JP2005203220A - 固定陽極x線管 - Google Patents

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Abstract

【課題】
セリウムなどの低融点金属をターゲットに用いたX線管の耐負荷性を向上し、その動作の安定を図る。
【解決手段】
X線管の陽極14の陽極母材20にターゲット18を埋設するためのターゲット嵌入穴32を穿ち、その穴にターゲット18の外周面38とターゲット嵌入穴32の側面42が密着するようにターゲット18を嵌入し、完全に嵌入させた後にターゲット18の焦点面34の周辺部に設けた切り欠き40に陽極母材20の銅材をかしめて、抜け止め防止をする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、医療分野に用いられる低融点金属材料から成るターゲットを使用した固定陽極X線管に係り、特にX線管の陽極への負荷入力の増大及びX線管の長期に渡る安定動作のための技術に関する。
従来の固定陽極X線管は、陰極と陽極と外囲器とから成り、陰極と陽極は外囲器内に対向して配置され、真空気密に封入されている。陰極はタングステン線をコイル状に巻いたフィラメントと、フィラメントを支持しその周囲に集束電界を形成するための集束溝を有する集束電極と、集束電極などを支持するステムなどから成る。陽極は通常棒状体で、その陰極対向面はX線を放射する方向に対し傾斜した角度(例えば20°程度)を持っており、この傾斜面にX線発生源となるターゲットが埋め込まれている。陽極の棒状体の部分(以下、陽極母材という)は通常銅などの熱伝導率の高い金属材料が用いられている。ターゲットは通常長方形の板状体に形成され、タングステンなどのX線発生効率の高い金属材料が用いられている。このターゲットは鋳造法などにより、陽極母材に埋設され、あとターゲットの面が露出するように、ターゲットと陽極母材の外周が機械加工されている。外囲器は大略円筒形状(長さ方向の中央部の外径が太くなっているものもある)をしており、X線透過性の良い耐熱性ガラスなどの耐熱性絶縁物から成る。陰極や陽極は外囲器の円筒の両端部に結合され、支持されている。
固定陽極X線管では、使用時に陰極と陽極との間に数万〜数十万ボルトの高電圧が印加され、陰極のフィラメントにフィラメント加熱電圧が印加される。この電圧印加により、フィラメントは白熱状態に加熱されて熱電子を発生し、この熱電子は集束電極の集束溝によって形成された集束電界によって電子ビームとなる。この電子ビームは高電圧によって加速されることにより、大きな運動エネルギーを得て、陽極のターゲット面に衝突し、X線を発生する。このとき、運動エネルギーのうち、約1%弱がX線となり有効活用されるが、残りの約99%は熱エネルギーとなり、熱輻射及び熱伝導によってX線管の外に放出される。
産業用や医療用などに使用されるX線管では、通常ターゲットとしてタングステンまたはタングステン合金が用いられている。これはタングステンまたはタングステン合金が高融点金属材料であるため、大きなX線管電流を流しても溶けにくいことと、原子番号が74と高いため、制動X線の発生効率が高いことが、最大の理由となっている。
また、再生医療用途やX線ひずみ計などの特殊な用途への需要として、ターゲットの材料にタングステン以外の金属材料を用いたX線管の需要がある。これらの場合のうち、ターゲットの材料が陽極母材となる銅よりも低い融点の金属材料などのときには、ろう付け法などが採用されている。例えば、特許文献1には、陽極母材にターゲットが挿入される凹部を設け、その底とターゲットの裏面との間にろう材を挟み、ターゲットを陽極母材にろう付けする方法が開示されている。
また、陽極母材に通常使用される銅よりも融点の低い金属材料であるセリウムをターゲット材料に使用してX線発生装置を構成した例が非特許文献1に開示されている。この非特許文献1では、セリウムの特性X線のうちのKα線(平均エネルギー34.6keV)がヨウ素造影剤に良く吸収されるので、セリウムターゲットからの特性X線を利用してヨウ素系造影剤で造影した微細血管の高コントラストのX線画像を得ている。同じ目的では、セリウム以外にもランタンなどの特性X線が利用される可能性がある。この例でのX線発生装置は組立式のもので、真空ポンプが取り付けてある。また、セリウムターゲットは陽極母材などとの結合はなく単体で支持されており、1回のX線発射ごとに新しいターゲット面が供給される方式である。
特開平11−149891号公報 佐藤英一:フラッシュX線―弱電離線状プラズマの形成による準単色X線―NSA Commentaries Series,11,pp.143~151,2003.
