JP2005206667A - 防汚性水分散スラリー塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 塗膜が耐水性に優れ、防汚性も充分確保することができる防汚性水分散スラリー塗料を提供する。
【解決手段】 水性媒体中に、活性水素基を有する樹脂(a)からなる樹脂微粒子(A)、テトラアルコキシシラン(c1)及びテトラアルコキシシラン縮合物(c2)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる親水性付与成分(C)、及び親水部と疎水部からなりイソシアネート基、ブロックイソシアネート基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する反応性界面活性剤(B)を含有してなることを特徴とする防汚性水分散スラリー塗料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防汚性水分散スラリー塗料組成物に関するものである。さらに詳しくは、焼付け後の硬化塗膜の防汚性に優れる水分散スラリー塗料組成物に関するものである。
一般に、塗膜に対して長期間の耐候性試験を実施すると、大気中の埃、砂塵、鉄粉及び酸性雨等の影響で塗膜表面に徐々に汚染物質が付着し、塗膜外観が悪くなることが明らかとなっている。
これを改良するために一般的な有機溶剤を使用した塗料においては、塗膜に防汚性を付与する方法として、シラノール基の前駆体であるアルキルシリケートを塗料に添加し、塗膜表面を親水性とし、雨水により汚染物質を洗い流す、セルフクリーニング効果を利用する方法が知られている。
しかしながら、近年、有機溶剤による環境汚染、塗工作業時の人体への有毒性、火災・爆発の危険性等の問題から、有機溶剤を含まない水系塗料の需要が高まっている。
そこで、水系シリコーン樹脂塗料を設計する場合、水に可溶なシリコーン樹脂を使用する方法と非水溶性のシリコーン樹脂を水に分散させたエマルションの形態で使用する方法が考えられる。親水性官能基を有するシラン化合物を原料として得られる水溶性シリコーン樹脂、(例えば特許文献1)。また、疎水性のシリコーン樹脂を各種界面活性剤を用いて乳化し、水性エマルションとする方法(例えば特許文献2)が挙げられる。
特開平3−200793号公報 特開平8−60098号公報
しかし、これらの樹脂を用いた塗膜はいずれも焼き付け硬化後の塗膜の耐水性が悪く、膜硬度、耐候性等も不十分であった。これらの現状に鑑み、得られる塗膜が耐水性に優れ、塗膜の防汚性も充分確保することができる防汚性水分散スラリー塗料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、水性媒体中に、活性水素基を有する樹脂(a)からなる樹脂微粒子(A)、一般式(1)で示されるテトラアルコキシシラン(c1)及び一般式(2)で示されるテトラアルコキシシラン縮合物(c2)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる親水性付与成分(C)、並びに親水部と疎水部からなりイソシアネート基、ブロックイソシアネート基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する反応性界面活性剤(B)を含有してなることを特徴とする防汚性水分散スラリー塗料及び該塗料を塗布し、焼き付けることによって得られる塗膜である。
(RO)Si (1)
[式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基またはアルキルアリール基を示す。Rは同じでも異なっていてもよい。]
Figure 2005206667
[式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基またはアルキルアリール基を示す。nは2〜100の整数を示す。Rは同じでも異なっていてもよい。]
本発明の防汚性水分散スラリー塗料は、硬化された塗膜の防汚性、耐水性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、親水性付与成分は表面自由エネルギーの小さいアルコキシ基がSi原子又はSi−O−Si分子鎖を取り囲むような分子構造を持つため疎水性であり、その性質から造膜時に塗膜表面に移行する。Si−OR基は空気中の水分との反応によりSi−OH基やSi−O−Si結合を形成し、塗膜表面を親水化することで付着した汚れを降雨により除去できるような効果を発現する。
本発明における親水性付与成分(C)は、上記一般式(1)で示されるテトラアルコキシシラン(c1)及び上記一般式(2)で示されるテトラアルコキシシラン縮合物(c2)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる。
一般式(1)および(2)において、R及びRは共通して、炭素数は、1〜20、塗料の硬化塗膜の防汚性の観点から好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜14、とくに好ましくは1〜12である。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−およびi−プロピル基、2−エチルヘキシル基およびドデシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基およびドデセニル基などが挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、メトキシフェニル基およびナフチル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基およびフェニルエチル基などが挙げられる。
アルキルアリール基としては、トルイル基およびエチルフェニル基などが挙げられる。
これらのうち、塗料の硬化塗膜の防汚性の観点から好ましいのは、アルキル基、さらに好ましいのはメチル基、エチル基、n−およびi−プロピル基、2−エチルヘキシル基およびドデシル基、特に好ましいのはメチル基およびエチル基である。R、Rの炭素数が21以上の場合は十分な防汚性が得られない。
一般式(2)において、nは2〜100、塗料の硬化塗膜の防汚性の観点から好ましくは3〜70、さらに好ましくは4〜50、とくに好ましくは4〜18、最も好ましくは4〜10である。nが101以上の場合は十分な防汚性が得られない。
上記テトラアルコキシシラン(c1)としては例えばテトラアルコキシ(メトキシ、エトキシ、n−およびi−プロポキシ、n−ブトキシなど)シラン、テトラアルケニロキシ(ブテニロキシ、ドデセニロキシなど)シラン、テトラアリールオキシ(フェニロキシなど)シラン、テトラアラルキルオキシ(ベンジロキシなど)シランおよびテトラアルキルアリールオキシ(トルイルオキシなど)シランが挙げられる。これらは単独で使用しても、又は、2種以上併用することもできる。
また、テトラアルコキシシラン縮合物(c2)としては、例えばテトラアルコキシシラン(c1)を部分加水分解して直鎖状または分岐状に縮合させたものが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、又は、2種以上併用することもできる。
これらのうち、塗料の硬化塗膜の防汚性の観点から、一般式(2)においてRがメチル基および/またはエチル基である縮合物が好ましい。
該縮合物の具体例としては、テトラメトキシシラン縮合物[商品名:メチルシリケート51、n=3、コルコート(株)製]およびテトラエトキシシラン縮合物[商品名:エチルシリケート40、n=5、コルコート(株)製]などが挙げられる。
上記(c1)及び(c2)は、それぞれ単独で使用してもよく、混合物として使用してもよいが、塗料の硬化塗膜の防汚性の観点から好ましいのは、テトラアルコキシシラン縮合物(c2)が主成分の場合であり、さらに好ましいのはテトラアルコキシシラン縮合物(c2)を単独使用する場合である。
親水性付与成分(C)の使用量は、塗料の硬化塗膜の防汚性の観点から、樹脂微粒子(A)の重量に基づいて、好ましくは0.2〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは2〜20重量%である。
また、必要に応じて上記(c1)及び(c2)中のシリル基の加水分解を促進する酸無水物および/または熱潜在性触媒[塗料の保存温度では不活性で、一定温度(70℃)以上の加熱により酸性触媒または塩基性触媒が発生し、シリル基の加水分解を促進する触媒]を添加してもよい。
酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸および無水ピロメリット酸が挙げられる。
熱潜在性触媒としては、例えば、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、アミンイミド化合物、オニウム化合物およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物としては、下記に例示されるルイス酸とルイス塩基を任意に組み合わせたものが挙げられる。
ルイス酸にはプロトン酸および非プロトン酸が含まれる。
プロトン酸としては、ハロゲノカルボン酸(炭素数2〜4、例えばモノ−、ジ−およびトリ−クロル酢酸、モノ−、ジ−およびトリ−ブロム酢酸、モノ−、ジ−およびトリ−ヨード酢酸)、スルホン酸(炭素数1〜14、例えばメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタリン−α−およびβ−スルホン酸)、硫酸モノエステル(炭素数1〜18、例えばメチル硫酸、エチル硫酸、ブチル硫酸、フェニル硫酸、ステアリル硫酸)、リン酸モノ−およびジ−エステル(炭素数1〜36、例えばリン酸モノ−およびジ−メチル、リン酸モノ−およびジ−エチル、リン酸モノ−およびジ−ブチル、リン酸モノ−およびジ−フェニル、リン酸モノ−およびジ−ステアリル)、ホウ酸モノ−およびジ−エステル(炭素数1〜36、例えばホウ酸モノ−およびジ−メチル、ホウ酸モノ−およびジ−エチル、ホウ酸モノ−およびジ−ブチル、ホウ酸モノ−およびジ−フェニル、ホウ酸モノ−およびジ−ステアリル)などが挙げられる。
非プロトン酸としては、BF、FeCl、SnCl、AlCl、ZnClなどが挙げられる。
ルイス塩基としては、アンモニア;アミン[炭素数1〜22の飽和もしくは不飽和脂肪族アミン(1級または2級アミン、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、メチルエチルアミン、n−およびi−プロピルアミン、プロペニルアミン、メチルプロペニルアミン、n−、sec−、i−およびt−ブチルアミン、ブテニルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミンおよびドデシルアミン)、炭素数4〜22の飽和もしくは不飽和脂環式アミン(1級または2級アミン、例えば、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘキセニルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンおよびメチルシクロヘキセニルアミン)、炭素数6〜30の芳香(脂肪)族アミン(1級または2級アミン、例えば、アニリン、o−、m−およびp−トルイジン、ジフェニルアミン、α−ナフチルアミン、ベンジルアミン)、炭素数2〜22のアルカノールアミン(1級もしくは2級アミン、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミンおよびブタノールアミン)など];ホスフィン化合物〔トリアルキル(アルキル基の炭素数1〜20)ホスフィン(トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジメチルブチルホスフィン、ジメチルデシルホスフィンなど)、トリアリール(アリール基の炭素数6〜20)ホスフィン[トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリス(p−クロロフェニル)ホスフィンなど]など〕;ホスファイト化合物〔トリアルキル(アルキル基の炭素数1〜20)ホスファイト(トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイトおよびジメチルエチルホスファイト)、トリアリール(アリールの炭素数6〜20)ホスファイト[トリフェニルホスファイト、トリトリルホスファイト、トリス(p−クロロフェニル)ホスファイトなど]など〕などが挙げられる。
