原子1個に対して(d)の割合が0.01当量≦(d)≦0.6当量であり、(a)及び(b)中の活性水素を持つ窒素原子1個に対して(c)の−NH2基の数と(d)のエポキシ基の数の合計が0.8≦(c)の−NH2基+(b)のエポキシ基≦1.4である請求項1又は2に記載の一成分系加熱硬化性エポキシド組成物。
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