本発明に係る固定陽極X線管では、ターゲットの材料としてランタンやセリウムなどの金属材料が用いられている。ランタンやセリウムは原子番号がそれぞれ57、58であり小さいため、X線発生効率はタングステンなどと比べ低く、また、融点はそれぞれ918℃、804℃であり、陽極母材の銅より低い。これらの金属材料がターゲット材料として用いられる。大きな理由は、その特性X線の利用にある。
ターゲット材料に電子ビームを衝突させた場合に発生するX線としては制動X線と特性X線がある。制動X線は連続的な波長分布を持ち、その波長はX線管電圧を変えても常に一定である。再生医療分野などにおいてX線写真撮影に用いられるヨウ素系造影剤は上記のランタンやセリウムの特性X線をよく吸収するので、この特性X線を利用した場合、コントラストの良いX線写真を撮ることができる。
ランタンとセリウムとを比較した場合、ランタンの融点がセリウムよりも約100℃高いので、ターゲットの製造などの面ではランタンの方が有利であるが、セリウムは埋蔵量が多く安価であるため、X線管を安価に製作できる利点がある。
ランタンやセリウムなどの金属をX線管のターゲット材料として使用する場合、上記の如く、ターゲットへの入射エネルギーの99%以上が熱に変換されるため、X線管使用時の高負荷入力の繰り返しや過大入力により、ターゲットの焦点面の温度が上昇して、ターゲットの焦点面が溶融したり、熱応力の繰り返しによるクラックや変形などが発生してターゲットの焦点面が荒れ、散乱などによってX線量が低下する場合がある。また、ターゲットの温度上昇により、ターゲットの吸蔵ガスが放出されて、X線管内の真空度が劣化し、管内放電が発生し、耐電圧不良となる場合もある。
また、X線管のターゲットの温度を下げるために、陽極母材内に冷却用の流路を設け、水や油を循環させて陽極を冷却している例もあるが、X線管の外形が大きくなることや、陽極を冷却するための冷却システムが高価になることなどの問題がある。
また、鋳造法によってターゲットの金属材料と陽極母材の銅を接合する場合、ターゲット材料として銅より融点の低い金属材料は使用できない。また、ろう付け法を用いる場合には、ろう材としてランタンやセリウムなどよりも融点の低い金属を用いなければならず、X線管の負荷入力がターゲット材料の融点ではなく、ろう材の融点によって制限され、負荷入力が低下する場合がある。
以上の如き問題点を考慮して、本発明ではランタンやセリウムなどの低融点金属材料をターゲットとして用いたX線管において、耐負荷性を向上し、長期に渡り安定した動作を発揮できるX線管の製造技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の固定陽極X線管は、電子ビームを発生する陰極と、陰極からの電子ビームが衝突してX線を発生するターゲットを有し、該ターゲットを熱伝導率の高い金属材料から成る棒状体(以下、陽極母材という)に埋設する陽極と、陰極と陽極を絶縁支持し、真空気密に内包し、耐熱性絶縁物またはその一部分が金属材料から成る外囲器とから構成される固定陽極X線管において、前記ターゲットは前記陽極母材に前記ターゲットを嵌入するため穴(以下、ターゲット嵌入穴という)を設け、該ターゲット嵌入穴に前記ターゲットを嵌入した後に、前記ターゲットの抜け止め防止のための処置を施したものである(請求項1)。
また、本発明の固定陽極X線管は、前記陽極のターゲットを前記陽極母材のターゲット嵌入穴に嵌入した後に、前記陽極母材を前記ターゲットの露出面にかしめることにより、前記ターゲットを固定するものである。
また、本発明の固定陽極X線管では、前記陽極のターゲットは陰極からの電子ビームが衝突する平面状の焦点面と、外周面と、裏面を有し、前記陽極母材のターゲット嵌入穴は前記ターゲットの外周面を収容する側面と、底面を有し、前記ターゲットの焦点面の外周部にかしめのための切り欠きが複数個設けられている。
また、本発明の固定陽極X線管では、前記陽極のターゲットが円形で厚さ方向にテーパーを付けた外周面を有し、前記陽極母材のターゲット嵌入穴が円形で深さ方向にテーパーを付けた側面を有し、両者のテーパーは同じであり、かつ前記ターゲットを前記ターゲット嵌入穴に嵌入したときに、両者のテーパー面が密着するように加工されている。