カルボン酸エステルとしては、カルボン酸〔炭素数1〜17の脂肪族カルボン酸[モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など)、ポリ(2価〜4価またはそれ以上)カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、トリカルバニル酸、ドデカン二酸など)など];炭素数4〜17の脂環式カルボン酸[モノカルボン酸(シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸など)、ポリ(2価〜4価またはそれ以上)カルボン酸(シクロプロパンジ−およびトリ−カルボン酸、シクロブタンジ−およびトリ−カルボン酸、シクロペンタンジ−およびトリ−カルボン酸、シクロヘキサンジ−およびトリ−カルボン酸、シクロヘプタンジ−およびトリ−カルボン酸など);炭素数7〜20の芳香(脂肪)族ポリカルボン酸[モノカルボン酸(安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸など)、ポリ(2価〜4価またはそれ以上)カルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸など)など]など〕とアルコールとのカルボン酸エステルなどが挙げられる。
アルコールとしては、水酸基当量が250未満のアルコールが挙げられ、1価アルコール(炭素数1〜30)[例えばメタノール、イソプロパノール、エタノール、n−プロパノールなど]、2価アルコール(炭素数2〜30)[エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンなど]3〜8価の多価アルコール(炭素数2〜30)[グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖など]、該多価アルコールのアルキレンオキシド(炭素数2〜20、例えばEO、PO、1,2−、1,3−、2,3−もしくは1,4−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン)付加物、1価フェノール化合物(フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール等)、および2〜6価の多価フェノール化合物(ピロガロール、カテコール、ヒドロキノンなどの多価フェノールのほかビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類)のアルキレンオキシド付加物、およびこれらの混合物が挙げられる。
スルホン酸エステルとしては、スルホン酸[炭素数1〜18の脂肪族スルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸など)、炭素数6〜15の芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタリン−α−スルホン酸、ナフタリン−β−スルホン酸など)]と上記で述べたアルコールとのスルホン酸エステルなどが挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸と上記で述べたアルコールとのリン酸エステルが挙げられる。これらのうち好ましいのは、脂肪族1級アルコール(炭素数3〜18、例えばn−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール)、脂肪族2級アルコール(炭素数3〜18、たとえばイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノールなど)または脂環式2級アルコール(炭素数5〜12、例えばシクロヘキサノール)のリン酸エステルである。
アミンイミド化合物としては、上記カルボン酸エステル、ジメチルヒドラジンおよびエポキシドから得られるものが挙げられる。これらのうち好ましいのは、1,1,1−トリメチルアミンブチルイミド、1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)アミンエチルイミドである。
オニウム化合物としては、下記の一般式(8)、(9)、(10)、(11)および(12)で示される、それぞれ4級アンモニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物、オキソニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物およびヨードニウム塩化合物が挙げられる。
[R NR・X (8)
[R PR・X (9)
[R OR・X (10)
[R SR・X (11)
[RIR・X (12)
〔式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基またはシクロアルキル基[ただし、2個のRは互いに結合してN、P、OまたはSをヘテロ原子とする複素環(ピロール環、ピリジン環、フラン環、γ−ピラン環、チオフェン環など)を形成していてもよい。];RはHまたは炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基;XはSbF 、SbF 、AsF 、PF またはBF を表す。〕
オニウム化合物のうち、4級アンモニウム塩化合物としては、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルアニリウム四フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−(4−クロロベンジル)アニリウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモンなど;
ホスホニウム塩化合物としては、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アンチモンなど;
オキソニウム塩化合物としては、トリエチルオキソニウム四フッ化ホウ素など;
スルホニウム塩化合物としては、芳香族スルホニウム塩〔トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化ヒ素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化リン、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素、商品名:アデカCP−66、商品名:アデカCR−77[アデカはいずれも旭電化工業(株)製]、商品名:サンエイドSI−100、商品名:サンエイドSI−110、商品名:サンエイドSI−145、商品名:サンエイドSI−150、商品名:サンエイドSI−160、商品名:サンエイドSI−180[サンエイドはいずれも三新化学工業(株)製]など〕など;
ヨードニウム塩化合物としては、ジフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−4−クロロフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−4−ブロムフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−p−トリルヨードニウム六フッ化ヒ素、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウム六フッ化ヒ素など、が挙げられる。
上記酸無水物および熱潜在性触媒はそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、さらに酸無水物と熱潜在性触媒を組み合わせて用いることもできる。これらのうち好ましいのは、酸無水物とオニウム化合物の組み合わせ、とくに無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸またはヘキサヒドロ無水フタル酸と上記スルホニウム塩化合物のうち、アニオンがSbF またはPF である芳香族スルホニウム塩との組み合わせである。
酸無水物および熱潜在性触媒の使用量は、その種類および上記テトラアルコキシシラン(c1)及び(c2)中の加水分解性シリル基の含有量、種類等によって適宜選択できるが、外観および物性に優れた塗膜を得る観点から、酸無水物のみを使用する場合、その使用量は、シリケート化合物の重量に基づいて、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、とくに好ましくは1〜3重量%である。
また、熱潜在性触媒のみを使用する場合、その使用量は、上記(c1)及び(c2)の重量に基づいて、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.02〜4重量%、とくに好ましくは0.02〜3重量%である。
酸無水物と熱潜在性触媒を併用する場合、その合計使用量は、上記(c1)及び(c2)の重量に基づいて、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.02〜5、とくに好ましくは0.03〜3であり、酸無水物と熱潜在性触媒の重量比は、好ましくは10/90〜50/50、さらに好ましくは20/80〜40/60である。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料において、水性媒体とは、水、または水混和性溶媒と水との混合溶媒をいう。水混和性溶媒とは、例えばアルコール系溶剤やケトン系溶剤などが挙げられる。具体的には、アルコール系溶剤:メタノール、イソプロパノール、エタノール、n−プロパノールなど、ケトン系溶剤:アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。上記水と水混和性溶媒との混合比率は、好ましくは100/0〜100/20であり、さらに好ましくは100/0〜100/5である。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料において、樹脂微粒子(A)は活性水素基を含有する樹脂(a)からなる。
反応性界面活性剤(B)は該樹脂微粒子(A)の活性水素基と反応し、塗膜中に共有結合を介して組み込まれることにより、塗膜の耐水性が良好となる。
樹脂(a)としては例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料において、樹脂微粒子(A)の粒子形状は不定形であっても球状であっても良いが、塗膜の平滑性、均一性の点で球状の方が好ましい。ここで球状というのは粒子の長径/短径の比率が1.0〜1.5の範囲にあるものを指す。
また、該(A)の体積平均粒径は、塗膜の耐水性、塗装時の粘性の観点から、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは0.8〜20μm、特に好ましくは1.0〜10μmである。粒径の測定法は電子顕微鏡測定、沈降法、エレクトロゾーン法、動的光散乱法等があるが、測定粒度範囲の適合性より、動的光散乱法での測定が好ましい。
本発明の防汚性スラリー塗料において、活性水素を含有する樹脂(a)を溶解させる有機溶剤としては、たとえば、芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤、ハロゲン系溶剤、エステル系またはエステルエーテル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、スルホキシド系溶剤、複素環式化合物系溶剤、ならびにこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。これらのうち好ましいのはケトン系溶剤またはエーテル系溶剤である。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリンなどが挙げられる。
脂肪族または脂環式炭化水素系溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサンなどが挙げられる。
ハロゲン系溶剤としては、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどが挙げられる。
エステル系またはエステルエーテル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
スルホキシド系溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
複素環式化合物系溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