また、本発明の固定陽極X線管では、前記陽極のターゲットの外周面は円形で厚さ方向にテーパーの付いたテーパー部とねじ部とを有し、前記陽極母材のターゲット嵌入穴の側面は円形で深さ方向にテーパーの付いたテーパー部とねじ部を有し、両者のテーパーは同じであり、また、両者のねじは同じ寸法のものであり、前記ターゲットを前記ターゲット嵌入穴に嵌入し、両者のねじを締め付けたときに、両者のテーパー面が密着するように加工されている。
また、本発明の固定陽極X線管では、前記陽極のターゲットはランタンまたはセリウムから成り、前記陽極母材は銅から成る。
また、本発明の固定陽極X線管は前記外囲器の少なくとも前記ターゲットの近傍部分を金属材料で構成し、該金属外囲器のうちの前記ターゲットのX線発生源(焦点)に近い位置にベリリウムなどのX線透過性の良い材料から成るX線放射窓を設けたものである(請求項2)。
本発明の固定陽極X線管は、陽極のターゲットを陽極母材に設けたターゲット嵌入穴に嵌入し、ターゲットの抜け止め防止処置を施しているので、陽極母材より融点の低い金属材料をX線管のターゲットとして使用することが可能となり、また、このX線管を長時間安定した動作で使用することができるようになった。
また、本発明の固定陽極X線管では、陽極のターゲットを陽極母材のターゲット嵌入穴に嵌入した後に、ターゲットをかしめにより固定しているので、ターゲットの抜け止め防止は確実に行われ、ターゲットへの負荷入力に対しX線管を安定して動作させることができる。
また、本発明の固定陽極X線管では、陽極のターゲットの焦点面の外周部にかしめのための切り欠きを複数個設けているので、ターゲットを陽極母材に埋設した後のかしめは切り欠きを介して有効に行うことができ、確実なターゲットの抜け止め防止が施される。
また、本発明の固定陽極X線管では、陽極のターゲットの外周面と陽極母材のターゲット嵌入穴の側面とが円形かつ同じテーパーで加工されているので、ターゲットとターゲット嵌入穴との嵌合が両者のテーパー面で緊密に行われ、X線管への負荷時の熱は両者のテーパー面を通してターゲットから陽極母材へとスムーズに伝達されることになる。この結果、X線管負荷時のターゲットの温度上昇は低く押さえられ、X線管の耐負荷性は向上し、X線管は安定な動作を維持することができる。
また、本発明の固定陽極X線管では、陽極のターゲットの外周面と陽極母材のターゲット嵌入穴の側面に互いに嵌合するテーパー部とねじ部が設けられているので、互いのねじ部を嵌合させ、締め付けることにより、互いのテーパー部を強く密着させることができる。その結果、ターゲットと陽極母剤との間の熱伝達が良好に行われるようになるとともに、ターゲット自体の抜け止め防止処置も確実に行われる。
また、本発明の固定陽極X線管では、陽極のターゲット材料をランタンまたはセリウムとしているので、再生医療分野などにおいて、ランタンまたはセリウムの特性X線を活用することによりX線画像の画質向上を図り、診断効果を高めることができる。また、陽極母材の材料としては高熱伝導率の銅を用いているので、ターゲットで発生する熱を素早く確実に放散させることができ、X線管の熱的負荷に対し、安定した動作を発揮することができる。
また、本発明の固定陽極X線管では、外囲器のうちのターゲットに近い部分を金属外囲器とし、その部分にベリリウムなどから成るX線放射窓を設けて、ターゲットで発生したX線を外部に取り出すことにしているので、ランタンやセリウムなどの特殊金属材料から成るターゲットで発生した特性X線を殆んど減衰させずに外部に取り出して利用することができる。その結果、ランタンやセリウムなどの特性X線を再生医療分野で有効活用することができる。
以下、本発明に係る固定陽極X線管の実施例について、添付図面を用いて説明する。
先ず、図1と図2を用いて、本発明に係る固定陽極X線管の第1の実施例について説明する。図1には、本発明に係る固定陽極X線管の第1の実施例の全体構造図を、図2には、図1の陽極の構造図を示す。最初に、図1によりX線管の全体構造を、次に図2により陽極の構造を説明する。
図1は、本実施例のX線管全体の構造を示したものである。図1において、X線管10は固定陽極X線管であり、電子ビームを発生する陰極12と、陰極12と対向して配置され、陰極12からの電子ビームが衝突してX線を発生する陽極14と、陰極12と陽極14を絶縁支持し、真空気密に内包する外囲器16とから構成される。本実施例では、陽極14の構造およびその製造法に特徴がある。陰極12および外囲器16の構造は従来の固定陽極X線管とほぼ同じ構造をしている。以下、各部の構造について説明する。
陽極14は電子ビームが衝突してX線を発生するターゲット18と、ターゲット18を保持し、ターゲット18で発生した熱を放散させる陽極母材20とから構成される。本発明では、ターゲット18はランタンやセリウムなどの低融点金属材料から成る。これらの金属材料の特性X線をX線写真撮影に利用するためである。陽極母材20には熱伝導率の高い銅などが用いられる。本実施例では、ターゲット18にはランタンまたはセリウムが、陽極母材20には銅が用いられている。陽極母材20の外形は従来品と同様に、外周は円形で、陰極12と対向する面は少し傾斜しており、全体としては棒状体となっている。陽極母材20の陰極12と対向する面(以下、傾斜面という)22にターゲット18が埋設されている。陽極14は陽極母材20の端部において外囲器16と結合されている。また、陽極母材20の端部には、正電位の高電圧が供給される。
陰極12は、フィラメント24と集束電極26トステム28などから構成される。フィラメント24は通常コイル状に巻かれており、タングステンなどから成る。フィラメント24は外部からフィラメント加熱電圧が印加されて加熱されることにより熱電子を放出し、この熱電子が集束電極26によって集束されて電子ビームを形成する。集束電極26は陽極14に対向する面側に、フィラメント24を収容し、X線管電圧の印加時にフィラメント24から放出された熱電子を集束するための集束電界を形成する集束溝(図示せず)を有する。集束電極26は鉄やステンレス鋼などの金属材料から成る。ステム28は大部分が耐熱性ガラスやセラミックなどの絶縁物から成り、この絶縁物に複数本のリード線30が埋め込まれている。ステム28は集束電極26を絶縁支持し、また、ステム28のリード線30を介して外部から集束電極26に負電位の高電圧が、フィラメント24にフィラメント加熱電圧がそれぞれ供給される。
外囲器16は大略円筒形状をしており、耐熱性ガラスやセラミックなどの絶縁物から成る。外囲器16の陽極側では陽極14の端部と結合されている。両者の間には通常ガラスなどの絶縁物と熱的になじみのよい金属が介在される。外囲器16の陰極側では、陰極12のステム28と結合されている。陽極14のターゲット18で発生するX線は外囲器16の中央部からガラスなどの絶縁物を通して外部に放射される。図示の例では、外囲器16の中央部はその両端部よりも外径が少し大きくなっているがストレートのものも多い。また、外囲器16のうちのX線を外部に取り出す部分(図示の中央部下側の部分)については、X線透過度を良くするために絶縁物の厚さを薄くなるように加工する場合もある。
次に、図2を用いて本実施例のX線管の陽極の構造の詳細について説明する。本発明では、陽極のターゲットにランタンやセリウムなどの低融点金属材料を採用し、このターゲットを埋設する陽極母材に銅などの熱伝導率の高い金属材料を使用している。このため、従来の陽極のように、鋳造法によってターゲットを陽極母材に埋設することはできないので、本実施例ではターゲットを陽極母材に直接接合し、かしめにより固定する方法を採用している。
図2は本実施例の陽極14の構造を説明するための図で、図2(a)は陽極の縦断面図、図2(b)は陽極14の傾斜面22を見た図である。図2において、陽極14はターゲット18と陽極母材20とから構成され、ターゲット18は陽極母材20の傾斜面22の中央部に穿たれたターゲット嵌入穴32に埋設される。ターゲット18は大略円錐台形をしており、電子ビームが衝突してX線源(焦点)を形成する焦点面34と、その反対側の裏面36と、外周面38とを有する。焦点面34と裏面36は円形の平面で、焦点面34の面積は裏面36より大きい。外周面38は焦点面34と裏面36をつなぐ円形のテーパー付けした面である。このテーパーは約1/10としている。ターゲット18の焦点面34側の外周には複数個の切り欠き40が設けられている。この切り欠き40はターゲット18をターゲット嵌入穴32に埋設したときに抜け止め防止のためのかしめを行うためのものである。図示の例では、切り欠き40を6箇所設けているが、この個数は特に限定されず、抜け止め防止に必要な力や切り欠き40の大きさを考慮して決めればよい。また、切り欠き40の形状は図示では四角形をしているが、V形などでもよい。