本発明において、活性水素[アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、アミノ基、カルボン酸基、リン酸基、チオール基など]を含有する樹脂(a)は、例えば、アクリル樹脂(a−1)、ポリエステル樹脂(a−2)、ポリウレタン樹脂(a−3)、エポキシ樹脂(a−4)等で、活性水素基を含有したものが挙げられる。
このうち好ましいものは、アクリル樹脂(a−1)である。
上記(a)の活性水素当量は好ましくは100〜10,000、より好ましくは100〜5,000、さらに好ましくは100〜2000である。
上記アクリル樹脂(a−1)を構成するモノマーとしては、アクリル酸、水酸基を有しないアクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、水酸基を有しないメタクリル酸エステル等(a−1−1)、及び水酸基を有するアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル(a−1−2)、必要により他のモノマー(a−1−3)が挙げられる。
アクリル樹脂(a−1)における(a−1−1)、(a−1−2)及び(a−1−3)の重量%比は、(0〜80)/(1〜100)/(0〜50)であり、好ましくは(1〜50)/(1〜50)/(0〜20)である。
上記(a−1)は溶液重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の重合法により製造され、重量平均分子量は1,000〜200,000、好ましくは2,000〜50,000、さらに好ましくは3,000〜20,000である。なお、本明細書中、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。すなわち、ポリスチレンゲルなどを充填したカラムに高分子溶液を流し、溶出液の高分子濃度および分子量を、溶出量の関数として検出するものである。
(a−1−1)としては、例えば、(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等]などが挙げられる。
これらのうち好ましいものはメチル(メタ)アクリレート、n―ブチル(メタ)アクリレートである。
(a−1−2)としてはヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)(メタ)アクリレート、たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
(a−1−3)としては、例えば、スチレン、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのうち好ましいものは、スチレンである。
ポリエステル樹脂(a−2)としては、低分子ポリオールおよび/または分子量1000以下のポリアルキレンエーテルジオールとポリカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルポリオール、ラクトンの開環重合により得られるポリラクトンジオール、低分子ジオールと低級アルコール(メタノールなど)の炭酸ジエステルとを反応させて得られるポリカーボネートジオールなどが含まれる。
上記低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール;環状基を有する低分子ジオール類[たとえば特公昭45−1474号公報記載のもの:ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等]、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
また、分子量1,000以下のポリアルキレンエーテルジオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
また、ポリカルボン酸としては脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など)、これらのジカルボン酸のエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステルなど]およびこれらの2種以上の混合物が挙げられ;ラクトンとしてはε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエステル化は、通常の方法、たとえば低分子ポリオールおよび/または分子量1000以下のポリエーテルポリオールを、ポリカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体[たとえば無水物(無水マレイン酸、無水フタル酸など)、低級エステル(アジピン酸ジメチル,テレフタル酸ジメチルなど)、ハライド等]と、またはその無水物およびアルキレンオキサイド(たとえばエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド)とを反応(縮合)させ、一方の構成成分であるポリオールを過剰に用いることで活性水素基を末端に残存させる方法、あるいは開始剤(低分子ジオールおよび/または分子量1,000以下のポリエーテルジオール)にラクトンを付加させる方法により製造することができる。
上記(a−2)の具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリカプロラクトンジオールまたはトリオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどが挙げられる。
水酸基含有ポリエステルの構成成分の比率は、ポリオールとポリカルボン酸の比率が、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]のモル比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1、より好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。他の構成成分の場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。重量平均分子量は1,000〜50,000、好ましくは2,000〜20,000、さらに好ましくは3,000〜15,000である。
ポリウレタン樹脂(a−3)としては、ポリオールとポリイソシアネートの重付加物などが挙げられる。
ポリイソシアネートの具体例としては、下記に例示のものが挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては特に限定されず、例えば、
(1)炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族ジイソシアネート[例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等];
(2)炭素数4〜15の脂環族ジイソシアート[例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロへキセン等];
(3)炭素数6〜14の芳香族ジイソシアネート[例えば、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート等];
(4)炭素数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート[例えば、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等];
(5)これらのジイソシアネートの変性物[例えば、カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ウレア基等を有するジイソシアネート変性物等];
(6)およびこれら(1)〜(5)の2種以上の混合物;
(7)上記に例示の有機ジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基またはオキサゾリドン基含有変性物など)、HDIイソシアヌレート、HDIビューレット、IPDIイソシアヌレート、IPDIビューレット、粗製MDI[粗製ジアミノジフェニルメタン{ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物:ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物}のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)など]、およびこれらのブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。
これらのうち好ましいものはHDI、TDIおよびIPDIである。
イソシアネート基のブロック化剤としては、ラクタム類(ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等)、フェノール類(フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール等)、オキシム類(メチルエチルケトンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、ジケトン類(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等)、メルカプタン類(ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等)、ウレトジオン類(イソホロンジイソシアネートダイマー、ヘキサメチレンジイソシアネートダイマー等)、アミド類(アセトアニリド、酢酸アミド等)、イミド類(コハク酸イミド、マレイン酸イミド等)及び亜硫酸塩類(重亜硫酸ソーダ等)、及び上記の2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち、好ましいものとしては、アルコール類、ラクタム類、オキシム類、フェノール類が好ましく、特にメタノール、エタノール、メチルエチルケトンオキシムが好ましい。
ポリオールの具体例としては、例えば、活性水素原子含有多官能化合物にアルキレンオキサイド(AO)が付加した構造の化合物およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
活性水素原子含有多官能化合物としては、多価アルコール(a−3−1)、多価フェノール類(a−3−2)、アミン類(a−3−3)、ポリカルボン酸(a−3−4)、リン酸類(a−3−5)、ポリチオール(a−3−6)などが挙げられる。
多価アルコール(a−3−1)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンなどの2価アルコ―ル;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖などの3〜8価の多価アルコールなどが挙げられる。
多価フェノール類(a−3−2)としては、ピロガロール、カテコール、ヒドロキノンなどの多価フェノールのほかビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類などが挙げられる。
アミン類(a−3−3)としては、アンモニア、炭素数1〜20のアルキルアミン類(ブチルアミンなど)、アニリンなどのモノアミン類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジンおよびその他特公昭55−21044号公報記載の複素環式ポリアミン類;ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミンなどの芳香族ポリアミン;およびモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類などが挙げられる。
ポリカルボン酸(a−3−4)としてはコハク酸、アジピン酸などの脂肪族ポリカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸があげられる。
リン酸類(a−3−5)としては燐酸、亜燐酸、ホスホン酸などが挙げられる。また、ポリチオール(a−3−6)としてはグリシジル基含有化合物と硫化水素との反応で得られる多価ポリチオール化合物などが挙げられる。
上述した活性水素原子含有化合物は2種以上使用することもできる。
上述の活性水素原子含有化合物に付加するAOとしては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、1,2−、2,3−もしくは1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(THF)、スチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリンなどがあげられる。