陽極母材20の傾斜面22は医療用途ではX線照射野を考慮して通常約20°前後の角度で加工されている。この傾斜面22のほぼ中心位置にターゲット嵌入穴32が設けられている。ターゲット嵌入穴32はその側面42と底面44がターゲット18の外周面38と裏面36に密着するような寸法で穿たれる。すなわち、ターゲット嵌入穴32の口径、側面42の長さとテーパー、底面44の直径はそれぞれターゲット18の焦点面34の外径、外周面38の長さとテーパー、裏面36の外径に一致するように寸法が決められる。また、ターゲット嵌入穴32の入口の中心については、陽極母材20の中心軸と一致させる。
ターゲット18の焦点面34の大きさは、ターゲット18の焦点で発生した熱をできるだけ速く陽極母材20に逃がすために、焦点面積を確保できる範囲で可能な限り小さくしており、例えばターゲット角度20°、焦点寸法3mmの場合、焦点面34の直径を約12mm程度にしている。また、ターゲット18の外周面38とターゲット嵌入穴32の側面42のテーパー面については、面の接触度を高くし、両面の間での熱伝達が向上するように面加工が施されている。例えば、テーパー面の両面は当たり面が約90%となるように加工されている。また、テーパー面のテーパーの値については、上記では約1/10としているが、これに限定されず、他の値にしてもよい。
ターゲット18を陽極母材20のターゲット嵌入穴32に押し込んで、ターゲット18の外周面34とターゲット嵌入穴32の側面42を密着させた後に、ポンチなどを用いてターゲット18の焦点面34の切り欠き40に陽極母材20のターゲット嵌入穴32周辺の銅材を押し込んでかしめ48が行われる。
また、X線管の用途によっては大きな負荷を必要としない場合があり、そのような場合には、ターゲット18の外周面38をテーパー面としなくてもよい。外周面38を円筒形状としたターゲット18を、同様に側面42を円筒形状としたターゲット嵌入穴32に挿入し、前者の裏面36と後者の底面44を密着させて、ポンチなどでターゲット18の焦点面34の切り欠き40にてかしめ48が行われる。この場合には、ターゲット18の裏面36とターゲット嵌入穴32の底面44との接触のみで、ターゲット18の充分な冷却が可能である。
次に、陽極14の組立作業について簡単に説明する。先ず、ターゲット18と陽極母材20を別々に機械加工する。両部品については、汚れをとるための洗浄処理を行った後に、脱ガスのための真空加熱処理などを行う。その後、陽極母材20については、その端部に外囲器16と接続するための部品をろう付けなどによって取り付ける。次に、陽極母材20のターゲット嵌入穴32にターゲット18を押し込む。このとき、ターゲット18の外周面38とターゲット嵌入穴32の側面42が密着するように、治具などを介在させてターゲット18の焦点面34を金槌などで叩いて押し込む。ターゲット18がターゲット嵌入穴32に完全に押し込まれた後に、ターゲット18の焦点面34に設けた複数個の切り欠き40に、その近傍の陽極母材20の銅材をポンチで寄せてかしめ48を施す。ポンチでのかしめ作業では、ばりや尖りが生じないように注意する。また、陽極母材20の銅材が硬い場合には、焼鈍などを行って柔らかくしておくとよい。
上記作業によって組み立てられた陽極14は、封止作業工程において陰極12とともに外囲器16内に封止されて、X線管の封止球となる。封止球については排気作業工程において、陰極12、陽極14、外囲器16、およびX線管全体の脱ガス作業が行われ、作業完了後真空に封止切られる。その後、ならし運転を行うエージング作業工程を経た後に、検査が行われる。