AOは単独でも2種以上併用してもよく、後者の場合はブロック付加(チップ型、バランス型、活性セカンダリー型など)でもランダム付加でも両者の混合系〔ランダム付加後にチップしたもの:分子中に任意に分布されたエチレンオキシド鎖を0〜50重量%(好ましくは5〜40重量%)有し、0〜30重量%(好ましくは5〜25重量%)のEO鎖が分子末端にチップされたもの〕でもよい。
これらのAOのうちで好ましいものはEO単独、PO単独、THF単独、POおよびEOの併用、POおよび/またはEOとTHFの併用(併用の場合、ランダム、ブロックおよび両者の混合系)である。
活性水素原子含有化合物へのAOの付加は、通常の方法で行うことができ、無触媒でまたは触媒(アルカリ触媒、アミン系触媒、酸性触媒)の存在下(とくにAO付加の後半の段階で)に常圧または加圧下に1段階または多段階で行なわれる。
ポリオール(1)の不飽和度は少ない方が好ましく、通常0.1meq/g以下、好ましくは0.05meq/g以下、さらに好ましくは0.02meq/g以下である。
ポリオールとジイソシアネートの比率は、水酸基[OH]とイソシアネート基[NCO]のモル比[OH]/[NCO]として、1/2以上1/1未満、好ましくは1/1.5以上1/1未満、さらに好ましくは1/1.3以上1/1.02未満である。他の構成成分の場合も、構成成分が変わるだけで比率は同様である。重量平均分子量は1,000〜50,000、好ましくは2,000〜20,000、さらに好ましくは3,000〜15,000である。
エポキシ樹脂(a−4)としては、ポリエポキシド(a−4−1)とポリカルボン酸(a−4−2)との付加縮合物などが挙げられる。この付加重合の際、活性水素基を含有する水酸基が発生する。
ポリカルボン酸(a−4−2)としては、上記に例示のものが挙げられる。また、ポリエポキシド(a−4−1)は、脂肪族系、脂環族系、複素環系あるいは芳香族系のいずれであってよい。
芳香族系のポリエポキシドとしては、多価フェノールのグリシジルエーテル体が挙げられ、例えば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ピロガロールトリグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル体、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、またはホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体が挙げられる。
さらに、本発明において前記芳香族系として、トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールの付加反応によって得られるジグリシジルウレタン化合物、前記2反応物にポリオールも反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマーおよびビスフェノールAのアルキレンオキシド(エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)付加物のジグリシジルエーテル体も含む。
複素環系のポリエポキシドとしては、トリスグリシジルメラミンが挙げられる。
脂環族系のポリエポキシドとしては、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミンが挙げられる。また、脂環族系としては、前記芳香族系ポリエポキシド化合物の核水添化物も含む。
脂肪族系のポリエポキシドとしては、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体、およびグリシジル脂肪族アミンが挙げられる。
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、およびソルビトールポリグリシジルエーテルが挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、ジグリシジルアジペートが挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
また、本発明において脂肪族系としては、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体も含む。
これらのうち、エポキシ樹脂(a−4)として好ましいのはビスフェノールAジグリシジルエーテルとアジピン酸との縮合物である。重量平均分子量は1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、さらに好ましくは3,000〜20,000である。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料は、水性媒体中に、樹脂微粒子(A)、親水性付与成分(C)、反応性界面活性剤(B)を含有してなる。
上記(B)は通常の界面活性剤を含有していてもよい。その重量は上記(B)の重量に対して好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。
通常の界面活性剤としては特に限定されず、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。具体例として、アニオン性界面活性剤としては高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、高級アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウムなどが挙げられ、両性界面活性剤としては、アルキルジメチルベタイン、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムなどが挙げられ、ノニオン性界面活性剤としては、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物グリセロール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記反応性界面活性剤(B)は、親水部と疎水部からなり、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基(以下、イソシアネート基等(g)と記載する。)を有する。親水部としては、オキシエチレン基を含有することが好ましい。
オキシエチレン基の含有量は、上記(B)の重量に対して好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上、特に好ましくは30重量%以上であり、好ましくは97重量%以下、さらに好ましくは95重量%以下、特に好ましくは93重量%以下である。オキシエチレン単位が20重量%以上97重量%以下であると、乳化力が強く、安定なスラリー塗料を得ることができる。
また、上記(B)はオキシエチレン基を親水部の重量に対して好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上、特に好ましくは80重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、さらに好ましくは98重量%以下、特に好ましくは97重量%以下である。オキシエチレン単位が70重量%以上99重量%以下であると、乳化力が強く、安定なスラリー塗料を得ることができる。
上記(B)の親水部(BH)と疎水部(BL)の重量比(BL/BH)は、好ましくは4.0以下、0.03以上、さらに好ましくは3.0以下、0.05以上、特に好ましくは、2.3以下、0.07以上である。
上記(B)の親水基疎水基バランス(以下、HLBと記す)は、エチレン性不飽和単量体を乳化する力および微粒子を分散させて安定な水性分散体又は水性エマルジョンとする観点から、5〜20が好ましく、7〜20がさらに好ましい。上記(B)のHLBの調整は、たとえば上記(B)中の疎水基の種類とその含有量の調整および親水基の種類とその含有量の調整により行うことができる。該HLBは、例えば、藤本武彦著「全訂版新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社、1992年発行の197頁に記載の小田の方法により求めることができる。すなわち、各官能基の無機性(親水性)又は有機性(疎水性)の数値を炭素原子数に基づいて評価した有機性と無機性の数値(この数値は、例えば、上記文献の第3・3・11表に掲載されている)を用いて、上記(B)中の疎水基の種類とその含有量及び親水基の種類とその含有量から、その有機性の値と無機性の値を求め、以下の式によりHLBを計算する。
HLB=10×(無機性/有機性)
反応性界面活性剤(B)は、1種以上の疎水部(BL)を含有する。該疎水部としては、たとえば、分散安定性の観点から炭素数6〜100またはそれ以上、好ましくは炭素数8〜80の芳香環を含有する炭化水素基を含有するものが挙げられる。該芳香環を含有する炭化水素基としては、例えば、フェノール類から水酸基を除いた残基およびこれら化合物にビニルモノマーを付加させたもの(BL1)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど)から水酸基を除いた残基およびこれら化合物にビニルモノマーを付加させたもの(BL2)、フェノールノボラック樹脂(水酸基の価数1〜8)、クレゾールノボラック樹脂(水酸基の価数1〜8)から水酸基を除いた残基およびこれら化合物にビニルモノマーを付加させたもの(BL3)、芳香族アルコールから水酸基を除いた残基(BL4)などが挙げられる。
具体例としては、(BL1):フェニル基、アルキル(炭素数1〜18)フェニル基(例えばノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクチルフェノール等)、スチレン化(付加モル数1〜10)フェニル基、アリールアルキル化フェノール(例えばクミルフェノール等)、スチレン化(付加モル数1〜10)クメニル(イソプロピルフェニル)基など
(BL2):ビスフェニル基(ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど)、スチレン化(付加モル数1〜10)ビスフェニル基など
(BL3):フェノールノボラック樹脂(水酸基の価数1〜8)から水酸基を除いた残基、スチレン化(付加モル数1〜10)フェノールノボラック樹脂(水酸基の価数1〜8)から水酸基を除いた残基、クレゾールノボラック樹脂(水酸基の価数1〜8)から水酸基を除いた残基、スチレン化(付加モル数1〜10)クレゾールノボラック樹脂(水酸基の価数1〜8)から水酸基を除いた残基など
(BL4):ベンジルアルコールなど
これらの中で、好ましいものは、スチレン化(付加モル数1〜10)フェニル基、スチレン化(付加モル数1〜10)クメニル基である。
反応性界面活性剤(B)は、1種以上の親水部(BH)を含有する。
親水部(BH)としては、例えば、疎水部(BL)のフェノール性又はアルコール性水酸基に結合する以下の基(BH1)、(BH2)が挙げられる。(BH1):ポリオキシアルキレンエーテルから水素を除いた基、(BH2):ポリオキシアルキレンエーテルとジイソシアネートからなるウレタン樹脂から水素を除いた基。
反応性界面活性剤(B)としては、イソシアネート基等(g)を親水部に有する反応性界面活性剤(B1)、反応性界面活性剤(B2)と、イソシアネート基等(g)を疎水部に有する反応性界面活性剤(B3)が挙げられる。
イソシアネート基等(g)は、上記親水部と疎水部いずれに存在してもよいが、親水部に存在することが好ましい。以下、(g)が親水部に存在する反応性界面活性剤(B1)及び(B2)について述べる。
反応性界面活性剤(B1)、(B2)においては、その親水部(BH)としては、例えば、上記(BH1)、(BH2)に上記(g)を有する基、すなわち、(BH1):イソシアネート基等(g)を末端に有するポリオキシアルキレンエーテルから水素を除いた基、(BH2):イソシアネート基等(g)を末端に有し、ポリオキシアルキレンエーテルとジイソシアネートからなるウレタン樹脂から水素を除いた基が挙げられる。
上記(B1)、(B2)の親水部に含有される、イソシアネート基又はブロックイソシアネート基を導入する方法は特に限定されないが、たとえば、有機ポリイソシアネートの片末端を親水部の活性水素と反応させ、必要により残ったNCO基をブロック化するという方法が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、上記に挙げたものが挙げられる。
上記(B1)、(B2)の親水部に含有される、エポキシ基を導入する方法は特に限定されないが、たとえば、ポリエポキシ化合物の片末端を親水部の活性水素と反応させ、エポキシ基を導入する方法が挙げられる。
ポリエポキシ化合物としては上記で挙げたポリエポキシドが挙げられる。
好ましいものはビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
上記反応性界面活性剤(B1)は、例えば、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)と必要によりビニルモノマー(b2)とからなる付加反応物又はそのアルキレンオキサイド付加物(b3)、有機ジイソシアネート(b4)、ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)、並びに、ブロック化剤(b6)又はポリエポキシ化合物(b7)を主要構成要素としてなり、前記(b3)及び/又は前記(b5)にオキシエチレン基を含有し、前記(b3)及び/又は(b5)にブロック化されていてもよいイソシアネート基又はエポキシ基が付加してなるウレタン樹脂である。(B1)は必要に応じて、更に、伸長剤(b8)を用いたものであってもよい。
ウレタン樹脂(B1)は、例えば、下記一般式(3)又は(4)で表される化合物の1種又は2種以上からなる。
Figure 2005206667
式中、Qは、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)と必要によりビニルモノマー(b2)とからなる付加反応物もしくはそのポリオキシアルキレンエーテル(b3)の残基を、Gは有機ジイソシアネート(b4)の残基を、Jは、ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)の残基を、Yはブロック化剤(b6)の残基を、Zはポリエポキシ化合物(b7)の残基を表す。mは1〜500の整数である。複数のG、Jはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記(B1)の重量平均分子量(以下MWと略記する。)は好ましくは1,000〜150,000、さらに好ましくは3,000〜100,000、特に好ましくは5,000〜50,000である。MWは、十分な界面活性能力が得られる点で、1,000以上が好ましく、低粘度で安定な樹脂水性分散体が得られる点で150,000以下が好ましい。
上記(B1)を構成する上記(b1)としては特に限定されず、例えば、フェノール、アルキル(炭素数1〜18)フェノール(例えばノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクチルフェノール等)、アリールアルキル化フェノール(例えばクミルフェノール等)、ビスフェノール類のモノアルキル(炭素数1〜18)エーテル類(例えばビスフェノールAのモノメチルエーテル、ビスフェノールAのモノブチルエーテル、ビスフェノールSのモノブチルエーテル等)、芳香族アルコール(例えばベンジルアルコール等)及び上記の2種以上の混合物等が挙げられる。
これらのうち、好ましいものは、フェノール、クミルフェノールである。
ビニルモノマー(b2)としてはイソシアネート基を有さないビニルモノマーが挙げられ、例えば脂肪族ビニル系炭化水素、脂環式ビニル系炭化水素、および芳香族ビニル系炭化水素を用いることができる。
脂肪族ビニル系炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、前記以外のα−オレフィン等が、脂環式ビニル系炭化水素としては、例えば、シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等が、芳香族ビニル系炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルケトン、トリビニルベンゼン等が挙げられる。
これらのうち、好ましいものは、スチレンである。
上記(b3)は、上記1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)と必要により上記ビニルモノマー(b2)とからなる付加反応物又はそのアルキレンオキサイド付加物である。
使用されるアルキレンオキサイド(炭素数1〜30)としては特に限定されず、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−又は2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、α−オレフィン(炭素数4〜30)オキサイド、エピクロロヒドリン、スチレンオキサイド、及び上記の2種以上の混合物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、EOである。付加様式はランダム、及び/又はブロックが好ましい。
アルキレンオキサイドの付加モル数は、1〜100モル、好ましくは1〜50モル、更に好ましくは1〜30モルである。
上記(b3)のMWは好ましくは300〜20,000、さらに好ましくは400〜15,000、特に好ましくは500〜10,000である。MWは、十分な界面活性能力が得られる点で、300以上が好ましく、低粘度で安定な樹脂水性分散体が得られる点で20,000以下が好ましい。
上記(b3)において、構成単位である上記(b1)、上記(b2)、付加されたAOの重量比率は、好ましくは(1〜5)/(0〜99)/(0〜99)であり、さらに好ましくは(1〜5)/(1〜60)/(1〜60)である。
上記(b3)の具体例としては、例えば、スチレン化(1〜10モル付加)フェノールEO付加(1〜25モル)物、スチレン化(1〜10モル付加)クミルフェノールEO付加(1〜25モル)物、が挙げられる。
上記(b3)において、上記(b1)、上記(b2)を付加させる方法としては特に限定されないが、フリーデルクラフツ反応によるのが好ましい。
フリーデルクラフツ反応の方法としては、公知の方法が使用でき、例えば、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)に、必要に応じてビニルモノマー(b2)を、公知のルイス酸触媒(例えば、塩化鉄、塩化アルミニウム等)を用いて重付加させる方法等が挙げられる。
有機ジイソシアネート(b4)としては特に限定されず、例えば、上記に例示のものが挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)は、上記(B)の乳化力の観点から、ポリオキシエチレン単位を(b5)の重量に対して好ましくは20〜100重量%、さらに好ましくは50〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%含有する。
上記(b5)としては、例えば、末端水酸基のポリエーテルジオール(b5−1)、末端水酸基のポリエステルジオール(b5−2)、末端アミノ基のポリエーテルジアミン(b5−3)等が含まれ、ジオール成分のみ、ジアミン成分のみ、又は、ジオール成分及びジアミン成分の両方を使用することができる。
上記(b5−1)としては、例えば、低分子ジオール又は2価フェノールにAOが付加した構造の化合物及びこれらの2種以上の混合物等が使用できる。
上記低分子ジオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール(以下EGと略記)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール(以下14BGと略記)、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール;環状基を有する低分子ジオール類[例えば、特公昭45−1474号公報記載のもの、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等]、及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
上記2価フェノールとしては特に限定されず、例えば、炭素数6〜30の2価フェノールが使用できる。具体的には単環2価、例えば、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等;縮合環2価、例えば、ジヒドロキシナフタレン等;ビスフェノール、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル等;及びビナフトール;ならびにこれらのアルキル(炭素数1〜10)又はハロゲン(塩素、臭素など)置換体(例えば臭素化ビスフェノールA)等が挙げられる。
上記(b5−2)としては、例えば、MW1000以下の(b5−1)とジカルボン酸及び/又は低分子ジオールとを反応させて得られる縮合ポリエステルジオールのうち、ポリオキシエチレン単位を上記記載の如く含有するもの等が挙げられる。
低分子ジオールとしては、例えば、上記記載のものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸など)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸など)、これらのジカルボン酸のエステル形成性誘導体[酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステルなど]及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
上記(b5−3)としては、上記(b5−1)の末端ヒドロキシル基をさらにアミノ基に変成することで得られるものを使用することができる。
末端ヒドロキシル基をアミノ基に変成する方法としては、公知の方法が使用でき、例えば、上記(b5−1)の末端ヒドロキシル基をシアノアルキル化して得られる末端シアノアルキル基を還元しアミノアルキル化する方法(例えば、末端ヒドロキシル基を有する上記(b5−1)とアクリロニトリル又はノネンニトリルとを反応させ、得られるシアノエチル化物を水素添加する方法)等が挙げられる。
これらのうち、好ましいものは、上記(b5−1)の末端ヒドロキシル基をシアノアルキル化して得られる末端シアノアルキル基を還元しアミノアルキル化する方法である。
上記(b5)の水酸基及び/又はアミノ基1個あたりの数平均分子量は通常100〜10,000又はそれ以上であることが好ましく、より好ましくは400〜4,000である。
上記(b6)としては、上記イソシアネート基のブロック化剤として挙げたものが使用できる。
ポリエポキシ化合物(b7)としては、上記ポリエポキシドとして挙げたものが使用できる。
反応性界面活性剤(B1)の構成要素として、必要に応じて伸長剤(b8)を含んでいてもよい。上記(b8)としては、水;上記に記載した低分子ジオール;ジアミン類[炭素数2〜6の脂肪族ジアミン(例えばエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミンなど)、炭素数6〜15の脂環式ジアミン(例えばイソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンなど)、炭素数6〜15の芳香族ジアミン(例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど)など];モノアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミンなど)、ヒドラジン又はその誘導体(例えばアジピン酸ジヒドラジドなど)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは低分子ジオールであり、特に好ましいものはEGおよび14BGである。
上記反応性界面活性剤(B2)は、例えば、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)と必要によりビニルモノマー(b2)とからなる付加反応物のアルキレンオキサイド付加物(b3’)、並びにブロック化剤(b6)又はポリエポキシ化合物(b7)を主要構成要素としてなり、前記(b3’)にオキシエチレン基を含有し、前記(b3’)にブロック化されていてもよいイソシアネート基又はエポキシ基が付加してなる化合物である。
上記(b1)、(b2)、(b6)、及び(b7)は上記(B1)におけるものと同様であり、上記(b3’)におけるアルキレンオキサイドも、上記(B1)におけるものと同様である。
前記反応性界面活性剤(B2)は、例えば下記一般式(6)又は(7)で表される化合物の1種又は2種以上からなるものである。
Q’−CONH−G−NHCO−Y (6)
Q’−Z (7)