次に、図3を用いて、本発明に係る固定陽極X線管の第2の実施例について説明する。本実施例は、陽極50以外は第1の実施例と同じであるので、図3には陽極50の構造のみを示す。図3は本実施例の陽極50の構造を説明するための図で、図3(a)は陽極50の縦断図面、図3(b)は陽極50の傾斜面22を見た図である。本実施例では、第1の実施例に対し、ターゲット52と陽極母材54のターゲット嵌入穴56の構造が異なる。図3において、ターゲット52は、第1の実施例と同様に、焦点面34と、裏面38と、外周面58とを有するが、外周面58はテーパー部60とねじ部62とから構成される。焦点面34と裏面36とテーパー部60は第1の実施例とほぼ同じ構造をしており、焦点面34と裏面36は円形の平坦面であり、テーパー部60は約1/10のテーパーで加工されている。ねじ部62はターゲット嵌入穴56へのターゲット52の密着度を良くすること、および抜け止め防止を考慮して設けたものである。ねじ部62には3山程度のねじ山が設けられる。焦点面34の外周には切り欠き40が180°間隔で2箇所設けられている。
陽極母材54に設けられるターゲット嵌入穴56は、第1の実施例と同様に、側面64と底面44を有するが、側面64はテーパー部66とねじ部68とから構成される。底面44とテーパー部66は第1の実施例とほぼ同じ構造をしており、底面44は円形の平坦面であり、テーパー部66は約1/10のテーパーで加工されている。ねじ部68は3山程度のねじ山を有し、ねじ山の形状、ピッチなどはターゲット52のねじ部62に嵌合するように加工されている。
ターゲット52を陽極母材54のターゲット嵌入穴56に嵌合させるときは、ターゲット52のねじ部62を、ターゲット嵌入穴56のねじ部68にねじ込み、更に両者のテーパー部60、66が密着するまでねじ込むことになるが、このねじ込みにはターゲット52の切り欠き40を利用して、例えばこの切り欠き40にねじ込み用治具などを嵌め込んでターゲット52を回転することにより、ターゲット52の確実なねじ込みが可能となる。ターゲット52をターゲット嵌入穴56に両者のテーパー部60、66が密着するまで押し込んだ後に、ターゲット52の切り欠き40においてかしめ48を行う。本実施例では、ターゲット52の外周面58とターゲット嵌入穴56の側面64との密着性は両者のねじ部62、68の嵌合で確保されるので、上記のターゲット52のかしめ48はターゲット52のまわり止めのためのものとなり、この結果かしめ48の個数は少なくてすむ。
本実施例では、ターゲット52の外周面58とターゲット嵌入穴56の側面64とにねじ部62、66を設けて、ターゲット嵌入穴56との嵌合およびテーパー部60,66の密着性などを向上させているので、ターゲット52から陽極母材54への熱伝達が改善され、ターゲット52への熱入力の増加が可能となる。
次に、図4を用いて、本発明に係る固定陽極X線管の第3の実施例について説明する。本実施例は外囲器70以外は第1の実施例とほぼ同じである。図4は本発明に係る固定陽極X線管の第3の実施例の全体構造図である。図4において、本実施例のX線管69の陰極12と陽極14とは図1および図2に示した第1の実施例のものと同じである。外囲器70は中央部に金属材料から成るX線放射窓部72を有し、このX線放射窓部72の陰極側に陰極絶縁部74が、陽極側に陽極絶縁部76がそれぞれ接続されている。
図4において、X線放射窓部72は円筒形状の金属筒部78と、X線管をX線管装置などに取り付けるためのフランジ部80と、X線を外部に取り出すためのX線放射窓82と、フランジ部80を金属筒部78に結合するためのフランジ接続部84などから構成される。金属筒部78は大略円筒形状をしており、陽極14に埋設されたターゲット18の焦点面34を囲むように、陽極14の周囲に配置され、その両端に陰極絶縁部74と陽極絶縁部76が接続されている。金属筒部78は鉄鋼や銅などの金属材料から成り、その円筒の長さ方向の中央部のX線取出し方向にはフランジ部80を取り付けるための大略円形の穴86が設けられていて、この穴86のふちにフランジ接続部84が結合されている。フランジ接続部84は薄肉のテーパー付きの円筒で、鉄鋼などの金属材料から成り、金属筒部78との結合はろう付けなどで行われる。
フランジ部80は鉄鋼材や銅などの金属材料から成り、中央部がコーン状に凹んだ円板状体である。フランジ部80の円板状体の部分(以下、円板部という)88は、X線管装置などに取り付ける部分であり、コーン状の部分(以下、コーン状部という)90はターゲット18上の焦点面34の中心に向かって凹んでおり、そのターゲット18に近接した位置にX線放射窓82が取り付けられている。フランジ部80は、通常一体で加工されるが、円板部88とコーン状部90を別個に加工して、あとでろう付けまたは溶接などにより結合してもよい。X線放射窓82はベリリウムなどのX線透過性のよい材料から成り、通常薄い板状体である。このX線放射窓82は窓枠などにろう付けして、フランジ部80のコーン状部90の底の部分にろう付けまたは溶接によって結合される。コーン状部90に直接ろう付けにより結合される場合もある。