式中、Q’は、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)と必要によりビニルモノマー(b2)とからなる付加反応物のポリオキシアルキレンエーテル(b3’)の残基を、Gは、有機ジイソシアネート(b4)の残基を、Yは、ブロック化剤(b6)の残基を、Zはポリエポキシ化合物(b7)の残基を表す。
上記(B2)のMWは300〜20,000、さらに好ましくは400〜15,000、特に好ましくは500〜10,000である。MWは、十分な界面活性能力が得られる点で、300以上が好ましく、低粘度で安定な樹脂水性分散体が得られる点で20,000以下が好ましい。
上記(b3’)のMWは好ましくは100〜19,000、さらに好ましくは200〜14,000、特に好ましくは300〜9,000である。MWは、十分な界面活性能力が得られる点で、100以上が好ましく、低粘度で安定な樹脂水性分散体が得られる点で19,000以下が好ましい。
上記(b3’)において、構成単位である(b1)、(b2)、付加されたAOの重量比率は、好ましくは(1〜5)/(0〜99)/(0〜99)であり、さらに好ましくは(1〜5)/(1〜60)/(1〜60)である。
上記(b3’)の具体例としては、上記(b3)に例示の化合物のうち、ポリオキシアルキレンエーテル等が挙げられる。
反応性界面活性剤(B2)の構成要素として、必要に応じて上述した伸長剤(b8)を含んでいてもよい。
以下、イソシアネート基等(g)が疎水部に存在する反応性界面活性剤(B3)について述べる。
反応性界面活性剤(B3)の疎水部としては、たとえば、炭素数6〜100またはそれ以上、好ましくは8〜80の芳香環を含有する炭化水素基で、分子内に、イソシアネート基等(g)を含有するものが挙げられる。該芳香環を含有する炭化水素基としては、スチレン化フェニル基、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど)の水酸基を除いた残基、およびこれら化合物にビニルモノマーを付加させたものなどが挙げられる。
該疎水部に含有される、これらの上記(g)を導入する方法は特に限定されないが、たとえば、二重結合を有するブロック化されていてもよいイソシアネート化合物を、他の不飽和モノマーと付加重合させる方法がある。
二重結合を有するイソシアネート化合物の具体例としては、たとえば、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、イソシアネートブチル(メタ)アクリレート、イソシアネートヘキシル(メタ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、3−エチレニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、及び上記の2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち、好ましいものは、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートである。
イソシアネート基のブロック化剤としては、上記に挙げたものが用いられる。
反応性界面活性剤(B3)は、例えば、イソシアネート基等(g)を有するウレタン樹脂(L)からなる。上記ウレタン樹脂(L)は、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)とブロック化されていてもよいイソシアネート基を有するビニルモノマー(b2’)とからなる付加反応物又はそのアルキレンオキサイド付加物(b3’’)、有機ジイソシアネート(b4)、並びに、ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)を主要構成要素としてなるが、必要に応じて、更に、伸長剤(b8)、停止剤(b10)を用いたものであってもよい。
上記(B3)の重量平均分子量は好ましくは1,000〜150,000、さらに好ましくは5,000〜100,000、特に好ましくは10,000〜25,000である。重量平均分子量は、十分な界面活性能力が得られる点で、1,000以上が好ましく、低粘度で安定な樹脂水性分散体が得られる点で150,000以下が好ましい。
上記(b1)との付加反応において、上記(b2’)と、必要に応じて更に、イソシアネート基を有さないビニルモノマーを用いても良い。
上記(B3)を構成する(b1)は、上記(B1)におけるものと同様である。
上記(b2’)としては、上記で挙げた二重結合を有するイソシアネート化合物が挙げられる。これらのうち、好ましいものは、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートである。
必要に応じて用いられるイソシアネート基を有さないビニルモノマーとしては上記に例示のものが挙げられる。
上記(b3’’)において、上記(b1)、上記(b2’)、必要により上記イソシアネート基を有さないビニルモノマーを付加させる方法としては特に限定されないが、フリーデルクラフツ反応によるのが好ましい。
フリーデルクラフツ反応の方法としては、公知の方法が使用でき、例えば、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)に、ブロック化されていてもよいイソシアネート基を有するビニルモノマー(b2’)及び必要に応じてイソシアネート基を有さないビニルモノマーを、公知のルイス酸触媒(例えば、塩化鉄、塩化アルミニウム等)を用いて重付加させる方法等が挙げられる。
本発明において、上記(b3’’)はまた、上記(b1)、上記(b2’)及び必要により上記イソシアネート基を有さないビニルモノマーを付加させて得た付加反応物に、更にアルキレンオキサイドを付加させたものであってよい。
使用されるアルキレンオキサイド(炭素数1〜30)としては特に限定されず、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−又は2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、α−オレフィン(炭素数4〜30)オキサイド、エピクロロヒドリン、スチレンオキサイド、及び上記の2種以上の混合物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、EOである。付加様式はランダム、及び/又はブロックが好ましい。
アルキレンオキサイドの付加モル数は、1〜30モル、好ましくは1〜10モル、更に好ましくは1〜5モルである。
上記(b3’’)において、構成単位である(b1)、(b2’)、イソシアネート基を有さないビニルモノマー、付加されたAOの重量比率は、好ましくは(1〜5)/(1〜20)/(0〜20)/(0〜50)であり、さらに好ましくは(1〜3)/(1〜10)/(1〜10)/(1〜25)である。
有機ジイソシアネート(b4)としては上記に例示のものが挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)は、上記(B3)の乳化力の観点から、ポリオキシエチレン単位を(b5)の重量に対して好ましくは20〜100重量%、さらに好ましくは50〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%含有する。
上記(b5)は、上記(B1)におけるものと同様である。
必要に応じて使用される伸長剤(b8)は、上記(B1)におけるものと同様である。
また、停止剤(b10)としては特に限定されず、例えば、1価脂肪族アルコール(b10−1)、脂肪族モノアミン(b10−2)等が挙げられる。
上記(b10−1)としては、例えば、炭素数1〜18の飽和脂肪族1価アルコール(エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、2−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等)、炭素数1〜18の不飽和1価脂肪族アルコール(オレイルアルコール等)などが挙げられる。
上記(b10−2)としては、例えば、炭素数1〜18の脂肪族モノアミン[オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ドデシルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン等]、炭素数1〜18の不飽和脂肪族モノアミン(オレイルアミン等)、炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基含有モノアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは1価脂肪族アルコールおよび脂肪族モノアミンであり、特に好ましいものは1価脂肪族アルコールである。
本発明において、上記(B3)としては、下記一般式(5)で表される化合物がさらに好ましい。
Figure 2005206667
式中、Q”は、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)とブロック化されていてもよいイソシアネート基を有するビニルモノマー(b2)とからなる付加反応物もしくはそのポリオキシアルキレンエーテル(b3’’)の残基を、G’は、ウレア結合を有していてもよい有機ジイソシアネート(b4)の残基を、X’は、O又はNHを、J’は、ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)の残基を、Z’は、水素、−COO−Q’’で表される基、または、−CO−Y{Yは、−OR(R:炭素数1〜18の1価アルコールの残基)又は−NR(R:炭素数1〜18の炭化水素基又は炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基、R:水素、炭素数1〜18の炭化水素基又は炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基)である}を、それぞれ表す。mは、1〜500の整数である。複数のG’、X’、J’はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
本発明において、反応性界面活性剤(B1)の製法は、
(1)末端がイソシアネート基でブロック化されている場合は、通常のポリウレタン樹脂を製造する方法(ワンショット法または多段法)で、(b3)〜(b5)、(b6)をウレタン化反応させ、片末端がNCO基のポリウレタン樹脂を作成、最後にブロック化剤で末端のイソシアネート基をブロック化することにより得られる。反応温度は通常30〜200℃、好ましくは50〜180℃である。反応時間は通常0.1〜30時間、好ましくは0.1〜8時間である。
該反応は無溶剤系又はイソシアネートに不活性な有機溶剤中で行なうことが好ましい。該有機溶剤としてはアセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、トルエン、ジオキサン等が挙げられる。該有機溶剤は上記(B)を生成させたのち、蒸留法等により除去されるのが好ましい。
(2)末端にエポキシ基が付加している場合は、通常のポリウレタン樹脂を製造する方法(ワンショット法または多段法)で、(b3)〜(b5)、(b6)をウレタン化反応させ、片末端が活性水素のポリウレタン樹脂を作成、最後にポリエポキシ化合物を反応させることにより得られる。反応温度、反応時間、溶剤等の条件は上記と同様であってよい。
上記ウレタン化反応において、ヒドロキシル(OH)基及びアミノ基(NH)と、(b4)のイソシアネート(NCO)基の当量比[(OH+NH)/NCO比]は、好ましくは1:(0.8〜1.5)、さらに好ましくは1:(0.8〜1.3)である。NCO基の当量比が0.8〜1.5では、得られるポリウレタン樹脂が適度の分子量となり、得られる樹脂水性分散体からの皮膜の耐水性が良好となる。
本発明において、反応性界面活性剤(B2)の製法は、
(1)末端がイソシアネート基でブロック化されている場合は、通常のポリウレタン樹脂を製造する方法(ワンショット法または多段法)で、(b3’)、(b4)、(b6)をウレタン化反応させ、片末端がNCO基の樹脂を作成、最後にブロック化剤で末端のイソシアネート基をブロック化することにより得られる。反応温度、反応時間、溶剤等の条件は上記と同様であってよい。
(2)末端にエポキシ基が付加している場合は(b3’)、(b7)を反応させることにより得られる。反応温度、反応時間、溶剤等の条件は上記と同様であってよい。