陰極絶縁部74と陽極絶縁部76はともに円筒状をしており、耐熱性ガラスまたはセラミックなどの耐熱性絶縁物から成る。両者とX線放射窓部72の金属筒部78との接続にあたっては、間に上記の耐熱性絶縁物と熱的になじみのよい金属材料から成る円筒を挿入して接続される。陰極絶縁部74はその端部において陰極12のステム28と接続され、陽極絶縁部76はその端部において陽極14の端部と接続される。
本実施例では、外囲器70のX線放射窓部72は金属筒部78を構成要素としているが、金属筒部78は耐熱性ガラスなどで代替してもよい。この場合には、ガラス円筒部の側面にフランジ接続部84の一端が結合されることになる。また、ガラス円筒部と陰極絶縁部74、陽極絶縁部76とは同じ材料で構成されるので、一体化される。また、X線放射窓部72のフランジ部80はX線管装置などに取り付ける部分であり、その外形は通常円板状となっているため、本実施例でもその外形を円板状としたが、装置などの都合により他の形状にしてもよいことは言うまでもない。
本実施例のX線管をX線管装置などに取り付けるに際しては、X線管の外囲器70のX線放射窓部72をX線管容器などの壁面に油密シール材などを介して固定する。この時、油密シール材はX線放射窓部72のフランジ部80と壁面の間に挿入され、フランジ部80のコーン状部90に取り付けられたX線放射窓82は外側(空気中)に露出するようにする。このようにX線管を取り付けることにより、X線管のターゲット18で発生したX線はX線透過性のよいX線放射窓82から極力減衰を少なくした状態で外部に取り出されるので、ランタンやセリウムなどの特性X線を有効に利用することができる。
本発明に係る固定陽極X線管の第1の実施例の全体構造図。 本発明に係る固定陽極X線管の第1の実施例の陽極の構造図。 本発明に係る固定陽極X線管の第2の実施例の陽極の構造図。 本発明に係る固定陽極X線管の第3の実施例の全体構造図。
符号の説明
10、69・・・X線管
12・・・陰極
14、50・・・陽極
16、70・・・外囲器
18、52・・・ターゲット
20、54・・・陽極母材
22・・・傾斜面
24・・・フィラメント
26・・・集束電極
28・・・ステム
30・・・リード線
32、56・・・ターゲット嵌入穴
34・・・焦点面
36・・・裏面
38、58・・・外周面
40・・・切り欠き
42、64・・・側面
44・・・底面
46・・・中心軸
48・・・かしめ
60、66・・・テーパー部
62、68・・・ねじ部
72・・・X線放射窓部
74・・・陰極絶縁部
76・・・陽極絶縁部
78・・・金属筒部
80・・・フランジ部
82・・・X線放射窓
84・・・フランジ接続部
86・・・穴
88・・・円板部
90・・・コーン状部

Claims (2)

  1. 電子ビームを発生する陰極と、陰極からの電子ビームが衝突してX線を発生するターゲットを有し、該ターゲットを熱伝導率の高い金属材料から成る棒状体(以下、陽極母材という)に埋設する陽極と、陰極と陽極を絶縁支持し、真空気密に内包し、耐熱性絶縁物またはその一部分が金属材料から成る外囲器とから構成される固定陽極X線管において、前記ターゲットは前記陽極母材に前記ターゲットを嵌入するため穴(以下、ターゲット嵌入穴という)を設け、該ターゲット嵌入穴に前記ターゲットを嵌入した後に、前記ターゲットの抜け止め防止のための処置を施したことを特徴とする固定陽極X線管。
  2. 請求項1記載の固定陽極X線管において、前記外囲器の少なくとも前記ターゲットの近傍部分を金属材料で構成し、該金属外囲器のうちの前記ターゲットのX線発生源(焦点)に近い位置にベリリウムなどのX線透過性の良い材料から成るX線放射窓を設けたことを特徴とする固定陽極X線管。
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