上記ウレタン化反応において、ヒドロキシル(OH)基及びアミノ基(NH)と、(b4)のイソシアネート(NCO)基の当量比[(OH+NH)/NCO比]は、好ましくは1:(0.8〜1.5)、さらに好ましくは1:(0.8〜1.3)である。NCO基の当量比が0.8〜1.5では、得られるポリウレタン樹脂が適度の分子量となり、得られる樹脂水性分散体からの皮膜の耐水性が良好となる。
本発明において、反応性界面活性剤(B3)の製法は特に限定されず、通常のポリウレタン樹脂を製造する方法(ワンショット法または多段法)で、(b1)〜(b5)、イソシアネートを有しないビニルモノマー、(b8)、および(b10)をウレタン化反応させることにより得られる。反応温度、反応時間、溶剤等の条件は上記と同様であってよい。
上記ウレタン化反応において、ヒドロキシル(OH)基及びアミノ基(NH)と、(b4)のイソシアネート(NCO)基の当量比[(OH+NH)/NCO比]は、好ましくは1:(0.8〜1.5)、さらに好ましくは1:(0.9〜1.3)である。NCO基の当量比が0.8〜1.5では、得られるポリウレタン樹脂が適度の分子量となり、得られる樹脂水性分散体からの皮膜の耐水性が良好となる。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料において、反応性界面活性剤(B)の含有量は、樹脂微粒子(A)および上記(B)の合計重量に対して好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜8重量%、最も好ましくは1〜5重量%である。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料中の樹脂分は、樹脂微粒子(A)の水中での分散性の観点から、好ましくは20〜75重量%、さらに好ましくは20〜60重量%である。
ここで、防汚性水分散スラリー塗料中の樹脂分とは、スラリー塗料約1.0gをはかり取り、120℃の循風乾燥機で1時間乾燥させた後に得られた樹脂の重量を、乾燥前のスラリー塗料の重量で除した値に100を乗じた値である。
また、本発明の防汚性水分散スラリー塗料中の樹脂粒子径は、水中での粒子の沈降が無く焼付け時の水分揮発および粘度調整が容易となることから好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは0.8〜20μm、最も好ましくは1.0〜10μmである。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料は、水性媒体中に樹脂微粒子(A)、親水性付与成分(C)、及び反応性界面活性剤(B)に、さらに、硬化剤(D)を含有してなることが好ましい。
硬化剤(D)としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、上記に例示の有機ジイソシアネート、並びに、上記に例示のこれらの変性物が挙げられる。
これらのうちで好ましいものはイソシアヌレート、特にHDIイソシアヌレートおよびIPDIイソシアヌレートである。
ブロック化剤としては、上記ブロック化剤(b6)に例示のブロック化剤、およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
活性水素含有樹脂(a)と硬化剤(D)の比率は、(a)の活性水素基と(D)のイソシアネート基のモル比として、1/1以上2/1未満、好ましくは1.2/1以上1.8/1未満、さらに好ましくは1.3/1以上1.6/1未満である。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料には、目的とする用途に応じて必要により公知の添加剤(E)(たとえば、粘度調整剤、反応促進剤、充填剤、増粘剤、耐熱もしくは耐候安定剤、レベリング剤、消泡剤、防腐剤、着色料など)を任意に含有させることができる。
粘度調整剤としては、たとえばポリカルボン酸系、ポリスルホン酸系、ポリエーテル変性カルボン酸系、ポリエーテル系等の高分子型粘度調整剤、ウレタン変性ポリエーテル系等の会合型粘度調整剤が挙げられる。配合量はスラリー塗料に対して0.05%以上10%以下、好ましくは0.1%以上5%以下である。
反応促進剤としては、たとえばジアザビシクロオクタン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7などのアミン化合物、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸ジルコニウムなどの金属含有化合物が挙げられる。配合量はスラリー塗料に対して0.05%以上5%以下、好ましくは0.1%以上3%以下である。
耐候安定剤としては、たとえばフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、オクチル化ジフェニルアミン、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート等のヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。配合量はスラリー塗料に対して0.05%以上10%以下、好ましくは0.5%以上3%以下である。
レベリング剤としては特に限定されないが、たとえば低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル共重合体、エチレン−メタクリル共重合体などのオレフィン共重合体、(メタ)アクリル共重合体、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。配合量はスラリー塗料に対して0.2%以上6%以下、好ましくは0.5%以上3%以下である。
必要により用いる着色料としては特に限定されないが、たとえば無機顔料、有機顔料、染料などが挙げられる。無機顔料としてはたとえば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化クロム、フェライト等が挙げられる。有機顔料としてはアゾレーキ系、モノアゾ系、ジスアゾ系、キレートアゾ系等のアゾ顔料、ベンジイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、チオインジゴ系、ペリレン系、キノフタロン系、アンスラキノン系等の多環式顔料が挙げられる。染料としてはニグロシン系、アニリン系が挙げられる。配合量としては着色料の種類によって異なるが、スラリー塗料に対して0.5%以上30%以下、好ましくは1%以上10%以下である。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料を製造する方法としては、下記の方法が例示できるが、これらに限定されない。
(1)脱溶剤法[界面活性剤を含む水性媒体中に、親水性付与成分(C)、活性水素基を有する樹脂(a)および必要により硬化剤(D)を上記記載の有機溶剤に溶解させた溶液を加え、ホモミキサー等で反応容器に分散させ、必要により最高100℃まで加熱しながら、0.1〜15Torrまで減圧して、水を残存させるよう、上記の水以外の水性媒体及び有機溶剤だけを脱溶剤し、防汚性水分散スラリー塗料を得る方法];
(2)粉砕粒子分散法[親水性付与成分(C)、樹脂(a)、および必要により硬化剤(D)を溶融混練し、冷却、粉砕して得た樹脂粒子を、界面活性剤を含む水性媒体中に、ディスパーサー等で反応容器に分散させることで、防汚性水分散スラリー塗料を得る方法];
(3)異粒子混合法[上記脱溶剤法、粉砕粒子分散法を用いて界面活性剤を含む水性媒体中に樹脂(a)を分散し、分散液(j)を得る。また、それとは別に親水性付与成分(C)及び必要により硬化剤(D)を同様に水性媒体中に分散し、分散液(q)を得る。分散液(j)と分散液(q)を混合することにより、防汚性水分散スラリー塗料を得る方法]
上記(1)による製造における親水性付与成分(C)、(a)、および必要により(D)の合計量の、有機溶剤中での濃度は20〜75重量%、好ましくは40〜60重量%である。
上記(2)の製造法による(C)、(a)、および必要により(D)の合計量の、水性媒体中での濃度は5〜70重量%、好ましくは30〜60重量%である。
上記(3)の製造法による(j)、(q)の水性媒体中での濃度は5〜70重量%、好ましくは30〜60重量%である。また、(j)と(q)の混合物の水性媒体中での濃度は5〜70重量%、好ましくは30〜60重量%である。
上記の防汚性水分散スラリー塗料を製造する方法で用いる分散機としては、例えば、ホモミキサー、パイプラインホモミキサー、ディスパーサー、高圧ホモジナイザー、スタティックミキサー、膜乳化機、フィルミックス、超音波分散機等が挙げられる。このうち好ましいのはホモミキサー、パイプラインホモミキサーである。
本発明において、反応性界面活性剤(B)は、良好な界面活性能と分散安定性を示す。それとともに、防汚性水分散スラリー塗料を塗布後、焼き付けを行うことによって、該界面活性剤(B)が樹脂微粒子(A)と化学結合を起こし、塗膜中に取り込まれ、優れた耐水性と強度を示す。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料は、従来の水性塗料用塗装設備、または溶剤塗料用塗装設備である、スプレー塗装機を使用して塗装することができ、新規の設備を必要としない。
塗膜形成方法は、被塗装物に対して、該水分散スラリー塗料を、ウェット膜厚を通常10以上200μm以下、好ましくは10μm以上50μm以下となるようにスプレー塗布し、これを通常100℃以上200℃以下、好ましくは120℃以上180℃以下の温度で、5分以上60分以下、好ましくは5分以上30分以下、さらに好ましくは5分以上20分以下の時間加熱することで塗膜を形成することができる。
本発明の塗料を塗布し、焼き付けることによって得られる塗膜の膜厚は通常10μm以上150μm以下、好ましくは15μm以上50μm以下である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
アクリル系ヒドロキシ官能性樹脂の調製
キシレンの250部を反応器に入れ、加熱して100℃とし、ついで、次に示されるような割合の混合物を約3時間滴下した。その間の反応は、窒素雰囲気下にて行った。この滴下終了後、2時間のあいだ、100℃に保持して、反応を続行した。
(1) スチレン 23 部
(2) メチルメタクリレート 23 部
(3) アクリル酸ブチル 20 部
(4) アクリル酸ヒドロキシエチル 33 部
(5) パーオキシD(日本油脂製、過酸化物) 1 部
反応終了後、減圧蒸留によって有機溶剤および残存モノマーを除去し、その後、真空乾燥させることにより、水酸基当量420、数平均分子量12,000(MW20,000)のアクリル系ヒドロキシ官能性樹脂(アクリル樹脂1)を得た。
ポリエステル系樹脂の調製
反応器にネオペンチルグリコール200部、エチレングリコール93部、テレフタル酸355部を投入し、230℃に加熱し生成する水を留去しながら2時間反応を進めた。その後0.2部のジブチルチンオキサイドを添加し、酸価が0.5以下になるまで反応を続けることで、本発明の塗膜に用いる、両末端に水酸基を有する、数平均分子量7000(MW10,000)、水酸基価16.5mgKOH/gのポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂1)を得た。
製造例1
攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に4−α−クミルフェノール53部およびルイス酸触媒(水澤化学工業社製、GalleonEarth)23部を仕込み、攪拌下、系内を窒素ガスで置換し、90℃に昇温した。同温度にてスチレン181部を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて5時間反応させた。これを30℃に冷却後、触媒を濾別することにより、スチレン7モルを4−α−クミルフェノール1モルに付加したもの(MW900)(B0−1)を220部を得た。(B0−1)にEOを付加したもの(EO含量45%、MW1800)21.6部、ポリエチレングリコール(MW6,000)72.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと略記)5.3部、メチルエチルケトンオキシム(以下MEKオキシムと略記)1.1部を80℃で3時間反応させ、オキシエチレン単位含量72重量%、MW15,000、疎水部の炭化水素基の炭素数71、HLB16.5の反応性界面活性剤[B−1]100部を得た。
製造例2
攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に4−α−クミルフェノール53部およびルイス酸触媒(水澤化学工業社製、GalleonEarth)23部を仕込み、攪拌下、系内を窒素ガスで置換し、90℃に昇温した。同温度にて3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートのエタノールブロック物410部を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて5時間反応させた。これを30℃に冷却後、触媒を濾別することにより、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートエタノールブロック物7モルを4−α−クミルフェノール1モルに付加したもの(数平均分子量1,900)(B0−2)を463部を得た。(B0−2)にEOを付加したもの(EO含量45% MW1800)21.6部、ポリエチレングリコール(MW6,000)72.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと略記)5.3部、メチルエチルケトンオキシム(以下MEKオキシムと略記)1.1部を80℃で3時間反応させ、オキシエチレン単位含量72重量%、MW15,000、疎水部の炭化水素基の炭素数71、HLB16.5の反応性界面活性剤[B−2]100部を得た。
比較製造例
製造例1と同様のフリーデルクラフツ反応にて得られた、ヒドロキシル基含有炭化水素[スチレン7モルを4−α−クミルフェノール1モルに付加したものにEOを付加したもの(EO含量45%);MW1800]34.0部、ポリエチレングリコール(MW6000)61.5部、HDI4.5部を80℃でNCO基含量が0%となるまで3時間反応させ、オキシエチレン単位含量76.8重量%、MW15、000、疎水部の炭化水素基の炭素数71、HLB15.4の界面活性剤[B’−3]100部を得た。
分散液の調製例
製造例により得られた反応性界面活性剤[B−1]、[B−2]比較製造例により得られた界面活性剤[B’−3]、低分子量界面活性剤[B’−4](オクチルフェノールのEO付加物、数平均分子量1,000)、PVA[B’−5](部分ケン化ポリビニルアルコール、重合度1,700、ケン化度88%)のそれぞれ3部を水100部に分散し、分散液を得た。これを[分散液1]〜[分散液5]とする。
実施例1
ビーカー内に、アクリル樹脂1の59部、MEKオキシムブロックされたHDIトリマー(旭化成製、スミジュール)41部、エチルシリケート40[エトキシシラン5モル縮合物、コルコート(株)製]7部および酢酸エチル100部を混合しておき、これを[分散液1]100部に添加した後、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用して、回転数9,000rpmで1分間混合し、平均粒径を5μmとした。混合後、攪拌棒および温度計をセットした4つ口フラスコにこの混合液を投入し、常温、減圧下で10時間脱溶剤した。次いでウレタン化触媒[「TEDA」、東ソー製]0.1部、耐光安定剤[「DIC−TBS」、大日本インキ化学工業製]0.1部、粘弾性付与剤[「SNシックナー−651」、サンノプコ社製]3.0部を加え、防汚性水分散スラリー塗料を得た。分散粒径4.7μmであった。
実施例2
[分散液1]の代わりに[分散液2]を使用する以外は、実施例1と同様の操作を行い、分散粒径4.4μmの防汚性水分散スラリー塗料を得た。
実施例3
ビーカー内に、ポリエステル樹脂1の93部、MEKオキシムブロックされたHDIトリマー(旭化成製、スミジュール)7部、メチルシリケート51(メトキシシラン3モル縮合物、コルコート(株)製)15部およびテトラヒドロフラン100部を混合しておき、これを[分散液3]100部に添加した後、ウルトラディスパーサー(ヤマト科学製)を使用して、回転数9,000rpmで1分間混合し、平均粒径を5μmとした。混合後、攪拌棒および温度計をセットした4つ口フラスコにこの混合液を投入し、常温、減圧下で10時間脱溶剤した。次いでウレタン化触媒[「TEDA」、東ソー製]0.1部、耐光安定剤[「DIC−TBS」、大日本インキ化学工業製]0.1部、粘弾性付与剤[「SNシックナー−651」、サンノプコ社製]3.0部を加え、分散粒径5.1μmである、目的の防汚性水分散スラリー塗料を得た。
実施例4
[分散液1]の代わりに[分散液2]を使用する以外は、実施例3と同様の操作を行い、分散粒径4.4μmの防汚性水分散スラリー塗料を得た。
比較例1
エチルシリケート40を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして防汚性水分散スラリー塗料を得た。分散粒径4.8μmであった。
比較例2
エチルシリケート40を使用しないこと以外は、実施例2と同様にして防汚性水分散粉体スラリー塗料を得た。分散粒径4.7μmであった。
比較例3
[分散液1]の代わりに[分散液3]を使用する以外は、実施例1と同様にして防汚性水分散粉体スラリー塗料を得た。分散粒径4.8μmであった。
比較例4
[分散液1]の代わりに[分散液4]を使用する以外は、実施例1と同様にして防汚性水分散粉体スラリー塗料を得た。分散粒径4.7μmであった。
比較例5
[分散液1]の代わりに[分散液5]を使用する以外は、実施例1と同様にして防汚性水分散粉体スラリー塗料を得た。分散粒径4.7μmであった。
上記方法で得られた各防汚性水分散粉体スラリー塗料について、下記試験方法により評価を行った。その結果を表1に示す。
(試験板の作成)
リン酸亜鉛処理を施した厚さ0.8mmの冷延鋼板にエポキシ樹脂系カチオン電着塗料を塗装し(20μm)、170℃で30分加熱硬化させた後、自動車用黒色中塗り塗料をエアースプレー塗装し(30μm)、140℃で30分加熱硬化して得た試験板に、得られた水分散スラリー塗料をスプレー塗装し、60℃で10分間前焼付けした後、150℃で20分間焼付け乾燥して、膜厚約40μmの塗膜を得た。
(試験方法)
(1)接触角
塗膜の純水に対する接触角を評価する方法。
試験板を温度70℃、湿度95%RHの条件下に3日間静置した後、FACE自動接触角計[協和界面科学(株)製]により、接触角(度)を測定した。水は、TORAYPURE LV−50[東レ(株)製]にて純水としたものを1測定当たり50μl使用した。
(2)汚れ除去性
試験板を温度70℃、湿度95%RHの条件下に3日間静置した後、人工汚れ(カーボン/粘度物質=50/50重量比)の20wt%水分散液を調製し、スポイドを使用して直径が約3cmになるように人工汚れを付着させた。室温で24時間乾燥させた後、流水下スポンジにより20回擦り、塗膜表面に残る汚れを目視判定した。
○:汚れが完全に取れる
×:汚れが残る
(3)耐水性
試験板を温度40℃、24時間漬浸したのち、塗膜外観の変化を目視判定した。
○:外観変化無し
×:塗膜が白化する
Figure 2005206667
防汚性水分散スラリー塗料の実施例は比較例と比べると、塗膜表面のシリケートが加水分解されるため、塗膜の親水性が高くなる。また耐水性が良好である。結果、塗膜の耐水性を保持したまま、付着した汚れを除去することができる。
本発明の防汚性水分散スラリー塗料は家電、木材、自動車等の用途に用いることができ、自動車トップ用クリア塗料として特に有用である。

Claims (11)

  1. 水性媒体中に、活性水素基を有する樹脂(a)からなる樹脂微粒子(A)、一般式(1)で示されるテトラアルコキシシラン(c1)及び一般式(2)で示されるテトラアルコキシシラン縮合物(c2)からなる群より選ばれる少なくとも1種からなる親水性付与成分(C)、並びに親水部と疎水部からなりイソシアネート基、ブロックイソシアネート基及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を有する反応性界面活性剤(B)を含有してなることを特徴とする防汚性水分散スラリー塗料。
    (RO)Si (1)
    [式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基またはアルキルアリール基を示す。Rは同じでも異なっていてもよい。]
    Figure 2005206667
    [式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基またはアルキルアリール基を示す。nは2〜100の整数を示す。Rは同じでも異なっていてもよい。]
  2. 硬化剤(D)をさらに含有してなる請求項1記載のスラリー塗料。
  3. 前記反応性界面活性剤(B)が、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)と必要によりビニルモノマー(b2)とからなる付加反応物又はそのアルキレンオキサイド付加物(b3)、有機ジイソシアネート(b4)、ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)、並びに、ブロック化剤(b6)又はポリエポキシ化合物(b7)を主要構成要素としてなり、前記(b3)及び/又は前記(b5)にオキシエチレン基を含有し、前記(b3)及び/又は前記(b5)にブロック化されていてもよいイソシアネート基又はエポキシ基が付加してなるウレタン樹脂である請求項1又は2記載のスラリー塗料。
  4. 前記反応性界面活性剤(B)が、下記一般式(3)又は(4)で表される化合物の1種又は2種以上からなる請求項3記載のスラリー塗料。
    Figure 2005206667
    [式中、Qは、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)と必要によりビニルモノマー(b2)とからなる付加反応物もしくはそのポリオキシアルキレンエーテル(b3)の残基を、Gは有機ジイソシアネート(b4)の残基を、Jは、ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)の残基を、Yはブロック化剤(b6)の残基を、Zはポリエポキシ化合物(b7)の残基を表す。mは1〜500の整数である。複数のG及びJはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  5. 前記(B)が、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)とブロック化されていてもよいイソシアネート基を有するビニルモノマー(b2’)とからなる付加反応物又はそのアルキレンオキサイド付加物(b3’’)、有機ジイソシアネート(b4)、並びに、ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)を主要構成要素としてなる、ブロック化されていてもよいイソシアネート基を有するウレタン樹脂(L)からなる化合物である請求項1又は2記載のスラリー塗料。
  6. 前記(B)が、下記一般式(5)で表される化合物の1種又は2種以上からなる請求項5記載のスラリー塗料。
    Figure 2005206667
    [式中、Q’’は、1価フェノール又は1価の芳香族アルコール(b1)とブロック化されていてもよいイソシアネート基を有するビニルモノマー(b2’)とからなる付加反応物もしくはそのポリオキシアルキレンエーテル(b3’’)の残基を、G’は、ウレア結合を有していてもよい有機ジイソシアネート(b4)の残基を、X’は、O又はNHを、J’は、ポリオキシアルキレン鎖を有するジオール及び/又はジアミン(b5)の残基を、Z’は、水素、−COO−Q’’で表される基、または、−CO−Y{Yは、−OR(R:炭素数1〜18の1価アルコールの残基)又は−NR(R:炭素数1〜18の炭化水素基又は炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基、R:水素、炭素数1〜18の炭化水素基又は炭素数1〜16のヒドロキシアルキル基)である}を、それぞれ表す。mは、1〜500の整数である。複数のG’、X’、J’はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  7. 前記(a)がアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6いずれか記載のスラリー塗料。
  8. 前記(A)の体積平均粒径が0.5〜50μmである請求項1〜7いずれか記載のスラリー塗料。
  9. 前記(A)は、長径/短径比率が1.0〜1.5の球形である請求項1〜8いずれか記載のスラリー塗料。
  10. 前記(A)が、前記(a1)の溶剤溶液を水中に分散し、該溶剤を脱溶剤することによって得られてなる請求項1〜9いずれか記載のスラリー塗料。
  11. 請求項1〜10いずれか記載の塗料を塗布し、焼き付けることによって得られてなる塗膜。
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